LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2011年08月の記事一覧

外国人、外国文化は国家への脅威になる時代

2011.08.31
タイトル、やや煽動的過ぎるかとは思うのですが、移民だけでなく、短期で訪れる外国人が、国家にとっては招かれざる客になりつつあるように思える動きを日本とイギリスから。

 8月29日のガーディアンに、日本在住20年を超えるインド系イギリス人男性が恒常的に経験していることを書いています。

We're all terror suspects now
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/28/we-all-terror-suspects-now

I'm sitting in the expansive spaces of Renzo Piano's four-storey airport outside Osaka, sipping an Awake tea from Starbucks and waiting for my bus home. I've chosen to live in Japan for the past 20 years, and I know its rites as I know the way I need tea when feeling displaced, or to head for a righthand window seat as soon as I enter a bus. A small, round-faced Japanese man in his early 30s, accompanied by a tall and somewhat cadaverous man of the same age, approaches me.

"Excuse me," says the small, friendly seeming one; they look like newborn salarymen in their not-quite-perfect suits. "May I see your passport?"

When I look up, surprised, he flashes me a badge showing that he's a plainclothes police officer. Dazed after crossing 16 time zones (from California), I hand him my British passport.

"What are you doing in Japan?"

"I'm writing about it." I pull out my business card with the red embossed logo of Time magazine.

"Time magazine?" says the smiling cop, strangely impressed. "He works for Time magazine," he explains to his lanky and impassive partner. "Very famous magazine," he assures me. "High prestige!"

Then he asks for my address and phone number and where I plan to be for the next 89 days. "If there is some unfortunate incident," he explains, "some terrorist attack" (he's sotto voce now), "then we will know you did it."


 リンクしている内容が筆者の著作からの引用のようなのでおそらく数ヵ月後には内容が削除されることもありえるので、出だしの大阪空港の部分だけコピペしました。警察官に呼び止められるのは本人も肌の色が違うからとかインド系だからとか、また後半ではアメリカでの経験を書いています。

 僕は、外国人としてイギリスという「外国」で暮らしていますが、イギリス国内で国家権力に呼び止められてパスポートを見せてなんて要求された経験、全くないです。なので、日本では肌の色が違う人に対してこんなことをしているのかと驚きました。が、この記事のことを日本滞在が僕のイギリス滞在より長い西洋系「白人」の友人に話したところ、「僕だって、日本に戻ってくるたびに呼び止められるよ。正直、うんざりしているよ」とのことでした。

 日本のことだけをイギリスのメディアから拾ってきた短い記事で糾弾する、というのは趣旨ではありません。上の記事ではテロリストへの恐怖に駆られてこのようなことが世界の多くの国で行われているであろうとのことですが、イギリスでは非EU圏出身の芸術家が締め出されることが多くなってきています。

Overseas artists boycott Britain in protest at visa clampdown
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/jul/10/visa-immigration-boycott-poet

A growing number of foreign artists, ranging from grassroots fringe performers to world-renowned stars, are ruling this country out of their future travel plans due to difficulties with obtaining visas.

"The current points-based visa system places a huge financial and bureaucratic responsibility on artists," added Heawood. "To invite just one artist to the UK as a 'licensed sponsor' costs over £500. This might be affordable to large institutions, but is far too expensive for small groups. The UKBA don't understand writers and artists, and they don't understand the value of art and literature to the UK economy and society."


Bureaucracy is turning Britain into a cultural backwater
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/jul/10/musicians-immigration-britain-cultural-backwater

It is amazing Britain treats world-class artists in this demeaning manner. Sadly, his story is not unusual. For it does not matter how famous or talented they are. Non-Europeans wanting to entertain British audiences must endure a bureaucratic nightmare which, combined with rising costs, increasing delays and occasional consular rudeness, is deterring more and more of them from coming here. Britain is taking itself off the cultural map.

One cellist with the Baltimore Symphony Orchestra who flew in to play an unpaid show was grilled for eight hours then deported for having the wrong visa. Even Grigory Sokolov, perhaps the world's finest concert pianist, has taken the UK off his touring schedule in anger at our intrusive visa process.

Musicians who tour the world to earn a living must hand over passports for up to 15 working days to perform in Britain.

"The relationship of the world's artistic community with Britain is very bad and, as a result, Britain is missing out on some of the world's greatest artists," said Jay Visva Deva, an arts consultant who has spent 35 years working with performers from Asia. "More and more artists just don't want to come back to Britain now."

Even if the mistake is made by British officials, the artists carry the cost.

The alternative is that at a time when the world is shrinking and western influence is diminishing, we miss out on the most dynamic, inspirational and influential voices from the developing world. Ultimately it is us, not them, who are the losers.


 この二つの記事を7月上旬のオブザーヴァ紙で読んだとき、悲しく感じたことが二つ。あからさまには書かれていませんが、人々に喜び、楽しみ、そして時に新しい地平を見せることができる芸術家ですら、金を持っていないとイギリスに入国させてもらえないという事実。この金云々については一般市民にも関連してくる記事を最後にリンクしておきます。

 二つ目は僕個人の音楽遍歴に関係すること。30年ほど前、輸入版に解説をつけただけの「WOMAD」という民俗音楽、および世界中からそこで人々に愛されるポップスを集めた2枚組みのレコードを買いました。目当ては、このウォーマッドを実現させたピーター・ゲイブリエルの「Across the river」。この一曲だけを聴くことができればいいや、という不純な動機でした。
 結果。このウォーマッドを聞かなかったら僕の音楽の地平は全く違ったものになっていたことは確実。それほどの衝撃でした。ヌスラットのカッワーリに頭をはたかれ、アフリカ発のカラフルなギター・ポップを口ずさみ、レコードが文字通り擦り切れるまで聞きたおしました。当時、移民問題、テロリストなんて発想を持つことすらないまま日本の片隅にいた僕には、「こんなレコードを作り上げ発売できるイギリスって、なんだか変だけど凄い国なのかもしれない」と感じられました。

 それが今ではこの有様。一つ目の記事の後半に、イギリスのボーダー・エイジェンシィが足止めした、もしくは入国させようとしなかった芸術家のリストがあります。日本のバレエ・ファンには、ポリーナ・セミオノワが危うく入国できなかったという事実に驚くのではないかと思います。

