LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2009年12月の記事一覧

コーンウォールの海と陸その3:食事

2009.12.29
スカーレットの食事が美味しすぎて、他で食べる気がまったく起きませんでした。というのは誇張しすぎですが、せっかくコーンウォールに行ったのに、フィッシュ・アンド・チップスも、コーニッシュ・クリーム(コーンウォール産のクロテッド・クリーム)を食べなければここまで来た意味がない、と一瞬たりとも思わなかったほどスカーレットが供する食事の質は高かったです。

 ホテルが開業時に出したプレス・リリースによると、厨房を指揮するのは、Ben Tunnicliffe氏(http://www.scarlethotel.co.uk/food_chef.asp)。ダイニングを任されていた女性マネイジャーから聞いた話によると、以前はペンザンスで彼自身のビストロを開いていて何か著名なレストラン・ガイドブックで紹介されたこともあるとか。それが眉唾ではないと確信させらるほど、朝ごはんも、ランチも、そしてディナーも腹いっぱい堪能しました。

 あれこれ書くより、ある日のランチ・メニューから。

スターター
Wild mushroom risotto, or Breast of Duck, celeriac and apple puree, roasted beetroot, or Fish soup, fillet of Haddock, oruille and cherivl

メイン
Fillet of Ling, chorizo, chick peas, tomatoes and parsley, or Braised shoulder of Lamb, red cabbage, creamed potato, or Cannelloni of Squash, spinach, parmesan veloute

デザート
Dark chocolate mousse, white chocolate soubisse, or Croissant and Pain au chocolate butter pudding, cinnamon & Marshmallow ice cream, or Baked Cheesecake, banoffee cream


 2コースなら£16-、3コースなら£19.50-と値段はとてもリーズナブル。前菜とメインだけで十分な量です。フィッシュ・アンド・チップスを食べなかった代わりに、ホテルともう一軒行ったレストラン(後述)では魚ばかりを食べました。地産地消を謳っているだけあって、白身も赤身も新鮮ぷりぷりの肉厚。イギリスで魚を味わいたいのであれば、ロンドンを離れなければということを実感しました。

 ダイニングで、ワインがお好きな方が興味を惹かれるであろうことは、ワインのセレクションがヨーロッパ産のものだけだった点。ワインのセレクションは女性マネイジャーに任されているとのことで、彼女に理由を尋ねてみました。「どこに行っても新世界のワインが氾濫しているのだから、私たちがそれをまねする必要があるとは思いませんでした。もちろん良いワインであれば、カリフォルニアやオーストラリアのものをそろえます。でも、近くにももっと良いワインはあるし、それをお客様に体験して欲しいから」、とのこと。

 「イギリス人って、やっぱり変」、と思ったのはある日の朝食。メニューにあったのは、キッパー、Kidney on toast、そしてフル・イングリッシュ・ブレックファスト。「誰が朝っぱらから腎臓なんて食べるんだよ?」、と思っていました。ところが現実は、ダイニングにいた男性客のほぼ全員がKidney on toastを迷わず注文、嬉しそうに食べていました。ダイニング、とても広くて天井も高いんですが、腎臓の匂いが充満しました。イギリス食文化、まだまだ理解できていません。

 ひと晩だけ、セレブ・シェフの一人、ジェイミー・オリヴァーが隣村に2006年に開いたイタリアン・レストラン、Fifteen Cornwallhttp://www.fifteencornwall.co.uk)に。レストランでもらったパンフレットによると、2002年に放映されたある番組に触発されたもの。番組内でオリヴァーが目指したのは、機会に恵まれない若者にレストランの厨房で働く道を開くというもの。その精神に異を唱えるつもりはないのですが、なんとも変な経験でした。
 調べないで行った自分が悪いんでしょうけど、メニューを開いて一瞬、目を疑いました。メニューはテイスティング・メニューだけ。スターター、サラダ、ファースト、セカンド、デザートそしてコーヒー。もちろんチョイスはあるものの、お一人様£55-。さらに、それぞれの料理にマッチするワインをグラスごとに飲みたいのであれば、追加£40-。思わず、「値段設定、ミスプリント?」かと。その夜は、僕を含めて客は17人。仮に、僕以外の客が£100-を払ったとして、合計£1,650-。
 オープン・キッチンで働くシェフは9人。レセプションの女性、ソムリエ、バー・マン、そしてサーヴする女性が3人。とても採算が合うとは思えませんでした。朝、昼、アフタヌーン・ティー、そして夜と開いているようですし、ハイ・シーズンともなればオリヴァー人気で活気があるのだとは思うのですが、料理を楽しめる気分にはなれませんでした。味については、最初のネガティヴな印象をねじ伏せて感涙にむせぶ、ということありませんでした。

