LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
Home未分類 | Dance | Sylvie Guillem | Royal Ballet | Royal Opera | Counselling | Sightseeing | Overseas Travel | Life in London(Good) | Life in London(Bad) | Japan (Nihon) | Bartoli | Royal Families | British English | Gardens | Songs | Psychology | Babysitting | Politics | Multiculture | Society | Writing Jobs | About this blog | Opera Ballet | News | Arts | Food | 07/Jul/2005 | Job Hunting | Written In English | Life in London (so so) | Speak to myself | Photo(s) of the day | The Daily Telegraph | The Guardian | BBC | Other sources | BrokenBritain | Frog/ Kaeru | Theatre | Books | 11Mar11 | Stage | Stamps | Transport | Summer London 2012 | Weather | Okinawa | War is crime | Christoph Prégardien | Cats | Referendum 23rd June | Brexit | Mental Health 

2009年08月の記事一覧

ブロークン・ブリテン2:全国民を犯罪者化するCRBとISA

2009.08.31
CRBとは、Criminal Records Bureauのことで、日本語に直訳すると、「犯罪記録事務所」かな。ISAは、Independent Safeguard Authority。これは2009年10月から発効となるそうですが、すでにあちこちで軋轢が生じています。タイトルは大げさにしてあります。

 2002年、ケンブリッジシャーにあるSohamという町で、10歳の女の子二人が、彼女たちが通う学校に勤める男性職員に誘拐され、殺される事件がおきました。この犯人は、少女たちが行方不明になっていることがわかった当初、少女たちが生きている姿を最後に見たかもしれない目撃者としてテレヴィのインタヴューに堂々と答えていました。今は収監中です。また、犯人のアリバイ工作を補助した女性はすでに刑期を終えて新しい名前、新しい住所を与えられ、警察から24時間の保護を受けているはずです。彼女の安全と「人権」を守るためのこの費用は、すべて税金でまかなわれています。

 CRBが設立されたのは、この事件の後でした。これは、子供や精神的に弱い立場にいる人たちのために働く職業、つまり学校や福祉施設、また児童福祉やメンタル・ヘルスに取り組むチャリティ団体で働こうとする人たちの過去に、虐待等の犯罪歴がないことを確かめるために始まった、というのが僕の理解です。Sohamの事件の主犯の男性にはそのような犯罪歴があった、つまり子供たちがいるところで働くには危険な、いや働いてはいけない人物であったことを見逃してしまった反省に基づいて設立された、といえば響きはいいでしょう。
 問題は、このCRBが間違いを多数犯しているということ。CRBに間違ったデータを登録されてしまった人々は、職を失う、コミュニティの信頼を失うだけでなく、最終的に生活が破綻する、そんなことが起きているとのこと。
 また、いつものとおり新聞報道から情報を得ているので、偏りは否めないと思いますが、たとえばパートナーとの口論が、CRBでは「犯罪」にみなされ前述の特定の職業に就けなくなる可能性を否定できない。さらに、というかもっとも怖いのは、CRBに「犯罪歴あり」と登録される過程を個人が知る術がないこと。エントリの後半のリンクのひとつ、テレグラフ紙の記事によると自分の子供たちが公園で遊んでいる間に、一番小さな子を連れてちょっとその場を離れた母親は警察から注意を受けた。彼女が知らないうちに警察はその「記録」をCRBに送りこの母親は「犯罪者」とみなされたが、当の母親はそのことを知らなかった。その後、地域のヴォランティアに応募したとき、彼女のクリミナル・レコードが調べられ、「子供を危険に追いやる」人物とみなされそのヴォランティアのポジションを断られた。それまで、その母親は自分が「犯罪者」とみなされていることを知らなかった。

 この制度自体に異を唱えるつもりではありません。メンタル・ヘルスにかかわるところにちょっとでもかんでいるものとしては、うまく機能・運営されれば素晴らしい制度だと思います。ただ、参考にした報道は悪い点ばかりを強調しているのかもしれないですが、いくつかの例を読むと、人々がそして社会が長い時間をかけて培ってきた「信頼」を、なし崩しにしてしまうような恐怖感を抱きます。テレグラフの記事からいくつか引用。

Last month a report from respected sociologist Prof. Frank Furedi found that an increase in child protection measures is so great it is “poisoning” relationships between the generations.

In a report for the think-tank Civiats, he says the use of CRB checks to ensure the safety of children and vulnerable adults has created an atmosphere of suspicion.

Prof. Ferudi’s report, Licensed to Hug (つまり、ハグするにも免許がいる、と), highlighted examples of when adult-child relationships are distorted by the need for CRB checks that are already required by schools and other organisations.

In one example, a woman could not kiss her daughter goodbye on a school trip as she had not been vetted.

Another mother was surprised to be told by a parent that she and her husband were CRB checked when their children played together.


 CRBの公平性を欠いた審査で職を追われた男性のコメントは、今すでに起きている状況かもしれません。

I fear there will soon be no one left willing to go into caring.


 今年の10月から発効予定のISAが注目を浴びたのは、小学校を訪れて子供たちに話をする(児童文学)作家は、£64-を自ら払ってISAの審査を受けろ、と。それがいやなら、学校を訪問するのはまかりならん、ということに日本でも人気の高いフィリップ・プルマンらが反発したというニュースが報道されたとき。


(プルマン)

 プルマンがいうように、別に一人の子供だけと密室で会うわけじゃないのに、何を戯けたことを、というのが僕の感想。じゃ、そのISAの審査を通れば、かばんにピストルを忍ばせて学校に行ってもいいわけだな、ということも極端な例ですがいえるのではないかと。
 ところが、驚いたのは社会の反応。「エリート主義」とか「作家だからって偉そうに」とプルマンを批判する意見がかなりありました。
 批判が寄せられるのは、ある意味、健全なことなのでしょう。でも、些細なことかもしれないですが、「信頼」という概念が失われてきているように感じました。CRBとISAを受け入れた時点で、すでにこの国は転換点を間違った方向に曲がってしまったのかな、と。

 僕はまだ直接CRBと遭遇したことはないです。ただ、過去に2回、ケンジントン&チェルシー区のメンタル・ヘルス・サポート・チームでのヴォランティア活動(CRBが設立される前)と、バッキンガム宮殿の夏のアルバイトのインタヴューを受けたとき(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-276.html)に身元調査のために警察に提出する書類を記入したことがあります。そのときに記入したデータがCRBに保管されているかどうかは、まったくわかりません。

Hundreds of innocent people 'wrongly branded criminals', by CRB checks
http://www.telegraph.co.uk/news/2248521/Hundreds-of-innocent-people-wrongly-branded-criminals-by-CRB-checks.html

13,000 people wrongly branded criminals

http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/3449207/13000-people-wrongly-branded-criminals.html

CRB claims 'took away my livelihood'
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/3447429/CRB-claims-took-away-my-livelihood.html

Mother who left children playing in park is branded a criminal

http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/5818422/Mother-who-left-children-playing-in-park-is-branded-a-criminal.html

Innocent victims of CRB blunders receive just £223 compensation on average
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/4347615/Innocent-victims-of-CRB-blunders-receive-just-223-compensation-on-average.html

The Criminal Gossip Bureau can ruin your job prospects
http://www.guardian.co.uk/global/2009/jul/15/criminal-records-bureau-database

Authors in revolt against plans to vet them for school visits

http://www.guardian.co.uk/books/2009/jul/10/authors-vet-school-visits

 このエントリについては、CRBISA、またChild Protection等で検索するとたくさん出てくると思います。
 リンクした記事で多用されている「vet」が調査するの意味で使われているのは、おそらく関連の記事に限られるようです。イギリス人の友人に尋ねたところ、かなり古い使い方であり、かつおそらくアメリカでは意味をなさないかもとのことです。

スポンサーサイト

ブロークン・ブリテン1:歪んだ社会福祉

2009.08.31
ブロークン・ブリテン」というタイトルで、個人的におかしいと感じていることを書きたいなと思ったきっかけは、2008年の夏に読んだ、わが子の安全を考えるあまり思考が麻痺しかかっているイギリス人の親についての記事でした。で、あれこれほかのことをやっているうちに時期を逃したかなと思っていたのですが、最近の報道を見ていると、何も変わっていないどころか、箍が緩んでいるなんてものではなく、どんどん悪いほうへ、取り返しのつかないほうへと向かっている、そんな事件や現象の記事が続々と報道されています。もちろん、政治家もです。
 プロとアマチュアの狭間のような力量でどこまでかけるかわかりません。が、日本で起きている理解しがたい事件や事象とどこかでつながっているように思えるので、何とか。今考えているのは、基底になるのは「公平性の欠落」かなと思っています。この公平は、「すべて同じ」ではなく、市民が社会や国から還元されるであろう何かが、「公平に」判断されているという感じです。

 きっかけとなった記事が掲載されたときにはまだ広く知られていなかった幼児虐待・死亡の事件から。昨年のあるエントリで触れましたが、母親、そのボーイフレンド、そしてその兄という3人の成人からの虐待を受け続け死亡したBaby Pこと、ピーターの事件はこの夏、イギリス国内で改めて大きく報道されました。
 その理由は、事件が公になって以来ずっと「法的なこと」で隠されてきた母親とボーイフレンドの名前が8月11日に公表されたからです。それに伴って、新聞各紙は、裁判の過程で明らかになったピーターが受け続けてきた虐待の事実をより詳しく報道しました。
 参考にした新聞記事はエントリの最後にリンクを入れておきますので。虐待があまりにも凄惨だから、公にするべきではないとの意見があったそうです。が、事件を担当した裁判官は、この事実を隠すことは社会の不利益になるとのことで、事件の全容を公にすることを決めたそうです。その意見には、賛成です。が、その虐待がどのようなものだったかを翻訳したい気持ちはあるのですが、読んでいて胸がむかむかしてくるものでしたくないです。ピーターが受けたのと同じ虐待を受けたら大人だって泣き叫び、精神の均衡の安定を失うかもしれない。それほどの虐待をわずか1歳の乳児が毎日受けていた。

 それだけでも十分にこの事件を忘れることなんてできませんが、今回の報道で明らかになった事実に、それは間違いだろうと強く感じることが二つありました。
 ひとつは、やがて釈放される母親とボーイフレンドには、釈放後には彼らの「身の安全」を守るために、別の名前、別の居住場所、警察による24時間の警護が与えられるであろうというもの。しかもその予算はすべて、「税金」。テレグラフ紙ではこのように書かれていました。

It is almost certain that under human rights laws she will be granted lifelong anonymity once she is freed.
By claiming that she had the right to a life free from vigilante attacks or intrusion by the media, she would be given a new name, moved to a home equipped with panic buttons and provided with round-the-clock police protection for the rest of her life at an estimated cost to the taxpayer of £1 million a year.