 前回、日本人はもっと外に出ても良いのではないかと書きました。その考えのままです。しかしながら、今の世界は「ボーダー・レス」なんて言葉も態度もないと認識したほうが良いくらい、移動しにくい現状になりつつあるように思います。ロンドンからこんなことを書いても説得力ないですが、EU圏が非EUを締め出すことを強化するのであれば、日本はアジア諸国ともっと協力し合うほうが理にかなうようにも考えます。

 連立政権とは名ばかりの、保守党主導でどんどん締め付けられている移民政策。一般市民の生活にもまた、影響が出始める動きがあります。

Poor to be banned from bringing spouses to the UK from overseas
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/jul/13/home-office-proposals-family-migration

Immigrant relatives face five-year wait to claim benefits
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/jul/13/immigrant-relative-claim-benefits

 この二つのリンクの内容とは全く関係のないことで現在、個人的にあることに挑戦しています。が、「非EU圏からの移民」というステイタスの効力のなさをまざまざと実感しています。スタートラインにすら到達させてもらえないですから。

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ロンドンで「二重被爆」を観て、読んで

2011.08.29
書きたいと思って資料を保存してある話題はいくつかあるのですが、8月が終わるまでに「これだけは書きたかった」のは、8月16日にロンドンで上映された「二重被爆」、「二重被爆~語り部山口彊の遺言」、そして会場でいただいて読んだ山口彊さん執筆の「二重被爆(朝日文庫)」のこと。

 上映会のこと、そして映画の内容についての詳しいことは、昨年12月に真っ先にBBCへ抗議のメイルを送ったYoshiさんのブログを読んでいただいたほうが大いに参考になると思います。

http://playsandbooks.blogspot.com/2011/08/blog-post_19.html

 簡単に僕個人の感想を記しておくと、この二つの映画、そして山口彊さんの体験と思いを間接的とはいえ知るとことができて本当に良かったです。戦争の体験というのは、人間の尊厳にかかわることゆえ、生の感情のほとばしりをどう受け止めていいのか、というよりも受け止めなければならないのか、という感情がありいつもできるだけその中心には行かないようにしています。

 しかしながら、映画の中で二重被爆の経験を語る7人の皆さんの言葉は悲しみにあふれている一方で、とても温かく心にガードを張り巡らせる必要はありませんでした。
 上映会を前に、イギリスのある新聞のコラムで、「今の時代ほど戦争が起きている時代はない」とかかれていました。確かにそうだと思います。映画の中で二度も被爆された皆さんが語る言葉を聞いていて思ったのは、「国民にこれほど悲惨な戦争を強いてきた日本が、どうしてもっと国際平和を強く訴えることをしてこなかったのだろう?」。

 会場でYoshiさんから「二重被爆」の文庫本を譲っていただきました。先週、ぽっかり時間が空いたときに読みました。何度も読みました。映画の中で、人々に自身の体験を語るとき、何度も涙を流していた山口さんが、どうして涙を流さなければならなかったのかを、この本を読むことでようやく理解できました。右翼、左翼、保守とか革新なんてカテゴリィが吹っ飛ぶほど、そんなカテゴリィにしがみついている限り、日本の平和運動・核廃絶運動は先に進まないということも思いました。また、原爆については深く知ることをしり込みしていた自分が恥ずかしかったです。
 しかしながら、最も強く感じたのは、改めてBBCへの怒りです。8月6日に広島で被爆し、全身に大やけどを負いながら翌7日に、家族が待つ長崎への列車に力を振り絞って乗り込む山口さん。高熱にさいなまれながらもなんとか長崎に到着し、応急手当受けてやっと家族の皆さんと再会。そして8月9日に大やけどをおして出社し、広島で何が起きたのかを説明しているときに2度目の被爆。
 BBC、もちろんこの真実を知りもしないだろうし、いまさら知ろうとも思わないでしょう。8月6日に広島で被爆した山口さんが動いていた列車に乗って戻った長崎で再び被爆した。ただ単に、その表層部分だけに飛びついて「世界一運の悪い男」と取り上げた。「二重被爆」を小規模ながらも内部で上映した国連がBBCに平手打ちでもしてくれれば良いのに。いつか、BBCが彼らの心の底から山口さんの家族に謝罪する日のために、まだ始まったばかり。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1311.html

 他方、自省をこめて、Yoshiさんをはじめ多くのメディアが動いたあのときに日本側が「二重被爆」、そして核廃絶についての姿勢をもっと鮮明にBBCに伝えることができていたら、と。
 もう一つ、山口さんのご家族のことで僕が言葉を失ってしまったことがあります。山口さんの弟さん、沖縄戦で戦死されたそうです。敗戦後、渡された白木の箱に入っていたのは弟さんの遺骨ではなく、石ころが一つだったそうです。戦争の狂気、決して忘れるべからずとの思いを改めて強くしました。
 さらにさらに。「二重被爆」の上映会で稲塚監督に、原子爆弾開発の歴史を描いたオペラがアメリカにありますよと紹介した、「ドクター・アトミック」の感想。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-994.html

 今回読み直してみたところ、ポストの後半にガーディアンが山口さんのことを伝える記事をリンクしていました。いまさらながら、あの上映会の会場に、一社でも良いからイギリスのメディアに参加して欲しかったです。

 山口彊さんがこの本を書き上げたとき、ご本人がメッセイジをこめたいと考えたのかどうかはもちろん僕にはわかりません。僕の思い込みに過ぎないでしょう。でも、山口さんのいくつかの文章は、日本やイギリスという狭い枠組みを超えて生きていくことの意味を真摯に問いかけているように思います。前後に関連なく抜粋すると、山口さんが意味するところと違ってくるかもしれないので、興味を惹かれたら、是非文庫本を手にしてみてください。


人は自分の中で決着すべき葛藤を、他人への支配や富の独占といった違う欲望に置き換え、自分自身の心を見つめることを怠っていることが多いのだと思う。争いの根源は人に、心にあるのだというのは確かにそうだ(pp4-5)。

原爆によって私の体と人生はひどくえぐられたが、その傷だけが私のすべてを物語るわけではない。私の人生はその外に広がっている(p23)。

日本人はだんだんと嘘を嘘と知りつつ受け入れ、また嘘を話さなくてはならなくなった。踏み止るべきところで踏んばれないまま、ずるずると泥沼に入り込んでしまった(p84)。

