LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2008年05月の記事一覧

5月30日:雨の赤坂、日本橋

2008.05.31
前日の食べすぎをものともせず、朝ご飯。健康な身体に感謝。

 午前中は、買いためた食料品をトランクに詰め込む。インスタント・ラーメンのパックが予想以上に場所を取る。
 10時が近づいてくると、「鉄火丼を食べずして日本を離れるなんて出来ない」と思い始めてくる。慌てて身支度を整えて、赤坂へ。目指すは「和知(旧:勝美屋)」。数日前に今でも雑居ビルの2階で営業していること確認しておいた。でも、今でもお昼の鉄火丼をやっているかどうか。

 雑居ビルの前につくと、お昼の定食に鉄火丼を今でもやっていることを告知する看板がある。値段も以前と変わらず、千円のまま。ちょっと早かったからか、それとも小雨模様の天気のためか、店内はすいている。カウンター席に座って、一瞬悩むも、大盛を注文。
 丼に盛られた酢飯の上に、ご主人がこぎみ良いスピードで鮪の刺身を盛っていく。世界的に鮪の数が激減している折、割烹料亭にとってお昼はサーヴィスとよく言われているけど、これだけいい刺身を昔と変わらずに提供し、10年以上も同じ値段のままというのは、大変なのではないかと想像する。
 目の前に出された丼の見事なこと。赤身、トロ、中落ちが、輝く白米の上に美しく盛り付けられている。サラリーマン時代には、味わうのもそこそこにかきこんでいたけど、今日は慌てる必要もなく、刺身とご飯の美味しさを噛み締め、味わう。この素晴らしいお昼が千円。ロンドンでは不可能な幸福。

 「和知」を後にして、東急プラザの「オリガミ」でロール・ケーキを食べようかと思ったが、流石にやめる。雨が止んだので、腹ごなしに日比谷まで歩く。
 
 途中、虎の門の交差点のそばにある「文部科学省」の前を通り過ぎようとしたとき、何か違和感を目の端に捉える。
 建物の前に、催し物等のポスターを掲示してあるガラス・ケイスがある。そのポスターの一枚には、ボリショイ・バレエのプリマ・バレリーナ、スヴェトラーナ・ザハロワオディールを踊っている姿が写っている。どうやら、新国立劇場での演目のよう。徐にポスターの右に目をやると、演目のタイトルは「鳥の湖」。

 そんなバレエ、あったか?ザハロワ、どう見ても「白鳥の湖」のオディールだぞ?

 ポスターに近づきよく見てみると、ポスターがガラス・ケイスより大きくて、ポスターの上部を折っているのが判る。そのために「白鳥」の白が隠されてしまっている。劇場の名前を隠さないためにやったことは想像に難くない。でもさ、バレエに詳しくない人がこのポスターを見たら、「鳥の湖」というバレエがあると信じてしまうだろう。仮にも文化を扱う官庁の役人のバレエへの認識がこんなものかと呆れ、また日本ではバレエはまだまだと寂しく思う。

 一旦、家に戻る。帰路、カレーのレトルトを大量に購入。荷造りが思いやられる。

 夜、エンタメの世界で活躍する唯一の友人と会う。場所は、日本橋三越のそば。日本橋三越には行った事がなかったので、かなり早めに行って店内を見て回る。
 客層、新宿のデパートはおろか、となりの銀座地区のデパート各店の客層とも全く違う。更に、店内を歩いていると、すれ違う店員の皆さんの殆どが挨拶してくる態度に、ちょっとした衝撃を受ける。
 食事の前にどうかと思うが、小腹がすいたので地下の食料品売り場に。大判焼きを一個買って、さ、ベンチに座って食べようかと振り向いた先に見つけたのは、「GIOTTO」という洋菓子の店。美味そう。
 すぐ横のカフェで食べられるということで、モンブランを試す。上に乗せられた飴は余計だったけど、栗のクリームと生クリームの相性は絶妙。パフレットが日本らしい美麗さだったので、ロンドンの友人たちに見せるべく、幾つか戴く。

 友人といったのは、Zという日本料理の店。2009年早々、ロンドンで舞台の仕事があるそうなので、そのときに何か手伝えることがあるかどうかを話す。ま、通訳くらいだろう。
 前夜の「烹月」に続いて、素晴らしい和食の数々。外国人にとっては、一つの料理がほんの少量盛られて次々に出される様式は、奇異に写るようだけど、旬の美味しいものを少しづつ試せるのは、日本料理の美点の一つだと思う。若鮎の姿焼きのほろ苦さに、いろいろなことが思い出される。日本料理、素晴らしい。
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5月29日:東京の面影

2008.05.30
朝から雨。前日は、食事量を減らしたので、朝ご飯が美味しい。

 学生の時は、直接指導いただいた教授ではなかったけど、ヨーロッパ伝承文学やお伽話等のとても貴重なことについていつも、そして今も教示いただいているS教授に会いに大学へ。雨にぬれる中庭のは、20数年前と全く変わっていない。変わって欲しくないものが、昔と変わらずにあるのを見てホッとする齢になったということ。
 講義が始まる前の短い時間だったけど、御伽噺の残酷な挿絵を見せていただいたり、大学の状況を聞いたりしていたら、ずっと捜していた風景の中に自分を見出したような気分になる。

 大学を辞し、友人とランチを取るために日本橋へ。飯田橋駅での地下鉄の接続が複雑で、道に迷う。
 Wさんと会うのも、本当に久しぶり。考えてみると、Wさんを含めて彼女と同時入社の何人かとはロンドンで会っている。ランチは天丼。美味しかったけど、話が盛り上がって、その丼を一体何分で平らげたのか、思い出せない。早食いは太るもと。同じ量を食べるのに、Wさんはどうしてスリムなんだろう。不公平だと思う。
 
 午後の予定までかなり時間があるので、友人たちに頼まれたものを探しに銀座まで歩く。京橋から銀座1丁目の間はそれほど街並みが変わっていないように感じる。
 店をのぞきながら、雨の中をのんびり歩いていたら、4丁目交差点についたのは午後1時。道の向かいには、「竹葉亭」。どうして、無視できようか。いや、できない。
 でも、1時間半前に天丼を食べたばかりだしなと思いつつドアの前に立つと、すかさず中から店員の方がドアを引き、「いっらしゃいませ」。30秒後には2階の畳席に。流石に鰻丼のサイズは普通盛にする。ウナギの焼き具合、たれ、そしてご飯が口の中で幸福を生み出す。

 友人に頼まれたのは、メラミン素材の子供が好きそうなカラフルな食器。確かに、ロンドンではあまり見かけない。松屋三越を回るも、日常雑貨のような食器は扱っていない。三越の店員の方が、「東急ハンズさんにはあるかもしれませんよ」、と。ハンズが銀座にあるなんて、知らなかった。食器、ゲット。

 一緒に働いていた頃だけでなく、今でもPCに何か問題が起きると助けてもらうNさんと赤坂で。数日前にも思ったけど、赤坂駅の変わりようには、昔の面影を見ることはできない。
 Nさんとは仕事や暮らしのことを話したあと、今更誰にも尋ねられない、IT用語を質問する。「RSSリーダーって、何?何ができるの?」。そんな質問に、いつものように丁寧に答えてくれるNさん。ありがとうございます。これからも、ご迷惑をかけます。

 夜の約束まではまだ時間があったので、働き始めた頃に会社があった辺りへ足を向ける。ホテル・オークラで一休みしようかな、と。途中、アメリカ大使館の前まで来ると、警察官に止められる。 
 「失礼ですが、どちらにいかれますか?」。「ホテル・オークラまで」。「申し訳ないですけど、反対側の道を歩いてください」。
 僕、一応、日本国民だよ。それなのに、どうして、東京の一部にある一般道を歩いてはいけないわけ?

