LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2006年12月の記事一覧

ゴシップ誌に見る60年

2006.12.25
親愛なる皆さん

 おはようございます。先週いっぱい、イギリスの航空業界を混乱に陥れた「霧」はなくなりましたが、灰色の空に覆われたままのロンドンです。最近、クリスマス前の買い出しだなんだとばたばたしていて、頂いたメールの返事を全くしていません。松が明けるまでには、返信します。

 フランス語を読めもしないのに、世界王室ゴシップの写真が見たいためだけに、とうとう「Point De Vue」誌の定期購読をはじめてしまいました。特典付きだったのも一因ですが。
www.pointdevue.fr

 金曜日に届いた最新号は、恐らく「2006年を振り返って」、ということでマイナーな王室メンバーの結婚式から始まって、現在の各国の王・女王の孫達の成長ぶりとか噂のカップル等々、王室好きにはたまらない完璧なつぼの押さえ方。感想は僕の勝手な思い込みですけど、例をあげると、スゥエーデンのヴィクトリア皇太王女の相手は将来の女王の旦那の器には見えないとか、オランダのベアトリクス女王の孫たちは、一目で彼女の孫とわかるほど強烈な目力を既に発しているとか、同じくオランダの皇太子の長女、アマリア王女、やっとお母さんのマキシマ皇太子妃に似てきてよかったよかったとか、ウィリアム王子とケイト・ミドルトンさんの婚約は来年あたりありそうだなとか。そんな中、一番興味深い写真が、ヨルダンの先王の(恐らく)奥さんのヌーア妃の写真と、クォンタム・ファンド(今でも有るんでしょうか?)のジョージ・ソロスの写真が隣りあわせで噂のカップルの特集欄に掲載されていたこと。仮にこの二人が恋仲で、結婚ということになれば、ジャクリーン・ケネディがオナシスと結婚したのと同じようなものでしょう。先週、ヨルダンの現国王のアブドラさんと、彼の奥様で4人の子供のお母さんとは思えないほど若々しいラニア妃が日本を訪れたそうですが、彼らには離婚の噂が立ち始めたらしいです。
 同じ号には、今年のノーベル賞の授賞式の式典の写真も。ストックホルムでの授賞式の写真では、スゥエーデンの王室メンバーが揃い踏みの写真が。相変わらず、シルヴィア女王のファッション・センスは素晴らしいです。残念ながら、どのデザイナーによるドレスだかは書かれていませんでしたが、三宅一生がデザインしたような、プリーツがふんだんにあしらわれた純白のゴージャスなドレスでした。
 平和賞の授賞式が行われたオスロの写真は、スゥエーデンと比べると、いたってシンプル。何でシャロン・ストーンが招待されたのか全く理解できませんが、式典の一部として披露されたバングラデシュの華やかな舞踊の写真もありました。更に、スペインのソフィア女王も出席していたようで、黒地(もしくは濃紺)に金糸の刺繍が施された大人の雰囲気のスーツ・ジャケットでした。ノーベル賞の式典なんて地味なもんだとばかり思っていましたが、侮れません。DVDで発売されたら購入してしまいそうです。

 定期購読の特典は、創刊60年を記念しての特別号が無料。流石に第二次大戦直後の創刊当時は、王室がらみの記事は少なかったようですが、エリザベス女王の即位の頃からどんどんロイヤル・ファミリーを取り上げることが多くなってきたようです。なくなったボードワン前ベルギー国王と奥さんのファビオラさんの結婚式の写真からは、先日のベルギー分裂騒動が嘘のような国を挙げてのお祝いぶり、新婚当時のベアトリクス女王のかわいらしいこと、壊れる前(言い換えると、グレース王妃の亡くなるずっと前)のモナコ王室の幸せいっぱいの家族写真、金輪際復活しないであろう、イランのパーレヴィ王室のメンバーの写真等々。フランスで発行されている小さな雑誌ですから仕方ないのかもしれませんが、日本の皇室の写真はあまり無かったです。
 最後の数ページには、各国王室の皇太子夫妻とそのお子さんの写真。馴染みのある写真、風景を見ると、世界各国の王室を取り巻く状況も、21世紀とともに変わりつつあるようなきがします。

 最後に、どうせ実現しないだろうから書いてしまうと。10年以上親交のある友人が、このクリスマス、ロンドンのチェルシーにある一軒家のハウス・シッティングを頼まれました。見においでよ、ということで行ってきました。なんといっても「チェルシー」にある一軒家ですから、普通の家(ダイニングとリヴィングをいれて、8部屋くらいでしょうか)とはいえ、一般人には買えるものでは有りません。
 当然、誰の家なのか興味津津ですから尋ねましたとも。曰く、「故ダイアナ妃の義理のお母さん、カウンテス・スペンサーだよ」、と。冗談だと思ったら、本当でした。ダイアナさんのお父さんが、ダイアナさんの実母の方と分かれたあとに結婚した方で、ダイアナさんや彼女のお兄さんとは血縁はなく、更にお互いいがみ合っていたそうで、ダイアナさんのお父さんが亡くなったあとは、ほぼ断絶しているそうです。
 友人がどうやって彼女と知り合ったのかよりも、「やった、彼女のインタヴューを取って日本の雑誌に売り込めば、学費の足しになる!」、こちらのほうが大事。でも、実現する可能性は、ほぼなさそうです。そうそう、彼女の家にも、Point De Vueが届いていました。