 長々と書ける気力がなさそうなので、簡単に。エデン・プロジェクト、大変面白かったです。廃坑跡地という、いわばゼロから(http://www.edenproject.com/organisational-information/our-history/index.php)この壮大な植物園を実現させたTim Smit氏の計り知れない情熱には圧倒されると同時に、無条件の敬意を表します。それと、カフェで食べた野菜スープ、大変美味しかったことを最後に。



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コーンウォールの海と陸その2:スカーレット・ホテル

2009.12.28
今回泊まったのは、9月にオープンしたばかりのThe Scarlethttp://www.scarlethotel.co.uk/)。華麗な名前とは裏腹に、建っているのは崖の中腹というおよそロマンティックな場所ではないですが、とても良いホテルでした。


(エントランス)

 前述のカーディナムで熱くコーンウォールを語ってくれた女性によると、スカーレットの経営者・所有者は、コーンウォールのホテル業界では知らない人は誰もいないというほど有名なBroom三姉妹。お会いしてみたかったのですが、それは実現せず。ウェブをごらんいただければ判るように、中心コンセプトは「エコ」。日本人の感覚からすると「どこがエコ?」、という点も幾つかありましたが、これまでイギリス国内で泊まってきたホテルやB&Bとは一線を画するコンセプトは実に新鮮でした。

 僕が泊まった部屋は、一番小さな部屋でしたが、ロンドンのウサギ小屋のような狭いホテルとは比べ物にならないほどたっぷりした空間。


(海が目の前に)

部屋は、一言で表現するとオープン・プランという感じでメイン・エリアにはベッドとバスタブ。もちろん、バスタブとベッドは仕切りで区切られていますが、違和感はまったく感じませんでした。バルコニーに通じる窓からベッド・エリアはフローリング。エアコンはなくて、床暖房。これが本当に快適でした。ありていに言えば、掃除のおばさんたちには、フローリングの床をどう掃除するべきかをもっと真剣に学んで欲しいところですが、足の裏からじんわり伝わってくる暖かさは大変心地よかったです。
 部屋の中で画期的だったのはミニ・バー、そして紅茶を淹れる道具の双方がないこと。ミニ・バーについては、「滅多に使われないものを置くことほど無駄なことはないと考えました」と説明書にすっきりと書いてありました。これに限らずですが、「無駄は省く。省いた無駄に替わる以上のものをゲストに提供する」というのがホテルの言う「エコ」という印象を持ちました。だからといって、あれしちゃいけない、これしちゃいけないのではという押し付け感を感じることはありませんでした。
 紅茶を淹れる道具がないのも、ある意味、「無駄を省く」ということに通じているのではないかと感じます。掃除のたびにポットを洗い、カップを洗うのというのは手間でしょう。厨房でまとめて洗うほうがずっと効率もいいはず。紅茶を自室で淹れられない代わりに、毎日2回までの紅茶のオーダーは課金しません、というシステム。このオーダー、自室だけでなく、ホテルの別の場所、たとえば図書室やラウンジでオーダーしても同じこと。これは、実質紅茶やコーヒーに関しては一切払う必要はありませんでした。
 頼んでおいた、朝7時半の紅茶(ちなみにホテルで出される紅茶は、トレゴスナンhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1124.html)。ダイニングでの朝食時の紅茶(もしくはコーヒー)はカウントされません。外出から戻って、たとえば海を眺めながらラウンジでのクリーム・ティーは、自家製クッキー(絶品)やスコーンは課金されるけどお茶はその日の2回目だからチャージされない。たっぷりのポットは、軽く4杯は飲めるほど。これだけでも、Value for moneyと強く感じました。
 もうひとつ無駄を省くという点では、室内の洗面エリアにある石鹸。「オーガニック石鹸です。お客様が替わる度に捨てるということは私たちが望むことではないので、気に入っていただけたらこの袋でお持ち帰りください」、と。もちろん、もって帰りましたとも。


