LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2004年11月の記事一覧

労働組合はマフィアじゃないのかと

2004.11.25
親愛なる皆さん

 おはようございます。先週末の冷え込みから、今週はすっきりしないながらも暖かい晩秋のロンドンです。

 もう何度目になるのか、ですが、今夜のイヴニング・スタンダード紙で見つけたロンドン地下鉄職員の年休に関する記事。地下鉄駅職員の大半が所属する組合が、「大晦日にストライキするぞ」との脅しをちらつかせて、有給休暇なんと、52日を勝ち取った、と。信じない、信じられない。これにより、週の労働時間は35時間になり、週末を加えると、規定の上では年間43%が休暇だそうです。
 コラムでも、「地下鉄駅職員はストレスフルな職場で働いているし、不規則なシフト勤務をこなさなければだし、これで深夜営業時間も延びるかも知れないし(延びる保証はなし)」、ととりあえずプラスの面も書きつつ、怒る怒る。そりゃ怒るでしょう。こんなに乗車料金が高くて、汚くて、走らなくて、自分達のおしゃべりと休暇しか頭にない職員が優遇されて、なんで利用者がその給料をひねり出す為に使ってあげて、長時間労働をしなきゃならないなんだ、と。書いているだけで、頭に血が上ってくる。この国の労働組合は、おかしい。しかも、これをリヴィングストン市長は支持しているって言うんだから、労働党、絶対におかしい。
 先日書いたアイルランドに移住したイギリス人の何人かは、理由の一つに「労働党への失望」を挙げていました。なのに、来年予定されている総選挙では、保守党は既に敗戦が決定しているようなていたらく、支持を伸ばしている自由民主党だって、政権党になれるほどの規模ではないし。ブッシュだってあれほど嫌われて、小泉だって長くはもたない、って言われ続けて早数年。僕一人が吠えたって、何も変わりませんけど、吠え続けたい。

 取り敢えず、これで大晦日、ロンドンでは地下鉄が走るそうですから、来られる方は一安心でしょう。が、大袈裟かもしれませんが、自分の身を守ることを忘れないでください。ロンドンの治安が悪化している報道を連日みつけます。例えば、いつも使っている16番のバスで起きた事件。数日前の深夜バスで、恨みのもつれらしいですが、午前2時にある乗客がバスの上階で二人組みに襲われ、手錠をかけられた上になんか揮発性の液体をかけられ火を放たれたとか。僕は日ごろ午後10時半には寝ているので、こんなことに遭うとは思いませんが。
この5月に地下鉄のホームから見ず知らずの女性2人を相次いで突き落とした精神を病んでいる男性が、マネジメントの判断ミスから介助者なしで数日前に退院を許され、今は行方不明。警察が必死に探しているそうです。更に、ブラック・サバスのヴォーカリスト、オジー・オズボーンは、自宅に侵入した泥棒に約4億円相当の宝石を盗まれたそうですが、イギリスに戻ってくる前に12年間住んでいたカリフォルニアでは、こんなこと一回も起きなかったと。
 こんなことが毎日身近で起きていたら、このようなメールを書く余裕なんてないでしょう。でも、海外旅行でこんなことに巻き込まれたら、それこそ悲しいどころの騒ぎではないですから。もし、年末、「ロンドン」に来てミュージカルやバレエを観る予定の方は、ホテルに戻る足を確保しておいたほうがいいと思います。仮に、夜遅く、空いているバスに乗って、上階の一番奥に10代がたむろしていたら、絶対に避けてください。
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ウィンター・ガラ:後半の後半

2004.11.25
最後の4演目は、なんだか「特別なガラ」という雰囲気が俄かに盛り上がってくるものでした。

 バランシーンも入れなきゃ、ということでダーシー・バッセルとカルロス・アコスタによる「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」。バッセルが、なんとも「水を得た魚」という感じできらきら輝いていました。演目が彼女にはまった以上に、バッセルは「スペシャル・ガラ」に一番馴染んでいたように思えました。「チャイパド」が他のバレエ・ガラでもよく取り上げられるのは、技術の見せ場がたくさんあって、観客も盛り上がるということもありますが、その華やかな雰囲気がこの二人にはぴったり。元々強靭なばねをもっているアコスタは、さらに磨きがかかっていて、しなやかに跳ぶ、軽やかに舞台を縦横無尽に駆け抜け、極めは力と美しさが共存した見事な回転。現在、アコスタは正式団員ではなくて、プリンシパル・ゲスト・アーティストという、ギエム同様に年間何回のステージのみ、という契約です。が、これから上演される「白鳥の湖」や「リーズの結婚」では第1キャストなので、ロイヤル・バレエにとって今後数年間は居て欲しいダンサーでしょう。
 次は、ドニゼッティの「La Fille du regiment(連隊の娘)」からAh mes amis をフローレスとロイヤル・オペラの男性コーラス。はじめてその存在を知ったオペラ、ということはアリアも全く知らなくて、旋律は記憶に残っていません。ドニゼッティらしい、超高度な技術を要求する美しい旋律でした、としかいい様がないです。鮮明に覚えているのは、フローレスのこれ見よがしでない、でも本当に美しい歌唱と麗しいステージマナー。容貌は全然似ていませんが、亡きアルフレード・クラウスの端正な佇まいを思い出しました。
 これで終わっていたら良かったんじゃないかな、と思うのが、ヴェルディの「椿姫」、第1幕ヴィオレッタがアルフレードへの恋心に気付く場面(のはず)で唄われる、E strano! Ah fors'e lui。勿論、唄うはアンジェラ・ゲオルジュー。プログラムにこれを見つけたときは、「ゲオルグ・ショルティが涙したヴィオレッタを漸くこの耳で」の想いでいっぱいになりました。ただ、プログラムにはフローレスの名前も。ドニゼッティを歌った後にヴェルディなんて、いくら短くても喉によくないんじゃないのかと思いつつ。「椿姫」を観たのは、オペラ初心者の頃、サントリーホールでのコンサート形式のだけなので、10数年ぶりでした。
 ゲオルジュー、ドレスは黒が基調。アッパーは肩もあらわなプラタナスの葉のような刺繍をあしらった素肌の露出度がかなり高いビスチェ、ボトムは、そのひだひだだけで5着くらいのスーツができるのでは、というくらいのシルクのドレス。ボトムの色は、漆黒ではなくて、淡い小豆色に黒が入っている感じの黒でした。アシンメトリーの造形美の見事さが、見た目数年前のクリスチャン・ラクロワのような気もしたんですが、彼はあまり黒はデザインしないし、かといってゴルティエはクチュールはやっていなかったはずだし。いずれにしてもフランス人デザイナーによるヴィンテージのクチュール・ドレスだと思います、自信はないですが。判ったのは、当夜のドレスはゲオルジューが着たかったものを着た、と。あんなドレス「ラ・トラヴィアータ」の本番では着られないでしょう。そして、左手薬指には、素晴らしく巨大な真珠。それと言わずもがなですが、彼女は、美しいです。この際、「癇癪もち」だとか、「マダム・チャウシェスク」という渾名は忘れました。
 唄です。技術的なことは全く書けませんが、オペラで観たい、それだけ。全然足りないです。恐らくショルティが感じたであろう初々しさは、無かったでしょう。それでも、自分の恋心に気付き、おののき、そしてその恋心を受け入れる喜びに溢れた唄、素晴らしいという言葉以外にどんな言葉あるのか。それと、フローレスとの組み合わせも、考えてみれば、滅多にありえないだろうし。一つ難癖をつけるとすれば、「ファウスト」のときもそうだった、カーテン・コールを強いるような振る舞い。今晩は感極まった感じの表情を何度も。他があっさり退くのに、一人だけ、丸々2分間もステージを去らないのは、やっぱり我儘なのかな。
 最後は、アシュトンの「ダフニスとクロエ」から、最後の群舞。海賊にさらわれたクロエがダフニスのもとに戻り、牧童達と歓喜の踊り、という場面。個人的には春を迎える再生の祝典、という趣も感じました。吉田さんのはずだったんですが、プレゼンターが告げた名前はコジョカル。間違えたのか、と思ったら、本当にコジョカルでした。終演後レセプションで聞いたんですけど、彼らも何にも知らされていなかったそうです。

