LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2009年04月の記事一覧

イギリス人にとって、皺取りクリームはタミフルよりも重要、かも

2009.04.30
4月30日付、The Daily Telegraph紙のカトゥーン、MATT



http://www.telegraph.co.uk/

 29日の全国新聞紙、及びBBCで大きく報道されたのは、イギリス全国津々浦々に店舗があるBOOTSが販売する「皺とりクリーム」の効用が、科学的に証明されてしまったから。

Why all this fuss about a lotion that works?
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/apr/30/boots-protect-perfect-face-cream
Protect and Perfect: anti-ageing face cream 'first proven to reduce wrinkles'
http://www.telegraph.co.uk/scienceandtechnology/science/sciencenews/5236381/Protect-and-Perfect-anti-ageing-face-cream-first-proven-to-reduce-wrinkles.html
Face cream reduces wrinkles
http://www.nhs.uk/news/2009/04April/Pages/Facecreamreduceswrinkles.aspx


(これです)

 歳を重ねれば皺が増えていくのは自然なことと思うけど、ま、そう思えない、思いたくない人もたくさん居るわけで。このクリームの争奪戦は、世界に広がるのかな、と。

 閑話休題。新型インフルエンザの脅威が深まる中、イギリスの公衆衛生のあり方が根本的に変わっていきそうで、それは大歓迎。以前に紹介した以下のポスターと、キャッチフレイズを使って啓蒙していけば。



 体質の違いだとは思うけど、洟をかんだチリ紙をシャツやセーターの袖口に忍ばせて何度も使ったりすることが普通の皆さんにとって、洟をかんだチリ紙はすぐに捨てるという行為の意味から勉強しなければならない。彼らにとっては本当に難しいことだと思うけど、皺をとることよりも、インフルエンザにかからないほうがずっと大切なこと、ということを学んで欲しい。

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カーラはレティシィアに勝てたのか?

2009.04.29


 このエントリのタイトルを見ずに、上の写真に写っている二人が誰か判った方は、かなりの王室ゴシップ通。
 左が、スペインのフェリペ皇太子の奥さん、レティシィアさん。そして、マダム・サルコジ。イギリス訪問時も、オバマ夫人を迎えたときもペッタンコの靴だったサルコジ夫人がとうとうヒールを履いたのは、レティシィア皇太子妃こそ真のライヴァルとみなしたからかな、なんて。


(スペインを公式訪問したサルコジ夫妻を迎えるスペイン国王夫妻、皇太子妃夫妻)



 この写真は、比較するのが難しい。


(たった二日の訪問で衣装バッグの数は幾つに?)

The day Carla met her match...How Spain's Princess upstaged the French First Lady

http://www.dailymail.co.uk/femail/article-1174612/The-day-Carla-met-match--How-Spains-Princess-upstaged-French-First-Lady.html

http://www.telegraph.co.uk/news/picturegalleries/worldnews/5231173/Nicolas-Sarkozy-and-Carla-Bruni-Sarkozy-in-Spain.html
(写真がたくさんあります)

http://www.casareal.es/noticias/news/20090427_visita_estado_francia-ides-idweb.html
(スペイン王室のウェブから。当然、スペイン語です)

 その頃ヴァチカンでは。
 


http://www.guardian.co.uk/uk/gallery/2009/apr/27/prince-charles-monarchy?picture=346533535

 カミラ夫人は、かなり緊張していたらしい。でも、こういう写真を見ると、ダイアナ妃は既に忘却のかなたにという印象を、僕個人は持つ。

ウィグモア・ホールの2009/10プログラム

2009.04.27
過去2年よりかなり早く、ウィグモア・ホールの2009年9月から2010年7月までのプログラムが発表になった。

http://www.wigmore-hall.org.uk

 どうやら2週間ほど前にフレンズ会員に先行で郵送されたばかりのようで、ウェブにはアップされていない。冊子をざっとみたところ、オペラ歌手のリサイタルから、チェンバー・ミュージック、そしてジャズまで盛りだくさん。しかも、さすがウィグモア、クォリティが高い。何回いけるかわからないけど、気になるリサイタルを少しあげておく。

 プログラムで強調されているのは、一人の歌手が通年で何度も登場すること。その筆頭は、イギリス人テノール、Mark Padmore。来シーズンのレジデンスとして登場するとのこと。


(from New York Times)

[Mark Padmore:Impressions]
12Sep Sat
26Nov Thu
28Nov Sat
25Jan Mon
6May Thu (Kate Royalと共演)
29May Sat (Family Concert)
8Jul Thu
14Jul Wed


 常連のMatthias Goerneはシューベルトを歌いまくり。2011年まで3年かけて、シューベルトを200曲歌うとういうものらしい。


(From New York Times)

18Sep Fri
20Sep Sun
28Feb Sun
2Mar Tue
11Mar Thu
18Sep Sat (2010)
20Sep Mon


 メゾ・ソプラノのAngelika Kirchschlager(オーストリア出身)も3回。

Kirchschlager and Friends
20Sep Fri:フェリシティ・ロットとのデュエット。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-291.html
(プログラムは違います)
31Jan Sun:サイモン・キーンリィサイドと。
25Feb Thu (Solo)


Simon Keenlyside - Artist in Residence
25Oct Sun
22Jan Fri
25Jan Mon
31Jan Sun:アンゲリカ・キルヒシュラガーと。


The Art of the Countertenor
18Nov Wed : Iestyn Davies (Who?)
9Dec Wed : Bejun Mehta
21Feb Sun : David Daniels


[Sep 2009]
28 Mon : Camilla Tilling (ランチ・タイム・コンサート)
28 Mon : Imogen Cooperの還暦記念。マーク・パドモア他

[Nov 2009]
10 Tue : Soile Isokoski
15 Sun : Ian Bostridge
23 Mon : Anna Caterina Antonacci (ランチ・タイム・コンサート。前回、ドタキャンの穴埋めかな)

[Dec 2009]
22 Tue:ピアニスト、ジュリアス・ドレイクの50歳誕生日の夜で、出演予定の歌手が凄すぎ。Alice Coote, Joyce DiDonato(!), Ian Bostridge, Mark Padmore, Gerald Finley, Christopher Maltman。恐らくチケットは、会員先行で売り切れ必至だろう。

[Jan 2010]
6 Wed : Juliane Banse
26 Tue & 28 Thu : Joyce DiDonato



[Feb]
4 Thu & 6 Sat : Magdalena Kozena
12 Fri : Alice Coote
17 Wed : Genia Kuehmeiere & Barnarda Fink

[Mar]
8 Mon : Sarah Connolly (ランチ・タイム・コンサート)
19 Fri : Thomas Quasthoff
30 Tue : Marlis Petersen & Andrew Kennedy
31 Wed : Rebecca Evans, Rosemary Joshua, Sarah Connolly, Thomas Allen他

[Apr]
1 Thu : Rosemary Joshua & Sarah Connolly
6 Tue : Dame Felicity Lott
16 Fri : Christoph Pregardien(!!!!!!!!!!)