そこで初めて気づいたのは、格差は不運だとか本人の努力が足りないといった問題ではなく、世の中の仕組みによって生み出されていることだった。不況であっても力のある財閥はどんどん大きくなっていった(p92)。

硬直した精神は、変化を受け入れない。だから、自分以外の考え方を認められない。勇ましい人は、臆病さを軽蔑するが、他人の考えを認められないものこそが勇気のない意気地なしなのではないか(p233)。

被爆は、そもそも隠すか隠さないかといった世間体のレベルの問題ではない。原爆が問題なのだ。その根を絶たないことには、悲劇は繰り返されるかもしれない。そのことをもっと根本的に考えないといけない(p265)。

世界は「より過激に、より大声で訴える人の言うことが正しい」、そんな様相を呈しているように思える。それは私が戦中、嫌というほど見た光景だ。同じことがまた繰り返されているようにもみえる(p271)。



 日本の首相が替わることは、もはや世界各国の国際ニュースのトップではないという事実。今の日本は失うものなんて何もないのだから、内向きにならないで、もっと外に飛び出して欲しいです。

在イギリスのメガ・リッチが声を挙げない理由

2011.08.27
二つ前のポスト(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1438.html)の最後の部分で、「アメリカやフランスのビリオネァたちが、国家の財政危機とほかの改装の人たちと困難を分かち合うためにもっと税金を払いたいといった動きへの賛同は、イギリスでは出ない気がする」と書いた。

 予想したとおり、在イギリスのメガ・リッチ(イギリス人、非イギリス人共に)からは、何の反応も出ていないように思う。ただ、8月26日付のガーディアンにコラムが掲載された。

Warren Buffett is an example to British billionaires
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/25/warren-buffett-british-billionaires

such a gesture on the part of the mega-rich suggests that they are at least aware of their good fortune. For some reason, this is not an awareness that seems to have spread to the British plutocracy(富豪階級). Far from offering to pay more taxes, all we hear from them is grumblings that we will all be doomed unless the present 50% top marginal rate of income tax is reduced.

British billionaires tend to be too disconnected from the rest of society and generally out of sympathy with it. They are also loth to admit that luck has played any part in their achievement, whereas Buffett has said that he got rich not "because of any special virtues of mine or even because of hard work, but simply because I was born with the right skills in the right place at the right time"


 ビリオネァへの税金が増やされたからといって一つの国の財政がすぐにたちおなるわけではないであろうという意見は冷静な見方でうなずける。また、アメリカとフランスのビリオネァたちの思惑はほかにあるかもしれないが、彼らが起こした行動は国内の各階層の結びつきに好影響をもたらすかもしれないと読める論点は興味深い。

 でも、僕自身が考えていたこととはちょっと違っている。僕が在イギリスのメガ・リッチから常に感じるのは、彼らの口座を離れた彼らの金は、必ずまた口座に戻ってこなければならない。その際には、余剰の価値が付加されていることに議論の余地はない、という姿勢。つまり、見返りがないことに投資はしない、と。税金を払わされるなら、先に恩恵を確保してくれなくては強制されても払う気なんてない。古いたとえだけど、「三方一両損」という発想は在イギリスのメガ・リッチにはないと感じている。また、イギリスの財政政策がそのような偏狭なビリオネァを引き寄せ、優遇してきたことも忘れるべきではない。

 今日、27日のガーディアンで、ポリィ・トインビィ女史がそれに近いことをコラムで書いている。

Where is Britain's Warren Buffett or Liliane Bettencourt?
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/26/buffett-bettencourt-tax-rich

In Britain this week, instead of calls to pay more tax, Sir Ronald Cohen, private equity tycoon, helped launch a plan for the wealthy to invest in projects to improve the poor – not as philanthropy but for a return of between 2.5% and 13%: the government will pay out rewards for future costs saved by social interventions. (Sir Ronald is the man credited with persuading Gordon Brown to cut capital gains tax from 40%, to a disastrous 10%, setting off a private equity and property boom, as the rich rebranded their income as capital gains.)

It's a novel solution to extreme inequality, inviting the rich to make money out of the poor.

if targets are missed you can bet the state will pay out anyway. So the risk will not be transferred from taxpayer to investor, but the state is borrowing expensive money to pay back later come what may. The public accounts committee will need a beady eye on money wasted on a fancy financial vehicle. If it looks too good to be true, it probably is.

Here's what David Cameron said about rioters: "The root cause of this mindless selfishness is the same thing I have spoken about for years: it is a complete lack of responsibility in parts of our society. People allowed to feel that the world owes them something, that their rights outweigh their responsibilities and that their actions do not have consequences."

Just so, but Britain lacks a Buffett or a Bettencourt to bring the rich back into the responsible society, to reel in their soaring separation from the rest. Investing in poverty bonds for a 13% return isn't quite the same.


 正直なところ、書かれているロナルド・コーエンなる人物が進めるボンドの仕組みはよく判らない。トインビィ女史が書いていることを信用するなら、このボンドに投資した金持ちは、たとえボンドが機能しなくても全く損はしない。なぜなら、政府が保証することになるのだから。そうなれば、金持ちの投資の失敗の尻拭いをするのは、一般納税者ということになるのだろう。

 ちなみに今日読んだのはガーディアン、タイムズ、そしてインディペンデントの簡易版。ガーディアン以外ではこのような論調の記事は全くなかった。タイムズはマードック、インディペンデントはロシアのビリオネァが所有、そしてテレグラフはイギリス人の双子兄弟が所有。こういうところで、メディアが誰に所有されているかという点が浮かび上がってくる。ガーディアンが左派だということはわかっているし、すべてを鵜呑みになんてしないが、極端な差異は不健全と感じる。

 本題に戻ると、一般論として論じることはできないことは承知しつつ、イギリス社会の資産の上位9割を占めるであろう、社会構成上1割にも満たないメガ・リッチは自分たちが属する階級から一歩も踏み出る気はないのではないだろうか。獲得した富を失いたくない(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1095.html)だけでなく、さらにもっともっととグリーディに。そして、社会も自らが社会を変えていけるという可能性を全く期待していない。イギリスは自らの泥沼にはまり込みつつあるように感じる。

 蛇足だけど、ガーディアンはグーグルのチェアマンがイギリス社会をどう捉えているかというレクチャーを大きく取り上げている。

http://www.guardian.co.uk/technology/2011/aug/26/eric-schmidt-chairman-google-education