 チャールズ皇太子を交えてのカーテン・コール。そこで、さすがバッセル、ささっと彼に近寄り、「皇太子、一緒に観客の皆さんの拍手に応えましょう」、という感じで彼に手を差し伸べて自分の隣に。出演者の中では、一番王室のメンバーに近かったのではないかと思います。チャールズ皇太子も一人で舞台中央にずっと立っているよりは、気分もよかったことでしょう。
 寄付金集めの一夜限りのイヴェントだからか、僕が知る限りレヴューは全くありません。自分が覚えていたかったのもあって、書いてみました。



この当時、まだ「連隊の娘」を聞いたことがなかった。

ウィンター・ガラ:後半の前半

2004.11.24
本編終了後に特別なディナーが有るためだと思いますが、インターヴァルの間、フローラル・ホールやクラッシュ・ルームでは通常の食事サーヴィスがなく、代わりにシャンペン(有料)バーが大賑わい。

 書くのを忘れましたが、二人のプレゼンターが居て、前半は2演目ごとに、後半はだいたい1演目ごとに舞台に出てきて作品と出演者の紹介。女性、男性のコンビでした。二人とも、シェイクスピア俳優として有名のようですが、全く未知の分野なので。

 第二部の始まりは、バーミンガム・ロイヤルバレエの芸術監督、デヴィッド・ビントレーがロイヤル・バレエの為に2003年に振付けた「四季」から冬のパート。作品の勢いのピークは「夏」の部分ですが、当夜の趣旨に合うのは矢張り「冬」でしょう。5人の冬の精(雪、雹など)がかわるがわる、終盤は全員で踊るもの。衣装は純白のクラッシック・チュチュにちょっとした刺繍をあしらったシンプルなもので、特徴を出す為に趣向を凝らしたメイクやマスクを使っています。
メインはカナダ人プリンシパルのジェイミー・タッパー。彼女がプリンシパルになる前はかなり好きだったんですが、なってからがどうも。後ででてくるガレアッツィ同様、いつも口を半開きにしているのがどうしても気になる。知合い曰く「ベンジャミンだって、いつも口を開けているじゃない、何が違う?」、といわれたことがあります。今回、判りました。ベンジャミンやバッセル、ロホにコジョカル、ご贔屓のヤナウスキー、そして吉田さん、僕の中では一軍、もしくは国際レヴェルのプリンシパルの皆さんは、開いた口が演技しているんです。微笑み、苦悩、悲しみ、喜びが唇の端から伝わってくる。タッパーやガレアッツィは呼吸をしているだけ。そんな感じがしました。最上のダンサーというのは、自分の身体の全てを知っている、ということが要求されるのではと思います。観客とは身勝手なもの。タッパーの為に一言。カーテン・コール時は既に着替えていた彼女、清楚な美人です。
 次もバレエ。ケネス・マクミランの「マノン」から第1幕寝室の場面でのマノンとデ・グリューのPDD。僕にとって「マノン」は、ギエム(すいません、しつこくて)。タマラ・ロホのマノンを初めて観たとき、余りのギャップに全く受け入れられませんでした。が、この夜はちょっと違いました。彼女の技術・演技のレヴェルが以前より数段上のレヴェルに到達しているということもありますが、デ・グリューを演じたジョナサン・コープとのパートナリングがいかにも自然。この二人、昨シーズン、同じくマクミランの「マイヤーリング」でも素晴らしい演技を披露し(ひどい風邪で見逃したのが痛恨の極み)、お互いも素晴らしい舞台だった、と。特にロホは熱烈にコープとの更なる共演を望んでいました。残念ながら、実現するかどうかはかなり微妙。コープは近い将来引退するであろうし、コープのメインのパートナーは矢張りギエム。
 なので、たった数分間のPDDでしたが、このカップルの共演を見られたことは、幸運でした。来年の春に上演されるアシュトンの「オンディーヌ」で共演の予定になっています。
 後半一つ目のオペラは、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」から、ドン・ジョヴァンニがツェリーナに迫る場面のアリア、La ci darem la mano。ゲオルジューとアレンの共演。相手が居ると、アレンの唄・演技は舞台栄えがしました。同様に、ゲオルジューの演技もたいしたもの。衣装は、どうしてだか、ぴらっぴらの安っぽく見える(なんかちょっとサイケな感じ)、細かいフラワープリントの膝丈のワンピースに、ベージュのパンプス。1曲目と最後のドレスが、ゴージャスだったのでちょっとギャップがありましたが、それはそれでツェリーナに見えてしまうのが不思議。ダンサーと歌手、という表現手段の違いはありますが、たった数分間で場面をステージ上に作り上げる集中力は、さすがでした。
 次が問題。マクミランが1991年にダーシー・バッセルとイレク・ムハメドフの為に振付けた「ウィンター・ドリームズ」からPDD。バッセルも居て、わざわざムハメドフもよんだのに、何故にマーシャがマーラ・ガレアッツィ?
 最近、彼女の技術は安定してきたことは認めます。以前のような軸が全く安定しない回転、というのもなくなってきたし、プリンシパルらしくなってきた。でも、ダンサーなら踊りで全てを表現して欲しい。焦がれる男性との永遠の別離、その後に続く何の変化もない倦怠に満ちた生活へ戻らざろう得ない人生の理不尽さ、悲しみを踊りで表現して欲しい。会場の奥深い所まで聞こえるしゃくりあげるような息遣い、これが彼女の悲しみ、苦悩を表現する手段、というのであれば、僕は好きになれません。