 ホテル・オークラスターライト・ラウンジが模様替えをしてケーキを食べられる場所でなくなったことは知っていた。でも、毎月通っていたケーキ・ヴァイキングで必ず3つは食べていたショート・ケーキを、ホテル内のカフェで食べることはできるだろうと期待。
 失礼な表現だけど、入り口を入ってすぐさま感じたのは、「オークラって、こんなに古ぼけて見えるホテルだったっけ?」。でも、きびきびと働く着物姿の女性や、カフェで誇らしげに働くウェイターの皆さんを見ていると、結局、ホテルが目指す方向、客がホテルに求めるものの比較の問題である、と。
 
 ウェイターの方に、「ショート・ケーキの味、昔と変わらないと思う?」、と尋ねる。笑顔で、「変わっていません」。ということで、二つ注文。紅茶の銘柄が書かれていなかったので尋ねると、「ヨークシャー・ゴールド」もあるとのこと。「比較的」手ごろな価格だったので、試す。ミルクもたっぷりいただけて、結構満足。
 で、ショート・ケーキ。変わらない。ヴァイキングで、2回に分けてホールを食べていた頃の思い出が甦る。
 結局、2時間近く居座ってしまったのは、さりげなくも細やかな気遣いがあるから。支払いを終えて席を立つ時に、担当してくれたウェイターの方に、感謝のつもりで手を振る。

 働いていた頃、赤坂2丁目にある日本料理の「烹月」に行ったことはなかった。退職後、Kさんのメイルで知らされる美味そうな数々の料理の報告を読んでは、歯噛みしていた。
 3年前、その烹月の料理を初めて経験。今でも忘れないのは、ふぐの白身のてんぷら。ふわふわ。あまりの美味しさに、席がシーンとなった。
 「烹月」の顔であるKさんが多忙で予定が見えないとのことなので、それならばと、もう一人の常連であるTさんにご同行をお願いし、快諾していただく。Tさんのご主人、そしてKさんも何とか間に合い、4人で美味い料理を平らげ、話に盛り上がる。
 烹月のご主人が用意してくれたのは、ジュンサイ、刺身盛り合わせ、出し巻き卵(絶品)、貝柱の湯葉包み揚げ、うざく、もう2品くらいあって、更に出てきたのは、顔のKさんが思わず、「親父、こんなの見たことないよ」、と声を上げる程大きな豚の角煮。〆は、野菜たっぷりの特製和風ラーメン

 この幸せを無駄にしない。独り占めにはしない。

5月28日:休胃日

2008.05.29
午前中、実家の近所で開業している高校時代の友人を訪ねる。その後、再び汐留に向う。今日は、新橋のほうから行くことにする。
 地上に出てすぐの所に、Veloce。働いていた頃、Veloceのコーヒー・ゼリーをよく食べていた(特に新川駅のそば、今は名称が変わってしまったある証券会社で絞られたあとは絶対)ことを思い出し入ってみると、まだある。お昼前だけど、このサイズのゼリーで腹が膨らむなんてことはありえないので、食べる。特別に美味しいというわけではないけど、ゼリーとその上に乗せられたヴァニラ・アイスクリームが舌の上で交じり合うと、なんとも言えずほろ苦い郷愁を感じる。

 今回の帰国で頻繁に目にするのが、外国人。それも、白人の人が目立つように思う。ま、東京だと、東南アジアの人や、韓国や中国からきている人は街にとけこんでいるということ。
 新橋駅からそうはなれていない、ざっかけない雰囲気の和風の食べ物やの外に置いてあるテイブルで、観光客には見えない白人男女のカップルが、お昼の定食を楽しげに、そしておいしそうに食べている。
 一昔前の東京で見かける外国人は、どことなく怯えている、もしくは不安の固まりのように見えた。ところが今回、銀座や新宿といった繁華街だけでなく、実家のそばで見かける外国人の皆さんですら、自然体で東京を歩いているように感じる。変わってきているんだろうな。

 今日のお昼は、とんかつの「和光」。サラリーマンの頃、アーク・ヒルズの「和光」には何度通ったことだろう。昨日、ひれかつ定食を食べた東京ミッドタウン内のH牧場は、ご飯やキャベツのお代りには100円追加する、と。世界的な食料費の高騰でむべなるかなと思う反面、ご飯の一杯くらい、キャベツの追加くらいにそんなに神経質にならなくても。 
 ところが、「和光」。偉い、御代り自由。「お代り、お気軽に」、という心意気が嬉しい。それにいくら僕だって、ご飯のお代わりを2杯、3杯するわけでもないんだから。でも、食料危機が深まれば、それも難しくなるのだろう。

 仕事の打ち合わせをし、会いたかった同僚や先輩の何人かに挨拶を済ませたあと、外堀通りを歩く。お煎餅の「瑞花」で、好物のうにあられの小袋を大量に購入。いつまで楽しめるだろうか?
 千疋屋にもう一度行こうかと思うも、流石に胃が重いので(もたれてはいない)交通開館の1階にある北海道物産店でソフトクリームを食す。先週立ち寄った時は、行列が出来ていたのでかなり期待していたけど、いたって普通の味。香りも薄い。あれで350円は、高い。

 実家で夕食。BS放送で、「三浦洸一」の大昔のビッグショウを観る。「踊り子」を聞いたのは10余年ぶり。
 その後、坂田靖子の「バジル氏の優雅な生活」を読み耽る。これほどイギリスを感じさせてくれる漫画や読み物はほかにそれほど多くはないだろう。イギリスを嫌いになりかけた時に読むと、「そうそう、イギリスってこんないいところもあるよな」、と思わずにいられない不思議な魅力は薄れていない。好きな話は、3巻に収められている「フィッシング」と「百の器」。でも、一番この漫画に惹かれるのは、バジルレイディ・ヴィクトリアの揺るがない友情。
 惚れたはれたや、金に影響されない友情は、なにものにも代え難く、自分が生きている間にそのような友情を誰かと持つことができるかどうかと考える。今回会うことが出来た友人たちに、僕は同じことを出来ているか?

5月27日:食べてばかりではないけど、食べてばかり

2008.05.28
今日から、朝ご飯を少し減らす。

 14時30分に、パーク・ハイアットの41階で、大学時代、そして今でもイギリス文化について教えていただいている、指導教官だったH教授と待ち合わせ。

 午前中は実家でまったりと過ごし、JRで新宿に向う。最寄駅にある和菓子の店で、きなこ団子黒ごま団子(各2本)、更に大福(粒、こしそれぞれ一つ)をランチ代わりに購入。そんなことをしてもたもたしていたものだから、ぎりぎりのタイミングで新宿駅に。
 改札を出てふと横を見ると、広島県の物産店が。店の前には、「牡蠣フライ定食」の看板がある。間に合うなら食べたい。お店の人に、「注文して5分で出来上がりますか?」、と尋ねるも無理とのこと。パーク・ハイアットにダッシュ。

 6年前の定年退官記念講義以来だが、H教授の英国紳士ぶりに変わりはない。退官してなお、というか退官してからも尽きることのない好奇心、探究心、そして研究対象への情熱。見習わなければ。
 
 通年で見れば、僕のほうがイギリス滞在は長くなっているかもしれない。しかしながら、教授がこれまでの研究やイギリスでの実体験を通して培ってきた知識は、聞いていて楽しく、興味を駆り立てられることばかり。
 最近のロンドン滞在は、高いけど安全や利便性を考えて、MayfairにあるHoliday Innにしている。朝ご飯は、ホテルから近いフォトナム・アンド・メイスンの食品売り場で燻製の肉を買い、グリーン・パーク駅の上にあるマークスでバゲットを買ってきてオープンサンドウィッチとか。イギリスの真の魅力を知りたいのなら、田舎に行かなければとか。日本では、イギリスで味わった紅茶を楽しむのは難しいとか。

