LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2010年04月の記事一覧

インタヴュー with the Yoshida Miyako

2010.04.28
僕が吉田都さんにインタヴューしたのではなく(したかったですけど)、26日(ロイヤル・オペラ・ハウス)と27日(ジャパン・ソサエティ)に催された吉田都さんのトーク・イヴェントに行ってきました。司会は、両日ともロイヤル・バレエのアドミニストレイティヴ・ディレクターのKevin O'Hare(以下、ケヴィン)。27日は、主催が主催だから日本語だろうと期待していたのですが、会場に設置されていたスクリーンに映し出されていたものが26日とまったく同じ、且つケヴィンが出てきたところで予想したように英語で、内容もほぼ同じものでした。ただ、27日は、ロイヤル・オペラ・ハウスで見かけるバレエ・ファンはほとんどいなかったと思います。
 たった数日前にもかかわらず、すでに記憶が薄れているので、なるべく時系列を心がけつつ、箇条書き程度に。両日とも、吉田さんは5センチはあろうかというピン・ヒールでご登場。本当に細い体でしたけど、端正なたたずまいでした。

*吉田さんがバレエを始めたのは、本人いわく、ちょっと遅かった。

*そのころの日本では、バレエというとボリショイだったので、ロイヤル・バレエは観たことが無かった。

*ローザンヌで奨学金を獲得してバレエ学校を選ぶときに、ロイヤルを進めてくれたのは所属していたバレエ団(松山バレエ団?)。

*ロイヤルのバレエ学校に参加する直前の夏、モナコでサマー・スクールに参加。そのあと、9月にロンドンに移ったので、英語もよく話せないし、天気も悪くて気分が落ち込んだ。

*吉田さんが編入された最終学年の同級生であったケヴィンによると、「都のテクニックはすごかった。僕たちの誰もがやったことも無いことをやってのけたんだ」。ここで、吉田さんの技術が如何に素晴らしいかの例として、オディールの32回転のフェッテの映像。吉田さんの「白鳥」は2回しか観たことありません。そのときにも思ったことですが、回転している間に吉田さん独自の腕の動きがあって見ごたえはあるし、軸が本当にほぼまったくぶれないのは世界でもほんの数人だと思います。それとロイヤルは、かなりの映像をアーカイヴに溜め込んでいます。

*今回の「シンデレラ」、また昨年末の「ナットクラッカー」で一緒に踊ったマックレイは素晴らしいパートナー。吉田さんの体調のことをよく理解してくれているので、安心して踊れる。以前は、どのパートナーと踊ることも気にならなかったけど、ここ数年は自分からパートナーを選ぶようにしていた。というのも、吉田さんの踊りや体調を理解していないパートナーと踊るのはリスクが大きいから。

*マックレイが、吉田さんが舞台の袖で自分の出番を待ちながらどうリラックスしているかをまねている話に続けて、「今はしていないけど、数年前までは、メイキャップも終わり、しっかりチュチュを着ているにもかかわらず、本番直前に舞台袖で眠っていたわ」、とのこと。これはケヴィンもうなずいていたので、有名な話のようです。

*スクールが終わったら、日本に戻るものだと思っていた。でも、日本ではダンスでは暮らしていけないことはわかっていた。だから、サドラーズ・ウェルズ・バレエ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ)に参加できると判ったときは嬉しかったし、同時に東洋人にヴィザが出るとは思っていなかったので驚きもした。

*入団してすぐに最初の大きな怪我に見舞われたりと大変なこともあったけど、サー・ピーター・ライトが吉田さんをいろいろな役に就けてくれたのでとても充実していた。

*ケヴィンに、「(BRBでプリンシパルになる前に)数年間、コールドだったことはどう思う?」、と振られて「コールとして踊っていられたのはよかった。プリンシパル・ロールを踊っていても、舞台のどこでコールのダンサーたちがどう踊り、演技しているのがわかるから」。確か27日だけだったと思いますが、ケヴィンが「カルロス(・アコスタ)はコールで踊った経験がないんだよね。彼は若いころにすぐにプリンシパルになったから」似続けて、「私はコールにいることは有意義なことだと思います」、と吉田さん。

*ビントレー(新国立バレエの役職にもついているはず)の新作バレエは、自分には難しかった。(技術的にというわけではなく)自分を前面に出す(確かexposeといったような)のがどうにも難しかった。

*どのような機会でだったのかは思い出せませんが、26日、日本におけるバレエの捉えられ方についてを話していたときに、ケヴィンいわく「都が日本に初めて団員として戻るとき、日本側(誰だか明言せず)は都に踊って欲しくなかったようだったね。バレエは西洋のものだから何とか。それが、今では依頼がたくさん来るんだから。それだけ都が偉大ということだろう」。

*ロイヤルに移籍することになったのは、ライト卿がBRBを離れることもあったし、自分としても変化が必要なときと感じていた。アメリカに行こうとも考えていたときに、ライト卿に相談。彼がロイヤルを薦めたのと、それまでに何度かロイヤルに客演していたこともあり、移籍した。バーミンガムは居心地がよかったけど、ロイヤルは雰囲気がまったく違っていた。

*2007年にOBEを受賞した時(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-605.html)バッキンガム宮殿にいけなかったのが悲しかった。普段は感じていないけど、自分が外国人であることを痛感した(これは、27日にはありませんでした)。

*(ケヴィンから質問されて)日本のバレエを取り巻く環境はまだゆっくりだけど、着実に変化してきている。

*ロイヤル・バレエとの本当の最後の公演、日本で演じる「ロミオとジュリエット」はほかの踊りとはかなり違っている。古典バレエやアシュトンでは、ある意味、役を演じることが基本。でも、ジュリエットでは役と自分がかぶさる(?ちょっと自信なし)。

*本当にもっとも好きなのは、「リーズの結婚(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-383.html)」。今回、モニカ(・メイソン監督)はオファーしてくれたけど、飛んだり跳ねたりがたくさんあるので、残念だけど断りました(確かに、シンデレラでは跳躍の大技はないかな)。

*どうやら、日本での「ロミジュリ」はNHKが収録・放送する上に、DVDにもなるらしい(これは、27日のみ。ケヴィンのリップ・サーヴィスかな)。

*(映像が始まる前に)アシュトンの「バレエの情景」は、踊ってきた中で最も難しいバレエ。で、映像が始まったんですけど、どこが難しいの、としか感じられないほどの優雅なステップ。いつが最後の上演だったか思い出せませんが、コジョカルがファースト・キャスト、吉田さんがセカンドだったとき、ある批評家が、「コジョカルは自分を見せる以上の域に達していない。しかしながら吉田の踊りは、この小品の真の姿を描き出している」と褒めていたことを今でも覚えています。これ(http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london0512a.html)はアシュトンの別の作品を踊ったときのもの。なんだか、昔のほうが文章が読みやすい。

*(26日に質問を受けて)イギリスでずっと踊ってこられたのは友人たちがいたから、といってケヴィンににっこり。

*27日は、トークが始まる前に、ライト卿とメイソン女史から吉田さんへのメッセイジをケヴィンが読み上げました。

 まだあったはずですが。両日とも、吉田さんは終始リラックスされていて、楽しいインタヴューでした。ケヴィンと吉田さんがスクール時代からの同級生でお互いをよく理解している、ということもあったと思います。

 26日に質問できなかったので、27日に。質問の前に、吉田さんに向けて「I wish you had decided to dance Manon」と。ここ数年ずっと思っていることですが、吉田さんがマノンを踊っていたら、吉田さんだけの比類のない「マノン」だったのではないかと。でも、どうもうまく伝えられなかったようです。で、質問は、「Both physically and emotionally, what are differences for you between classical ballets and modern ballets?」。いわく、ステップも体の動きもまったく違うし、何より古典バレエを踊りたかったんです、とのこと。吉田さんが終わってすぐに、ケヴィンが「I agree with that gentleman」と吉田さんに。吉田さんが「何?」といった感じの表情を彼に向けると、「僕も、都のマノンを観たかったよ」。吉田さん、驚いていたようでした。でもよかった、賛同者がいて。

 27日は、お寿司とドリンクが振舞われて、いけてよかったです。それと、自分の写真の出来がひどいので、素晴らしい写真をこちらで。

http://dognorah.exblog.jp/14263201/

 僕が、吉田さんのことをブログに書くのも、これが最後になるのかも。


 ところで、コヴェント・ガーデンに昨年12月にオープンした独立系のカフェがあります。

http://www.doubleshotcoffee.co.uk/index.html

 ずば抜けて素晴らしいとはいいませんが、落ち着けていいカフェです。ロイヤル・オペラ・ハウスに行く前や、コヴェント・ガーデンの狂騒から離れておいしいコーヒーを飲むには最適です。マネイジャーいわく、のんびりコーヒーを飲みたいのであれば、ぜひ、月曜にとのことです。

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イギリス総選挙に思うこと2:イギリスを壊すのはイギリス人

2010.04.27
同じく2月下旬、中道左派系のガーディアンの付録紙、「G2」に掲載された、個人的にとても悲しかった、イギリス人を恨めしく思った記事。

Roger Ebert: Farewell to my London home
http://www.guardian.co.uk/travel/2010/feb/25/roger-ebert-london-jermyn-hotel

 ロンドン、ピカデリーのひとつ後ろにあるのは、紳士向け服飾の店が多くあることで有名なJermyn Street。観光客時代に、この記事でも取り上げられている帽子屋、Batesで購入したハンチングの幾つかは、今でも冬になると僕の頭を強暴なゲイル(西風)から守ってくれています。そんな、僕なりに愛着のある通りが、再開発で消滅してしまう、と。引用部分は、記事の最後の部分です。

"Sadly the lease has expired and the greater part of the city block in which the hotel is located is to be redeveloped by the Crown Estate as a project named St James's Gateway, over the next two or three years. Like much else in London, it is planned that this very comprehensive and handsome project will be completed in time for the Olympic Games in 2012."