 多分、年内にまだメールを送ると思いますが、皆さん、楽しきクリスマスをお過ごしください。
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ワーク・ライフ・バランスの記事:イギリス

2006.12.15
これでもか、とお知らせしていた日本経済新聞の記事です。僕自身の第一印象は、「えー、あんなに駆けずり回って、記事になったのこれだけなのか?!」、というもの。まぁ、メディア関連にいながら、実際の取材のプロセスは知らないですから。

 実際に取材した中で、取り上げられなかったのは、グラクソスミスクラインだけです。HSBC、BT、グラクソすべてに共通していたのは、時間あたりのイギリス人労働者の生産性は、ドイツやフランスと比べるとかなり見劣りする。なので、EUがイギリスに強要している最長労働時間の制限をそのまま受け入れると、生産性のクォリティにおいて、イギリスはヨーロッパの強烈な競争市場から脱落する怖れがある、との点です。確かに、イギリス人は、けっこうだらだら働く傾向に有るように思います、特に最近。

 フランス、ドイツは携わっていませんが、状況が全く違っていて、大変、興味深かったです。元同僚の何人かが、ワーキング・マザーとして奮闘しているので、この記事で、少しは日本もかわっていくのかな、と淡い期待を。

 皆さん、良い週末をお過ごしください。

今日から、日本経済新聞に掲載されるそうです

2006.12.12
親愛なる皆さん

 おはようございます。先日の「移民」云々のメールには、日本にお住まいの日本人の方からは、感想は1通頂いたきりでした。逆に、Non-Japanese、海外在住日本人の友人からは、たくさん。面白いです。

 先日送った怒涛メールの一つ、「イギリス、ドイツ、フランスのワーク・ライフ・バランス政策」の記事が、今日から日本経済新聞紙で連載されるそうです。僕も記事をまだ送ってもらっていないのでどんな風になっているのか、興味津津です。

 それと、チャコット・ダンス・キューブの12月号もアップされました。是非、お茶の時間にでも。
 http://www.chacott-jp.com/magazine/around/uk_48.html
 現金なもので、素晴らしい作品を観ると、楽ではないですが、書くのが楽しいです。これで、もうちょっと原稿料が上がれば。

外国人の皆さんの意見:その2

2006.12.11
これは、ロンドンに来た当初に通っていた語学学校でお世話になったイギリス人男性(白人)の教師の方の意見。アーセナルの熱狂的なサポーターということを除けば、良い方です。僕より、5歳くらい若いかな。英語教師としては、何冊もテキストを執筆していて、日本にも販売促進のために行ったようだし、日本のサブ・カルチャーが大好き。まともな英語、かつ若い世代の意見ということで、けっこう面白いと思います。一部、ちょっと過激な形容詞が有ったので、それは自主規制しました。

僕は、イギリスを、ロンドンをインターナショナルな都市、とは思っていません。異文化間の交流なんて、言われているほどは無いように感じます。ロンドンは、マルティ・カルチャー、もしくはクロス・カルチャーな都市、という感じです。

このトピック、何通も送ってしまったので、これで終わりにします。読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

Subject: Re: Am I an immigrant?

Hi Koji

Thanks for this. Nice to hear from you as ever and good to know you're well and that your brain is still ticking along in its own interesting way.
This e-mail really made me laugh. Partly because of the xxxxx Japanese woman who thinks that just because she works here and pays tax, she's somehow not an immigrant. I don't know what reality she lives in, but the vast majority of immigrants here also work and pay tax, often doing really xxxxx, horrible jobs that white English people frequently avoid. She seems to bringing her own racism with her and also falling into the old colonial 'divide and rule' trap whereby immigrants who want to fit in here feel forced to look down on other immigrants, in a bid to be accepted.

My own feeling is that England is - and has always been - a nation of immigrants. There is no such such thing as '100% English' and anyone who lives here is entitled to moan a bit about things if they want to. I think it's a myth that there are millions of Eastern Europeans scrounging off the state - the vast majority come here for a few years to work, improve their skills and their English and then go home. Your friends who told you that if you're not happy with every single little thing here, then you should go back home sound like idiots with no experience of having lived abroad themselves and have fallen into the blame game trap.

London is the world in microcosm and for me, I have always - ever since I was a kid - felt like we all live in the world and we are all responsible for each other and nothing - not mad suicide bombers, not far-right BNP fascists, not common everyday throwaway racist comments - will ever make me change my mind!! I also feel that if you're born here, then you're English, regardless of where your parents are from.

Rant over!!!

Cheers for now,
H

外国人の皆さんの意見

2006.12.10
信頼を失わない程度に、情報公開を。国籍、年齢、もちろん個々人のバックグラウンド、それとそれぞれの友人たちとの交友関係がどのような状態にあるかによって、気楽な感じのものから、「仕方ないな、何にも知らない日本人の友人を教え導いてあげなければ」、まで。

 最初のは、アメリカ人の友人で、現在、恐らくトータルで日本に住んで約20年くらいの方です。年齢もそんなに離れていないし。勤めていた頃に、友人を介して知り合ったのは、約10年くらいまえです。

Koji,

What nice post!

An immigrant is someone who leaves one country permanently to live in another and usually changes citizenship. (They might go back for visits, but they do not intend to live in their home country permanently again).

