LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2008年09月の記事一覧

ケイトはローラー・ディスコ・クィーン

2008.09.30
まだロイヤル・ファミリーの一員ではないけど、時間の問題、なのかな。

 9月中旬、イギリス王室、王位継承第2位の位置にいるウィリアム王子のガールフレンド、ケイト・ミドルトン嬢のきらびやかなディスコ・クィーン姿がメディアを賑わせた。







 パパラッチを喜ばせるという理由ではなく、オックスフォードにある子供専門病院と、子供専門のカウンセリング機関への資金集めチャリティ・イヴェントでのもの。

Prince William's girlfriend Kate Middleton dons 1980s rollerskating gear
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/theroyalfamily/2978605/Prince-Williams-girlfriend-Kate-Middleton-dons-1980s-rollerskating-gear.html
Portrait of the future Queen of England: Kate Middleton's tumble at the roller disco
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1057283/Portrait-future-Queen-England-Kate-Middletons-tumble-roller-disco.html
What this picture tells us about the state of Kate Middleton and Prince William's romance
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1058564/What-picture-tells-state-Kate-Middleton-Prince-Williams-romance.html

 デイリー・メイルの二つ目のリンクで取り上げられているように、冷却期間を経てから、中睦まじいけどなかなか進まないように映る二人。エリザベス女王が曾孫を抱ける日はいつになるのか。

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イングランド以外で1stクラス切手が発売されて50年

2008.09.29
1958年に、イングランド以外のUK、つまりウェイルズノーザン・アイルランドスコットランドエリザベス女王の肖像写真を使った1stクラス切手が発売されてから50周年ということで、当時の切手を再現したセットが発売になりました。

http://www.norphil.co.uk/2008/09b-regionals.htm


The stamps: row 1 - 3d Wales, 3d Scotland, 1s3d Wales, 1s3d Scotland;
row 2 - 3d Northern Ireland, 6d Wales, 6d Scotland, 6d & 1s3d Northern Ireland.

英語の説明ちょっと判りづらいですけど、切手にドラゴンがあればウェイルズ、薊があればスコットランド、で残りがノーザンということでしょう。

 再現された切手に希少価値は見出せないでしょうけど、今回、切手収集家を色めきたたせているであろうものは、「First day of issue」に押される記念消印の多彩さでしょう。
 First day of issueというのは、記念切手が発売されるときの、オプションの一つ。発売されるすべての切手を封筒に貼り、その切手の上に発売を記念した特別の消印を押して購買者の手元に送るというもの。もちろん、事前予約は必須です。
 上記のリンクをご覧になればわかるように、その記念消印がたくさん。


どうして「レッド・ハンド・バッジ」がノーザン・アイルランドの象徴なのかは、知りません。


これはブリタニアで、ランカシャーの郵便局からのみ。


一目瞭然、ウェイルズカーディフから発送されるものに押されることでしょう。


これはエジンバラから。


同じく、エジンバラから。図柄がかなり違うので、スコットランド在住の切手マニアは両方とも予約したことでしょう。


これは、ロンドン。素っ気無い。僕の所に届くのは、これかな。


これはエリザベス女王が愛するお城が有る、ウィンザーより。

グループ・リレイションズ・カンファレンス

2008.09.28
日本の政治家と比べたら、ゴードン・ブラウンデイヴィッド・キャメロンがまともな政治家に思えてしまいます。

 先日、サイコダイナミック・カウンセリングについて書いたもの(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-900.html)の後半でふれた、ワークショップに参加してきました。

Group Relations Conference

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-920.html

 正直な所、僕も正確に説明できる自信はないですが、極々簡単にいうと、ワークショップの目的は恐らくこんな感じです。
 ジークムント・フロイトメラニー・クライン等がPsychoanalytic Psychotherapy/ Psychodynamic Counsellingの基礎にし、発展させてきた人格形成の理論の幾つかを、組織内において個人の性格や個性が、無意識に組織の機能、役職にどのような影響を及ぼすかを、しっかりと構成された人工的な「組織構造」の中で経験する、というもの。

 これ、別にバークベックの特許というわけではなく、イギリス国内だけでなく世界的にもよく知られているらしい、Tavistock Instituteという研究機関が中心になっているようです。
http://www.tavinstitute.org/work/development/leicester_conference.php
http://www.tavinstitute.org/
ちなみに、ロンドンのSwiss Cottage駅の近くにあるイギリスを代表するメンタル・ヘルスの病院、Tavistockhttp://www.tavi-port.org/)とどのような関係が有るかは知りません。また、イギリス国内のすべてのカウンセリング・コースがこのようなコースをしているわけではないようです。カウンセリング・センターで、他のコースに在籍している同僚たちからは羨ましがられることもあれば、胡散臭い目で見られることもあります。

 いつにもまして皆さんにはなんの事やらかもしれませんが、自分用の記録も兼ねて。カンファレンスの最後に、マネジメント側から、「守秘義務」について考慮するようにとのお達しもあり、また、今の世の中、誰と誰がどこでどうつながっているか予想も出来ないですから、固有名詞、性別、年齢は一部を除いてぼやかして書きます。

 このカンファレンスには3年前にも一度参加していますが、ディレクターが代わったので、若干構成が変わり、また、現在のディレクターの方針で、カウンセリング・コースの学生だけでなく、実社会でマネジメントや人材育成に関わっているプロフェッショナルな皆さんの参加も積極的に受け入れています。前回は、外部からの参加者はいませんでした。この外部からの参加者の皆さんがそれぞれ個性的で、彼らによってもたらされた変化を僕は大いに楽しみました。
 外部からの参加者は全部で7人。エグゼクティヴ・コーチングをしているイギリス人、コンサルティング会社を経営しているイスラエル人(わざわざこのためにイギリスまで来たそうです)、イスラエルの大学で心理劇を教えている方など。中でも異彩を放っていたのが、ロンドン在住の経営コンサルタントで流暢な日本語を話すアメリカ人と、世界でトップクラスのMBAコースを擁する研究機関から派遣されてきたリーダーシップ論の権威。何でそんな人たちまでと最初は驚きました。ワークショップの間に何度か話して判ったのは、この二人はサイコダイナミック・カウンセリングへの興味は薄い。が、組織の中で、組織を構成する人々の精神的な葛藤(親子関係とか、個人的な経験によるもの)がどのような悪影響、もしくは刺激になるかを経験する為に参加したそう。

 あとは、カウンセリング・コースに在籍する学生と教授陣。学生と言っても、ほぼ全員が社会人なのでちゃらちゃらした雰囲気は微塵もなく。ま、毎日朝9時から午後9時半まで続くので、騒ぎたいという気力も失せます。

 バークベックには、二つのサイコダイナミック・カウンセリングのコースがあります。一つは僕が在籍する「大人」の患者を対象にするコース(Adult course)。もう一つは「Children & AdolescentsC&A)」。
 今回は、外部からの参加者が男性の参加者数を押し上げたのですが、逆に、C&Aに在籍する男性が一人しかいないという事実に「やっぱり」という感慨を持ちました。と言うのも、今年になって何度もイギリス国内で報道されているのは、イギリス国内の初等教育機関(幼稚園や小学校に当る)で働く、または働きたいと希望する男性教員が激減しているということ。
 現在のイギリスは、多くの社会問題を抱えています。その一つが、急増している「小児性愛者」によって引き起こされる地域社会が内包する不安と軋轢。男性というだけで、初等教育機関で働く男性教師全員が「小児性愛者」とみなす社会の偏見によるプレッシャーに耐えられないそうです。その、ただ一人の男性に尋ねてみたところ、危機的な段階にまできているそうです。カウンセリングの現場でも、男性カウンセラーを取り巻く状況は集団ヒステリーの様相だとか。彼は、「僕は子供達の助けになりたい。そのためにも続ける」と。

 今回、更に興味深かったのは、多様な人種。学生の多くはイギリス生まれですが、移民2世や3世というバックグラウンドを持つ人が半数を占めていたように思います。ジュウイッシュインド系ムスリムアフロ・カリビアンナイジェリアユダヤ系アルゼンチン旧東独からの移民2世、パレスチナ、そしてロマの血を引く人など。それぞれの家族が引き継ぐ苦悩をほんの刹那、垣間見た程度ですが、なんて稀有な状況に居合わせることが出来たことか。僕だけかもしれませんが、イスラエル人の参加者とパレスチナ系の参加者が隣り合って座ってカウンセリングのことを話している場面は、「奇蹟」としか思えませんでした。

