LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2013年05月の記事一覧

2013.05.29 話題の6月2日の赤旗日曜版はこんな感じ
2013.05.28 アクラム・カーンの「春の祭典」
2013.05.28 四都市を巡る1:広島
2013.05.27 軍隊を持つこと、そして戦争が起きるということ:琉球新報、グッド・ジョブ!
2013.05.27 公開講座はメディアの収入源
2013.05.26 キュー・ガーデンズは百花繚乱
2013.05.25 レイヴン・ガール、シンフォニィ・イン・C@ロイヤル・バレエ
2013.05.25 リージェント・ストリートで水道館工事
2013.05.25 猫だって、愛がなくっちゃ
2013.05.25 陽が射すところに猫が居る
2013.05.25 Tea time biscuits from マークス
2013.05.23 ロンドン南東部での凶悪犯罪から考えること
2013.05.21 犬猫用、精神安定剤
2013.05.21 世界の話題5月21日:地下拡張工事
2013.05.21 メディアと政権の癒着:5月21日のしんぶん赤旗から勝手に転載
2013.05.21 美食の報酬(The Quantum of being Piggy!)3:日本各地
2013.05.19 湖上の美人@ロイヤル・オペラ・ハウス
2013.05.16 冗談?、誤報?ヤナウスキィが引退?!
2013.05.14 美食の報酬2:広尾 一会
2013.05.14 美食の報酬1:御所雲月
2013.05.12 ヘンゼルとグレーテル@リンベリィ
2013.05.12 サドラーズの秋シーズンのチケットは、13日に発売
2013.05.11 猫を釣る
2013.05.10 ロンドンでひったくり増加中:テイブルの上には貴重品を置くな!
2013.05.10 ノッティング・ヒル・ゲイト、道路工事で大混乱
2013.05.07 ロイヤル・ガラbyロイヤル・バレエ@東京
2013.05.07 The Metamorphosis @リンベリィ
2013.05.06 ドン・カルロ@ロイヤル・オペラ
2013.05.06 マークスのクッキー缶は、エキセントリック・ブリテン
2013.05.06 エッジウェア・ロード駅(ベイカールー線)、6ヶ月閉鎖

話題の6月2日の赤旗日曜版はこんな感じ

2013.05.29
スクリーンショット 2013-05-29 21.53.40

http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/assets_c/2013/05/130602%EF%BC%91%E9%9D%A2300-6159.html

96条改正は絶対反対 古賀元自民党幹事長、赤旗
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052901001909.html

自民党の古賀誠元幹事長が共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューに応じ、憲法改正の発議要件を緩和する96条の改正について「絶対やるべきではない」と主張していたことが29日、分かった。6月2日付の日曜版に掲載される。自民党幹事長経験者が赤旗のインタビューに応じるのは珍しい。

 古賀氏は、発議要件を衆参両院総議員の各「3分の2以上」とする96条に関し「憲法は最高法規。他の法規を扱う基準と違うのは当然だ。諸外国を見ても、改正のハードルは高い」と指摘。平和主義を定めた9条に関しては「平和憲法の根幹で、『世界遺産』だ」と述べた。
2013/05/29 19:46 【共同通信】



自民党:古賀氏が96条改正に反対 「赤旗」に来月掲載
http://mainichi.jp/select/news/20130530k0000m010017000c.html

毎日新聞 2013年05月29日 18時40分(最終更新 05月29日 19時37分)

 自民党の古賀誠元幹事長が共産党機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューに応じ、憲法改正の発議要件を緩和する96条改正について「絶対にやるべきではない」と強く反対したことが分かった。自民党の元幹部が赤旗に登場するのは異例。安倍晋三首相は96条改正に前向きだが、歯止め役のいない党内への懸念が背景にあるとみられる。6月2日付日曜版に掲載される。

 古賀氏は「各議院の総議員の3分の2以上」という発議要件に関し「憲法はわが国の最高法規。他の法規を扱う基準と違うのは当然だ」と指摘。自民党は憲法改正草案で「過半数」への緩和を掲げているが「ハードルを下げることは認めることはできない」と反対姿勢を鮮明にした。

 9条については「平和憲法の根幹。その精神が一番ありがたいところで、『世界遺産』と言っている」と平和主義の堅持を主張。そのうえで「自衛隊は9条2項(戦力不保持)を1行変えて認めればいい」として、限定的な改正にとどめるべきだとの考えを示した。

 古賀氏はこのところ、テレビ番組に出演するなど改憲への慎重論を発信している。記事では戦争遺児としての生い立ちに触れ「二度と戦争を起こしてはならない。インタビューを受けたのも、戦争を知る世代の政治家の責任だと思ったからだ」と述べ、慎重な党内論議を促した。【竹島一登】



 これで何かが大きく変わるかどうかは判らない。しかし、興味深い動き。

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アクラム・カーンの「春の祭典」

2013.05.28
スクリーンショット 2013-05-28 22.21.23
(ロンドン初日のカーテン・コール)