I am living in Japan, but I am not an immigrant, although I have the right to live here as a "permanent resident".
I am an expatriate, someone living in a foreign country. I choose to, but others may not be living abroad because they want to. Often they are living in exile. This has a negative nuance. To expatriate can be negative when the government I involved. i.e. sent away.

one example.

adj. (-ĭt, -āt')
Residing in a foreign country; expatriated: "She delighted in the bohemian freedom enjoyed by the expatriate artists, writers, and performers living in Rome" (Janet H. Murray).

By the way, jobs and taxes are not at all linked to "immigrant". Intent to live permanently is the key. Maybe your friend can be called a "guest worker". Although I doubt she sees herself as such.

The Statue of Liberty stands close to Ellis Island in the harbor of New York. This island was the central immigration facility for the East Coast. Millions came by boat. The island has a fascinating history and Americans can go there and look up their ancestors to see if they arrived there by boat since it is all now a museum. The poem below is very 19th century, but the sentiment can be applied to Immigrants. It is very famous. By the way, the statue is holding a torch to light the way.

Maybe you qualify, tired, poor and tempest-tossed, perhaps homeless. You should buy a boat ticket and try America, although you could never be refuse (garbage)!

Put this on MIXI!

G

次は、フランス人ご夫婦の奥さんから。現在ブリュッセルに住んで約8年、でも、今月パリに戻ります。二人とも、ブリュッセルに移る前は、東京に確か5年くらい住んでいたはず。中国から、3人の女の子を養子に迎えています。

HI Koji

Very quickly. I disagree that being a foreigner in a country prevents you from complaining. Then only native would be allowed to do so! As long as you are able to criticise as much your own country I don't see why you could not complain about London Public transportation which are really bad -am I allowed to write that? ;-)

love,
f xx

3人目は、ロイヤル・オペラ・ハウスで3年前くらいに知り合った60代の男性。ロンドン在住。「カウンセラーなんて絶対に信用できない人種だ!」、と僕に面と向かって言うくらいあけすけな方ですが、「まともな」イギリス人だと思います。彼の英語は、堅苦しいかな。政府の外郭団体(科学系)の役員だったはず。

Dear Koji

Of course you are an immigrant – the definition is quite simple ‘One who migrates from their country of origin to settle in another country’. The same applied to my grandparents, who came from Russia, Poland and Czechoslovakia; and this immigration has always been a major factor in our UK history.

But why does the word Immigrant produce a negative reaction? Again, the answer is simple: the immigrant is seen by the native population as a threat, using the resources of our country, enjoying benefits paid for by the existing population, ’stealing’ jobs by being willing to settle for lower wages, occupying limited housing resources, imposing their different cultural values. There is also the suspicion that the immigrants come to the UK because they have been ‘rejected’ by their own culture; were possibly too demanding or difficult to be acceptable in their country of origin….

This effect can even be seen by the immigrant population: I heard a West Indian the other day complaining that the recent Polish immigrants were taking their jobs – a complaint that was of course made about the West Indians themselves when they first arrived here many years ago!

It seems to be a natural reaction – a genetic predisposition to be suspicious of, or dislike individuals who are from a different group – which is designed to protect the genetic integrity of the group. The same is observed in the animal kingdom in general.

Given, therefore, that we are genetically programmed to dislike immigrants, the answer is once more a simple one. We have to divorce ourselves from our natural dislike and suspicion of these strangers, and look instead to see the benefits they bring!

From one bloody foreigner to another, I hope that this helps!!

J

Fw: From Koji: Am I an immigrant?

2006.12.10
親愛なる皆さん

 おはようございます。

 「移民」という言葉でいろいろ思い浮かべたことがあって、この数日皆さんにどっと送ったものをちょっとづつ拾って、英語メールで送ったところ、思いもかけず、かなり面白い反応がきました。書いた甲斐がありました。あとで、non-Japaneseの友人たちから来た反論、異論は皆さんにも送ろうと思っています。生まれ育った国を離れるのって、面白い経験なんだ、ということを改めて実感しました。

 最近、英語を書く機会が減っていて、難しい単語を使えなくてなってきているので、読み易いと思います。なんと言っても、日本人が書いている英語ですから。それと、最後のほうに、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に掲載された、日本での英語教育への不満に関する記事のリンクもあります。これもまた、頷きながら読みました。

Subject: Am I an immigrant?

Dear All,

Hello, hope this mail will eventually make you smile.

To begin with, after I sent you my previous mail that I complained about the London Undergrounds, I received a sort of bitter feedback, like [I feel a bit offended by your e-mail. If you are not happy to live in our city, why don't you go back to Japan?]. Immediately, I realised that I did too much.

Since I was concerned about what I did, I asked one of my elder friends about what she would think about my e-mail. She said, [Koji, when you receive complain on Tokyo or Japan from non-Japanese, you would not be happy, would you?] That's right.

Then, she continued: [The UK attracts many people, which is now becoming one of the most serious social problems here. It would be good to think why so many people would like to come here.
[During 19th century, there were many British people whose significant achievements made the UK the strongest country. Considering this point, an important aspect on us is (was) that the British are eccentric.

I just said to her, [Sorry, but I cannot see your point].

[The majority of those who achieved the great things did them for the country. However, there were also those who did not do the things for the country, but only for themselves since they simply wanted to do. Consequently, what they completed made our country. Then, many people would like to come here. Those were eccentric and they were us. I do think that not only foreigners but also younger British may not be able to see this point]. I was not clear about her point, but she made me laugh. I like her thought about the British.


