LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2007年06月の記事一覧

パーティー@ハウス・オブ・コモンズ(下院)

2007.06.29
先週の水曜日、6月21日に、友人の一人がオーガナイザーをつとめる、ゲーリック文化の中の、スコティッシュ音楽のワークショップのお披露目パーティーに、ただ一人のオリエンタルとして参加してきました。
http://www.feislondon.org/

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-489.html

 行く前は、「お堅い下院でのパーティーとはいえ、エル・マクファーソンとはいかないまでも、なんかこうきらびやかなイヴニング・ドレスを纏った女性が優雅にシャンペンを飲んでいる」パーティーを想像していました。期待は見事に裏切られました。
 部屋は、議場とはまったく別の棟にある、なんだかちょっと古ぼけた部屋。フィドルやアコーディオンを恥ずかしそうに、でもすばらしい音楽を聞かせてくれた女性達の他は、平均年齢はどう見ても50歳以上。友人の奥さんに、「シャンデリアを期待していたのに」、とチョッと愚痴ってしまいました。

 が、そこはやはりスコットランドの威信をかけたイヴェントであり、場所は埃っぽい部屋とはいえ、ハウス・オブ・コモンズの一部、出されたカナッペや軽食、ワインの美味しいこと。更に、給仕をする皆さんのマナーが、これまでロンドンで見てきたどの給仕より洗練、かつおしつけがましくなく好感が持てました。
 パーティー会場は、それこそ9割がスコットランドの皆さんでした。皆さん、熱くスコットランドの文化を語ってくれるんですが、いかんせん、訛がきつくて耳をチューン・アップするのも大変でした。話を聞いて判ったのは、ゲール文化って、本当に世界中に散らばり根を下ろしているんだな、ということです。

 スコティッシュやアイリッシュ音楽は、ポーグスやチーフタンズ、またMen They couldn’t hangという素晴らしいバンドの影響で一時期かなりはまっていたので、久しぶりに耳にする本物のスコティッシュ音楽には聞きほれました。CDなどで聞くものだと、マーケットを意識したものになりがちで、地域に根ざした、人々の生活の一部になっているような音楽を聞く機会はあまりないと思います。披露された音楽は、人の生活のペースに寄り添っているような、とても懐の深いものばかりでした。また、アコーディオンを弾いていた女性が、無伴奏のまま地声で静かに歌いだすと、さびの部分では会場中が合唱。2曲歌われたんですが、けっこう低い地声で、且つゲーリックで歌われたこの曲を聞いていたら、なんの関連もないだろうに、沖縄の島歌をふと思い浮かべてしまいました。

 友人は彼のコネを使ってスコットランド出身の政治家に、ちょっとだけでも顔を出して欲しいと頼んだそうです。ということで、念願かなって首相になってゴードン・ブラウンも来るかもしれない、と聞いていたのですが、残念ながら、彼はそのときは他の場所で会見中でした。一人現れたのは、過去にアルコール依存症だったとかで、リベラル・デモクラツのリーダーの座を追われたチャールズ・ケネディのみ。僕にとっては、彼が初めてなまで見るイギリスの政治家でした。ちなみに、一切アルコールには手をつけていませんでした。

 主催者と話したところでは、まだ集まりが鈍いようです。ここでも、類型的ですが、「日本人の皆さんは、スコットランドの文化を知ることにとても熱心だし礼儀正しいから、参加して欲しいな」、とのこと。なので、「スコットランドに行く余裕はないけど、何かしらスコティッシュな経験をしてみたいな」、と思っている方が周りにいらっしゃるようでしたら、どうかこのイヴェントを紹介してください。はっきりいって、この参加費でロンドンに泊まれて、3食つきというのはバーゲンです。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/
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イギリスの豪雨被害

2007.06.27
4月が素晴らしい好天続きだったつけか、今月、イギリスの天気は最悪。過去2週間は特に集中豪雨がゲリラ的にイギリス各地を襲っている。下記のリンクが、先週末、被害が酷かったヨークシャー各地の写真。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/in_pictures/6240038.stm

 これも温暖化がもたらした世界の天候のバランスが崩れた結果なのか。地理的要因はもちろん忘れてはいけないけど、同じ島国でありながら、少雨に悩む日本、普段でも湿っているイギリスにこれでもかの雨。日本にこの雨を送り込んであげたい気分。

 

沖縄の悲しみはいつまで

2007.06.26
勝手に、第2の故郷と思っている沖縄。太平洋戦争の頃、日本軍がどれだけの非道を沖縄でしたのかは、正直な所、知るのが怖い。でも、いいかげん、繰り返しこんなニュースを見るのは悲しい。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/6229256.stm

「沖縄を返せ」(返還運動が盛んな頃に歌われたもの、だったはず)
固き土を破りて、
民族の怒りに燃ゆる島、沖縄よ。
我らと我らの祖先が血と汗をもて
守り育てた、沖縄よ。
我らは叫ぶ沖縄よ、我らのものだ沖縄は。
沖縄を返せ、
沖縄へ返せ。

6月25日のニュース

2007.06.25
 おはようございます。イギリスは、集中豪雨の影響で、各地で甚大な洪水の被害が出ているようです。日本は渇水になりそうだというのに。

 先週はずっとアスコットとグラストンベリーのロック・フェスティヴァル、そして身を退く往生際の醜態を未練がましくさらし続けているブレアの話題ばかりで、今ひとつ食いつきたい話題がありませんでした。が、今日は、大きな話題ではありませんが、いくつか興味深いニュースがありました。

 まず、デイリー・テレグラフ紙のほんの囲み記事ですが。

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/06/25/nroyal125.xml

 破局の報道がされてからずっと、メディアの狂騒を欺く為、との憶測が流れているウィリアム王子とケイト・ミドルトン嬢。全国紙にこんなニュースがでるということは、もしかすると、ダイアナ妃が事故死してから10年のこの夏が過ぎたあたりで、「実は愛を育んでいました」、なんてニュースが流れるかもしれないのかな、と。ま、どうなるか判りませんが。
 ウィリアム王子に関しては、もう一つ話題があります。先週25歳の誕生日を迎えたことに伴い、ダイアナ妃が二人の息子に均等に残した遺産を自分の意思で使うことができるようになったそうです。本人は、陸軍士官として、年に約550万円の収入の他に、国からと、チャールズ皇太子からの支給があるので、当面は手をつける必要はないだろうし、本人も使う意思はないそうです。ダイアナさんがえらかったのは、遺産の運用を彼女が信頼し、且つダイアナさんと両王子を決して裏切らない人に託したこと。それにより、遺産総額は、けっこうな金額になっているようです。