 これに対して保守党のある議員はこう声を上げています。

It’s a prime example of how human rights of criminals are put before those of victims – in this case a defenceless baby.


 仮に、この母親が生涯を刑務所で過ごし、少しでも社会に何かを還元するのであれば、それは社会の規則と存在定義を守るために税金が使われるのは受け入れられます。でも、判断能力のある大人が自ら犯した罪から逃げ隠れるために、そして何もしないで生きていくために税金が使われる、それは違うだろう。

 もうひとつ、社会福祉の根本がすでにどこかで狂ってしまっているのではと感じたのが、「金」が先、という現実。この事件がおきた、そして今でも児童福祉政策が機能不全のままになっているように思われるハリンゲイ区のソーシャル・ワーカーの言葉をオブザーヴァー紙が取り上げています。

In Haringey, almost everywhere you go, even on the buses, there are adverts calling for foster parents. But, as far as the social worker is concerned, many of those who respond should be motivated by something deeper and older than money. “We now pay grandparents, aunts and uncles foster care allowances to look after their family, which is just crazy. It’s really sad when we have family members coming forward saying: I’ll look after the child if you give me money.”

 いち外国人に過ぎない僕がおかしいと思っても、もしかしたらイギリス人やほかの外国人から見れば、スマートなのかもしれない。また、もしかしたら、日本でも同様なことがどこかで静かに深く進んでいるのかもしれない。
 内容はまったく関連していませんが、今年の1月、ガーディアン紙にあるフランス人がイギリス社会の不可解な点について書いた記事が、幾つかの疑問に答えてくれるように思います。

Baby P: Peter's killers named for the first time as Tracey Connelly and Steven Barker
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/baby-p/6005916/Baby-P-Peters-killers-named-for-the-first-time-as-Tracey-Connelly-and-Steven-Barker.html

Baby Peter: the lessons we have to learn
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/baby-p/6011994/Baby-Peter-the-lessons-we-have-to-learn.html

Judge lifts ban on identification of Baby P's mother
http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/11/judge-lifts-ban-babyp-mother

Baby P: born into a nightmare of abuse, violence and despair, he never stood a chance
http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/16/baby-p-family

 この事件については、Baby P、もしくはBaby Peterで検索すればもっと詳しい背景を記録した生地も見つかると思います。

How Britain lost its way
http://www.guardian.co.uk/business/2009/jan/27/britain-economy-money-debt-morality

 フランス人から見て、どのようにイギリスは歪んでしまっているのか。

既に、ロンドン・オリンピックの切手

2009.08.25
今日、イギリスのメディアが一斉に報じたのは、2012年のロンドン・オリンピックを盛り上げる為の記念切手が10月22日に発売されるというもの。

Royal Mail launches Olympic stamps
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/aug/25/olympic-games-2012-commemorative-stamps

Royal Mail 2012 Olympic stamps
http://www.guardian.co.uk/uk/gallery/2009/aug/24/olympics2012?picture=352041856

http://www.norvic-philatelics.co.uk/2009/07a-olympics2009.htm
(以前より画質がぼやけているけど、どのようなパッケイジで発売されるかが判ります)


(ロイヤル・バレエの常任振付家、マックグレガーの昨年の新作でコラボした方)


(英国風)

 土壇場で、時間的・予算的に間に合わなくてフランスとの共同開催になるのではないかといまだに思っているけど、開催されてしまうんだろうな、と。個人的には、同じ年に行われるであろうエリザベス女王即位60周年のほうがずっと重要。

アメリカ人にとって「Change」は「変化」に非ず

2009.08.25
スコットランド自治政府がリビア人のテロリストを釈放したこと、そして先日書いたNHSを巡る論争(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1073.html)と、最近、急に強い秋風が吹きまくっている感のあるイギリスとアメリカの関係。

 ガーディアンの記事ばかりを引用していては、情報の偏りがあるのは否めません。また、何よりガーディアン紙は多くのアメリカ人が忌み嫌う「リベラル左派:socialism」の新聞ということからもアメリカに対しては厳しい見方をするのだろうとは思います。しかしながら、興味深い記事が続いたのと、オバマ大統領の支持率急落に絡めて。

 この夏の医療改革を巡る共和党からのオバマ大統領攻撃が始まる数ヶ月前、5月1日にガーディアンが書いたのは、アメリカ国内で「食糧援助:food stamps」を受ける人の数が急増しているということでした。

US families rely on handouts in world's richest country
http://www.guardian.co.uk/world/2009/may/01/recession-food-handouts-america-virginia

 アメリカ人の友人によれば、ウェスト・ヴァージニアは最も貧しい州の一つだそうですが、「food stamps」という制度そのものを知らなかったので、一読しただけでは冗談としか思えませんでした。世界で最も豊かな国であることを自負しているに違いないアメリカ国内の一つの州で、180万人の州人口のうち、30万人強が定期的な食糧援助を受けなければ生きていけないほどの極度の貧困に喘いでいる。
 援助を受けている人たちからは、まさか自分がそのような社会援助を受ける側になってしまったことを心理的に受け入れ難し、という気持ちの揺れ動きを感じます。同じような状況が仮に日本で起きたらと思うと。

 で、オバマ大統領による医療制度改革ですが、イギリスのメディアに共通しているのは、アメリカの、特に右の政治家は一般大衆の「恐怖感」を煽ることに長けている。共和党の副大統領候補だったペイリン女史は、NHSのようなSocialism的医療制度が導入されたら彼女の一番下の「ダウン症の息子は見殺しにされてしまう」、と。誰かこの愚か者の顔に氷水でもぶっ掛けてあげてですが、この発言を真に受けて「変化」を求めてオバマ大統領を選んだであろうアメリカ国民は、パニック。「自分たちさえよければ」、もしくは「今の生活を失いたくない」という気持ちがありあり。言うのは簡単ですが、痛みを伴わない「変化」が有ると思っていたようです。アメリカ人に限ったことではないですけど。

Dying for affordable healthcare ― the uninsured speak
http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/21/healthcare-provision-us-uk

Family Health Care Clinic in Kansas City
http://www.guardian.co.uk/world/interactive/2009/aug/21/us-health-insurance-kansas-city
(これはオーディオつきスライドのリンクなのでいつまでアクティヴなのかわかりません)

 この、カンサスのある診療所の記事、諸刃の剣だと思います。特にハンティンドン症候群を発症し、何もかも失ってしまった男性医師の境遇は、「ほら、今の医療制度を守らなければ、こんな風になってしまうんだ」、とさらに恐怖を煽ることも可能でしょう。
 この記事の中で、個人的に最も怖いと思ったのは、一番情報を必要としている人たちが、その手段を持つことが出来ない、という現実。

That she sees basic healthcare as a blessing, not as a right, speaks volumes about attitudes among the mass of the working poor. Also revealing is the fact that Gabaree has absolutely no idea about the debate raging across America. She hasn't even heard of Obama's push for health reform, nor the Republican efforts to prevent it. "I don't watch much television," she says.

That provides Palin et al with a massive advantage: the 46 million people who would most benefit from Obama's plans are also among the least educated and informed, and thus the least able to make political waves. All of which leaves Lee fearful about the prospects for change.