I guess that some of you have already known that there is a virtual communication network system, generally called [Social Network System], which idea was initially created and used in the States.

I use a Japanese one and it contains a particular community where we, Japanese, enjoy complaining about the British ill-social systems, such as the Royal Mail, BT and British Rails.
Some days ago, a Japanese woman living in the UK wrote that the UK is a peculiar country since they provide the enormous amount of social benefits to many immigrants coming from Eastern European countries and Middle Eastern countries. A Japanese man replied to her: [You are also an immigrant, aren't you?] She was furious and she attacked back, [I am not an immigrant since I have a proper job and pay tax in the UK].

Their debate is not what I think about. This is the first time that I have come to think: [Oh, I can also be seen as an immigrant from the British]. I have to tell you that there must be subtle cultural differences between immigrant in English and one in Japanese. [Immigrant] in Japanese always gives me a negative vision. This may be a reason that I did not see myself as an immigrant.

For the moment, I have been thinking where I will be in a few years times.
It is impossible to stop being a Japanese. I like my country.
However, I do also like the UK.

Since I arrived in the UK on 24th of December 7 years ago, I always become introspective at this time of the year.

I was given another interesting article about Japan.
http://www.iht.com/articles/2006/12/06/opinion/edkumiko.php
Occasionally, I feel that I would like to become the prime minister in Japan.

I do hope that this mail would give you a small laugh.

Have a nice weekend!

海外で暮らす上での自分の居場所

2006.12.09
HIV感染者の支援団体、テレンス・ヒギンス・トラストでヴォランティアをしていることについて、「どうして、HIVに興味が有るの?」、とたまにロンドンで尋ねられます。第一の目的は、カウンセリングを勉強していく上で、自分にとって有益な経験が得られるのでは、ということが有ります。そして、ヴォランティアとして活動していく中で折にふれて考えて来たことは、性別、年齢、国籍、何もかもが違うにもかかわらず、サポートしている皆さんの苦悩と、僕自身がロンドンでの暮らしの中でぶつかる壁と重なることがあるからです。

 先日、入院していたホスピスまで訪ねた方は、結局、テレンス・ヒギンスのヴォランティアがサポートできないほど困難な状況になってしまったのと、本人が精神的なサポートよりもより現実的なサポートが必要と要求してきたので、双方合意の上で、サポートを終了しました。ヴォランティア活動とはいえ、サポートしてきた方がどんな人だったかを書くのはルール違反ですが、この方のサポートを通して、僕本人が考えさせられることがたくさん有ったので。
 Rさん、丁度50歳の女性です。1989年までは男性でした。見た目は本当に女性ですし、最初に会ったときから、「私を男性とは見ないで欲しい」、と何度も念を押されました。HIV陽性で性転換をしたということで、本人の予想をはるかに超える差別、もしくは村八分状態が続いてきたんだと思います。本人はそんな中、「普通の女性として受け入れてほしい。望むのはそれだけなのに」、と何度も口にしていました。
 最後の数回は結果として病院での面会になりました。車椅子でしか移動できないほど弱っていても、屋外に連れて行ってほしい、と。そして屋外に連れ出すと、人が集まっている所に行きたがりました。そこでは、にこやかに、でも必死に、何とかして他の人と話そうとするのですが、ある意味凄みがにじみ出ている彼女と話そうとする人は皆無でした。
 イギリス人ではありませんが、欧州系白人(つまりマジョリティ)の彼女が、同じ白人の中に受け入れてもらいたいという必死の想いと死に物狂いの努力は、見ていてとても切なかったです。それと、彼女を訪問するたびに、僕にとっては、自分の中に存在していたことすら知らなかった根拠のない偏見との戦いでも有りました。

 この2年、大変お世話になっているソーシャル・ネットワークの一つ、ミクシィの中に、イギリスの悪口を言うコミュニティが有ります。勿論、参加しています。
 最近、ある一つのトピックの中で、恐らくイギリス在住で、恐らく女性と思われる方が、「東ヨーロッパや中東からの移民にまで生活保護を与えるイギリスはおかしい」、と書き込んだのに対し他の方が一言、「でも、貴方だって移民でしょ」、と。
 僕は、初めて「そうか、僕も移民なのか」、と思いました。ロンドンで、誰からも「君は移民でしょ」なんて言われたことはないですが、何で今まで自分も移民と思われることがあることを考えたこともなかったのか、それが自分のこととはいえ不思議でした。無意識に、「自分は移民ではない」、と思っていたことが不思議でなりません。ちなみに先の女性の反論は、「私は税金もきちんと払っているから移民じゃないです」、でした。

 僕は日本を捨てたつもりはないし、いつかは戻ると思っています。反面、日本での暮らしをやめ、ロンドンでの生活を自分で選んだのは、何を求めたからなのか、自分はどこに行きたいのか、なんて。

 ロンドンに到着したクリスマス・イヴが近づくと、いろいろ考えることがたくさんあって。そしてこんなメールを受け取ってくれる友人が居ることは、つくづく幸せなことだと思います。

 残る一つは、またイギリスへの愚痴です。皆さん、良い週末を。

DOBRAは新しいロンドンの挨拶

2006.12.09
親愛なる皆さん

 おはようございます。日本でも報道されたようですが、木曜日にロンドン北西部の住宅街で起きた竜巻には驚きました。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/london/6217514.stm