 紅茶に関しては、漸く僕の不満を共有できる人と話せた。例えば、パーク・ハイアット。イギリスの日常紅茶の一つ、「ヨークシャー・ゴールド」をポットで出す。ティー・バッグではなく茶葉で出しているとは思う。でも、ロンドンでは、80個のティー・バッグ入りのひと箱が大体3ポンド前後。それが、消費税、サーヴィスを入れると2千円前後というのはちょっと。値段のことばかりではない。加えて、水の質の差は無視できない。ということで、僕は新茶を戴く。紅茶と同じ理由で、日本では緑茶がいい。

 話の途中、徐に「君が書くもの、どんどん良くなっていると思うよ。そろそろ、自信を持ってもいい頃じゃないかな」、と。不惑の歳を過ぎてなお、指導教授に誉められることのなんと嬉しいことか。続けて、「君と一緒に書くというのも面白そうだね」。嬉しいけど、無理だろうな。教授はアカデミック、僕はコマーシャル。それに僕の文体は、教授の域には到底、達することはできない。

 話は尽きなかったけど、仕事の打ち合わせがあり、有楽町に移動。時間が読めなくて、かなり早く到着。余裕があったので、歩道の幅が広がり、座り心地のよさそうなベンチが置かれている丸の内中通りをぶらぶら歩く。蚕糸会館の地階に、フランス料理のアピシウスがまだ有るのを発見。働かされすぎて金銭感覚がおかしくなっていた頃、一度お昼を食べたことがあるはず。その時だって吃驚するほど高かったはず(あまりに高くて正気に戻ったような)だけど、今はもっと高い。誰が行くんだろう。
 見慣れない高層ビルがあるなと思ったら、「ザ・ペニンシュラ東京」だった。丁度日没の頃で、お濠の向うに沈んでいくオレンジ色の太陽の光が、レセプションに溢れていた。ロケイション、最高。間違いなく、宿泊費も凄いのだろう。

 新しく始まる書く仕事を紹介してくれた友人と会う。有楽町駅のそばのビルの中にある、千葉県直送の新鮮な魚介を出す店に。仕事の細かい打ち合わせをささっと終らせ、あとはロンドンではお目にかかれない魚介類に我を忘れる。新鮮な貝の盛り合わせ、刺身、プリプリの海老の天麩羅、なめろう等々。同じ島国にもかかわらず、どうしてこうも食の嗜好が違うのだろう。小ぶりの鯛のかぶと煮のとろける食感に、ロンドンに戻ることを逡巡している自分を感じる。

5月26日:知らない東京、知っている東京

2008.05.27
朝いちで、親戚を訪問。お土産の一つとして持っていったテスコのエコ・バッグが、予想以上に喜ばれる。



(写真の右のものを持参。友人によると、持ち手がしっかりしていて使いやすいとのこと)



(これは、昨年売られていたもので、現在は売られていない模様)



(広げた所。バッグの内側はコーティングされているので、冷凍食品も大丈夫)

 親戚の家を辞して、そのまま広尾にあるお寺へ。すっかり忘れてしまっていたけど、今年は祖父の17回忌。それがなくても墓参には行くつもりだったけど、なんかけじめがついてよかった。
 恵比寿駅に戻る途中、昔からある瀬戸物屋に立ち寄る。置いてあるものは現代風になっているけど、掌にシンプルな茶碗を乗せると、日本人であることをしみじみ感じる。
 店内で目に付いたのが、蛙の置物や、蛙をあしらった茶碗や取り皿の種類が豊富なこと。いつから蛙ってこんなに人気になったんだろう。

 前回、とても満足した「自然茶房」でまた美味しいランチをと期待していたけど、残念なことに閉店。ということで、それほど遠くないから東京ミッドタウンへ。
 ほぼ隣り合った形で、六本木ヒルズミッドタウンがある意義があるのかを考えるが、答えが見つからない。オフィスや高級ホテルの需要って、そんなに高いのだろうか?ざっと見て回ったかぎりでは、ミッドタウンのほうが空間の使い方がすっきりしていて好感が持てる。
 とんかつで胃袋を満たしたあとは、国立新美術館に。日本人って、どうしてこうモディリアーニが好きなんだろう、と半ば呆れる。世界には、もっといろいろな画家がいるのに。
 美術館には入らなかったので、総合的な判断は下せないけど、仮にも「国立」を名乗る美術館と思えなかったのが、悲惨を通り越して無残なさまを晒していた前庭。盛りをすぎた躑躅の花が枯れたまま放置され、躑躅の株の隙間からは雑草が伸び放題。イギリスのガーデニングは、枯れたらすぐに新しい花を植えるという、まさに作られた庭であり、消費されることをよしとした庭でもある。そして、その点を批判する人がいるし、その批判は当然だとも思う。でも、放置されたまま無残な姿を多くの人に晒す悲しい庭より、作られたものであっても手入れが行き届いている庭のほうがずっとまし。

 美術館の悲惨な前庭に背を向けたあとは、ミッドタウンの後方にある檜町公園を通り抜けて赤坂へ。地下鉄の赤坂駅周辺の変貌振りに、気分はまるで外国を訪れたよう。会社員をしていた頃、食べ甲斐のある、且つリーズナブルなランチを楽しみに通った割烹料亭や天麩羅屋があるかなとぶらぶらと歩きぬける。和菓子の「塩野」で豆大福を。小豆の優しい甘さにホッとする。

 溜池を抜ける途中、オーストリア菓子の「栢沼」でヴァニラ・クッキーを一袋。ロンドンに戻ってからのお楽しみ。そのまま内幸町まで歩く。大昔、バティックやローラ・アシュレイで購入したカーテン生地を持ち込んでワイシャツを作ってくれたシャツ屋が、なかった。
 地下鉄にのって、サラリーマン時代の後輩夫妻を訪問。最寄駅まで迎えに来てくれた彼らと一緒にいたのは、S君。彼とは初対面だけど、礼儀正しく、また物怖じしない態度がとーっても可愛らしかった。彼らの家に行く前に、フランス語で「恋文」という名前の近所のパティセリーでショートケーキを購入していただいた。
 到着後、改めてS君に自己紹介。おじちゃんと呼ばれてしまったので、「お兄さんって呼んでくれるかな」とお願いしたところ、「お兄さんはこんなお腹していないよ」、と。子供の観察眼を侮ってはいけない。

 後輩宅を辞したあと、あまりにもショートケーキが美味しかったので、別のケーキを試したくなり、一人でパティセリーに戻る。ケイスの中で惹かれたのがマンゴーのロールケーキ。恐らく、3きれ分はある大きさ。2階のでカフェで戴くことに。感想は、「うーん」。スポンジが少々ぱさつき気味。更に残念なことに、マンゴーの香りが、盛り付けに使われたチョコレイトに負けてしまっていた。ショートケーキはあんなに美味しかったのに。

 夕飯は、再び地元の肉屋から。これまた自慢の海老カツほか。気がついた。帰国以来、毎日ほぼ5食。たまにはいいんだ。

5月25日:食べても食べても

2008.05.26
帰国後初めて、熟睡。朝ご飯が美味しい。

 日本在住20余年の友人と新宿で再会。彼と東京で会うのは何年ぶりだろう。ロンドンでは何度も会っているというのに。
 待ち合わせ場所は、サザンテラス。存在は知っていたけど、足を踏み入れるのは初めて。スタバで茶を飲みながら時間をつぶす。先に東急ハンズで買い物をした時にも感じたことだけど、日本の顧客サーヴィスの質は、地球一だと思う。やりすぎということもいえるけど。