それが最近では、ガレアッツィもかなり良くなってきた感じ。ちょっと痩せすぎが気になるところ。

ウィンター・ガラ:前半の後半

2004.11.24
個人的には、この特別な夜のピーク、シルヴィ・ギエムとパリ・オペラ座バレエのニコラ・ル・リッシュによる、イリ・キリアン振付けの「小さな死」。実はこれが踊られるのは土曜日のある情報誌で見つけていて、凄く楽しみでした。
 キリアン(ネザーランド・ダンス・シアターの芸術監督)が振り付けた作品はまだ余り観たことがないので、彼の作品全てが気に入るかどうかは判りません。が、この「小さな死」自体は、素晴らしい振付だとの話を何度も聞いていたのと、情報誌によれば「エロティック」な作品とあり、近年、情念を表現する踊りでは、口やかましいイギリスの批評家ですら絶賛を惜しまないギエムがどう踊るのか、どう魅せてくれるのか。期待に胸躍らせつつ、「ドタキャンだけはやめて」、そればかり思いながら幕が上がるのを待っていました。
 贔屓です。ファンだし。
 ギエムの美しさは、今やセミ・リンガルの僕には、英語でも日本語でもどう表現していいのか。勿論、随所に、誰もが真似できない身体上の奇蹟を織り込みつつ、モーツァルトのピアノ・コンチェルトが流れる中、スポットライトに浮かび上がるギエムの滑らかな動きは、恐れ、歓喜、おののき、愉悦、そして「死」すら、これら全てが暴力に溢れたこの世界から昇華されてしまったような、至上の美しさに溢れていました。ほんの軽く上に向けられた掌から、ル・リッシュに向けられた視線の端から、そして幽かに傾げられた首筋から紡がれる「美」は、舞台に居るギエムとル・リッシュ、その二人を観ている僕の意識をここではないどこかに誘っているようでした。
 当然、動きも凄いわけで。なんであの角度で膝が回る、どうしてそのサポートでその位置に居られるなど。終わった直後は、「この世界に存在する全てのバレエをギエムが踊り終わったら、バレエを観るのをやめよう」、そんな気持ちで一杯でした。綺麗だった。40歳(2005年の2月)に見えない。「白鳥」は諦めるから、せめてロイヤルを離れる前にバリシニコフ版の「ドン・キホーテ」を。あと、「グラン・パ・クラッシック」も。
 ル・リッシュのサポートがあればこそ、というのは勿論、判っているんですが、彼の姿は、ほぼ全く視界に入りませんでした。一つ気になったのは、背中上部に点々と広がる、どう見ても日焼け後のお手入れに失敗した為と思われるしみ。誰か、彼に美白ローションを差し上げてください。
 続いては、現在のロイヤル・バレエの看板カップル、アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーによるアシュトンの「春の声」。プログラムによれば、1977年のロイヤル・オペラでの、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」の第2幕のバレエシーンの為に振付けられたもの。軽快なワルツにのって、舞台全体を軽やかに、それこそ春風のように舞い、駆け抜け、回転しジャンプし、さらに素晴らしいリフトを披露する様は、たった5分弱とはいえ、観客の興奮も一気に頂点に。
 ギエムの後では、コジョカルには申し訳ないけど、ちょっと厳しく比較してしまいました。コジョカルの踊りにはなんのミスも無かったです。が、最近、ストーリーの無い抽象的なバレエだと、どうもコジョカルの踊りに内面からの躍動感を感じられないんです。それとこれはマネジメントの責任だと思うんですが、晴れの舞台にもかかわらず、彼女のトウ・シューズがぼろぼろ。

 前半の最後二つはオペラからのアリア。最初は、ベッリーニの「ノルマ」から、Casta divaをアンジェラ・ゲオルジューとロイヤルのコーラス。アリアを集めたCDでは聞いていたけど、まさかなまで聞く機会があるとは思っていなかったので、ラッキーの一言。ただ、前半は、喉が温まって居なかったのか、ちょっと不安定かな、と思う箇所もありましたが、後半からラストへの声の響きの圧倒的な美しさといったら。
ゲオルジューの放つオーラを見ていたら、なんか、不公平だなと。本人の努力、天賦の才能、そして、自分のキャリアに対する信念、オペラ歌手もバレエ・ダンサーもこれらのことがなければ成功しないでしょう。オペラ歌手は、上手くいけば50代後半までそのキャリアを追求することができる。でも、ダンサーのキャリアはずっと短い。
 ゲオルジューの衣装は、黒のぴったりしたホルターネックのドレス。首周りには大小取り混ぜた銀のスパンコールが幅10センチはあろうかというくらい。それと絶対に、彼女、背中の美しさに自信をもっていると思います。さらに指輪の巨大なこと。恐らくあれはルビー、しかもダイヤちりばめ放題。
最後は、ロッシーニの「セビリャの理髪師」から、アルマヴィヴァ公爵のアリア、Cessa di piu。今やベル・カント・オペラにおいては世界中で引っ張りだこ、オペラ界の「トム・クルーズ」と呼ばれているらしい(本人は嫌だそうです)フローレスの自信に溢れた、しかも確実な技術に裏打ちされた卓越した歌唱、堪能しました。このオペラも一度はきちんとした舞台で観たいです。
 気になったのはコーラスの一人。全員が黒のタキシードの中で、一人だけなんだか着古した感じのコーデュロイのジャケット(違うと思いますが)、しかもボタンをかけずに、さらに猫背気味だから、見栄えの悪いこと。同じことを思った関係者が居たんでしょう、後半ではきちんとボタンをかけてでて来ました。

 後半に続きます。

ウィンター・ガラ:前半の前半

2004.11.24
オペラハウスの正面は雪が降る様を模したイルミネイション、内部は、何故だかわかりませんが、林檎をたくさんあしらったデコレイションがバルコニーに。地味に華やかな感じ。考えてみたら、イギリスに来てからこんなガラ・パフォーマンスは初めてでした。

 チャールズ皇太子とカミラ夫人が舞台に向かって右側、バルコニー・エリアのロイヤル・ボックスに現われると、即座に「God Save the Queen」。勿論、全員、起立。全部演奏されなくてよかった。

最初の演目は、ロッシーニ「セビリャの理髪師」からフィガロ(理髪師)のソロ、Largo al factotum。トーマス・アレンの十八番、といえる曲です。女王の即位50周年ガーデン・コンサートでも歌ったし。先月観たモーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」で素晴らしい歌唱・演技を堪能したので結構期待していたんですが、もう一つかな。アレンも既に60歳、声だけで盛り上がるのは厳しいらしく、彼の持ち味である役者の部分が十分に出せないコンサート形式だと、ちょっときついのかな、と。ちなみに、コジ・ファン・トゥッテを演出したジョナサン・ミラーは「ドン・パスクァーレ」も演出しているそうですが、これ以上オペラの演出はしないそうです。
 続いては、バレエが二つ。一つ目は、今年生誕100年を記念して、シーズンを通してたくさん上演されるフレデリック・アシュトンの「2羽の鳩」。数年前に、吉田都さんが東京で素晴らしい踊りを披露したそうですが、昨夜は、今シーズンからプリンシパル・ダンサーとしてロイヤル・バレエに加わったブラジル人のロベルタ・マルケスと、イワン・プトロフのプリンシパル・コンビ。何の感動もなかったです。小品の、しかもさらにその中のパ・ド・ドゥだけで感動を期待するのは要求がきついかもしれないけど、再び巡り会った恋人達、という場面が立ち上がって来ませんでした。マルケスがロイヤルの一員と認識されるには、かなり時間がかかりそう。
 二つ目は、ウェイン・マックグレガーというモダンの振付家が、ロイヤル・バレエの為に昨年振付けた「Qualia」からメインのPDDを、リアン・ベンジャミン(プリンシパル)とエドワード・ワトソンの二人。演目の格、という点からでは一番異質だったかもしれませんが、はっきりいって、「2羽の鳩」よりずっと見ごたえがありました。実はベンジャミンはあまり好きじゃなかったんですが、お子さんを生んでから、醸し出す雰囲気に円熟味が加わった感じです。振り付けは、本当にモダン・バレエ以外の何物でもないです。が、こじ付けかもしれないけど、アシュトンの文脈を受け継いでいるかな、と思わせる振り付け・動きもあって、昨年観たときよりも楽しめました。
 ビゼーの「カルメン」の第4幕からの合唱が続きました。でも、実はまだ「カルメン」を観たことがないので、割愛。更に、コンサート・マスターが一人舞台に立ち、パガニーニの「ヴァイオリンのためのテーマとヴァリエイション」を。弾き始めてすぐに、弓の一部が切れてしまって、でも舞台に一人だから誰かが交換することも出来ず。曲は大変アグレッシヴな感じで面白かったです、なんか、パンクな感じだったし。無事に終わったときには、どっと疲れました。演奏自体は、昨夜の趣旨からすれば、刺身のつまだったのではないかと。
 