19 Mon : Markus Werba (ランチ・タイム・コンサート)

[May]
1 Sat : Matthew Polenzani
14 Fri : Gerald Finley
23 Sun : Dame Emma Kirkby
29 Sat & 31 Mon : Ian Bostridge with Antonio Pappano(Piano)


(with Mark Padmore。二人とも、オペラ歌手には見えない)

[Jun]
9 Wed : Dorothea Roeschmann & Christopher Maltman
14 Mon : Dorothea Roeschmann (ランチ・タイム・コンサート)
14 Mon : Soile Isokoski with Vladimir Jurowski (Conductor)
16 Wed : Anne Schwanewilms
21 Mon : Genia Kuehmeier (ランチ・タイム・コンサート)

 他に、[Beethoven Chamber and Instrumental Works]というのもあるけど、日程が多いので割愛。

[追記:4月29日]
 今晩のイヴニング・スタンダード紙によると、今週末、ウィグモア・ホールで2回リサイタルを予定していたイギリス人メゾのAlice Cooteがあろうことか理由を言わずにドタキャンしたそう。彼女は、キャンセル魔として名を轟かせているから、ウィグモアからは暫く姿を消すかも。

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マルグレーテ女王、69歳に

2009.04.26

(誕生日に)

 久しぶりに手にしたHello!マガジンに、デンマークのマルグレーテ女王が、4月16日に69歳の誕生日を迎えたことを受けて、刺繍の名手として名をはせる女王を紹介していた。
 早速ウェブをあけてみると、Hello!マガジンは仕様を変更したようで、ろくな写真を見つけられなかった。で、あれこれ検索していて見つけたのがこのウェブ。

http://danishroyalwatchers.blogspot.com/

 読みやすい上に、写真もふんだん。このエントリには、最後の写真以外はこのブログから無断で借用しています。


 手すりの上に届かないクリスティアン王子を持ち上げているところ。クリスティアン王子、フレデリック皇太子にそっくり。王室のDNAって、本当に強いし、濃い。


 イザベラ王女の小ささからして、1年半くらい前のものかな。


 イザベラ王女の洗礼式。女王のファッション・センスはかなりいいと思う。メアリー皇太子妃の後ろには彼女の両親。


 ノルウェイのソニア女王の70歳の誕生日に集まった王室メンバー。どうしてこういうときに英王室のメンバーがいないのか。


 これもノルウェイで。

 Hello!の記事によると、デンマークで1977年に出版されたトールキンの「指輪物語」の挿絵を描いたこともあるそう。そのころはIngahlid Grathmerという名前を使っていて、1988年から表に出るようになったそう。今では、イラストだけでなくデンマーク国内のバレエや演劇で使われる衣装のデザインも。ま、女王がやるといったら断れないかもしれないけど。

 以前、新聞等で読んだ女王へのインタヴューから感じたことだけど、ざっくばらんというか。今回のインタヴュー記事の最後の言葉も興味深い。

I'd like to be remembered as someone who achieved a lot because she knew how to use her talents as Queen and artist.

`She was a worse artist than a Queen' would be a good epitaph.


 デンマーク王室のウェブによると、今年の11月上旬に、女王夫妻と皇太子夫妻は一緒にヴィェトナムを公式訪問するそうだ。The head of the stateと王位継承一位が一緒にって、ちょっと不思議。


 話し替わって、やっと見つけたのがこれ。



http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-88.html

 ダイアモンド・ジュビリーは、2012年。オリンピックのころにはイギリスの首相は別の人だろうけど、エリザベス女王だけでなく、まったく同じ面子での記念写真が撮られると思える。

「普通」になっちゃった:スーザン・ボイル

2009.04.24
イギリス国内の、埋もれた才能(言い換えるとエキセントリックともいう)を発掘する番組で世界中から脚光を浴びた、スーザン・ボイルさん。



 見た目と歌声のギャップがあったからこそ注目を集めたのかなという気もするし、ボイルさんの注目のされ方は、先日癌で若くしてなくなったジェイド・グッディさんへの態度に共通するものがあるように感じる。
 自分たちの生活を絶対に脅かさない別のところで、絶対に会うこともない人が何かやっているから憐憫の情を持って見守ってあげよう。そんなもの。

 だから、こんな風に「普通」になってしまった、つまりどこにでもいるような感じになってしまった「ボイル」さんへの興味は急速に失われてしまうかな、と思う。



Talent show star Susan Boyle gets a £100 look to dye for at her local salon
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23680612-details/Talent+show+star+Susan+Boyle+gets+a+100+look+to+dye+for+at+her+local+salon/article.do

 変わりたかったのなら、もっと極端に、たとえばビヨンセになるくらいのつもりでやらなければ。それにしても眉毛って、大事なんだな。

バロックオペラ・ダブルビル@ロイヤル・オペラ・ハウス

2009.04.19
先週、ブラウン首相の側近、その人物と密接に連絡を取り合っていたらしい労働党よりのブロッガーの二人が、保守党寄りのブロッガーからの情報リークで失脚しました。気をつけようと思いました。

dido-banner[1]
(2006年のスカラ座の舞台写真)

 3月31日にロイヤル・オペラ・ハウスで初演を迎えた新しいプロダクション、「Dido and Aeneas/ Acis and Galatea」のダブル・ビルを観てきました。前者は、今年生誕350年のパーセル、後者は死後250年のヘンデル作品です。どちらもいわゆるオペラの範疇ではないのかもしれませんが、「オペラ」としておきます。

 このプロダクションが最も注目を集めたのは、ロイヤル・バレエロイヤル・オペラという、ロイヤル・オペラ・ハウスの二つのカンパニーが一緒に舞台を作り上げる、ということでした。これまでも、ガラ公演などでオペラ歌手とダンサーが交互に舞台に立つことはありましたが、「同時に」舞台に立つというのは、長い間なかったように思います。記録を調べたわけではないですが、仮にRBとROの共演が過去にあったとしたら、フレデリック・アシュトンが「春の声」を振付けたときかな、と勝手に想像しています。
 通常、ロイヤル・オペラがバロック・オペラを上演する場合、ステイジが広すぎることでコアなバロック音楽ファンからは敬遠されがち。また、「バロック」というマイナーと思われているであろう分野ということで、スター歌手が出るときにしかオペラ・ハウスにしか来ない皆さんの関心をひきつけることができないので、チケットが売り切れるということはめったにないこと。しかしながら、今回の全7公演はほぼ完売状態でした。これは特に、バレエ・ファンをひきつけたこと、さらに演出と振り付けをロイヤル・バレエの常任振付家、ウェイン・マックグレガーへの注目があったのではないかと思います。
 3月に観たある公演のときに、再びトニー・ホール氏を見かけたので、このダブル・ビルについて尋ねると満面の笑みを浮かべて、「一人のロイヤル・バレエの、ロイヤル・オペラのファンとしてこれほど嬉しいことはないよ。素晴らしい舞台になるはずだ」、とのことで楽しみにしていました。レヴューではあれこれ批判されていましたが、僕個人としても、非常に豊かな舞台でした。
 両作品とも、指揮はクリストファー・ホグウッド。演奏は、Orchestra of the Age of Enlightenment。コーラスは、若手中心でした。いい演奏だったと思います。