 4600万人もの人が最低限の医療すら受け入れられない状況を改革したいらしいオバマ大統領の声が、その4600万人に届く前にかき消されている。4600万人の医療制度より、「自分」の医療制度のほうが大事。自分ひとりの既得権益が守られる「変化」だけしか受け入れられない。そんな印象です。

 先週の日曜日のThe Sunday TelegraphThe Observer の報道によると、この医療制度への反発に加えて、CO2削減を見据えて石油事業改革も進めたいオバマ大統領への反発は凄まじいらしく、彼の支持率は急降下。テレグラフ(だったかな)に掲載された石油会社に務めるある社員は、「自分の娘に緑の地球を残すことには賛成。でも今、職を失うことは出来ない」。共和党の思うつぼ。
 仮にオバマ大統領が任期をまっとうできなかったとしたら、彼の失敗は、アメリカ人が抱える「変化がもたらす変化」への恐怖心の強大さを過小評価してしまったから、ということもありえるのではないかと。


(意味なし。衣装と飲み物の対比が笑えたので)

 閑話休題。NHSについてですが、以下のガーディアンの特集記事、けっこう面白いです。ただ、このガーディアンの記者、医療費を使いすぎ。MRIの順番待ちが9ヶ月とわかるやいなや、会社の医療制度を使って恩恵を受けるというずるいこともしています。

In defence of the NHS: I'm glad I didn't break my leg in the US

http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/19/nhs-healthcare-america

 制度としては素晴らしいけど、始まった60年前と較べたら、いろいろ改革するべき所はある。その改革をイギリス国民が受け入れられるかどうか、ということが論点になっていくようなきがします。ちなみに、今回のNHS論議で遅れをとった感のあった保守党ですが何とか乗り切ったようで、直近の調査によると、支持率で労働党との差をさらに広げたそうです。

スタンの決断:イギリスで老いるということの一例

2009.08.21
イギリスに着いてから2日後の1999年12月26日、ロンドンでの居住先に移る前に宿泊していた友人宅で初めてスタン(本名、スタニスラフ:http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1056.html)と彼の奥さん、イニットに逢いました。イニットは2000年11月になくなってしまいましたが、スタンとはずっと連絡を取っています。外国人としてイギリスで暮らす大先輩としてということもありますが、本当に人柄が良いんです。ずっと歳上ですけど、最高の友人の一人です。

 1年以上も訪ねていなかったし、彼の持病の狭心症の具合がかなり悪くなってきているようだったので、どうしてもこの夏中に会いたいと思っていました。火曜日の朝に電話したところ、体調が良いとのことだったので電車に乗って、彼が住むバークシャー西部にある小さな村へ向かいました。
 彼の住まいは、日本でも見かけるような、長屋タイプの集合住宅の一区画。87歳、狭心症、かつ白内障を患っているにもかかわらず、一人息子の家族と暮らすのはできないということ(仲が悪いわけではないです)でずっと一人暮らし。1年ぶりに入った居間は、日常生活の臭いはするものの、きれいに片付けられていました。

 キッチンで共通の友人から託されたスコッチを渡し、紅茶を持って居間に移動。ソファに座るなりスタンが僕に言ったのは、「今日来てくれてよかった。ここで会うのは今日が最後だよ」。彼を凝視したまま止まってしまった僕に続けて、「実は、今月でこの家を出て、9月からケア・ホームに移ることにしたんだ。でも、ホームは村のハイ・ストリートに有るからこの村から出て行くわけじゃないよ」。
 
 「ケア・ホームに行くの、かなり嫌がっていたじゃないか。どうして家族と住まないの?」

 「家族とは住まない。彼らには彼らの生活があるし、俺には俺の生活があるからな。
 「この家でずっと暮らしたかったさ。でも、判ったんだよ。もう、難しいってことが。特に冬の寒さはとても堪えるんだ。これがホームからのオファーだよ」

 スタンが見せてくれた手紙には、確かに村のハイ・ストリートの住所にあるケア・ホーム内のフラットにスタンが住めるように手配を進めているとかかれていました。眼が留まったのは、「家賃、週£150-」の表記。

 「家賃払わなければならないの?」
 
 「当然だよ、国が運営するホームじゃないからね。確か、住宅協同組織が運営しているはずだ」。

http://www.sovereign.org.uk/sovereign/index.htm
http://www.sovereign.org.uk/group/

 ちょっと驚きつつ気を取り直して、「でも、食事を作る手間がなくなるから楽になるよね」。

 「KOJI、夕食を作るのが面倒だったり、作れないほど体調が悪いときは、その食事は別に払わなければならないんだ」。

 スタンの年金がどれくらいかを知らない事実が瞬時に頭をかすめ、思わず「どうやって暮らしていくの?」。

 「俺は、今もインカム・サポート(生活保護)を受けている。ワーク・ペンションは毎月£60-で、国からの年金は週£130-だよ」。

 喉まででかかった「たったそれだけ」を何とか押さえ込み、「ケア・ホームの家賃、どうするの?」。
 
 「ケア・ホームのフラットで一人で暮らせる間は、政府が半分補助してくれる。フラットには、本当に狭いけど、キッチンがついているから、自分が食べたいものを食べたい時間に食べたいからな。
 「それすらできないほど衰えて、誰かの補助なしに生活できなくなったら政府が全額払ってくれるはずさ」。

 「もちろん、不安はある。特に、預金の残高が£4,000-というのがな」。

 再び「それだけ?!」を飲み込んでいると、「ケア・ホームに移ってからも、2週間に一回はパブに行って1パイントのビールをのんびり飲みたい。食費も自分で賄わなければだし。来年の今頃まで生きていたら、もうなくなっているかもしれないな」。


(裏の畑で)

 言葉では言い表せない、なんとも表現しようのない気持ちでいっぱいになりちょっとの間無言になりました。確かにスタンの仕事は派手なものではなかった。イギリスの繁栄に大いに貢献するような、社会の発展に欠かせなかったような大きな仕事ではなかった。
 でも、照っても雨が降っても家族のために働き続け、税金を納め、悪いことなんて何もしなかった。引退してからは、地元の農場を手伝ったり、養蜂業を数人の仲間としたりして4年前までずっと働き続けてきた。そんなスタンの人生の最後の数年間がこれなのか、と。
 ロンドンに戻る電車の中で、Baby P(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-956.html)を殺した彼の母親についての記事を読みました。自分の子供がボーイフレンドに想像を絶するほどの虐待を受け続けているときに、インターネットのポルノサイトとカジノサイトに入り浸り、逮捕・収監されてから、「もう男はいらないけど、社会に戻ったら気晴らしのパーティをするつもり」と友達に手紙を送る母親。そんな人間なんて呼びたくない母親が、毎月£450-の生活保護を受け取っていた。
 銀行を破綻させ、多くの人がローンを払えずに家を追い出される状況に追い込んだ元経営者に、「契約」だからと巨額ボーナスを払う銀行。そしてそれを阻止することができない政府。
 一方で、50年以上も働き続けてきたスタンに支給される年金がくずに支給されていた無駄金と大して違わない。そんな少ない年金からですら、そのくずへの生活保護の資金、国営になった銀行の経営者へのボーナス資金のために税金を払い続けているスタン。

 スタンの家を出るときに手渡されたのは、家の裏の畑で彼が育てたキャベツ、トマトときゅうり。そして彼の手元に残っていた蜂蜜の最後のジャー。「ケア・ホームに移ったら、もう何もあげられなくなるから。こんなに少なくて、すまないな」。


(キャベツがとても美味しかった)

 これがスタンの人生の最後ではないし、泣きはしませんでした。当然、彼がケア・ホームに移ってからも訪ねます。

 7月、ガーディアン紙が「Ageing Britain」という特集のメイン記事として、あるケア・ホームの一日を追った記事を掲載しました。

Too high a price
http://www.guardian.co.uk/society/2009/jul/22/older-people-national-care-service

A day in the life of an old people's home

http://www.guardian.co.uk/society/2009/jul/14/older-people-care-home

Elderly face £20,000 bill in plan to defuse population timebomb

http://www.guardian.co.uk/society/2009/jul/14/green-paper-care-system-elderly

Q&A: Paying for long-term care
http://www.guardian.co.uk/money/2009/jul/14/long-term-care-costs

 ご参考までに。

ネズミを食べる植物、発見される

2009.08.18
フィリピンで、(おそらく)小型のねずみを捕食する植物が見つかったそう。

Rat-eating plant discovered in Philippines

http://www.telegraph.co.uk/earth/earthnews/6041241/Rat-eating-plant-discovered-in-Philippines.html

The plant is among the largest of all pitchers and is believed to be the largest meat-eating shrub, dissolving rats with acid-like enzymes.

The team of botanists, led by British experts Stewart McPherson and Alastair Robinson, found the plant on Mount Victoria in the Philippines.

They were inspired to search for the plant after word that it is existed came from two Christian missionaries who described seeing a large carnivorous pitcher in 2000 after they climbed the mountain.

Mr McPherson, of Poole Dorset, said: "The plant produces spectacular traps which catch not only insects, but also rodents. It is remarkable that it remained undiscovered until the 21st century."

The team, which found the plant in 2007 following a two-month expedition, published details of their discovery in the Botanical Journal of Linnean Society earlier this year following a three-year study of all 120 species of pitcher plant.

They decided to name the plant Nepenthes attenboroughii, after the wildlife broadcaster Sir David.

"My team and I named it in honour of Sir David whose work has inspired generations toward a better understanding of the beauty and diversity of the natural world," added Mr McPherson.

Sir David, 83, said: "I was contacted by the team shortly after the discovery and they asked if they could name it after me. I was delighted and told them, 'Thank you very much'.

"I'm absolutely flattered. This is a remarkable species the largest of its kind. I'm told it can catch rats then eat them with its digestive enzymes. It's certainly capable of that."