 カンファレンスは、学んだこと、経験したことを如何に現実社会につなげるかということが課題の一つです。正直な所、組織論、リーダーシップ論を僕の現実にすぐさまつなげることができるかどうかは判りません。が、今回さまざまなイヴェントを通して多くの参加者が共有した「希望」というか「願い」のように感じたものがありました。それは、「他者」をどのように理解し、どのようにつながっていくか、というもの。

 最後の大きなイヴェントとして、最終日前日に「コミュニティ・イヴェント」というものがありました。確か全部で8つくらいのグループに分かれて、「作られたコミュニティで何を感じたか」、ということを話、何かで具現化してみようということが行われました。僕が参加したグループは、アルゼンチン出身者、インド系アメリカ人、アイリッシュナイジェリアンブラック・アメリカンミドル・クラス・ホワイト・ブリティッシュ、そして日本人。この多岐にわたる人種の違いを超えて共有できることはあるのかどうか。理想に過ぎないのかもしれませんが、充実したディスカッションでした。
 このイヴェントの最後に、あるグループによる抱腹絶倒のデモンストレイションがありました。参加者全員がホールに集まり、イヴェントから得たこと、感じたことを話し合うという時に、そのグループの全員(8人くらいだったか)がホールの中央に椅子を持って移動し、車座になってすわりました。
 何が始まったかというと、全員が一斉に話し始め、ある時点で立ち上がって怒鳴りあい、最後には肩を抱き合って仲直り、と言うもの。凄かったのは、一人一人が全く別の言葉を話していたこと。前述のアメリカ人が日本語で「熱々のご飯にはイカの塩辛」とか「カツどんが食べたいな」とか真面目な表情で言う度に、僕だけが大笑い。ブリティッシュ・イングリッシュスペイン語、ヘブライ語、アラビア語、イディッシュなど。あとから聞いた所によると、サイコ・ドラマを教えるイスラエル人の参加者が構成を考えたそうです。
 理解できなくても、理解できるのかもしれない、そんな感想を持ちました。

 もちろん、参加者全員がHappyなんてことはなく、不満や猜疑心、怒りを顕わにする参加者もいました。それが普通だと思います。全員が全く同じ感情を共有したら、それは怖いことだと僕は思います。

 今回は2回目の参加だったので、余裕を持って様々な状況に身を置くことができたので、予想していた以上に楽しむことが出来たのは良かったです。ただ、現実として、このワークショップに参加したことがどのように僕自身に結びついていくかを理解するには、まだ時間がかかりそうです。

Group Relations Conference

2008.09.27
タイトルのカンファレンスに参加してきました。

http://birkbeckcounsellingassociation.org/grouprelations.aspx

Role,
Competition,
and the Real World


6-day residential
Group Relations Conference
Sunday 21 – Friday 26 September 2008


The overall aim of this residential Conference is to help members understand more fully rational and irrational organizational processes and their professional roles within the working environment and in the larger social world.
The Conference explores issues such as authority, leadership, competition, the management of uncertainty and the complexities of taking up a role within the boundary of an institutional setting.
Membership of the Conference is open to students on psychodynamic counselling courses at Birkbeck College for whom it is a course requirement, and to applicants from outside the institution who have a particular interest in and experience of group dynamics within organizations. This gives the Conference greater richness and diversity and thus provides further opportunities to explore what it means to be a member of this temporarily created institution.


CONTEXT

We live in an increasingly complex society in which our capacity to find and attribute meaning and value to our work, social networks and institutions is constantly challenged. Our fears and uncertainties in and about the world create powerful feelings, both positive and negative, and we are acutely aware that, if we are to survive, we need to continue to develop and expand our capacity for creativity and connectedness. However, our society is organized on competition and the globalisation of a market economy. In such a climate, competition gives rise to positive forces such as the capacity to engage, connect and express competence, whilst its darker side contains the more destructive forces of envy, rivalry, greed and ruthlessness.


PURPOSE

What then, can a Group Relations Conference offer when faced with such difficult and complex thoughts, feelings and ideas? How can we think about our responsibilities, our capacity to embrace or avoid taking authority and the elusiveness of certainty? How can we work with the concept of democracy, in the political system of the organization and in our capacity to take, make and shape a role? How might the organizational dynamics thus created support or undermine our temporary community and its values and principles?
This Conference offers opportunities for understanding the processes, both rational and irrational, that facilitate and hinder the work of people and groups when they are members and parts of an organization. Members will be able to challenge their own and others’ certainties or their conventional responses and consider for themselves what it may mean to take a risk to discover something new or different.



The primary task of this Conference is:

To offer members the opportunity to experience and examine processes, both conscious and unconscious, in the exercise of role, authority and leadership; and, by taking the risk of tolerating states of uncertainty and exploring competitive and collaborative feelings thus evoked, allow new, creative ways of thinking and acting to emerge.



Objectives

Conference participants will have the opportunity to:

* explore and examine uncertainties and anxieties, both overt and covert, that shape our societies and often paralyse our thinking or lead us to acquiescence, intolerance or indifference
* learn about how we each construct our own reality and our experiences of each other, and how this may create obstacles to understanding and collaboration
* look at how rational and irrational forces operate in institutions by drawing on our own experiences at work and our shared experiences of the Conference as an institution
* experiment with ways of working with difference and the impact of difference on leadership
* address the multiplicity of selves manifested in the roles individuals can take up or discard when working in groups
* develop capacities for the exercise of authority and taking up leadership roles
* explore the management function each of us has within, and how the management of vulnerability affects leadership and our capacity to exercise authority
* understand more fully the interplay between tradition, risk-taking, vulnerability and creativity
* explore the relationship of organizations to their cultural, political and economic environments
* reflect on the application of these experiences to life and professional development
* understand more fully the interplay between constructive and destructive competitive forces at work in organizations.



CONFERENCE METHOD
AND STRUCTURE


The basic approach is to learn from the ‘here and now’ of experience by participating in conference events as they unfold. To this end, a variety of groups and events are offered so that the members can examine, study and reflect upon processes in and between groups of different sizes. The conference design allows members to explore and evaluate how they affect and are affected by others, both members and staff. Reviewing and reflecting upon all these experiences, as well as considering how to apply the learning to institutions ‘back home’, is central to the conference design.

The Conference events are:

Plenaries
The Conference opens in full plenary of staff and members. The purpose is to introduce the Conference and give members and staff opportunities to reflect on their experiences of crossing the boundary into the Conference as a temporary organization. The final plenary gives an opportunity for reflection on the learning from the Conference as a whole.

Small Study Groups
The task of the Study Group, which has up to 12 members, is to provide opportunities to learn in small face-to-face groups about interpersonal relationships as they unfold. A staff member acts as consultant to the group. Members choose their own groups.

Large Study Group

The task is to experience and learn about interpersonal relations as they occur, but in a setting which consists of the total conference membership. Consultants are in role to help with this task by offering their observations about what they think is happening in the group.

Review Groups
The task of these groups is to review and reflect on the roles taken up in the Conference so far, and to focus on areas for further development. Members are allocated to a small group with a consultant.

Institutional Event

The task is to understand the total Conference as a developing organization. Under scrutiny are the dynamics between groups as they interact with one another, and between the membership and management. What may be explored is what sort of organizational culture is operating and how we may understand more fully its dynamics and interrelated systems. In this event staff are available for consultation and the management group will conduct its work in open sessions.

Marketplace Event
The task of this event is to explore issues of competition, competence and desire within an unmanaged marketplace environment. Members choose their own groups of 6 or so persons. Staff work in consultancy roles.

Community Event
This event explores what it means to be a member of this community and to take up the role of citizen. It allows for the consideration of societal events and processes and considers what sort of community action may be desirable and/or possible within this event.

Application Groups
The task is to apply Conference learning to current work issues as presented by members. Members work in the same groups as in the Review Groups and are asked to bring an issue to which they can apply the Conference experience and explore what they have learnt. Each group has a consultant.

Exit Groups
These groups, which have the same membership as the Review and Application Groups, meet at the end of the Conference in order to explore the ending process and give thought to crossing the boundary of the Conference back into home and work life.