 ポーランドがEUに加入して以来、イギリスに移住し、仕事に就き定住するポーランド人の数は、イギリス政府の予想を遥かに上回る数になっている、というニュースを聞いたことがある方はけっこう居るのではないかと思います。リトアニアからの移住者も多いようですが、ポーランドは群を抜いています。ロンドンに限ると、ハマースミス、キルバーン、イーリング・ブロードウェイの3地域にかなり大きなポーリッシュ・コミュニティができています。
 パート・タイムでアルバイトしている会社にもポーランド人の同僚が常に3人から4人います。彼らの仕事振りは丁寧だし、英語も上手。そんな状況で、彼らの会話を聞いて覚えたのが、「ドブラ、Dobra」、no problemの意味合いで使われることが多いそうです。これが、アルバイト先に限らず、地下鉄、バス、オックスフォード・ストリート等の繁華街、どこに居ても、あっちでドブラ、隣でドブラという具合に耳にしない日はないくらい。

 あまりにも多くのポーランド人が来てしまって、そうなると、そここで色々な事がおきています。まず、来年1月にEUに加入するブルガリアとルーマニアからも多くの労働者が流れてくることを危惧したイギリス政府は、両国民がイギリスで就職するときの条件を厳しくしたそうです。それと、どんなコミュニティでも起こりうることだと思いますが、ポーランド人コミュニティが拡大するのに伴い、イギリスで暮らしながら英語を喋らなくても生活していける条件が出来上がってしまって、英語を喋れないままイギリスに来て、ポーランド人コミュニティでしか暮らそうとしないポーランド人も増えているとのこと。
 同僚は、全員僕より若いですが、できる限りコミュニティには近づかない、住む所もポーランド人がまだそんなに居ない場所を選んでいます。何故かというと、「ポーランドに戻れば、嫌でもポーランド人しかいないし。イギリスに来てポーランド人とばかりつるむなんて、イギリスに来る意味がない」、だそうです。それと、彼らと話していて感じることは、特に若い世代には、現在ポーランドを牛耳るカチンスキー兄弟(大統領と首相)の存在が耐えられないようです。

 ポーランド人全てがいい人、なんていう気はないです。幸運なことに、周りのポーランド人はみな良い方ばかり。
 チェコ、もしくはスロヴェキアの可能性もありますが、ロンドンで、「ドブラ」と何度も言っている人を見かけたら、9割方ポーランド人でしょう。

ワーク・ライフ・バランス

2006.12.07
先月ロンドンを訪れた友人の取材目的は、Work-Life Balance政策についてで、特に働く女性を政府が、そして企業がどのように仕事に復帰できるように支援しているのか、ということでした。長いですが、下記の資料が参考になると思います。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2005/documents/05-008_02.pdf

 こちらの友人たちには既に愚痴りましたけど、アポ取りは困難を極めました。「担当者が病欠」から始まり、「担当者は僕だし、インタヴューについては問題ないんだけど、明日から休暇なんだ。だから、他の人に頼んでおいたから、この人と相談して」。で、その頼まれた人も休暇中。そりゃね、いきなり日本人からインタヴューの依頼を受けて休暇を変更する必要はないでしょう。でもね、せめて、「YESかNOか言えよ。何も決められないだろー」、と電話を握り締めること数十回。友人はロンドンの後ベルリンに移動したのですが、ベルリンでのアポは全て日本のドイツ大使館がお膳立て。アポ取りのアクションを起こして二日で全て決まったそうです。僕は、最後のアポ、以前書いた「暗黒の月曜日」にBTのイプスウィッチの研究所に行くアポは、前の週の金曜日、BTのディレクターに会う直前で漸く決まりました。これも、諦めかけた友人が最後の手段として、BTジャパンから圧力を掛けてもらったおかげです。通訳は興味深い経験でしたけど、イギリス人相手のコーディネイターは二度とやりたくないです。そうそう、イプスウィッチには行けました。

 この単発の仕事の依頼が来るまで、そんな政策をイギリス政府がやっているなんて知りませんでした。この仕事を頼まれなければ訪れることもなかったであろう企業、会うこともなかったであろう人に会え、話を聞けたのは、イギリスでカウンセリングを学んでいる自分にはとても役立つ経験でした。
 特に印象深かったのはBT。セント・ポール大聖堂のそばにあるBTのメインビルの内部は、僕が日ごろ戦いつづけているBTのそれではありませんでした。イギリス全土から毎日訪れる従業員が、好きなときにビルに来て好きなときにコンピューターにアクセスできる環境。インタヴューしたディレクターの方の話では、BTが優秀な女性従業員が産休から戻りやすいように取り組み始めたのは、1960年代から。BTはフレキシブル・ワークに関しては、イギリス国内ではリーディング・カンパニーなんだそうです。その政策は、現在では女性にとどまらず、家族介護についても積極的に取り組んでいるとのことでした。フレキシブル・ワーク、もしくはパート・タイムで働く正社員は、全従業員の7割に達するそうです。
 日本と共通するのは、この政策を推進するのに最も大変だったのが、中間管理職にフレキシブル・ワークがどれだけ会社の収益に貢献するのか、ということを理解させることだったそうです。中間管理職が最も恐れたのは、自分の部下がフレキシブル・ワークで働くと、自分の部署の業績が下がり、引いて自分の評価が下がる、という点。ある銀行では、社内でステイタスが上がるほど、事実上、フレキシブルに働くのは困難になってきているそうです。

