LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2003年09月の記事一覧

美徳、もしくは三つ子の魂百まで

2003.09.29
 おはようございます。「ぼったくり」のメール、たくさん返事をいただきました。返事をする代わりにもう少し。

 メールを戴いた方々も指摘されていましたが、ちょうどのその数日後の朝日新聞の特派員のコラムで、南米の日系人の誠実さについて書かれていました。整備工場に運び込まれた車の後部座席の下から現金がでてきたので届けたとか、レストランで会計の明細が少ないので間違いを教えるとか。当たり前のように人に善くすること、こういう日本人の美徳って、もっとこの世の中に広まって当然、と思うんですけどね。いつもいつも他人に対して善くすることは難しいし、そこで見返りを期待し始めたらそれは美徳ではなく単なる期待になってしまうでしょう。こんなぼったくり社会で育っている子供達に、こういう生き方があると教えるのが日本人の役割になると、面白いと思います。
 でも、言うは易し。こんなことをかいていても、そこらじゅうに他人に善くしたい、という気分を萎えさせることが沢山あるのが、現実でしょう。例えば、いつも僕の中で違和感があること。経済面を見ていると、ある企業のCEOが経営建て直しに失敗しその会社を去る。でも去るときに巨額のボーナスをもらい、且つしばらくすると、全く分野の違う企業のCEOとしてまた復活し、失敗しようが成功しようが巨額の金が支払われると。おかしいと思うんですけどね。鉄道会社の建て直しに失敗した方が、スーパーマーケットの建て直しをどうしてできるんでしょうか?こういう風に、結局CEOリーグに属している人が持ち回りでお金を支給されているのを見ていたら、些細なだましあいはそのリーグに属せない人にとって心の痛みを伴わなくなってしまうんだろうな、と。自分を厳しく律する生き方は、「ぼったくり」社会では、道化に映ることでしょう。

 閑話休題。これも書こう、書きたいと思っていた話題。22日付のThe Guardianで報道されたんですが、イタリアの国営放送で、12年間、夕方のニュース番組に出ていた38歳の女性がいきなり首を切られ、最後の放送で号泣してしまい、それが全国放送で流れてしまったと。この方を含めて、「Miss Good Evenings」と称される女性のポストにいた3人が、若い同僚にとって代わられた、というのが事実。何が面白いって、The Guardianの記事は性差別、年齢差別に持っていこうとしているのに対し、テレビ局の関係者のコメントは「どうしてこんなことがテレビに映ってしまったんだ」、と。このすれ違いは、埋まらないでしょうね。結局年齢の差別、性の差別はヨーロッパにだって存在するんです。
 更にイギリス。23日付のThe Timesの経済面のある記事。東京便のファーストクラスのスタッフが確保できず、BAが座席を「ダウングレード」したと。もともとファーストの料金を払った乗客をビジネスに移したので、ビジネスの乗客はエコノミーに座ること強制されたそうです。BAが経営建て直しの一環で雇用者を減らしているのはよく知られています。その影響で客室乗務員も減っているらしいんですが、その一因は定年による自然減。その定年って、55歳なんだそうです。この夏のBAの株主総会で、続けることを希望していたにもかかわらず認められなかったアテンドの皆さんが、真っ赤なドレスで乗り込み、力強く訴えたのは、「若い子ができないことを、私達はできる」。
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ある、音楽ライター稼業

2003.09.29
僕のことではありません、アマチュアですから。

 この夏の初め頃、それまで時おりロイヤルやバービカンで見かけていた方(でかいんで、絶対に自分の前には座って欲しくない方です、実際)と隣り合わせになり、お互い紹介しあったら、プロの音楽ライターの方でした。超話し好きな方で、それ以来いろいろと勉強をかねて話を聴くことがあるんですが、ライターとしての生き方が面白いので、ご紹介。ちなみに、どこにどんなつながりがあるかわからないので、名前は書きませんし、この方を揶揄するものではありません。