CONFERENCE STAFF
DIRECTORATE


Jan Baker (Director) – Tutor, MSc Psychodynamic Counselling courses, Birkbeck College; Counsellor and Psychotherapist; Organizational Consultant

Carlos Sapochnik (Associate Director) – Organizational Consultant; Visiting Tutor, Consultancy and the Organization, Tavistock Clinic, London; Principal Lecturer, Middlesex University

Helen Aitchison (Administrator) – Counsellor; Health Advocate, The Haven, Paddington

Will Scott (Administrator) – Staff Counsellor; London Fire Brigade, London

Gabi Bonwitt – Board Member, OFEK, Israel; Director, Organizational Consultant; Clinical Psychologist and Psychoanalyst

Norma Gould – Tutor, MSc Psychodynamic Counselling with Children and Adolescents, Birkbeck College; Head of Counselling, Bacon's College

Betsy Hasegawa – Organizational Consultant, Adjunct Faculty, Western Washington University, College of Business and Economics, Department of Management, Bellingham, WA USA; Associate, A.K. Rice Institute

Judith Levy – Senior Teacher, Hebrew University of Jerusalem; Faculty, MBA Management and Business Psycology, College of Management, Rishon LeZion, Israel; Member, OFEK, Israel; Organizational Consultant; Execurive Coach

Liz Omand – Tutor, Adult MSc in Psychodynamic Counselling, Birkbeck College; Psychotherapist and Supervisor

Anne Marie Reilly – Tutor, MSc Psychodynamic Counselling, Birkbeck College; Senior Counsellor, University of Westminster; Psychotherapist and Supervisor

Shankarnarayan Srinath – Consultant Psychiatrist in Psychotherapy, Cambridgeshire and Peterborough NHS Trust, Cambridge; Organizational Consultant

Simon Tucker – Team Manager, Essex Tier two Child and Adolescent Mental Health Service; Associate, Tavistock Consultancy Service, Organizational Consultant

Janice Wagner – Psychotherapyst, Harvard Vanguard Medical Associates, USA; Faculty Field Advisor, Boston University School of Social Wor, USA; Associate, A.K. Rice Institute

ロイヤル・メイルは英語を読めない

2008.09.20
10日ほど前、家族が小包を送ってくれた。最近、手紙などは中二日で届くからすぐに届くだろうと待っていた。5日すぎても届かない。なくされたかな、と心配していたら、今朝、ドアの外に置き去りにされていた。

 小包の側面に、成田の郵便局が張った紙が。「この小包は日本から送られたものだから、(ロンドンの)書かれている住所に送ってください」、と読める。
 
 ということは、日本で投函されてから今朝ドアの外に置かれる10日の間にこの小包は日本とイギリスの間をいち往復半した、ということなのだろう。
 追加料金がかからなかっただけでも、なくされなかっただけでも良しとするべきだとは思う。届けられたのだから愚痴を言うのは筋違いなのかもしれない。イギリスの郵便事情は、イタリアやスペインと比べたら世界基準の質の高さだそう。
 
 でも、叫びたい。

 Hopeless!!!

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-459.html
ロイヤル・メイル、何も変わっていない。

ヘリコプター・ペアレンツがイギリスの空を覆い尽くすとき

2008.09.19
この好天が、8月にあったなら。人の期待を裏切る国イギリス、さすがだと思います。

先日、The Guardian紙の付録紙であるG2に、以下の特集記事が掲載されていました。
Umbilical cords just got longer
http://www.guardian.co.uk/education/2008/sep/10/parents.careerseducation 

 タイトルを一見して不妊治療の話題かと思いましたが、実際の内容は、イギリスで増殖を続ける「ヘリコプター・ペアレンツHelicopter Parents)」のことでした。判りやすく言うと、日本で問題になっているらしいモンスター・ペアレンツのイギリス版のようです。が、記事を読んでみると、全く同じということではない印象があります。



 初めて眼にする言葉だったので、最初は日本から輸入された考えをイギリス風に変えたのかと思いました。が、検索してみると、2007年くらいからメディアで使われる頻度が増えているので、既にあたりまえの「表現」になっているようです。

 日本で盛んに報道されている「モンスター・ペアレンツ」という皆さんを目の当たりにしたことがないので、どれほどの実害が出ているのか判らず、またイギリスでも、僕の周りでは「ヘリコプター・ペアレンツ」の範疇に入るような方がいないので、結局メディアが煽っているだけなのかな、という印象は残ります。が、記事を読んでいると、街中で「幼い」大人を目にする機会が増えていることを考えると、自立できない子供・自立させられない(もしくは、させたくない)親、というのは世界中で起きている現象のようにも感じます。

 僕にとっても新しい現象なので、あれこれ考えるよりも記事をざっとご紹介。

 ガーディアンの記事は、大学の入学説明会に参加する親が増えている、というところから始まります。これなら、日本でも既に日常の光景になっているはずですが、えっ?!、と目が止まったのは、入学願書まで親が書くと。更に、イギリスの大学入学システムの「Ucas」までそれを受け入れていると:"Your experience of form-filling will be invaluable to your child!"
 記事の後半にある記述から感じる所では、大学側も、重要なことは学生に直接説明するよりも、経験豊かな「親」に先に説明をして、親から学生に説明してもらったほうが効率的、と捉えているようです。理屈では判るんですが、何かが、おかしいと思わざるを得ません。僕自身、大学生のときはしっかりしていたとはおもわないですが、少なくとも「勉強」のことを親に頼るという発想はなかったはず。

 更に、ヘリコプター・ペアレンツが頭上を飛び交うのは大学だけではありません。就職説明会にもぐりこむなんてことは序の口。我が子の給料、さらには転勤の費用についてまで会社と交渉を始めると。これは、日本でも同じことをする親が増えているという記事を読んだ記憶があります。

 この「ヘリコプター・ペアレンツ」の記述が出始めた頃の記事との違いがあります。それは、子供達のほうに、親の補助をいつまでも受けることへの躊躇いがなくなりつつあるということです。自立したくてもそれが出来ない厳しい経済状況は無視できない要因だと思います。が、大袈裟に響くかもしれませんが、親の個性の中に自分の人格を埋没させることに、「自我」の反発を感じないのか、不思議に思います。

 これ以上は、書いても的外れになりそうなので、記事の中から事例を幾つか。長い記事ですが、教育分野・人事の分野に携わっている方には、興味深い内容だと思います。

No wonder the mobile phone has been termed "the world's longest umbilical cord". With parents admitting to calling their offspring several times a day well into their 20s, they are essentially micro-managing their lives.
親と子が密に連絡をとりあうために、携帯電話は「世界一長いへその緒」になっている。

"My daughter always travels first class. Is she really expected to travel second class on business?"
どこの馬の骨かも判らない新人にファースト・クラスで出張させる会社があるのなら、僕が就職したいです。

We've even had parents turning up for the induction and they've been really surprised when we've said they can't spend the first week of their child's job with them. But this isn't a first day at school."
ある会社では、(就職が決まってからの)説明会に親が現れ、会社から我が子の社会人としての最初の一週間を会社で一緒に過ごすことはできない、と言われて驚くそうです。そんなことに驚く親に、僕は驚きます。

一番笑ったのがこれ。でも、当事者の会社にとっては、笑い事ではすまないことでしょう。
"The father of a 21-year-old new hire called me up the week before her start date to let me know she was particularly sensitive and emotional and would be best suited to work in a harmonious environment. That was three months ago. He was right - this week I gave her a bit of a pep talk asking her to think about the quality of her work. She immediately 'defriended' me on Facebook. Today's her last day."
会社側に、「繊細」な娘を受け入れる環境の準備をしておけと教示する親が親だから、ちょっと「喝(a bit of a pep talk)」を入れられたくらいで上司の悪口をSNSに書き込む子供。

 子供が怒られ慣れていない、言いかえると親が子供を叱ることを許されない社会にイギリスがなりつつあるという環境がヘリコプター・ペアレンツの、そして彼らに頼ることをおかしいのではと考え付くことが出来ない子供たちの増加を促しているのではと思います。
 イギリス、本当に親が我が子を叱れなくなってきているようです。この夏も2回くらいかな、家で親に怒られた(暴力ではないです)10代の子供が警察に電話して、叱った親が逮捕されたという新聞報道がありましたから。

 先進国限定なのかもしれませんが、人類、「衰退期」に突入したのではと思う記事です。

ポーランドとモンゴルでは、銀行はつぶれているのだろうか?

2008.09.18


(2008年9月18日のThe Daily Telegraph紙に掲載されていたカトゥーン。資本主義の功罪を語ることは出来ないし、かと言ってマルクスが正しいかどうかの判断も出来ないけど、これは秀逸)

 2007年の夏、クレディット・クランチが金融市場に浮上して来た時に、一人勝ち状態だったゴールドマン・サックス證券の株価が激目減りした2008年9月18日。
 ロンドンで暮らす日本人として得られる情報は、英語か日本語で報道されるものだけ。その情報の多くは、アメリカ、イギリス、そして日本発のものばかり。それだけでも十分すぎるほど、金融市場が大混乱に陥っていることは理解できる。

 でも、ふと今日思った。「トルコでは銀行はつぶれているのかな?オランダでもイギリスと同じく、不動産バブルがはじけたのだろうか?パラグアイにはクレディット・クランチの影響はいつ頃で始めたのだろう?」、と。何も知らない。
 もしかして、クレディット・クランチに飲み込まれているのは、アメリカ、イギリス、日本だけなのだろうか、と。タイトルは、別にポーランドとモンゴルである必要はない。エストニアでは?、モーリシャスでは?