Just what Olympic guests will be looking for in London. One more god-damned comprehensive and handsome project.


 ここはイギリス。先住民は彼らイギリス人。だから、彼らが彼らの国をどうしようとも、それは彼らの勝手。でも、ひとつ尋ねたいです;「どうして多くの人々が、この国に惹かれるかわかっていますか?」。しかも、クラウン・エステイト。間違いでなければ、女王陛下の資産運用を担う不動産会社。

 昨年の早春、鬼籍に入ってしまったK夫人。彼女と今回の総選挙のこと、イギリスのこと、ロンドンのことを話してみたかったです。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-66.html

 イギリス人に任せていたら、この国の魅力は永遠に失われてしまうと危惧する外国人はたくさんいます。もっとも著名なのは、アメリカ人作家、ビル・ブライソンだと思います。彼は、クリーン・ブリテンという名の、イギリスの特にカントリー・サイドからごみを減らす活動を行うチャリティのトップのはず。いつも見下しているアメリカ人がイギリスを美しくしようとしてくれているのに、それを壊すイギリス人。

 イギリス人が壊しているのは、目に見えるものばかりではありません。

Public sector 'spending money like football managers' as rich lists revealed
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/7530608/Public-sector-spending-money-like-football-managers-as-rich-lists-revealed.html

 ゴードン・ブラウン首相よりもはるかに多い給与・ボーナスを受け取る地方自治体のトップ、赤字にあえいでいるはずのNHSのトップ。大笑いではなく、あいた口がふさがらなくてあごが外れたままなのがこれ。

in recognition of his challenging programme of work including closing Hemel Hempstead Hospital A&E(救急センター)department and downgrading other services.

 予算削減、人員削減のために救急センターを閉鎖し、結果的に地域住民の暮らしを脅かすその「チャレンジング」なプランを実行に移した褒美にボーナスだと。

 ボーナス・カルチャーに浸って抜け出せないのは、トップばかりではありません。

Public sector staff offered new cars and holiday vouchers to work

http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/7532783/Public-sector-staff-offered-new-cars-and-holiday-vouchers-to-work.html

 職員の病欠を減らすために、彼らに働いてもらう「ため」に、税金を使って車だと、海外旅行だと。この国、いまだに破綻していないほうが現代の七不思議です。

 5月6日に投票日を迎えるイギリス総選挙の争点のうち、移民受け入れに上限を設定すること、そして公共事業の大幅な予算削減は日本からではわかりづらいものがあるかなと思ったのでかいてみました。とりわけ、イギリス国外で報道されてもとてもわかりづらいのは、移民排斥を掲げる極右政党のBNPの存在。彼らは、たとえばイギリス白人ワーキング・クラスが多く暮らすロンドン東部のバーキングとデゲナムという地域で活発に選挙運動をしています。BNPは、ここの国政レヴェルの議席より、地方行政レヴェルので勝利を目指しているそうです。ロンドン東部の地方議席で仮にBNPが圧勝した場合、それが国政レヴェルにどのような影響をもたらすのかは、誰にもまだはっきりとは判っていないのではないかと思います。

イギリス総選挙に思うこと1:イギリスを壊すのは外国人

2010.04.27
5月6日の投票日の前に、これだけは書いておきたかったこと。支離滅裂、論理破綻になるのは火を見るより明らかですが、投票権の無い外国人納税者の届かない叫びです。

 2月、保守系のデイリー・テレグラフ紙にロンドン西部、移民地域として知られるスラウ(Slough)からのとても興味深い記事が掲載されました。

'We can't take any more people'
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/immigration/7308288/We-cant-take-any-more-people.html

 記事によれば、スラウは昔から移民が流れ込む街として知られているようです。彼らをマイノリティと表現できるのか甚だ疑問に思いますが、シーク教徒(9%)、ムスリム(13%)、ヒンディ(4.5%)、さらに歴史的にポーランド移民も多いようです。このような他人種が交じり合って生活する環境のため、

it was revealed that 22 different languages were spoken in just one class.

 そしてこのような状況は昔から、というか先住民であるイギリス人にこう言わしめます。

I have turned into a racist. I look around me and I can barely hear English being spoken, and there are intimidating groups of foreign youths hanging around, so the atmosphere is quite threatening. We are overrun and I am afraid to go out at night.

 理由はともかく、公用語は英語であるイギリスで暮らしている外国人のために、わざわざ税金が使われて彼らが英語を話さないでも暮らせるようになっている。外に出れば、イギリスで暮らしているにもかかわらず、英語が聞こえることは無い。外国人の傍若無人な若者が闊歩する自分たちのものだった街。

 僕はスラウに足を踏み入れたことはたった1度(しかも駅舎から出てタクシーに乗り込むためのほんの数メートル)、かつ進んで行きたいとは思いません。そして、この記事には、移民が移民を攻撃してどうすると理性でわかっていても、賛同の気持ちは抑えられませんでした。

 僕がこの国、この街に移ってきたのは、その文化、歴史、自然にとても興味を惹かれたから。いやなこともたくさんあるし、今でもこの国に受け入れられたとは思えないけど、この「イギリス」という国をもっと知りたいとずっと思っています。でも、僕が住んでいる、ロンドンの中でも急速に中近東化が進んでいる地域を歩いて聞こえてくるのは、非英語だけ。先月なんて、表通りにある隣り合う2軒のイラニアン・クルディッシュ・レストランの経営者の間で暴力事件がおき、片方のレストランの内部はナイフによる傷害事件で血の海、警察が出動しなければならなかったほど。にもかかわらず、両方とも翌日には普通に店を開き、アラブ系しかいない客は店の外でシーシャを何事も無かったようにふかしている。
 
 家族の皆さん、友人関係の皆さん、どうかご心配なく。住んでいる地域は、不気味ですが命にかかわることは起こらないはず。なんせ、ロンドンでも名の知れたテロ撲滅に特化した警察署が近所です。

 アラブ系ばかり攻めては、それはやはり人種差別じゃないの、と思われ方には。

Polish women encouraged to come to UK for 'free abortions' on NHS
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/poland/7441990/Polish-women-encouraged-to-come-to-UK-for-free-abortions-on-NHS.html

 敬虔なカトリックが国教であるポーランドでは堕胎できない。でも、イギリスならEUのメンバーだから無料でできる。そう、確かに無料。でも、その「無料」を支えているのは、イギリスで働き暮らしている人々が、自分たちの暮らしのためと信じて払っている税金。あんたらのセックスの後始末(もちろん、強姦の被害者という可能性を忘れたわけではありません)のために払っているんじゃない、と叫んではいけないのでしょうか?
 偶に、叫びたくなります、問いただしたくなります。あんたら、どうしてここにいるんだ?社会保障だけを食い物にして、やることは自国でやっていたことと同じなら、さっさと自国にもどれよ。僕の邪魔をするな、と。僕は、アラビア語やポーランド語を聞くためにイギリスに、ロンドンに来たのではない。人種差別者、でしょうか?

 ちなみに、バランスをとるために、オブザーヴァー紙に掲載されていた記事。内容は、劣悪な「鶏肉生産工場」で、奴隷のように働かされる東欧からの移民労働者というものです。これもイギリスの現実。

'I'm not a slave, I just can't speak English' – life in the meat industry
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/13/life-meat-industry-report-ehrc

 「蟹工船」、真っ青です。

HIV支援チャリティと異文化への偏見

2010.04.27
吉田都さんの感動的な舞台のあとに、HIV感染者の支援団体でのヴォランティア活動というのもロンドンならではと思います。1年半前のこれ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-943.html)に書いたように、今でもHIV感染者を支援するチャリティ、テレンス・ヒギンス・トラストhttp://www.tht.org.uk/)で、トラストのヴォランティア・ポストのひとつ、コミュニティ・サポート・ヴォランティアを希望する人たちへのインタヴューを、細々と続けています。ちなみに、THTへの参加の経緯はこちら(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-50.html)を。
 昨年はなかなか都合がつかずに、2回しか貢献できなかったので、先週の土曜日でやっと3回目。この程度では、自分がどれほど貢献できているのかとはまったく判断できませんが、何度やってもインタヴューは難しいです。質問はリストを読みながらなのでまったく簡単ですが、緊張しているインタヴューイーが質問を聞き返してきたときに、1)質問が理解されなかったのは僕の英語の問題か、2)インタヴューイーの英語の問題か、3)インタヴューイーがTHTが望むことをまったく理解していないか、をその場で表情に出さずに判断しなければならず、そして自分の判断は適切なのかどうか。そういう迷いを話し合うために、インタヴューアーは二人います。
 今回、最初の3人へのインタヴューは順調に進んだのですが、最後の一人で僕はつまずきました。広域な意味でのアジア系移民家族出身のイギリス人男性。とてもフレンドリーであったし、要求されるであろうヴォランティア活動へのコミットメントなどへの理解も十分。何が引っかかったかというと、その男性の人種的、文化的なバックグラウンドを僕がまったく知らなかった。知らなかったことで、僕が彼を理解しようとする代わりに無自覚の偏見で彼を排除しようと思ってしまったこと。
 この最後のインタヴューが終わり、もう一人(最も経験のあるヴォランティアの一人)に即座に、「彼はだめじゃないかな」と伝えると、まず彼は「何がだめだったのかを話してみてくれないか?」、と。そこで、気になっていたコミュニケイションの差異を話したところ、「Believe me, I know the culture and society that he comes from and belongs to。君が挙げた疑問点については僕も同じだからこれからのトレイニングの経過しだいという条件付ということにするけど、あれが彼の文化なんだよ」。
 とても複雑な気分でした。自分自身が他者を区別できる側に入ってしまったとたんに、それ以前、僕が批判をしていた側の人々がやっていたことと同じじゃないのか、とか。僕自身が知りたくない、知る必要など無い、知ろうとする時間が惜しいと考える文化に対しての僕自身のかたくなな態度等々。総選挙の争点のひとつが移民問題なのも影響していることは確実です。