 友人が僕を連れて行こうとしたホテルの上層階にある中華が満員だったので、下層階のイタリアンに移動。入り口では、男性が喉の奥から搾り出すような声で思いっきり「いらっしゃいませー」を浴びせるのに、店内のウェイトレスの皆さんが、「プレファボーレ」を連呼することになんの意味があるのだろうか?
 料理は日本人の味覚に合わせてあるのだろう、食べやすかった。ただ、前菜の「烏賊のマリネ」が運ばれてきたとき、思わず「これだけ?」といいそうになってしまった。
 金曜日に、Mさん宅で交わされた会話を思い出す。Mさん夫妻がロンドンから戻り、初めてイタリアンに行ったとき、同様なことを感じたそうだ。「一皿の量が少ないのよー」、と。2年前にIさんがロンドンに来られたとき、キュー・ガーデンズに行った。お昼は、キューのそばにある伝統的なパイ料理が楽しめる店に連れて行った。
 僕はもともと早食いだけど、暖かいものは暖かいうちに食べる、というのがモットーなので、自分のステーキ・パイをあっという間に平らげた。テイブルの反対側を見ると、Iさんと彼女のお母さんが注文したチキン・パイが半分以上も残っていた。
 口にあわなかったのかと不安に思い尋ねたところ、「美味しいですよ。イギリスのパイ料理なんて初めてですけど、こんな美味しい料理がイギリスにあるんですね。でも、私達には量が多いんです」。
 そのレストラン自慢のデザートも試してもらいたかったし、僕自身、胃袋に余裕はまだあった。味覚はともかく、胃袋の大きさがイギリス仕様になってしまっていることに、そのとき初めて気付いた。

 友人とはロンドンで会ったばかりだけど、話すことは山ほど。帰国してたった数日の間に感じた東京の印象をまくし立てる。緑が少なく感じること、道行く人たちの姿勢が悪いように見えること等々。続けて、「東京の物価、結構高い」というと、「それはね、君が銀座にばかり入り浸っているからだよ」、と切りかえされる。
 友人は、最近熱心に取り組んでいるチャリティのことを話した。そのチャリティの名前は、Room to Readhttp://www.roomtoread.org/involvement/chapters/japan/index.html。 
 ずっと書きあぐねている、イギリスでの文盲のことが気になっているので、図書館を建設して子供達に本を読む機会をもたらす活動には興味がある。お互いが考えている、慈善活動の良い点、悪い点やヴォランティア活動の問題点についてあれこれ話し合う。

 友人と別れて伊勢丹に向う途中、ソフトクリームを食す。伊勢丹の地下の食料品売り場で、イギリスにもって帰れそうな土産を物色。カステラは賞味期限を考えるとまだ早いので、ゼリーで何かよさそうなものがないかと探す。見栄えも味もよさそうなものを見つけたので、10個いりの大箱を購入。容器の間の空間が心配だったので、何かつめるものがあるか尋ねたところ、「お客様がほかの買い物をされている間に、私どもで手配します」、と。素晴らしい。
 KIHACHIで、今晩のデザートを購入。ロールケーキまるまる一本は多すぎなので、半分のものを購入。かんきつ類の味がする生クリーム入りのものに興味があったけど、味が想像つかなかった。「そのクリーム、どこかで試せるかな?」と尋ねた2秒後、目の前にそのクリームが差し出された。素晴らしい。

 紀伊国屋書店本店で、鉄ちゃんの友人に頼まれた、東京の地下鉄路全図in Englishを探す。あるにはあったけど、最新のもので出版が2007年の初頭。古いものは、2005年の出版以来、全く改定されていない。こういうものは、デザインよりも情報の信憑性・最新性が大切なはずだろうに。友人が知りたがっていた「副都心線」の情報が掲載されるのはいつのことになるのだろう。
 Yokoso! Japanhttp://www.jnto.go.jp/vjc/)なんてキャンペインをしているようだけど、情報の更新の頻度と熱意がこれでは。日本が好きな外国人は、日本人が思いもよらない熱意で日本のことを知ろうとしているように思う(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-771.html)。

 地元に近いJRの駅に。そのまま帰宅すればいいものを、ふらふらと中華料理の店に入り込んでしまい、3時のお茶代わりにランチ・セット。明日は、きちんと3食でと固く誓うも、餃子を追加。

 夕飯は、ピザ。一人では頼むのは気後れするからと、親が久しぶりに食べたいということで。これも親孝行か。

 時差ぼけと胃が重すぎて、眠れず。

西へ、東へ:5月24日

2008.05.25
前日までの蒸し暑さでへろへろ、きつい時差ぼけでほとんどまともに寝られないまま、家族に会いに西へ。

 今回もだけど、食べてばかり。体力は落ちていたにもかかわらず、東京駅で駅弁(穴子弁当)を購入。駅弁だから多くは望まなかったけど、そこそこ美味しかった。今回は、まともなうなぎを食べてから戻ろうと固く決意。
 「ひかり」は、座席の前の空間が大きくて足を伸ばせるのは助かった。でも、シートが硬く感じられた。こんなもんだったかな。到着後、地下鉄に乗り換え。

 3年ぶりの弟、奥さんは若いまま。幸せそうだし、良かったよかった。上の姪は遊びたい盛り。物心がついて初めて会う『伯父』が遊んでくれると期待していたよう。残念ながら、その余力は無かった。
 下の姪は、生後6ヶ月までは男性に抱かれるとすぐに泣き出していたそう。最近はそんなこともなくなったと聞いていたけど、ちょっと不安を感じつつ抱いてみた。可愛い。不思議そうに僕の眼を覗き込み、不思議そうに髭を触ってこの物体が何かを確かめていた。

 義妹の手料理を堪能し、お茶が終わるころには睡魔が。そのまま横になりたかったけど、そこで寝たら翌朝まで寝てしまいそうだったので、何とか目をこじ開ける。が、戻る地下鉄の中で、何度か気を失いそうに。
 駅で買い物を手伝い。ひつまぶし弁当を買う。『ひかり』に乗り込んで弁当(はずれ)を食べた後、爆睡。ほんの10数分だったけど、かなりすっきりした気分。
 駅で気付いたのは、「のぞみ」の本数の多さ。料金が高い「のぞみ」ばかり増やすのは、JRにとっては収益を伸ばすために必要なのかもしれないけど、「ひかり」や「こだま」をつかわざろう得ない利用客にとっては納得いかないのではないかな、と。

 帰宅後、高校時代からの友人に電話。医療に携わっている友人に、イギリスの精神医療について、僕が知っている範囲で説明。お互い、日英の違いに驚く。精神科医臨床心理学者セラピスト・カウンセラーの定義は、部外者にはわかりづらいと思うけど、日本での混同振りには、少なからず驚いた。もちろん3者が協力して治療を進めることだってあるけど、例えばイギリスでは、精神科医(Psychiatrist)と臨床心理学者(Clinical Psychologist)が扱う事象は基本的に別れる。前者はMental Illnessを、後者はMental Condition。もっと判りやすく言うと、臨床心理学者は薬を処方できない。当然、日本語で言う所の心理カウンセラーだって処方箋を書くことはできない。

 話し戻って。帰宅後、TBSの「世界不思議発見」を見る。イギリスの「コッツウォルズ」特集。個人的に、コッツウォルズにいくことは暫くはないだろうけど、早春(3月下旬に取材したように感じた)の風景はやはり綺麗。番組の中で出された質問は、3問全て正解。無駄にイギリスで生きていないことを家族に証明できた。