 次に、ロンドンの夕刊紙、イヴニング・スタンダードから2題。一つ目、マドンナが、彼女のお気に入りのMaryleboneエリアにまたも家を購入。これで、ロンドンにある彼女の家は6軒目だそうです。マリルボーンは、オックスフォード・ストリートからちょっと外れただけにもかかわらず静かな通りが残っていて、いい雰囲気のエリアです。なので、マドンナが、このエリアでどんどん家を購入すると、それにつられて地元の雰囲気が壊されてしまう宅地開発が進んでしまうのではないかと。このあたり、ミューズ・ハウス(日本風に言うと長屋なのかな、でも違う気が)が建てられているちょっと秘密めいた感じの細い通りが幾つもあって更に治安が良いので歩き回るだけでも楽しいエリアです。マドンナが気に入る理由も判らなくはないですが、今後がかなり気になります。
 マリルボーン・エリアは、ド・ウォルデン・ファミリーが大地主のエリア。このファミリー不動産会社は、エリアの中心にあるマリルボーン・ハイ・ストリートの付加価値を高め、それにより所有するエリア内の不動産の価格が上がることにとても熱心です。そんなことも有り、僕がこの通りから一本入った所に住んでいた頃は、文房具屋などの普通の店舗がかなりあったのですが、今ではお洒落な店ばかり。特に飲食店は、ここで成功すればロンドンでの成功は約束されたも同然らしいので競って回転したがる、という話を聞いたことがあります。
 更に、高級スーパーのウェイトローズの裏にある駐車場で毎週日曜日に開かれるファーマーズ・マーケットは、ロンドンのファーマーズ・マーケットの中でもだんとつという評判を集めていて、著名な料理家がいつも来ているそうです。このマーケットは観て回るだけでも楽しいですから、ロンドンに来た時に是非。うろ覚えですが、この駐車場の借地権が残り数年らしいので、数年後にはなくなっているかもしれませんし。

 マドンナのニュースの裏面にあったのは、最近、ロンドンの繁華街で、ルーマニアとブルガリアからイギリスに入ってきたロマによる、組織的なすりによる被害が急増しているとのこと。今年の1月に、両国がEUのメンバーになる前は、捕まえれば強制送還ということで対処していたそうですが、今はそんなことも出来ず、いたちごっこになっているそうです。被害が多発しているのは、ナイツブリッジ、ピカデリー、オックスフォード・ストリートで、つまり日本人観光客も多い所。大陸を旅行した方ならご存知かもしれませんが、ぞろっとしたスカートをはいて頭にはスカーフ、そして乳飲み子を胸に抱えている女性が前から近づいてきたら、前だけでなく後ろ、更に左右からも魔の手が。前から近づいてくる女性に気を取られている間に背後や横からさっと何かを取られてしまうかもしれませんので。差別的な表現をしていると思われる方もいるかもしれませんが、実際の所、彼らもこのようなステレオタイプのイメージを逆に利用して、賢いやり方ですりをしているようですから。
 こういうけしからん「移民」がいると、移民全般のイメージが更に悪化して、困りものです。ロンドン、そしてイギリスはどんどん移民社会になってきていると思います。一方で、最近、移民への風当たりが厳しくなりつつあります。加えて、全てではないでしょうけど、移民の側も、社会に馴染もうという気が希薄になっているようだし。一例をあげると、最近、飲食店では、英語が通じないと思うことが多くなりました。
 イギリス社会は変わりつづけているように思います。よく言えば、社会が大きく転換しているときの、うねりの中にいるのかな、と。

 晴れ間が欲しいです。でも、ウィンブルドンが終わるまでは、太陽は微笑んでくれないことでしょう。

ロイヤル・メイルのストライキが予定されています

2007.06.22
親愛なる皆さん

 こんにちは。ここ数日の日本へのメールに書いていますが、少雨の日本にイギリスの豪雨を。

 恐らく、ギリギリまで交渉が行われ、回避されることも考えられますが、ロイヤル・メイルの職員による24時間ストライキがあります。来週の金曜日、6月29日です。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/default.stm

 今回は企業年金に関しての交渉が決裂してのものですが、見通しは甘くないように思います。日本同様、一般の労働者への年金システムは、イギリスでも事実上破綻しているようなもの。更に、リンクしたニュースの横にありますが、ロイヤル・メイルは最近、立て続けに法人顧客との大口契約を失っています。一番新しい所ではアマゾンで、損失は£800万、約25億円です。仮にロイヤル・メイルが太っ腹としても、現状では年金に回せる資金はあまりないのかな、と想像します。

 回避されることを祈りつつも。これまでのロイヤル・メイルによって被った苦い経験からすると、ストライキが予定とおりになった場合、紛失の確率が高まるか、もしくは配達が大幅に遅れることでしょう。最近の経験では、東京から何かを送ってもらう場合、4営業日くらいで届いています。といことは、例えば、来週の月曜日、火曜日に日本からイギリスに何かを郵便で送るとこのストライキに巻き込まれ、数日の間ほったらかされることは確実です。また、イギリスからネットで何かを購入し、日本に送ってもらうほうにも影響が出ることでしょう。イギリスに何かを送る、イギリスから何かを送ってもらうのは、7月2日以降の方が良いかと。
 すいません、大袈裟で。でも、こんなことを経験していますので。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-category-9.html#entry459