Killer plants: the Venus Flytrap and other carnivorous plants
http://www.telegraph.co.uk/earth/earthpicturegalleries/6049861/Killer-plants-the-Venus-Flytrap-and-other-carnivorous-plants.html
*ねずみが溶けている写真はかなり生々しいので、食後の方、また心臓の弱い方は開けないほうが良いと思います。

I name this rat-eating plant 'Sir David Attenborough'

http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/18/david-attenborough-animals-plants



 事実はSF小説より奇だし、地球という星って本当にすごい。でも、その地球を壊してしまいそうな人類って、何者。

なんでも人種差別問題にしようとすることの愚かしさと恐ろしさ

2009.08.18
ルパート・マードックのトンチキがぶち上げた記事有料化の流れがどうなるかは判りませんが、僕のブログには少なからず影響が出てしまうでしょうね。でも、仮に有料化が実施されても、こんな風に興味深い記事を「紹介」すれば、購読者が増える手助けになるのかな、というのはおこがましいですね。僕は、「新聞は公器」という意識を捨てられません。

 朝日新聞が8月13日に報道した以下の記事、読まれた方も多いのではないかと思います。

イスラム教徒用水着「だめ」 仏の公営プール拒否で論議
http://www.asahi.com/international/update/0813/TKY200908130090.html

【パリ】パリ郊外に住むイスラム教徒の女性(35)が、体の線などを隠すようデザインされた同教徒用の女性水着「ブルキニ(Burkini)」を着て地元の公営プールで泳ごうとしたところ、断られた。プール側は「衛生上、着込んだ格好で泳ぐのはだめ」と説明しているが、女性は「イスラム教徒への差別だ」と反発している。仏メディアが12日に伝えた。

 ブルキニは、イスラム教徒の女性が顔まですっぽりと覆って着用する「ブルカ」とビキニを合わせた造語。パリジャン紙によると、頭髪を隠すベール、体を覆うコート、ズボンからなる。オーストラリア在住のレバノン人が07年に発案したという。

 女性は「イスラム教の教えに沿い、体をあまりさらけ出さずに水泳を楽しめる」とブルキニの着用を決めたが、プールを管理する地元当局は「イスラム教とは無関係。ひざ上まである半ズボンの水着なども認められない」などとして拒否。女性は納得せず、市民団体の支援も受けて法的手段も辞さない構えだ。

 政教分離を徹底するフランスでは、04年に公立学校でのイスラム教のスカーフ着用が禁止された。公共の場でのブルカなどの着用禁止を求める声も強まり、国会に調査委員会が発足したばかり。委員の間では、ブルキニを含むスポーツをめぐる問題も調査対象にすべきだとの声が出ているという。


 これ、時差の関係でイギリスでは12日のイブニング・スタンダード紙が最初の報道だったと思います。これを知っていたのかどうか、12日のガーディアンのG2に、フランスではいまだも「小さな水着が主流」で、特に体型に自信のないイギリス人男性は、当惑することしきり、というものです。

Why Speedos are still huge in France

http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/aug/12/speedos-fashion

 朝日新聞の記事にも書かれていますが、最大の理由は、「衛生」。

"Small, tight trunks can only be used for swimming. Bermudas or bigger swimming shorts can be worn elsewhere all day, so could bring in sand, dust or other matter, disturbing the water quality. By banning them outright, we're not forced to stand there measuring what can be defined as swimming shorts. I accept that some men feel very ill at ease wearing small trunks, but others don't mind."

 ガーディアンの記事は男性に限っていますが、確かに、トランクスタイプの水着ではプールの外でも違和感はないでしょう。それが、ビキニタイプのものであれば、まるで下着で歩いているようなもの。とても理に叶っていると思います。「人種差別」が入り込む隙間なんて全くないです。

 これで思い出したのが、2007年末に、ちょっとエッジのきいたロンドンのヘア・サロンで働きたがったイスラムの女性が、採用を断られたことに腹を立て経営者の女性を「人種差別」で訴えたことが有りました。

http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23420030-details/Hairdresser+sued+for+religious+discrimination/article.do

Hairdresser sued in row about headscarf


Martin Bentham and Anna Davis
08.11.07

The owner of an "alternative" London hair salon is being sued for religious discrimination after refusing to give a job to a Muslim woman who wanted to wear a headscarf at work.

Sarah Desrosiers, whose Wedge salon specialises in "urban funky" cuts, says she turned down applicant Bushra Noah because she was "selling image" and needed her staff to display their hairstyles to the public.

Ms Noah, 19, is claiming religious discriminat ion and suing Ms Desrosiers for more than £15,000 for injury to her feelings, as well as an unspecified sum for lost earnings.
Ms Desrosiers, 32, who set up her business in King's Cross 18 months ago, has already spent more than £1,000 fighting the case and says that if she loses she will be forced to close.
She denies any discrimination and says she rejected Ms Noah because she was unwilling to show her hair at work.

"I sell image - it's very important - and I would expect a hair stylist to display her hair because I need people to be drawn in off the street," said Ms Desrosiers. "It's the nature and style of my salon that brings people in and someone having their hair covered conflicts with that. If someone came in wearing a baseball hat or a cowboy hat I'd tell them to take it off while they're working. To me, it's absolutely basic that people should be able to see the stylist's hair."
In a legal letter setting out her employment tribunal case, Ms Noah, from Acton, claims she was discriminated against and treated rudely at her interview in March and wrongly turned down for a job she was capable of doing because of her headscarf.
Ms Noah said today she had attended a total of 25 interviews for hairdressing jobs without success and had decided to take legal action because she had been upset by Ms Desrosiers' comments. She said: "I decided to sue this hairdresser because she upset me the most. I felt so down and got so depressed, I thought if I am not going to defend myself, who is?
"When I spoke to her on the phone she offered me a trial day. But when I turned up she looked at me in shock. She asked if I wore the headscarf all the time. She kept repeating, 'I wish you told me over the phone'.
"Ever since I was in high school hairdressing is what I wanted to do. It is sad for them to not give me the opportunity. This has ruined my ambitions. Wearing a headscarf is essential to my beliefs."
Ms Desrosiers said she was struggling to find money to contest the hearing, scheduled for January. She said: "I'm being dragged through the mud and pretty much accused of being a racist. I feel it is totally unfair and wrong."


 これを書くことで、人種差別者といわれるかもしれないですが、「とんがった」ヘア・サロンで、自分の髪形を見せない人間に、任せられますか?僕は、いやです。日本でたとえるなら、呉服屋でゴスロリの格好をした店員に「この着物に合う帯びはどれかしら?」、なんて尋ねたいですか?逆も然り。
 自分が我慢することは嫌がって、他者の美味しい所だけ欲しがる。断られれば「人種差別」といえばなんで押し通せるという考え方には、不快感以外の何物も感じられません。そして、そんな不快感を口に出すことが出来ない社会で生きることを強いられている多くのイギリス人の我慢がいつまで続くのか。ヘアサロンの経営者のコメント、「I'm being dragged through the mud and pretty much accused of being a racist. I feel it is totally unfair and wrong」には、多くの賛同が寄せられたように記憶しています。

医療制度を弄ぶ政治家:NHSを巡る英米の大論争

2009.08.16
今、大西洋を挟んで、イギリスとアメリカの間で応酬が続いている熱い熱い、そして政治の醜い話題はイギリスの医療制度、NHS(National Health Service)。ことの発端は、オバマ大統領が取り組んでいる、アメリカの医療制度改革。

 オバマ大統領が目指す医療制度については全く興味がないので知りませんが、彼の改革案に速攻で噛み付いた共和党の反論を読んで感じたのは、「平等な医療制度が導入されると、潤沢な資金提供元である医療産業からの支持が取れなくなるから困るんだよ」、という共和党の本音が読めてくる、そんな案のようです。
 その非難の仕方が、まるで子供の悪口の言い合いのようなレヴェル。例えば、脳腫瘍を患うエドワード・ケネディ上院議員は、仮に彼がイギリスにいたら、高齢すぎてNHSの患者リストから外される。だからNHSはよくない、といった感じです。

'Evil and Orwellian' – America's right turns its fire on NHS

http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/11/nhs-united-states-republican-health

 こんな例え方をされても黙っていたイギリス政府が立ち上がってしまったのは、保守党に所属するEU議員の一人が、アメリカの超右のテレヴィ局であるFOXで、彼の持論である、「NHS制度は60年の税金の無駄遣い」、とぶち上げてしまったから。これを受けて、ブラウン首相とサラ夫人は、トゥイッターを使ってNHS擁護のキャンペインを。

Ministers and medics rush to defend NHS

http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/14/ministers-doctors-defend-uk-nhs

 記事に書かれているように、アメリカ国内の医療制度改革だけに終始していれば、イギリス政府がこの状況に自ら踏み込むことはなかったでしょう。ただ、僕も世界中が羨む制度かどうかは判らないですが、イギリス国民の暮らしの基幹制度の一つであるNHSを他国の政治の道具に使われ、世界中に間違った見方が広まることは嬉しくないでしょう。
 僕自身は、NHSのお世話になったのは2回だけですが、今年の春、急病でNHSの病院で的確な治療と看護を受けた友人の経験を知っているので、「悪魔」のような制度という表現には、逆にそんなことを言う人間の知性を疑います。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-990.html
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-993.html

 友人は、50日もの間入院しましたが、現在は自宅に戻っています。平日は毎日、体力をつけるために自分で地域のGPに通い、週末はローカルで働く看護婦が彼の家を訪問して体調の確認をしているそうです。これまでに2回、急に体調を崩したときは、医師が往診してくれたそうです。何度も書いていますが、全て無料。
 その無料の医療制度を成り立たせる為に、国民の税金負担が増大し、税金の無駄遣いを徹底的に見直すことや、地域によって受けられる医療のレヴェルの絶望的な格差をどうするか。また、押しよせるEUおよび非EUからの移民によるNHSの利用過剰のあおりで、自分たちの制度であったNHSを思うように使えないイギリス人の不満をどう解消するか等々はイギリス政府にとって大きな課題でしょう。でも、そのような負の面だけあげつらわれた挙句に、どうしようもない制度と決め付けられてしまっては、それは黙ってはいられないでしょうね。そういえば、アメリカで何かの勲章を受けたホーキング博士も式典で、「I wouldn't be here today if it were not for the NHS」と発言したそうです。

 ガーディアン紙に、ロンドン在住20年以上のアメリカ人教授のコメントがあります。ロンドンという大都市、首都に住んでいるからこその高度、かつ手厚い医療という面も有ると思いますが、二国間の違いを知っているが故の興味深い表現があります。

The relationship between doctors and their patients at every level is different from that in the States; here money does not change hands. An American friend of mine with five children was terrified when he became unemployed, fearful that one of them might become ill. I became ill when I was briefly back in the US some years ago, attending a meeting. With an acute urinary obstruction, the first person I saw, and the only one who could admit me for treatment, was the woman in charge of payment. My credit card probably saved my life.