 基本は音楽雑誌にオペラやアリアのCDのレヴューを書いているそうです。グラモフォンや、BBCミュージックマガジンなど。初っ端から「一本につき、幾らなんですか?」、と身も蓋もない質問から聞き始めたんですが、嫌な顔することなく「大体60ポンドかな」。月平均15本、三ヶ月に一回は特集記事を書いているらしいですが、そんなので生活できるわけもなく、アメリカのある大学のロンドン分校で、美学を教えていて、そちらの収入のほうが多いそうです。
 それでも本人曰く、「自分はプロのクラシック音楽のライター」であると。オペラやバレエの素晴らしさを自分の言葉で、読者や聴衆に語りかけるのは至上の喜びだそうです。コンサートのチケットは、ほぼ全て自腹だそうで、BBCの夏の風物詩PROMSの企画に参加しているそうですが、そのコンサートのチケットも絶対に自分で購入するそうです。「何で、美味しい話って、そんなにないんですか?」、との質問に対して「沢山あるよ。でも、そんな話に乗ったら、ライターとしての自分の立場を貫けない。過去、レコード会社の提灯持ちになって堕落したライターが掃いて捨てるほどいる。彼らの書いたものはレヴューじゃない、広告だ」。こういうのが矜持、というかプロなんでしょうかね。

 僕は、もちろんプロになろうなんて野望もないので、いつかこの方経由でシルヴィ・ギエムとバルトリに会える日を楽しみにしています。打算だ。


今は、プロになる、という野望を持っています。

ぼったくり社会と中流階級

2003.09.28
親愛なる皆さん

 おはようございます。今朝の新聞のトップは、ブレアの行く末を暗示するアンケートの結果。先は長くなさそうです。

 最近よく遭遇する出来事。先日お知らせしましたが、8月の下旬から、ロンドンの中心のバスでは乗る前にカルネかパスを購入し、原則現金を受け取らない、ということになりました。そこで、各停留所には、パスの自動券売機が続々と設置されているんですが、大方の予想通り、もしくは他の自動販売機以上に、これが全く役に立たない。コインを入れるだけ入れて、後はうんとも寸とも言わないなんて、これこそが本来の機能なんじゃないかと思うくらい故障しています。もちろん乗客は何とかコインを取り返そうと努力するんですが、これまた全くでてこない。そんなこんなでバスが来て運転手に言っても、もちろん取り合わない。で、客が払ったんだから乗る、と強行策に出ると、運転手もこれまた強行で、バスを止めてしまうんです。一日に一回は遭遇します。

 で、2週間ほど前に、ある意識調査の結果が報道されました。それ曰く、中流階級、しかも上位にいる皆さんほど犯罪に近いことを平気でやっている、というものでした。犯罪、といっても逮捕される類のものではないんですが。以下に質問を記します。
1, You have workmen paving the driveway. Do you pay them in cash to avoid VAT?
2, You buy a 15pound round of drinks with a 20pound note. The barman gives you a 10pound note in change. Do you take it and walk away?
3, The stationery cupboard at work is left unlocked. Do you help yourself to free stamps, computer disks and envelopes?
4, Your TV license has expired. Do you hope you won't get caught?
5, Your friend lends you a card giving cheap entry to a gym. You can pass yourself off as him. Do you use the card?
6, When you sell your car privately, do you fail to mention that it overheats after three miles?
7, Burglars break into your holiday villa and steal your camera. Do you also claim on insurance for [stolen] cash, jewellery and a Rolex watch?
8, You are keen for planning permission to build a house extension. Do you ask a golfing friends in the planning department to [bend the rules]?
9, You buy an outfit on December 29 from a shop with a 14-day refund policy, wear it to a New Year's Eve party, then return it on January 3 and demand a refund?
10, You are paid in cash. Would you also claim unemployment benefit?