 皆さん、良い週末を。締め切りが明後日なのに未だに一文字も書いていないので、しばらくはお騒がせしないと思います。

日英の比較1:Bossy Britain

2007.06.21
 こんにちは。日本は暑い上に、少雨の恐れがあるとか。イギリス全土をゲリラ的に襲っている集中豪雨を送り込んで差し上げたいです。

 確か「醜い日本の私」というタイトルの本で、如何に日本社会が騒音に包まれ、いたるところに無意味な看板が溢れているかを糾弾した哲学者の方がいたはず。その方がロンドンを訪れたら、ロンドンのほうが日本より劣悪だ、と意見を修正するかもと思えるほど様々な「命令」が日常生活に溢れる、最近のロンドン。書きたいなと思っていたところ、19日のThe Guardianに以下の特集記事が掲載されました。ちょっと長いです。

http://www.guardian.co.uk/britain/article/0,,2106203,00.html

 僕の日常生活の中から。例えば、地下鉄の駅での「Mind the gap」はおなじみだと思います。が、最近では、「不信物を見つけたらすぐに駅員に知らせるように(駅員がいるほうが珍しいですけど)」、「降りる人が先です」、「匂いのする物を車内で食べないように」等々。噴飯もののメッセージは、例えば「現在、サークル・ライン、ヴィクトリア・ライン、ノーザン・ライン、ベーカール・ライン、セントラル・ライン、ディストリクト・ラインに遅れが出ています。しかしながら、閉鎖されている駅はありませんし、他のラインは問題なく走っています」、というもの。ロンドンを走る12路線の地下鉄のうち、6路線がもし止まっていたら恥だと思うんです。でも、彼らにとっては通常のことだし、状況を知らせることのみに意味があり、改善する気もない、と。
 他の例。ケンジトン・&・チェルシー区では、(主に犬)ペットの飼い主は、一度に2匹以上のペットを連れて公道を歩いてはいけない、と。恐らく行政側にはそれなりの理由があるんでしょうけど、理解し難いです。

 あれしろ、これしろ、こんなことするな、そんなことをしちゃ駄目だ、という騒音と看板の数は極端な話、日ごとに増えていっている感じです。なんか異常だな、と感じていましたが、多くの人が思い始めているようです。この状況、僕はブレア時代の負の遺産だと考えています。まるで「ほら、僕達はこれだけ先に注意を促していたんだから、問題が起きてもそれは聞いていなかった君たち(国民)の責任なんだよ」、と。責任を果たしているように見えて、何もしていないに等しいです。このなんでかんでも注意する、指図する風潮の大きな問題は、その注意をしなければいけないという点に至るまでの「何故?」が全く欠落し、且つ、受け手がその「何故」を考える能力を奪われていることのように思います。何故いけないのか、どうしてその行動が間違いなのかを考える能力を去勢されているようです。また、命令を浴びつづける側にいる人々同士の間でのコミュニケイション能力もどんどん低下してきているように思います。

 長い記事の中でなるほど思った一文です:Bossy Britain doesn't correct behaviour in a socially beneficial manner.

 ガーディアンの記事の中では、こういった余計な「命令」が溢れる今の社会状況を、「Bossy Britain」と表現しています。同様な表現として「Nunny State」という表現もよく見かけます。
 翻って、日本も同様な状況にあるんだろうなと想像します。が、僕は、イギリスは「Bossy」で、日本は「Nunny」かなと思います。「Bossy」なイギリスでは、命令を出す側がコントロールを失うと、しもじもはパニックに陥るも情報を与えられずにはほおって置かれるだけ。「Nunny State」である日本では、何か問題が起きるとコントロールする側がパニックになってしもじもじは次の命令が出されるまでじっと待つ。ちょっとシニカルすぎますかね。

 目下の所、イングランドでホットな話題の一つは、7月1日から公共の場での喫煙が禁止されること。これに強烈に反発しているのが画家のデイヴィッド・ホックニー。彼曰く「どこで煙草を吸おうが構わないだろう。どこで吸うべきかなんて、弁えている。どうしてそんなこと命令されなければならないんだ!」、と。僕は嫌煙ですが、ホックニーのいうことはもっともだと。先日送ったロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの新作の展示と、更にテイト・ブリテンでの他の作品の展示を前に、The Evening Standard紙に長いインタヴューが掲載されました。ちなみに、このリンクでは、彼のヨークシャーの風景を描いた絵を見ることが出来ますので、絵だけに興味がある人にも面白いと思います。

http://www.thisislondon.co.uk/arts/article-23400714-details/Hockney+rebel/article.do

 まず禁煙に対して:What people miss is that it's about democracy, not whether or not I want to kill myself with cigarettes.

 政府、つまりトニー・ブレアに対して:Where have the awkward people gone? Everyone just says yes to Blair. They've lost their balls.

 イギリスには、こういった反骨精神を持ちつづける人がまだいる、というのが面白くもあり。また、それでこそイギリスが今でもエキセントリックであることの証でもあると思います。

 その2は、ずっと皆さんにお知らせしたい思って数ヶ月、「世界に躍進する(もしくは蔓延する?)イギリス人」というのをできれば夏が終わる前に。夏、あるのかな?

悪名高い、イギリスのパスポート・コントロールの驚愕、というか納得の実態

2007.06.20
英語を全く喋ることができないから入国を拒否する、というのは判らなくもないかな、と思いつつ納得してはいけないんだけど、それより「イギリスに来る前に、海外旅行をしていない」という理由でヴィザの発行を拒否する、というのはどういうこと?

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/6768405.stm

 でも、似たような経験がある。1996年、ランズ・エンドから更に西にあるシリー諸島に行ったときのこと。到着したヒースロー空港のターミナル4(当時)から、国内便に乗り換えるためにターミナル1に移動する前に税関をくぐり抜けなければならなかった。過去2回の渡英ですんなりいくとは思っていなかったけど、見事に引っかかった。その理由とは。

 「どこへ行く?」

 「シリー諸島に」

 「日本人の君が、何故シリー諸島のことを知っているんだ?」

 確か、そのあと10数分、その旅行が実現に至った経緯を延々と説明して、漸く通過したように記憶している。
 「地図に出ているんだから、誰だって知っているに決まってんだろう!」、と喉まででかかったはずだけど、まずは入国する為に必死だったな。

 まぁ、誰に対しても公平に無礼、という点は評価できなくもないけど、全く変わっていないんだ。

旅行者の新たな苦悩:スペイン

2007.06.18
日本人にも影響があるかどうかは知らないけど、明日、6月19日から、イギリスからスペインに入国する時は、新しいルールが適用される。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6762427.stm

 かなり前から新聞では報道されていたけど、当然知らない旅行者のほうが多く、明日はかなりの混乱が起こるであろう、とのこと。BBC4の報道では、アメリカのセキュリティ・チェックの厳しさと比較していた。鎖国とまでは言わないけど、世界が狭くなる感じがする。
 ソフィア女王とお茶するため(実現はほぼ不可能)にスペインにはいつか行きたいけど、面倒くさい。