 僕は、アメリカの医療制度の実態は全く知りませんが、「my credit card saved my life」というのが現実のようですね。

In the US, my credit card saved my life
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2009/aug/14/nhs-healthcare-america-britain


 この論争、イギリス国内の政治状況にも波紋が広がり始めています。矢面に立たされているのは保守党党首のデイヴィッド・キャメロン氏。身内からNHSの批判が続々とメディアに流れ、火消しに必死なだけでなく、せっかく優位を保ってきた支持率にも影響が出るのではないかと言う感じのようです。キャメロン氏は、本当に脇が甘い。

Tory rows threaten to derail David Cameron's dream for the NHS
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/aug/16/david-cameron-nhs

 本題から外れますが、このNHSを巡る舌戦を考えながら思い浮かんだ疑問は、「2大政党制度って、もしかしたらもはや機能しないのではないか?」、ということ。日本では、総選挙を前に自民党と民主党の「2大政党時代到来か」なんてメディアが煽っているようですが、2大政党制が現在の内政のこう着状態をもたらしたと僕は思っているアメリカの現状を考えると、日本が「2大政党」の時代になったとしても何も変わらないのではないかと。混乱はするかもしれないけど、三つ巴、四つ巴の政治のほうが今の日本が必要とする状況なのではないかなと思ったりしています。

 医療制度が政治の手段になることは悲しいかな避けられないのが現実。しかしながら、医療は誰の為に有るのかということを、政治家の皆さんには改めて考えて欲しいです。

[追記:8月21日]
 8月19日付のガーディアンに、同紙の記者が骨折したときNHSが同対応したかを書いた記事が掲載されました。

In defence of the NHS: I'm glad I didn't break my leg in the US
http://www.guardian.co.uk/society/2009/aug/19/nhs-healthcare-america

 NHSが完璧なシステムではないことを認めつつも、人々が受けられる医療を柔軟に選択できるシステムであることはよく説明されている記事だと思います。それにしても、アメリカ人は「変化」には痛みが伴うことを知らないままオバマ大統領を選んだ気がする。

ロンドン南北縦断:観光の基本は歩いて歩いて

2009.08.14
最近では、観光ガイドというかアテンドはあまりしていませんが、今回はうまい具合に当日の天気が素晴らしく、かつ依頼をされてきた方が、僕の提案するおよそ普通のルートではないロンドン観光のルートでよいということでしたので、僕のペイスで歩き回ってきました。こんな機会でもないと、僕自身、ロンドンを見て回る機会なんてそれほどないですし。提案したルートは、午前中にロンドン南部のグリニッジ、午後は北部のリージェンツ・パークとプリムローズ・ヒルズ、体力が余っていればリージェント運河を歩いてリトル・ヴェニスで終了という、今思うとちょっと無茶だったかもしれません。

 グリニッジへは、ドックランド・ライト・レイルウェイDLR)で。現在、ロンドン中心から出発する際のバンク・ステイションが大規模改装中なのでその混乱を避けるためにサークル・ラインでタワー・ヒル駅へ。地下鉄の駅に向かう途中にあるので、寄り道してセント・パンクラス駅のユーロスターのプラットフォームをご案内。



http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-538.html
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-574.html
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-577.html

 タワー・ヒルからDLRに乗る時の小さな問題は、グリニッジへ向かう「Lewisham」直通がないこと。ということで一つ目の駅でバンク駅からのルイシャム行きに乗り換えすることに。東京を走る「ゆりかもめ」同様一応無人ということになっていますが、ゆりかもめより揺れるそうです。途中、リーマン破綻で脚光を浴びたカナリー・ワーフを通り過ぎ、地下にもぐって二つ目の駅で下車。
 地上に出て左に向かうと、火災で焼け落ちたカティー・サーク。といっても、とげとげの妙なカヴァーに覆われているので、改修工事がどの程度まで進んでいるのかはわかりませんでした。



 改修中のグリニッジ・マーケットを通り過ぎ、王立海洋博物館http://www.nmm.ac.uk/)の前を歩いていたとき、バス停で見つけたのは、以前はなかったノース・グリニッジと、テムズを越えて朝いたセント・パンクラスとは目と鼻の先にあるラッセル・スクゥエアを結ぶバス路線(188番)。2年前に来たとき(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-539.html)はなかったので、かなり新しい路線だと思います。それにしてもすごい距離。スムーズに運行しても1時間半はかかるのではないかと思います。でも、このような長距離を走るバスに乗ると、知らないロンドンを見ることができるでしょうから、機会があったら試してみようかと。
 マリタイム博物館の広大な中庭を突っ切って、さらに広大なグリニッジ・パークへ。目指すは、ロンドンを見渡せる頂上へ。ゾーン1内のロンドンは人が多いだけで歩くのが大変ということはあまり感じないと思います。が、ゾーン2に突入すると、ロンドンは思いのほか起伏に富む大都市に変わります。DLRの駅から公園の入り口までも結構歩きますが、頂上へと続く坂道は、心臓破りであり、運動不足の皆さんには後から筋肉痛に襲われるかもしれない、そんな急勾配です。
 しかし、ひとたび頂上に着けば、そして天気が素晴らしければ、目の前に広がるロンドンは、観光ガイドブックからはうかがい知ることができないであろう、緑あふれる美しい都市に見えると思います。

 グリニッジ線での記念撮影の後は、さわやかに照りつける日光の心地よい暑さを背中に感じながら、マリタイム博物館の反対側にある、旧王立海洋学校http://www.oldroyalnavalcollege.org/)へ。ここのペインティッド・ホールをお見せしたかったんです。ところが、ホールとチャペルの間の中庭には着飾った人たちがたくさん。ぱっと見たときは結婚式かと思ったんですが、よくよくドレスや仕官服を見てみると、てんでばらばらでまったく統一感なし。目当てのペインティッド・ホールの前には作業服を着たおっさんが立ちはだかっていました。何が行われているのかその男性に尋ねたところ、ホール内でBollywood映画の撮影が行われているとのことでした。中庭にいる皆さんはエキストラで、撮影の合間の休憩時間だったようです。



 案内している皆さんが僕を見失わないように、とっても明るい色(派手とも言います)のシャツを着ていたので、「このシャツの色なら撮影に参加しても違和感ないでしょ」と係員の男性にいったところ、大笑いされました。ペインティッド・ルームに入れなかったのは残念でしたが、チャペルの静謐な雰囲気は心地よかったようです。

 ここからが、僕にとっても初体験。ロンドン中心部へは、通勤ボートで戻ることに。もちろん観光ボートもあるんですが、ロンドンで働く皆さんの通勤の足として重宝されているボートで観光クルーズを体験するのも面白かろうと思っていたのですが、実際は、それ以上でした。
 地下鉄、バス、DLR同様、通勤ボートはロンドン交通局が管理していますが、オイスター・カードは使えません。今回は、グリニッジからサウス・バンクまで大人片道£5-でした。
 お昼時ですから、通勤時の混雑とは状況は違うのだろうとは思いましたが、係員の皆さんのてきぱきした働きぶり。さらに水の上にもかかわらず、各停泊所へはほぼ定刻通りに止まり出発するという、ロンドンのほかの公共交通機関では絶対にお目にかかれないであろう無駄のない運行。これは本当に同じロンドナーの働きぶりなのかと、眼からうろこでした。
 さらに、観光ボートではないので、撮影スポットで止まってくれるなんてサーヴィスはありませんが、テムズを快速で進むボートから眺めるロンドンの景色の新鮮なこと。ガイド役をすっかり忘れて写真を撮りまくりました。陽光に煌く濁ったテムズの川面から見上げるカナリー・ワーフの高層ビル群は、とても美しかったです。



 東京も、ロンドン同様、川が流れています。違うのは、テムズが大きく蛇行しながらロンドンの東西を結んでいるのに対し、東京の川は東京湾から放射線状にというもの。屋形船は東京ならではでしょうけど、河から町の表情がどんどんと変わるのを見ることができるテムズ河クルーズ、お勧めです。住んでいても、気分転換には最適でしょう。



 サウス・バンクで下船して遅めのお昼。ちなみに乗船していた時間はおよそ50分。


(サウス・バンク周辺の木には水玉が。ヘイワード・ギャラリーで草間弥生のエキシビションがあるからかも)