 すでに初日をご覧になられた方の詳しいリポートがあります。

Dido and Aeneas
http://dognorah.exblog.jp/11234444/

 「ダイドーとアエネアス」は、2006年にミラノのスカラ座で初演された演出です。これは、マックグレガーにとって初めてのオペラ演出だったそうです。
 オペラとバレエのどちらにより興味があると尋ねられれば、今のところ、バレエ51%、オペラ49%と答えるであろう僕には、こちらの振り付けはつまらなかったです。このオペラ、60分と短いながらも、3幕構成です。ダンサーは、幕が替わるとき、シーンが替わるときの合間を埋めるために踊っているという印象が強かったです。振り付けからは、これまでロイヤル・バレエで観てきたマックグレガーの作品のうち、今でも違和感が残っている2003年の「Qualia」の群舞が思い出されました。
 マックグレガーは古典バレエのバックグラウンドがないままロイヤル・バレエの常任振付家に就任した異色の存在。就任の前後あたりから、振り付けは相変わらず、「ダンサーの体を壊すつもり」、というくらいすさまじいものですが、振り付け全体から感じられる「物語性」が深まっています。最近のそのような振り付けと比較すると、仮に合間を埋めるための振り付けだったとしても、オペラの筋からは乖離していたように感じます。

 セットは素晴らしかったです。が、ひとつ腑に落ちなかったのが、ダイドーが死んだ後にスクリーンに映し出された馬。僕は即座にアガサ・クリスティーの異色作品、「蒼ざめた馬」のタイトルが何かからの引用で「死は蒼ざめた馬に乗ってやってくる」ということでつけられた云々を思い浮かべました。自信がなかったので、一緒に行ったW夫人に尋ねたところ、「私も意味がわからなかったわ。It does not make any sense to me」とのこと。



 演出で不満というか、舞台の雰囲気を損ねていたと感じたのが、雷の効果音。悲劇の雰囲気を高めたかったのか、もともとそのような演出だったのかは判りませんが、あからさまに人工的な音は耳障りでした。
 バレエが不完全燃焼だった分を補ってなお、パーセルの音楽は素晴らしかったです。タイトル・ロールのダイドー(カルタゴの女王)を歌ったセイラ・コノリーはすでに世界中で活躍しながら、今回がロイヤル・オペラ・デビュー。彼女がよく出演しているイングリッシュ・ナショナル・オペラの本拠地、コリセアム劇場が嫌いな僕にとってもコノリーを初めて聞く舞台でした。


(ダイドーの死の場面)

 ファンの方には申し訳ないですが、見た目の第一印象は、「あれ?、カウンター・テナーの方?」。逞しかった凛々しかったんです。でも、歌は本当に素晴らしかったです。ロイヤル・オペラは、他国やほかの劇場で活躍し、名声を得ているイギリス人歌手を積極的に登用したがっていない印象があります。これは、改善してほしいです。
 ダイドーの侍女、ベリンダ役のルーシー・クロウは、風邪のために降板との情報でしたが歌っただけでなく、絶好調のときの歌唱はどれほどなんだと思わんばかりの美しさでした。


(真ん中が、中村恵理さん)


Acis and Galatea
http://dognorah.exblog.jp/11234912/

 バレエ・ダンサーたちが輝いていたのは、こちらでした。彼らが踊っているときには、僕は歌手の皆さんを見る余裕はなかったです。キャストは、初日と同じです。
 マクミラン・ダンサーとしての地位は確立し、今はマックグレガーのミューズでもあるエドワード・ワトソン。そして、ローレン・カスバートソンの二人の踊りの完成度は筆舌に尽くしがたく。彼らの踊りを観て感じたのは、「マックグレガーはなんて幸せな振付家だろう。彼の踊りを理解するだけでなく、きちんと舞台で生み出せるダンサーに出会えたんだから」。
 ワトソンは、パ・ド・ドゥ(って表現していいのか)で一度足が滑ったほかは、ソロ・パートも、ダンスのパートナーとしても円熟味を感じさせる一方で、まだまだ高みに登れる印象を持ちました。オペラの最後、ガラテアを演じたダニエル・ドゥ・ニースと共に踊ったときに見せた温かみのある、かつ的確なサポート(ドゥ・ニースはダンサーではないですから)からは、数年前の「ジゼル」でアルブレヒト・デビューしたとき、第2幕の終盤で青息吐息になってしまった成りたてプリンシパルの頃の面影はまったくありませんでした。
 で、さらに驚いたのがカスバートソン。今シーズンからプリンシパルに昇格した彼女の演技・踊り両面の進化・深化のスピードは驚異的です。カスバートソンは、もうすぐ「ジゼル」のタイトル・デビューですが、観に行けないのが本当に恨めしいです。
 バレエをほとんど見ないW夫人を驚嘆させたのは、エリック・アンダーウッドメリッサ・ハミルトン。特にアンダーウッドが醸し出すカリスマ性を賞賛していたのは、彼にもっと古典を踊ってほしいと願っている僕にも嬉しい評価でした。アンダーウッドのパートに限らずですが、マックグレガーの振り付けには「古典バレエ」の要素が見て取れることが増えてきているように感じます。キャスト・シートには、「ダンス指導者」の表記がなかったのですが、姿勢の美しさからは、ロイヤル・バレエの伝統を見た想いです。ハミルトンに願うのは、「ほかのバレエ団には行かないでね」。彼女はマネジメントが指導を間違わなければ、大きく育つことでしょう。

 歌手の皆さんに関しては、バロック・オペラに求められる歌唱技術に関してはまったく知りませんので、よかったとしか言いようがないです。ガラテアを演じたドゥ・ニースは舞台に現れたとき金髪のウィグに失笑が起きたほかは、舞台にいることを楽しんでいたようです。オペラの最後、ワトソンと嬉しそうに踊るドゥ・ニースからは、再生の喜びを鮮明に感じました。二人の背後のスクリーンに映し出された具象とも抽象ともつかない映像から想起したのは、オペラの設定とはまったく関係ない、ドイツロマン派の一人、カスパー・ダフィト・フリードリヒの牧歌的な絵でした。春爛漫のロンドンの夜にふさわしいよい舞台でした。