(ホテル側のちょっとしたしゃれかな)

 非日常、もしくは「日常からの脱出」という点で優れているのは、ホテル内にワイヤレスは設置されていないということ。ゲストが希望すれば、自室内でADSLに接続するためのケイブルは貸し出されますが、ホテル内のパブッリク・スペイスでこれ見よがしにラップ・トップを抱えている姿を目にすることはありません。そして、これはホテル側の責任ではないですが、ホテル内では携帯電話が使えない。どういうことかというと、ホテルが建っている崖の中腹という場所のために、携帯電話のシグナルが入らない。これは画期的。現実逃避、もしくはのんびりするために来たホテルで、ほかの人が大声で携帯電話にがなりたてている姿を見ることをなかば強制される状況ほど嫌なことはないはず。携帯電話を使いたければ、手っ取り早い方法は崖の頂上に行けばいいだけ。

 ただ、このホテル、宿泊客を選びます。階級という意味ではなく、「大人専用」。子供を受け入れる施設はまったくないと明言しています。ただし、スカーレットの上に建つ姉妹ホテルのBedruthanhttp://www.bedruthan.com/)は家族向けになっていて、子供専任のスタッフがいるそうなので、家族客にはそちらを勧めているそうです。
 さらに、「大人向け」ということは、メインのターゲットは「カップル」。僕がこのホテルに泊まることを話したアラフォーの英人の友達(シングル、女性)が、興味を惹かれて僕が行く2週間ほど前に滞在。「食事時は、ちょっとつらいものがあったわね。でも、本当にいいホテルだと思う。また、絶対に行くわ」、とのことでした。僕が滞在したときも、ゲストの大半はカップルのようでしたが、年齢層はばらばら。また、女性同士4,5人のグループや家族で訪れているというグループも見かけました。

 最も重要、且つこの新しいホテルの魅力を倍増させているのが、働いている皆さん。厨房、レセプション、そして客室サーヴィス(スパの要員は別カウントのようでした)を含めて総勢60人強のティーム。最貧のコーンウォールの小さな村でこれだけの雇用を作り出せるのは特筆すべき点ではないかと思います。
 仲良くなった客室サーヴィスの女性によると、どの担当でも4日働いて4日休むというのが基本で、その4日間の総労働時間は52時間とのこと。僕はホテル業界に関してはまったく知識を持ち合わせていないのでこれが普通なのかどうか判断できませんが、ハードだなと思います。にもかかわらず、彼らから笑顔をが絶えることはありませんでした。ひとつ気になった、というか改善すべきではないかと感じたのは、レストランで給仕する皆さんすべてが、料理を運んでくるたびに「この料理はどなたですか?」、と尋ねること。これは、プロフェッショナルではないような印象を持ちました。

 旅行代理店に勤める知人いわく、「コーンウォールにあるまじき値段設定」なのは同意します。また、スカーレット同様、もしくはそれ以上のサーヴィスを提供するホテルはイギリス国内、また日本や世界各国にあることでしょう。日本からこのホテルに泊まるためだけにイギリスに、とは勧めないです。でも、他とは違った「イギリスらしさ」を体験してみたいという方には、お勧めのホテルです。


(レセプション・エリアからの眺め)