僕はまだまだ歩けたのですが、午前中の行程で僕がすっ飛ばしすぎてしまい、案内していた皆さんがこれ以上はちょっときついかも、ということで北上ルートは今回は断念。それでも、トラファルガーからフォトナムまで歩かせてしまいました。自分の脚力を基準にしてはいけない、ということが今回の反省点。反省のしるしに、一人でリージェンツ・パークに向かい、見てもらいたかった夕方の涼風にそよぐ花々の写真を。
 午後はずっと晴れていたので、顔はすっかり日焼け。お風呂が気持ちよかったのは言うまでもありません。

 ロンドンは、買い物、美術鑑賞等いろいろな観光を受け入れる都市だと思います。たくさんの選択がある中、ロンドンを歩きつくすのもまた楽しい観光であると今回改めて感じました。

Abbey Road横断歩道が残されるかはファンのマナーしだい

2009.08.13
欧米のポップ・ロックの聞き始めがドアーズとキング・クリムゾン、そのままパンクとニュー・ウェイヴに流れたので、「ビートルズ」という名前がしっかり意識に刻み込まれたころは、いまさらという気がして聞いたことがある振りをしていた。
 さすがに歳をここまで重ねれば、彼らの曲を何度も耳にし、ビートルズの影響力の大きさはわかるけど、バンドやメンバーに対しての思い入れはまったくない。だから、こんなことがおきていたことすら知らなかった。朝日新聞様、いつもねた振りに使わせていただいて、ありがとうございます。


アビーロード撮影から40年…ファン集結、歌ってポーズ

http://www.asahi.com/international/update/0810/TKY200908100351.html

【ロンドン】メンバー4人が交差点の横断歩道を渡っている姿で有名なビートルズのアルバム「アビーロード」のジャケット写真の撮影からちょうど40年にあたる8日、世界中からファンが集まって交差点を渡るイベントが行われた。

 英メディアによると、ジャケット写真は69年8月8日午前11時35分ごろ、ロンドン北部「アビーロード・スタジオ」前の交差点で、アルバム制作の合間をぬったわずかな時間を利用して撮影された。この時間にあわせてファン数百人が集まり、ヒット曲を歌いながら、思い思いの格好で交差点を渡った。


Beatles fans pay tribute on Abbey Road at iconic studio's 40th anniversary
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1205174/Beatles-fans-pay-tribute-Abbey-Road-iconic-studios-40th-anniversary.html



 ファン心理は判らなくもないけど、上の写真の4人、「似ている」なんていえない。4人目の親父はジョージ・ハリスンの「つもり」なんだろうけど、笑って許せるレヴェルではないと思う。そんなのをありがたがる集団ヒステリアが本当にばかげている。
 デイリー・メイルの記事に掲載されている写真から判るように、この横断歩道、Zebra Crossingの大混乱振りが地元で問題になっていて、混乱・事故回避のために今の場所から移動させようという動きが出ているらしい。

Iconic Beatles zebra crossing faces axe
http://www.telegraph.co.uk/culture/culturenews/5996009/Iconic-Beatles-zebra-crossing-faces-axe.html

Hundreds of Beatles fans made the pilgrimage to the site to follow in the footsteps of the Fab Four, 40 years to the day after the cover was photographed there.

But now local councillors are proposing to move the crossing altogether over fears that the number of people posing for photographs in the middle of the road is causing accidents and holding up traffic.

The crossing, in St John’s Wood, north London, has attracted increasing numbers of sightseers in recent years, and figures obtained from Westminster Council under the Freedom of Information Act reveal a rising number of accidents in the area.

Now, councillors in the ward are calling for changes. They are in discussions with the council’s traffic department over ways to make the crossing and the nearby junction safer.

Among the options is to simply dig up the black and white stripes and flashing yellow beacons and install another crossing further along the road.


 イギリスには、信号がついていないゼブラ・クロッシングがたくさんある。この信号のない場合の鉄板の規則は「歩行者最優先」。ドライヴァーはたとえ視野に誰もいなくてもこのゼブラの前では減速して予想外の事故にも対処するのが絶対、ということを聞いたことがある。
 一方、歩行者にもルールがある。ゼブラをわたるときは、歩行に障害がある人々を除きできるだけ素早く渡りきる。そうすれば渋滞も起きない。できれば、渡っている途中、とまってくれたドライヴァーに手を上げて感謝を示すというのが伝統。
 ところが最近では、今回のビートルズ騒ぎからも想像できるけど、このルールを知らない、もしくは無視する歩行者が多くなってきている。また、ドライヴァーの側でも減速しない不届き者が急増しているように普段の生活から感じる。
 
 このゼブラ・クロッシングをファンが渡るたびに、ウェストミンスター区に金が落ちるならまだしも、事故が増えて余計な手間が増えるだけ。今回の大騒動は、地元行政、近隣で暮らす住人にとってはアビィ・ロードのゼブラ・クロッシングを撤去・移動させるまたとない機会になったのではないか。

地球温暖化で姿を消すヒマラヤのカエル(写真あり)

2009.08.12
カエルの写真は載せるなと家族からは言われ、このブログの訪問者数が減るのも判っているけど、こんなかわいらしいカエルの写真を載せないままではいられない。

Flying frogs and the world's oldest mushroom: a decade of Himalayan discovery
http://www.guardian.co.uk/environment/2009/aug/10/himalayas-new-species

Eastern Himalayas: a decade of discovery

http://www.guardian.co.uk/environment/gallery/2009/aug/07/wildlife-animals


The bright green, red-footed tree frog Rhacophorus suffry, a so-called 'flying frog' because long, webbed feet allow the species to glide when falling, was described in 2007
 こんな繊細な色合いのカエルが存在するなんて。


Smith's litter frog (Leptobrachium smithi), identified in 1999, one of five new frog discoveries in the Indian state of Assam, must certainly rank among the most extraordinary-looking frogs in the world. Measuring only a few centimetres, this small frog has a giant pair of piercing, bulging and vivid golden eyes. Smith's litter frog was reportedly discovered in the Mayeng Hill Reserve Forest and Garbhanga Reserve Forest, Kamru District, Assam
 こういうのを、「ブサかわ」というのだろうか。キャラクター商品としても十分に通用する面構え。

 ヒマラヤ東部域で見つかった動植物が、地球温暖化の影響で姿を消してしまうだろう、との報告がWWFから発表された。正直、もうとめられないだろう。

終わりが見えない郵便ストライキ

2009.08.12
もはや報道するのが馬鹿らしいからだろう、日本では大きく報道されているようではないが、ここ数週間、ロイヤル・メイルで働く組合員によるストライキが続いている。ストライキは毎日起きているわけではない。今回のだらだらと続くストライキに比べると、むしろ24時間とか72時間といったきっちり時間が読めるストライキのほうがましという気すらしてくる。
 実際どういう状況かというと、ある日はロンドンで配達がなく、あくる日はイングランド東部支部の組合がスト。数日あけたある週末は、ロンドンとスコットランドで集荷が行われず、あくる月曜日はイングランド北部のみでスト、といった具合。このようなゲリラ豪雨的なストライキだから、利用者の心配は、「いつ届くのだろうか?」から「なくされませんように」という気分にシフトしてきているように感じる。

 以下のリンクは、ガーディアン紙で見つけた、このストライキによって引き起こされている混乱にどのように対処するか、というもの。 

Q&A: Royal Mail postal strikes
http://www.guardian.co.uk/money/2009/aug/10/royal-mail-postal-strikes

Who is on strike?

Members of the Communication Workers Union (CWU) are staging a series of 24-hour strikes across the country. The strikes, which started in mid-July, are part of an ongoing dispute between the union and Royal Mail over pay, jobs and services. The current round of strikes started last Friday and is expected to continue until the end of this week. CWU claim that 125,000 members have so far taken part in this latest round of action.

Where are they striking?

Today the strike hit Kings Lynn, Stanton, Bury St Edmonds, Thetford and the Ipswich mail centre in East Anglia, and Alloa, Dunfermline, Cowdenbeath and Grangemouth in Scotland.

On Tuesday, workers in Stoke-on-Trent will go out on strike.

In London, around 12,000 workers involved in delivery, collection and driving will be on strike. A spokeswoman for the CWU said all of central London would be affected, as well as large areas of greater London.

On Thursday, a distribution centre near Bristol will be affected.


What impact are the strikes having?

Royal Mail says the majority of its national and international mail network is operating as normal and guaranteed delivery services have, in general, been unaffected. Things are now getting back to normal in the areas affected by strike action at the end of last week.

However, services appear to be seriously disrupted in the areas hit by today's strikes. In East Anglia, for instance, the Eastern Daily Press has reported that around 16,500 homes in Kings Lynn and Thetford have not received deliveries as a result of the strike.

Royal Mail says it expects Tuesday's strike in Stoke and Thursday's strike in Bristol to affect only mail collections, with deliveries expected as normal, but that households and businesses in London look set to be hit hard by Wednesday's strike. Business collections will be limited across vast swathes of the capital, deliveries may be limited to items sent via premium services like Special Delivery and Royal Mail Tracked, and redeliveries of mail across all London postcodes will be not be available on Wednesday or Thursday.

Full details for all disrupted areas are available on the Royal Mail website.


When will I get my post?

A spokesman for Royal Mail said it generally took a few days after a strike for the backlog to be cleared, although in some instances post was arriving more quickly. If your postman is on strike this week you should expect to get your mail early next week, if not before.

What if I am expecting or sending something urgent?

If you are sending something urgent you should use a guaranteed service to make sure it gets through the strike. Sending something special delivery allows you to track an item.