ワトソンとの踊りの前)



 2010年、ロイヤル・バレエロイヤル・オペラは別々に日本公演をするようですが、一緒に行ってこのダブル・ビルを上演してもいいのではないかと。ロイヤル・オペラ・ハウスの新しいシーズンのプレス発表は、今週22日です。

ヴァージン鉄道の嫌がらせになんて負けないよ:地方鉄道会社の躍進

2009.04.18
先週のイースターの連休は見事に曇天だったロンドンですが、今週末は晴れるようです。うれしいけど、やらなければならないことがありすぎて、ゴールデン・ウィークがイギリスにもあったらと思わずにはいられません。

 昨年、ヨークの鉄道博物館を訪れたり、(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-962.html)、エジンバラへの列車への旅が思いのほか楽しかったので(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-970.html)、なんだか「乗り鉄」になるのもいいかなと思っています。そんなところに、興味を惹かれる報道がありました。

Victory of the 'Shropshire thunderbolt'
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/apr/12/train-travel-virgin-wrexham-shropshire

 2004年に、ヴァージン鉄道は「不採算」を理由に北部ウェイルズのレクサムとロンドンの間の運行を廃止しました。そこで、日本風にいえば、第3セクターのWrexham and Shropshire Railwayhttp://www.wrexhamandshropshire.co.uk/index.php)が昨年、2008年4月からレクサムとロンドンのマリルボーン駅を結ぶ直通サーヴィスをはじめ躍進している。それを知ったヴァージン鉄道が、「弱いものいじめ」としか思えないですが、一度は「不採算」と断じた路線を復活させると。
 当然、地元からは反発の声がすぐさま上がり、ヴァージン鉄道は、「W&Sをいじめるつもりなんてないです」といわざるうを得なかった。 


(これは昨年発表されたもので、変更があるかもしれません)

W&Rが既存の鉄道会社と大きく違う点は、幾つかあります。まず、1)料金が一定。これは、僕も恩恵に与った一人ですが、大手鉄道会社は早く予約すれば大幅なディスカウントを提供する一方で、たとえば鉄道を利用する当日にはばか高い「正規」料金を押し付ける。W&Sも先行ディスカウントを提供しているようですが、当日購入でもとてもリーズナブル。ヴァージンを利用すると、レクサムとロンドン(ユーストン駅)の当日料金は、£201-。対して、W&S£53-。しかもヴァージンは乗り換えをしなければならないのに対し、W&Sは直通。この料金体系を見ると、大手鉄道会社の料金設定の理由は社会に公開されるべきだと思います。
 2)列車に乗る前に切符を買えなくても、乗車後に車内で買える。しかも、ペナルティなし。ヴァージンはこういうことをやりました。
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-930.html 
3)これはW&Sの今後の課題です。新規、かつ小さな会社ということで、利用できるルートが限られている。そのために、競合大手、つまりヴァージン鉄道が使っていないルートを使わなければならす、時間がかかる。

 シュロップシャー、およびウェイルズはまだ行ったことがありませんので、たとえば観光地としてどのような評価なのかはわかりません。



が、W&R以外に、ロンドンからウェイルズへの直通列車は、ほかにはパディントンからカーディフ(ウェイルズ南部)だけのはずですから地元にとっては画期的なことでしょう。イギリス外でご存知の方は多くないと思いますが、W&Sの直通路線復活のおかげで、食通の間で有名な、Ludlow(シュロップシャー)へも行きやすくなったのではないかと想像します。
 マリルボーン駅ってどこにあるの?、と思われる方も多いかもしれません。駅自体が、ランドマーク・ホテルの背後にあるので、Marylebone Roadからは直接見えません。バーミンガムバッキンガムシャーからロンドンに通う人にとってはおなじみの駅です。マリルボーンはビジネス街ではないですが、ベイカルー線の駅があるので、ロンドンの観光エリアに出るのも楽かと。周辺で異彩を放っているのは、フランスの金融大手のひとつ、パリバのロンドン本社が駅から30秒の場所にあることです。

 イギリス国内の鉄道産業の構造は複雑怪奇で、知れば知るほど意味を成しません。鉄道を運行する会社と、線路等を保全する会社が別だとか、鉄道会社によっては、利用する車両をすでに銀行に抵当として差し出しているらしいとか。さらに、ヴァージン鉄道を含めて大手鉄道会社は、国から補助を受けているとか。にもかかわらず、会社経営者は、「不採算路線」を「廃止」したことで「会社利益」を「向上」させた「功績」により、巨額なボーナスが支給され続けている。そのボーナスを払うために、利用者は毎年の運賃値上げにすでに悲鳴を上げる余力もない。
 今回のこともあって、W&Sへの関心は高まったことと思います。ガーディアンの記事でも触れられていますが、この会社がどのように発展していくか、それとも大手との戦いに負けるかによって、イギリス国内の鉄道の将来はかなり変わるのではないかと思います。
 比較対象に、こちらもどうぞ。
http://fumiemve.exblog.jp/8130028/

ところで、ヴァージンはイギリスを代表する企業のひとつとして見られているだろうし、「Cool!」な会社と思われている人も多いと思います。でも会社としては強かだし、リチャード・ブランソン氏がイギリス社会を変える「風雲児」という印象は、僕はすでに持っていません。

今年、ヴァージンが話題になったニュースです。

Virgin Atlantic cabin crew ad 'is sexist and offensive to women', claim viewers
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1140618/Virgin-Atlantic-cabin-crew-ad-sexist-offensive-women-claim-viewers.html


(CMだけど)


(CMだけど)

Nikkei14Apr09

2009.04.14


著作権は、日本経済新聞社に帰属します。

テロリストと学生ヴィザ

2009.04.11
イースター連休が始まる前日の木曜日、9日にメディアが大きく報道したのは、スコットランド・ヤードの対テロリスト対策本部のBob Quick氏が突然辞職したこと。なぜなら、8日に彼は信じられない失敗を冒しました。その愚行により対テロリスト本部の警察官の命のみならず、数ヶ月、大量の人員、そして税金を費やして実行寸前だったテロリスト逮捕の計画を、あわや水泡に帰すところでした。

 スコットランド・ヤードに30年も勤務したヴェテランの彼がしたことは。ブラウン首相とのミーティングに出席するためにダウニング・ストリートに赴いたとき、誰がテロリストで、どこでどれだけの警察官がその計画に携わるかを詳細に記した、いわば国家の最高機密に値する書類を、衆人の目に触れる形で持っていたために、その書類をカメラに写され、その内容が一瞬にして世界を駆け巡ったと。


(書類のトップに、しっかりと「秘密」と記されているのに)