 帰国後初めて熟睡。長い一日だったし、本調子ではなかったけど、『家族』といっしょにいるのは嬉しい。

5月23日:日本は既に亜熱帯になったと思う

2008.05.24
有楽町経由で汐留に向かい、前日に続いて銀座を観察。無計画な都市計画の犠牲になった銀座、というイメイジを捨てられない。それにしても暑い。日向にたたずんでいるだけでも汗が吹き出る。さらに、往来を歩くビジネスマンの暑そうな上着、紫外線対策のためだろう、帽子、長袖、そして手袋をして歩く女性たち。もっと汗が噴出す。

 勤めていた会社の建物入り口でもと同僚と再会。膨張して見えないように、緑をベイスにしたアロハ・シャツを選んだけど、『何処の国の人かと思った』、と。ほめ言葉。
 会社の動向、人の動き等々から、最近の暮らしなどを、美味しい白米をかっ込みつつ聞き、尋ねる。会社を辞めたのはもう10年近くなるけど、今でも時間を割いて会ってくれる先輩や同僚。良い時代に、良い会社で働いていたと改めて思う。
 友人が、『そういえば、このブログを知人が知っていたわ』、と。同席していたオペラの師匠がすかさず、『思い込みが多々あるから、内容、間違えないように』。読んでくれている人がいるんだなと思いつつ、もっと精進しないと。
 昼食後にもう一人と社内で再会。29日、割烹の店へ行くことを確約する。残念ながら、仕事がらみで会いたい人は多忙だったので、また、銀座に足を向ける。資生堂パーラーで午後のお茶と思ったけど、前回、チョコレイト・ムースでちょっと失望したのと、あまりの蒸し暑さに果物が食べたくなったので、千疋屋のパーラーに。途中、福屋書店でサライネスの『誰も寝てはならぬ』の最新刊を購入。旭屋書店があったなら(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-764.html)。更に、ちょっと回り道して、お煎餅屋の瑞花が健在なことを確かめる。
 千疋屋では、ショートケーキマンゴー・パフェ。昼日中から、こんな所でまったりと過ごせる至福。パフェに使われるマンゴーだから完熟とはいかなかったけど、美味。使われていたアイスクリームに味なし。でも、もう一杯食べたいと思ったから(食べていません)、及第。ショートケーキは満足。これで価格が半分だったらいうことなし。

 ロンドンの友人達への土産を選びに松屋と三越の食料品売り場へ。カステラを買っていきたいんだけど、同僚お勧めの『福砂屋』のカステラは賞味期限が6日から7日。イギリス人の胃袋は日本人よりは頑丈だとは思うけど、要考。
 それにしても日本の顧客至上主義は、こちらが面食らってしまう。ある和菓子屋で、『この梅のゼリー、飛行機の手荷物でも平気ですかね?!』、とこちらが聞き終わらないうちに、『宅配会社に尋ねてきます』、と忽然と消えてしまった。その心遣いは嬉しいけど、これに慣れたらイギリスに戻れなくなる恐れ、大。

 昼食のときに話した中で印象に残ったのが、携帯電話。自慢にならないけど、日本の携帯電話を持ったことはない。今回、各方面で会いたい人がいたので借りようかと思ったけど、マニュアルを読むだけで終ってしまいそうな不安があった。短い帰国を無駄にしたくなかったのでやめた。絶対に使い方を理解できなかったことは火を見るより明らか。
 日本の携帯電話はすごいのだろと思うけど、それに依存する、そして影響される日常の暮らしは異様に映る。ロンドンでも、四六時中、テキストを送っている人、片時も手放せない人、周囲をはばからず往来やバスの中で大声で話す人はたくさんいる。
 でも、大昔のアニメ、『秘密のあっこちゃん』のコンパクトよろしく、老若男女、誰も彼もが携帯電話の画面をじっと見つめて歩き回り、ベンチに座り込み、ほかの人と面と向かって話しているときですら画面から目を離さないのは、日本のデフォルトなのか?
 最近、携帯が絡んだ犯罪が多くなっていて、状況、人々の意識も変わりつつあるらしいけど。どうなるのかな。
 この日、もう一つ驚いたこと。東京駅で乗り換えるとき、プラットフォームを化粧しながら電車に猛然と乗り込もうとする女性が一人。基本的に、何かとても大切なことが間違っていると思う。

 デパ地下物色後、友人宅に。目的は、友人のお子さん、S君との再会。途中の電車の中で、会社の大先輩に偶然再会。彼が定年退職してからあったことは無かったから、おそらく15年ぶりくらいだろうか。
 駅で、やはり元同僚のIさんと会い、一緒にMさん宅へ。周囲に緑が多く、とてもいいところ。S君は、Mさんのご主人のロンドン駐在時にかの地で生まれ、リージェント・パークのバラ園や、ロンドンのカフェで何度か子守りした。S君が日本に戻るときは断腸の想い。そのS君も、すでに小学生。ひげに白いものが混じるのも当然。
 礼儀正しく、聡明、さらに元気一杯のS君。時差ぼけがきつくて、彼と遊べる体力は無かったので、そちらはIさんにお任せ。ダイニングで、Mさんによるタコのマリネを戴く。タコ、食べたかった。

 この訪問には、さらに二つの嬉しい驚き。イースターのときに、S君を含む4人のお子様ほか計5ヶ所にチョコレイトを送った。4箇所からは送ってから数日後には『届いたよ』との連絡があったのだけど、Mさんからは何も無かった。せっつくのもはしたないと思い、僕もすっかり忘れていた。ところが、帰国前に連絡したとき、『実は、まだ届いていないのよ』、と。ロイヤル・メイル、何度目だよ。
 が、なんとご自宅にうかがった23日の午前中に、2ヶ月以上もかかってようやく届いた、と。中身はばらばらに砕けていたけど、届いてよかった。航空便で出したにもかかわらず、おそらくロイヤル・メイルのとんちきどもは船便に入れたのだろう。もしくは南米にでも送ったのではないかと思われる。
 
 二つ目の驚きは、ロールケーキ。昨秋、Iさんから沼津で売っている美味しいロールケーキ(http://www.at-s.com/bin/guru/guru0040.asp?yid=A996970251)のことをうかがって以来、食べたいと思っていた。でも、今回の短い帰国では、沼津まで買いにはいけないな、と。
 ところが何という偶然。Iさんのご主人が、22日に東京のあるデパートで販売されるという情報をゲット。この販売、数ヶ月に一度らしい。さらにご主人、そのデパートまで行って、並んで、購入してくださった。
 MさんとIさんから、僕の執念だと。そう思う。

 Mさんの美味しい手料理をたらふく食べた後に、S君が切ってくれたイタリアン・ロールの分厚い一切れ。日本の洋菓子は、世界に誇れる立派な『和食』。

辛口なのは、日本が好きだから:5月21日、22日

2008.05.23
ロンドン時間、5月21日、ヒースロー空港のターミナル5ヒースロー・コネクトhttp://www.heathrowconnect.com/)で。途中の駅で、余りにぶっきらぼうな駅員の対応にむっとしたので、「何でそんなに不親切なんだ!」、と問い質す。その答えが「I am feeling ill」、ときた。帰れよ。
 ターミナル5が予想に反してきちんと機能していたことに痛く感心。ターミナル1や4と比べると、広々として気持ちがいい。ただし、ベンチに座ってだべっている中年男性職員はどうにかすべきだろう。