 6割強の皆さんが少なくとも一つはやったことがあると認めたそうです。なぜなら、自分達はripping off もしくはpredatory society に住んでいるんだから。自動券売機のトラブルは身近な例でしょう。9番は日本の皆さんには大きな違和感があると思いますが、こちらに住んでいると、これもありだな、と思います。あくる日のテレグラフでは、この結果に対する辛らつな反論が掲載されていましたが、社会の歪みが大きくなってきていることを感じざろう得ない報道でした。
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スタバの野望

2003.09.27
親愛なる皆さん

 こんにちは、ロンドンは既に東京の晩秋の趣、といった感じです。

 昨日のThe Guardian紙で見つけた記事で、スターバックスが来年早々、念願だったフランス進出を果たし、それを足がかりにヨーロッパへの進出を本格的に計画しているそうです。最初の支店は、パリ・オペラ座のガルニエ宮に近いところらしいです。
 どうなるんでしょうね。個人的には、ここ2年くらいは殆どスタバのコーヒーは飲むこともなく(おなかごろごろするんで)もっぱらチョコレート・ショートブレッドをランチ代わりにしてるくらいで、このニュースへの感想も、「どうなることやら」、といった程度です。それでも、ロンドンのように、1ブロックごとにパリの街角でスタバの看板を見るのは、避けたいです。若い世代にはうけいれらるかも知れませんが、カフェがコミュニティの一端を担っていると思われるフランス、イタリア、ベルギーなどでは爆発的に支店を増やすことは難しいでしょうね。現に、ロンドンでも、アーティストが沢山住んでいるといわれているプリムローズ・ヒルズでは、住民の根強い反対で結局進出を断念したそうですから。あと、現実的なドイツ人が、あの価格帯を受け入れるかどうか。それと、店内禁煙の方針も大陸で好意的に受け入れられるとは、ちょっと思えません。
 アメリカ文化への憧憬と、反感という相反する感情も無視できないでしょう。昨夜、スコティッシュの友人が、お嬢さんの学校でスコティッシュ・ダンスのパーティーを開くから来ないか、ということでカメラマン代わりに参加したとき、昨年カリフォルニアから移住してきたアメリカ人の方と結構長く話しました。彼曰く「自分も家族もロンドンが大好きだけど、アメリカ文化への反感の根強さに時折びっくりするよ。確かに、アメリカ人の、自国の文化が世界中どこにでもあるだろう、との驕りも問題だけどね」、とのこと。

 もう一つ、自分のやりたいことにかかわる興味深いことがありました。90年代半ば、ボクシングのへヴィー級で世界チャンピオンになり、国民的人気を得ていた、Frank Brunoという方がいます。一昨年、長年連れ添った奥さんと離婚し、巨額の離婚請求、お嬢さん達と離れて暮らす寂しさから、重度の鬱状態になり、今年に入って奇行が目立ってきたそうです。本人も自覚していて、初歩のカウンセリングを受けていたそうですが、ここにきて状況が悪化し、80年代にできた精神医療のある決まりごとに基づき専門病院に搬送されたのが今週初め。
 その翌朝、大衆紙The Sunのヘッドラインは「Bonkers Bruno LOCKED UP」だったそうです。一目瞭然、ただの偏見、且つメンタルヘルス現場への配慮が全く感じられないもの、当然のごとく凄まじい抗議を受け取り、急遽遅番からそのヘッドラインを「Sad Bruno in Mental Home」に変更したそうです。内部でも、愚かな間違いだった、との意見があるそうですが、The Sunという大衆紙のあり方、マスコミのメンタル医療に関する配慮の欠如を感じました。

 一つ、カウンセリングとはちょっと一線を画すヴォランティア機関から、初めてインタヴューのオファーがありました。このインタヴューをパス、二日間にわたるトレーニングをパスし、改めてインタヴューを受けてそこで漸く採用されるかもしれないそうです。長い。
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9月のエンタメ:歌

2003.09.25
で、歌です。

 2週間ほど前に、往年のアメリカ人メゾ、グレイス・バンブリー(66歳)、今週月曜日にフェリシティ・ロット他イギリス人歌手によって、各国の作曲家がシェイクスピアの著作に触発されて作った歌を唄う夕べ、というのに行ってきました。どちらもウィグモアホールです。