 クレディット・クランチってどうして起きたんだろう、と。理解していたつもりで、全く理解していないように感じる。

人類の欲、虐げられる生物:ブルドッグとウミガラス

2008.09.17

(19世紀のブルドッグ)

 かつて、ジョン・ベネちゃん殺害で脚光を浴びた、「無理やり創作された醜悪な美少女コンテスト」に狂奔するアメリカの親たちの常軌を逸した行動に唖然としました。が、その狂気が動物に向けられた時、人類が他の生物の命にそこまで踏み込んでいいのか?、と考えてしまう報道がありました。

RSPCA boycotts Crufts in dispute over breeding of 'disabled' dogs
http://www.guardian.co.uk/uk/2008/sep/16/animalwelfare
Pedigree dogs: How breeding has changed them
http://www.guardian.co.uk/uk/gallery/2008/aug/19/animalwelfare?picture=336751970

 イギリスで「権威」があるらしいCruftsというドッグ・ショウに、動物への残虐な行為が減るために活動しているThe Royal Society for the Prevention of Cruelty of Animalshttp://www.rspca.org.uk/)がブースを出すのを取りやめたというもの。
 僕は写真を見るまで、ブルドッグが精悍な姿をした犬だったとは思いもしませんでした。友人から聞いた話によると、品種改良が進んだ家畜の場合も、自力で出産できないこともあるそうですが、ブルドッグは、すべての生物が出来て当然であろう、「生殖」活動がもはや自力では出来ない。
 仮に、自然界でそのようなことが起これば、何らかの理由による種の淘汰と捉えることができるのかもしれません。でも、とりわけブルドッグは、人間の欲望を満たす為だけに、種を残す行為を「する」機能を奪われた。仮に、人間がブルドッグに「飽きたら」、彼らはどうなるんでしょうか?



 犬の身体の「改造」と同等の衝撃を感じたのは、イギリスに棲息する鳥の一種、「ウミガラス」のコロニーに起きている異変です。

Starving guillemots push rival chicks off cliffs
http://www.guardian.co.uk/environment/2008/sep/17/endangeredspecies.wildlife

 北海における水産資源の激減によって幼鳥に与える餌の確保がどんどん困難になっていく過程で、ウミガラスの親鳥が自分の子供を生き延びさせる為に、他の幼鳥を殺すというもの。

The sudden rise of infanticide in a colony in the Firth of Forth marks an unprecedented breakdown in the social behaviour of the birds, described by experts as a "catastrophe" that could eventually see the whole colony die out.

 記事の中では、北海の水産資源がどうして減っているのかには触れられていませんが、人間の食欲を満たすためというのは明らか。

 偉そうなことを書いていますけど、僕だって、北海で取れたタラを使った熱々のフィッシュ・アンド・チップスを食べたいです。でも、人間の食欲が満たされる為に、鳥の世界の「秩序」が破壊され、絶滅にいたるかもしれないという事実に、人間って、行きつく所すら突き抜けてしまったのかなと。

 ロンドン、今ごろ晴れても遅い、と晴れても愚痴が止まりません。

イザベル・マックミーカンというバレエ・ダンサー

2008.09.15
いくらバレエがシーズン・オフだからって、やはり、バレエの感想を送ることから始まったわけですから。

 プリンシパルにイギリス人ダンサーがもっといなくては困るということもあり、また当然ながら実力や将来への可能性が考慮されたのでしょう、10月から始まる新しいシーズンから、二人のイギリス人ダンサーがプリンシパルになります。一人はローレン・カスバートソンLauren Cuthbertson)、もう一人はルパート・ペニィファザーRupert Pennefather)。ロイヤル・バレエも二人を育てることに重点をおき、大きな役をどんどん踊ることで実力・自信がついたように思える二人。彼等の昇進は、ロイヤル・バレエのいちファンとしては、嬉しいニュースです。

 ロイヤル・バレエには、プリンシパルの下にファースト・ソロイストというランクがあります。実力と本人のダンサーとしての勢いがあれば、本来はプリンシパル・ダンサーが踊るはずの「主役」に抜擢される機会がある階級です。ロイヤル・バレエとしては異例な飛び級で崔由姫さん(福岡出身)が今シーズンからファースト・ソロイストに昇格したので、日本のバレエ・ファンからは最も注目を集めているランクかもしれないです。
 そのファースト・ソロイストの一人に、Isabel McMeekanという女性ダンサーがいます。イギリス人です。カスバートソンペニィファザーと同じく、ロイヤル・バレエ学校出身。プリンシパルになった二人と同じく、超絶技巧を持っているわけではないですが、ロイヤル・バレエのレパートリーをしっかり理解しているダンサーであると僕は思っています。昨年、AAとかDMがプリンシパルに昇進させてもらったということを知ったとき、「マックミーカンが先だろう!」、と思いました。
 思いましたが、「でも、彼女はこのままプリンシパルにならないままだろうな」との確信にも似た想いもありました。踊りに派手やかさはないけど、安心して観ていられる。一度、コヴェント・ガーデン駅のエレヴェイターで遭遇した素顔の彼女は可愛らしく、爽やかな方でした。それなのに、以前も書いたと記憶していますが、舞台でのメイク・アップをすると、一気に実年齢よりずっと年嵩に見えてしまうんです。そう思っているのは何も僕だけではなく、実力があるにもかかわらずファースト・ソロイストのランクに5年もマックミーカンを留めているカンパニー側も、同様に感じているのではないかと。


(アシュトン生誕100年のときに上演された「Devil's Holiday」でのマックミーカン。相手はサモドゥロフ)

 でも、観ている人には、マックミーカンが実力のある素晴らしいバレエ・ダンサーであることは周知の事実のようです。ちょっと前のIndependennt on Sundayの付録雑誌の特集記事、「Rising stars 2008: Meet the bright young things set to light up the stage this autumn」でロイヤル・バレエからただ一人、取り上げられていました。

Rising stars 2008: Meet the bright young things set to light up the stage this autumn
http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/features/rising-stars-2008-meet-the-bright-young-things-set-to-light-up-the-stage-this-autumn-917889.html

Isabel McMeekan, ballet dancer
Thirty-year-old Londoner McMeekan joined the Royal Ballet six years ago, and as a first soloist she's getting stuck into some juicy character roles this season at Covent Garden: Gamzatti the evil seductress in La Bayadère, the angel of death in Serenade, and as that tragic heroine of modern dance, Isadora Duncan.

The cream of the world's dancers flock to Covent Garden;
what's the atmosphere like?
"It's highly competitive; there are always younger, fitter, better dancers coming up: Cubans, Brazilians, Spanish. There are three British principal dancers, which is good because for a while there weren't any."

Do you get groupies?
"At Covent Garden you get about 25 at the stage door – they're a bit older but they're huge supporters of the ballet. It's in Tokyo that you feel like a proper superstar – fans there turn up with photos of you from past performances, and they have to put up cordons to hold them back."

