LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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Sylvie Guillemの記事一覧

シルヴィ・ギエム:Hope Japan関連

2011.10.22
Aプロの「田園のひと月」を観たくて1泊3日の弾丸一時帰国を画策したものの、実現できなかった。せめて舞台評をと思って、以下のリンクで10月19日のガラ公演の様子を。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-369.html
確か、2012年の7月にロイヤル・バレエも「田園」を上演予定のはず。インタヴューを終えてちょっと雑談したときに、一人のファンとしてロイヤル・バレエとは踊らないのか尋ねたら、「ロイヤル・バレエは変われないから」とあきらめ顔で言っていた。なので、無理だろうな。でも、現在のロイヤルにヤナウスキィ以外にあの役を踊れて演じられる技量を持つプリンシパルはいないと思うな。強いてあげればラムかヌニェスかもしれないけど、かなり違うと思う。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111020/k10013385511000.html
藤村さんは、メゾ・ソプラノ。来年のロイヤル・オペラの「リング・サイクル」に出演予定。


日本舞台芸術振興会のウェブから拝借)

http://www.asahi.com/showbiz/pia/AUT201110210052.html
朝日新聞のウェブからは捜せなかった。日本の新聞社のウェブサイトの文化欄は、もっと改善すべきだと思う。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111023k0000m040069000c.html
掲載されたのは嬉しいけど、どうしてカテゴリィが「天気・地震」?捜せるわけない!

「100年に1人のバレリーナ」と称されるシルヴィ・ギエムさんが、復興への祈りを込めた日本ツアー「HOPE JAPAN」を始めた。本人の希望で盛岡市や福島県いわき市の公演も組み込まれ、この2公演の出演料などをあしなが育英会に寄付する。

 20日に東京都内で会見したギエムさんは「深い悲しみの中にある方にも、あなたは一人ではないと伝えたい」と、被災者への共感を表した。さらに「非常時だからこそ皆さんと一緒にいたい。これは日本に恩を受けた私の義務」と、迷いのない口調で語った。

 学生時代の初来日から30年、旅公演を重ねて日本のファンと絆を深めてきたギエムさんは今回、「巡礼のような気持ち」でツアーに臨むという。特別に選んだ演目は、長らく封印していた「ボレロ」。親日家だった振付家モーリス・ベジャールの代表作で、ギエムさんの十八番。力強いリズムが周囲を巻き込み、生命のエネルギーをほとばしらせる。

 19日の東京文化会館(東京・上野)公演で、東京バレエ団のダンサーを従えてボレロを舞ったギエムさんは、ベジャールの魂を呼び込み、荒ぶる神に祈りをささげる巫女(みこ)のようにも見えた。舞台を包む圧倒的な高揚感から、「芸術には人生を変える力がある」との信念が伝わる。終演後、育英会の支援で進学した被災地出身の大学生が寄付へのお礼を述べると、ギエムさんは「皆さんのために踊れることがうれしい」と、笑顔で応えていた。【斉藤希史子】

 ◇シルヴィ・ギエム
 弱冠19歳でパリ・オペラ座バレエのエトワール(最高位)に任命された“伝説”のバレリーナ。英国ロイヤル・バレエを経て、現在はフリーの立場で表現の幅を広げている。


 補足しておくと、サドラーズ・ウェルズ・シアターアソシエイト・アーティスト

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2011/10/hope-japan-693d.html
ダウエルは、タケットの「ウィロウ・イン・ザ・ウィンド」の初演、アシュトン生誕100年のシーズンのときの「ウェディング・ブーケ」で達者な語りを披露していたので納得。

 ご覧になられた皆さんの感想をぜひ教えてください。

HOPE JAPAN:シルヴィ・ギエム

2011.09.05
NBSのサイトに、シルヴィ・ギエムがイニシアティヴをとるガラ・パフォーマンス、「HOPE JAPAN」の公演決定がアップされている。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/hope-japan.html