 結果として、夜明けに予定されていた計画はその日の午後に急遽実行されたそうです。スミス法相の逆鱗にふれたQuick氏は辞職しましたが、彼は30年勤めたということで、高額な年金をすぐに受給できる権利があるそうです。
 ちなみに、機密文書をこのような形で世界に無防備にさらしたのは、ブラウン政権では2度目になります。なんか、秘密の文書を持っていることを、何とか自慢したい子供のような振る舞いには、呆れるばかりですし、そんな人たちが国政を運営し、さらに国民の命を守れるのか、疑問です。

 で、本題。イギリスは、ヨーロッパ諸国の中で、アルカイーダのテロの標的のトップのままだそうなので、テロ対策は常に報道されます。今回の作戦はマンチェスター、リヴァプールのイングランド北西部の大都市で展開され、12人の容疑者が逮捕されました。
 逮捕されたのは、今、世界でももっとも政情が不穏なパキスタン出身者。大きな議論を巻き起こしているのは、逮捕者12人のうち11人が、「学生ヴィザ」でイギリスに入国していたことです。

 報道によると、現在学生ヴィザでイギリスに滞在している人数は、33万人ほど。イギリスの教育「産業」に留学生がもたらす利益は莫大な額で、教育機関は、学生ヴィザ取得のシステムの抜け穴の存在をみてみぬふりをしている、というのがテロ対策に携わる関係者の意見。

How student visas to Britain became big business

http://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/11/student-visas-business

Terror plot: Student visa system 'major loophole in border controls'
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/5132243/Terror-plot-Student-visa-system-major-loophole-in-border-controls.html

 僕は、ヴィザに関する専門家ではありませんから、この状況がどのような形で、イギリスへ留学を希望する学生の皆さんのヴィザ取得行程に影響を及ぼすかはもちろん判りません。が、「今回逮捕されたのは、パキスタン人なんだから、日本人学生には関係ない」という希望的観測は、通用しないでしょう。
 イギリス政府が真っ先に取る対策のひとつは、おそらくヴィザ取得の手数料の大幅値上げと憂いことは考えられます。ただ、これは本当に勉強のためにイギリスに留学することを希望している学生を苦しめるだけで、「テロリスト予備軍」の排除にはならないでしょうね。彼らには、資金があるでしょうから。

 ひとつ確実にいえることは、世界は、もはやボーダーレスではないです。

ラッセル・マリファント Two : Four : Ten

2009.04.10
大多数の皆さんには、「ラッセル・マリファント(Russell Maliphant)って、誰?」だと思います。僕も、シルヴィ・ギエムが2003年に「Broken Fallhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-234.html)」を踊らなかったら、存在はわかっていても観に行ったかどうか。
 その「ブロークン・フォール」であごが落ち、さらにギエムがマリファントとのコラボレイションを続けたので(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-410.htmlhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-411.html)、マリファントのスタイル、彼の動きのヴォキャブラリィにかなり強く興味を惹かれるようになりました。ヴェニューは好きではありませんが、昨年からサドラーズが始めた「スプリング・ダンス」の演目のひとつとして、マリファントの振り付けだけを集めた公演があり、トラファルガー広場から近い、ロンドン・コリセアム劇場で観てきました。

 プログラムは、上演順に以下の4作品。全演目に共通するのは、振り付け:マリファント、照明:Michael Hulls、衣装:Kei Ito


Knot (2001): Daniel Proietto(マリファント・カンパニー) & Ivan Putorv(ロイヤル・バレエ:プリンシパル・ダンサー)
Music : Matteo Fargion

Sheer (2001): Agnes Oaks & Thomas Edur(二人とも、イングリッシュ・ナショナル・バレエの、シニア・プリンシパル・ゲスト・アーティスト)
Music: Sarah Sarhandi

Two x Two (2009): Dana Fouras(マリファントの奥方、元ロイヤル・バレエ所属) & Daniel Proietto
Music: Andy Cowton

Critical Mass (1998): Adam Cooper(元ロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサー、今は肩書きがたくさん) & Russell Maliphant
Music: Andy Cowton & Richard English


 マリファントの振り付けを具体的に表現するのは、とても難しいです。ただ、何度も観てきたので、彼特有の動きや表現に傾向があるように思います。それは、「コミュニケイション」と「親密の距離」。ブロークン・フォールでみられたようなアクロバット的な動きは今回上演された4演目には目立ちませんでしたが、特に両腕と上半身それぞれの複雑なフォーメイションからは、コミュニケイションの対象、つまり「相手」に、そして「自分自身」にどれほど近づけるのか、どれほど離れていられるのかを測っている、そんな印象が強かったです。

 演目で印象が強かったのは、「Two x Two」。これはもともと、Fourasへのソロ作品だったそうですが、何かのたびに形態を変えてきたとのこと。今回は、二人のダンサーが離れたところで、ほぼ同じ振り付けを踊る形になっていました。Fourasがロイヤル・バレエに所属していた当時、どのようなダンサーであったのかは全く判りませんが、素晴らしい踊りでした。それに、この「TWO」それ自体が、振り付けとして完成度の高いものだということを改めて感じました。

 Agnes OaksThomas Edurは、実生活でもパートナー。オークスは、今シーズンを最後に現役から引退することをすでに表明していましたが、エデュールも二人の母国、エストニアのバレエ団の監督就任が決まり、二人ともイギリスを離れるそうです。
 彼らが踊った「Sheer」は、もっとも静かでゆっくりした振り付けで、求めあう二人の心の軌跡が舞台上に鮮烈に描かれる熱演でした。イングリッシュ・ナショナル・バレエの本拠地がコリセアムということで、過去、二回くらいしか彼らの舞台を観たことがないのですが、かなり後悔しました。 

 ダンサーでがっかりだったのは、プトロフ。一人だけ、動きにエッジがないというか。とても、緩慢な印象を持ちました。

 もう一人、がっかりというよりも、「もう、バレエの世界には戻れないんだ」、と諦めがついたのがアダム・クーパー。35分の振り付けを、マリファントと共に踊りきれる体力は充分にありました。しかしながら、48歳とはおもえない、絞り込まれた体型のマリファントの横に立つクーパーを、「バレエ・ダンサー」としてみるのは難しかったです。
 皮肉というか。マリファントとクーパーは、共にロイヤル・バレエ・スクールの出身。新しい踊りを求めて古典バレエの世界を飛び出したマリファントの振り付けに、いまでも「古典バレエ」の要素が強く流れている。一方で、ロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサーという、世界でトップクラスの位置まで登りつめたクーパーからはバレエ・ダンサーだった過去が強く感じられない。どちらが正しいということではなく、目指す方向の違いということについて考えさせられました。

 ネットから写真を集められなかったので、こちらのリンクで舞台の様子をご覧ください。
http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_russell_maliphant_two_four_ten_coliseum_0409