 同じラ・バヤデールでも崔由姫さんが踊るのは主役のニキヤで、マックミーカンは敵役のガムザッティという所に待遇の差が出ているように思えてしまいます。が、ガムザッティだって見せ場がたくさんあって美味しい役(ロイヤル・バレエのラ・バヤデールについてはこちらをどうぞ:http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-563.html)。
 二つ目の質問にありますが、日本のバレエ・ファンのバレエ・ダンサーへの態度は本当に熱いものなんですね。ちょっと、嬉しくなりました。


 マックミーカンthe angel of death を踊る予定のセレナーデバランシーン振付)は昨シーズン、数年ぶりに上演されました。ファースト・キャストで素晴らしい踊りをみせたカスバートソンのプリンシパルへの昇進は、この舞台を思い返すと納得です。ただ、舞台をきりっと引き締めていたのは、プリンシパルのマリアネラ・ヌニェス(アルゼンチン出身)。確か、この夏休み中に、同じくプリンシパルのティアゴ・ソアレス(ブラジル出身)と結婚しているはずですが、昨秋からプリンシパル・ダンサーとのしてオーラが一気に輝き始め、「セレナーデ」での踊り、存在感は見応えがありました。


(ヌニェスとペニィファザー)

 それに、ヌニェスだけ自分の髪だった、というのが彼女の踊りに「自然」さを感じたことを付け加えておきます。と言うのも、演目の後半、主要女性ダンサーの三人はアップにしていた髪を降ろしました。ヌニェスは自分の髪を自然に、つまり髪が長いことが体の一部になっているごくごく自然な体の動き。ところが、マーラ・ガレアッツィカスバートソンはロング・ヘアのウィグ。この二人の首から上の動きがとっても不自然。長い髪をどう扱っていいのか全く判っていないぎこちない動き。プロのダンサーは、ウィグを体の一部として扱うことも出来なければならないんだ、ということを知った舞台でもありました。

 シルヴィ・ギエムの「バレエ」を観たい。

Nobody has won:HIVと万能薬、そして報道

2008.09.14
これまで何度か書いてきたように、僕は、HIV感染者の支援団体、テレンス・ヒギンス・トラストhttp://www.tht.org.uk/)で、感染者の生活支援をするヴォアランティア活動に参加しています(一例:http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-458.html)。今はカウンセリングの研修に集中しなければならないので、週間の活動は休止中ですが、時折、THTからのサポートを新たに希望する人やヴォランティア活動に参加を志望する方へのインタヴューを依頼されます。
 ヴォランティアと言っても、活動自体は本当にタフです。それでも続けたいのは、HIVのことを多くの人が知れば、感染して苦しむ人の数は減ると信じているからです。THTに参加したことで、HIVという感染症を防ぐ最良の方法は、感染者の生活を守るには、HIVを「知ること」だと学びました。

 9月13日、The Guardian紙が、HIVに関するある話題で1面から3面まで割いて報道していました。これは、とても珍しいことです。

Fall of the doctor who said his vitamins would cure Aids
http://www.guardian.co.uk/world/2008/sep/12/matthiasrath.aids2
Matthias Rath: Denouncer of modern medicines
http://www.guardian.co.uk/world/2008/sep/12/matthiasrath.aids1

 それぞれに関連する分析記事やコメントのリンクがあります。双方とも、とても長いものですが、「薬の信憑性」や「報道姿勢」と言うことを考える方には大変興味深いものだと思います。このような現実がまだある、という意味では僕には衝撃は大きかったです。

 報道の主題は、The Guardian紙を訴えていた医者が、その訴えを取り下げたと言うものです。ことの経緯をかいつまんで紹介するとこうなります。

 2007年の1月と2月、ガーディアンのコラムニストが、Dr Matthias Rathが南アフリカで販売している「AIDSを完治させるヴィタミン」の信憑性を告発したことが始まりです。ガーディアンの記事によると、そのことに怒ったDr Matthias Rathが訴訟を起こしたが、それを取り下げガーディアン紙にこれまでにかかった訴訟費用全額を払うことを命令された、と。

 正直な所、これだけだったら「ガーディアン、良かったね」で終っていたことでしょう。僕がこれを書きたいと思ったのは、今回の報道で知った、「HIVって、まだこれほどまでに誤解されているのか」、ということです。誤解しているのは、人々だけではなく、政治家や国も、です。

 アメリカや西欧で暮らし最新の医薬品を手に入れることができるHIV感染者にとっては、HIVはもはや不治の病ではないのかもしれません。きちんと投薬を続けてさえいればもしかしたら寿命をまっとうできるかもしれない。でま、いまだにHIVについての知識が広まっていない地域では、高価な投薬治療を受けることは困難な状況にあります。そんな状況では、人々は助かる為なら、わらにもすがりたい、手に入れることができるものを信じてしまうのかもしれません。

 記事の中で、南アフリカのムベキ大統領のHIVへの姿勢が書かれています。

The president, Thabo Mbeki, had outraged the global medical establishment by publicly voicing his doubts over both the disease and its treatment. He had flirted with Aids deniers in the US, who say there is no proof that a virus causes Aids.

Mbeki preferred to view Aids as a disease of poverty, which required economic development, and not the expensive drugs, with unpleasant side-effects, that were by then keeping those with HIV alive in rich countries.


 文法は過去完了形なので、この考えは今ではないと信じたいです。が、一国のトップが「HIVの原因はウィルスではなく、貧困だ」、と考えていた。読んで数秒間は、信じられない、いや信じたくない、そして無力感しかありませんでした。

 そんな状況でDr Matthias Rathがしたことは、最新の投薬治療を止めて彼の財団が発売する「ヴィタミン」を飲めば、HIVは治癒する。しかもこの「ヴィタミン」はHIVだけでなく、癌、心臓病、脳梗塞や他のあらゆる病気に効き目がある。そんなものに引っかかる方がどうにかしている、というのは簡単です。でも、必要な薬が手に入らない極限の状況で、目の前に「医者」と名乗る人が現れ、「これで治癒するよ」といえば、信じてしまう、信じるしかない。

 記事の中で紹介されていますが、南アフリカでは、HIVの治療に欠かせない高価な「薬」を無料で感染者に、という活動が続けられているそうです。このような、医薬品を取得できるかどうかが、暮らす国によって左右されるという不公平な状況は、何も南アフリカに限りません。以下のニュースは、今日のThe Sunday Telegraphからです。

NHS's refusal to fund cancer treatment costs mother £21,000
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/health/2910780/NHSs-refusal-to-fund-cancer-treatment-costs-mother-21000.html

 本来、無料であるはずのイギリスの医療システム(NHS)から、「治療に有効」とわかっている医薬品を拒否された癌患者の女性が、自分とご主人の年金を切り崩してその「薬」を手に入れ、まだ生き抜いているというものです。イギリスでは、アメリカや他の国で効果が証明されている「ガン治療薬」を手に入れられない、もしくは使用を認められないという状況が、頻繁に報道されています。
 僕は、医薬品の承認の経緯や販売手段等については、ほぼ無知です。ですから、綺麗ごとです。でも、不思議でなりません。掛かる費用のことを一切考えずにという条件付ですが、極端な話、隣りの国で使われている薬がどうして自分たちにはそれを使うことが許されないのか?

 話をガーディアンに戻すと。裁判によって何が正しいのかの判断が下されたわけではないですが、報道機関にとってこれは大きな勝利でしょう。

 でも、HIVが根絶されたわけではないです。感染者が救われたわけでも、正式な薬へのアクセスを手に入れたわけでもありません。誰かが勝利したわけではなく、状況は何も変わっていないに等しい。払われた代償は大きすぎます。

イギリスの美しい海岸線、消滅の危機

2008.09.14
以前、イギリスの自然が創り出す美しい風景のことを書きました。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-728.html
 イギリスの自然美というと、どうしてもカントリー・サイドを中心に、コッツウォルズ湖水地方、またウェイルズスコットランドの豪壮な山岳地帯が先に紹介されることが多いのではないかと思います。
 でも、イギリスの美しい風景なら、海岸線を忘れるわけにはいきません。映画が好きな方なら、「Shakespeare in Love」の最後で映し出された(らしい、映画観ていないです)、Holcombe BeachNorfolk北部)の美しい砂浜を覚えていらっしゃることでしょう。

 8月中旬に報道されたのは、イギリス人が世代を超えて愛してきた、そしてイギリスといえば誰でも思い浮かべるであろう美しい海岸線の幾つかが、地球温暖化によって消滅するのはもはや避けられないと言う、結構衝撃的なニュースでした。



Beauty spots to be devoured by sea
http://www.guardian.co.uk/environment/2008/aug/24/endangeredhabitats.conservation1
http://www.guardian.co.uk/environment/gallery/2008/aug/24/climatechange.hotspots?picture=336838130

Coast beauty spots will be given up to the sea
http://www.telegraph.co.uk/earth/main.jhtml?xml=/earth/2008/08/26/eacoast126.xml
http://www.telegraph.co.uk/news/picturegalleries/earth/2625940/Coastal-beauty-spots-at-risk-of-disappearing.html

 温暖化が進み、海水面の上昇、それにともない地形の侵食が進みこれからの100年で起こり得るであろう地形の変化・消失を人々は受け入れなければならないだろうと。つまり、もはや手遅れで、今更なにをやってもこの消失は避けられない、と。影響は既に出始めていて、住居の損壊や居住者の引越しは不可避。また、被害を受けるのは人間だけでなく、パフィンアザラシの生態系にも悪影響がでるのは避けられないだろうとのこと。