シルヴィ・ギエムは<HOPE JAPAN TOUR>で、"震災前にこの作品を通して、私と日本の観客の皆さんの間に結ばれた絆を再確認するため、そしてこの作品の振付家、日本を心から愛していたベジャールの魂を日本へ連れてくるため"日本で封印していた「ボレロ」を再び踊ることを決めました。チャリティ・ガラ公演では、東京シティ・フィルハーモック管弦楽団の生演奏により、日本の復興と祈りが込められたギエムの「ボレロ」が復活します。

 このチャリティ・ガラ公演には、日本の再生を願い、そのために行動したいというギエムの思いに賛同した、様々なジャンルのアーティストの出演が予定されています。

 音楽界からは、欧州で活躍を続けるメゾ・ソプラノの藤村実穂子がドイツから駆けつけ、「さくらさくら」「赤とんぼ」など心に染み入る日本歌曲をアカペラで歌います。日本伝統芸能界からは、日本舞踊花柳流、四世宗家家元の花柳壽輔、和太鼓を世界に広めた林英哲、横笛の第一人者である藤舎名生の三人の名手によるコラボレーション「火の道」が披露されます。バレエ界からは、元英国ロイヤル・バレエ団芸術監督のアンソニー・ダウエルがギエムの強い呼びかけに応えて、朗読を行う予定です。そして、ギエムとともに現代のバレエ界を牽引するウィーン国立バレエ団芸術監督マニュエル・ルグリも急遽来日し、ソロ作品を踊ることが決まりました。また、東京バレエ団はギエムとともに「ボレロ」を踊るほか、明るい未来への祈りを込めて「現代のためのミサ」から"ジャーク"を演じます。
 復興と再生への祈り、明日への希望が込められた<HOPE JAPAN>チャリティ・ガラに、一人でも多くの方にご賛同いただき、ご来場いただけることを願っております。
 
 なお、出演者全員が、出演料無料で参加するチャリティ・ガラ<HOPE JAPAN>の収益金は全額、あしなが育英会を通じて「東日本大地震・津波遺児のための募金」に寄付させていただきます。
 
 


東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ<HOPE JAPAN>


◇公演日:10月19日(水) 6:30p.m.

◇会場:東京文化会館

◇入場料(税込) 
S=¥23,000  A=¥20,000  B=¥17,000  C=¥13,000  
D=¥10,000  E=¥7,000  F=¥5,000


◇予定される出演者[アルファベット順]

アンソニー・ダウエル(元英国ロイヤル・バレエ団芸術監督)

藤村 実穂子(歌手、メゾ・ソプラノ)

シルヴィ・ギエム(ダンサー) 

花柳 壽輔(日本舞踊家、花柳流四世宗家家元)

林 英哲(太鼓奏者)

マニュエル・ルグリ(ダンサー、ウィーン国立バレエ団芸術監督)

藤舎 名生(横笛奏者、藤舎流笛家元)

東京バレエ団

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団



 心の底からその場に居たいけど、無理かな。ギエムのファンでありながら、「ボレロ」にはとことん縁がない。サドラーズに「ボレロ」を持ってきたら、ロンドンでだって、というかロンドンでは数秒で売り切れるだろうから日本支援には最適だと思うんだけど。

 内輪話を書くのはプロとしてあるまじき行為だけど、7月8日にシルヴィ・ギエムにインタヴューした。もちろん、プロとしてしっかりと仕事をした自信はゆるぎない。でも、ギエムがすっと目の前に現れたとき、心臓が止っても良いかな、と一瞬思った。インタヴューの中でギエムが語った日本の皆さんへの想いが届くことを願っている。

シルヴィ・ギエム:6000miles awayの感想

2011.07.10
夏が来るのかどうかわからない、いつものロンドンです。

 すでに、初日の感想(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1413.html)は短く書いたシルヴィ・ギエムのサドラーズ・ウェルズ劇場での公演、「6000miles away」。昨日、9日の最終日を含めて4回観てきました。本当は全公演制覇しようかと思っていたのですが、観に行かなかった8日に、運を使い果たしてしまったのではないだろうか、でもそのことに後悔なしということがあったので。この公演、リピーターが出ても全く不思議でない素晴らしいもの。実際、9月後半にすぐに同じ公演があるのですが、日によってはすでに残席僅少になっています。