 成田着。成田エクスプレスに乗ってしばらくの間、何というか不愉快な違和感に悩まされる。千葉県郊外の都市部って、住宅街になると急に緑が少なくなって車内から見ているだけで息苦しくなる。住宅地の間と間に存在する田んぼを見るとほっとした。
 実家の最寄のJRの駅までの乗車券と特急券の合計が¥3,110-。高いと感じる。ただ、車内の清潔なこと。こんな清潔な車両、ロンドンは愚かイギリス全土でも望めないのではないかと思う。座席も、BAのエコノミーよりずっと座りごこちが良かった。
 前回の帰国の時に、空弁に非常にがっかりしたので今回は買わなかった。でも、車内販売で、「ひれかつサンドウィッチ」があったので購入。たった3きれで600円というのは、これこそ高いと思ったけど、抗えなかった。

 ひさしぶりに実家で食べる食事は、赤米入りの栗おこわ、かぼちゃの煮付けとサラダ。小さな茶碗だから、3杯お替り。
 親は休んだ方がいいといったけど、時差ぼけを最小限に抑えるには、活動しているのが一番。ということで銀座へ。偏見だけど、地下鉄に乗っている人たちの多くが、幸せそうに見えなかった。なんだか姿勢も悪いように見えてしまう。
 有楽町駅前に出てきて最初に目に飛び込んできたのは、『イトシア』。1階にあるパチンコ屋が発する大音響の所為で、建物自体がばったものにみえてしまう。道路を挟んで向いにあるMKの商品の価格の高さに驚く。帰りによった地元の薬屋の方が安かった。数時間歩いただけだけど、日本の物価は安くないと感じた。

 かつてビア・ホールがあった、外堀通りの銀座三丁目と4丁目の角に出来た新しいカフェでショートケーキと銀座プリンなるものを食す。プリンはヴァニラ・ビーンズがちょっと強かったけど、及第。ショートケーキは、生クリームは『さすが日本』の味だった。ところが、スポンジが生クリーム、イチゴクリーム、そしてイチゴに負けてしまっていて、食べ終わってみれば、『生クリームがかかったイチゴ』を食べただけの気分。美味しいショートケーキが食べたい。 
 満足するとは思わなかったけど、紅茶にも不満。人気が高そうなカフェだから忙しいと思う。なら、色が出るのに時間がかかるダージリンは、メニューからははずした方がいいと思う。日本ではダージリンの人気が殊のほか高いけど、色が出るのに時間がかかるというはあまり認知されていないように感じる。それと、ミルクの量がとても少なかったので思わず、『ミルク、これだけ?』、といってしまったら、『すぐにお持ちします』といって、ミルクを入れた小さな小さな容器を4つも持ってきてくれた。思ったことをすぐに口に出すのは日本では止めようと思う。
 写真で見ていたけど、銀座の変貌振りには、唖然を通り越して悲しかった。

 地元に戻って、商店街を通り抜けて帰宅。八百屋が無くなり、すし屋が無くなり、昔歩いた商店街のたたずまいは無かった。3年て、長いなと感じた。
 夕飯は、地元の肉屋の自慢の餃子。農薬が入っていることを心配する必要なんて、全くない。変わっているんだろうけど、自分にとっては20年前と変わらぬ味。自分がかつて住んでいた土地に戻ってきたことを実感する。

チェルシー・フラワー・ショウ2008

2008.05.19












http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/gallery/2008/may/19/homesandgardens?picture=334239362
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/gallery/2008/may/19/chelsea?picture=334241351
The Guardianの写真リンク。こちらはBBC。5枚目の写真が笑えます。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/in_pictures/7407910.stm

http://www.telegraph.co.uk/gardening/main.jhtml?xml=/gardening/exclusions/chelsea08/rhschelsea2008.xml
The Daily Telegraphのこの特別ペイジのリンクがいつまであるのかは判りませんので、興味のある人は、自分のブラウザに登録しておいた方が良いかもです。

 ほかの記事によると、今年のチェルシー・フラワー・ショウの流行は、「水」だそう。他に話題は、ビートルズのメンバー、故ジョージ・ハリソンの未亡人、オリヴィアさんがジョージに捧げた庭を展示しているそう。
 4年前に、一度だけいったことがあるけど、庭を見るより、人込みを見に行ったようなものだから、誘われても二度と行かないと思う。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-293.html

 ロンドンの夏の社交シーズンの幕開けとなるチェルシー・フラワー・ショウだけど、数週間前に、来年以降も同じ場所で開催されるかどうか微妙と言う報道があった。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1903890/Planning-rules-threaten-Chelsea-Flower-Show.html
Planning rules threaten Chelsea Flower Show

 開催期間だけでなく、庭の造成の準備期間に引き起こされる騒音、道路の渋滞にたいして周辺に住む住民が、チェルシーがあるケンジントン・アンド・チェルシー区に抗議して区としても対応に乗り出さなければならない状況になりつつあるような感じ。
 イギリス国内だけでなく、世界中の庭愛好家を惹きつけるチェルシー・フラワー・ショウが生み出す経済効果は無視できないだろうから、別の場所に移ってね、とは簡単には行かないと思う。でも、あの交通渋滞は確かに酷かった。

 会場を独り占めにして、好きな庭でロンドンの初夏の爽風に吹かれてアフタヌーン・ティーを楽しめるなら、また行ってあげてもいいかな。

ロイヤル・ウェディング(ややマイナー・ヴァージョン)

2008.05.18
昨日、5月17日に、エリザベス女王の最年長の孫、Mr Peter PhillipsMiss Autumn Kellyと結婚した。



Mr Peter Phillipsは、女王の長女、アン王女(イギリスでは、The Princess Royalとも呼ばれる)の長男で、王位継承11位。相手のケリーさんはカナダ出身。彼女のプロフィールはこちら。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/1962810/Profile-Autumn-Kelly%2C-Peter-Phillip%27s-fiance.html



女王夫妻は、彼等の孫の中から初めての結婚式と言うこともあってか、嬉しそう。ウィリアムは欠席(理由後述)、ハリーが楽しそうなのは別の理由も(後述)。カミラ夫人はこの形の飾りがお気に入りなのかも。女王の次男、アンドリュー王子の長女のベアトリス王女。かねてからファッション・センスはなないと思っていたけど、かけらもないようだ。



写真、向って左にいる付き添いの女性は、新郎の妹のMiss Zara Phillips。彼女はイギリスを代表する乗馬選手としても有名。彼女を含めてだけど、こういうドレスを着ると判っていただろうから、水着の日焼けあと、どうにかしようよ。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/1976155/Royal-wedding-Peter-Phillips-weds-Autumn-Kelly.html
写真は全てこちらのリンクから拝借。

 普段はウィリアムハリーの陰に隠れているとはいえ、女王直系の孫の結婚ともなれば、話題は豊富。彼等の婚約が発表されてまず問題になったのが、ケリーさんが敬虔なローマン・カソリック教徒であったこと。彼女がアングリカンに改宗しなければ、フィリップス氏は王位継承権を放棄することになるはずだった。これは各メディアで、法律を改正するべきか否かの論議が沸き起こったけど、結婚式の数週間前にケリーさんが改宗して、うやむや。
 次の話題は、ハリー。彼が4年間交際しているChelsy Davy嬢が、この結婚式の会場で初めてエリザベス女王ハリーのガールフレンドとして、公式に紹介されるというもの。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/1969472/Queen-will--meet-Prince-Harry%27s-girlfriend-Chelsy-Davy--at-Peter-Phillips-wedding.html
昨年秋、冷却期間(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-582.html)をおいて、結果的に良かったと言うことでしょう。