 続きます。

ロイヤル・オペラ・ハウス:ウィンター・ガラ

2004.11.24
親愛なる皆さん

 おはようございます。久しぶりに、華やかなガラ・パフォーマンスを観たので、自分の記憶に留める為と同時に、内容も素晴らしかったので、全てを。

 内容に行く前に、昨夜見かけた諸々を。このガラ・パフォーマンスの目的は、ロイヤル・オペラ・ハウスが1999年に改装が終わり再開され5年過ぎた記念と、ROHへの寄付金を募ることです。昨年(2003年)プラシド・ドミンゴとアンジェラ・ゲオルジューが主演ということで話題を集めた「道化師」のときも似たような寄付金を集める為のパフォーマンスがありました。そのときと全く同じで、最高席は、寄付金と終演後のディナー込みで約40万円。高い席はほぼ完売状態、あるところにはあるんですよね。
 流石に記念ガラ、一晩であんなにたくさんのイヴニング・ドレスを見たのは初めてでした。プログラムを売っているROHの職員も全てイヴニング・ドレスかタキシードなので、それだけでも「今晩は特別なんだ」、との雰囲気がありました。それと、矢張りタキシードは、西洋のものですね。卑下するわけじゃないですけど、どんなにごつかろうが、剃り上げた頭であろうが、似合う。
 プログラムも特別。本物じゃないけど、ヴェルヴェットのような手触り(色はワイン・レッド)で、しかもロイヤル・オペラのパトロン、且つロイヤル・バレエのプレジデント、ということでチャールズ皇太子の美麗・微笑の写真つき。ちなみに、昨夜は、チャールズさんは、パートナーのカミラ・パーカー・ボウルズ夫人と一緒にご鑑賞。まじまじと彼女を見たのは(望遠鏡越し)初めてだけど、どうしてチャールズが夫人にそんなにご執心なのか、本当に不思議。見た目からだったら、断然ダイアナさんでしょう。

 オペラ・バレエ合同ということで、フレンズ会員に送られた案内やウェブでは以前から出演するオペラ歌手とプリンシパル・ダンサーの名前がきちんと発表されていましたが、プログラムは「サプライズ」ということで当日まで発表されていませんでした。
演目の数は圧倒的にバレエのほうが多かったけど、観客の目的はオペラのほうに比重が置かれていた感じです。出演した歌手は、イギリス人バス・バリトンのトーマス・アレン、ペルー人テノールのホァン・ディエゴ・フローレス、そしてロイヤル・オペラの音楽監督、アントニオ・パッパーノの盟友、アンジェラ・ゲオルジューの三人のみ。この3人である理由は、アレンはロイヤルの常連(今シーズンだけでも三つのオペラ、コジ・ファン・トゥッテ、マダム・バタフライ、イタリアのトルコ人に出演)、フローレスは27日に始まるドニゼッティの「ドン・パスクァーレ」に主演、ゲオルジューは現在公演中のプッチーニの「ラ・ロンディーヌ」に主演中、ということでわざわざ遠くから有名歌手を呼び寄せる手間が省けた、ともいえます。3人ともソロとデュエットがあって、しかもゲオルジューは3曲も、昨夜の華は彼女だったといえるでしょう。ちなみに、ゲオルジューは翌火曜日、23日の「ラ・ロンディーヌ」は休養の為降板。まぁ、これは今シーズンのプログラム発表時から決まっていたことなので、そうすると、このガラ自体も数年前から予定されていたんでしょうね。ダンサーは、吉田都さん(出演予定だったのに、土壇場でキャンセル)、セナイダ・ヤナウスキー、ヴィャチェスラフ・サモドゥロフを除くプリンシパル全員とコール・ド。
面白かったのは、アレンは既に「サー」の称号を持っているのとイギリス人だからでしょう、きちんとロイヤル・ボックスに向かって一礼してから観客の拍手に答えていたし、ロイヤルのダンサーもきちんと形にのっとった礼をしていたんですが、ゲオルジューとフローレスはあっさりしたもの。ゲオルジューは、3曲目が終わったときなどはちょっと手を振った程度。

 最後の演目が終わってからカーテンが開くと、ロイヤル・ボックスから居なくなっていたので帰ってしまったと思っていたチャールズさんが、マイクを手に出演者一同とステージに。皇太子のスピーチは「We have enjoyed an old-fashioned treat」、と先週末から彼を悩ませている議論に引っ掛けて洒脱に、イギリス人らしいスピーチでした。ただ、なんか身振りに落ち着きがなくて。彼のすぐ後ろにはゲオルジューとフローレスが立っていました。以前のインタヴューで知ったんですが、ルーマニア出身で、現在スイスに住んでいるゲオルジューにとって英語は4番目か5番目の言葉で、まだそれほど流暢ではないそう。だからかどうかは判りませんが、チャールズが何か早口で言うたびに、ゲオルジューが隣のフローレスに尋ね、彼が耳打ちしている姿は、面白かったです。
 ダンサーの中には既にディナーに参加する為のドレスに着替えている方が居ました。中でも、カンパニー最高齢のジョナサン・コープのシンプルな黒のスーツに白のシャツは、派手じゃないけど、芸術家の片鱗をうかがわせるセンスでした。大昔、東京で観た、パリ・オペラ座のロラン・イレールの私服のセンスのよさに通じるものがありました。意外だったのが、前半で出番を終えていたシルヴィ・ギエムとオペラ座のニコラ・ル・リッシュが舞台に居たこと。コスチュームのままだったので、ディナーには参加しなかったのではないかと。ゲオルジューのドレスと宝石に関しては、後でじっくりと。

価格のつけ方

2004.11.22
親愛なる皆さん

 おはようございます。忘れないうちに。今年は、クリスマスとボクシング・デイが週末にかかるので、12月27、28日はイギリスは祝日です。ロンドンに来ても、開いているのは劇場とホテルくらいでしょう。

 先日、朝日新聞のウェブでフランスの大手スーパー、カルフールが日本から撤退、というニュースの記事を読んでいて、「商習慣の違い云々」、といった部分を見つけました。思ったことは、今でも多分日本では安売りするときは、一つ一つの商品の単価を下げる、というのがメインだと思います。カルフールやフランスのもう一つのスーパーのモノポリがどうだったか思い出せませんが、イギリスでは、「これを2個買ったら三つ目は無料」、もしくは「(同じカテゴリーの中から)別々のものを三つ選んだら、その中で一番高いのを無料にします」、というの主流。ロンドンに来てもうすぐ5年、こんな所に未だに文化の違いを感じます。購入するものにもよりますが、この習慣は購入者の観点からだと余り嬉しくないことのほうが多いです。「三つもいらないから、単価下げろよー」、といいたい。例えば、学業の一貫としてエッセイを書かなければならないので、印刷用紙は必需だけど、こんな邪魔くさいもの3セットも要らないから、単価下げて、と。瑣末なことのようにも思いますが、この差を理解できない限り、外資系小売業が日本で成功するのは難しいんじゃないかと思います。