 舞台の感想の前に、周辺情報から。ロイヤル・バレエで踊らなくなってから、サドラーズ・ウェルズ劇場のアソシエイト・アーティストになっているとはいえ、めっきりロンドンで踊る回数が減っているギエム。そんな状況で、ロンドンですらギエムが踊ること自体が「特別なイヴェント」になっているようで、かなり興味深いアート界のセレブたちが会場に来ていました。初日にサドラーズ内で見かけたのは、アニッシュ・カプールhttp://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157622481456811/とか、http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1099.html)、振付家のラッセル・マリファントhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-410.html)、そしてロイヤル・バレエのプリンシパル、エドワード・ワトソン。ワトソンなんてかなり有名だろうに、誰も話しかけていなかったので、日本への支援をありがとう(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1344.html)といったところ、「リハーサル時間が短くて大変だったけど、参加できて光栄だったよ」といっていました。とっても気さくな青年でした。
 6日にはアーティストのアントニィ・ゴームリィがいたので、これにはかなり驚きました。でも、彫刻家にとっては、ギエムが生み出す身体上の奇蹟は創作の刺激になるのかな、と。「Hope for Japan」というチャリティ公演となった7日は、デンマーク人振付家のキム・ブランドストラップhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-766.html)。数年前にリンベリィ・スタジオ劇場で話しかけたときとても気さくな方でした。彼が振付家だなんて気づく人なんていないのではないかという雰囲気に乗じて、今思うとちょっと意地の悪い質問を。「Excuse me, I think you are Mr Kim Brandstrup?! Would you like to create dance for Ms Guillem?」。即座に「I want!」。ちなみに、イギリスで活躍する振付家の幾人かに共通するのは、はげ頭で目力が強いこと。終演後には、日本人ファッションデザイナーの高田賢三さんを見かけました。

 ギエムが踊った二つの作品に挟まれたイリ・キリアンの作品は、どの日も観客から大うけでしたが、僕には全く何も響きませんでした。踊られた二人のダンサーの熱演はわかるものの、なんだか振り付けのすべてが空虚。で、4回観て確信に至ったのは、振付が目指した「トレイニングが違う」ということかなと。フランス人女性と日本人男性のダンサーが素人ということではないです。素人にあのような振り付けをこなせるわけがないです。ただ、ギエムとパリ・オペのニコラ・ル・リッシュに振付けられたデュエットも、マッツ・エクによるギエムのソロもモダン・バレエとはいえ、突き詰めればしっかりした「古典バレエ」の世界で頂点を極めているダンサーに振付けられているもの。落差が大きすぎたように思います。