 今回のインタヴューは、THTの本部ビルで行われました。珍しく、ヴォランティア統括部門のマネイジャーがいたので、インタヴューの前になんか知っておく必要があることはあるかどうかを尋ねました。いわく、「今、本っっ当に人手が足りないんだ。次のインタヴューをできるだけ早く設定するから、次もよろしく」。ヴォランティア希望者は多いものの、THTのように精神的・身体的弱者を支援するチャリティ団体の多くが恐れていたように、昨年秋から導入されたISAhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1080.html)が壁になって必要なヴォランティアの数になかなか到達できないようです。

 僕自身、久しぶりに本部ビルに行ってよかったことは、HIV感染防止や、感染後のサポート体制などをまとめたリーフレットがずいぶんとアップデイトされていて、最新の情報を目にすることができたこと。ずいぶん前から試されていたようですが、今回、HIV感染を防げるかもしれない投薬治療手段、PEP(Post Exposure Prophylaxis)というのがあることを初めて知りました。感染の危険があるとわかった性行為のあと、72時間いないに、すでにHIVに感染している人と同様な投薬治療(コンビネイション・セラピー)をはじめることができれば、HIVが完全に感染することを防げる「かも」しれないというものだそうです。THTの最新のリーフレットによると、HIVに関しては、「完璧な治癒、完璧な投薬」というのは無いのはPEPでも同じだし、ひと月の投薬期間中に起こるであろう副作用もとても厳しいもののようです。古いですが、ネットで以下の情報を見つけました。

http://wiredvision.jp/archives/200306/2003061705.html

 HIVはホモセクシャルの人々だけの問題ではなく、ヘテロセクシャル、ドラッグ・ユーザー、母子感染、そして文化的・宗教的偏見によって存在自体を社会から抹殺される人々など、さまざまな要因を含んでいます。そこには、偏見、知ろうとしない、知りたくないというネガティヴな反応がたくさんあります。たとえば、子供への性教育の是非が問われるたびに、日本でもイギリスでも「寝た子を起こすな」という不毛な意見が他を圧倒しがち。
 でも、今、どんなに気をつけていても、たとえば親のPCをこっそりクリックすればセックスに関するあらゆる情報に子供たちがいきなり無防備なまま晒される時代。そんな時代に、適切な性教育を受ける機会を与えられなかったことで、子供たちがSTD(最近では、STIともいうようですね)に罹患することのほうが、親としての責任放棄ではないかと思うことがあります。THTへの参加を通して学んでいるのは、「知っていれば、知ってさえいれば」、ということ。

 これを書く前に、日本の状況はどうなっているのかなと探してみたところ、以下の医療機関のサイトに遭遇しました。

http://www.onh.go.jp/khac/index.html

 ざっと読んでみただけですが、けっこう充実しているように思います。このような情報が多くの人に届くといいな、と。

吉田都さんのフェアウェル、でもとても幸せな夜

2010.04.25
ロンドンはすでに初夏の陽光。遅れていた木々の芽吹きも、今週の素晴らしい天気で一気に加速しています。街が新緑に彩られて、自然と、いつも以上に胸を張って歩いています。

 で、そんなプチ幸せが最大限まで到達したのは、4月23日、吉田都さんのロイヤル・オペラ・ハウスでの最終公演。観ることができてよかった、舞台のできはいつかは忘れてしまうのかもしれませんが、吉田さんが舞台で体現したバレエを観ることの楽しさと幸せは絶対に忘れない、素晴らしい舞台でした。

 まず、自分の幸運をひけらかすと。席は、オーケストラ・ストールのど真ん中。会員先行発売初日にはすでに売り切れの表示だったその席が、2日目にアクセスしたらポツンと出ていたので、もちろん即クリック。指揮者が邪魔で舞台が観られなくても、吉田さんのカーテン・コールが間近で見られれば、と思っていたらバレエのときは指揮台が低いのか、かなりがたいのでかい指揮者もまったく邪魔にならず、目の前で吉田さん(とマックレイ)が僕の正面で踊る舞台にまさに釘付け状態でした。
 17日の公演では、火山灰騒動の直後でしたから、来られず、またチケットをリセイルにかけることを知らない人がいたようで、会場内には幾つも空席がありました。23日の公演も、当日の朝まではかなりのリターンが残っていましたが、ラストミニッツで駆けつけることができた方、もしくは17日の公演を観てもう一度と願っていた人がいたからでしょう、満席のようでした。

 キャストは、17日と同じ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1181.html)。吉田さん以外で書き足しておくと。アグリー・シスターズは、ルーク・ヘイドンだけのときはいいのですが、ウェイン・スリープが絡むとどうも品に欠けてしまう印象でした。冬の精を踊っている女の子、評判いいようです。けなしているのは僕だけかも。冬の精のキャバリエを踊った平野さんは、静かな印象は変わらずですが精悍さと正確さが踊りに加わった印象で、観ていて気持ちいいものでした。
 マックレイは、お疲れのようでした。でも、がんばっていました。17日に見て取れたパートナリングへの不安もあまり感じられなかったし。偉大なダンサーへの尊敬といたわりを持ちつつ吉田さんと踊っているようでした。

 吉田さん。踊り、舞台での存在感は17日のそれよりもずっと輝いていました。第2幕、宮廷に到着して、プリンスに手を取られて階段を下りてくる場面。双眼鏡で見る吉田さんの目は、潤んでいるように感じました。でも、ひとたび踊りだせば、どうして引退という決断にいたったのかまったく理解できないほどの完成度と美しさ。後進の指導に当たるなら、どうしてロイヤルではないのか。ロイヤル・バレエにすら吉田さんの指導が必要なダンサーは山のようにいるのに。
 第2幕の後半で、シンデレラは回転しながらまるで二人の幸せを祝福するかのように、王子の周りを2回まわります。この場面、「シンデレラ」の中では一番好きですが、吉田さんの踊りからは、幸せ感が自然に流れ出ているようでした。日本人とかまったく関係なく、偉大なバレエ・ダンサー。
 会場にいた聴衆のほぼすべてが、どうしてロイヤル・バレエから引退するのかと思ったはず。2幕が終わり会場内が明るくなると、周りで涙ぐんでいる方がたくさんいました。「シンフォニック・ヴァリエイションズ」をもう一度観たかった。あの、まるで弥勒像が踊っているような、凛とした美しさを湛えた踊り、吉田さんのほかに誰が踊れるのか。

 でも、そんな湿っぽい印象も、そこまで。第3幕では、二人のPDDはそれほど長いものではありません。踊っているときの吉田さんの心のそこから嬉しそうな表情から感じたのは、「I want to dance tonight here. I want to be here as a dancer. I want the audience to enjoy my dancing. I just want to share my happiness with them」。ま、勝手な思い込みですが。
 日本人の感覚からすれば、春は別れの季節と同時に、始まりの季節。吉田さんにとっては、The beginning of her new chapterということとしたほうが、吉田さんが踊りで示してくれた幸福感をいっそう強いものにしてくれるかも、と思っています。

 カーテン・コールで次から次に花束が運ばれ、引退するダンサーへの恒例イヴェント、バルコニー席からのフラワー・シャワーが。何度目かのコールでは、サー・ピーター・ライトジョナサン・コープがそれぞれ花束を持って登場。吉田さんの嬉しそうな驚きの表情がとても印象的でした。

http://www.ballet.co.uk/gallery/yoshida_farewell

Ballet.coにアップされている、カーテン・コールの写真。

[追記]
 ヴェネツィアから駆けつけた友人の感想。

http://fumiemve.exblog.jp/10488732/

真の借金大国はどこなのか

2010.04.23
昨晩の2回目の党首討論で、俄然面白くなってきたイギリスの総選挙。情報量が多すぎるので、新聞を読んで消化するのも一苦労ですが、日本の皆さんはこちらを参考にされるとわかりやすいかも。このような記事を書けるようになりたいです。

http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042301000233.html

http://www.news-digest.co.uk/news/content/view/6246/120/


 で、イギリスがどうなるのかが決まる前に、最近、日本に関する、もしくは日本発のニュースで、日本はどうなってしまっているのだろうと思う記事を幾つか読んだので、消化不良もはなはだしいですが、ちょっとまとめてみました。

 先日、ロンドンでブログを書いておられる方が、4月10日発行の「The Economist」に日本に関する興味深い分析記事があることを紹介されていました。著作権を完璧に無視していますが。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1184.html

 長い上に、エコノミストなんて読むの久しぶり、かつ苦手な経済分析記事(国債の販売価格と利率の変動の仕組みなんて遠い記憶のかなた)ですが、僕の率直な印象は、「日本って、世界から、今こんな風に見られているのか」、との驚きでした。本誌3頁に渡る記事をむりやり数行でまとめると。日本の借金は、GDPの190%に達し、民主党政権による初めての予算は、予測される税収入をはるかにしのぐもの。世界の金融機関、専門家は日本将来起こるかもしれない経済崩壊を避けるには、思い切った税改革(消費税を上げる)とそれを実行できるリーダーが必要だ。が、民主党にも自民党にも、わが身のことを考えるばかりで国のこと、国民のことを考えている政治家はいない。記事の最後のほうの引用には、日本人は反論すべきでないのかと思うと同時に、反論できる人は誰もいないのかも。

People have grown accustomed to waiting until disaster is actually upon them before they focus on renewal.