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/26/luvvie-boffin-digital-computing-television

 はるか昔に斜め読みしたC.P.スノーの「二つの文化と科学革命」を思い出した。

女王蜂の化けっぷり

2011.08.27
多分7月だったはず。ロッキングオンのサイトで、「女王蜂」という、デビュウして2年弱くらいのインディ・バンドのライヴ評を読んだ。なんか惹かれるものがあったので検索してみると、今年の3月に発売された「魔女狩り」というフルアルバムに収録されている「待つ女」のPVを見つけた、観た、はまった。

 ロッキングオンでは「国籍、性別、年齢不詳」となっていたけど、歌っている姿を見ればそのあたりはだいたい判る。が、個人的に面白く感じたのは、曲の間奏でヴォーカルのアヴちゃんがマシンガンを乱射するシーン。これは、男性の視点の発想だと思った。アヴちゃんのように細い身体をした「女性」がマシンガンを乱射したらこんな風に振舞うだろうな、というように感じた。

 耳に残るヴォーカル、判りやすいメロディを豪快に鳴らすバンド、そして戸川純的「待つ女」と女王蜂的「待つ女」の印象の違いが面白くて、商業音楽としては本当に久しぶりにライヴを観たいと強く感じる。

 メジャー・デビュウが決まり、「モテキ」という映画で使われる「デスコ」のPVを女王蜂の公式サイトで見る。

http://www.ziyoou-vachi.com/index.html

 変化の速さが凄い。「待つ女」も素晴らしい出来のPVだけど、なんだか10段階くらいを一気に駆け上ってしまったよう。

 異端からメインストリームに飛び出す瞬間を見ることができるなんて滅多にない。異端のポジションをキープしたままメインストリームで花火のように咲いて散るのか。王道になびいて朽ちるのか。それとも、「女王蜂」という刻印を音楽業界の胸元に叩き込むのか。ライヴが観たい。

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非暴力で進む変革:チリの学生運動

2011.08.25
体調不良で時間ができたのを利用して、最近では読みきれないままの日刊紙をじっくりと読める機会を持てた。なんと幸運なこと。で、ガーディアン紙をじっくりと読んでいて国際面で大きく紹介されていたのが、チリの学生ユニオンの女性リーダー、Camila Vallejosによって主導される非暴力の学生運動が国を変えつつあるという話題。

Chile's Commander Camila, the student who can shut down a city
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/24/chile-student-leader-camila-vallejo

 連日報道される、シリアとリビヤでの殺し合いのニュースに感覚が麻痺してきていると感じる現在、カミラさんが牽引する「非暴力」を掲げて進められ、記事から推測するに多くの人から支持を得ている教育改革を求める運動には、胸のつかえが取れるように感じる。
 メディアを責めるのは簡単だけど、それでも、メディアによる大量報道によって「改革には暴力と流血が伴うのは必然」という空気が、今のイギリス社会に蔓延しているように感じられてならない。


"There are huge levels of discontent," said Vallejo in a recent interview. "It is always the youth that make the first move … we don't have family commitments, this allows us to be freer. We took the first step, but we are no longer alone, the older generations are now joining this fight."

"We don't want violence, our fight is not versus the police or to destroy commercial shops … our fight is to recover the right to education, on that we have been emphatic and clear," said Vallejo as she stood outside the presidential palace.


 チリは日本から、そしてイギリスからも遠い国。でも、日本にとっては、地震と津波の経験と知識を共有できる太平洋をはさんだ隣国。その隣国で起きている、国の一つの政策を変えるほどのプロテストが学生、そして世代を超えて多くの人によって進んでいることを日本にいるひとは知っておいても良いのではないかと考える。
 党の新しい代表を決めるのに、いまだに小沢一郎の表情を伺わないと何もできない政治家を駆逐できるのは国民だけ。国の将来を決めるのは政治家ではないです。国民です。今回のチリでの動きは、国民が確かな声を挙げれば、国が動くことを多くの人に思い出させるのではと思う。

 もう一つ。日本でも報道されたフランス発のニュース。

France's rich keen to pay more tax as PM Fillon announces 'rigour package'
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/24/wealthiest-french-citizens-ask-to-pay-more-tax

 イギリスでは、このような動き、出てこないように思えてならない。

喜びを分かち合う、喜び

2011.08.22
今月の最初の週末、ロンドン北部、トッテナムからイングランドの広範囲に広がった暴動(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1425.html)から2週間が過ぎ、街自体は表面上は平素に戻ったように思う。今かまびすしいのは、この暴動の本当の原因について、もはやその姿はこっけいとしか言いようがない政治家による、延々と続く無駄な議論と、責任のなすりあい。

 今回、暴動が起きたことについては、心の底から驚いた。他方、一人の外国人に過ぎない僕が考えをめぐらしても虚空に吼えているだけのような気がしている。

 そろそろ、メディアでも原因探しの材料が尽きてきたかなという印象の先週末、興味を惹かれるコラムがガーディアンのオブザーヴァ両紙に掲載された。

How sad to live in a society that won't invest in its young
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/19/sad-society-young-riots

Historians will, I hope, be shocked that we let austerity bear down hardest on the young. No more mouthing of political platitudes that "the children are our future" in a country that is inflicting extraordinary damage on their chances, while protecting the privileges of the older and better off. In good societies it is the natural instinct to invest most in the young. Only a profoundly sick society would be doing the opposite. But there are more votes in the old than in the young and an ageing population fears and despises young people with even greater intensity than usual.