 アメリカ出身で、長くドイツを拠点に活躍する振付家のウィリアム・フォーサイスがギエムとル・リッシュに振付けた新作、「Rearray」がプログラムの最初でした。最近、フォーサイスが率いるフォーサイス・カンパニーの作品を全く楽しめない僕には、フォーサイスが振り付けということでちょっと不安がありました。が、公演前に掲載されたギエムのインタヴューで古典バレエの要素が取り込まれているとの情報があったので、ぶっ飛んだものではないであろうと思いつつ。
 この作品、観た日の体調によって全く印象が違いました。1日目2日目は平土間の真ん中辺り、3日目と最終日は平土間最前列ど真ん中という席。1日目と3日目は作品にぐっと引き込まれ、逆に2日目と最終日はまるでまどろみの中で観ているような感じでした。
 まどろみの中でという印象の最大の理由は音楽と照明。音というより、気まぐれで関連のない音を並べてみましたという感じの全くつまらない音楽と、見せないことに重きを置いたような薄暗い照明はもろにヒプノティック。4日目など、これ以上望めない最高の席であったにもかかわらず、昼間に「風の谷のナウシカ」を見ていい意味で軽く疲労していたので、そのつまらない音楽と暗い照明にもかかわらず、ギエムの素晴らしい動きに満足してまどろんでいたように思います。
 振り付けは、ところどころに古典バレエの基本的、且つ美しい動きとフォルムが挟み込まれるものの、ギエムとル・リッシュが彼等自信の身体が何か新しいもの、別の動きを生み出せるのではないかという模索が主要テーマのように感じました。そしてその模索に終わりはないという感じで、最後は次第に暗転していく照明の元、舞台袖にゆっくり下がりながらも動きを止めない二人の姿が闇に溶け込んでいくという終わり方でした。
 踊る姿を最後に観たのが2004年か、それともギエムがロイヤル・バレエで最後に踊った「ロメジュリ」かというくらい久しぶりだったル・リッシュ。ギエムの姿と重なるときにル・リッシュが魅せた例えようがないほど優美な腕の動き、そしてモダン・バレエを踊る存在の濃さは、比較することは無意味と判っていても、ロイヤル・バレエでは絶対に観ることの叶わない踊りであることは明らか。
 でも、彼の姿が視界に入ってきたのは、一人で踊っていたときだけ。目を見張るような超絶技巧はそれほど織り込まれていなかったものの、次の瞬間にどの方向に動くのかを見る側に予測させないギエムの動きはしっかり計算されているであろうに、とても自然。誰もができるわけではないであろうに、なんだか誰もが踊れてしまうのではないかと思えるほどスムース。そんなギエムの姿から目を離すなんてことできませんでした。
 フォーサイスが舞台挨拶に出てきたのは、「Hope for Japan」の7日(ブログ仲間の方のところで写真を観られます。http://ameblo.jp/peraperaopera/)。3人とも嬉しそうでした。

 批評家、そして観にいったロンドンの友人たちの中でもフォーサイスの作品とエクの作品への評価は分かれていますが、僕はエクが振付けた「Bye (サドラーズの情報だと世界初演になっているのですが、すでにどこかで上演されているような)」に深く動かされました。これから書くのは、僕の勝手な解釈です。

 カーテンが上がると、舞台には長方形のスクリーンがぽつんと。そこに、女性(ギエム)の右目が映し出される。次いで左目。その左目には不安が浮かんでいる。そして全身へ。彼女の背後には誰もいない空間が広がっている。扉の向こうからこちらを探っている印象の女性。やがて意を決して扉から出てくる。
 女性は何かを求めるように、何かを突き放すように、何かを探るように、そして自分自身の存在を確かめるように踊る。その姿は滑稽で、軽やかで、そしてとても寂しいもの。
 着ていたカーディガンを脱ぎ、靴下と靴を脱ぎ捨てた女性は、時折扉をたたいてみるものの、踊り続ける。その姿からはやがて、何かへの決別を図ろうとしているような悲しさがにじみ出てくる。舞台に横たわり上方を見つめる女性の姿が扉に映し出される。
 やがて、扉の向こうに人が集まり始め、女性に好奇の目を向ける。踊りをやめた女性は靴下と靴を穿き、再びカーディガンを羽織り扉に近寄る。そして扉の向こうに行く女性。
 好奇の目を向けていた人々は、女性への関心を失いそれぞれ別の方向に歩み去っていく。そして女性も、その中のひとりとなってやがて見えなくなる。それは、女性が決別した何か(自由、自分であること、若さ等々)の代償として望んだことだったのか。