 正直に言えば、ギリシャを除けばイギリスこそ世界一の借金大国だとばかり思っていました。ところが、経済・金融に携わっている友人や知人に聞くと、日本のほうが比べようも無いくらい危機的との返事が大半。でも、インターネットで日本国内の経済・金融報道を読んでいても、危機的な状況にあるのかどうか判断がつきません。

 で、朝日新聞さんには何の責任もありませんが、4月23日にアップされていた以下の記事。

EU27カ国の財政赤字、大幅に悪化

【ロンドン】欧州連合(EU)統計局は22日、2009年のEU27カ国の財政赤字の、対域内総生産(GDP)比率が6.8%になったと発表した。景気後退で税収が減ったのに、景気刺激のため歳出を増やしたため、前年の2.3%から大幅に悪化した。

 域内で最も比率がひどいのはアイルランドで14.3%。次が連日財政危機が報じられるギリシャで、13.6%だった。さらに英国(11.5%)、スペイン(11.2%)、ポルトガル(9.4%)、ラトビア(9.0%)と続く。ユーロ圏16カ国の平均は6.3%だった。

 赤字が積み重なってできた借金の山、政府債務も重くなっている。09年末のEU27カ国の政府債務の対GDP比率は73.6%だった。08年末の61.6%から10ポイント以上、上がった。国別では、12カ国が60%を上回り、イタリア(115.8%)とギリシャ(115.1%)は100%を超えた。



 190%と11.5%を比べたら、どう見たって日本のほうが危機的だろうと思います。それとも、僕が見逃している、もしくは理解できていない数字のトリックがあるのかどうか。

 日本では夏の参院選挙、イギリスでは5月6日の総選挙を控えて、誰がいつからいい始めたのかわかりませんが、相変わらず「小さな政府」が理想という風に政治家は言っているように感じます。でも、無秩序ではなくて、秩序が弱体化しているようにかんじられてしまうイギリスや日本では、「大きな政府」こそ必要なのではないかと感じます。でも、そんな「大きな政府」を統率する自信が無いから、そしてその自信の無さを国民に読まれたくないから、「小さな政府」こそ理想と政治家は言っているに過ぎないのでは、なんて思っています。

 そんなことをイギリス人の友人たちと話していたときに、一人から、ボストン・グローブに掲載された以下の記事を教えてもらいました。

A life worth living:Japan’s elderly seek quality of life as they rejoin the work force
http://www.boston.com/bostonglobe/editorial_opinion/oped/articles/2010/04/15/a_life_worth_living/

 日本のどこかで起きている変化を、誰がうまく育てるかによって、社会がどの方向に流れていくのかが決まるそんなことを考える記事でした。

見た目が可愛い、肺がないカエル (写真あり)

2010.04.22
珍しく日本でも報道された(毎日新聞とか)ようだけど、ボルネオの熱帯雨林で見つかった稀少、かつ絶滅危機に瀕している動植物のことが報道された。中で、目を離せないのが、これ。

Lungless frog
 このカエル自体は新種ではないらしいけど、「肺」がないことが新たに確認されたとのこと。皮膚呼吸の効率を上げるために、頭まで平らに進化させたのであろうとのことで、生物の多様性にはいつも驚くばかり。

Although not a new species discovery, scientists did discover something amazing about the Bornean flat-headed Frog in 2008. The 7cm-long species is the world’s first lungless frog. Instead of lungs, this unique species breathes entirely through its skin. Other organs can be found in the place lungs would normally be, which makes the overall appearance of the frog flatter. As well as a larger surface area with which to absorb more oxygen, scientists believe this flatter and more aerodynamic shape allow the frogs to maneouvre more capably in the fast flowing streams the species inhabits in the Kalimantan rainforest, in the Heart of Borneo. The species was first discovered in 1978 and is currently listed as endangered on the IUCN red list of threatened species. It is known only from two locations in the middle of the Kapuas river basin, where the species is threatened by pollution from mining activities.

 以前も書いたけど、カエルを食べたいとは思わない。でも、一度は、このようなカエルが動いているのを見たい。絶滅の危機から脱するためにも、チャールズ皇太子のプロジェクトがうまくいくことを祈るばかり。

Lungless frog and 'ninja slug' among new species discovered under Borneo protection plan

http://www.guardian.co.uk/environment/2010/apr/22/new-species-borneo

Weird and wonderful species discovered in the Heart of Borneo
http://www.guardian.co.uk/environment/gallery/2010/apr/22/new-species-heart-of-borneo?picture=361723265

ニック・クレッグって、誰?:イギリス総選挙

2010.04.20
先週15日に行われた、史上初のテレヴィ放映された党首討論会で旧弊の2大政党党首を蹴散らしたらしい(テレヴィは見ないし、先週末は多忙すぎて新聞は斜め読み)、リベラル・デモクラツ(イギリスではリブ・デムと省略されること多し)のリーダー、ニック・クレッグさん。


(昨日のガーディアンのカトゥーン。もう、まさにという感じ)

 党首討論会までは、リブ・デムというヴィンス・ケイブル氏のほうが目立っていたけど、これで誰が党首かを認識した人は多いのではないかと思う。

Nick Clegg
 昨年だったか、過去に何人の女性と関係を持ったかなんてことをインタヴューでしゃぺったり、昨年秋の党大会は閑古鳥が鳴く有様だったのと比べると、仮に総選挙までのかりそめの勢いだとしても、新鮮さがあるのは多くの人が認めるだろうと思う。

Vince Cable
 こちらが、ヴィンス・ケイブル氏。趣味は社交ダンス。亡くなった最初の奥様と始められたとかで、今でも時間があればボール・ルームで2番目の奥様と踊っているそう。
 今回の総選挙を機に、政界から引退する労働党のジョン・プレスコット氏も、イギリス政界随一の「美女と野獣」と称されるポーリーン夫人とボール・ルーム・ダンスの名手として知られていた。あのブルドッグのような容貌でフォックス・トロットなんて踊る姿を想像するたびに、イギリス政界の奥深さを感じる。ちなみに、今回の総選挙で、下院のメンバーの半数近くが新顔になるとのこと。

ロイヤル・バレエ:吉田都さんのシンデレラ

2010.04.18
確か、吉田都さんが今シーズンでロイヤル・バレエから引退すると発表されたのは、昨年の「ナットクラッカー」上演の前。いくら吉田さんでも「ナットクラッカー」はもういいやという愚かなことをしたので、この日が来るのを楽しみに待っていた、吉田さん、ロンドンでの最後の舞台となる「シンデレラ」。昨日17日は、その一回目でした。ちなみに今週のロンドン、エンタメが非常に充実していて、特にマーク・モリス・カンパニーを観にいける都合をつけられなかったのが返す返すも心残りです。


Cinderella
Miyako Yoshida

Prince
Steven McRae

Ugly Sisters
Wayne Sleep
Luke Heydon


Cinderella's Father
Christopher Saunders(午後6時過ぎにハウスの前を普段着で歩いていたので、まさか踊るとは思っていませんでした)

Fairy Godmother
Laura Morera

Fairy Spring
Iohna Loots

Summer
Hikaru Kobayashi

Autumn
Akane Takada

Winter
Claire Calvert (誰?一人ばたばたした踊り)

 今回の上演の初日は、10日のマチネでした。多くの批評家の批判の矛先は、アグリー・シスターズを踊ったルーク・ヘイドンウェイン・スリープに向けられていました。個人的にヘイドンは好きなダンサーなのでどうしたんだろうと思っていましたが、実際の舞台を見てなんとなく。マイムの場面や大げさな踊りは良かったのですが、見た目が本当に醜かったです。このプロダクションの初演のとき、ヘイドンの役を踊ったのはアンソニー・ダウエルでした。彼のこの役の写真は今でもネットで簡単に見つけられますが、メイクの差は歴然。どうしてこんなにまでヴィジュアルの醜さを強調してしまったのか。
 もうひとつ、面白い指摘を今日のサンディ・テレグラフで見つけました。「アグリー・シスターズは醜いだけの存在ではない。彼女たちの愛への枯渇、現実からの脱出願望は、シンデレラのものと同じくらいリアルなもの。ヘイドンとスリープからそれを感じることはなかった」。ダンサーはそこまで考えて踊らなければならないのかと思う一方で、けっこう腑に落ちる指摘です。

 脇役で光っていたのは、秋の妖精を踊った高田茜さん。確かカンパニーの正式団員になったのは今シーズンから。にもかかわらず、かなり目立つ役にすでに何度も抜擢されています。自信がついたのか、踊ることに貪欲であるのか、初めて踊る役にもかかわらず、素晴らしく切れのある動きには目を奪われました。来シーズン、バレエの最初の演目、「オネーギン」で、妹役に抜擢されています。
 もう一人は、フェアリー・ゴッドマザーを踊ったラウラ・モレーラ。使いすぎの表現ですが、舞台を統べる「権威」という役柄、そして立場をしっかり認識した安心していて観ていられる踊り、演技だったと思います。彼女は遅咲きのプリンシパルなので、日本でどれだけ知られているのかわかりませんが、アシュトンの舞台ので彼女の評価は高いです。