Blaming a moral decline for the riots makes good headlines but bad policy
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/20/tony-blair-riots-crime-family

Why are the failings of capitalism only being exposed by the right?
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/21/ed-miliband-capitalism-rightwing-critics

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1436.html
(興味のある方は、コピペしてください。取り扱いはご注意のほど)


 2番目のリンクは、トニー・ブレア元首相によるもの。偏見を捨てて読んだつもりだし、いくつかの文章には賛同する。しかし、彼が現役首相のときと同じようにレトリックが多いなという印象を捨て去ることはできなかった。

 今回の暴動の原因、というか長い時間の間に澱のように社会の隙間にたまっていた不満は、収入、階級、そして世代の「格差」から生み出されたのではないかという議論はとても興味深い。その点からすると、最初のリンク、ポリィ・トインビィが書き表している世代の格差、とりわけ若い世代が追い込まれた四面楚歌のような社会状況についてはもっと多くの議論、そして行動が必要なのではないかと感じる。
 今回の暴動の原因について多くの議論が袋小路にはまり込んでしまうのは、一つの大きな原因に絞り込めないからだろう。「世代格差」一つでも、若い世代とベイビィ・ブーマー世代の格差だけではないだろう。30代と40代の格差だってある。

 にもかかわらず、僕は歳上の世代だけを非難するのは的外れな気がする。トインビィが書いているように、今の60代以上は、例えばロンドンならグレイター・ロンドン域内の公共交通機関を無料で利用できるフリーダム・パスを利用することができるし、かなり暖房施設が整っているロンドンですら、冬の暖房費援助は受け取る年金の総額が多くても多くの年金受給者に支給される。
 単にその恩恵を利用している外国人移民が多くいるのも事実。また、生粋のイギリス人の中にだって、社会福祉制度を悪用している輩もいるだろう。でも、多くの年配のイギリス人は、若い頃身を粉にして働いてきたはず。歳上の世代がどのような時代に、どれだけ働いてきたかを、若い世代は知っているのだろうか。メガ・リッチとしてもっと多くの税金を払うといったバフェット氏だって、その富を手にするためにどれだけ働いてきたのかを、彼の巨額資産の数字だけに羨望する人は知っているのだろうか。

 どうしてこのような思考の彷徨から、こんなことが導き出されるのかと問われても明確な道筋は示せないけど、社会不安、経済不安の国で生活している多くの人(僕自身も含む)は、喜びを分かち合うことがどれほど幸せなことかということを忘れてしまったのか、それとも知らないままなのか。歳上の世代が犯した過ち、というか避けてきたことは彼ら自身の成功や幸せを若い世代と共有する場を設けてこなかったことなのかなと。
 
 分かち合わなければならない痛みがそこかしこにあふれ、リアリティ番組の勝者がひけらかす実体の伴わない「成功」を自分でも手にしたいとあがき、つぶやくことで自分の存在を一瞬だけさらすことが幸せと思い違いしている人たちにとって、普通の生活の中から生まれる幸せをいつくしみ、それを分かち合うことで今の社会の土台が築かれてきたのではないか、と考えることをしても良いのではないかと思う。

サイに角がなかったなら

2011.08.21
Rhinos-feed-at-Mauricedal-007.jpg
(ガーディアンの記事から)

Rhinos threatened with extinction to meet demand for bogus cancer cure
http://www.guardian.co.uk/environment/2011/aug/20/rhinos-threatened-extinction-cancer-cure

8月21日付のオブザーヴァ紙を開いて目が釘付けになったのは上記の写真。5秒間くらい、写真の動物がなんだかわからなかった。

 記事に書かれているように、これらのサイは「農場」で育てられていて、角は密猟の犠牲で殺されないようにすでに手術で切り落とされている。
 サイがサイたる所以は、その角があるからだろう。その角のために殺されるサイ。

 記事を読んでいる途中から気になり始めたのは、グリーンピースのようなエコロジカル・ガーディアンを標榜する団体はこの課題に取り組んでいるのだろうか、ということ。記事の後半にWWFが出てくるだけ。

 僕は捕鯨に関しては自ら議論に参加する意思はないし、また、日本の捕鯨がいつか廃れていくとしたらそれはそれで仕方ないだろうと思っている。だから、外野は口出しするな、という思いが常にある。

 グリーンピースやシー・シェパードがサイが直面する人間による虐殺をどう考えているのだろうか。単なる推測だから批判があれば訂正するけど、記事の中の「Game」という言葉が引っかかる。農場で飼育されているサイは、育てられてはいるけど、他方、富裕層の「余暇」である狩猟ゲイムに使われているのではないだろうか。そしてその狩猟ゲイムに興じる富裕層がエコロジカル・ガーディアンたちの資金源だあるために声を挙げない。

 まったっく状況は違うことは承知しているけど、この記事を読んでいるときに、「日本昔話」で見たある話を思い出した。「キジも鳴かずば撃たれまいに」。


La Wally@オペラ・ホランド・パーク

2011.08.20
8月10日に、ノッティング・ヒルの一つ先にあるホランド・パークで、毎年6月から8月にかけてもよされる「オペラ・ホランド・パーク」の今年のプログラムの一つ、アルフレード・カタラーニ作のオペラ、「La Wally」を観てきました。そんなオペラ聞いたことないという方が多いと思いますが、ご心配なく、僕も初見でした。が、このオペラが存在することは30年前から知っていたので観る前はわくわく、どきどきが入り混じったもの。観終わってからの感想は、観ることができてよかったし、音楽も予想以上に楽しめるものだったけど、このオペラを観たいと思ったきっかけを凌駕するものではなかった、というもの。

http://www.operahollandpark.com/

Conductor Peter Robinson
Director Martin Lloyd-Evans
Designer Jamie Vartan

Wally Gweneth-Ann Jeffers
Stromminger Stephen Richardson
Afra Heather Shipp
Walter Alinka Kozari
Hagenbach Adrian Dwyer
Gellner Stephen Gadd
Il Pedone Charles Johnston


あらすじ(ウェブからの転載)
Act One
A shooting contest is being held to celebrate the 70th birthday of Wally’s father, Stromminger. A hunting party arrives led by Hagenbach and an argument develops between him and Stromminger until he is led away. Gellner is in love with Wally and notices during the argument that she is infatuated by Hagenbach, her father’s enemy. He tells Stromminger and he insists Wally must agree to marry Gellner within a month or leave his house. She retorts she would rather be out in the cold that marry him.

Act Two
Time has passed, Stromminger has died and Wally has inherited his fortune. Hagenbach has become engaged to Afra, a landlady. There is a festival taking place and Wally makes her way to a tavern, knowing that Hagenbach will be there. Hagenbach is persuaded to accept a challenge to win a kiss from Wally. Hagenbach wins and when Wally realises she has been the victim of a cruel bet she becomes furious and insists to Gellner that if he truly loves her he must kill Hagenbach.

Act Three
Wally has returned home and with her anger subsiding wishes she could take back what she asked of Gellner. Gellner enters and tells her how he set upon Hagenbach and hurled him into a ravine. Wally rushes to the ravine in the hope of saving Hagenbach and successfully captures his unconscious body.