 さらに、フィリップス氏とケリー嬢の結婚が決まる前から、最初のガールフレンドの兄の結婚式に出席する予定だったウィリアム(彼の欠席は女王が承認したそうです)の代わりに式に出席したのが、彼のガールフレンドのケイト・ミドルトン嬢。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/1964476/Kate-Middleton-to-stand-in-for-Prince-William-at-royal-wedding.html
 この二人が揃って王室のイヴェントに出席するということで、特にウィリアムケイト嬢の婚約発表が今度こそ有るのではないかと。
 ちなみに、結婚した二人は、式の様子を写真ゴシップ雑誌のHello!に売ったそうです。その金額は、50万ポンドとか。ま、なんでもありの英王室ですから。

 ところで、嬉しそうにしている女王夫妻は、結婚式の前は、4日間に渡って30ウン年ぶりにトルコを公式訪問。



http://www.telegraph.co.uk/news/1953003/The-Queen-in-Turkey.html
 80歳を過ぎてなお、これだけ精力的に海外訪問をこなす女王夫妻。結局、この二人がいてこそ、今の英王室の均衡は保たれているように感じる。

自分の心が試される時代

2008.05.17


http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/gallery/2008/may/13/fashion.celebrity?picture=334084835

ロンドンで知り合った友人宅に、数日前に立ち寄った。エンタメ関連で手配して欲しいものがあると頼まれ目的のものがやっと届いたので、それを手渡すのが目的だった。
 友人宅の居心地のいいダイニングでビルダーズ・ティーhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-474.html)とマークス・アンド・スペンサーのチョコレイト・ケイキをいただきながら政治の話や日本に帰ったら何を食べたいなんて事を話していたとき、電話がかかってきた。

 友人は現在、大きな仕事を一つ抱えている。殆どのことは自分で手配して、友人の管理の元で全てを進めるようにしているそうだが、物理的にどうしても自分ができない幾つかのことを、友だちに依頼している、ということを以前聞いた。電話は、そんな友だちの一人からだった。
 目の前で話しているから、会話の断片はどうしても聞こえてくるし、友人も気にしているようではなかった。けど、話しているうちに、友人の声のトーンがおちてきて表情も曇ってきたのが判った。どうやら、折り合ったはずの金額が友人が希望していたものよりも高くなり、かつ友人はそれを払わなければならくなったようだった。
 電話が終わり、軽く溜息を漏らした友人。僕に向って、同時に自分に言い聞かせるように、「友だちだから、失望させるわけには行かない。本当はこの金額では困るけど、払わないと。友達だからね」。
 意地悪な僕は、尋ねた:「それって、友達なのかな?!」。

 人のことを判定する資格など僕にはない。自分自身に対してどういう風に有りたいのか?友人たちとどのように支えあっていきたいのか、支えて欲しいのか?幸せを、喜びを、悲しみををどのようにわかちあいたいのか?

 こんな時代だから、自分の立ち位置を見誤りたくない。そして、自分を見失いたくない。



http://www.guardian.co.uk/environment/gallery/2008/may/16/1?picture=334164733

フーリガン:イギリスを蝕む疫病

2008.05.17
今週の水曜日、14日にイングランド中部のマンチェスターで、スコットランドとロシアのサッカー・チームの試合があったそうだ。スコットランドのチームが負けた結果が、以下の通りの大混乱。









http://www.telegraph.co.uk/news/1958314/Uefa-Cup-Dog-bites-Rangers-fan.html
他の写真も含めて、上記のテレグラフのリンクから拝借。
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/may/15/ukcrime1
こちらは、映像を含むガーディアンのリンク。

 何も変わってはいない。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-288.html

 現在のイギリスにはびこる犯罪は、何もフーリガンによるものだけではないけど、いつまでこんなことが続くのか。他に解決しなければならないことが、目の前に堆く積まれているのに。

金は、有る所にしかない:高騰する美術市場

2008.05.15
今日、新聞の社会面を賑わせた絵画。

 一つ目。ルシアン・フロイトLucian Freud)が、日本でいう「ハローワーク」に勤める女性をモデルにして描いたもの。



1,700万ポンド、約35億円で売れたそうだ。生きている画家の絵についた額としては、現在の最高額とのこと。ちなみに、女性に払われたのは、時給3ポンドのモデル代のみ。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1953674/Lucian-Freud%27s-naked-Jobcentre-supervisor-painting-sells-at--Christie%27s-auction-for-record-andpound17m.html

 二つ目は、フランシス・ベイコンFrancis Bacon)の「Triptych(1976)」。4,300万ポンド、約88億円で落札。



http://www.telegraph.co.uk/news/1957338/Francis-Bacon-%27masterpiece%27-sells-for-andpound43m.html

 絵の良し悪し、嗜好をどうこう言うつもりではない。21世紀の大恐慌になりかねないクレディット・クランチなどどこ吹く風で、高騰を続ける美術市場を批判したいけど、しない。僕が口出しても、何かが変わるわけじゃないし。
 思うのは、このお金はどこにあるの?、と。生活が厳しくなっても、音楽を聴きたい、喜びを感じさせる絵を見たい、と言うのは多くの人が持っている願いだろう。でも、普通の暮らしをしていると、観たい絵すら見ることが叶わない時代になっているのかな、と嘆息を禁じえない。 

http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23484722-details/Why+the+rich+get+richer+while+the+rest+sit+it+out/article.do
Why the rich get richer while the rest sit it out

[追記:5月19日]
上記の2枚の絵画を購入したのは、ロンドンを根城にイギリスの不動産を買い漁り、サッカーのチェルシーのオーナーであり、外国人居住者の特権を最大限に享受して相応の税金を払っていないロシア人ビリオネアー、ローマン・アブラモヴィッチ氏だったそう。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7408211.stm
この事実こそ、金は一部のビリオネアーの所に集中していると言う現実の証明に他ならない。
 
 
 久しぶりのエントリでぶちぶち言ったまま終るのもいやなので、今年注目の美術展。リヴァプールにあるテイト・ギャラリーで、グスタフ・クリムトの大回顧展が催される。期間は5月30日から8月31日まで。
http://www.tate.org.uk/liverpool/
 観にいきたいけど、リヴァプールって、結構、遠い。友人が調べたところだと、電車で往復5時間かかるそうだ。そうすると、ユーロスターに乗ってパリに行くほうが速い。だったら、オルセー美術館でやってくれたほうが良かったな、と思ってしまう。



(注:この絵が展示されるかどうかは調べていません)
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2008/05/10/baklimt110.xml
http://www.telegraph.co.uk/core/Slideshow/slideshowContentFrameFragXL.jhtml;jsessionidI1QBRQHCTCZJ1QFIQMGCFFWAVCBQUIV0?xml=/arts/slideshows/klimt/pixklimt.xml&site=arts

http://arts.guardian.co.uk/art/visualart/story/0,,2278238,00.html
http://www.guardian.co.uk/arts/gallery/2008/may/06/art.europeancapitalofculture2008?lightbox=1

イギリス人は木曽路を目指す

2008.05.05
どれくらい前から感じ始めたかは思い出せませんが、イギリスの全国紙の旅行セクションが日本を紹介する記事の情報の精度が上がり、また日本のこんな奥深い所まで紹介するのかと感心することが多くなっています。相変わらず、新聞本紙の国際面に掲載される日本発のニュースは、「こんなこと報道しないでよ」というものが多いですが、こと旅行セクションに関しては、日本への理解、興味が深まっているように思います。
 そんなことを思っていた所で、日曜日のThe Observer紙の旅行セクションの巻頭特別記事は、昼は中仙道を歩き、夜は民宿で寛ぎながら日本を知る、というものでした。

The inns and outs of my walk into Japan's past
http://www.guardian.co.uk/travel/2008/may/04/japan.hotels?page=all