 昨年から5年計画で始まった「スプリング・ダンス」は、今年はかなり苦戦を強いられています。金融危機でコーポレイト・スポンサーが減ったことが影響してかチケットの売り上げはとても悲しい状況。さらに、アメリカン・バレエ・シアターの「白鳥」と「海賊」の評判は目を覆うばかり。来週のバーミンガム・ロイヤル・バレエの公演にいたっては、ロンドンの夕刊紙、イヴニング・スタンダード紙が「500枚」のチケットを読者にプレゼントと大盤振る舞い、というかそれほど売れていない、と。

 マリファントの公演も、あまり売れていなかったようです。金融危機は、確実にイギリスのアート・シーンに大きな影響を及ぼしています。マリファントに公演に限れば、彼の作品をコリセアムという大劇場でやることに無理があったように思います。

二コール、素直になりなさい

2009.04.10
このブログの社会・政治ねたに大きく貢献してくれているのは、The Guardian(平日)/The Observer(日曜)。全国紙の中では、もっとも「」と見られているし、左と思われたくなくても「リベラル」を標榜する読者にとっては読むことがステイタスになっている印象もある。

 ガーディアンのウェブには、本誌に掲載された記事に関連する写真から、ウェブだけに掲載されている写真と、勝手に無料でダウンロードできるので本当にありがたい存在。褒められたことではないだろうけど。

http://www.guardian.co.uk/inpictures

 昨日、4月9日の本紙に掲載されたのは、別府の野焼き



このようなまじめな写真を掲載する一方で、今週、非常に笑わせて、もとい興味深かったのが以下の記事。

Age shall not wither them
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/apr/07/kira-cochrane-celebrities-ageing

 記事を読むより、写真を見れば趣旨は一目瞭然。



'I'm not going to have a press conference if I have plastic surgery. But I don't rule it out'

「整形したとしても、そのために記者会見なんてしないわ。でも、整形をしないということではないわ」。
 マドンナは、マドンナだし。



I've tried Botox ... But I'm preferring to be a lot more natural these days'
 カイリーは、「過去」は認めたけど「今」は、不明。



'I tried Botox once and it was really not good for me. I felt like I had a weight on my head'
 アニストンは、やる必要があったのか疑問に思う。



'I am completely natural. I have nothing in my face. And I'm very proud to say that'

 確かに、20年という歳月は、長い。女優という、「特異」な職業に就いていれば、僕なんか想像もつかない苦労もあったにちがいない。ま、本人がそういうのだし。

「うつ病治療 常識が変わる」を見て

2009.04.06
2009年2月22日にNHKが放送した「うつ病治療 常識が変わる(http://www.nhk.or.jp/special/onair/090222.html)」を、友人が録画して送ってくれた。CBT(番組では「認知行動療法」と紹介されている)がイギリスで効果を挙げているということで取り上げられている。
 イギリスでは、CBTが一人勝ち状態で、言い方は悪いかもしれないけど、「猫も杓子」もCBT状態。ほかの種類のカウンセリング同様、取り残されぎみのサイコダイナミック・カウンセリングをやっている僕からすると、番組の揚げ足を取りたくなる。
 番組では、CBTがNHSのシステムの中では「無料」であることが強調されいた。それは事実。でも、実際に患者がカウンセラーに会えるまでは、現段階では、半年待ちもざら。ま、それだから国の政策としてカウンセラーを養成するんだろうけど。
 もうひとつ。CBTはおおむね「期間限定」、しかも「短期」。ゴールを設定したりすることで、「短期間」の治療の中で、今患者を苦しめている「症状」を取り除くことはできるかもしれない。でも、その症状の大本の原因にまでは到達しない、というのが延々と繰り返されている議論でもある。

 瑣末なことかもしれないけど、日本語訳に驚いた。「認知行動療法」や「双極性障害」なんて、言葉から何を意味するかを即座に理解できる人はいるのだろうか。「双極」って、確かに「Bipolar」だけどメンタル・ヘルスに通暁していないと意味をなさないように感じる。

 で、クラスメイトたちに知らせようと思って、極々簡単にまとめたのが以下のもの。誇張したり、誰が何を言ったのかがちょっと錯綜しているけど、大筋は合っているはず。


New treatments are sought for depressives in Japan


On 22nd of last February, the NHK, which is like the BBC in Japan, broadcast an interesting programme looking at the best way of treating those suffering from depression in Japan. This is a brief note of my thoughts made after watching the programme.

The programme mainly focused on psychiatric treatments (anti-depressants etc), but also introduced CBT from the UK. Some kind readers of my blog have informed me that Psychodynamic Counselling was chosen in the UK as one of the best psychological treatments for depressives. What the programme examined was CBT though, I suppose, it is difficult to differentiate between Psychodynamics and CBT unless you understand counselling/psychotherapy. However, I thought that some of you might be interested in how CBT was seen by the Japanese.

Japan is notorious for its suicide figures; a recent national statistic revealed that more than 30,000 people committed suicide in 2008. It means that from 1998 to 2008, every year 30,000 Japanese killed themselves. This is a horrifying number. I do not know why this awful situation cannot be prevented, but mental health issues may be pushing the figures up.
At the beginning, the programme pointed out some problems;

1 currently, more than a million people suffer from depression/manic-depression,
2 more than half of the patients relapse,
3 there is a serious problem of over prescription of anti-depressants, and
4 the number of the patients whose symptoms are highly likely to be misdiagnosed have been increasing as they suffer from the new types of mental problems.

I imagine this situation prompted the NHK to make the programme. It seems strange, to me, that they described depression as “emotional flu”. This programme gave the impression that depression is an illness which can be completely cured and that it takes no more than two years to finish the treatment.

The first part of the programme showed how badly some former patients were treated;

1 a 66 year old woman suffered serious depression for eight years. At the worst stage her doctor, who was not trained as a psychiatrist, suggested she take 19 pills a day. Despite this her condition worsened and her husband took her to a psychiatric hospital. She recovered from the depression within a few months. She was never offered counselling/psychotherapy.

2 a man in his mid 40s had been diagnosed with depression when he was in his early 30s. Since then, he had been prescribed massive amounts of anti-depressants. Because these did not cure him he had changed doctors/hospitals five times. After he tried to kill himself his wife arranged for him to see a specialist she had found on the internet.
He showed symptoms of bipolar II rather than depression. It took him more than ten years to be properly diagnosed. He stopped taking anti-depressants and started to use mood-stabilisers. His condition then got better and he was able to return to work.

I wonder if bipolar or borderline disorders are still less well known in Japan.

According to the programme, the main reason for this situation is that under current medical regulations in Japan any doctor, even one who is a brain surgeon, can open a mental health clinic without needing permission. A doctor may not know how to assess patients’ symptoms and might give them pills. In Japan, it is a fact that the more drugs a doctor gives a patient the more money he gets. The psychiatrist who supervised the making of the programme is also the chair of the Japanese depression association. He stated that opening a mental health clinic is now the hottest business for doctors in Japan.