女性というだけで:不「名誉」な殺人の犠牲者

2007.06.18
 ここしばらく、毎日の新聞記事で目にしない日はない悲しい、もしくは理解しようにも理解したいのか、理解したくないのか自分でも判らない事件は、クルド難民家族のお嬢さんに起きた悲劇:Honour Killing、名誉の殺人。この「名誉」は被害者の名誉でなく、加害者の名誉です。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-date-200207.html
 2002年7月に、こんなことを書きました。これが、ロンドンにおける「多文化・多民族」の負の側面に初めて遭遇したときのものだったように思います。今回の事件に関しては、テレグラフの記事が判り易いと思うので、本文記事と、コメント記事を。

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/06/11/nhonour111.xml
(テレグラフの報道)
http://www.telegraph.co.uk/opinion/main.jhtml?xml=/opinion/2007/06/13/nosplit/do1303.xml
(テレグラフの記者のコメント)

 正直な所、今でもクルド族が直面する政治的な困難は全く理解していません。今回の被害者の父親は、数年前に難民としてイギリスに逃れてきました。彼が英語を喋ることができるのかどうかはしりません。が、彼、つまり父親に殺されたお嬢さんは、恐らくイギリス社会に溶け込んでいたのではと想像します。
 理解したいのかどうか判らない、と書きましたが、実際の所、この父親が取った行動を理解したい、言い換えると起こった事実として受け入れたいとは全く思っていません。家族の「名誉」を守るために娘の結婚相手を決め、それをないがしろにした娘は家族、そして部族の「名誉」を傷つけたから、死ぬべきだ、と。クルド族に生まれた女性に、人権は、そして公平な人生はない、としか思えません。きれい事を書いている、ということは自覚しています。が、人間の人生って、なんて不公平に出来ているのだろう、と。
 このような「名誉」の殺人は、主にインド、パキスタン、バングラデシュ3国のムスリム系の社会で起きているそうですが、その地域からの移民が増えているイギリスは、西欧諸国の中でもこれによる被害者の数が急増しているそうです。今回の悲劇のように表立った事件の他に、これまで自殺と捉えられていたケースのいくつかも、自殺に見せかけた殺人だったのではないかとも報道されています。

 政治難民としてイギリスに逃れてきた父親が、自分の置かれている状況を理解する、もしくは理解しようとする気があったのかどうか。恐らく異論のほうが多いと思いますが、「難民として受け入れることだって我々には負担なのに、更に自分の娘を、生まれた地域でなくどうして、わざわざイギリスで殺すんだ」、とイギリス人は思うのではないかと想像します。移民・難民に彼らのアイデンティティを捨て去れと言っているわけじゃない。でも、彼らを受け入れた側の社会秩序を、彼らは知ろうとしたのか?ちょっと本題からずれますが、最近イギリスでは、受け入れた移民・難民にイギリス社会を理解させるべきであり、そのためにはもっと厳しいルールを導入するべきではないか、という議論が活発になっています。
 女性差別は、今に始まったことではなく、また、過去、日本でだって、イギリスでだって女性の地位や人権が、男性のそれと比べると無に等しい時代があったことは「歴史」として知っています。また、例えばキリスト教の血塗られた歴史の中で、「魔女狩り」の名のもと、多くの女性が暴力の犠牲になったことも学びました。
 でも、なんで女性なんでしょうか?先日、危険地域で活動している元同僚がロンドンに来た際、ロンドンで知り合った友人で、インドで長くヴォランティア活動をしている友人に紹介したとき、この「名誉」の殺人のことも話題になりました。二人の経験を聞いていると、中東のある国で、そしてインドでどれほど女性が不公平に扱われ、極端な話、この世に生まれてきた喜びを、彼女達自身の人生の価値、そして意義を感じることがあったのだろうか、と。

 日本で、ロンドンでぬくぬくと、「男」という存在で生きている自分に、議論する資格があるのかと常に思います。でも、この「異(違)文化」を、僕は無視できません。僕はこの「名誉」の殺人の「名誉」とうい呼称が、大っ嫌いです。

サマー・エキシビション@ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

2007.06.16
エンタメ(かな)が続きます。

 フォートナム・アンド・メイソンの向かいにあるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで、毎年恒例の「サマー・エキシビション」が6月11日から始まりました。ロンドンの美術館、博物館は、現在常設展示は無料で見ることが出来ますが、ここだけは有料です。
http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/summerexhibition2007/

 玉石混交なので、印象に残ることもあれば、99.99%が屑、ということもあります。これまでで一番印象に残っているのは、数年前に行ったときに見た、ヨハネ・パウロ2世と思しき聖職者が、苦渋の表情で床に倒れていてその足に隕石が落ちている、というものです。その葉書を大量に日本に送ったので覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。
 ここ2年は行っていなかったし、春先までは今年も行くつもりはなかったんですが、俄然「行きたい」と思ったのは、デイヴィッド・ホックニーのヨークシャーの風景画の最新作が展示されることを知ったからです。昨年見た一連の作品がとても素晴らしかったこと。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-category-25.html#entry454
今回の展示は、題材にした風景はさほど面白いものではないのですが、50枚のキャンヴァスで風景を再現した、という点にとても興味が惹かれました。

 6月10日は、会員のみが見ることができる特別な日ということで、会員であるW夫人に頼んで連れて行ってもらいました。今年のエキシビションで誰一人として見逃さないであろう作品は、中庭に置かれた、チャップマン兄弟による、総重量6トンの鉄板を組み合わせて作られた「恐竜」。チャップマン兄弟は、戦場などで人が殺しあうグロテスクな状況を精巧なフィギュアで再現する作品で有名ですが、今回のような大雑把な作品は僕の記憶にある限り初めてではないかと思います。
 ホックニーの作品は、実物を見ても取り上げた風景は何ら特別なものではないと感じました。しかしながら、これも「コンセプト」といえるのかもしれませんが、50枚のキャンヴァスという巨大な一枚の絵が、あたかも目の前に、ホックニーが彼の目で捉えたであろう同じ風景を、見る僕達に「擬似」体験させてくれる、そんな力を持っていました。「同じ風景を見に行けばいいじゃないか」、という異論もあると思います。が、ホックニーが見た風景が、僕が見たかもしれない風景と同じであるわけもなく。流石に50枚ものキャンヴァスの整合性を保つのは大変なことだったようで、毎日ディジタル・カメラで進捗状況を保存しながら製作されたそうです。
 絵の前に置かれたベンチに座って、イギリスの夏の飲み物「ピムズ」を飲みながら、W夫人と世間話を交わしつつ、ヨークシャーのなんてことのない道に立ち尽くす自分を一方で想像する。なんてブリティッシュ。
 今回、絵画に関してはかなり力作があったように思います。しかしながら、彫刻やモダン・アートに関しては、頭でっかちな印象は否めませんでした。そんな中、一つ興味深かったのは、出口の壁に投射されるハチドリが飛んでいるような作品。自宅があれば玄関のスペース・オブジェとして欲しかったです。