 プリンスを踊ったスティーヴン・マックレイは、ソロ・パートは完璧。それに「プリンス」としての風格も格段にあがっていました。問題は、パートナリング。僕が間違っているんでしょうけど、マックレイは彼のパートナーをコントロールすることがパートナリングだと思っているのではと感じました。吉田さんが回転するときにそんなに大仰に手を副えなくてもと思う場面が何度かありました。ひやりとしたのは、第3幕、最後のPDDでマックレイのサポートがあると思っていた吉田さんの動きに反して彼の動きが一瞬遅れて、吉田さんの上体が背後方向に揺らいだとき。そのあとの回転が終わり吉田さんがマックレイの腕につかまるときに、これまたマックレイの動きが吉田さんの考えていた場所になかったことで、二人の体がちょっとぶつかってしまったとき。ほんの刹那でしたが、吉田さんがびっくりしたようにマックレイを見つめた表情は見逃しませんでした。
 古典バレエでの「プリンス」の役割は、プリンセスに心配させずに彼女が踊れる時間と場を創り出すこと、これに尽きると思います。マックレイのパートナリングからはそれはまだ強く感じられませんでした。

 ロイヤル・バレエから足が遠のきつつあるのは、好きなダンサーが一人、また一人といなくなるとここまでバレエへの思いが萎むのか。ということで、吉田さんがいなくなったらもう来ることも無くなるかも(なくならいでしょうけど)、と思わずにはいられないほどの素晴らしい踊り。第1幕の、箒を相手に見立てての踊りのなんて可憐なこと。吉田さんは重力から開放された稀有な存在、いつも思います。
 圧巻は第2幕。プリンセスのドレス(チュチュです)に身を包んだシンデレラが宮廷に到着する場面。王子に手を取られて階段を下りてくるシンデレラは足元を見ず、正面を向いたまま。ポワントで一歩一歩降りてくるのでけっこうはらはらしながら見る場面です。昨晩、その場面でのシンデレラの表情は、無感情に近い慄きと緊張が入り混じったものでした。こんな特別な夜だから、さすがの吉田さんも緊張しているのかな、と。
 違いました、というか違うはず。階段を降りきってようやく王子を見つめるシンデレラからは安堵とともに輝くばかりの微笑がこぼれます。階段を下りてくるシンデレラの目に入ってくるものはすべて、数時間前までは彼女の想像の中でしかなかったもの。それが今、自分の目の前にある、自分がその場所にいる、居ていいのだろうか。慄きと、恥じらいと、慎ましやかさを込めた表情だったんだろうな、と。
 ほかのダンサーだと、この階段の場面、それ以前の馬車から階段の上に降り立った時点で、「私はプリンセス」オーラを全開にしがち。シンデレラのこんな細やかな感情を表現できるダンサーが居なくなってしまうなんて。それに、踊り自体、どうしてロイヤル・バレエから引退する必要があるのか、まったく理解できないほどの完成度。せめて、もう一度「シンフォニック・ヴァリエイションズ」を踊るまでは引退の決意を翻して欲しい、そう思わずにはいられませんでした。

 昨晩の会場は、日本から来れなかった人たちがたくさん居たであろうにも、予想以上に多くの日本人の皆さんが居ました。隣に座った、ノッティンガムから吉田さんの舞台を観に来ていたイギリス人のご夫婦いわく、テレヴィ・クルーも居たらしいので、昨晩と23日の舞台は日本でも報道されるといいですね。

ドイツ語の美しい響き4:クリストフ・プレガルディーン

2010.04.17
昨晩、ウィグモア・ホールで、ドイツ人テノール歌手、クリストフ・プレガルディーンのリサイタルを聴いてきました。今年はまだ8ヶ月残っていますが、ぶっちぎりでダントツのパフォーマンスでした。今晩の吉田都さんの舞台に上書きされる前にさらっと。

 僕がプレガルディーンの存在を知ったのは結構前のこと。チェチーリア・バルトリニコラウス・ハーノンコート(どうして日本ではフランス語読みするのかとても不思議)と組んで録音したハイドンの「アルミダ」でリナルド役を歌っていた彼のリリカルな声、そしてバルトリと拮抗できるほどの存在感のある声に惹かれました。CDの中にあった写真ではさえない中年という印象でした。
 以来、彼が出演するオペラ、もしくはリサイタルを観たいと願っていたのですが、実力は抜きん出ていてもヴィジュアルが冴えないドイツ人歌手がロンドンに来ることは稀、もしくは僕の情報収集が下手なこともあって、たった一度だけ、バービカンでバッハの「受難曲」で彼の生の声を経験しただけでした。そのときも一人抜きん出ていたのですが、語りが多い役でもの足りませんでした。

 で、昨年、ウィグモア・ホールの年間スケジュールでプレガルディーンの名前を見つけ、念願以上、というか自分がなぜ感動したのかこれを書いている今も理解できていません。


Between Life And Death – Songs And Arias

Performers
Christoph Prégardien tenor
Michael Gees piano

Programme
Bach Komm, süßer Tod BWV. 478 
Mahler Urlicht from Des Knaben Wunderhorn
Schubert Schwanengesang D744
Schumann Stirb, Lieb und Freud! Op. 35 No. 2
Schubert Auflösung D807
Mozart Abendempfindung K. 523
Brahms Feldeinsamkeit Op. 86 No. 2
Brahms Wie rafft ich mich auf Op. 32 No. 1
Loewe Edward Op. 1 No. 1
Weber Max's recitative and aria from Der Freischütz

Wolf Denk' es, o Seele!
Schubert Der Jüngling und der Tod D545
Schubert Der Tod und das Mädchen D531
Wolf Anakreons Grab
Wolf Das Ständchen
Mendelssohn Neue Liebe Op. 19a No. 4
Loewe Erlkönig Op. 1 No. 3
Wolf Dereinst, dereinst, Gedanke mein
Tchaikovsky Lensky's Aria from Eugene Onegin
Schubert Kriegers Ahnung from Schwanengesang D957
Mahler Revelge from Des Knaben Wunderhorn


About this concert
A firm favourite on the recital circuit and a specialist in the song repertoire of his native Germany,Christoph Prégardien presents a programme ranging from the sacred to the profane, from the poise of Mozart and Schubert to wind-tossed romanticism of Wolf and the earth

 舞台に出てきたプレガルディーンは、そのおなかはまずいんじゃないかなと思うほど幅が出ていました。前半、シューベルトの「スワンソング」までは、リリカルな声はまさに僕の嗜好にあうものの、もうオペラは無理なのかなと感じるヴォリューム。ま、50歳代半ばでこれほどの声を維持しているだけでも立派、と少々後ろ向きな印象のまま聞いていました。ちなみに、ドイツ人ですからドイツ語の響きはそれはもう。四半世紀前に教わったとおりの発音は、耳が喜びました。
 しかしながら、続く、シューマンの歌曲が始まったとたん、プログラムの歌詞を追うのをやめました。歌っているときのプレガルディーンが発するカリスマ、というか表現するすべてを見逃したくない、聞き逃したくないと思うほど、舞台の緊張が一気に上がりました。前半最後の2曲など、劇的な歌唱、存在に圧倒され身じろぎできなかったほど。一度引き下がり、拍手に答えて出てきたプレガルディーンに、聴衆からはブラヴォーが盛んに。

 インターヴァル中は後半の歌の内容を覚えておこうとプログラムを読みふけっていましたが、聞こえてくる会話は「Can you believe?」、「Amazing!」等々。昨晩の聴衆の平均年齢は大変高いようでしたが、そんな年季の入った聴衆を感嘆させるほど。

 後半の2曲目、シューベルトの「死と乙女」と7曲目のLoeweの「Erlkönig」では、「これがオペラの師匠が昔言っていた、素晴らしい歌手ができることなのか」、という経験をおそらく初めて。ひとつの歌の中で、前者では乙女と「死」を、後者では「父」と「死を恐れる息子」を、ごく自然に、彼の持つすべての表現力を使って演じわけ、歌い分けていました。前者の最後のフレイズ、「Sollst sanft in meinen Armen schlafen! (you shall sleep softly in my arms!)」と死が乙女に歌う響きのなんて甘美で、しかしながら暴力的に奪われる若さと人生の終焉を歌うプレガルディーンは、これまできいてきたリートとはべつのリートが存在するのかと感じました。
 アンコールのマーラーの歌曲が終わると、ホールの半分以上の聴衆がスタンディング・オベイション。ピアニストのゲースも、大変素晴らしい演奏でした。

 帰宅してから、ブログ用に写真をとぐぐっていたら、プレガルディーンのサイトを見つけ、昨晩のプログラムは昨年彼とピアニストのミハエル・ゲースが発表したCD全曲をそのまま実際に歌ったもののでした。この事実を知っても、感動はまったく薄れることなく。

http://www.pregardien.com/e/default.htm

 今年の12月1日、プレガルディーンは、ゲース同様ずっと長く共演している別のピアニストとウィグモア・ホールでまったく別のプログラムでリサイタルを行います。そこで紹介されているトロント・スター紙の批評は、僕の昨晩の感動の一端を表しています。

Prégardien stops you in your tracks right away, and will not let you get back to your life until well after silence returns.