 今週後半、イギリスを賑わせたニュースは、エコノミスト誌によるある調査の結果。「2005年、最も住みたい国はどこ?」、で一位はアイルランドでした。そしてイギリスは29位、日ごろおおっぴらに口に出さないけど、イギリス人は密かにそして確実に「イギリスはなんでも一番」、と思っている節があります。なので、特にいつも「アイルランドなんて、あんな雨ばかりの国」、とあからさまに見下している隣国が一番というのが耐えられなかったようです。調査の項目は、犯罪率、生活の質、失業率、天候、政治的安定、そしてコミュニティ・ライフのあり方など。
 各新聞の報道では、ここ数年、アイルランドに移住する「イギリス人」がそんなに多くはないけど、着実に増えているとのこと。主な理由は、犯罪率の増加や生活の質の低下を嫌って、などらしいです。が、最も興味深い理由が、「伝統的なライフスタイルがアイルランドにはまだある」、というもの。濃密な近所付き合い、子供を外で遊ばせていても心配ない環境、自分の望むペースで生活ができる、など。なんか、日本でも沖縄に移住する人が増えている、という最近読んだ記事とダブりました。にしても、イギリス、本当にどんどんと、普通の人が生活するのに全く楽しみがない国になってきているようで。

 後はお気楽な話。今年は、フランスとイギリスの間で、貿易に関する協定が結ばれて100年、ということで色々な催しが行われています。記念切手が発売されたし、9月29日には、パリオペラ座ガルニエ宮で、オペラ座バレエ団とロイヤル・バレエの記念ガラ公演(行きたかった)が行われました。先週はその一環でシラク大統領夫妻が国賓としてイギリスに来ていたんですが、女王主催の晩餐会の後に何か特別なものを、ということで白羽の矢が立ったのが、「レ・ミゼラブル」。通常の上演が終わったあとに、キャスト・オーケストラ全員がウィンザー城に駆けつけ、やったそうです。ここまでは、まぁ、普通。面白い、というかさすがフランス、と思ったのが、世界中で人気(なんですよね?!)のこのミュージカル、原作が書かれた国、フランスのみ全く人気がないそうで。だからシラク大統領も、観た事がなかったらしいし、観て喜んだのかどうか。

 最後、今日のサンデー・テレグラフ紙の旅行セクションで見つけた記事。確か、長崎県内にも似たような場所があったと記憶していますが、スコットランドのInverieという村、内陸からは行くことが出来ず、週3便のフェリーでしかいけないんだそうです。村の人口は60人だし、パブも郵便局もあるから全く孤独になることはないけど、「静寂に包まれて眠りたいのならここほどの場所は他にない」そう。カウンセリングのコースが終わったら、是非、行きたい。

銀のスプーンを口にしたかった

2004.11.19
親愛なる皆さん

 おはようございます。今晩は、ゲール(西風)が吹き荒れ、さらに冷え込んでいて、イギリスの冬の到来を感じました。

 今朝の新聞各紙の一面を飾ったのは、またもやチャールズ皇太子の、舌禍。彼の個人秘書の秘書をやっていた、アフロ・カリビアン系の女性が、昇進や今後のキャリアアップに就いて希望を伝えたときに、「今の人間は、どうして誰もがポップスターやスポーツ選手になれると思っているんだ?自分の居場所を知るべきだし、その上を望むなんておかしい」、といった内容のことをメモに残したんだそうです。この女性はその後嫌がらせにあって退職、損害賠償を求めて訴訟を起こしたときに、このメモを証拠に出したそうです。 
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2004/11/18/nprin18.xml
 自分の就職活動の大変さを、チャールズ皇太子の見方から考えるのはちょっと現実離れしてしまうでしょうけど、こういう階級差別がまだまだイギリスには生きているんだな、と思いました。今日のイヴニング・スタンダードの遅版では、この発言に、チャールズ・クラーク教育相が噛み付いたそうです。伝統的に、政治家は王室のメンバーの発言に付いては触れない、というのが暗黙の了解だそうなので、この発言に関しても、明日以降何かあるのではないかと思っています。
 それにしても、父親に似たのか、本当に失言が絶えない皇太子。改めて思うのは、この人は「王様」になれるのかな、と。確か、デンマークのマルガレーテ女王が日本に滞在しているんですよね。女王がどんな発言や言動を日本でしたのかは知りませんが、彼女やエリザベス女王と比べると、チャールズの人格には普遍性が欠けているというか。

 就職活動に関しては、ずっと「セカンド・ベスト」というタイトルを集めつづけています。確か、ちょっと前、「ブロンズ・コレクター」なんてあだ名がついた陸上の選手がいましたよね。現在の僕の気持ちは、彼女が心で叫んでいたであろう、「ファースト・ベストになりたい!!」です。でも、昨日から、ローカルでアルバイトが見つかったので、暫くは、活動を休止して一息つくつもりです。

多分、賛否両論だと思います、特に女性に

2004.11.17
 おはようございます。ロンドンは日、一日とクリスマスイルミネイションの数が増えてきています。

 英語か、と毛嫌いせずに、是非、下の記事を読んでみてください。今日のテレグラフの3ページ目に掲載されたものです。
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2004/11/16/nboyf16.xml

 一言で解説を済ませるならば、「イギリス人と結婚したいと考えている日本人女性が大挙して来るだろう」、とのこと。収入もステイタスもある日本人女性がどうしてイギリス人と結婚したがるのかを、伝統的日本人の男女観から、最近の「負け犬の何とか」という本まで出して解説してあるのは、良く調べたな、と思います。考えてみたら、3年近く日本に帰っていないから、どれだけ日本人のメンタリティが変わってきているのか判りません。が、これはこれでなんか、凄くステレオタイプな日本人のイメージを一層強調してしまうようで。といいつつ、見つけてすぐに、イギリス人の友人達に「読め」、とのテキストメッセージを送りました。
 最近、頻繁とはいえないけど、其処ここで「イギリス・ヨーロッパでは日本ブームがおきている」なんてことを聞きます。例えば、先週土曜日のファイナンシャル・タイムズでは、FTの東京特派員が沖縄の宮古島のレポートを書いていました。これが、良くかけているんですよ。日本を訪れるイギリス人観光客も増えているそうだから、日本イコール「富士山・舞妓さん」という短調なイメージから脱しているのならばいいんですが。どうもまだ「色物」的切り口が多いような気がします。

 折角だから、最近のイギリスのホットな話題を二つ。来年の総選挙で労働党が勝利しなければ、ということでちょっと流動的ですが、イギリスでも自由に煙草が吸えなくなるかもしれません。僕は「嫌煙」ですし、煙草を外で吸いながらぺちゃくちゃ喋りつづけているイギリス人の労働モラルも嫌いなので大賛成です。が、既にパブのオーナーなどから反対の声があがっていて、あっさり「例外」枠が設けられている所を見ると、効力はどこまであるのやら、です。
 もう一つは、観光でイギリスを訪れる予定の方は、是非知っておいたほうが。日本同様、詐欺の手口は数知れず、毎日新手の詐欺がおきている、と言っても過言でないイギリス。最近大きく報道されたのは、地下鉄や鉄道の駅に設置されているATMの上に偽のカード読み取り機を設置してカード情報を盗む、というものです。文書ではどう違うのか上手くかけませんが、もしイギリス、特にロンドンに来られたとき、現金を引き出すのは銀行内のATMからにしたほうが安全です。