 今回の通訳の経験、自分としてはけっこう上手いこといったと思って、「漸く自分の英語も、プロフェッショナルにも通用するようになったか」、とかなりいい気分でした。が、書く仕事だけでカウンセラーになるための学費を稼ぐのは難しい感じなので、数日前にある事務職のインタヴューを受けた時に、「ロンドンに7年住んで、英語、そんなもんなの?」、と言われました。日々、研鑚あるのみですけど、むっとしたのも事実です。見返してやる。

 あと三つ有るんですが、別の機会に。

格差社会、ロンドンのもろもろ

2006.12.07
社会を考える上で僕の基本スタンスは、資本主義的社会主義社会。これが幻想だということは承知しています。が、日本でも同様のことがおきつつあるのではと思っていますけど、イギリスでは収入格差が確実に存在すると言う事実を暗黙のうちに受け入れ、かつその結果取り残されるのは「もたない」階層の人ばかり。
 この秋、イギリスで大きく取り上げられた、経済、及び社会ニュースがあります。フェアパックという、日本風に言うならクリスマスの為に資金をプールする互助会のようなシステムを運営していた会社が破綻しました。このシステムにお金を預けていた多くの人は、「持たない」階層に属しています。そして、何も戻ってきません。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/wiltshire/6115626.stm
 結局、私腹を肥やしたのは、フェアパックが集めた資金を元にマーケットで更に利益を得た銀行(今回の場合、Halifax)と会社の幹部達。政府は救済に乗り出しているようですが、肝心の銀行側が彼らに責任はない、と突っぱねているので、クリスマスを楽しみにしていた何十万というイギリス国民が、社会から取り残され忘れられていくのでしょう。ディケンズがこのことを予想していたら、「クリスマス・キャロル」はどんなストーリーになっていたのかな、と。

 ロンドンの地下鉄が、再び値上げされます。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20061203k0000m030028000c.html
 僕が使っているゾーン1&2の年間定期(オイスター・カード)がもうすぐ切れますが、これが£888-。1ポンドを230円で換算すると、20万円を超えます。ゾーン1&2って、おおよそ東京23区の範囲だと思うんですが、高いのかリーズナブルなのか、判断しかねます。

 イギリス暮らしで、BT、ロンドンの地下鉄と丙丁つけがたいほど酷いのはロイヤル・メイル。たった一つ、ロイヤル・メイルのいい所は、記念切手。来年1月9日にビートルズの記念切手が発売されます。
http://www.royalmail.com/portal/stamps/jump1?catId=32200669&mediaId=32300674

http://www.royalmail.com/portal/rm/shop?catId=9300091&pageId=shp_prdlist&category=cat41450006&gear=shop

 一応、決まりとして王室のメンバー以外は、生きている人物の肖像写真は使われません。だからでしょう、一つはビートルズの過去のアルバムからジャケット写真が使われています。ウェブ上だとわかりにくいですが、2種類発売で、もう一つは、何かビートルズに関連する何かをあしらったもののようです。
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資金集め:ロイヤル・オペラの場合

2006.12.07
10月下旬に、ロイヤル・オペラ・ハウスのデヴェロップ部門のある方から、メールが届きました。

 「ロイヤル・オペラのエレイン・パドモアから、11月15日のレクチャーの招待状がすでに届いていると思います。ぜひ出席してほしいので、出席の有無を知らせてください」、とのこと。そんな招待状は届いていなかったし、招待される理由も思い浮かびませんでしたが、「ロイヤルが勝手に間違ったんだから」、と招待状の再送を頼みました。
 これで間違った人間にメールを送ったことに気付いて何も届かないだろうな、と思っていたら手紙と招待券が2枚。手紙には、その夜は、ロイヤル・オペラのトップ、パドモア女史によるオペラ、「The Tempest」のレクチャーとオーケストラの首席打楽器奏者の方によるデモンストレイションがあるとのこと。テンペストについては、こちらを。
http://info.royaloperahouse.org/season/index.cfm?ccs=985&cs=2762

 無料だし、軽食とドリンクが出る、ということだったので、時折美味しい夕食を食べさせてもらっているW夫人を誘って出かけました。彼女は最初の旦那さんが、イギリスの60年代ブルース・ロック草創期の大御所バンドのリーダーだったので年齢に似合わず、ポップ・ロック音楽界への理解は深いです。が、ロイヤル・オペラ・ハウスに最後に行ったのは、思い出せない大昔といつも言っていたので、偶にはいいだろう、と。あと、女性差別かもしれませんが、W夫人の立ち居振舞いはとても颯爽としているので、なんか難しいことが起きたら彼女が守ってくれるだろう、との計算もちょっとありました。