 まず、バンブリー。多分、ご存知ない方が殆どだと思います。僕も行くまで、本でそのプロフィールを読んでいただけでした。黒人として初めてバイロイト音楽祭に出た方だそうです。ミズーリ出身で、現在ジュネーヴ在住、お年と体重の所為膝を痛めていて座って唄ったんですが、その声の豊かなこと。プログラムの前半はベリオーズの歌曲、これは「まぁ、こんなもんだろう」、という感じでした。休憩後のプログラムは一転して、「スピリチャルズ」(多分、黒人霊歌と紹介されるような曲)を数曲だったんですが、この後半で彼女が表現した悲しみ、喜び、怒り、祈りの気持ちの深さにはかなり動かされました。オペラの教育を受けてなお、自分が昔から愛した歌への深い愛情。こういう気持ちに、国籍に関係ないですね。

 月曜日のプログラムは、ヴァラエティに富んだものでした。フランス語、ドイツ語、ロシア語、英語で歌われ、作曲者もシューベルト、ブラームス、リヒャルト・シュトラウス、ショスタコーヴィッチ、それと近代のイギリス人作曲家によるものを系統立てて歌い継ぐ、というものでした。歌い手は三人、何方も大変素晴らしい歌を披露していましたが、聴衆の期待を一番背負っていたのは、やはり、というべきロットでした。五十台半ばにして既にデイムの称号を持ち、今年を最後にBBCのPromsは卒業、もしかしたらロイヤルも来年の「バラの騎士」が最後かな、なんて思っているんですが、エレガントな立ち姿、全身から感じる和えかな、しかしパワフルなカリスマ、まとった濃紺のシルクのドレスの裾を颯爽とはためかせて舞台上を歩く姿、美しかったです。太っていないソプラノ歌手を観るのって、なんだか久しぶりな感じがしました。もちろん歌の完成度は言わずもがなで、日々のお茶代を削ってでも、来年の「バラの騎士」は観にいきます。
 ウィグモア・ホールは本当にこじんまりとしたホールですが、そのプログラムの質の高さは有名です。ヨーロッパの片隅とは言えそこは流石にロンドン、たった一晩でも、世界中から名だたる歌手がそれこそ一晩のために集い、30ポンドくらいで素晴らしい音楽を楽しめるところです。年内の注目は、今年はオペラを休んでいるヴァルトラウト・マイヤーが11月27日(僕の誕生日です)に開くリードの夕べ。行きたいんですが、彼女のウィグモアデビューということもあって既に売り切れ。多分、リターンもないでしょう。

 たった一夜の素晴らしいコンサートのためにレヴューを書くのは難しいし、またロイヤルだけに通い詰めていると予算も破綻しますが、いろいろなヴェニューで安く素晴らしい音楽やダンスを楽しめるのは、ロンドンで暮らす醍醐味の一つでしょう。
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9月のエンタメ:バレエ

2003.09.25
何人かの方には期待していただいていたであろう、エンタメの感想です。

 一つ目は、こちらの批評家もどのカテゴリーに入れるのか分かれていましたが、大多数がダンスに括っていましたので。16日にバービカンであったのは、シューベルトの「冬の旅」を歌とダンスのコラボレーション。歌は、はずれが全くないイギリス人バス・バリトン、サイモン・キーンリサイド、振り付けはアメリカ人コンテンポラリーダンスのトリーシャ・ブラウンによるものでした。
 「冬の旅」は有名だから僕がここで説明する必要もないでしょう。歌に添った形で振付けられているんですが、踊るのは3人のダンサーだけでなく、キーンリサイドも唄いながら結構踊りに参加しているんです。この企画自体がキーンリサイドから持ち込まれたこと、オペラ界ではアスリートとして有名な彼だからこそ実現したパフォーマンスだったといえます。ダンサーに腕を動かされて唄うのはまだおとなしいほうで、二人のダンサーがベッドをかたどってそこに横たわりながら歌う、背面に背負われて回転しながら唄うなど、ただの歌い手だったらできなかったことでしょう。
 体力、技術があるからこそ、声がぶれることもなく大変面白いコラボレーションでした。マイナス点を挙げるとしたら、まずダンサーと絡むたびに声が時おり彼らの振りに邪魔されてくぐもってしまったこと。ブラウンの振り付けが、この企画の限界ともいえると思いますが、腕の動きに重点をおきすぎていたこと、それと、さすがに唄うことに普通以上に気を使ったからだと思いますが、珍しく彼のドイツ語がイギリス人のドイツ語に聞こえたことは面白かったです。バービカンのいいところは、プログラムが無料なこと。