Act Four
Wally, very lonely, is in the mountains above the village. Her friend Walter follows her and pleads with her to come down for festivities in the village. She sends her away and contemplates her own death. She then hears another voice, this time Hagenbachs, who has recovered and has come to declare his love for her. Hagenbach goes to look for a safe path to take them both back, but when he shouts to Wally his voice causes an avalanche which carries him away. Wally then throws herself to her death.


 先に観られた方の感想のほうが、この作品をきちんとオペラとして感想を書かれています。

http://dognorah.exblog.jp/16708842/

 カタラーニ自身は39歳と若くして亡くなったそうです。彼がオペラ作品をいくつ残したのかは知りませんが、第1幕の前半を除けば音楽はとても魅力あるものでした。逆に物語が、19世紀後半でこんなおばかな話ありなのかと個人的には思います。
 続けざまではないにしても何度も観たい、と強く思わなかったのは音楽と物語のバランス。どうして脇役がこんなに鮮烈なアリアを割り振られているのか。この見せ場で、ワリィとハ-ゲンバッハに聴衆の心をわしづかみにするような甘美な旋律を与えなかったのはなぜなんだ、と感じることが何度もありました。

 このオペラを観たかったのは、30年前に作られたフランス映画でした。ジャン・ジャック・ベネックスのデビュウ作、「DIVA」。この映画の中で、自分の歌を録音することをかたくなに拒否するソプラノ歌手が歌うアリアが、「La Wally」の一幕最後で歌われる、

Ebben Ne Andro Lontana
http://www.youtube.com/watch?v=2hsmoo97CVA

22144295-jpeg_preview_large.jpg
(「ディーヴァ」から)

http://kzy.com/diva/wally.html

 ありていに言えば、8月10日にこのオペラを体験するまで、このアリアがどの場面で歌われかを知りませでした。さらに、歌われている内容なんて考えたこともなかったです。この世界にオペラという芸術があることすら知らなかった1981年に、このアリアによってもたらされた「美」のインパクトが大きすぎたのだと思います。
 もしかしたら、舞台でワリィを演じたジェファーズのほうが、歌唱的には優れているのかもしれません。また、この映画以降、オペラの世界でフェルナンデスの名前を見たことはないので、もしかしたら正当なオペラ歌手ではなかった可能性も考えられるのかもしれません。でも、この映画、突き詰めれば映画の中で歌われた「歌唱」とフェルナンデスが発するオーラを超える舞台には巡り会えないのかもしれない、というのが観終わったときに心の中に湧いてきた想いです。本当に、初見呪縛から逃れることは並大抵のことではないです。

Diva_Wilhelmenia_Wiggins_Fernandez-.jpg


 昨年観た「真珠とり」(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1223.html、これにいただいたコメントで今回の上演を知ることができました)、このオペラ、さらに強引かもしれないですが「ルザルカhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-190.html)」のように、オペラ全体の魅力より、その中で歌われるキラーチューン的アリアがそれらのオペラを観ていなくても観た気にさせてしまうことで、滅多に上演されなくなってしまった不遇なオペラってまだあるのかもしれないなとも思いました。だた、「ルザルカ」は上演される機会がほかの二つと比べるとやや多いかもしれないです。確か昨年だったかグラインドボーンで上演されたはずだし、来年前半に、ロイヤル・オペラが上演する予定になっています。

白い弁当箱:ロンドン・オリンピック・サイトの写真

2011.08.13
Olympic.jpg

この白いのは、バスケットボール・アリーナ。解説のおじさんによると、オリンピックのあとは解体されて、確か一部は2013年のチェルシィ・フラワー・ショウの会場で使われることになっているとか言っていたような。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157627422860624/

 写真の説明にも加えたように、選手たちが泊まるアスリート・ヴィレッジがカタールの会社に売却されたそう。カタール、イギリスの土地や建物を買いまくっている。

Olympic Village snapped up by Qatari ruling family for £557m
http://www.guardian.co.uk/sport/2011/aug/12/olympic-village-qatari-ruling-family

 この売却に限ったことではないようで、ツアーで聞いた説明の内容の半分以上が「金」に終始していたように思う。あえて言えば、自分たちが冒したとり返しようのない失敗を正当化するためになりふりかまわずに収支を合わせなければ、そんな印象を拭いきれない。
 東京が2020年のオリンピック開催地として立候補をたくらんでいるとのこと。ロンドンを凌駕するくらいの「商売」に徹する覚悟があるなら、できるなら立候補しても良いのではないだろうか。しかし、カタールが東京を「買う」かどうかと尋ねられたら、2011年8月の状況から考えて答えは「No」かな。地震と津波の影響からではなく、「投資」の対象としては東京はロンドンの狂乱にはいたっていない。
 今日のタイムズ紙の文化紙面に東野圭吾さん(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1421.html)へのインタヴューが掲載されていた。自分は小説家だから、主張したいことは作品の中で述べるとしている東野さんだけど、今の日本をどう見ているかを端的に述べている。

Democracy is still not well established here. We had to choose whether to make a state that worked for the people or make people work for the State, and we chose the second. That was our big mistake.

民主主義は、ここ(日本)ではいまだに確立されていない。私たちは、国民のために働く国を作るのか、それとも国のために働く民を作るのかの選択しなければならなかった。私たちは後者を選んだ。私たちが冒した大きな失敗だ。

 蛇足ではありますが、引用した部分の中で、「a state」と「the State」が示す違いは大きいです。

美味しい大阪:Oishii Osaka

2011.08.12
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オーストラリア人の友人から、ロー・コストで急激に拡張しているAir Asia(http://www.airasia.com/gb/en/home.html)からこんな宣伝が送られてきたというのが、Oishii Oska

30 November 2011, is the day AirAsia X is going to fly you to the gourmet capital of Japan - Osaka! Home of the Takoyaki Museum, historical Shitennoji Temple standing strong next to skyscrapers like the Umeda Sky Building and the ocean sized Osaka Aquarium Kaiyukan. Osaka is truly a unique city of its own, defining itself away from the rest.

But that's not all; just take a look for yourself at all the magnificent things you can experience in Osaka from only AUD 84!

This kuidaore (eat till you drop) city is definitely a food lovers haven. Dubbed the gourmet capital of Japan, this is where you should indulge in Takoyaki, Shabu-shabu, battera and many other mouth-watering Osakan specialties.