 この報告が現実味を帯びて感じるのは、ナショナル・トラストによるものであるから、と僕個人は思っています。仮に政府の調査だったら、話半分と思ったかもしれません。が、ナショナル・トラストは海岸線を買い取り、何年にも渡って保存に努め、その結果として半ば白旗を揚げたと。記事では、「今後100年」とのスパンが挙げられていますが、温暖化が加速しているように思える現在、ナショナル・トラストが挙げた10地点のうちの2箇所くらいが10年後にはなくなっている、なんてこともありうるかもしれません。


 上記のショッキングなニュースと直接関連しているわけではないですが、The Sunday Telegraphの旅セクションに、イギリスに点在する島で何処がいいか、との特集がありました。

Britain's 50 greatest islands
http://www.telegraph.co.uk/travel/destinations/europe/uk/2660997/Britains-50-greatest-islands.html
 資金と時間に余裕があれば離島巡りをしてみたいと思っているので、結構情報を集めていたつもりですが幾つか知らない島がありました。また、現在は無人で自然保護地域に指定されている島もあります。
 ワン・ツー・フィニッシュを決めたのは、イギリスの南西端に浮かぶシリー諸島の二つの島。これは以前にも書いたので、割愛します。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-702.html

 記事の中で、12番目と13番目に入っているインナー・ヘブリディーズ諸島のジュラ島とアイラ島は、10数年前にはじめてイギリスを訪れた時にいきました。アイラ島はシングル・モルトの蒸留所が小さな島の中にある(あの当時で操業していたのは7箇所だったかな)ことで知られているので、ご存知の方も多いと思います。広く名の知れた蒸留所だと、ブナハーベンボウモアがあります。

Caol lla
(カリーラと言う蒸留所から見るJura島)

 でも、本当に行きたかったのは、ジュラ島。ジョージ・オーウェルが「1984」を執筆したコテイジを見たかったんです。でも、あの頃の僕の英語力と日本で取得できる情報ではジュラ島にホテルがあるかどうかを調べられなくて、結局3時間のドライヴだけでした。いつか戻りたいです。


(Jura島のシンボル、The Paps of Jura)


(Jura島産のシングル・モルト)



 イギリスの島で行きたいのは、まずアウター・ヘブリディーズ諸島のハリスルイス。ここには、厳冬の時季に行って島に閉じ込められてみたいなと。故ダイアナ妃のご母堂が晩年を過ごしたIona。それと、最近食通の人たちの間で有名らしいのが、オークニー。どうやら、かなり質の高い数軒のレストランがしのぎを削っているらしいです。レストランと言えば、スカイ島にも「一度は行きたいレストラン」を併設するホテルがあると読んだことがあります。最後に、余計な情報かもしれませんが、チャネル海峡に浮かぶジャージー島。今年、孤児院のような建物の中で、かなり古いけど、拷問を受けた痕跡を残す子供の遺骸が数体見つかったとかで、結構な大事件になっていました。まだ、解決していないようです。

 イギリスの海岸線めぐり、島巡り、楽しいと思います。改めて思うのことは、僕は日本も知らないし、イギリスもまた知らないです。

ブリン・ターフェル、3年後に引退か?

2008.09.12
今週の土曜日に、この夏の公演の最後を迎えるロンドンの夏の風物詩、Proms。その最終日公演に出演すること、更に新しいCDの販促も兼ねているのでしょう、The Daily Telegraph紙にウェイルズ出身のバス・バリトン歌手、ブリン・ターフェルBryn Terfel)へのインタヴューが掲載されていました。

Bryn Terfel: why I nearly fled the Last Night
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2008/09/11/bmbryn111.xml


(大絶賛されたウェルシュ・ナショナル・オペラファルスタッフ

 インタヴューの前半はプロムスの最終日に出ることがどれほど楽しみかとか、CDについてあれこれとたいして面白くないですが、オペラ・ファン、とりわけターフェル(あるブログでは「ブリン太」と呼ばれていました)のファンにとってショッキングであろう発言が後半に。
 もうすぐ43歳になるターフェル、ずっと以前から、「45、46歳くらいで、キャリアの終わりを迎えようと思っている(I've always set 45, 46 as a kind of denouement to my career)」と。昨シーズン、ロイヤル・オペラの「リング」をドタキャンした時に叩かれたことも影響しているのかなと思う反面、本人曰く、「昔の栄光にばかり頼るような歌手にはなりたくない(sometimes you applaud them for things they've done in the past instead of living that moment of what you've just heard. I don't want to fall into that category)」。
 今はそう考えているだけで、そのときが来れば決断を翻すだろうといちオペラ・ファンとしては期待しています。が、記事によると、ニュー・ヨークのメトでの「リング」、カーディフでの「マイスタージンガー」、また今シーズンのロイヤル・オペラでは「彷徨えるオランダ人」と「トスカ」への出演が予定されている一方で、ザルツブルクシカゴへの出演予定は今後はないだろうとのこと。つまり、準備を既に始めている、と。


(メトロポリタンの「フィガロの結婚」で。もう、フィガロは歌わないらしいとか。観たかった)

 ターフェルをオペラで観たのは、「ファウスト」と「ジャンニ・スキッキ」だけ。それと先日のリサイタル(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-801.html)。これだけでは、全く足りません。本当に引退してしまうのなら、カーディフのプロダクションは行かねばかなと。The Guardianにも、もっと気楽な感じの一問一答式のインタヴューがありました。
Portrait of the artist: Bryn Terfel, opera singer
http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2008/sep/09/classicalmusicandopera
 その中から一つ。

What's the biggest myth about singers?
The fat lady sings. They're not fat; they're beautiful and slim, and they can wear their dresses.

 来年、ロイヤルの「トスカ」でデボラ・ヴォイトhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-491.html)と共演することを既に考えているように思います。

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(ロイヤル・オペラの「ジャンニ・スキッキ」から)

[9月14日:追記と言うか、訂正と言うか]
9月13日のPromsの最終日の模様をBBCのラジオ放送を聞いていたところ、ターフェルの「引退」は本当かどうか、と言うことがやはり話題になっていました。それによると、何らかの誤解があったのではないか、と。というのも2013年に、ターフェルはロイヤル・オペラで歌う「予定(演目には触れず)」になっているとのこと。真意のほどは、ターフェル次第。

 同じくテレグラフでは、8日にロイヤル・オペラの音楽監督、アントニオ・パッパーノAntonio Pappano)のインタヴューが掲載されていました。
Antonio Pappano: the unstoppable maestro
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2008/09/08/bmpappano108.xml



 シーズン開幕直前のインタヴューにもかかわらず、ワーグナーヴェルディ、そしてベンジャミン・ブリテンの生誕記念の年である2013年が終ったら監督から退くだとか、もっとこう盛り上がる内容を話して欲しかったなと思います。ターフェルにしてもそうですが、70歳にならんとしてなお一線でうたい続けているドミンゴとか、83歳でなおロイヤル・オペラのシーズン初日を振るチャールズ・マッケラスを見習って欲しいもの。
 インタヴューによると、ロイヤル・オペラの今後上演予定の演目が幾つか挙げられています。オリンピック・イヤーの2012年にはプッチーニの「Il trittico」と、ブリン太を迎えての「リング」。他にクリストフ・ロイChristof Loy)が演出予定の「トリスタンとイゾルデ」、プロコフィエフの「The Gambler」など。バルトリはもう歌ってくれないのかな、と。

 パッパーノのインタヴューが掲載された8日は、ロイヤル・オペラ・ハウスの歴史に刻まれる夜でした。と言うのも、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を聴きに来た観客の多くはいつものオペラ・ファンとは違っていたからです。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-848.html

 BBCやガーディアンの報道によると、聴衆のマナーは素晴らしかったそうです。一度たりとも携帯電話が鳴り響かず、上演中にブラックベリーでメイルの確認に余念がない、オペラになんて全く興味がないにもかかわらず接待できているビジネスマンよりずっとオペラを楽しんでいたそうです。
 オペラやバレエが限られた人の為だけの娯楽、という間違ったイメイジが覆されるのはとてもいいことだと思います。それに、聴衆の数が増えれば、チケット代下がらないかなと。個人的に、今のロイヤル・バレエが上演する「白鳥の湖」に£110-は高すぎだと思います。

サイコダイナミック・カウンセリングの応用

2008.09.11
セント・ポールとテイト・モダンの間にかかるミレニアム・ブリッジから眺める夕陽は、殊のほか綺麗でした。

 多くの方には、僕が学んでいるサイコダイナミック・カウンセリングはまさしく「なんのこっちゃ?!」という感じだと思います。なので、前回、カウンセリングについて書いたのは、2007年の12月。
 丁度、この秋から大学院に戻るのと、8日と9日にイギリスにおけるカウンセリングについての興味深い記事がThe Guardian紙に紹介されたので、久しぶりにカウンセリングのことなどを。