 ホックニーは、来年2月までテイト・ブリテンで展示されているターナーの水彩画のキュレイターをやると同時に、ヨークシャーの風景画の最新作を展示します。これは無料だそうなので、ロンドンにこられるのであれば一見の価値はあると思います。

オペラ歌手は痩せているべきか:デボラ・ヴォイト

2007.06.16
親愛なる皆さん

 おはようございます。日本は空梅雨で暑いそうですが、ロンドン、及び西ヨーロッパは寒いです。

 先週の土曜日、6月9日に、バービカン・ホールでアメリカ人ソプラノ歌手、デボラ・ヴォイトのリサイタルを聴いてきました。曲目は以下のとおりです。アンコールでは、「ピアノがすき」っていうタイトルらしい歌を歌い終わった後に、ピアニストとの連弾を披露するなど、とてもいいリサイタルでした。

Mozart: Die ihr des unermesslichen Weltalls Schoepher ehrt (You how honore the creator of the infinete universe)
Verdy: Non t' accostare all'urna (Do not approach the urn), Deh, pietoso(Ah, have mercy), Brindisi (Drinking song), In solitaria stanza (In a lonely room), Strornello(Rhyme)
R. Strauss: Schlechtes Wetter (Bad weather), Ach, Lieb, ich muss nun scheiden (Ah love, I must now depart), Lied der Frauen (Song of the women)
Respighi: Contrasto (Contrast), Nebbie (Mists), Notte (Night), Povero cor (Poor heart)
Amy Beach: Three songs by Robert Brown; The year's at the spring, Ah, Love, but a day!, I send my heart up to thee
Bernstein: When my soul touches yours, So pretty, Another love, Piccola serenata, Greeting, It's gotta be bad to be good, Somehwhere

 歌われた曲のうち、アメリカ人作曲家のAmy Beach以外は知った名前ですが、どの歌も他のリサイタルでは聞いた事がないものばかりで大変面白いものでした。ヴォイトはワーグナーやリヒャルト・シュトラウスのスペシャリストとして知られていますが、ヴェルディの「一人の部屋で」や、レスピーギの「夜」でのドラマティックな歌唱は、聴き応えたっぷりで、バービカン・ホールでソロ・リサイタルを開けるレヴェルであることを実感しました。プログラムによると、特にヴェルディのものは、彼のキャリアの初期に作曲されたものだそうで、滅多に聞く機会がないようです。
 個人的に音楽的にも、物語としても白眉だったのは、シュトラウスの「Lied der Frauen (Song of the women)」と、ビーチの「The year's at the spring」。前者は、水夫、農夫、鉱山夫、そして兵士として家から遠くにいる夫の、無事の帰りを待つ夫人の心配と喜びを描写したもの。前半は悲しげな旋律で歌われる不安、そして一転してシュトラウスの真骨頂とも言うべき、万華鏡のような旋律にのって歌い上げられる、愛する人の帰宅を待ち受ける喜び(実はこの部分自信なくて、取り様によっては夫は死んでしまって、彼の心の平和を神に祈っているようにも取れなくもなく)。歌の最後、「Gelobt!」を繰り返す喜びに満ちたヴォイトの声のテンションは本当に素晴らしかったです。この歌の前までは、ピアニストが弾き終わる前に拍手をする人が一人いていらいらしていたんですが、誰かに注意されたのか、それともヴォイトの歌唱がその人に真の感動を与えて、拍手させなかったのか。会場にいた多くの聴衆が身じろぎしていなかったように感じました。
 ビーチの「The year's at the spring」は、作曲者も曲も全くしりませんでした。が、歌われた詩が、20年も前だから確かではないですけど、特別教授として武蔵にきていた東大の島田太郎教授の「アメリカ文学詳論」なんて感じのゼミでやったような記憶があって。なんたら韻律詩だとか、4行詩と5行詩の違いは云々など。明快なメロディ、シンプルな詩。たまにはアメリカ文化もいいな、と。
 もう一つ感心したのは、彼女のドイツ語とイタリア語の発音。一緒に行ったイタリア語が堪能なカナダ系フランス人の友人によると、「完璧」な発音とのこと。ドイツ語も、他のアメリカ人歌手の皆さんと比べたら天と地ほどのさ、良い意味で。最近思うのは、バレエと逆で、僕はオペラや歌は僕の様式美の基準に叶うかどうかで、かなり評価を左右している気がします。

 で、漸く本題。何故、ヴォイトを「見に」行ったかというと、彼女がどれだけ痩せたのか?、それを確認したかったんです。まず、以下のものを読んでいただければ。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/category23-2.html#entry270

 報道によると、手術後に、彼女は10ストーン(約64キロ)も体重を減らしたそうです。バービカンの舞台では、痩せたとはいえ、世間一般の基準からだとまだ太め。見た目、そうですね75キロくらい。ということは手術の前は140キロ、もしかしたら150キロくらいあったのかも知れません。なまの彼女の姿を観たのは今回がはじめてでしたが、他の写真で見ていた「以前」の彼女から比べると痩せたのは間違い無かったです。思わず「She is beautiful」と漏らしたら、隣に座っていた紳士が僕のほう見て「そうだよね」といわんばかりに大きく頷いていました。
 ま、添付の写真を見ていただければお判りいただけると思います。The Guardianで使われたもので、左が「前」でアイーダを。右が「後」で、シカゴ・リリック・オペラの「ザロメ」の宣伝ようにセミ・ヌードで撮影されたもの。
 オペラ歌手にとって大事なのは、当然ながら「声」。痩せていようが、太っていようが極端な話、声がよくなければ存在価値はないでしょう。しかしながら、現代のオペラ界は悲しいかな歌手よりも演出家が重要視されるようですから。手術によって声を失うリスクもあったそうですが、ヴォイトはそのリスク、そして偏見に打ち勝ったようです。彼女に望むことは、「揺り戻しにならないで」、それだけです。でも、リヴェンジが掛かったロイヤル・オペラでのアリアドネ、本当に楽しみです。



Then and Now

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スコティッシュ(ゲーリック)音楽のワークショップ

2007.06.16
ロンドンで知り合った友人の中でも、深く付き合っている一人がオーガナイザーをつとめる、スコティッシュ(ゲーリック)音楽のワークショップが、2007年9月7日から9日にかけてロンドンで催されます。
http://www.feislondon.org/