コーンウォールの海と陸:その1

2009.12.27
11月下旬に、イギリスの最西端にあるコーンウォールの小さな村に滞在してきました。まずは、旅行ガイド風にコーンウォール全般についての印象を。

コーンウォールとウェスト・カウントリィ
イギリスの地理について詳しい方は聞いたことがあると思いますが、サマセット、ドーセット、デヴォン、そしてコーンウォールのイングランド南西部の4県の総称は、West Country


(普通、ウィルトシャーとグロウスターシャーは入らないはずなんですが、判りやすい地図はこれだけだったので)

僕はこのうち、グラストンベリー在住の友人がいるのでサマセットには何回か行ったことがありますが、デヴォンとドーセットは未踏です。この2県は、変化に富んだ素晴らしい海岸線で有名です。特にドーセットは化石がたくさん発掘されているためにイギリスの「ジュラシック・コースト」として盛んに宣伝されています。
 サマセットでは、数年前に行った、同県北部にあるマインヘッドが紅茶がお好きな方には面白い地域だと思います。イングランド南部地域の水は、日本と違って「硬水」。ところが、マインヘッド周辺だけは、産出されるのが「軟水」で、この水で淹れる紅茶の味がちょっと違うんです。

 コーンウォール。10年以上も前にシリー諸島に行ったとき(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-702.html)に、ペンザンスに一泊しただけ。以来ずっと、いつかはコーンウォールのほかの場所に行ってみたいと念じていました。で、ひょんなところから瓢箪からこま状態で、サーフィンで有名なニューキィからちょっと先にあるMawgan Porth(モーガン・ポース)にある、新しいホテルに泊まれることになり、10数年ぶりに行ってきました。
 今回、ロンドンから飛行機でニューキィまで行った(後述)のですが、飛行機がニューキィ空港に近づくにつれ眼に飛び込んできた地上の風景は、まったく予想していなかったものでした。あちらこちらに、今では使われていないことは明らかな鉱山現場が点在していました。イギリスの鉱山現場というと、どうしてもイングランド北部やウェイルズだけだと思い込んでいましたが、ホテルについて改めて読んだガイドブックによると、コーンウォールはかつて錫と銅の産出で栄えていたそうです。
 土曜日の朝のローカル新聞で見つけたCardinham(カーディナム)という小さな村で催された村のクリスマス・マーケットに行ったときに、面白い話を聞きました。教会内のマーケットでいくつかがらくたを購入した後、ヴィレッジ・ホールでランチを食べました。コーンウォールの小さな村でたった一人の「外人」ということで目立ったからでしょう、食べ始めるなり、二人の女性が隣に。一人は、マーケットの開催スピーチをしたBBCコーンウォールの女性キャスター(前夜ニュースで見た顔と同じだったのでびっくり)。もう一人は、そのキャスターのお母上。
 最初は、キャスターの方からどこに泊まっているのとか、どうしてこの村のマーケットに来たのなどの質問に答えていました。で、話が俄然面白くなったのは、お母さんの演説が始まってから。
 冒頭、「コーンウォールはUKで最も貧しい県よ」というつかみにがっちり引っかかりました。鉱山が廃止になるまでは、ガイドブックも書いていたように、かなり繁栄していたそうです。ところが、鉱山業が廃れた後に、それの受け皿として機能する産業が大きくなっていない。また、コーンウォールで成功している人々や施設は、コーンウォール出身ではなく、いつも外部の人間である。パドストゥを自身のシーフード・レストラン帝国で有名にしたリック・スタインhttp://www.rickstein.com)、エデン・プロジェクトhttp://www.edenproject.com/)を実現させたTim Smitという、多くの人を「今」のコーンウォールに惹き付ける、コーンウォールでもっとも著名な二人はいわばコーンウォール出身でないという意味で「外人」。そういう排他性、もしくは出身者の覇気のなさがコーンウォールの未来を暗くしているのよ、と熱く語ってくれました。
 一人の旅行者として思うのは、コーンウォールは観て回るには時間がかかりすぎるのではないか、ということ。県内には、ペンザンスランズ・エンド(ぼったくりですからお勧めしません)、ニューキィ、テイト美術館があるセント・アイヴズトゥルロ等々それなりに魅力ある町や村はあるのですが、一気にみて回るにはとても不便。国のはずれですから鉄道網は利便性にかけるし、車の移動も地図で見るよりずっと時間がかかると思います。というのも、コーンウォールの田舎道って、慣れていないと車の運転は結構大変に思えるんです。
 イギリスを代表する観光地、たとえばコッツウォルズや湖水地方などは、観光客が見てまわりたいと思う場所がコンパクトにまとまっている、もしくは順序がすっきり整備されていて無駄がない。ところが、コーンウォールは、車で行かないと観光スポットと観光スポットの間の移動に時間がかかりすぎる。そのような点が観光産業の枷になっているのではないかと、今回行ってみて感じました。
 