 この2年間、大学院を半分休学していたのは、幾つか理由がありますが、中でも一番大きかったのは僕自身の「外国人」としての存在でした。セオリーからPsychodynamic Counselling/ Psychoanalytic Psychotherapyを理解したつもりでも、カウンセラーとして実際にクライアントにカウンセリングをするときの数多のプレッシャー、特に「まだこの国のこと、社会のことを理解できていないのではないか?だから、クライアントのことを理解できないのではないか?」、というのが大きくなってしまい、指導教官と何度か話した上で、アカデミックからは暫く距離を置いて、実地研修を続けましょうということになりました。
 で、過去2年、ロンドン北部のあるローカル・カウンセリング・センターでひっそり、且つ地道に研修を積んできました。この2年間、たくさんのことが起こり(一例:http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-113.html)、様々なことを学んで来て(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-50.html)自分が何処に立っているかを理解できてきたこと。また、カウンセリング・センターで、僕にとって生きている間ずっと外国語である「英語」で、その英語を「母国語」とするクライアントにカウンセリングをしてきたという積み重ねを経て、コースに戻ろう、と。
 もちろん、最後まできっちり終了できるかは判りません。特に、最後の臨床レポートをかけるほどの経験をつめるかどうか、規定の研修時間を超えられるかどうかは、僕がコントロールできる領域ではないですから。
 この2年間で学んだのは、「外国人」ならではの不安もありますが、「カウンセラー」として人をサポートするときに生じる不安は、共通であると。毎回のカウンセリングで、クライアントが話すことは常に違うであろうし。カウンセラーとして他者をサポートしようとしている自分の中に生じる自身の「不安」をどう受け止め、どうコントロールしていくか。

 昨年12月に、サイコダイナミック・カウンセリングについて書いたのは、こちら。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-644.html
 サイコダイナミック・カウンセリングの特徴の一つは、時間がかかる。つまり、お金もかかる。更に、クライアントがカウンセリングによってどれだけ回復したかを数字としてあらわすのが困難。
 質より量がもてはやされ、クリック一つですべてが得られることが当然と多くの人が思い込んでいる現代では、こんな鬱陶しく七面倒くさいカウンセリング、敬遠されるのも仕方ないかな、と現場にいる僕ですらたまに思います。ですから、「今」、最も重宝されているカウンセリングは、Cognitive Behavioural TherapyCBT)。政府が、比較的短時間・低料金で終るこのセラピーを推奨し始めたので、サイコダイナミック・カウンセリングは蚊帳の外に追いやられています。
 そんな、CBTの一人勝ちの状況に疑問を投げかけたのがこの記事。
A quick fix for the soul
http://www.guardian.co.uk/science/2008/sep/09/psychology.humanbehaviour
 長いので翻訳する気力はないですが、僕の思いを団弁する箇所を挙げておきます。

Most therapies aim to hear what is being expressed in a symptom: not to stifle it, but to give it a voice and to see what function it has for the individual. CBT, by contrast, aims to remove symptoms.

 もう一つは、インタヴュー記事です。インタヴューを受けたのは、ジークムント・フロイトが始めた「精神分析」の直系を引き継いでいるといわれる、Hanna Segal、90歳。
Queen of darkness
http://www.guardian.co.uk/science/2008/sep/08/psychology.healthandwellbeing
 専門用語も出てきますが、「精神分析家」から見た現代、という点ではとてもスリリングなインタヴューです。また、Segalにとって最後のインタヴューになるであろうとのこと。



 僕が戻るのは、ロンドン大学のサイコダイナミック・カウンセリングのコースです。カウンセリングに関連するセオリー、それもフロイトメラニー・クラインD.W.ウィニコットら先駆者が20世紀に発表した、言いかえると「過去」の文献から始まり、比較的新しいケイス・スタディについて学んでいきます。その中には、カウンセリング現場での人種差別、文化の衝突、またカウンセラーが扱うEating Disorder(拒食症など)が含まれます。
 が、それだけではありません。面白いのは、サイコダイナミック・カウンセリングのセオリーを、組織の中における人間関係の理解に応用する点です。組織の中には、当然ですがポジティヴな要因もあります。その一方で、地位や権威がどのように創りだされ、どのように存在するかによって組織内に、また人間関係内に生じてくる妬み、対抗意識。その仕組みをサイコダイナミック・カウンセリングの観点から読み解く。権威を作り出すのは誰か、その権威は組織で「承認」されているのか、それとも上から「押し付けられているだけ」なのか?組織が「存在」する為の役割は、所属する人員によって理解されているのか?などなど。
 この分野のことを知った時は、「組織に属さない人間がやる意味があるのか?」と疑問に思いました。正直な所、理解に時間はかかりましたが、これが実際のカウンセリングで本当に役に立ちます。職場での悩みを聞いていると、当てはまることがたくさんです。一般論として括るのは乱暴ですが、人間の「負」の感情が生み出す「磁場」って、凄いなと思いますし、人がいる所には何処でも発生するんだな、と。
 もうすぐ、「サイコダイナミック・カウンセリングの観点から組織を構築する」なんて感じのワークショップに参加します。3食つくし、ティー・ブレイクもたっぷりあるんですが、一日が終ると消耗しきること請け合いです。

 僕は、「貴方はカウンセリングを受けなければ救われない」なんて言いません。カウンセリングを必要としない人を無理矢理引き込むのは、「洗脳」と同じだと考えます。あくまでも、必要な人が受けられる制度が整えばいい、という気持ちでこれからも学んでいければと思っています。

イギリス人から教わる日本:Awazuって、Aizuの間違い?!

2008.09.08
日曜日、カフェで友人たちとお茶を飲みながら新聞を読んでいたときのこと。日曜紙のThe Observerの旅行セクションを読んでいた友人がいきなり、尋ねてきた。

Awazuって何処だ?」

Awazu?聞いたことないな。Aizuの間違いだよ」

「いいや、Awazuってかいてある。何処だ?」

 「日本を紹介してくれるのは嬉しいけど、綴りはきちんとして欲しいものだ」と思いつつ渡された記事には「Awazu」の字が何度も出てきた。どこだろうと記事を読み進んでいくと、石川県だった。

Kimonos and sacred hot springs at the world's oldest hotel
http://www.guardian.co.uk/travel/2008/sep/07/hotels.tokyo



 記事で取り上げられている宿は、ここ。
http://www.ho-shi.co.jp/
 ギネスブック認定の「世界最古の宿」。世界一古い宿が日本にあることすら知らなかった。

 北陸には行った事がないから、知らなくても仕方ない。でも、自分が行ったことのない地方にイギリス人が先に行っているという事実は、ちょっと悔しい。

 ここしばらく、The GuardianThe Observerが日本のことを取り上げることが多くなっているように感じる。編集のトップに日本が好きな人がいるのだろうか。いいニュースばかりではないけど、イギリス人のフィルターを通して日本を知るのは結構面白い。

イギリス人は鎌倉と日本酒が好き
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-854.html
イギリス人は木曽路を目指す
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-771.html

世界を変えるられるのは、女性

2008.09.07


ロンドン、水没するのではないかと怖れたほど大荒れの週末でした。

 先週イギリスでは、FTSE100に上場しているような大企業における女性役員が占める割合が向上するどころか下降しているというニュースが報道されました。イギリスではこのニュースの他に、英国国教会が女性ビショップを認める認めないで大揺れしたのも記憶に新しい所です。で、2週間くらい、女性を巡るニュースが幾つかありましたので、まとめてみました。

[オーストラリ的女性の見方]

 日本では、「あなたは子供を産まなさそうだね。3人以上子供を産まない女性は国家にとって必要な女性じゃない(by 浜田幸一)」という発言がされたそうですから他国のことをとやかくいえるような状況ではないでしょうが、8月中旬に報道されたのは、オーストラリアのクィーンズランドの小さな炭鉱町のトップが、「街には若い女性が少ないから 'beauty disadvantaged' womenも歓迎だ」との趣旨の発言をしたそうです。

Australian mayor invites 'beauty disadvantaged' women to his town
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/18/australia
The ugly face of Oz
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2008/aug/20/women.australia
 僕はオーストラリアには行った事がないので判りませんが、イギリス人の友人にいわせると、「オーストラリアはmale chauvinisticな国だぞ」とのこと。そんな雰囲気が嫌で女性が国外に出てしまっているのかと考えていたところ、数日後、BBCでは以下の報道が。

Australia suffering 'man drought'
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/7589382.stm
 オーストラリアの都市部では、男性が「枯渇」していると。仕事を求めて中近東に流出している男性が多いようです。記事の後半では、地方では女性の数が少ないと。このような社会的な要因のほかにも、世界では男女のバランスがかなりおかしくなってきているらしいです。しっかり覚えていませんが、今一番ホットな州アラスカでは、おそらく化学物質の影響で、ある先住民族の居住地域では生まれる性別の比率(どっちがどっちだか思い出せません)が9:1ということになっているらしいです。


[イギリスの女性大臣にファッションを望むのは酷?!]