 先に書いたように勝手な解釈です。初日、ギエムが踊りだしてすぐに感じたのは、「あ、シルヴィ・ギエムって本当に46歳なんだ」というもの。技術が衰えたとか、体力的にきつそうだからということではありません。技術も体力も若手ダンサーが束になっても全く敵わないでしょう。なんというか、マチュリティが全く別の高みに行ってしまっているという感じでした。はるか昔、何回目かの「世界バレエ・フェスティヴァル」でマリシア・ハイデが「椅子(というタイトルだったような)」を踊ったときに感じたことと通じるかもしれないです。が、そのころはまだバレエを観始めたころだったので、そんな感覚は自分でも理解できなかったことでしょう。
 技巧という意味では、こちらのほうが凄かったように思います。踊り始めてすぐに、右ひざと左ひざを、軽く跳躍しながら交互に回転させるのですが、その回転のさせ方が「何それ?」としか言いようがないです。今でも軽々と頭に届くつま先、そして跳躍のときに後ろにぴんと美しく伸ばされた脚。20数年前、ギエムの踊りを観たことで引き込まれたバレエ。そして今なお、そのギエムが進む方向にバレエという芸術様式がさらに変化していくであろうという印象が残る素晴らしい振り付けでした。
 初日のカーテン・コールにはエクも登場。二人とも本当に嬉しそうでした。ギエムばかりでなく、彼女を理解、彼女の可能性を広げることができる振付家がいることは、ギエムにとって、また僕たち観客にとって得がたい幸運なのではないかと、彼女がエクに向ける満面の笑顔から感じました。
 最終日の9日のカーテン・コールはもう嵐のようでした。4回目か5回目かにカーテンが降ろされたときこれで終わりかと思ったら、再び上がり観客は大喜び。が、当のギエムは、彼女自身終わったことへの感激からか、嬉しさを爆発させたかのようにぴょんぴょん跳ね飛びながら舞台袖に駆け込んでいる途中。舞台袖に居た人の「カーテン上がっているよ」という感じのしぐさに気づいてあわてて舞台中央に戻ってきたギエムへは、再び熱い拍手が送られていました。

 今回の新作を含めて、シルヴィ・ギエムは今年の10月から11月にかけて日本各地で公演する予定になっています。日本舞台芸術振興会のサイトによると、ギエム自身の強い希望で東北地方での公演実現に向けて調整中だそうです。被災された人々のためにも、そしてギエムのためにも実現して欲しいです。
 日本公演のほかに、検索してみたところ2012年3月にパリでこのプロダクションの公演が予定されているようです。行く先々でチャリティ公演が企画されるのかはわかりません。でも、この「6000miles away」というタイトルが掲げられる限り、東日本大震災のことを多くの人が思い続ける。ファンとしてでなく、日本人として心の底からの感謝をギエムに、そしてサドラーズ劇場に送ります。


Sylvie Guillem dance show wows critics
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-14067073

http://www.guardian.co.uk/stage/2011/jul/07/sylvie-guillem-review

6,000 Miles Away, Sadler's Well, review
http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/8623667/6000-Miles-Away-Sadlers-Well-review.html

Sylvie Guillem interview: raising the barre
http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/8609145/Sylvie-Guillem-interview-raising-the-barre.html

guillem 10

インタヴュウ:シルヴィ・ギエム

2011.07.08
*著作権等すべての権利は共同通信社に帰属します。

仕事を失うリスクを冒しても、プロフェッショナルのジャーナリストがしてはならないことをしているとわかっていても、ギエムが語ってくれた日本への想いを僕一人の胸の中に留めて置かないで多くの人に知ってもらうことは、仕事を失うことよりもずっと大切なことだから。なので、引用・転載は絶対にしないでください


「東日本大震災を知ったときの、最初の反応は?」
東日本大震災が発生した3月11日、私たちはロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で今回の公演(6000miles away)のリハーサルを進めていました。リハーサル・ルームにはインターネットのアクセスがあるので、コンピューターのスクリーンに次々と映し出される地震と、それに続く津波の被害の状況には言葉で言い表せない衝撃を受け、悲しみでいっぱいでした。
 最初の衝撃のあとすぐに考えたのは、地震が発生した地方にいる知人、そして私のサイトにアクセスしてくれていた、東北地方にいるファンの皆さんの安否です。永遠に続くかと思える被害の映像は私の想像をはるかに超えるものでした。私はこれまでに仙台を何度も訪れています。目の前でその仙台が破壊されていくのを見ているのは本当に悲しいことでした。