モーガン・ポース
なんのかんの言いつつ、大当たりだったのが滞在したモーガン・ポース。何にもない、崖に挟まれた小さな海岸の小さな村。その海と陸と空に、魅了されました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1126.html

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157622838627087/

 ホテルの部屋から眺める海の色彩の変化に飽きることはありませんでした。夕暮れから夜は、暮れなずむ空の色が、眺めている間に海との境界線と交わり溶けていく。気がつけば、空と海の境は群青色のかなたに。
 朝は、漆黒の空に、刷毛で薄い青を描くようにひといろ、ひといろと色が加わり、空に明るさと色が増えるにつれて海との境界線がかすかに、そしてしっかりと浮かび上がってくる。目の前にあった黒い壁が、いつの間にか3次元の奥行きを持ってずっと昔から変わらずに目の前にあったような安堵感。戻ってからある友人にこの感想を伝えると、「フランス語のクレプスキュールという単語がそんな意味だったはずだよ」、とのこと。
 さらに、パリ在住の友人に尋ねたところ、

crépsculeとは、夜がやってくる時間のことで、日が沈み始める時間です。
パリでいえば、今だと17時頃。その時間帯は、すでに日中ではなく、そしてまた、
まだ夜でもありません。一日のうちに、夜明け>午前>午後>crépscule>夜 
となります。

例として、一日の長さをいうとき、"de l'aube au crépscule"「夜明けから日暮れ
(crépscule)まで」。また、人が年老いた時期や、死が近づいている時期のことを 
"crépscule de la vie"(人生の黄昏)と表現します。

日常生活ではあまり使いませんが、この単語は詩の中で使われます。


これを読んで、「一生原語では読めないだろうけど、マラルメのあの有名な詩はこんな海のことを詠んでいるのかな」、などと。それと、若いころ、新星堂が販売していたベルギー発のちょっと変わったレコード・レイベルの名前がクレプスキュール。まさかこんなところで再会するとは思っていませんでした。天気によってこの海と陸と空の色の変化が毎朝、毎夕違っているのでひと月いても飽きなかったかもしれません。
 滞在した週末は、死者が出るほどの大嵐に見舞われたので、特に早朝の崖の散歩はちょっと怖かったですが、ウォーキングがお好きな方もかなり楽しめる地域だと思いました。唯一天気がよかった月曜日の夕方、強風が吹きすさぶ崖の上の草むらに立ち尽くして大西洋を眺めていたら、何とはなしに、若き日のアダム・ダルグリッシュ(イギリス本格推理小説ファンにしかわからない名前)が犯人と対峙していてもおかしくないかな、と。これが夏で、反対側の海岸だったら、クリスティの「白昼の悪魔」です。

行き方
ニューキィにはロンドンから鉄道でもいけますが、今回は、飛行機で。ロンドンは、シティ空港を利用しました。ロンドン・シティ・エアポートへは、今ではドックランド・ライト・レイルウェイが直行しています。アクセスは思っていた以上に簡単でした。それにしてもジュビリー・ラインのカニング・タウン駅からシティ空港までの風景の新鮮なこと。朝焼けの下に広がるこの見たことのない風景が、10年暮らしてきたロンドンの一部なんて。ドックランド・ライト・レイルウェイ、侮れません。
 利用したのは、エア・サウスウェストhttp://www.airsouthwest.com/?from=home)。