 先週土曜日、20日はテムズを越えたサザック地区にあるクィーン・エリザベス・ホールでロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサー、ヨハン・コボー(デンマーク人)による、デンマーク・バレエのミックス・プログラムを観てきました。大変面白かったです。まず、デンマーク人によって振付けられたバレエなんて、ロンドンでは殆ど観ることがないですし、また、バレエの基本が国によって如何に違うかを目の当たりにした夜でした。
 ダンサーは一人を除いて全てロイヤルのダンサーですが、デンマーク・バレエの伝統ブルノンヴィル・バレエの基本中の基本、すばやい足さばきが素早くない。特に、そのブルノンヴィル振付けによる「ウィリアム・テル」を踊ったロイヤルのマーティン・ハーヴェイ、筋肉でパンパンの太ももが邪魔してつま先が交差しない。そんな点を除けば、久しぶりに観た「ナポリ」の陽気な雰囲気、コミカルな「ジョッキー・ダンス」など、楽しげなプログラムが4つ。残り二つは、ちょっと暗めなプログラムでした。イヨネスコの原作に基づく「レッスン」では、ちょっと不安定なバレエ教師(コボー)が壊れてしまい生徒(アリーナ・コジョカル)を殺してしまう。以前にもそういうことがあったのを知っているピアニスト(セナイダ・ヤナウスキー)は、何事もなかったかのように次の生徒を迎え入れる、子供をバレエ教室に通わせている親は、心配になってしまうようなものでした。この夜の白眉はヤナウスキーが演じた世界初演の「別れ(Afsked)」。男女の別れの際の苦悩を静かに情熱的に演じる舞台上には、触れられるほどの何かがありました。蛇足ながら、余りの日本人女性の多さにびっくり。

芸術の秋到来

2003.09.19
 こんちは、お健やかにお過ごしのことと思います。

 ケンブリッジ大学の研究ではイタリアのヴェニスは地盤沈下のために2100年までに人が住めなくなるとか、リゾート地なんかでやるから破綻した世界貿易の会議だとか、果ては、父親の殺人犯を見た7歳の女子が、その殺人犯に口封じの為に路上で撃たれたとか、何でこんな世界になっちゃったのか、というばかりのニュースで溢れていますが、天気は既に秋のロンドン、芸術の秋も始まった感じです。

 ということで、閑散期の8月は書かなかった原稿の、再開一つ目です。プレヴューでもないですし、楽しく気楽に書いたので珍しくあまり直しが入りませんでした。念のため、掲載誌の名前は「英国ニュースダイジェスト」です。前にも書きましたが、本当に楽しみ。ロンドンでは特別にハイドンの珍しいアリアも歌うらしいのでわくわくしっぱなしです。ちなみに、CDは全曲聞きました、素晴らしいです。特に一曲目と、「La ra La」(大黒まきではありません)は初めての方にも聞きやすいし、楽しめると思います。
 いまだにパート・タイムのお仕事の申込書と、ヴォランティア・カウンセリングのアプリケーションを日々取り寄せ、書き込み、送り、且つ落胆する毎日ですが、心の肥やしになるイヴェントがかなりあります。先週、漸くイギリスでも公開された「千と千尋の神隠し」を来週見に行くし、ウィグモア・ホールやバービカン・ホールで日本では見られないような小規模ながら素晴らしいコンサートもあるし(これは、お好きであろう皆さんにあとで送ります)、あと、面白そうなのが、作曲家のロイド・ウェーバーが集めた素晴らしい絵画の特別展覧会がロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで始まります。なんか、ラファエル前派の珍しい絵画もあるそうです。