 友人は、ヴァイオリンのレクチャラーのドナルド・スチュワート(Donald Stewart)。おっとり見えますが、シティで、コーポレイト・ローヤーとして第一線で活躍していて、FTやBBCの経済・コメンテイターとしても最近目立っています。
 が、弁護士である以前に、彼はヴァイオリニスト。彼のヴァイオリンにかける情熱は素晴らしいものがあります。数年前、彼の奥さんと一緒にパリに行った時、パリのあるカフェで請われてドナルドがヴァイオリンを弾き始めると、あっという間に人だかりが出来たほどです。

 ロンドンからだけでなく、日本からもスコティッシュ音楽に興味がある方に、是非参加して欲しいそうです。初めての開催なので、いろいろ不備があるかもしれないけど、できればずっと続けたいそうなので、通年で参加してスコティッシュ音楽への理解を深めることができるワークショップになるかもしれません。
 ドナルド曰く、「フィドルやパイプは初心者には難しいかもしれないけど、ワークショップは誰でも参加できる。歌やダンスは体があれば十分だし、本物のスコティッシュ音楽を楽しめると思う」、とのこと。ちなみに、このブログで知ったと申し出ても、一切割引はありませんので。それと、お問合せを受けても、ウェブにある以上の情報以上のことは僕も知りませんので、直接尋ねて下さい。

「いい大家」は絶滅危惧種

2007.06.12
アルバイト先で、いっしょに働くことが多いポーランド人の同僚、Tは、今週の金曜日に新しいフラットに引っ越すはずだった。現在の大家の守銭奴ぶりに嫌気がさしての琴田そうだけど、その横暴振りを聞くにつけ、引っ越すべきだと思っていた。
 新しいフラットを見つけ、現在のフラットの契約解除をして、さあもうすぐ引越しの準備となり始めた先週の木曜日に、今回利用した不動産会社からTに連絡があり、突如、新しい大家が絶対にTが払えないようなデポジットを要求し、Tがそれを拒否すると、フラットをマーケットから引き上げてしまった。要するに、大家自身が、Tより多額のレントを払う人を見つけた、ということだ。
 Tの落ち込みぶりは相当なもの。今のフラットは既に契約を解除しているので、今週の金曜日には出なくてはならない。でも、歯止めが利かなくなった不動産市場で、1週間の間に予算にあって、且つ暮らし易いフラットを見つけるのは、ほぼ不可能。
 僕も、4月に似たような経験をしているので、なんと言葉をかけていいのか。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-113.html

 こういう理不尽なこと、何も僕達外国人だけに起きているのではない。新聞報道では、イギリス人でさえ、このようなことに遭遇しているそうだ。
 乱暴な結論だけど、貧富の格差が異様なスピードで拡大しているイギリスでは、結局、「持つ者」だけがその資産を増やすことができる、ということだろう。資本主義社会という観点では、正しいのかもしれない。でも、人間が人間らしく暮らせるのって、資本主義的社会主義民主社会だと思うけど、オプティミスティック過ぎるのだろうか。いずれにしろ、今のロンドンで、「いい大家」に遭遇する確率は、宝くじに当るのと同じくらい天文学的に低い確率だろう。

イギリスにおけるシステム障害:ロイヤル・オペラ・ハウスの場合

2007.06.06
本題の枕として。6月21日(夏至)に、ロンドンでは午後9時から午後10時まで電気を消そう、というプロジェクトが予定されています。
http://www.lightsoutlondon.co.uk/home.asp
 趣旨はいいんですけど、いきなりロンドンへの電気供給量が減り、1時間後に供給量が一気に増えることによって発電システムが支障をきたし、ロンドンは大停電になるのでは、と心配です。イギリス人が余計なことをすると、被害を受けるのは常に市民だということを、イギリス人は学ぶべきでしょう。

 本題。ロイヤル・オペラ・ハウスがインターネットでのチケット予約システムを変更することを知ったのは、5月中旬のこと。昔、東京で働いていたとき3年ほど関わっていた、今はなきテレレートなんて、新しいシステム稼動時にトラブルがなかったことなんて記憶にないくらいですから、いくらイギリスが誇るロイヤル・オペラ・ハウスでも、絶対に問題が起こるだろうと思っていました。最近、日本でもシステム障害は多いようですね。
 ロイヤル・オペラ・ハウスが無謀だったのは、新しいシステムのお披露目をフレンズ会員の先行予約の初日、5月29日にぶつけたこと。この日のカット・オーヴァーを前にどれだけトライアルを繰り返したのかは知りませんが、連休が明けてすぐ、しかも一番チケット予約が込む日にカット・オーヴァーなんて。テレレートのカット・オーヴァーも月曜日が多かったけど、あえてトランザクションが殺到する日にぶつけるなんて無茶なことしたか、と。僕は、絶対に何かしらの問題が起こるだろうと確信していたので、この日のチケット争奪戦にはあえて参加しませんでしたが、予想通りだったようです。
 
 そのことがあって、ロイヤルから送られてきたのが、最初のメール。一読すぐに判ると思いますが、お詫びの意思を「apology」を使って表現していますが、本気でお詫びしている感じは全くしません。特に、「much to our disappointment」に、暗にロイヤル側も被害を被ったんだぞ、と言っているような印象を持ちます。

 その2日後に送られてきた2通目のメールでは、文面からお詫びの意思は全く感じられず、逆に自分たちが如何にこのトラブルを真正面から受け止め、そして回避したかを正当化しようというのがみえみえ。「apology」すら使っていません。
 特に間抜けだと思ったのは、何が原因で問題が起きたかを説明した後に入れた数センテンス。「Although we had confidence in the system, we continued to monitor it. It was because of this monitoring, our software supplier recognized this problem immediately and worked diligently toresolve the issue」。
 つまり、「何度も何度もテストをして問題ないと確信してはいたけど、きちんと監視していたんだよ。その、監視を(きちんと)していた事実があったからこそ、この程度のトラブルで終わったんですよ」、と。この一文によって、ロイヤル側は、彼らだってこのシステム導入によるトラブルの被害者だけど、チケット購入者のためにこれだけのことをしてあげたのだから文句を言うのはお門違いだよ、と言っているように感じます。ということは、彼らは別にこのトラブルについて、何ら反省はしていない、というのが僕の結論です。こんな文章を日本企業向けに書いたら、突っ込みどころ満載で、非難が倍になって返ってくるのは確実。新しいシステムを稼動させるときに監視するなんてことは、やってあたりまえ、やらないほうがおかしい、というくらい常識のこと。それを理由に正当化しようというのだから、何をかいわんや、です。

 コンピューターって、本当に不思議な存在に思います。なければ不便だけど、あったらあったで、「あの新しいソフトを入れなきゃ」、「アップグレイドしなければ」、とかいつもいつも、使う側が世話を焼いてあげないといけない。主従の関係が逆転することもしばしば。
 いずれにしても、イギリス人に望むのは、「もう少しまともな仕事、してね」、と。


5月30日に送られてきた最初のメール

Dear Friend

We are writing to you because we know many of you experienced difficulties when trying to book for Booking Period 1 online yesterday. We wish to apologize wholeheartedly for the frustration and inconvenience you may have experienced.