僕が乗ったのは、ロンドン・シティ発、プリマス経由、ニューキィでしたが、ニューキィの後にはアイルランドのダブリンまで飛ぶ国際線。でも、プロペラ機。ロンドンに戻るとき、プリマス空港着陸時には、嵐が絶好調だったので、かなり冷や汗ものでした。ところが、シティ空港着陸時にはロンドンは雲ひとつない晴れの夜。機長がサーヴィスしてくれたのか、時間つぶしだったのかはわかりませんが、手を伸ばしたら届きそうな至近距離からの、ネオンに輝くロンドン・アイやカナリー・ワーフの高層ビル群の上を10分以上も旋回。その眺めはとても非現実・超現実でした。機会があったら、ぜひ。
 ということで、ニューキィ空港は、田舎のプレハブ空港とはいえ、立派な国際空港。



何故だか判りませんが、週一便、ルフトハンザによるデュッセルドルフ便があり、冬季限定スキー客見込みでしょう、グルノーブル便もあります。ちなみに、ニューキィ空港から飛行機を利用するときには、Airport Development Fee(ADF)なる料金が課されます。これは、チェック・イン前に払っておかなければなりません。

ちょっとした情報

コーンウォールに限らずですが、イギリスの田舎の、特に農業・放牧地帯を走る道路では耕運機やトラクターに出くわすことが多々あります。運がよければ、500メートルくらいで脇の農道に入っていくこともあれば、運悪く延々数キロもトラクターの後ろをゆっくりと走らなければならないこともあります。そんなとき、中央車線がシングルであれば、対向車がなければ追い越し出来ます。しかしながら、中央車線がダブル(二本線)のときは、対向車が見えなくても、追い越し厳禁ですのでご注意のほど。
 地元発行のローカル新聞のイヴェント情報から、時折面白い情報を得ることが出来ます。思いつきで行った土地で、やることがないけど何か体験してみたいというときは、ローカル新聞を読んでみるのもいいと思います。

草食男子、イギリスで紹介される

2009.12.27
いつかは、インディペンデントかガーディアンあたりが報道すると思っていたけど、今日のThe Observer紙の東京発のニュースで「草食男子」のことが紹介されていた。

Japan's 'grass eaters' turn their backs on macho ways

http://www.guardian.co.uk/world/2009/dec/27/japan-grass-eaters-salaryman-macho

As the twee cafes and boutiques in this quiet corner of Tokyo's Marunouchi business district fill with groups of "office ladies", it is easy to see how out of place Yuki Sakurai would look in the company of the blue-suited salarymen grabbing a quick noodle lunch beneath the nearby railway tracks.

For one thing, the 28-year-old business consultant is impeccably turned out, from his perfectly knotted striped tie to his scuff-free brown leather shoes, bought after a champagne breakfast with some female friends.

He is patience personified when passers-by do a double take while he poses for the Observer's photographer. When I ask him when he decided to become an unrepentant "grass eater", he doesn't flinch. It is not an unkind reference to his diet. Sakurai is a proud member of a new tribe of Japanese men who have eschewed traditional notions of masculinity and adopted a gentler, more "feminine" persona.

He is a soshokukei danshi – herbivorous boy – a term coined two years ago by the commentator Maki Fukasawa to describe the proliferation of men who, in appearance and attitude, bear little resemblance to the two dominant Japanese male groups of the past century: soldiers and their peacetime offspring, corporate warriors.

The typical herbivore cares, sometimes a little too much, about his appearance, eats sparingly, prefers afternoon tea with female friends to an evening spent drinking and shows little interest in the obsession that consumes so many of his peers: sex.

Sometimes referred to as ojo-men (ladylike men), they are mounting a counter-attack against the baby-boomer generation, whose lives revolved around company, colleagues and, a distant third, their wives and children.