セカンド・ベスト

2004.11.11
親愛なる皆さん

 おはようございます。今日のロンドン、かなり冷え込みましたが、かなりいい天気で、空気がぱりぱりしていて気持ちよかったです。今週の土曜日はかなり冷え込むとか。

 飽きていらっしゃるかもしれませんが、就職活動のその後。
 今日、世界的にも有名な子供専門病院、Great Ormond Street Hospital NHS、http://www.ich.ucl.ac.uk/ のSocial Work Department の総務職のインタヴューを受けてきました。実はこれ、当初の締め切りが9月下旬だったのが、10月14日まで延ばされ、さらに締め切りから2週間以内にインタヴューのお知らせがこなかったら駄目だと思ってね、との注意書きありました。駄目だと思って居たら3週間後の先週木曜日に手紙が。ロンドンらしいというか。
 新聞に難病の子供のニュースが出ると、大概はこの病院の名前があります。機会があったら病院で働いてみたいと最近は思っているので、きちんと下見にいったり、ウェブを見て勉強もしました。イギリスの病院の評判はあまりよくないけど、ここは良く運営されている感じです。病院に向かう途中、自己暗示を、「今日はイギリス人になるべし」、と日本語で唱えていました。
 インタヴューの前のスキルテストは世界的に有名なわりには、至って簡単でした。計算問題なんて、ものの2分で終わっちゃいました。例えば、「社会保障費、560ポンドを8週間にわたって支給する場合、毎週いくら支給されるべきか?」なんて。スペル・文法も共通一次世代には、「こんなんで差がつくのか?」、というくらい簡単。フォーマル・レターはちょっと不安だったので時間を掛けましたが、フォーマットを思い浮かべて、これもまあまあ。
 インタヴュー。数もこなしてきたし、必死になることなく。最近、インタヴュー中の微笑が足りないことに気付いて、微笑を絶やさないようにしたし。自分で聞いていても自分の英語が英語に聞こえたし。それと、友人からの助言、「英語が母国語じゃないから少し時間がかかるかもしれないけど、それは、きちんと答えたいからですから」、をいったら、結構和気藹々と始まりました。
 インタヴューアーは二人で、「今日はこれから10問、質問します」、と。最初の5問はどうしてこの職種に応募したのか、過去貴方がやってきたことをどうやってこの職種に生かせるのか、チーム・プレーヤーとして心がけるのは何か、とか。後半の5問が、なんと言うか、「こんな状況が起きたらどう対処しますか?」、という質問の連続。一問だけどうしても納得の行く答えが出来なかったのが、「受付業務をしているとき、英語での会話が困難な母子が来ました、どうしたら彼女達の不安を取り除き、且つ親子の要望を正確に把握しますか?」。この質問を除けばかなり上手くいったし、「もしかして、今日で就職活動終わりか?!」、と思ったんですが。
 駄目でした。インタヴューの終わりに「今日の夕方には皆さんに連絡します」、と。約束通り、電話をくれました。「今日はありがとう。いま、話す時間ある?」、「うっ、受かったか?!」。「貴方とのインタヴューは大変に面白かった。But unfortunately, the post goes to another candidate。でも、貴方はセカンド・ベストだったのよ、難しい決断だったわ」。この言葉を、誉め言葉として受け取るには、しばしの時間が必要な感じです。
 The winner takes it all.

イギリスにおける拡散と集積

2004.11.09
ちょっと、森博嗣さんを真似てみました。

 先週、現在のイギリスでの暮らしを象徴する調査結果が相次いで報道されました。
 恐らく、延べの数字だと思いますが、ここ数年で、海外に居住拠点をうつしたイギリス人は55万人にも上ると。一番人気はスペイン。理由は、気候、戸外での活動のし易さ、生活費の低さの順だそうです。2番は南仏、ということでヨーロッパでも気候が温暖な地域が人気ですが、コモンウェルスのオーストラリアやニュージーランドへの移住も増えているそうです。
 イギリス人は、日本人とは違った意味で、外国語を学ぶことに対して頑ななくらいネガティヴな態度をとりますが、たくさんのイギリス人が移住すればそこにコミュニティができるのはどこでも同じ、暮らしには困らないようです。外国語の壁の所為で、全ての人が理想の住環境を手にするわけではないようですが、最近は海外でどうやって不動産を上手に取得できるかを指南するテレヴィ番組も増えています。
 この状況は、ライアンエアやイージー・ジェットに代表される格安航空会社の台頭にも後押しされていると。で、この格安航空会社、さらに海外旅行者増にも貢献しているらしく、昨年度の海外旅行者数は、記録的な数字だったそうです。更に、インターネットの普及で、従来の旅行代理店を利用した人より、全くの個人旅行をした人の割合がはじめて上回ったんだそうです。なんか、こんなこと、数年前の日本でもあったな、と。日本とイギリスって、共通点があるような。

 で、集積。現在、イギリスで暮らすフランス人は、30万人居るそうです。この数は、本国を除けば、ヨーロッパ最大の数で、さらに増えつづけているそう。主にロンドン、マンチェスター、ケント県だそうです。ロンドン在住フランス人の大きなコミュニティは、リセがあるのでケンジントンエリアにありますが、最近ではリトルヴェニス・メイダヴェイルエリアでも増えています。いいフレンチデリがあるからだろうな、と思っています。
 何故こんなにフランス人が増えているかというと、学歴・社会階級で、今でも将来が限定されてしまうからだそうです。イギリスにくれば、最初はキャリアのボトムから始めなければならないけど、本人の努力によっては、一気にキャリアラダーを駆け上れる、フランスに居つづけたら、そんなことは絶対にありえない、と。
 僕は度々、皆さんに愚痴を送りつけていますが、このようなニュースや、大陸で暮らしている友人達の話を聞くたびに、「イギリスって、もしかして暮らしやすい国なのか?」、と。まぁ、暮らし易くなかったら5年も暮らしていけなかっただろうし。ちなみに、僕が知っている限りのロンドンにおける外国人コミュニティ。日本人は、北部のゴルダーズ・グリーン、日本人学校がある西部のアクトン。最近増えているポーランド人は、教会があるので、北西部のキルバーン、ここはアイリッシュのコミュニティもあります。韓国人コミュニティは、確か南部のサットン。南西部、リッチモンドにはドイツ人コミュニティ。
 こんなに多国籍化が進んでいるロンドンは、今、世界で一番生活費の高い都市だと断言できます。東京も高いでしょう、でも、生活の質、日常生活で感じる煩わしさの頻度を考えたら、ロンドンには無駄が多すぎ。日本もそうだよ、と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが。せめて、ブリティッシュ・テレコムと、ロイヤル・メイルがもう少しどうにかなれば愚痴は減ると思うんですけどね。
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Living in a cloud cuckoo land

2004.11.09
親愛なる皆さん

 おはようございます。今日、野暮用があってリージェント・ストリートに行ったら、既にクリスマス・イルミネイションが点灯されていました。数年間使っていたものから、全く新しい物になったので、今年のロンドンのクリスマスを彩りそうです。