Pret-a-rapporter: the Americans vs the British
http://www.telegraph.co.uk/fashion/main.jhtml?xml=/fashion/2008/09/03/efmower103.xml


Powerdressing (top, from left): Republicans Sarah Palin and Cindy McCain, Democrats Jill Biden and Michelle Obama. Power underdressing (above, from left): Labour ladies Tessa Jowell, Jacqui Smith, Hazel Blears and Harriet Harman

 記事に掲載されているアメリカ側の女性は、サラ・ペイリン女史以外は政治家ではなくて「政治家の妻」。3人の「政治家の妻」と比べれば、ペイリン女史の衣装は華やかさには欠けるのは否めません。それに、イギリスの女性大臣の皆さんは仕事中の姿。それを選挙期間中の「政治家の妻」と比べるのは筋違いなのかもしれません。それでもですね、どうしてここまで違うのか、と。チャネル海峡と大西洋に挟まれているのが良くないのかな、と思わざるをえません。

フランス人女性の誇り
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-755.html


[フランスは変わるか?]

 上記のリンクの写真でもとりわけ派手やかなMlle Rachida Dati。サルコジ政権の法相であるRachida Datiさんが妊娠6ヶ月で、今の状況では「シングル・マザー」になるらしい、とのニュースは日本でも報道されました。
French justice minister pregnant
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/7596229.stm
Nicolas Sarkozy's star cabinet member pregnant - but who is the father?
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/france/2677718/Nicolas-Sarkozys-star-cabinet-member-pregnant---but-who-is-the-father.html
独身の仏法相が妊娠 職務は続行の方針
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008090301001011.html

 正直な所、僕はゴシップ的な意味合いではこのニュースには興味を惹かれません。が、興味を掻き立てられるのは彼女の「年齢」。現在42歳、11月には43歳になる彼女にとって初めての出産、そして母親になることです。何故この点に興味が有るかというと、ロンドンの夕刊紙、The Evening Standard紙に毎週金曜日にコラムを書いているパリ在住のフリーランス・ジャーナリストのある寄稿によって知った、フランスでの高齢出産の受け止められ方、人々の姿勢です。
 そのかたは、下記にリンクを貼り付けてあるThe Observer紙へコメントを寄せているJanine di Giovanniさん。イタリア系アメリカ人で、イギリスで働いた後(英国籍を既に取得)にフランス人男性と結婚しパリに移住。かの地で、ご本人も「高齢ママ」の仲間入りをしたそうです。ちなみに、彼女は今フランス国籍取得の為に悪戦苦闘しているそうです。
 実際に経験したdi Giovanniさん曰く、「フランスには高齢出産はそもそも存在しない」、また「高齢で親になることもありえない」、そんな現実があるらしいです。出産を前に産婦人科では、看護婦に何度も何度も「どうしてその年齢まで産まなかったの?」、と尋ねられたそうです。彼女の息子が通っていた幼稚園では、50代半ばのあるパパ(フランス人ではないそうです)が子供の送り迎えをするときにはいつも、「今日はおじいちゃんがお迎えなのね」、と園で働く女性たちに言われるそうです。もちろん、その女性たちは彼が「父親」であることは判った上でです。このようなこと、日本やイギリスではありえないのではないでしょうか。

A very Gallic view of single motherhood (By Janine di Giovanni)
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/sep/07/france.usa
The mother of all intrigues
http://www.guardian.co.uk/world/2008/sep/07/france?gusrc=rss&feed=worldnews

 そんなフランスで、「42歳」の現役の法相が「シングル・マザー」になる、と言うこと。移民家族出身ということでDati女史の事を評価しない向きもあるようです。が、状況は違ってくるでしょうけど、サルコジ大統領夫人のカーラ・ブルーニ(確か40歳)さんも「子供を産みたい」と明言しています。
 Datiさんの出産で、もしかしたラフランスの「働く女性」が勝ち取ってきたワーク・ライフ・バランスの権利が揺らぐ可能性があることは考えられます。そういうことを含めて、フランス社会の何かが変わってくるかもしれない、そう思ったニュースです。



超超巨大蜘蛛出現に、リヴァプールは大騒ぎ

2008.09.05
イングランド中北部の都市、リヴァプールに突如現れた巨大な蜘蛛。名前は、「La Princesse」。


廃墟になった駅ビルから、その異形の生物は何処へいくのか?


映画ではなくて、今年、リヴァプールは「ヨーロッパの文化都市」として様々なイヴェントが次から次に。この蜘蛛も、その一環だそうです。
 行きたかったけど、ロンドンからリヴァプールへはパリに行くよりも遠いし不便。



http://www.guardian.co.uk/artanddesign/gallery/2008/sep/04/liverpool.spider?picture=337292822
Liverpool 2008: European capital of culture
http://www.guardian.co.uk/culture/europeancapitalofculture2008


Liverpool spider 37 tonnes and a marvel of engineering. No, son, you can't take it home
http://www.guardian.co.uk/culture/2008/sep/06/europeancapitalofculture2008.design
Revealed: The secrets of the 50ft robo-spider
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1052114/Revealed-The-secrets-50ft-robo-spider.html


 蜘蛛が不得手な方にはお口直しに、イングランド南西部、The West Countryの総称で呼ばれる地域の一つ、Somerset北部海岸にある港町、Lynmouthにかかった虹を。こんな美しい風景を眺めながら食べるデヴォンシャー・クロテッド・クリームをたっぷりかけたスコーンは、美味しいことだろう。



英国王室の伝統:服を大切に取っておく

2008.09.02
「夏」って何?、と考えても思い出せない、既にというかとっくに晩秋のロンドンです。

 久しぶりの王室ねたは、イギリス王室から。9月1日のThe Daily Telegraph紙に掲載されたのは、エリザベス女王の旦那、The Duke of Edinburgh、またの名をPrince Philipが51年前にはいたズボンを、直してまたはいている、との記事。

Prince Philip has 51-year-old trousers altered to fit latest trend
http://www.telegraph.co.uk/news/2655101/Prince-Philip-has-51-year-old-trousers-altered-to-fit-latest-trend.html

 仕立て直しをロンドンのサヴィル・ロウにある老舗に頼むというところが一般庶民とは違います。が、驚くのは、記事の後半に記述が有るように、51年間、つまり半世紀もの間、胴回りが変わっていない。凄いです。

 このイギリス王室メンバーの物持ちのよさは、今年の「夏」の初めにも一つありました。

One recycles: Princess Anne wears same dress at Saturday's Royal Wedding as she did for Charles and Diana's nuptials 27 years ago
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-1036749/Princess-Anne-recycles-dress-wore-27-years-ago.html

Princess Anne recycles 1981 dress

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/7517095.stm


1981年。娘のZaraではありません。アン王女本人。


2008年。写真は双方ともデイリー・メイルのウェブから拝借。

 女王の長女、アン王女が女王の親戚のお嬢さんの結婚式に列席した際、選んだ花柄のドレスは、27年前(そんな昔なんですね)のチャールズと故ダイアナさんの結婚式に出席した時に着たドレス。しかも、帽子まで全く同じ。知りたいのは、世の女性の皆さんは、27年前のドレスを着たいと思うことがあるのでしょうか?

 でも、この二人だけではないです。カミラ夫人は、チャールズ皇太子との結婚式に被った帽子、というか髪飾りを染め直して何度か被っているはず。

 庶民からすれば、50年、30年に一度しか着なくてもいいくらい他の服があるということだろうし、それらを保管できるだけの場所もあると。好意的に考えれば、必要な服を必要なだけしか持たないようにしている「節度」を持っているということでしょうか。

 エリザベス女王についてはこちらを。女王のドレスのデザイン、結構いいと思うこのごろです。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-748.html (カーラ夫人がきたとき)
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-587.html (ダイヤモンド婚式)
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-268.html (2007年のアメリカ訪問の前)

 われながら、よく押えているなと感心。

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