Rows upon rows of shops greet you as you step into the biggest shopping district Shinsaibashi-suji, From the western influenced Amerika-mura to the Shinsaibashi Shopping Arcade, you can find almost everything under the sun here.

The symbol of Osaka built in 1583 has been reconstructed to a museum with numerous artefacts from the Toyotomi period. Whereas the grounds are still filled with picturesque sakura trees and the astounding Golden Tea Room.


 
 ポスターのイメイジにはかなり引いてしまう。結局、いまだに日本のことを外国人にわかってもらうにはこの程度なのかと。一方で、こんな風に東京以外の日本を外国人が訪れる機会が増えていくのは、日本にとっては刺激になることなのではと思う。
 大阪、実は一度も足を踏み入れたことがない。「美味しい」んですか?、大阪の皆さん。粉物の中で、たこ焼き、お好み焼き、もんじゃ系統のものには全く食指が動かないので、友人が行くことになったら感想を訊いてみよう。

鬱病啓発ポスター、モデルつき

2011.08.11
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撮影協力:Kat Kat


La Wally or DIVA

2011.08.10


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Hopefully, my dream comes true tonight in London.



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ロンドン・オリンピック・パーク、見学バス・ツアー

2011.08.09
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オービット・タワー。前回から変化はあるものの、本当に完成するのか、これ?)

暴動3日があけ、寒風が吹きすさび(8月です)、雲ががんがんと流れるロンドンではありましたが、ロンドン・オリンピック・パークの内部見学バス・ツアーに参加してきました。商業目的と偏った愛国心をあおる道具でしかなくなった現代オリンピックには全く思い入れはありません。が、ロンドンがどのように変貌していくのかを観てみたい、という点ではこれほど面白いものはありませんでした。参加しようかと思われている皆さんのために、要点を簡単に。

 このバス・ツアーを運営しているのは、Olympic Delivery Authorityhttp://www.london2012.com)。6月に一般に開かれている場所から見学したとき、

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1407.html

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157626973507393/

見学者を乗せたバスが走っているのを観たので調べたところ、参加した人が書いた感想に電話番号が掲載されていて予約しました。オリンピック・パークへの行き方は上記のポストを参照してください。

 見学実施日の2週間前に送られてきた手紙には、大きなかばんは持ってくるなとかの注意事項のほかに、もっとも大切な情報として身分証明書を忘れないようにと繰り返し記載されていました。セキュリティは厳しいのだろうと想像していましたが、想像以上でした。まさに、国際空港並みの持ち物検査。参加されるときには不要なものはできるだけ持っていかないことをお勧めします。

 身体検査が終わり、ツアーバスの前で記念撮影をしたとたん、女性運転手が手を振りました。何事かと思ったら、「パーク内はセキュリティ・エリアだから写真を撮るのはバスの中からだけです」、とのこと。フィルム没収かなと一瞬不安に思いましたが、それはありませんでした。

 予約でいっぱいと聞いていたのですが、30人ほど乗れるバスに、参加者は20人くらいでした。ガイド役の男性の説明は立て板に水の如し、内容もとても面白いものでしたが前半は写真を撮るのに夢中で、あまり覚えていません。でも、話された内容は、ロンドン五輪の建物のすべてはオリンピック後の再利用のことを如何に考えて設計・建設されているとか、外国からの参加者のためにどれほど広大な「イングリッシュ・ガーデン」を造営する等々、ポジティヴなことばかり。さらに、シドニィ、アテネ、そして北京と比較してロンドン五輪の予算は1ペンスたりとも無駄にしない、ということを何度も強調していたのは、深読みすればそれだけ批判が寄せられているのだろうと想像します。

 一般報道では、オービット・タワーを除いてすべての施設の建設が終わっているとのことでしたが、選手村周辺で作業があるとのことで、選手村を間近で見ることはできませんでした。それにしても、敷地は本当に広大です。バスは見学者がきちんと見られるようにゆっくりと走りましたが、所要時間は1時間。個人的に、「ここはやっぱりイギリス」と感じたのは、建設現場で実際に働いている人がほとんどいない。パーク内の移動バスの停留所でタバコ休憩をしている人は沢山いました。挙句に、トラクターを運転しながら携帯電話でテキストを打っている運転手には、ガイドの男性も何をしているんだかと溜息をついていました。パーク内は、「ワンダーランド、イギリス!」という雰囲気が満載でとても楽しかったです。

 前述のポストに書いたように、9月のオープン・ハウス・ウィークエンドにはバス・ツアーの本数が増やされるようです。一応、専用電話番号は聞いたのですが、間違っている可能性も無きにしも非ずなので、興味がある方は今週中に、0300 2012 001に電話して尋ねてみてください。予約の受付は、8月15日の予定ですがこれも確認を。9月までの通常の週末のツアーは予約を締め切り、また10月以降もこの見学バス・ツアーが実施されるかどうかが決まっていないらしいので、興味をもたれた方は今週中に確認したほうが良いでしょう。

暴動に揺れるロンドン、8月9日

2011.08.09
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(この写真を、ガーディアンの1面に見つけたときは、正直、とてつもない衝撃を受けた)

安否を気遣う連絡をいただき、ありがとうございます。幸い、住んでいる周辺は昨晩までは暴動もなく、ただ、警察の車がサイレンをけたたましく鳴らしながら走り回る音が数分おきに聞こえる程度です。

 後述するつもりですが、今朝は、ロンドン東部のストラトフォードにある、建設が進むロンドン・オリンピック・パーク内の見学バス・ツアーに参加することになっていました。で、参加してきました。
 ストラトフォードは、暴動が起きた地区の一つ、ハックニィとは目と鼻の先。なのでもちろん、出かける直前までは心配でしたが、一方で、今、ロンドンでセキュリティが最もしっかりしているのはオリンピック・サイトであろうと確信していたので、行ってきました。

 ストラトフォード駅では、交通警察官やロンドン・メトロポリタンの警察官が巡回していました。何事も起きてはいなかったものの、僕の思い込みが過ぎたのかもしれませんが、駅故内の雰囲気はちょっと異様なくらい静かに感じました。バス・ツアーの受付デスクの男性によると、8日のバス・ツアーのうち最後の回は、暴動の広がりを懸念してキャンセルになったそうです。