 オペラやバレエを観るときですら着ないジャケットを着ていって正解でした。会場になったロイヤル・オペラ・ハウスの最上階にある、通常はバレエのリハーサル用のクロア・スタジオに案内されました。ベンチの上には、何かの資料が。それを取り上げて一番上の紙を観た途端、「まずい、来るべきではなかった」、と。11月15日の催しは、来年3月に上演される「テンペスト」への寄付を募るイヴェントでした。何故、招待状が来たのかも漸く判りました。2年前だったか、シルヴィ・ギエムのサインつき写真ほしさにロイヤル・バレエに寄付したんです。恐らくそのリストから拾われたんだろうな、と思いましたが正解でした。
 まぁ、ちょっとどきどきしつつ来ちゃったし仕方ないなと。資料によると、寄付の金額は£100からになっていましたが、ロイヤル・オペラ・ハウス側としては、希望最低寄付金額は£5,000でした。資料を読みふけっていると、夫人が「KOJI、気付いた?」、「なにを?」、「白人じゃないの貴方だけよ。それと、貴方が最年少みたいね」。で、振り返って他の参加者を観察すると、彼女が言った通りでした。思いました。21世紀になっても、オペラって、西洋の文化なんだな、と。

 パドモア女史とオーケストラの方による話はとても面白かったです。新作オペラにどれだけの費用が掛かるのか、それでもロイヤル・オペラ・ハウスは少なくとも2年に1作は新作オペラを上演したいに始まって、プッチーニやヴェルディばかりを取り上げることに批判があるのは承知しているけど、商業施設として資金だって稼がなければならないし、人気オペラが稼いでこそ新作オペラに向ける資金を得ることができるとか。打楽器の方は、生きている作曲家との共同作業の楽しさ、難しさ。それと、3年前の「テンペスト」初演の時に、作曲家のトマス・アデスから要求された音を出すための楽器を求めて東奔西走したことなどを。

 で、二人の話が終わって、その夜のメイン・パートが始まりました。まさしく、参加者が逃げないように、ロイヤル・オペラ・ハウスの担当者たちがさりげなく入り口付近に立ちふさがり、ロイヤル・オペラ・ハウスの支援者と思しき女性が、「寄付をしていただければ、こんな特典がありますよ」と熱く語り始め、最後に「どうか、この場で寄付の確約をしていってください」、と。何人かは、小切手を切っていました。

 W夫人を連れてきて、結果として正解でした。ロック音楽界、美術界のこういったパーティを数え切れないくらいこなしてきただけ有って、近寄ってくる担当者との話の主導権を握り、話を絶対に寄付の方向へもって行かせませんでした。彼女が話している間に、僕は優しそうな担当者にチャコットの記事を見せて、「ロイヤル・バレエの広報担当者がモニカ・メイソン女史へのインタヴューを許可してくれないんだけど、どうか働きかけてもらえないでしょうか?」、とコネクション作りに集中できました。そんな中、ある女性が僕を目指して近づいてくるのが判りました。

 「MORIYAさんですよね。ロイヤル・バレエへの寄付、ありがとうございます」。
 「なんで僕だってわかったんですか?」
 「シルヴィのサインを頼んできた方ってそんなに多くないんです。その中でも、貴方だけは、写真は絶対にこの演目で、って指定して来られたから覚えていました」。

 カナッペはとても食べられたもんではなかったですが、最近、ロイヤル・オペラ・ハウス・ブランドのワインを精力的に販売しているだけあって、ワインは美味しかったです。

イギリスを学ぶ

2006.12.07
前述のK夫人、既に自宅静養中。外出できない、子供がいない、海外での生活が長かったのでロンドン在住の近しい友人がそんなにいない、ということが有るからでしょう、「外国人」の僕が訪れることをそれほど嫌がっても居ないようなので、彼女の体調がいいときは訪ねてぼくが喋りまくることもあれば、彼女の話を聞いたりしています。

 これまでも幾度となく、面白い話を聞いてきましたが、つい最近、「これが、外国人が理解できない、イギリス人がイギリス人たる所以なんだな」、ということを聞きました。

 前のに書きましたけど、最近、ロンドンの交通機関、ロイヤル・メイルと立て続けに我慢しがたいトラブルを経験したので、つい英人の友人たちに盛大に愚痴ってしまい、不興を買いました。そのことを夫人に話した所。
 「貴方だって、日本に居る外国人に日本のことを悪く言われたら、嫌でしょ。それと同じ。でも、深刻に受け止めないようにね。貴方の友人たちが、貴方を日本に追い返したいなんて思って居ないはずよ。
 「貴方のその友人が指摘したように、イギリスは多くの外国人をひきつけているし、それが現在、大きな社会問題になっている。でも、じゃ何故イギリスがそれほど多くの人々をひきつける国になったのか、ということを若い人は判らないのではないかと思う。私が思うのは、イギリスを強大な国にした一つの特徴は、昔のイギリス人はエキセントリックだったからよ」。

 「すいません、意味がわかりません」。

 「19世紀後半にイギリスが大きな力を持つ国になったのは、多くのイギリス人が成し遂げた功績によるもの。でも、そのうちの何人かは、その功績を国のために成し遂げたわけじゃない。彼らは自分がしたかったことの結果としてその功績を残したの。They did want to do their things only for themselves, not for the country. They did not think about the country。それがイギリス人のエキセントリシティだし、それがイギリスという国を創り上げたのだと思うわ。残念だけど、そんな人はもう居ないわね」。

 ほほー、と思いつつも、しっくり来なかったので、月曜日に別の友人、W夫人の所で晩御飯を食べさせてもらった時に、「こんな話を聞いたんだけど、判る?」、尋ねた所、にっと微笑んで、「やっぱり同じ世代よね」、と。
 「勿論判るわよ。イギリス人はエキセントリックなのよ。19世紀から、20世紀の中ごろまではそんな人がたくさん居たし、彼らがしてきたことが、今多くの人をイギリスに惹きつけているんだと思うわ。
 「でも、イギリスだって変わってきている。例えば、今じゃ普通に親子でハグしたりキスしたりするけど、そんなことが当たり前になってきたのは、この15年くらい。アメリカの影響ね。50年前のイギリスでは、つまり私が若かった頃には、親子でハグするなんて考えもつかなかったことよ」。