The Japanese have easier access to primary medical care than in the UK. However, 70% of the depressives fail to be seen by a specialist when they start to look for professional care, according to a national survey.

The second part of the programme introduced some new treatments which are expected to ameliorate the situation.

The first one seems to me to be a typical Japanese solution; a university laboratory has created a machine which shows the blood flow in the brain and enables doctors to see the difference between that of a healthy brain and that of depressive’s. The university hopes the machine will help to prevent misdiagnosis.

Then CBT is introduced. CBT was translated in to Japanese and it took me a little while to realise what they were referring to.

The NHK visited the Russell Unit of Camden Psychological Therapy Services (211 Kings Cross Road).

I could not tell whether a counselling session recorded by the NHK was real or a re-enactment, but it was convincing. I also noticed some differences between Psychodynamics and CBT.

A male director of the programme pointed out that treatment combining CBT with anti-depressants had succeeded in reducing the rate of patients relapsing. He reported that the British government plans to train 3,600 counsellors during the next three years. However, he did not specify whether this plan is only for Cognitive Behavioural Therapy, or for all kinds of psychological treatments including Psychodynamic.

CBT can help patients to reduce their medication. Consequently the government expected to reduce the budget for mental health treatments, according to the director.

A Mr (or Dr) David Clark of a British psychiatric body (I have no clue which organization he belongs to because the name of it was translated in to Japanese) and a Mr Lewis Appleby, from the Ministry of Health, were interviewed in the programme. There was also a Japanese academic who used to study CBT in London (maybe at the London Psychiatry Centre, I am not sure).

The CBT part of the broadcast only lasted a few minutes and there was no explanation of its theories. Although the director says that under the NHS CBT is provided free of charge, he does not mention how long patients in the UK would have to wait to receive it.

Unlike the UK, the Japanese have to pay at least the 30% of any medical treatments they need. Furthermore, since psychological treatments such as Psychodynamics or CBT have not become a part of the national medical treatment system, patients have to pay the full fee. This could be a major obstacle to counselling and psychotherapy being broadly accepted in Japan.



クラスメイトから興味深い感想がきたら、載せるかもしれません。


松尾文夫さんとロンドンで

2009.04.04
数少ないここの読者の大半の皆さんには説明不要とは思いますが、松尾文夫さんとは、このような方です。

松尾文夫の「アメリカ・ウォッチ」
http://homepage.mac.com/f_matsuo/blog/fmblog.html

 僕が松尾さんの「存在」を認識したのは、入社してからしばらく経ってからのように記憶している。確か、採用試験のときの役員面接にはいなかった。いたら、あの強烈な個性を忘れるはずがない。

 株式会社共同通信社の総務部にいたときは、テレレート(国際金融局、その後国際金融情報本部、僕が退職するときは共同マーケッツ)のオフィスが別の建物にあったので、週に一度の役員会に出席するために本社のある建物に来る松尾さんに会う程度だった。

 で、何がどうなってああなったのかは今でも判らないままだけど、1997年の早春だったか、国際金融情報本部の営業部に異動になった。本人は言うに及ばず、迎え入れる営業部でも青天の霹靂に近い驚きが走ったらしい。

 いろいろあって、1999年に退職し渡英してから松尾さんと会うこともなく、たまにテレレートでともに働いた元同僚から、「松尾さんが、守屋君のその後のことを気にかけていたよ」なんてことを聞く程度だった。アメリカ専門の松尾さんとロンドンで会うことなんて、ありえないと思っていた。

 3月中旬、いつ開催が決まったのかは知らないまま、G20サミットのことをイギリスのメディアが大きく扱い始めたころ、そのサミット開催日の前日に当たる4月1日に松尾さんがロンドンに来るので、食事でもしないかとのお誘いが届いた。
 当然、最初の反応は、「エイプリル・フール?」。警備が最高レヴェルになるであろうまさにその日にロンドンに来られるなんて、「松尾さんらしい」。本人に尋ねはしなかったが、松尾さんの旅程が先に決まっていたのであろうから、彼の「ジャーナリスト魂」が呼び込んだ偶然だろう。
 ただ、直前になって、松尾さんのスケジュールが立て込んできたようで、結局キャンセルになった。ちょっぴり残念だったけど、「ま、去年会えたしな(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-789.html)」。気がかりだったのは、ご本人からのリクエストで、携帯電話の番号を知らせておいたこと。
 
 的中。

 4月2日の朝、携帯の画面に映ったのは日本の携帯電話の番号。

 「おお、守屋君、元気だったかい。早速で申し訳ないが、君の助けが必要になりそうなんだ。明日(3日)ロンドンに戻ってから行きたいところがあるんだが、場所を確認しておいてくれないかな。
 「ハリスって、知っているだろう。知らないのかい?ボンバー・ハリスだよ。そのハリスの銅像の写真を撮りたいんだよ。じゃ、明日また連絡するから。頼むよ。頼りにしているから」。

 質問するまもなく、終了。このたった数十秒間の会話で、一瞬にしてテレレートの職場での毎日が鮮明に蘇ってきた。

 4月3日の朝。

 「守屋君。じゃ、今晩、ハリスの銅像まで案内してください。ホテルは、どこそこだから。楽しみにしているよ」。

 「松尾さん、ちょっと待ってください。もう少し、そのハリスのことを教えてください。誰ですか、それ?」

 「なんだ、さては僕のブログをきちんと読んでいないな(図星)。第二次世界大戦のときの有名なパイロットだよ。インターネットで、ボンバー・ハリス、Harrisで調べれば出てくるはずだから。じゃ、今晩。頼りにしているよ。その後、食事でもしよう」。

 昼間、とっても忙しかったアルバイト先で、幾つか情報を集めた。大まかな場所はわかったけど、いまひとつ自信が持てないままホテルに向かった。

 ホテルに着くと、ちょうど松尾さんがチェック・インしている最中だった。すごい。ロビーいっぱいに、松尾さんの良く通る声が響き渡っていた。旅の疲れなどまったくないようだった。

 松尾さん、本当に変わっていない。今年、76歳になられるなんて容易には思えない尽きることのないエネルギー、バーニング・モチヴェイション、そしてジャーナリストとしての探究心と好奇心。

 松尾さんの話は面白かったけど、ロビーにそのままいると日が暮れてしまいそうに続きそうだったので、タクシーで銅像の場所へ。幸運だったのは、タクシーの運転手が銅像とその場所を知っていたこと。
 
 車内で。
 
 「いやー、助かるよ、ありがとう。守屋君にはヴィデオを撮ってほしいのだが、できるだろ。え、できないのかい。困ったな。いや、でも君ならできるよ。頼むよ。
 「君は、なんでもヒーリングを勉強しているそうだな」。