 でも、すいません、話題はちょっと血なまぐさい、というか、また日本について物議を醸し出しそうなものです。
 今朝、BBCのウェブを開いて一番先に気付いたのは、昨晩の死者が7人にも出た大規模な列車事故の話題ではなく、これです。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/this_world/3956355.stm
 鯨が食されることは知っていますが、イルカ漁が存在することは、知りませんでした。記事のトーンは、ネガティヴには感じませんでしたが、記者は現地に赴く前から、「イルカ漁はいけないこと」、と決めてかかってこの記事を書いたのではないか、と思わずにはいられません。それと、「英語って、こんな血なまぐさいことを描写する語彙があったんだ」、と。特に、漁のことを描写する部分は読んでいて気持ちのいいものではありませんでした。
 この番組が報道された後に、起こるかもしれないであろう議論には参加したくないし、また、参加しようにも正しい知識を持ちあわせているか、というとそんなことも無いですし。感情論になってしまいそうだし。既に、イギリス人の友人二人からは「この番組、見る?」、と聞かれましたが、多分見ないでしょう。一人は、「イルカは知能が高いからね」、と決まりきったお言葉をのたまってくれたので、「じゃ、狐狩りの是非を、イギリス人はけりつけられるのか?」、には「狐狩りを良いと思っているのはイギリス人でも少数派だから」、とあっさり。ちょっとずれますが、狐狩り継続を支持しているチャールズ皇太子は、最近こう言ったとか。「労働党政権が狐狩りを禁止したら、僕はこの国を離れて、スキーをしながら余生を送れる国に行くよ」。
 文化が伝統を創るのか、伝統が文化を創るのか。なんかこういった議論が行き着くと、例えば、「たらの漁獲高が激減しているのは、イギリス人がフィッシュ・アンド・チップスを食べ過ぎるから」、なんてことにもなりそうだし。文化の違いを知ることは、双方の文化を罵り合うことにもつながりかねないな、と。両刃の剣ですね。

 文化の違い、というか同じ英語圏でもこんなに違いがあるんだということを。先週末から、日本在住15年のアメリカ人の友人(A)がきていまして、今朝はイギリス人の友人(B)を交えて一緒に朝ご飯を。そこで、今朝のテレグラフ紙の中で見つけたフレーズ、「living in a cloud cuckoo land」の意味をAに尋ねたら、怪訝そうな顔。まずい、また発音が悪かったかと思い、もう一度言おうしたら、Bがすかさず、「Koji、彼はアメリカ人なんだから、知るわけ無いだろう」、とえらく差別的な発言を。「もしかして、これって完璧にブリティッシュ・イングリッシュ?」、あっさり「そう、多分アメリカ人はこのイディオム、知らないと思う」、とのこと。A曰く、「初めて聞いた」そうです。意味は、「ファンタジーの中で暮らす」、だそうです。既に死語になりつつあるようですが、皆さん、ご存知でした、これ?

母の悲しみ、息子の傲慢

2004.11.04
最近イギリス王室情報は無いのか、と思われていた皆さん、あります。

 今週、エリザベス女王は、3日間、ドイツを公式訪問(State Visit)しています。訪問の前から、ドイツのメディアは「エリザベス女王は、ドレスデンに謝罪するべきではないか?」との議論が沸きあがっていたそう。最初このヘッドラインを読んだとき、「なんで?」、としか思いませんでした。全然知らなかったんですが、第二次大戦中、イギリスはドレスデンを空爆したんだそうです。その謝罪を今、求めると。
 
 一昨日、月曜日の新聞に、関連の記事と一緒に、実際にドイツで撮影されたのかどうかは判りませんが、口をへの地に曲げた女王の写真がありました。で、昨日、火曜日にベルリンで公式スピーチがあり、その中でこういったそうです。「ステレオタイプのイメージにとらわれず、歴史に私達を未来へと導かせよう」。これはこれで、中庸だから、新たな議論の種を蒔いたらしいですが。
 日本の戦争責任同様、ヨーロッパのあちらこちらで、今でも第二次大戦の記憶は、人々の心の中で鮮明に生きています。で、確かに、彼女はイギリスの女王。でも、そんな、齢80歳になろうとする女性にそんなプレッシャーをかけなくても。エリザベス女王への内外からのプレッシャーの報道を読むたびに、彼女が王室の長で居ることへ、憐憫の情を覚えます。

 彼女の息子。今週土曜日、6日に、彼のゴッド・サンの一人(勿論、貴族の家系)と、アブラモヴィッチがイギリスに来る前はずっとイギリス一の金持ちだったデューク・オブ・ウェストミンスターの娘との結婚式に出席予定だったそうです。女王も、チャールズの二人の息子も出席。それが、今週になって、チャールズはドタキャン。表向き、現在イラクに駐留する軍隊の家族を訪問し励ます、というものです。
 が、報道によると、別の理由が。皇太子のパートナー、カミラ・パーカー・ボウルズ夫人も一緒に出席の予定だったけど、教会で彼女が座る位置は皇太子から遠く離れ、会場となる教会へも別々に到着するようにアレンジされたいたんだそうです。皇太子を招待したのは新郎側、夫人は新婦側からの招待だからこうなったそうですが。更に、カミラさんは、新郎の母親と犬猿の仲、だもんで彼女の処遇への不満や感情のもつれやらがあって、ボイコットすることにし、皇太子もそれに倣ったのだろう、というのが真の理由らしいです。皇太子のスポークスマンはこの件に関しては全くのノーコメントのようですが。且つ、カミラさんの息子が今週料理に関する本を出版するそうですが、そちらのパーティーには出席するそうです。
 この方は、「王様」になれるのかな、と。

 今日は、栗ご飯が食べたくなるような、いい天気でした。

「終わらせる」ということ

2004.11.04
親愛なる皆さん

 おはようございます。あと4年もブッシュが居るなんて、悲しいです。

 皆さんの日常からは、ちょっと離れた話題かもしれませんが。昨年の今ごろ、ロンドンの区の一つ、ケンジントン&チェルシー区が運営するメンタル・ヘルス・ケアサーヴィス部門のビフレンディング・スキームのヴォランティアとして活動を始めた、と書いたと思います。参加の理由は、カウンセリングの勉強の一環となるだろう、との期待からです。
 やってきたことは、至ってシンプル。区内でメンタルヘルスケアが必要とされる人を定期的に訪れ、彼らがコミュニティから隔離されたりしないよう、また彼らのコミュニケイション・スキルを伸ばすべく援助をする、というのが基本。最初の方からは「拒否」されたり、3月から訪問を始めた人も、温和な方なんですが、時折失踪などして、最初の数ヶ月は翻弄されっぱなしでした。でも、実際、このヴォランティア活動から学んだことは、沢山あります。ヘルパーとしてどうあるべきなのか、何ができるのか。

 実は、12月で契約が切れるので、なんか現在の自分の環境があやふやだし、何かが起きる前に意思表示しておこうと思ったのと、そう思いながらも、別のヴォランティアに参加するかもしれないので、更新しない旨をオーガナイザーの方には伝えました。今週の土曜日にその別のヴォランティアのインタヴューがあるんです。これは、HIVに感染した方、またその家族や友人を精神的に支える団体です。
 最初に書いたとおり、現在のヴォランティア活動(次のも同様ですが)に参加したのは、カウンセリングの為、と結構割り切った気分でした。それと、こういった、必ず「終わり」があるであろうマン・ツー・マンの活動を終わらせるときに、自分がどう感じるか、ということにも関心があるのも本音です。仮にカウンセラーになれたとして、僕か、もしくはクライアントの方が死ぬまで続くカウンセリングなんてありえないし。
 が、ここ暫く、担当している方のメンタル・レヴェルがかなり低空飛行を続けていて、今日になって、オーガナイザーから「止めることについてちょっと相談がある」、との連絡が。訪問している方を担当しているクリニカル・サイコロジストと精神科のドクターから、「続けられる可能性があるなら、続けて欲しい」、との要望があったそう。自分の中では、既に終わりに向けて心の準備を始めたにもかかわらず、なんか後ろ髪を引かれちゃうし、かといって、本当にこの活動にずっと携わったままになったらどうしよう、とか。再来週、精神科のドクター、オーガナイザーと打ち合わせです。
僕がやめたとしても、次のヴォランティアが何ヵ月後かには、その方を訪問することになるんですけどね。そう判ってはいても、悩みが増えちゃいました。