 僕自身が中仙道の歴史を殆ど知らないので、年号などが正しいのかは判断できません。が、長いですがとてもよく書かれているし、何より、日本文化への偏見が感じられません。民宿で見聞きすることを、見たままに、あるがままに思い込みを交えずに書いているのが単に嬉しかったです。単純ですけど、「少なくともこの記事を読んだ人は、日本は侍と芸者だけが存在する国だとは思わないだろう」、と思えること嬉しかったです。
 それに、このような記事に巡り会うと、では自分はどうなのか、と足下を見つめるいい機会にもなります。ブログや他の媒体で書き表しているイギリスは、あるがままのイギリスだろうか?、と。

 自分が生まれ育った国の、自分が知らないことを、他国の人の感性を通して知ることは興味深いです。筆者の方が描写した、民宿ではどのように布団がたたまれているかという箇所を読んだ時に、最後に泊まった民宿は、沖縄粟国島の民宿だったことを思い出しました。
 一つ、突っ込まずに入られなかったのは、その沖縄。記事の最後で「Six of the best Japanese minshuku」が紹介されています。その中の一つが、竹富島にある「新田荘」。これは、他の媒体の受け売りではないかと思わずにはいられません。

 閑話休題。好天に恵まれたこの連休、エリザベス女王も、いつもの公式行事とはちょっと違う、リラックスした時間を楽しんだそうです。



The Queen enjoys train ride in disguise
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/1927022/The-Queen-enjoys-train-ride-in-disguise.html

 イギリス人は、ウォーキングも大好きですが、蒸気機関車に乗るのも大好きな国民(のはず)。エリザベス女王も、その点に関しては国民と楽しみを共有しているようです。




ミノタウロス2回目、他

2008.05.04
イングランドも連休中。天気も諦めていたほど悪くなく、イギリスにも漸くまともな春が来たようです。

 昨晩、ロイヤル・オペラ・ハウスで、「ミノタウロス」の最終公演を観てきました。現代オペラですから、一回目の印象が良くても(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-767.html)、二度目は飽きるかと思っていたのですが、今回もまた舞台に惹き込まれました。



 前回の感想で、何か書き忘れたなと感じていたのは、音楽やオーケストラについて。オペラを観にいって、肝心の音楽のことを書き忘れる、と言うのは致命傷でしょうね。今更取り繕っても仕方ないですから、こちらのブログを参考にしてください。とても判りやすく説明されています。
http://dognorah.exblog.jp/8773637/

 全国紙のレヴューでの評価が高かったので、初日の数日前まではかなりたくさん残っていたチケットも、ほぼ完売。最終日の5月3日には、現代オペラとしてはあろうことか、リターン・チケットを求める人が20人くらい並んでいました。もともとチケットの値段は、他の有名なオペラの半額以下に設定されているので、これまでオペラを訳もなく敬遠していたような人々にもアピールしたのではないかと推察します。また、今回も会場にはカメラが入っていました。ロイヤル・オペラ・ハウスは昨年(だったはず)、DVD制作会社を買収したので、このオペラのDVDが発売されるのもそう遠くないと思われます。

 舞台ですが、2回目ということで、前回明瞭でなかった場面の幾つかの意味がつながりました。その結果、改めて本当に良く練られたプロダクションだと思います。同じ事を繰り返し書いても意味ないので、前回、そして2回目も面白いなと思った場面を一つ。
 第2幕、アリアドネが神託をうかがうシーン。舞台の下から、Snake Priestessがせり上がってきます。



この役は女性の設定ですが、歌うのはカウンターテノール。歌手の方は、両の乳房が顕わになった衣装をつけています。衣装よりも面白く感じたのは、神の言葉を伝える神官の歌が、全く無意味な音の羅列。その無意味な音をアリアドネに、意味のある「言葉」として伝えることができるのは、Heirus。彼がアリアドネに神託を聞かせている時も神官はずっと歌っているのですが、実際は、歌っている振りをしているだけ。ミノス王の娘でありながら、アリアドネは神の声を直接聞くことが出来ない、という設定がとても面白く、またその見せ方のアイデアが秀逸、かつ新鮮に感じられました。

 精神的、また身体的にとてもきついオペラですから、歌手の皆さんも体調維持は大変だったと思います。主役のミノタウロスを演じた(もしくは吠えた)ジョン・トムリンソンは、第1幕ではやや精彩を欠いていたようでしたが、第2幕は迫真の歌唱と演技でした。
 トムリンソンは、今シーズンはロイヤル・オペラに出ずっぱりの印象があります。昨秋の「リング・サイクル」、直後に「パルシファル」、そしてこれ。更に、今月下旬からはイングリッシュ・ナショナル・オペラの「薔薇の騎士」に出演予定。11月のレクチャーに参加したとき、本人に尋ねたところ、今シーズンはロンドンでの活動が集中したそうです。逆に、今年の秋からの新シーズンは、イギリス国内での活動は少なく、海外でのオペラへの出演ばかりになったそうです。

 全てが終わり、出演者がカーテン・コールに答えたところで、ロイヤル・オペラの音楽監督で、今回のオペラを指揮したアントニオ・パッパーノが舞台左側に歩いて、誰かを呼びました。それに応えて舞台に現れたのは、脚本を書いたハーセントと、作曲者のバートウィッスルでした。途端に、友人の右隣に座っていた二十歳そこそこの女性が飛び上がって立ち上がり、歓声を上げました。何事?、と思ったら友人曰く、「なんか彼女、グランパって叫んでいたよ」。ま、本当かどうかは判りませんが、会場はスタンディング・オベイションで、二人に賞賛を送っていました。

 昨晩は、ロイヤル・オペラ・ハウスに行きたがっていた友人に頼まれて、手配は全て僕がしました。つまり、会計係りは友人。ロイヤル・オペラ・ハウス内のレストランで食事をしてみたいというリクエストもいただいので、それでは、Crush Roomで優雅に食べましょうということに。
 Crush Roomの食事は、温かい料理は注文できないのですが、ハウス内のほかのレストランと違って、バトラーによる洗練されたサーヴィスが売り(http://esales.roh.org.uk/yourvisit/fooddrink.aspx)。数年前、まだバブルの残滓がいくばくか銀行口座に残っていた頃、何度か経験したことがあります。以来、数年ぶりにCrush Roomでの食事でしたが、料理の質が格段に向上していて驚きました。更に、以前はなかった温野菜が供されるなどサーヴィスもさらに洗練されていて、ロイヤル・オペラ・ハウスの力の入れようは凄いです。

 ということで、ロイヤル・オペラ・ハウスで料理と一緒にオペラとバレエを楽しみたい方に、今シーズンの残りの演目を幾つかを。ロイヤル・バレエは、今月末から6月上旬にかけての「ダブル・ビル」とマクミランの「ロミオとジュリエット」でシーズン終了。その後、日本を含む極東巡業に出かけます。
 オペラの注目は、6月に上演されるヴェルディの「Don Carlo」でしょうね。8回も上演されるにもかかわらず、現状ではチケットは完売。未見のオペラなので興味は有るのですが、リターンを獲得出来ればいいかなと思っています。
 個人的に楽しみにしているオペラが二つあります。一つ目は、リヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」。タイトル・ロールを歌うのは、太りすぎてこのプロダクションを首になり、その事を契機に胃を小さくする手術をして見事にリヴェンジを果たしたデボラ・ヴォイト
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-491.html



 このオペラ自体が大好きなので、本当に楽しみです。もう一つは、7月に上演される、ストランヴィンスキー作曲の「The Rake's Progress」。これも未見ですが、オペラという絵画とは全く異なる様式の芸術が、ホガースの原作をどのようにして舞台に再現するのか。一応、まがりなりにもホガースの業績については学んだことがあるので、是非、観たいと思っています。
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