If you are waiting for something important, for example tickets, you could face problems if it has been sent first class. Royal Mail says customers who have experienced difficulties should contact customer services, however a spokesman warns that "consequential compensation is not paid on first-class mail – it has never been a guaranteed service". In layman's terms, if you've had to buy new train tickets because yours haven't arrived: tough.


Will the strikes end this week?

This round of strikes is set to finish by the end of the week, but the CWU is balloting its members for a national strike in September.

 今日8月12日は、西部の一部を除くロンドンのほぼ全域で配達と集荷双方がなかった。でも、これが終わりではない。ガーディアンのリンクの最後に申し訳程度に触れられているけど、組合員の選択しだいでは、9月に全国規模のストライキがあることも予想されているようだ。

 組合の、そして組合員の定義について、考えさせられてしまう。日本同様に、労働組合に所属する労働者の数は激減しているそうだ。一方、組合幹部の年間報酬は、最高で20%もの上昇が確実だとか。
 生活と賃金のためにストライキを選択するのは組合員の責任。でも、そのストライキで得られるであろうものは、幹部連中の給与から比べたら確実に見劣りするもの。にもかかわらず、迷惑をこむる一般市民の怒りの矢面に立つのは、一般組合員。最終的に組合の解体をもくろむ誰かに、組合員は踊らされているだけ、というのは穿ちすぎだろうか。

ウェイトローズの低価格帯商品

2009.08.09
日本では「高級」スーパーマーケットと紹介されているウェイトローズhttp://www.waitrose.com/)。事実、セインズベリ-やテスコと較べれば総じて高い。でも、クレディット・クランチはウェイトローズのメイン顧客層であろうミドル・クラスの財布を直撃し、2008年後半は売上高が激減したらしい。

 で、背に腹は代えられないとかの議論が有ったのだろう、3月に投入したのが低価格帯品群、essential Waitrosehttp://www.waitrose.com/food/productranges/essential.aspx?source=scph39


(不思議なことに、ロシア語のサイトで見つけた画像)


(新聞広告)

Waitrose brings out budget range for recession-hit middle classes

http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/4948869/Waitrose-brings-out-budget-range-for-recession-hit-middle-classes.html

Waitrose budget range flies off shelves as middle-classes cut costs
http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/5602201/Waitrose-budget-range-flies-off-shelves-as-middle-classes-cut-costs.html

 こういうことの裏側では、どこかで誰かが搾取されているのは確実だと思う。そういうことに目をつぶっては、レフトウィンガーと名乗ってはいけないのかもしれない。でも、ブランド名に弱い消費者・利用者の一人として、また昔ウェイトローズの対応に感心して以来(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-147.html)ずっと利用しているので、似非ミドル・クラスとしてはこの低価格はまさに財布の味方。例えば、「トマトとバジルのパスタ・ソース」が99ペンス。小さな林檎6個(または7個)入りが一袋99ペンス、といった具合。

 ウェイトローズでもう一つ気にいっているのは、エコ・バッグ。昨年の一時帰国時、そしてクリスマスの時の特別ヴァージョンと、プレゼントに最適だった。ヴェネツィアでも好評。

http://fumiemve.exblog.jp/7941264/

 このエントリを書くにあたって日本語グーグルで検索してみたら、あるネット・ショッピング・サイトで、店頭価格£2-の通常のエコ・バッグが¥1,400-で販売されていた。冗談かと思った。

カエルの存亡は人類の食欲次第(写真あり)

2009.08.09
8月7日付のThe Guardian紙のG2の巻頭記事は、

Why we shouldn't eat frogs' legs
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/aug/07/frogs-legs-extinction

A short history of frog eating
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/aug/07/frogs-legs-france-asia

Are frogs on their last legs?

http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/wordofmouth/2009/aug/07/frogs-legs-eating-endanged



 メイン記事の出だしが、フランスでの「カエルの脚を食べる祭り」のことからだったので、軽い記事かと思ったら、カエルを絶滅に追い込んでいる最大の要因は蔓延が危惧される病気ではなく、人間の「食欲」である、と。
 ヨーロッパでカエルの脚を消費するのは、フランス、ベルギー、そしてルクセンブルク。アメリカ南部のテキサスやルイジアナも巨大な消費地でありまた、どうやら日本をのぞく東南アジアでもその消費量は大きいようだ。



 人間の食欲がどうしてカエルを絶滅に追いやっているかの理由の一つは、他の家畜や水産資源と違い、カエルを人工飼育し大量に「生産」することは難しく、世界各国で消費されるカエルの多くが野生のものであるといこと。あの細い足を何千トンという単位でということであれば、いくら多産のカエルでも追いつかないだろう。

 記事の後半で研究者が警鐘を鳴らしているのは、消費されるカエルについての公式なデータが存在しないこと。例えば漁獲量が激減している北大西洋のタラについては研究がなされ、数値がある。ところが世界で消費されるカエルについては全く何も判っていない。気がついた時には手遅れになってしまう可能性も有るだろう、と。

 グリーンピースに言いたい。鯨のことで日本を叩くなら、カエルの絶滅の一因であるフランスやアメリカも叩いてごらん。

 ちなみに、僕がカエルを食べ(られ)ないのは、かわいそうという理由ではなく、両生類を「食事」とは見られないため。付け加えるなら、爬虫類もまだ口にしたことはないな。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-674.html

トンネルの出口は塞がれたまま:クレディット・クランチ

2009.08.09

(2009年8月8日のガーディアン)


(2009年8月9日のオブザーヴァー)

 納税者の血税のおかげで利益が出れば、すぐさまFat Cat Bonusの大盤振る舞い。それを止められない議会、政党、政治家達。何も変わっていない。


ルパート・マードックが、傘下のThe Sunday TimesThe Sunのウェブ上の記事閲覧を有料化することを宣言し、どうやらファイナンシャル・タイムズも追随するとの報道がされています。どのような動きになるか判りませんし、またすぐにということでもないようですが、イギリスの新聞社の記事で気になるものは、念のためプリント・アウトしておいたほうがいいかもしれません。

Janglishだって、立派な英語

2009.08.06
コミュニケイションへの情熱がとても熱い友人が、英語に関する面白いサイトを教えてくれた。

The speech accent archive

http://accent.gmu.edu/browse_atlas.php


 とりあえず、世界共通言語と誤解されている英語の例文を、英語を母国語としている人々、そして英語を母国語としない人たちに呼んでもらうというもの。英語圏では、どこの国のどのエリアか、非英語圏ではどの国によってどのようにアクセントや発音に違いが出るかということの調査のようだ。


(画像はネットでかき集めたもので、データの信憑性には責任を負いません)

 使われた例文は以下のとおり。

Please call Stella. Ask her to bring these things with her from the store: Six spoons of fresh snow peas, five thick slabs of blue cheese, and maybe a snack for her brother Bob. We also need a small plastic snake and a big toy frog for the kids. She can scoop these things into three red bags, and we will go meet her Wednesday at the train station.

 英語の発音、アクセントの置き方、イントネイションの違いを調べるためのものだからだろう、ほぼ無意味な文章。幾つかの例を聞いて感じたのは、非英語圏の人たちへの引っ掛けはおそらく、「thick slabs」、「a snack」、「plastic snake」あたりか。それと「snow」や「scoop」のように「s」の直後にほかの子音が続くもの、「th」が多用されているのも特にほかのヨーロッパ語圏の人たちには難しかったのではないかと思う。ドイツ語、イタリア語、スペイン語には英語の「th」の音がないはずだから、thの音に関しては日本人のほうがずっと上手だと思っている。



 ただ、サンプルになった人たちの半分は、英語を使い慣れている人たちのように思う。個人的に聞き取りが本当に難しいニュー・ジーランドからのサンプルは標準英語に近く、「実際のニュー・ジランダーの英語はこんなに聞き取りやすくないのに」、と。
 イタリアからのサンプルも、「これほどうまい英語を話せるイタリア人にはお目にかかったことないぞ」というくらい聞き取りやすかった。イタリア人やスペイン人が英語を話すときって、話し出す前にほぼ必ず「エー」とか「アー」とか「さあ、話すぞ」というような合図があってから機関銃のようにまくし立てることのほうが多いから、こちらも「話がくどくなるんだな」、と諦めがつく。



 このサイトをまず、非英語圏の友人たちに見せたところ、最初のリアクションはほぼ同じだった。たとえばエジプト人は、「僕らの英語のほうがガルフの連中よりクリアだ」というように、同じ言語圏の中で一番英語がうまいということを強調したいようだ。アラビア語圏の皆さんの英語、特に発音は、スペイン語圏のみなさんより聞きやすいという印象がある。

 英語圏の英語で、個人的に一番遠く感じるのはニュー・ジーランド。続いてアメリカンかな。暮らしているからブリティッシュ・イングリッシュが一番聞き取りやすく感じるけど、地域によっては耳をチューン・アップするのに一苦労するところも、当然ながらかなりある。グラスウェイジャンやアバドニアンは音は聞き取れても意味を理解するのはほぼ不可能。ジョーディーはまだ遭遇したことないけど、どうやらかなり特異な語彙をもっているようなので、これも理解できないと思う。
 イギリス国内では、バーミンガムで話されるBrummie accent が馬鹿にされているようだけど(http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/2467053/Birmingham-wishes-it-could-ditch-Brummie-accent.html)、話し方にリズムがあって個人的には聞き取りやすい。
 逆に、そのバーミンガム訛を痛罵するリヴァプール出身者が話すScouseのほうが聞き取りが難しい。スカウスの一例:Butが「バット」ではなくて「ブット」。
 日本人の強みは、発音記号を読めることだと思う。これは、言語体系がまったく違う言葉を理解するにはいい勉強法だと思っている。ただ、以前にも愚痴ったけど、似非英語のローマ字はなくすべきだと思うし、二重母音等は正確に表記すべきだと思う。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-835.html


http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-837.html


田圃アート、イギリスで紹介される

2009.08.05
昨日のテレグラフ、今日のガーディアンで青森の田舎館(こんな地名が有るなんて知らなかった)の田圃アートがいきなり大きく紹介された。



Farmers create coloured rice 'murals' in Japan
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/5965073/Farmers-create-coloured-rice-murals-in-Japan.html