 ロンドンの聴衆に、がっかりなことがあります。昨晩だけではありませんが、歌と歌の間に咳をする人が多すぎ。余韻も何もあったものではありません。何度立ち上がって、「曲と曲の間は、あんたらが咳をするためにあるんじゃない!」、と声を挙げたかったことか。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-475.html

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An act of God:アイスランドの火山による欧州航空網の麻痺

2010.04.15


 日本でもすでに詳しく報道されているように、アイスランドの火山から噴出した灰が北欧諸国、イギリス、アイルランド、ベネルクス諸国上空に流れてきたことにより、飛行機のキャンセル、空港の閉鎖と大きな影響が出ている。15日、午後7時過ぎのBBCの情報では、イギリスの空港は16日の午前7時まで閉鎖の予定となっている。

 天災だから誰にも何もできない上に、どうやら旅行保険会社は、旅行者の皆さんがこうむった経済的負担をカヴァーはしないかもとのこと。イヴニング・スタンダードいわく、「アクト・オブ・ゴッド」だから。

Volcanic ash from Iceland shuts all airports leaving one million affected

http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23824710-flights-grounded-as-ash-from-icelandic-volcano-closes-uk-airports.do

Flights cancelled by volcanic ash: what are your rights?

http://www.telegraph.co.uk/travel/travelnews/7593543/Flights-cancelled-by-volcanic-ash-what-are-your-rights.html

 ある友人は、17日にケルンのオペラ・ハウスで上演される「バラの騎士」を観にいく。時間に余裕がある人だからだろうけど、ユーロスターを利用してブリュッセル乗換えで4時間半の鉄道の旅。この火山灰騒動に巻き込まれることはないだろう。

 このような大きな混乱では、誰にもいつ収束するかわからないようで、情報がかなり錯綜している。BBCから拝借したしたの予想図では、16日の朝は火山灰の範囲がいっそう広くなるよう。



 先日のエントリ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1172.html)でこんなことを書いた。

>ロンドン、またイギリス来られて命に危険のないトラブルに巻き込まれた場合、焦りは禁物です。周りのロンドナーを見習って何もしないことが肝要です。

 トラブルの規模はまったく違うけど、なるがままにしかならないでしょう。それと、崔由姫さん、吉田都さんそれぞれの17日の舞台を観にイギリスに来られるはずの皆さん、自力で取ったチケットであれば、だめもとでロイヤルにキャンセルを頼んでみてもいいのではと思います。メイル、電話で連絡する時には、チケット購入に利用したクレジット・カードの詳細とレファレンス・ナンバーを必ず用意しておいたほうがいいでしょう。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1085.html

日はまた昇る、のか?!:イギリス総選挙

2010.04.14
イギリスの総選挙、楽しくて生活が破綻してしまうほどのめりこみそうなので、自重している。でも、これくらいはいいかな、と。

 月曜日に発表された、労働党のマニフェストの表紙



 新聞各紙は、昔の社会主義のスローガン・ポスターを引き合いに出していたけど、秀逸だと思ったのは昨日、13日のテレグラフに掲載されたカトゥーン。



 最高。こういうことができるイギリスの新聞は、読んでいて楽しい。

オペラ:プリマ・ドンナ(ロンドン初日)

2010.04.13
4月12日、新しいオペラがロンドンのサドラーズ・ウェルズ・シアターで初日を迎えました。オペラのタイトルは、「Prima Donna」、作曲と脚本はルーファス・ウェインライト(Rufus Wainwright。脚本は、Bernadette Colomine



まず、サドラーズのウェブから拝借した情報です。

Rufus Wainwright has established himself as one of the great male vocalists and songwriters of his generation, carving out his own singular sound in the worlds of rock, opera, theatre, dance and film. A Grammy nominee, he has released a series of acclaimed albums.

Wainwright’s first foray into opera is inspired by perhaps the best known figure of the art form; the diva. A portrait of a fading opera singer, Régine Saint Laurent, the action is set on Bastille Day in 1970’s Paris. Once the world’s most revered operatic soprano, Saint Laurent is preparing for her return to the stage after six years of silence. But in doing so, she is forced to confront the ghosts of her past.

For these London performances, there is a new production directed by acclaimed British director Tim Albery, whose most recent works include The Flying Dutchman at the Royal Opera House, and Boris Godunov for ENO. The set is designed by Antony McDonald and the opera is conducted by Robert Houssart.

Sung in French with surtitles, the libretto is co-written by Rufus Wainwright and Bernadette Colomine.


 ウェインライトがポップ・シンガーであることは知っていましたが、彼の音楽はまったく聴いたことがありません。僕にとっては、彼の父親、ラウドン・ウェインライト3世のほうが身近な存在。また、彼の妹のマーサは、以前、ロイヤル・バレエの「七つの大罪http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london0706b.html)」の舞台で歌を聴いたことがあります。が、ルーファスについては存在は知っていましたが、彼がどのような音楽を作っているのかはまったく知りませんでした。が、そのほうが偏見もなくてよかったようです。ちなみに、オペラはフランス語で歌われました。
 サドラーズにつくと、入り口にはレッド・カーペット、その脇にはカメラマンが密集状態。こんなところを歩いていいのかなと思いつつ中へ。先に劇場に入っていた友人と話し始めてすぐにフラッシュが盛んにたかれたので誰かなと見るも、まったく知らない背の高い若い男性がタータン・チェックの変なスーツを着て手を振っているだけ。友人に誰かを尋ねたら、ウェインライト本人でした。
 しゃべりながらも入り口のほうをしきりに見ていた友人いわく、「今日はゲイ・ナイトの様相だね」、と。何を寝とぼけたこといってんだと思ったら、ウェインライトは彼のボーイ・フレンドと一緒に劇場に入ってきたそうですが、僕はまったく気づかず。言われてあちこち劇場内を観て回ったら、ボーイ・ジョージにグレアム・ノートン等、イギリスの大御所ゲイがたくさんいました。

 今年1月、先月だったか、ウェインライトのご母堂が、数年にわたる癌との戦いの末、亡くなりました。ウェインライトの最新CDと、今回のロンドン公演は彼の母親に捧げられています。

Celebrated Scottish soprano and Covent Garden regular Janis Kelly reprises the role of Régine Saint Laurent, after giving “the performance of her life” (Financial Times) at Prima Donna’s Manchester premiere. The tenor role is sung by the highly praised Canadian, Colin Ainsworth. Also critically acclaimed, Rebecca Bottone and Jonathan Summers complete the cast.

Régine Saint Laurent:Janis Kelly
Marie (メイド):Rebecca Bottone
Andre (記者、テナー):Colin Ainsworth
Philippe (バトラー、マネイジャーかな):Jonathan Summers


 オペラのあらすじ。1970年代のあるバスティーユ・デイ。彼女のために作られたオペラ、「Alienor d'Aquitaine(意味不明)」で6年前に大成功を収めた後、ずっと舞台に立っていなかった往年の名ソプラノ、レジーヌ・サン・ローレンは同じオペラで復帰を計画していたが、まだ歌えるだろうかとの焦燥で眠れぬ夜をすごしている。オペラの上演が近いこともあって、アンドレからのインタヴューに答えるレジーヌ。アンドレからレジーヌの舞台への熱い思いを聞かされた彼女は、彼を夕食に招待する(第一幕)。
 晩餐のために豪華な衣装に身を包んだレジーヌはまどろみの中で、キャリアのピークだった舞台、「Alienor d'Aquitaine」で、王(テノール)と共に交わした愛のデュエットを思い出す。まどろみからさめたレジーヌは、歌えないのではないかという焦りと恐怖、容貌の衰えにおびえ、フィリップとマリーに二度と歌えないと告げる。伝説のディーヴァに仕え、再びその名声をともに享受することをもくろんでいたフィリップは激昂し、レジーヌをなじったのち、彼女の元を去っていく。やっと現れたアンドレは場の様相に驚きつつ、晩餐をともにできない詫びを伝える。彼にはフィアンセがいた。
 フィアンセを待たせておくことに気をもみつつ、アンドレはレジーヌに「Alienor d'Aquitaine」のレコード・ジャケットにサインを頼む。サインをしたあと、「でも、オペラ歌手としての私の最後のサインはあなたにはふさわしくない」とレジーヌは言う。マントル・ピースの上に飾ってあった最後の彼女自身のレコードにサインをしたレジーヌは、最後まで献身的だったマリーに彼女の「最後のサイン」を差し出す。
 マリーを帰し、アパルトマンにはレジーヌだけ。ドレスを脱ぎ捨て、下着姿になったレジーヌ。昔日の写真を焼き捨てる彼女から嗚咽が。そこには年老いたかつてのプリ・マドンナがいるだけ。窓を開けると、屋外ではバスティーユ・デイの花火が上げられ、通りは人で溢れている。レジーヌは歌う、「花火が空を彩り、通りには若い人たちが。I remain」。「花火が終わり、皆いなくなる。I remain」(第二幕)。

 新しいオペラというと、難解な現代音楽を想像される方が多いと思いますが、この「プリ・マドンナ」はオペラの王道。オペラをご存知の方であればあらすじを読んで、ヴェルディの「椿姫」やシュトラウスの「バラの騎士」を思い描かれたと思います。また第2幕前半のデュエットの歌詞はベッリーニの「ノルマ」のシーンを髣髴とさせるもの。しかしながらこれはまったくパロディでも、自虐でもなくウェインライト本人が好む19世紀、20世紀のオペラを彼が21世紀に作り出したかった、その熱い思いが鮮明につたわってくるとてもいい舞台でした。プログラムの中で、ウェインライト本人も、ヴェルディやシュトラウスのオペラに大きな影響を受けたことを記しています。
 最後、レジーヌが歌うアリアは、決して派手やかなものではありません。淡々と歌う姿には、人はこうして年老いていく、オペラ歌手はこうして舞台から去っていくという痛みにも似たself-recoginition、もしくはself-realisationとも受け取れます。一方で、最後の花火が終わり、人々が去っても「私はここにいる」という言葉は、ポジティヴな意味合いとしても受け取れると感じました。リブレットは申し分なし。
 歌手では、女性二人は素晴らしい歌唱・演技でした。翻って、男性陣は、僕の嗜好もありますが、まったくの期待はずれ。少なくとも、アンドレを歌ったエインズワースは僕にとっては痛恨のミスキャスト。