Some dismiss the genre as the product of inventive marketing for male cosmetics, skin-tight fashions and, at the most militant end of the spectrum, male bras, minus the lacy frills.

But Megumi Ushikubo, author of The Herbivorous Ladylike Men Are Changing Japan, says men such as Sakurai are the vanguard in a quiet social revolution. Ushikubo, president of a market research firm, reckons that as many as 60% of Japanese men aged between 20 and 34 display at least some herbivorous tendencies.

"They don't have the material aspirations of previous generations," says Ushikubo, whose interest in the phenomenon was piqued by calls from companies unable to sell fast cars or alcohol to young men. "They have no appetite for food or sex. You ask them what they want out of life and they say, 'Nothing much'."

Rather than bond over beer, the average herbivore invests his time and money in activities once regarded as the preserve of young women: shopping trips, dining out, personal grooming and cultural pursuits.

The herbivores have no personal experience of the bubble years of the 1980s. Instead, Sakurai's generation reached adulthood as the economic edifice started to crumble, and unemployment and contract work replaced jobs for life and twice-yearly bonuses.

"Young men went through a crisis of confidence towards the end of the 1990s," Ushikubo says. "The economy isn't performing well, so they don't see the point of working too hard, because they think things will never improve."

Less amenable to sociological analysis is the herbivores' ability to suppress their carnal instincts. Sakurai, who says he has been single for several years, puts it down to an overdeveloped fear of rejection and commitment.

"I have lots of female friends I'm attracted to," he says. "But you weigh up the risks and benefits and come to the conclusion that things are best left as they are. I'm lucky to work in an industry where there's no stigma attached to being single and no pressure to get involved with someone."

The rise of the herbivorous man has met with mixed reactions. Traditionalist employers complain that they lack the work ethic of older generations, while commentators blame their sexual abstinence and relative thrift for the low birthrate and the weak economy.

Some women, too, say they prefer their men rougher around the edges. A popular revival in interest in Japanese history has made unlikely pin-ups of feudal warlords from the distant past.

Sakurai doesn't take the criticisms seriously. "It's too bad about the birthrate, but that's also a sign that the women are enjoying more freedom than before. It's as if social stigmas attached to both sexes have been lifted."

The herbivores' appearance in the Japanese social firmament is not without its benefits. "They really care about their families," says Ushikubo. "They don't believe that the state will be able to do its bit for their parents or themselves after they retire."

As he approaches his 30s, Sakurai reluctantly accepts that his grass-eating days may be nearing an end. "My younger brother just got married, and I can't see myself being single in my 40s," he says. "But I'm in my comfort zone right now. Why would I want to change that?"



 僕自身は、この話題についてはまったく知識がありませんので、質問がある方はマッカリーさんに送りましょう。喜ぶと思いますよ。

Mawgan Porthの海

2009.12.10
本文をいつ書けるか判らないけど、写真の評判がすこぶるいいのでブログにも。

 滞在したのは、中部コーンウォールの北側にあるMawgan Porthというところ。



 何もないところだけど、海は本当にきれいでした。



 この朝は、海から猛烈な風が吹き荒れていて、カメラをしっかりと持ったつもりだったけど、結果として手がぶれていました。でも、このぼけた感じがいいといってくれる心優しい友人が数人。



 コーンウォールに行く前夜、バービカンで見た「崖の上のポニョ」の影響からか、この光がポニョのお母さんに見えなくもないかな、と。



 リトアニア人の友人いわく、「これ、ヴァレンタインのカードにしたら絶対に売れるはずよ」。褒められると嬉しいし、この写真は自分でも今回の中で最高の一枚と思っている。

サークル・ラインが環状から「螺旋」に

2009.12.09
今週末の日曜日、2009年12月13日サークル・ラインは「環状線」でなくなり、「螺旋」状のルートを走ることになる。ロンドンで暮らす、働く人々にとっては結構な一大事だと思うのだけど、いつものごとく、まったく周知徹底されていない気がする。

http://www.tfl.gov.uk/gettingaround/13280.aspx

 ルート変更といっても、まったく新しい路線が作られたわけではなく、既存のハマースミス&シティ・ラインのハマースミス駅を起点にして螺旋状のルートを走るというもの。

Clockwise
Trains will go from Hammersmith to Edgware Road then right round the Circle back to Edgware Road, where they'll terminate.