 知らないことは、まだたくさん有ります。
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ある、NHSに関する経験

2006.12.07
親愛なる皆さん

 こんにちは。クリスマスと幻想の£高に踊らされて、多くの人がお金を使いまくっているイギリスです。

 先月経験したロンドンの公共交通機関に酷さを愚痴った英文メール(2ヶ月に一回くらい)を送ったら、二人の英人の友人から「そんなにロンドンのことが嫌いなら、日本に戻れば」、と言われてしまいましたが、懲りません。

 既に何らかの形で現状をご存知の方もいらっしゃるかと思います。イギリスの医療機関、NHSの評判の下落はとどまる様相が見えません。「あ、この膿が出たら、底かな」、と思うと翌週には新たなスキャンダルが。イギリスでは、できる限り病院の世話にだけはなるまい、と思ったことが今年ありました。

 観光客のときに友人を介して知り合ったK夫人という友人がいます。現在、70代前半と決して高齢、というわけではないですが、20年前に患った大病の所為で特にこの1年で、体力が落ちています。けっこうご近所なのと、彼女の話を聞くのが楽しいので、週に1回くらい訪れています。

 今年の9月に入って、夏の疲れが出たのか夫人の体力ががくんと落ちたのは気付いていました。数日、電話をしても二人とも不在のようだったので、心配でした。で、漸く旦那とはなすことが出来たら、かれ曰く、日曜日の午後に、夫人が猛烈な痛みに襲われたので、ある病院の緊急病棟に入院しているとのことでした。
 二人にはお子さんがいないので、「何か有ったらすぐに連絡して」、と伝えてはあるんですが、気が動転してしまっていたようでした。夫人が運ばれたのは、ロンドン中心部の病院の中でも、「一応」評判の高いSt Mary's、しかも最新の病棟。NHSの評判は悪いけど、そんなに酷くはないだろう、と彼女が入院して3日目に訪ねました。
 相部屋、というか大きな会議室のような部屋にベッドが並べられているだけ。勿論カーテンの仕切りは有るもののプライヴァシーも何も有ったもんではなかったです。見舞いの人間はおろか、病人まで携帯電話かけ放題。部屋自体は清潔でしたが、何人かの看護婦の英語はよく判りませんでした。
 結局、その後の6日間、彼女が別の病院に移るまで毎日見舞いに行きましたが、彼女の見た目は、日を追って悪くなるばかり。心配で行かずには居られませんでしたが、彼女のむくんだ手を取って話を聞いているとき、「お願いだから、このまま息を引き取るのだけは止めて」、と心の中で祈っていました。
 彼女の話には驚くばかり。まず、救急車を要請して、来たのが電話してから2時間後。更に、病院に運ばれて待合室のような所に夫婦だけで取り残されて、医者が彼女を診察したのは4時間以上も後だった、と。入院した後は、若い医者がこれでもかとくすりを飲ませようとする。彼女曰く、「彼らは患者の話を聞いてくれないのよ」、と。
 彼女の旦那が、これ以上病院にいても良くならないから、かかりつけのプライヴェイトの病院に彼女を移した途端、彼女の症状は見違えるほどよくなりました。

 別の例。アルバイト先のポーランド人の同僚が、右足親指の巻爪に悩んで、地元のGPに行き、きちんとした手術を受ける為に、King's College Hospital(これまた優良なNHS)での予約を確定させるも2ヶ月先。手術の翌日に、どんなだったかを説明してくれました。
 驚いたことに、手術用の簡易ベッドに彼が横になってまず医者から言われたのは、「今日の手術では麻酔を使えません(恐らく予算がないから?)。もし、麻酔を使った手術を望むなら、最短でも、6ヶ月待ちだから。麻酔なしでやりますか?それとも6ヶ月待ちますか?」、と。同僚は麻酔なしを選びましたが、気絶しそうだったそうです。

 ところで、基本的にNHSは、歯科医療を除いて無料です。でも、お金さえあれば、最先端の診療を有料で受けることもできるんだそうです。
 更に別の友人。サウス・ケンジントンに住むこの友人、2年前に超初期の前立腺癌と診断されました。そのことを聞いてしばらくしたあと、お茶した時に治療はいつから始まるのか尋ねたところ、もう始まっている、と。NHSってそんなに対応早かった?、と重ねて尋ねたら、「だって、僕は自分で払うから、待つ必要なんてないんだよ」。収入の差別が、こんな所にまで。
 余談ですけど、最新の人口調査で判ったことは、ロンドンのケンジントン&チェルシー区(サウス・ケンジントンのあるところ)はイギリス国内で、男女とも平均寿命が国内最高。国内最短の平均寿命を誇るスコットランドのグラスゴウには10歳以上の差をつけてぶっち切りだそうです。イギリスで、健康に老後を過ごすにはお金が必要なんだな、と。

 ぽっかり時間があいたので、書こうと思っていたことをどどどっと送るかもしれません。毎日、一つづつお読みいただければ、と。
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