 冒頭で、これは新しいオペラと書きましたが、実際は、2009年のマンチェスター・インターナショナル・フェスティヴァルで世界初演でした。ところが、どの媒体だったか忘れましたが、上演直前の情報で、演出が昨年とは違ったものになるとのこと。というのも、ウェインライトが昨年の演出を好ましく思っていなかったらしいとの噂がある、と。
 会場で会った友人は、昨年、マンチェスターでのワールド・プレミエを観ていたので実際どう変わったのか尋ねたところ、「まったく別物。昨年はヴィデオ・プロジェクターがあったり、第2幕でフィリップが舞台上でセックスをするような場面があった。今晩のはとてもロマンティックで、プッチーニやヴェルディの世界みたいだよ」。
 これを聞いて腑に落ちました。ウェインライトが創作したのは、王道オペラのフォーマットによって、聴衆に人生が、舞台が、そしてオペラが如何に儚く、脆く、でもだからこそ美しいと。このような、小品ながらも佳品のこのオペラが日本でも上演されて欲しいです。

13 April 2010, Nikkei

2010.04.13
*著作権は、日本経済新聞社に帰属します。

日経夕刊20100413


これがそのプラグ。


これが普及すれば。フューズはコードが接続されているところに入るそうです。

ロンドン・スゥィーツ+α

2010.04.11
たまには観光、もとい食関係の情報を。

 3月、ロンドンの情報雑誌、タイム・アウトが「Just open」したばかりのフレンチ・ジャパニーズ・パティセリーを紹介していた。お店の名前は、「Lanka」。

http://www.lanka-uk.com/jp/homej.html

 試してみたいなと思いつつ、なかなか足が向かなかったけど(理由は後述)、先週の木曜日、輝くばかりの春の訪れを祝うならおいしいケイキほどぴったりのものはないだろうということで、やっと購入。

StrawberryCake
(抹茶スポンジのショートケイキ。写真はすべてLankaさんから提供していただきました。クリックするともっと鮮明な写真になります)

Charlotte
(ラズベリー・シャーロッテ)

Rum Baba
(ラム・ババ)

 写真のものはまだ試していない。実際に購入したのは、初日は「パッション・フルーツのムース」、「モンブラン」と「小豆のケイキ」。2回目は、「パリ・ブレスト」とクリームと果物たっぷりのロールケイキと再びパッション・フルーツ。
 正直、僕個人の嗜好からすると、スポンジはもう少ししっとり感が欲しいなと感じたけど、クリームと果物の使い方はまさに「日本人が作ったケイキ」。試した5種類はすべて甲乙つけがたい繊細な美味しさ。大満足。「もう一度食べるなら、どれ?」、とたずねれられれば答えは「全部」。
 なかなか足が向かなかった理由は、ショップがある場所。今住んでいる所からだと、地図上では直線距離でそれほどの距離ではない。もしバス路線があれば、3日とおかずに通ってしまうかもしれない。悲しいことに、直通のバス路線も、地下鉄もない。最寄の地下鉄の駅はノーザン・ラインのチョーク・ファーム。地下鉄で行こうとすれば大回りの末にたっぷり1時間はかかる。ま、歩いても30分弱の距離だし、ケイキの美味しさはそれだけの価値はあるかな、と。
 ショップがあるリージェンツ・パーク・ロードは、プリムローズ・ヒルの北側のふもと。勾配のきついプリムローズ・ヒルの散策を楽しんだ後に、軽食やケイキでほっとするにはうってつけのお店だと思う。

 二つ目。つい最近、友人たちに連れられていったのは、ガーデニング好きの間では有名な園芸ショップの中に昨年オープンしたカフェ。

The Clifton Kitchen
http://www.clifton.co.uk/kitchen/index.asp

 クリフトン・ナーサリーズが経営しているのではなく、外部のケイタリング会社が運営しているカフェ。実際、カフェの中からナーサリーを見渡せるわけではないけど、食事の質はかなり良い。あれほどふんわりとしていながら、まったく型崩れしていないエッグ・ベネディクトは、ロンドンの普通のカフェではめったにお目にかかれない。
 料金は安いとはいわないけど、出される分量がまた太っ腹。珍しかったので「ラヴェンダー&オレンジ」パウンド・ケイキを頼んだら、一瞬、食べきれるかどうかわからないほどの厚さ。無論、食べきった。
 カフェ内部の定員は15人程度のキャパしかないので、どうしてもという時には予約したほうが無難。クリフトン・ナーサリーズの内部はかなり広いけど、入り口は住宅にはさまれていて、一見、通用口のようにも見えるので看板を見落とさないように。

 もうすぐ日本1号店が開店するらしい「コティディエン」よりも、マリルポーン・ハイ・ストリートで地元民に活用されているらしいのが、ナチュラル・キッチン

http://www.thenaturalkitchen.com/index.php

 日曜日の朝、ここの1階(日本風に言うと2階)にあるカフェ・レストランは分厚い日曜新聞を抱えた地元民でいつも満員。ここもまた決してリーズナブルな値段ではないけど、食材の新鮮さは大きくなりすぎたコティディエンよりずっと良いと感じる。

 2月15日に、飛行機の中で読もうと購入した「AERA]で、野田秀樹がロンドンにある日本料理屋の名前に噛み付いていた。雑誌はもう手元にないけど、確か彼の言い分は、

「最近、ロンドンでMAGUROという名前の日本料理屋がある。こんな名前をつけるのはおかしいじゃないか」とかだった。

 何を些細なことを。一歩譲って、「MAGURO YA」だったら確かにもっと響きはよかっただろうけど、「TUNA」よりはましではないだろうか。

 ロンドンでは、自分から進んで日本食を食べに行くことはほとんどないけど、2009年春に開店したここには、昨年中は数回通った。

http://www.maguro-restaurant.com/

 経営者、厨房のメンバー、レストラン・マネイジャーは誰も日本人ではないという、ロンドンではありがちな形態。でも、それまで日本食レストランなんて存在しなかったエリアに開店し、しかも普通の味をキープしているのはとても貴重。名前に噛み付く前に、野田さんにはぜひ試してもらいたいもの。

ロイヤル・バレエ:リーズの結婚2回目

2010.04.06
3月に始まった「リーズの結婚」。初日(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1166.html)以降ほぼすべての公演が完売状態で、一番観たかった崔由姫さんのロール・デビューは観られないかとあきらめていたところ、またも公演の数日前に10枚ほど一気にリターンが出ていたので観ることができました。舞台上では幾つか小さなアクシデントがありましたが、最後、リーズが男性ダンサーたちに高々と持ち上げられたときに崔さんが見せた笑顔がうれしくて目頭が熱くなりました。

Yuhui Choe:リーズ
Brian Maloney:コーラス
Philip Mosley:シモーネ夫人(リーズの母親)
Michael Stojko:アラン
Christopher Saunders:アランの父親、裕福なワイン畑のオーナー


 この日は、主役の二人はどちらもロール・デビュー。ブライアン・マロニーは上から3番目のランク。キャリアは長いですが、主役級のプリンシパル・ロールはほとんど踊ったことがないはず。たしか、2003年だったと記憶していますが、ギエムが「マノン」を踊ったときにレスコー役に抜擢され、その期待にこたえる演技・踊りだったので「プリンシパル候補」と目されていたはず、あの当時。が、そのあと怪我が続いたようでずっとぱっとしませんでした。実際、僕もマロニーにはまったく期待していませんでした。上り調子の崔さんと比べれば、マロニーはピークに到達しないまま黄昏ていくダンサーとみなしていました。技術的には、初日のアコスタには遠く及ばないし。ところが技術的ではなく精神的にパートナーとして素晴らしく、見直しました。

 シモーネ夫人を踊ったモズリーは、カンパニーのアドミン的なポジションにいるものの、キャラクター役で今でも踊っていてこの役は彼のはまり役。今回も安心してみていられました。カーテン・コールのときに「彼女」にも花束が贈られたときに、「ちょっと、やだよ、私なんかに花束なんて」といった感じのリアクションを即座に見せて会場の喝采を浴びていました。モズリー、サウンダーズ、それと端役をやったリアム・スカーレットの3人はカーテン・コールでも演じた役のまま振る舞い、小さな点かもしれないですが、ロイヤル・バレエの特色、「キャラクターを演じる」ということを改めて面白く思いました。

 「リーズの結婚」をご覧になられたことがあればご存知のように、このバレエでは小物がたくさん出てきます。特に主役の二人は第1幕ではリボンを、第2幕ではスカーフを手にしながらの演技・踊りが続きます。特にリーズは、アシュトン特有の細かいステップを刻みながら、上体と腕は優美な動きを要求され、そんな上半身と下半身に集中したいであろうにさらにリボン。見た目の楽しさ、美しさと裏腹に本当に大変な役。
 第一幕前半、リーズとコーラスの二人だけでリボンを手にとって踊っていたとき、最も神経を集中するであろうあや取りの場面を綺麗に決め、あとはフィニッシュという場面でリボンの真ん中に結び目が残ってしまいました。ま、踊りに影響が出るアクシデントではないので、二人は何事もなかったように。
 第1幕後半、収穫の場面の踊りは、この演目では技術的に最も難易度の高いテクニックを要求される場面の連続。リーズの友人たちとともに踊るリボンの踊りの前の細かいステップの場面で、崔さんがほんの少し足をもつれさせたように見えました。僕の思い違いかもしれないですが、一瞬、彼女の顔に動揺の影が差したような。
 友人たちが掲げもつリボンの中心に立って踊り始めてすぐに、アラベスクで上げた足を戻すときに、リボンの一本に足が引っかかってしまいました。すぐに体勢を立て直して転んだり、踊りが止まることはありませんでした。が、小さいながらもアクシデントが一つだけでなく、二つ、しかも難易度が高い、言い換えれば観客からの注目を一身に浴びる場面で起きれば、経験豊かなダンサーでも動揺するのではないかと思います。踊りをとめることはできない、でもこのまま続けてまたアクシデントが起きたら。そんな揺れ動く心がさんの心と体を萎縮させたように感じました。
 そこで崔さんを支えたのが、マロニー。表情は変わらないものの、彼女に伸ばした腕の動きが、「大丈夫。自分を、僕を信じて」、といっていたような。リボンを花が開くようにパァーッと放り投げる場面は今ひとつ華やかさにかけたものの、最後の片手リフトは見事に決まって、会場は大喝采。
 第2幕では、コーラスのスカーフが身を隠す前に外れて床に落ちてしまうなど、小物のアクシデントが続いた舞台でした。でも、コールの女性ダンサー一人を除いて、舞台にいるすべてのダンサーが楽しげに、軽やかに踊り、最後、リーズが高々と抱えあげられたとき、今年の長い冬の本当の終わりが来たような高揚感が沸き起こって、「今日のこの舞台を見ることができて本当によかった」との思いでいっぱいになりました。今年は残念ながらないですが、次回、ロイヤル・バレエが日本に行くとき、さんが主役を踊るのは間違いないだろうと信じています。