 すいません、皆さんを利用してしまって。なんか、日本語でこの悩みを発散したかったんです。

イギリスらしい、反骨精神

2004.11.03
親愛なる皆さん

 おはようございます。皆さんがこのメールに気付く頃にはアメリカの大統領は決まっているんでしょうね。

 で、恐らく今日、11月2日は世界中がアメリカ大統領選の行方に注目していたことでしょう。勿論、イギリスでも大きく報道されていますが、流石といおうか、こういうときに発揮される反骨精神は、イギリスらしい、と思う新聞記事がありました。
 The Guardian紙には、毎日「G2」というセクションに、周辺記事を深く追った特集が含まれています。今日のトップは、「Forget Bush and Kerry」というタイトルのもと、世界中で他にどんなことが行われるかを集めたもの。よくもこれだけ調べたもんだ、と呆れつつも感心しました。
 ランダムに。今日は、太平洋の小国、パラオでも選挙がある。何故だか知らないが、ベラルーシでは11月2日は「Remembrance Day」。DVDプレイヤーを持っていない人には忘れられない日、だって「シュレック2」のVHSが発売されたから。今日は、レイモンド・ブリッグスがデザインした「クリスマス切手」が発売。イギリス国内の小中学校のハーフタイム・ブレイクが終わって、子供達が学校に戻る日。90年前に、初めてイギリスの新聞にクロスワードパズルが掲載された日。果ては、チェスのチャンピオン、ボブ・フィッシャーが、今日、日本でなんかの取調べに応じる、だそうです。最後のニュースなんか、日本の新聞社のウェブでも報道されていなかったような。
 なんかこう、「アメリカの大統領選がなんだってんだ。世界では、こんなにたくさんのことが起きているんだぞ」、と。誇り高き、大英帝国の名残を感じずにはいられませんでした。

 イギリスの新聞だから、当然といえば当然ですが、アメリカ大統領選を差し置いて、The Daily Telegraph の一面で一番大きな記事は、イギリスの話題。何かと言うと、イギリス各地の幾つかの大学で、「おたふく風邪」が流行する兆しがあると。
 イギリスでは、MMRの予防接種が始まったのが1988年の終わりで、現在、18歳から24歳の若者、丁度、今の現役大学生の世代はそれよりちょっと早く生まれたので、おたふく風邪の予防接種を受けていない「空白の世代」に当るそうです。オックスフォード、ケント、マンチェスター、リーズ、ノッティンガムの各大学で感染者の増加が顕著で、一部大学では、寮の閉鎖や、感染した学生の隔離も検討されはじめたそうです。
 MMRって、なんか甚大な副作用があるとか、なんて記事を何度か読んだし、それがあって、予防接種を受けない権利云々が日本では議論されていたように記憶しています。でも、こういった報道に接すると、予防注射って、大切なんだな、と改めて思います。何かで読んだんですが、確か、歳いってからのおたふく風邪って、重病になる可能性もあるんですよね。大袈裟ですが、「おたふく風邪」の免疫が無い方は、暫くイギリスに来られないほうがいいかもしれません。

 面接に落ちまくっているこの機会を利用して、明日は「無意識」を扱ったエッセイの下書きを仕上げたいものです。
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白衣の天使がいなくなる?!

2004.11.02
親愛なる皆さん

 おはようございます。日本はまた休みですね。天気がいいといいですね。それと、新潟の復興が早く進むといいのですが。

 昨日、日曜日から冬時間。自分の体質の所為ですけど、年2回、この1時間の時差に身体を合わせるのに、たいてい2日かかります。今このメールを書いているのが午後8時。先週だったら午後9時だったので、そろそろテンションを下げて眠る体制に入っている時間でした。体内時計が頑固すぎるのか、本当に厄介。時間が変わるのって、そんないいことばかりじゃない、と言ってもたった数日のことですが。ちなみに、遅刻者が多く出るのは夏時間になったとき。

 昨夜、BBCのウェブでも速報記事が出ていましたが、今朝の新聞各紙の主要記事の一つは、深刻な看護婦不足。ここ数年、ヨーロッパ各国や、イングリッシュ・スピーキングの国(フィリピン、南アフリカなど)から積極的に看護婦をリクルートしているイギリスですが、まだ足らないそう。その上、2003年には、イギリス人看護婦や、せっかく雇用した外国人看護婦のうち約八千人弱がアメリカやカナダに渡っているそうです。何でも、合衆国も看護婦不足に悩んでいるそうで、2010年までに100万人の看護婦を採用する方針だそう。給与もイギリスに比べると格段にいい上に、言葉に困ることも無いですからね。で、そんな状況に待ったをかけるべく給与を上げたら、今度は病院経営がおぼつかない。出口が無いな。
 イギリス国内で働く看護婦も、家庭を持ったり、自分の時間を持ちたいということで、フレキシブル・ワーキングで働きたがる看護婦が増えていて、忙しいときに限って、看護婦が居ない、なんてことも徐々に起きているようです。それと、アメリカの給与水準がどれくらいかはわかりませんが、イギリスでは、看護婦や教師、消防士など社会の基礎をなす職種の給与水準が本当に低い。ロンドンだと、「ロンドン生活補助」なんて特別手当(だいたい年間40万円くらい)がありますが、生活費が世界一高い都市ロンドンでは、そんなのは焼け石に水。いつだったか、ロンドンで働く若い看護婦は、病院で週36時間働いてさらに、生活費を捻出する為・ローンを払う為に、スーパーのレジでアルバイトをしているなんて記事もありました。
 看護婦不足の理由の一つは、少子高齢化による人員不足もあげられています。が、あの激務で、特にロンドンで年収500万円弱では、例え理想を高く掲げても、燃え尽きてしまうのかもしれません。テレグラフの記事によると、昨年は3万5千人の看護婦が採用された一方で、定年も含めて3万人が職場を離れたそう。Royal College of Nursing も徐々に学生が減っているとか。
 日本は、言葉の壁が大きいから、外国人看護婦が急激に増えることは無いでしょう。でも、この看護婦不足も含めて、社会構造の歪みは他人事ではないと思います。

 冬時間になって暫くは、日の出が早くなるんですが、逆に日の入りは早まり、冬の到来を実感します。でも、明日は、クリスマス切手の発売。今年は、サンタの絵本で有名なレイモンド・ブリッグスがデザインしたもので、ほんわかしていていい感じです。楽しみ。


どんな調査でも、東京が世界一生活費の高い都市と報道されるけど、サーヴィスの質や生活環境の不便さを考えると、ロンドンが一番無駄に費用が掛かる都市、という気がする。追加記事で、男性看護士(24歳)がサンフランシスコの病院に転職する、ことが紹介されていました。給与は約2倍の、年収800万になるそう。更に、手厚い年金や、各種の福利厚生もあって、全体でみれば、収入は、イギリスで働くより3倍くらいになるんじゃないかと思います。
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