 私は何度も日本を訪れているからこそ、地震がおきることも良く知っています。でも、そのことを知らないほかの国の人は、「どうして(日本人は)日本を離れないんだ?」といっているのを何度も聞いたことがあります。だって、日本は皆さんの国なのですから。
 今回の自然災害への日本人の対応は素晴らしいと思います。が、同時に私は原子力発電所の危機への対応には怒っています。
 自然災害へ人類ができることは限られているかもしれない。でも、少なくとも、原子力発電所の事故に対しては、私たちは責任を負うべきです。


「政治的な発言をすることは平気なんですか?」
 Non、これは政治の問題ではありません、human issueです。政治家やいくつかの企業はまるでお金と権力だけに突き動かされていて、変わることはないかもしれません。でも、私たちは考えることができるし、この震災の後では今までとは違う新しいことを生み出すべきではないかと考えています。
 私には子供がいません。私自身、(原子力発電による)最悪の事態を見ることはないかもしれない。でも、私たちより若い世代、次の世代は私たちが政治的に、そして経済的に正しいと思ってやってきたことによる最悪の事態を見るかもしれない。彼らのことを考えるのは政治的なことではないです。私たちの課題です。


「いち早く日本への支援チャリティを実現させただけでなく、今も継続的に日本への支援を続けているのはどうしてか?」
 (パリ・オペラ座バレエ学校に在籍していた)15歳のとき、初めて日本を訪れました。それ以来、毎年少なくとも1回、年に三回以上訪れたこともあります。訪れるたびに、新しい発見があります。私は日本が、そしてそこで暮らす皆さんが大好きです。今回の大災害で、多くの人がすべてを失ったにもかかわらず、声高に助けを求めずにいる姿には深く衝き動かされています。
 私だけでなく、ほかにも多くの人が日本への支援を続けています。一方で、こんな意見があります。「日本は裕福な国なのだから、彼らはわれわれのサポートは必要ないだろう」、と。
 多くの人が家族を、思い出を、住んでいた場所を失いました、これから何年にもわたってもとの場所に戻れることはないでしょう。そんな状況で、「日本は裕福な国だから」というのは何の意味もありません。いまだに多くの人が厳しい環境にいるのです。原子力発電所の事故もいまだに解決策が見えません。
 だからこそ、私は日本への支援を続けたいのです。初めて日本を訪れて以来、日本の隅々まで行きました。訪れるたびに日本を知ることは大きな喜びです。


「あなたと日本との間の絆は、どのようなものなのでしょうか?」
 常に幸せなものです。難しいことなんてないです。でも、一つあるかな。それは日本語を話せるようにずっと努力しているのだけど、私はまだしゃべることができないこと。日本のように私が大好きな国へ行って、そこの言葉を話せないと、どうしても距離ができてしまいます。言葉を学ぶことって、人と人の間のコミュニケイションですから。
 もちろん、貴方が言うように私はダンスやバレエでコミュニケイションができる。今回、日本でも踊る予定の二つの新作はとても強いもの。マッツ・エクの「Bye」はエモーショナルなものだし、私は新しい始まりを示していると思います。また、ウィリアム・フォーサイスの「Rearray」は生きていくことへの意思を表しています。今年の秋に日本でこの2作品を踊るとき、何かを伝えたいと思っています。
 いま、東北地方でも公演ができるかどうかを検討しているのよ(インタヴューは7月8日、ロンドンで)。