 言葉では言い尽くせない悲しい事件が沢山起きている一方で、これからは豊穣の秋、実りの秋。北半球は暗くなる季節ですが気分が盛り上がる秋・冬になるといいな、と思っています。と、今気づきました。南半球にこのメールを受け取る人が居ない。見つけなきゃ。

最前列

2003.09.12
オペラ関連の話題を受け取っても気にしないであろう皆さんに、

 冷静に考えれば、小市民的な喜びなのかもしれませんが、来月、10月15日にロイヤルオペラハウスで開かれるイタリア人メゾ・ソプラノ、チェチーリア・バルトリの一夜限りのソロ・コンサートの券が取れただけでなく、なんと一列目、しかもほぼど真ん中。嬉しい。10年ちょいのオペラ・バレエ通いの中で、一列目は初めて。今までは、いつ観たかも思い出せない、NHKホールで観たミレッラ・フレーニ主演の「アドリアーナ・ルクブルール」で2列目、というのが最も前よりの席でした。このときは、高い席に座ることが一番と考えていた頃だから、今思えば、「猫に小判」でした。ちなみに、やはり追っかけていた上々台風、および戸川純・ヤプーズ(今でも好きです)では最前列かぶりつき、というのは若かりし頃に経験ありますが。
 最前列って、それほどよくない、とおっしゃる方も居ますが、やっぱり一度は座ってみたかったです。しかも、現在世界最高のメゾの一人バルトリでそれを経験できるなんて。なんか今から、「何を着ていこう」、などと浮ついています。ロイヤルの席はワインレッドだから赤だと目立たないんですよね。全身黒で行くか、それともライラックパープルのシャツを着ていくか。15日まで、何があっても生き抜いていけます。
 10月早々、バルトリはきちんとしたものとしては2年ぶりの新規録音のCDを出します。今回は、モーツァルトと同時代に活躍したサリエリの作品集。彼女の歌の素晴らしさに引けを取らないくらい、音楽が美しいです。西ヨーロッパ、それと合衆国北部・東部に住んでいらっしゃる皆さん、このCDを引っさげてコンサートツアーをやるそうなので、ぜひ。
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オペラのチケット

2003.09.10
これもロンドン、イギリスの経済状況の指針かと思いまして。

 今週の金曜日、12日にロイヤル・オペラの2003/2004のシーズンが始まります。オープニングはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」、続けて翌土曜日はプッチーニの「マダム・バタフライ」、どうやらこの両方ともかなりチケットが残っているようです。というのも、2週間くらい前からほぼ毎日どちらのかの宣伝を新聞で見るようになったし、先週は「マダム・バタフライ」のボックス席とディナー、おまけに五つ星ホテル一泊つきの抽選、挙句昨日はロイヤルのメールサーヴィスで、「マダム・バタフライ」の最初の4回の公演の155ポンドの席を100ポンドにするからすぐ電話してみませんか?だなんて。
 個人的には、「マダム・バタフライ」には素晴らしい曲が沢山あるのは知っているんだけど、セットを戦後風に設定したイングリッシュ・ナショナル・オペラのヴァージョン以外はどうしても違和感を拭いきれず、「ドン・ジョヴァンニ」は新演出のときにブリン・ターフェルで観たからもういいや、ということで全く食指が動きません。このあと、ムソグルスキーの「ボリス・ゴドノフ」、ハンデルの「オルランド」、ヴェルディの「アイーダ」と続きますが、オペラ・ファンでない皆さんにアピールするスター歌手も居ないし。チケットを売るためには、もうちょっとマーケティングを強化すべきじゃないかと。現在、ロッシーニにはまっているので、この出だし五演目が全てロッシーニだったら、全部行ったでしょう。年度内は、ドニゼッティの「ルチア」のチケットさえ取れれば、文句ないです。バレエは来月からですが、2シーズンぶりの「ラ・バヤデール」はともかく、ついこの間やったばかりの「ロメジュリ」もだなんて、ローラン・プティとか上演してよー、と声を大にして言いたいです。個人的には、来年初頭、シルヴィ・ギエムがバランシーンの「放蕩息子」を初めて踊るので、それを観るまではこの国を離れられません。