(12月1月に上演されたレ・パティヌールから。右が崔さん。左はプリンシパルのモレーラ、中心は同じくプリンシパルのマックレイ。彼は、「シンデレラ」で吉田さんのプリンス役)

流星街の子供たち:サッカー・ワールド・カップが隠す陰

2010.04.04
「流星街」って何?、と思われる皆さん、少々お待ちください。

 昨日、4月2日のガーディアン紙に掲載されたのは、6月に開催されるサッカー・ワールド・カップの準備が急ピッチで進む南アフリカで、行政から文字通りうち捨てられた人々が「収容」されている地域についてでした。

Life in 'Tin Can Town' for the South Africans evicted ahead of World Cup
http://www.guardian.co.uk/world/2010/apr/01/south-africa-world-cup-blikkiesdorp

Far from the action: the World Cup's dark secret
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2010/apr/01/world-cup-2010-south-africa?picture=361067380



ごくごくかいつまんで内容を書くと、ワールド・カップの試合が行われる会場のそばに住む、極貧層の人々が世界中から訪れる人々の目に触れないように、極貧ながら生計を立てていた家から力づくで追い出されアパルトヘイトの時代よりも劣悪な隔離キャンプでの生活を強いられている、というものです。
 記事に掲載されていた数値情報によると、ワールド・カップ開催のために費やされる予算は推定で£30億。記事で取り上げられている隔離キャンプ、Blikkiesdorpの衛生状態を改善するための予算はわずか£290万。

 オリンピックやワールド・カップなんて世界人口の0.1%にも満たない人しか欲しがっていない、究極の無駄と信じている僕にはもってこいの記事。南アフリカ国内で、このような国民虐待の実態を改善しようとしている人の言葉には溜飲が下がります。

Andile Mngxitama, a political commentator and columnist, is about to publish a pamphlet entitled "Fuck the World Cup".

He said: "We never needed the World Cup. It is a jamboree by the politicians to focus attention away from the 16 years of democracy that have not delivered for the majority of black people in this country. We'll be trapped with white elephant stadiums."

He added: "The World Cup is not about football or so-called tourism. It's about politicians hoping it keeps us busy for a month and making enormous amounts of money for themselves and their friends." 


 日々暮らすことだけで精一杯の人々を忘れた政治家同士の仲良しごっこなんて永久には続かないと信じていますが、個人的に虚を突かれたのがこの隔離キャンプで暮らすことを強いられている人々に人権など与えられていない実態でした。

In some cases families of six or seven people are crammed into living spaces of three by six metres. They complain that the corrugated walls swelter in summer temperatures of 40C and offer little protection from the cold in winter. Tuberculosis and HIV are rife. Babies have been born at Blikkiesdorp and, still unknown to the state, officially do not exist.

 このキャンプで生まれた子供たちは、公的には存在しない。

 少年ジャンプで、作者の都合で連載より休載期間のほうが通算で長くなっているであろう「HUNTER X HUNTER」というのがあります。その中に、「幻影旅団」という盗賊グループが出てきまして、彼らが生まれ育ったところは「流星街」という設定になっています。そこは、世界が放棄した人々が暮らす場所。彼らが何歳で、何をしているかという個人情報は世界のどこにも存在しない。そんな場所。このようなこと漫画だけかと思っていました。

 経済、社会復興が軌道にのる国がある一方で、

戦略的パートナーシップの構築へ
――アメリカとアンゴラ、ヒラリー国務長官も初訪問――


http://homepage.mac.com/f_matsuo/blog/globalstringer.html


政治家の都合で社会から抹消される人々がいる。オリンピックやワールド・カップのような馬鹿騒ぎはこのような陰を生み出す現実を認めるべきではないかと考えます。

トレゴスナン・ティー、日本に本格進出

2010.04.03


昨年紹介したトレゴスナン・ティー

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1124.html


が、日本にクリーム・ティー・セットを輸出することになったそう。

Tregothnan Estate sells Cornish-grown tea to Japan
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/cornwall/8589041.stm

A tea plantation in Cornwall - believed to be the only one in the UK - is to export its produce and Cornish cream teas to Japan.

The Tregothnan Estate, near Truro, already ships tea to China and India.

The estate currently makes about a tonne of leaves a year at its 25-acre plantation.

The plants take six years to mature, but the tea is ready for drinking 36 hours after the leaves are hand-picked from the bushes.

After picking, the leaves and buds are withered on racks to allow them to soften. They are then rolled, oxidised and dried.

Tregothnan's garden manager Jonathan Jones said the temperature, rainfall, humidity and soil PH at the Cornish estate was very similar to Darjeeling, which was why the estate's tea was so successful.

The estate said it blended traditional imported teas with its own leaves to produce a "quintessential" English tea.

Buyers from Tregothnan who recently went out to Japan with some scones, jam and clotted cream, said they were overwhelmed by the reaction.

"So far as the Japanese are concerned, it's the ultimate tea ceremony from the UK," Mr Jones said.

"It's a challenge, but by working together with Cornish businesses and the help of UK Trade and Investment, we've come up with a cream tea in a box.

"The cream is the trickiest part, but we can freeze it and then for three days it has a shelf life as if it were fresh."

Thousands of cream teas from Tregothnan will be served at the British Embassy in Tokyo on 21 April at a garden party to celebrate the Queen's birthday.


 4月21日、東京のイギリス大使館で振舞われるそうです。

イギリスの日常、世界の非日常

2010.04.03
3月16日に、とても悪質なウィルスにファイア・ウォールを突破されてしまったメインで使っているラップトップが手元に戻ってきたのが3月30日。友人たちからも、対応してもらった技術の方からも、「ウィルス・ソフトは有料のもののほうがいいですよ」、とのこと。

 ウィルス開発者に言いたいのは、「その頭脳をどうして世界から紛争や貧困がなくなることに使わないんだよ!」。

 で、疑心暗鬼になってしまって、せっかくのイースターの連休だけど、遠出しないで焦らずに設定のし直しをやろうかと思っていた水曜日、31日に起きたのが、これ。

Flood at London BT exchange hits thousands of mobile and web customers

http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23821115-flood-at-bt-hits-thousands-of-mobile-and-web-customers.do


Tens of thousands of people could be without phone and internet connections over the Easter holidays after a flood damaged a BT exchange.

The flood at the exchange in Paddington caused an electrical fire which affected broadband and telephone services across Britain. A number of central London banks had to close and mobile phone services were affected.

Thousands of customers in north and west London were hit. About 30 exchanges are thought to have been affected, causing knock-on effects for TalkTalk broadband customers and for users of the Vodafone network.

It was not yet clear what caused the flood at 7.30am yesterday. A London Fire Brigade spokesman said crews were called to an electrical intake room in the basement of the building. A BT spokesman said: “As this is a complex incident we can't accurately predict when services will be restored.

Barclays had to shut its Marylebone, Portman Square and Sloane Square branches for the day. A spokesman said: “The branch network relies on telephone links to be able to operate. There was no alternative but to close.”


 記事によると、トラブルの始まりは午前7時半ころと書かれていますが、9時半過ぎたあたりから、固定電話やワイヤレスがいきなり使えなくなり、携帯電話で連絡を取り合った同じ地域内にいる知人たちとは、「またテロかな?」、と。

 通信機能が不全に陥るのは、普通、自然災害かイギリスの場合はテロかなと思うのが普通(になっていることが異常)ですが、まさか首都のど真ん中の洪水で起きた火事で36時間以上も電話が使えなくなるというのは、イギリスは先進国と名乗るべきではないですね。

 あいた口がふさがらないというか、これがイギリスの通常となっていることが腹立たしいのは、非常用の対策がまったく想定されていないであろうこと。今回のBTの「人災」で起きた電話回線不通に見舞われたパディントン、マリルボーン、ポートマン、マーブル・アーチ、セント・ジョンズ・ウッド地域には、大きな病院が少なくとも五つ。これらのエリア内でBTの回線を使っているレストランやスーパー・マーケットではクレディット・カードやデビット・カードが使えなくなり、で、顧客が仕方なくATMで現金を引き出そうにも、ATMも回線不通で利用不可能。情報不足にもかかわらず、BTが何かしでかしたという情報だけで何もかも納得してパニックにならないロンドナーは図太いのか、怠け者なのか。地元民はまだしも、旅行者の方は何がおきているのかまったくわからなかったのではないかと推測します。

 こんなことが毎日起きているわけではないですが、ロンドン、またイギリス来られて命に危険のないトラブルに巻き込まれた場合、焦りは禁物です。周りのロンドナーを見習って何もしないことが肝要です。

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