Paddy art: farmers create colourful rice murals in Japan
http://www.telegraph.co.uk/news/picturegalleries/howaboutthat/5965421/Paddy-art-farmers-create-colourful-rice-murals-in-Japan.html

The rise of Japanese rice-field art

http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2009/aug/05/japan-rice-field-art

 ガーディアンの記事が使っているリンク先で紹介されたのは今年はじめなので、どうしてこれが今、何の脈絡もなくイギリスで紹介されたのかは、皆目見当がつかない。たまにあることだけど、どこかの海外の通信社が気づいて配信したというところだろう。
 この素晴らしい「芸術」を見て思い出されるのが、Crop Circle、またはMystery Circleの名で知られる、イギリスで話題になる畑の真ん中に突如として現れる円。







 見るだけならきれいだし、複雑な組み合わせになるほど人智を超えた何かが創り出したものという意見に思わず、「そうかもしれない」と。が、以下のガーディアンの記事を読むと、結局パフォーマンス以外のなにものでもない。クロップ・サークルを作る人々がいることは公然の事実のようだし。

The bizarre revival of crop circles - and advice on how to make your own
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/jun/05/ruralaffairs

 記事の後半でほんの少し触れられているけど、耕作地・耕作物を破壊される農家の怒りは当然だと思うし、犯罪と見られても仕方ないと思う。
 そう思うと、田圃アートは最初から色の違う種を植えることで作物も田圃も傷まないから理想的なアグリカルチャー・アートだろう。でも、刈り入れはどうするんだろう。機械で一気にというわけには行かないだろうな。仮に、アートのためだけだから実った稲穂は処分する、ということならそれは本末転倒だろう。



俺様を見ろ!:プーチン再び

2009.08.05
ちょうど2年前、2007年の8月にロシアのプーチン大統領(当時)のことを話題にした。

政治家という芸人
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-526.html

 で、今日のイギリスの新聞にでかでかと掲載されたのが、これ。


(バタフライもどきかと思ったら、本当にバタフライで泳いでいるのは立派)

Vladimir Putin: action man at play
http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/04/vladimir-putin-russia-holiday
(映像つき)

Vladimir Putin on holiday
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2009/aug/04/vladimir-putin-russia-holiday
(プーチンファンにはたまらない写真が満載)



 存在感の軽いメドヴェデェフ大統領を見限るためのパフォーマンスなのか。または、現在ロイヤル・オペラ・ハウスで夏季巡業中のマリインスキー・オペラとバレエの評判が散々なことへのてこ入れか。
 自分の孫ほどの小娘を追いかけているベルルスコーニよりは健康的に見えるけど、政治家って何をする職業なのだろうと思わずにはいられない。


What has broken?

2009.08.02
2週間ほど前、ある平日の朝。エッジウェア・ロード止まりのディストリク・ラインにベイズウォーター駅で、ぱっと見では日本人かどうかちょっとわからない若い女性二人が乗り込んできた。それぞれ重そうなスーツケイスを持っている割に、足下はなんだか誰かに踏まれでもしたら大怪我しそうなとても無防備に見えるサンダル。
 次のパディントンで降りてヒースローに行くのかなと思っていたら、耳に入ってきた彼女達の会話(日本語)からユーロスターでパリに向うことが判ってしまった。話の内容はともかく、ディストリクト・ラインはキングス・クロス/セント・パンクラスには行かないことを知っているのだろうか。いや、そもそも、セントラル・ラインとディストリクト・ラインというまったく違う路線がルートを共有していることを知っているのだろうか?
 予感的中。終点に到着した車両から他の乗客が次々と降りていく中、二人は話に夢中で周りで何が起きているかにまったく気付いていない。3路線が乗り入れているエッジウェア・ロード駅は乗換えが複雑怪奇で、旅行者にとっては鬼門の駅。このまま気付かないままウィンブルドンまで行ってしまってユーロスターに乗れないことだって有りうるだろうと思い、セント・パンクラスまで行くなら乗り換える必要があることを伝えた。二人とも、とても驚いていた。乗る路線を間違えたことに驚いたのか?自分たちが間違えたことに気付いていなかったことに驚いたのか?それとも、日本人がいたことに驚いたのだろうか。

 というような話を、ロンドン滞在中の友人と会ったときに話した。友人によると、ヒースロー空港のパスポート・コントロールで似たような経験をしたとのこと。同じ飛行機から降りてきた若い女性がいきなり、「入国するにはどうすればいいんですか?」、と尋ねてきたそうだ。イギリスは初めてなのかと思い、入国カードに必要な情報を記入したかどうかを確認した。
 その若い女性がみせたカードには、滞在場所、入国理由等必要情報が何一つ書かれていなかった。友人が迎えに来てくれているはずだけど、その友人の住所は知らず、ホテルに泊まるかどうかも決めていなくて、泊まるならロンドンに到着してからでいいと思っていたとのこと。滞在理由は観光だそうなので、「じゃ、Sightseeingと」。返ってきた言葉は、「知りませんでした、英語全く出来ないんです」。
 友人は唖然としたそうだ。同じく。イギリスはパスポート・コントロールを通過できれば、極端な話、後はなんとでもなる。が、ここで引っかかれば、日本人だろうが強制送還だって有りうる。

 海外に行くことは、隣り街に行くのと同じなのだろうか?ボーダーレスって、そういうことなのか?

 こんな感覚は、なにも日本人だけに向けているわけではない。最近、ロンドンの繁華街で道を尋ねられると、半分以上、英語を全く理解していない外国人観光客。が、僕が彼等の母国語を話せないと判ると、まるでそれは僕に非があるような態度を取る。イギリスの(一応の)公用語は何語だか判っているのだろうか?

 何かが、どこかが、誰かが壊れているような。

 今月中に書きたいなと思っている「Broken Britain」の序として。

BGM
eastern youth:青すぎる空
MONGOL800:矛盾の上に咲く花
ソウル・フラワー・モノノケ・サミット:聞け万国の労働者

ロイヤル・オペラのライヴ中継:セヴィリャの理髪師

2009.08.02

(このあとから開演直前まで冷たい雨が降り続いた。本当に寒かった)

さった7月15日に、ロンドンのトラファルガー広場をはじめイギリス各地(北アイルランドはなかった)で、その夜にコヴェント・ガーデンで上演された「セヴィリャの理髪師」の舞台がライヴ中継された。今シーズンは3回で、この回が最後。
 このライヴ中継のスポンサーは、BP。2007年、BPを揺るがしたスキャンダル(http://www.guardian.co.uk/business/2007/may/02/media.pressandpublishing)や、クレディット・クランチの影響でどうなるかと思っていたけど、どうやら継続されそうな雰囲気でちょっと安心。
 ライヴ中継を観たのは今回がはじめて。ディドナートの骨折や、フローレスの完璧な歌唱等々、全国紙でも大きく報道されていたプロダクションだったし、ライヴ中継がどのようなものかも知りたかったし。

 簡単に書いてしまえば、今のイギリスにあるまじき、とてもきちんとオーガナイズされたイヴェントだった。ウィンブルドンが終了すると同時に天候が不安定になっていたことも有るのだろうけど、簡易ポンチョ、クッションが無料で配られていた。また、ロイヤル・オペラ・ハウスにとっては、こういった機会を大いに活用することによって、コヴェント・ガーデンを訪れる観客数の増加・安定を視野に入れているのだろう、手抜きなし。無料のパンフレットは記念に長く保存しておきたくなるほどしっかりしたものだった。


How British!

 夕餉の食材を買ってから駆けつけた、午後6時過ぎのトラファルガー広場は、特にスクリーンの前面のエリアは既に6割強が埋まっていた。北のほうから濃い灰色の雲が流れてきていたので、降るだろうなと思ったら降り出した。こんな冷たい雨を我慢してまで観る価値は有るのかと逡巡していたけど、音楽監督のアントニオ・パッパーノが舞台挨拶に出てきた頃には止みはじめ、彼が指揮台に立ち序曲が始まり、そしてカーテンが上がる頃にはすっかりやんだ。肌寒さはなんともしがたかったが、うきうきするような舞台が始まれば、スクリーンに映し出される歌手の演技、表情、そして勿論歌唱に集中。

 余計な写真を撮りすぎてしまい、第1幕途中までですが、こちらに写真。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157621750021882/

 他の国の著名なオペラ・ハウスがこのようなことをやっているのかどうかは寡聞にして知らない。ロイヤル・オペラ・ハウスの総支配人、トニー・ホール氏は機会があるたびに、「オペラやバレエは限られた人だけの芸術ではない」、と言い続けている。このような多くの人に均等に開かれた素晴らしい機会、長く続いて欲しい。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1047.html

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1049.html

Template by まるぼろらいと

Copyright ©LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン All Rights Reserved.