Anti-clockwise
Trains will start at Edgware Road, complete the full circle and then carry on to Hammersmith.

spiral line
 
 問題は、この変更によって生じる乗り換え。しかも乗換駅が「あの」、エッジウェア・ロード駅(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1062.html)。



 ロンドン交通局の説明では、こうなっている。

Between Hammersmith and Royal Oak

* More frequent services, with trains every five minutes
* Travel direct to Aldgate, Tower Hill and further round

Travelling via Edgware Road

* Eastbound trains from High Street Kensington will terminate at Edgware Road and you'll have to change
* Westbound trains will run to Hammersmith so you'll have to change at Edgware Road to travel towards High Street Kensington or further round


Travelling to or from Paddington

All trains via King's Cross St. Pancras will run from the Hammersmith & City line station - with a more frequent service.

 たとえば、これまでノッティング・ヒル・ゲイト駅やハイ・ストリート・ケンジントン駅からセントラル・ラインに乗りキングス・クロスに行くときは乗換えなんてほとんどない(突然行き先変更になってしまうと乗り換えなければだけど)。これだけでも厄介なのに、その逆は多くの利用者にとって受け入れがたい苦痛になるような気がしてならない。たとえばベイカー・ストリート駅からノッティング・ヒル・ゲイト駅に行くには、絶対にエッジウェア・ロード駅で乗り換えなければならなくなる。さもないと、ハマースミスに行ってしまう。
 サークル・ラインは環状のままと思っていると、いつまでたっても目的地に着かない、そんなことが多発しそうな気がする。しかもこの大きな変更を、もっとも多忙な時期である12月中旬にやる無謀。

 遅延、運休が頻発するサークル・ラインにあって、唯一の存在意義は「環状線」であること。その意義を失ってまで「サークル」と主張するのは愚かだと思う。

 年末・年始にロンドンに来られる皆さん、くれぐれもエッジウェア・ロード駅で迷子になりませんように。

[追記:12月25日]
 22日のイヴニング・スタンダードに以下の記事が掲載された。



Edgware Road: The interchange from hell
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23787172-edgware-road-the-interchange-from-hell.do

 今回の改悪を、政治的、経済的に分析している記事、ではなくあくまで利用者の心の叫び、そして諦めを書いてあるもの。大晦日にロンドンで過ごされる方へ。くれぐれも、エッジウェア・ロード駅の罠に嵌って一晩を駅で明かすことになんてなりませんように。

純正英国産紅茶:Tregothnan

2009.12.03
死者が出るほどの大嵐に見舞われた先週末のコーンウォール。小さな村の真新しいホテルで出されたのが、Tregothnanというこれまで聞いたこともないブランドのお茶。

http://www.tregothnan.co.uk/japan/p_565/



 ウェブをざっと読んで得た知識は、イギリス国内で生産される純正イングリッシュ・ティーらしいということ。ウェルカム・ティーはリーフで出された。リーフのままだとまったく香りがしなかったけど、ポットに入れたとたん立ち上る香りはかすかながらも甘いもの。ホテルが、大振りなティー・マグを出してきてくれたので、たっぷりミルクを注ぎ、紅茶もなみなみと注ぐ。
 一口飲んだ感想は、良い悪いではなく、「美味しい」。

 ネットで検索してみたら、紅茶好きには結構知られているよう。それにしても、エコ・バッグの値段、高すぎないか?



 荷物が重くなったので購入したけど、それほど良いつくりには思えなかった。デザインはいいけど、なんだかすぐに剥げ落ちそうな感じがする。


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