「日本公演の話を聞いていると、放射線への恐怖がないように感じるのですが? It seems that you are not afraid of radiation.」
 Yes, I am, yes, I am. もちろん、私は放射線を恐れています。恐れていますが、私は日本に行きたいのです。もしかしたら危険が伴うことなのかもしれません。でも、それと向き合わなければ。私は、私自身が勇敢だなんて思っていませんし、(放射線の危険性に)戸惑ってもいます。でも、最悪なことは、その状況から目をそらしてしまうこと。
 ええ、放射線は怖いです。でも、日本の皆さんのために、私は日本に行きます。だって、人々はそこで暮らしているのですから。


「パリやロンドンでのチャリティ公演を通して感じられたことは?」
 チャリティ公演でも、私にとってパフォーマンスはパフォーマンス。いつも私が舞台でできることに集中します。もちろん、私の心の中では、チャリティ公演が日本の皆さんのためであるという意思に揺らぎはありません。
 パリの公演は多くのアーティストが参加し大成功でした。ロンドンでもすぐにと思ったのですが、ロンドンは手配が煩雑でそれなら休養日をチャリティ公演にと思いついたんです。共演者やサドラーズ・ウェルズ劇場もすぐに賛同してくれました。日本支援のチャリティ公演を通して私が個人的に伝えられたらと思っているのは、この困難な状況を通して、新しい生き方を見つける、考えるということです。例えば原子力発電に頼らないという選択。
 私自身、新しい変化を受け入れることにためらいはありません。変化することはとてもエキサイティングなことですから。
 日本は地理的に大きな国ではないですが、これまで沢山の変化を生み出してきた国。もし、これからの時代に変化を恐れない国が一つだけというのであれば、私はそれは日本かもしれないと思っています。

 いま、私は山間部に住んでいます。日常生活で使う電力や水には細心の注意を払わなければなりません。限られた資源をどのように使うかという生活の中で、最近、ハイブリッド車を購入しました。日本が好きだからという理由ではなくて、いろいろ比較検討した結果、日本のハイブリッド車に決めました。本当に快適ですよ。



 インタヴュウ中、何度も涙がこみ上げてきた。でも、ギエムの想いを日本に伝えたくて奥歯を噛み締めてなんとか堪えた。多くのインタヴュウを経験してきたけど、シルヴィ・ギエムへのインタヴュウはジャーナリストとして、そして一人の日本人として決して忘れない。

シルヴィ・ギエム:6000 miles away@SWT

2011.07.05
Sylvie has called this evening of work 6000 miles away as she was working on Forsythe's piece, REARRAY, when the tragic events in Japan happened earlier this year. Because the people of that country are very close to her heart, the proceeds from Thursday night's special Hope for Japan performance will be donated to the Japan Tsunami Appeal, managed by the British Red Cross.
(プログラムの冒頭、スポルディング氏の言葉の一部)

 プログラムのはじめは、ウィリアム・フォーサイスがギエムとパリ・オペのニコラ・ル・リッシュの二人に振付けた世界初演となる「Rearray」。音楽最低、照明は暗すぎと「20世紀」のモダン・バレエの嫌いなところがあれど、振り付け、そしてその振り付けを舞台で現実化する二人の素晴らしさを描ける言葉はない。

 イリ・キリアンは、彼の作品をそれほど観た訳ではないのだけど、その数少ない邂逅で楽しめたことがほぼ皆無。例外は、7年前のこれ:http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-47.html。これはギエムとル・リッシュの共演。
 こんばんも全くだめだった。これをあと数回見なければならないかと思うと。

 マッツ・エクによる「Bye」はギエムのソロ。踊るギエムから初めて、「生身の人間が踊っている」と感じた。身体能力に衰えは見えない。でも、そんな些細なことを考えることがつまらなく感じるほど、ギエムの凄さ、一人の女性、弱さ、強さ、儚さから目を離すことはできなかった。「聖性」なんてことを言うつもりは全くない。一人のダンサーが舞台でつむぎだす物語をまるで自分もその一部になったかのように感じられる幸福。

 秋の日本公演でBプロをどうしようか迷っている皆さん、僕個人の意見は、「必見」。長い感想を書ける時間の余裕が今週はないので、週末あたりになんとか。

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