As you know, we have very recently implemented a new booking and membership system which we believe, ultimately, will be the best online booking facility available. We were so sure we were going to make booking online much easier yesterday but, much to our disappointment, we experienced significant teething problems.

Some of these problems were able to be rectified within hours and some are taking a little longer to sort out. However, the supplier of the software is working around the clock to ensure that these problems are fixed permanently.

We know you were anticipating a smoother run with your online bookings this time, as were we, and we can only apologize again for the inconvenience. Once we have further information as to why these glitches occurred we will let you know so that you may be reassured that they won’t happen again. We are still confident that we will be able to offer you the best online facility, and sure we will be able to do this very soon.

Thank you for your patience and for your continued support of the Royal Opera House.


6月1日に送られてきた二つ目のメール

Dear Friend

Earlier this week I promised that I would get back to you all with an explanation regarding the problems that arose with the new online booking system on Tuesday morning.

One of the new features we developed for the new booking system was a ‘waiting room’. This feature was designed to engage when a large number of individuals attempt to purchase tickets on the website at the same time. We believed that the ‘waiting room’ was a necessary addition, as the booking system has a finite capacity that we expect to exceed from time to time – the first couple of hours when a booking period opens. Knowing that it was not possible to increase the capacity of the system, we instead crafted the ‘waiting room’ to provide an elegant, orderly method for queuing individuals wishing to book tickets.

As we expected, the ‘waiting room’ engaged for the first time last Tuesday when we had a significant number of individuals attempting to book tickets from 10am. When the ‘waiting room’ engaged, an unforeseen situation occurred and that is when some of you experienced a problem.

As you entered the ‘waiting room’ you should have been given a cookie. This is a ‘virtual’ stamp of recognition that allows you to enter the booking site after you have waited your turn in the queue. In other words, this stops queue-jumping. Unfortunately due to a bug, this cookie was not delivered correctly resulting in the problems experienced by some of our patrons.

Many of you have quite rightly raised issues around our testing procedure. When the system was completed we engaged in an extensive testing process in an effort to uncover any issues that might exist with the system software. This process included hundreds of hours of testing and ultimately yielded positive results that gave us confidence in the integrity of the system. Although we had confidence in the system we continued to monitor it.

It was because of this monitoring our software supplier recognized this problem immediately and worked diligently to resolve the issue. It took approximately three hours for them to identify the bug, rewrite a portion of the code and upgrade the booking system with the new software. By the time opera booking opened the ‘waiting room’ was working correctly. We therefore believe this upgrade has resolved the issue, but we will engage in an additional series of tests over the next several weeks to ensure this is indeed the case.

The ‘waiting room’ issue was by far the most significant problem, but we are also aware that some of you experienced difficulties when trying to authorize your credit cards at the checkout stage. We have identified three issues in this area and with our credit card authorisation supplier have fixed two and are working around the clock on the third.

We are also aware that we need to ensure that we offer you the best support facilities that we can. We have therefore improved our online helpdesk by allocating extra trained staff to deal with any of your outstanding enquiries/problems. If you email the helpdesk at esales@roh.org.uk (Mon-Sat 10am-6pm) with as much information as you can we will ensure that you get an immediate response. We will also be improving our monitoring system.

Please know that it was our sincerest desire to develop a system that would deliver one of the world's best ticket booking experiences. Though it appears we may have fallen short of that goal for now, we nevertheless remain committed to achieving that outcome in the immediate future.

We fully appreciate and thank you for your patience, understanding and continued support as we continually work to meet that goal.

翳り逝くダイアナ妃

2007.06.06
テレヴィを見ない生活をしているから、あまり熱心に追っていなかったけど、今晩、チャネル4で故ダイアナ妃に関するドキュメンタリーが放映される予定。その中で、死の直前のダイアナ妃の写真が使われるということで、ウィリアムとハリーはチャネル4に写真の使用の中止を求めた。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6725237.stm

 誰が、最愛の母親が死んでいく写真を多くの人の目に晒したいものか。チャネル4の言い分は、「視聴者の興味」。違うだろう、会社の利益の為、ひいては経営者側が巨額のボーナスが欲しい為だろう。

 日本の皇室とは全く違った形で、英王室のメンバーも結局は人間らしいプライヴァシーを維持することが出来ない現実。いい人ぶって願うなら、両王子の為に、そしてダイアナさんの為この番組の視聴率がぼろぼろになることを。

ハープはカミラ夫人の為?

2007.06.06
今朝の無料新聞紙、メトロで見つけた記事によると、22歳の若きハーピスト、クレア・ジョーンズ(Claire Jones)さんが、チャールズ皇太子お抱えのハーピストに任命されたそう。

http://www.princeofwales.gov.uk/mediacentre/pressreleases/claire_jones_to_become_new_official_harpist_to_hrh_the_princ_2118212610.html

 日本の文化を卑下するつもりは全くないけど、お城で催される晩餐会でハープが演奏される、というのはかなり経験してみたい。年に何回演奏しなければならないのかは記事には書かれていなかった。が、この任命によるお給料は、年に£3,000-。現在の為替レートで約75万円。まぁ、名誉職というところか。

ロンドン・オリンピックは開催されるべきなのか?