 ロンドン大学のインタヴューはどうなった、とのことですが、10日後にグループ・インタヴューがあるので、それまではなんともいえません。が、先週あった個人インタヴューは、結構楽しかったです。インタヴューアーの名前は最初に知らされていて、ファミリーネームから、華僑系の方だと想像できていましたが、何を聞かれるかは全く判りませんでした。で、最初に言われたのは、「このコースは、学生の皆さんにとっても大変チャレンジングなものなので、あなたがどう言う人かを知るために、かなり突っ込んだことも聞きます。気分を害するかもしれませんので、耐えられなくなったら、すぐに申し出てください」、とのこと。確かに、かなり深い質問もありましたが、そんな質問への準備もできていたので。ただ、一番驚いたのは、日本を離れて3年8ヶ月云々というところに差し掛かったとき、彼が徐に「Do you sacrifice you?」と聞いてきたとき。最初、何を聞かれたか全く理解できず、それは「Do you mean I victimise my life?」と聞き返したら、サクリファイスとヴィクティマイズは意味が全く違うとのこと。この質問だけは、今も謎です。

思わぬ、でも避けられない出費

2003.09.10
親愛なる皆さん

 おはようございます。着実に秋が進むロンドン。

 大学院が決まったところで、カウンセラーのポジションとパートタイムの仕事探しと同じくらい大事なのが、ヴィザの延長。今回は心理学コースの修了書もあるし、院からの手紙もあるし、万全の準備が終わりあとはフォームをホーム・オフィスのサイトからダウンロード、というところまでは順調でした。実際ダウンロードし、全く予想していなかったことが書いてあったので最初に読んだときは無意識のうちにある個所を飛ばしました。が、深層心理がブレーキをかけ、再度最初から読み始めたら、なんとこの8月から(もしかしたらもっと前かもしれませんが)、ヴィザの延長が有料になっていたんです。通常のサーヴィスが150ポンド、プレミアサーヴィスが250ポンド、今までが無料だったのも不思議ですが、全くゼロからこの金額は予算に与える衝撃はちょっときついです。
 この課金、学生ヴィザのみならず、ワークパーミットや配偶者ヴィザまで一律に設定されています。学生に与える影響がもっともダイレクトだと思います。これまでは、延長をするときは、もちろんホーム・オフィスに出向いてもできましたが、大方の学生は、切れる直前に学校からの手紙、銀行の残額証明を持参で一度国外に出て、空港やウォータールー駅で学生ヴィザを延長していました。しかし、もはや駅や空港での延長は不可能。お金を払うしかない。
さらに、これは企業にとっても出費になるのではないかと。なぜなら、この課金は当然のことながら一人につきですから配偶者や子供が居る場合、それぞれが課金されます。更に、想像ですが、企業の場合、社員がやるとは考えられませんので、ソリシターなどに手配を頼むはず。そうするとさらに料金がかかり、例えば家族4人でプレミアサーヴィスで更新する場合、ヴィザだけで1,000ポンド、さらに手数料が加算され合計で2,000ポンドは軽く超えることでしょう。基本は来て欲しくない難民を減らしたいからでしょうけど、逆にこんな大金払ってまで居たいと思う人がどれだけ居るのか。さらに日本企業の駐在員が減るのではないかと思います。他の国はどうなんでしょうか?
 海外旅行だけだと、ヴィザってあんまり直接的な現象でないと思いますが、住むとなると、本当に頭が痛いです。ホーム・オフィスには行きたくないんですが、行かざろう得ないです。

 先週、ある病院のメンタルヘルス部門がアドミニストレータ-を募集していました。週三日の勤務で、年収約15,000から20,000ポンド。かなりの高給。且つ、現在住んでいるところから結構遠いので変なことに巻き込まれる可能性も低いと思われるので応募するつもり。あわよくば、ここでヴォランティア・カウンセラーまで獲得したいところです。が、競争率、高いでしょうね。