 幸いバス・ツアーは無事に終わり、一緒に参加した友人と、今度はロンドンの西、ノッティング・ヒルへ移動。昨晩、イーリングとノッティング・ヒルでも暴動が起きたというニュースには、とても驚きました。ノッティング・ヒルで起きたのは、ミシュラン二つ星のレストランにギャングが乗り込んできて食事をしていた顧客から宝石を奪ったというもの。
 そんな地域にわざわざ行くのはどうかと思われる方もいると思いますが、ま、昼間だから大丈夫だろう、と。昼食をとったカフェは何事もありませんでしたが、近隣の有名な文房具店や飲食店の窓に大きなひびが入っていたので、暴動は本当にあったようです。


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 警察がやっと本腰を入れたので、昨晩までの予測不能なほどの広がりはないと思っています。が、夜間、不慣れな場所に行くのはしばらく避けたほうがいいでしょう。今月末のノッティング・ヒル・カーニヴァルは開催されるのかどうか。

世界の話題、8月9日

2011.08.09
*著作権は、日本経済新聞社に帰属します。

日経夕刊20110809

 このコラムが掲載された日に、ロンドン・オリンピック・サイトを実際に見てきた。ガイドの男性は、しきりに五輪後のサイトの再利用を力説していたし、それが実現すればロンドン東部の活力は一気に上がるかもしれない。でも、どうなるかは今の段階では誰にもわからない、というのが事実だと思う。


暴動に大揺れのイギリス

2011.08.09
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Shooting-in-Tottenham-Hal-003.jpg
(写真は2枚ともガーディアンから)

先週末、ロンドン北部のトッテナムで起きた暴動が、ロンドンだけでなくイギリス各地に飛び火している。昨日は屋内にこもっていたので全く気づかなかったがもともと不満要因がくすぶっていた地域だけで起きているようではない。

 現在、観光でイギリスに滞在している皆さん、外出される前に十二分に情報を確認してから出かけるように。また、ガイドブックがなければたどり着けない不案内のところへ行くのは避けたほうがいいかもしれません。


http://www.guardian.co.uk/uk/london

http://www.bbc.co.uk/news/uk/


TeZukA@サドラーズ・ウェルズ、まだチケット沢山余っています

2011.08.08
tezuka_500.jpg
(シディ・ラルビ・シェルカウィ、どうやら高田馬場らしい)

先週土曜日、8月6日付のThe Timesに、9月6日にサドラーズ・ウェルズ劇場で世界初演となる「TeZukA」の振付家、、シディ・ラルビ・シェルカウィの長文インタヴューが掲載されていた(タイムズの記事有料ですが、何とかしてこぴぺするかもしれません、違法ですけどね)。

http://www.sadlerswells.com/show/Sidi-Larbi-Cherkaoui-TeZukA

For Autumn 2011 Sadler’s Wells presents Out of Asia, a season of works originating from China, Vietnam, Bangladesh, Japan and Taiwan. The season includes one World Premiere and two UK Premieres, as well as one Sadler’s Wells Production and two Co-Productions.

Alongside work performed at the theatre, pre and post-show talks are led by Sadler’s Wells Artistic Director and Chief Executive Alistair Spalding; Professor Christopher Bannerman; Sidi Larbi Cherkaoui; Akram Khan; Tezuka expert Helen McCarthy and co-founder of Beijing Dance Theater Wang Yuanyuan.

Alistair Spalding says “At this time of rapid economic development in Asia it seems to me that aside from seeking commercial and business links, we should also explore collaborations on a cultural level. And so, in this season we have invited a number of artists and companies from the region to perform as well as presenting the results of artistic collaboration between East and West, particularly with the TeZukA project.”

The first work in the Out of Asia season is the World Premiere of Sadler’s Wells’ latest production, TeZuka, which takes place from Tuesday 6 – Saturday 10 September. TeZukA is a dance theatre work inspired by the ‘God of Manga’, visionary Japanese animator Osamu Tezuka. Working with a cast of nine dancers, two musicians, an actor and a calligrapher, all drawn from Europe and Asia, Sidi Larbi Cherkaoui explores Tezuka’s fascinating world. TeZukA features a specially commissioned score from award-winning composer and Sadler’s Wells Associate Artist Nitin Sawhney with lighting and visual design by Willy Cessa, plus projections of Tezuka’s original illustrations alongside work by video artist Taki Ueda.

(サドラーズのプレスリリースから)

 日本語はこちらのリンクを。

http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2011/06/22_03.php

http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2011/07/26_04.php

 タイムズのインタヴューから感じたのは、おそらく純粋なダンス公演というよりは、「ダンス・シアター」にくくられる舞台になるようだ。日本公演では俳優の森山未來(はっきり言って、誰?です。そろそろ髪をあんな色に染めるのは見飽きた)さんが出演することが大きく報道されているようだけど、Daniel Proiettoは凄いはず。ラッセル・マリファントの作品を踊って振り付けに負けない存在感は特筆すべきだと思う。

 シェルかウィの作品を観たことないはずと思っていたら、小品を観ていた。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1144.html

 でも、全く記憶に残っていない。インタヴューが掲載され、世界初演までひと月ということでチケットはかなり売れているのかと思ったら、どの日も平土間ですら半分以上も残っている。

 誰も見たことのない世界初演、且つ馴染みのない振付家の作品を推薦するのは説得力ないけど、インタヴューを読んだ限りではとても興味深いものになりそうな気がする。ちなみに、シェルカウィは3月11日に東京にいてリハーサルをしていたとのこと。イギリス人スタッフを帰国させた後も、彼は残って日本で何が起きているのかを見届けたそう。
 僕自身、古典バレエを観始めた頃、「モダン・バレエやコンテンポラリィなんて絶対観ない」と頑なに拒絶していた時期があるのでいまさら人に勧めるのは噴飯ものの寝返りと映るかもしれない。でも、日本が世界に誇れる現代文化を題材に、思いもよらない何か新しいものが創り出されるのを観るのは、不安もあるけど、わくわく感が湧き上がってくる。ということで、迷っている皆さん、迷っているのならぜひ試してみてください。僕個人の勝手な思い込みだが、サドラーズ発のダンスが日本ですぐに上演されることには、隔世の感を覚える。と同時に、今年ははずれがちょっと多かったけど、それでもがんばっているサドラーズが日本でもその存在が知られていくのはとても嬉しい。アクラム・カーンの「デシュ」もすぐに日本で上演されるような気がする。

Being lazy is a cat's job

2011.08.08
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