2007.06.05
親愛なる皆さん

 おはようございます。6月は、イギリス、そしてロンドンが一番美しい季節です。リージェンツ・パークの薔薇も今が満開です。

 書きたいことは数あれど、とりあえず、今日現在、イギリスで最も熱く、ダサい話題は、2012年に開催予定のロンドン・オリンピックのロゴ。今日、6月4日に発表されました。

 これまで、日本の数あるイヴェントのロゴやマスコットが発表されるたびに、「日本のお役所のセンスって、化石だ」、と思っていましたが、今日発表になったロゴ、それらと丙丁つけがたく、且つ劣るとも勝らないほどで、「ダサい」以外の言葉が浮かびません。The Evening Standard紙の報道だと、発表後数時間のうちにインターネットではこのロゴを撤回する嘆願書への署名が殺到したそうです。

 今年の4月1日のThe Daily Telegraphに、「2012年のオリンピックを成功に導くために、パリとの共催が極秘裏に検討され始めた」、という記事がありました。どうやらこれ、エイプリル・フールだったようですが、僕は信じました。今でも確信しています。ロンドンでのオリンピック開催は無謀。今だったらまだ、まだぎりぎり間に合う、パリに譲ろう、と。

logo2128.jpg

ダーシー・バッセルの引退

2007.06.05
ロイヤル・バレエのプリマ・バレリーナ、ダーシー・バッセルの引退が近づいてきた。先週の土曜日から始まった、シーズン最後のトリプル・ビルの中でケネス・マクミランの「大地の歌」で、6月8日、バッセルは引退する。

 ということで、週末から新聞各紙はバッセルのことばかり。

http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/06/02/btdarcey102.xml
この記事についている写真は、ロイヤル・バレエ・ファンには超貴重でしょう。サドラーズの「ウィンター・ドリームズ」にクルイギンで出演したコープの写真。

http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/06/04/badarcey104.xml

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/06/03/nballet03.xml

http://arts.guardian.co.uk/theatre/dance/story/0,,2094808,00.html

http://arts.guardian.co.uk/theatre/dance/reviews/story/0,,2094586,00.html

http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/stage/dance/article1878432.ece

 インディペンデントはまだのよう。The Timesなんて、今日の本紙の1面がバッセルの写真ということで、メディアの取り上げ方も凄まじい。

 既に今週の金曜日、8日にBBC2でコヴェント・ガーデンから舞台のライヴ放送があるのは発表されているけど、今日、先月サドラーズでの彼女のフェアウェル公演をプロデュースしたGPDから以下の知らせが今日、届いた。

Ballet Boyz Productions present

Farewell Darcey Bussell

Channel 4 - Monday 4th , Tuesday 5th , Wednesday 6th & Thursday 7th June at 7.55pm

We hope that you will be able to catch our new series of short films – Farewell Darcey Bussell - screening tonight and for the next three nights on Channel 4 at 7.55pm.

Showing as part of Channel 4’s ‘3 Minute Wonder’ series, the films celebrate the 20-year career and imminent retirement of ballerina Darcey Bussell; from her early years in training, her ambition and creative partnerships and finally her thoughts on retirement as she prepares for her last performance with The Royal Ballet on Friday 8th June.

We hope you enjoy the films.

 もっと早く知らせてくれれば友人に録画を頼めたに。必死の思いで獲得した6月8日のチケット。舞台を観て何を思うだろう。

Wigmore Hallの歌のプログラム

2007.06.02
2007年9月から、2008年7月までのウィグモア・ホールでのプログラムらが発表になった。
http://www.wigmore-hall.org.uk/

 ここは歌ものばかりではないけど、今のところチャンバー・オーケストラなどの企画には全く興味がないので、Song Recital Series から幾つか気になるものを。

8th Sep:Christine Brewer
19th:Miah Persson
26th :Juliane Banse
1st, 4th, 7th Oct:Thomas Quasthoff
18th :Gerald Finley
29th :Kate Royal & Christine Rice
6th Nov :Angelika Kirchschlager
28th :Angelika Kirchschlager & Andreas Scholl
5th Dec :Anne Schwanewilms
15th :Thomas Hampson

9th Jan 2008:Simon Keenlyside
23th :Ewa Podles
27th :Christopher Maltman
28th :Bernarda Fink
2nd Feb :Patricia Bardon
4th :Ailish Tynan
9th :Susan Graham
16th :Kate Royal
25th :Ann Murray & Philip Langridge (夫婦、午後1時)
25th :Felicity Lott (午後7時30分)
20th Mar:Edita Gruberova (!)
28th, 30th :Alice Coote
19th, 21st, 24th May :Mark Padmore
27th :Sandrine Piau (!)
7th, 9th Jun :Matthias Goerne
19th :Bryn Terfel (Gala Concert)
7th Jul :Felicity Lott (午後1時)

まだ他にもたくさんあるけど、知らない人は割愛。

 ウィグモア・ホールはキャパが狭いから、誰もが行きたがるリサイタルは、会員先行で売り切れになることが多い。ということで、フェリシティ・ロット、Ann Murray & Philip Langridge、キルヒシュラーガー、グルベローヴァ(何年ぶりだ?)、そしてターフェルはリターンを求めて何度も通わなければだろう。しかもターフェルは「ガラ」。ということは、チケット代もかなり高いものになりそうなきがする。
 このソング・リサイタル・シリーズの企画自体は、滅多に聞くことのない歌手を近くで聞くことが出来るので、いいもの。でも、一つ難癖をつけるとすると、歌われるものがマーラー、シューマン、シューベルトに極端に偏ること。プログラムによると、07/08はフランス、ロシアを取り上げるプログラムもいくつかある。
 2001年の初夏だったかな。チェチーリア・バルトリがウィグモア・デビューを飾ったときの演目は、他では殆ど聞くことがないであろう珍しいものばかりだった。超幸運なことに、前から3列もというまたとないリターンを獲得できので、天に昇って降りられなくなってしまったようなリサイタルだった。たまにはベルカントの小品などがあればもっと通うんだけどな。
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1時間、電気を消しましょう

2007.06.02
地球温暖化を食い止めるために本気なのかどうかわからないけど、6月21日の午後9時から午後10時まで、電灯を消しましょう、というイヴェントがロンドンである。企画したのは、キャピタル・FM。
http://www.lightsoutlondon.co.uk/home.asp

 日本で毎年行われている「打ち水企画」と似た様なイヴェントなのかな。

 地球温暖化を食い止める企画には賛成だけど、この日は困る。何故なら、予想だにしていなかったけど、現在ロイヤル・オペラで上演中の「フィデリオ」に心臓をわしづかみにされてしまって、21日に3回目を観ることにしたばかり。ロンドンへの電力供給が急激に減った影響で、ロンドンが大停電、なんてこと、ロンドンでは起きるようなきがしてならない。
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