 「違います。カウンセリングです」。
 
 「そうか。で、そのヒーリングは、英語でしているのだろう?」

 「カウンセリングです。英語でしていますよ。日本人の方と会ったこともありますけど、抵抗感が強いみたいです」。

 銅像の場所に着くと、松尾さんはジャーナリストそのもの。丹念に、時間をかけて銅像を観察している姿から、松尾さんとかつて同じ会社で働ける機会があったことを、幸運に思う。

 取材後にお連れした、ベイカー・ストリートにある「ロイヤル・チャイナ」で最近の仕事のことを伺う。見せてもらった発行物の質、量ともに、「現役」ジャーナリストの以外の何者でもなかった。驚いたのは、今回の欧州訪問スケジュール。僕だったらすべて手配してもらったとしても、やりたいとは思えないほどの過密さ。松尾さんのキャリアに「引退」という文字はない。

 松尾さんのすごいのは、今の仕事だけではない。テレレート時代に彼の元で働いた社員のほとんどのことを今でも思い出し、気に留めていること。
 僕は、恐らく一人場違いだったろうけど、「テレレート」職場で働けたのは、今思うと本当に幸運なことだった。その当時ですら僕よりずっと若い同僚だった何人かとは今でも連絡を取り合っている。テレレートはなくなってしまったけど、今でも日本にとどまらず、フランス、イタリアやオランダ、アメリカ、(日本以外の)極東地域、そして東欧や時に中東やアフリカ諸国、さらに世界の紛争地域で暮らし仕事をしている元同僚がいる。小さな職場だったけど、得がたい職場だった。

 レストランを出た後、松尾さんをホテルに送るタクシーをつかまえる。

 「いや、守屋君。今日は、本当にありがとう。大変、助かりました。僕の書いたもの、しっかり読むように。それと、カウンセリングの勉強、頑張りなさい」。

 今回の取材も含めた松尾さんの新著はこの夏発行の予定。また、僕が入社当時、㈱共同通信社の社長だった原寿雄さんも新著、「ジャーナリズムの可能性(岩波新書)」(http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20090309/1236549872)を出版している。

G20サミット;What is G20 for?

2009.04.03
G20 summit begins in London
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2009/apr/02/g20-gordon-brown1?picture=345413848

Those key G20 questions answered
http://www.guardian.co.uk/world/2009/mar/31/g20


 エリザベス女王との集合写真。

Queen greets G20 leaders
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/7977867.stm


 はしゃぐ政治家。日本の首相はいずこに?

Queen is not amused by Berlusconi
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/7980912.stm
 イタリアのベルルスコーニ首相が挙げた大声にいらついたエリザベス女王。


 そしてデモ。

G20 summit: London rocked by thousands of protesters
http://www.telegraph.co.uk/finance/financetopics/g20-summit/5088956/G20-summit-London-rocked-by-thousands-of-protestors.html

G20サミット:女王とミシェルは親友

2009.04.03
イギリスのメディアが大騒ぎした写真。どうしてだか、判りますか?

QueenAnd MrsObama



 ミシェル夫人が、エリザベス女王に触れているから。明文化されていないけど、暗黙かつ鉄板の掟は、王室のメンバーの体には触れてはいけないということ。当然、王室メンバーから相手の体を触れるなんてこともありえないと思われてきた。
 ところが、今回は女王からミシェル夫人の背中に腕を回し、夫人もごく自然に女王の背中に手を回した。アメリカのメディアは、「イギリスは大騒ぎしすぎ」と報道したようだし、バッキンガム宮殿の広報の反応も「別に問題ないよ」、と。
 ブッシュ政権のときと比べると、イギリスとアメリカの関係はかなり穏やかなものになるような印象を持った。

Michelle Obama breaks royal protocol by giving the Queen a hug
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1166490/Michelle-Obama-breaks-royal-protocol-giving-Queen-hug.html



 これは、女王夫妻にお茶に招かれたときの記念写真。フィリップさんが失言しないように、宮殿スタッフはやきもきしていたのではないかと。

G20サミット:ファースト・レイディズ

2009.04.03
昨日終了した、G20サミットの成果がどこまで世界経済を救うかは誰にも判らないけど、ひとつ確かなのは、オバマ夫妻は、今世界の政治家が一番逢いたいカップルであること。

Michelle Obama in London
http://www.telegraph.co.uk/news/picturegalleries/worldnews/5094551/Michelle-Obama-in-London.html

 主催国の首相夫人である、サラ・ブラウンにとっては、昨年のカーラ・サルコジ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-749.html)のとき以上に、ファッションを手厳しく比較されたようだけど、本人はまったく意に介していない様子。イギリスの女性政治家たちと比べたら、格段にいいとは思うし、比較する意味も無いように思う。
 ちなみに、カーラ夫人は来なかった。ミシェル夫人とのファッション対決を避けた、という噂が流れていたようだけど、真相はわからず。


(ロンドン西部にある、チャリング・クロス病院のがん患者支援センターに入る前。サラ夫人はそのセンターのパトロン)

 体系を比べるのは失礼だし、そんなに批判するほうがおかしいと思う。ミシェル夫人は、この日もJ Crew。アメリカのブランドにしては素材がいいので日本ではよく購入していたけど、イギリスでは見たことがない。ミシェル効果でイギリスにも店舗展開するかな。


(支援センターのティ・ルーム)

 BBCは、「ミシェル夫人はコーヒーを飲みたかっただろうが、ここはイギリスだから」、と。サラ夫人が生き生きとして見える。

Meet the Fluffies (that's the First Ladies who understand fashion... well almost, as their style falters on day two of G20 summit)
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-1166336/Meet-Fluffies-thats-First-Ladies-understand-fashion--style-falters-day-G20-summit.html

Sarah Brown introduces the cream of British female talent (and Naomi Campbell) to Michelle at girls' night in
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-1166589/Sarah-Brown-introduces-cream-British-female-talent-Naomi-Campbell-Michelle-girls-night-in.html


(ロイヤル・オペラ・ハウスにて)

 サミット当日の20日は、夫人たちは、ロイヤル・オペラ・ハウスでJ.K.ローリングが企画・演出した舞台を鑑賞。ローリングはサラ夫人の親友。この日のミシェル夫人のカーディガンの色合いにイギリスのファッション担当記者は即座に拒否反応を示したけ。難しいけど、いい組み合わせだと思うけどな。


(ロイヤル・オペラ・ハウスの舞台に立つ夫人たち)

 これは、個人的にはとてもうらやましい。一度、ROHの舞台に立って、オーディトリアムを見てみたい。

G20 partners
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2009/apr/01/g20-summit-wives-partners?picture=345301033

G20 dinner at 10 Downing Street
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2009/apr/02/g20-gordon-brown?picture=345405994

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