ヴィザに関しては、他のヨーロッパ諸国に比べると、イギリスは一番楽なようですが、矢張り色々と細かい条件が会って、初めての方には難しいことでしょう。

5ポンド紙幣

2003.09.06
一つ、書き忘れました。

 先日、各新聞にお札の写真が出ていて、最初はまたカード会社の新しい宣伝かと思い読み飛ばしていたんですが、現実的なお知らせでした。確か、過去2年以内のどこかで5ポンド紙幣が、ダーウィンの肖像からなんか医療分野で功績の合った女性に代わりました。お知らせは、来る11月22日を持って、ダーウィンが描かれている5ポンド紙幣の流通は止まるそうです。これ以降は、お店では受け取りを拒否できるようになるので、ご注意とのことでした。来年3月まで、銀行や郵便局では預貯金に関しては受け取るそうですが。なので、過去イギリスに来られた、住んでいた皆さん、11月22日以降に来られてダーウィンの5ポンド紙幣を使おうとしても、一般の小売業では使えない可能性、大です。急に円がポンドに対して強くなっているし、ユニセフに寄付、というのも善いかと思います。

 よい、週末を。


2007年4月には、£20-紙幣が新しくなりました。
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狐を見た朝

2003.09.06
親愛なる皆さん

 おはようございます。よい週末を迎えられていることと思います。

 今朝、新聞を買いに出た途端目の前を、狐が走り抜けていきました。そして新聞には、ロンドン北部で家に居た子供が狐にかまれたニュース。

 大学院で勉強できることになったので、現在、ヴォランティア・カウンセラーの職を得るべく、毎日あちこちに連絡をとり、書類一式を送ってもらい、書き込み、返事を待つ、これを繰り返しています。たかがヴォランティア、でもこれが結構大変です。まず送ってもらった書類(アプリケーション・パッケージ)を書き込むんですが、たとえ、週一回のヴォランティアといえども先方が望む人物像、能力に対して自分はどれだけ合致するのか、どれだけこのヴォランティア・カウンセリングをこなせるのか売り込まなければなりません。延々と続くこの作業、きちんと把握していないと、どこに送ったのかわからなくなるくらいです。いまだに何の返事もないのが辛いです。
 これと平行して、パート・タイムの仕事も探し始めました。学費を稼がないと。クラスでの授業は週に一回、その代わりヴォランティア・カウンセリングの時間が授業に加算されます。こういう状況なので、週に25時間くらいの事務アルバイトを探しているんですが、これすら、延々とアプリケーション記入作業です。最初、どういう風に書いていいかわからないので知り合いに自分で書いた履歴書を見せたら一言、「これじゃ誰もあなたのことを採用したいなんて思わない」、とのこと。再びですが、会社側が提示している要求する人物像、技能を自分がどれだけあっているかを積極的、且つ超詳しく書かなければとのこと。更に、共同通信時代の社内異動の理由は、たとえ昇進でなくても「promotion」と書けとのこと。これは、新しい経験、今のところ、この違和感に少々苛まれたままです。ちなみに、TBSが新聞切抜きのアルバイトを募集していたので応募していたんですが、やはり写真を添付するのは僕には不利です。

 難民にイギリスの歴史を問うテストを受けさせるべきだとか、12歳の女の子と14歳の男の子が恋の逃避行、など最近のイギリスは何でもありの様相です。で、笑い話。しばらく前、ノーフォークの海岸で、時化のあと岩に刻まれた原始的な絵が発見され、2000年以上前にノルウェーから流れてきたもので、歴史的な発見だ、との一報が。その写真を見た現在無職の自称彫刻家が、それは8年前に自分があるお祭りに出すつもりで岩を削り、途中で捨てたものだと。そのときの写真も報道され、後に残ったのは、郷土史家の言葉のいいかげんさと、彼らの恥だけ。
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