たった今、今日、5月28日、ロンドンでの初演を迎えたアクラム・カーン・カンパニィの新作、「iTMOiin the mind of Igor)」から戻ってきた。

http://www.sadlerswells.com/show/Akram-Khan-Company-iTMOi

 ダンスを観て、全く言葉を失ったのは本当に久しぶり。凄まじかった。ダンスって、まだこれほどの可能性を持っていることをカーンは示してくれた。

 ロンドンに居るダンス・ファンの方、万難を排してでもチケットを奪取し、そのステイジを体験するに充分なダンスです。

web_iTMOi2_JLouisFernandez--672x359.jpg
(グルノーブルでの世界初演の時の写真、多分)

 まともな感想は後ほど。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8871119815/

四都市を巡る1:広島

2013.05.28
連休が明けたら雨。でも、雨不足の懸念が出始めたイングランド南部には恵みの雨。昨年のようにこのまま降り続けると、今度はまた洪水被害が頻発するかもしれない、天気に関しては「程よい」ということがないイギリス。

 2012年の一時帰国のことは、書こうと思いつつ手書きの日記をタイプする時間が持てなくてそのまま塩漬けになってしまったまま。今年の一時帰国も大したことをした訳ではないですが、JRパスをどう使ったとかの情報が役に立つこともあるかと考え、思い出せること時系列に。

 まず、JRパス。これ、海外に住む日本国籍を持つ日本人がすべて使えるのではないようです。条件は、「永住権」を保持していること。

http://www.japanrailpass.net/ja/ja001.html

 JRパスの購入は、日本に戻る前に暮らしている国で先にクーポンを購入しておきます。購入したクーポンを、日本に入国後JRの窓口でパスに交換します。パスの有効期間は、使い始める日から購入したパスの有効期限内の利用です。

 大きな不満が一つ。それは、「のぞみ」には利用できないこと。現在、東京発の東海道・山陽新幹線の8割以上が「のぞみ」にもかかわらず、利用できないというのは、海外からの旅行者を増やしたいという意向とは反対方向に向いているのではないかと感じます。日本国内に住んでいる人はJRパスを利用できないので、「同じ日本人なのにそんな恩恵に与っているのだから、それ以上を望むのは贅沢だ」と思われる方は多いと思います。でも、一時間に2便の「ひかり」や「こだま」だけだと、移動時間の組み立てに制約がかかることもあるので。

 昨年以上に、今回はJRパスを思いっきり使い切りました。東京駅でパスと交換する場合、あくまで僕個人の経験ですが、丸の内北口の窓口よりも八重洲中央口が印象は良かったです。北口では、混んでいたからかもしれませんが、受付場所に入るなり仏頂面の職員からいきなり「グリーン・カードは持っているんですか?」、と。「日本人が永住権を持っているのはアメリカだけではないんだけど」というと、何も言わずに記入するべき書類を渡されたので、さっさと出て八重洲の窓口へ。

 春休み、そしてイースター中ということで八重洲の窓口も混んでいましたが、「どちらの国の永住権をお持ちでしょうか?」と真っ当な質問でした。パスを受け取り、新幹線の指定席の予約もちょうど手の空いた職員の方が「どうぞ、こちらで承ります」と。日本って、いいなと。

 JRパスは、期間内でしたらその選択・購入したパスの有効エリアのJRの列車やバス、そして東京のモノレイルまで使える。そして今回、僕が更に重宝したのは、大きな駅を通り抜けるときでした。東京駅や新宿駅だけでなく、広島駅、京都駅構内を移動するのは本当に楽でした。さもなければ、大回りしなければならないので。

 東京駅でJRパスを受け取り、まず指定席を予約したのは最初の目的地、広島。新幹線で京都より先に行ったことがなかったので、初めて経験する山陽新幹線のルートが楽しみでしたが、トンネルばかりでちょっと落胆しました。

 が、その落胆を補ってあまりあったのが、今回時刻表を見るまで存在すら知らなかった「さくら」新幹線の乗り心地の良さ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8610087586/

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8609136390/

 「ひかり」新幹線も快適でしたが、「さくら」新幹線は座席が心持ちゆったり。車内は木目調の装飾で落ち着きがあり、またテイブルが大きくてデスクトップを使うのが楽でした。一つ気になったのは、新大阪駅の、「さくら」新幹線のプラットフォームへのアクセスの悪さ。どこかに車いす用のエレヴェイターがあったのかもしれないですが案内を見かけませんでした。階段が多く、またエスカレイターの数が機能的ではなく、到着・発車時のプラットフォームの混雑ぶりは危険に感じました。

 広島駅到着後、ホテルで一息ついてすぐに、路面電車で原爆ドームの下見。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8610089118/

 広島市内の路面電車って、遅いんです(翌日、宮島口からは、市内に入るまでは快適な早さでした)。西条に住む友人に会いにいくための山陽本線の時間に間に合うかどうかちょっと焦るも、JRパスのおかげで、山陽本線を初体験。余談ですが、僕は違いますが日本は「鉄っちゃん」を喜ばせる工夫が盛りだくさんですね。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8610132916/

 多分最後に会ったのは、何年か前のロンドン。その時は、まさか西条でその友人と再会できるなんて思いもよりませんでした。更に、東京に戻ってアメリカ人の友人とあった時に西条に行ったことを伝えると、彼の日本での初めての居住地は、留学先の大学がそこだったので西条だった、というおまけまで。

 海鮮の幸を満喫してホテルで熟睡できるかと思ったのですが、いつもの時差ぼけで午前4時起き。朝食時間になり、次の宿泊先の京都につくまでまともに食事できるかどうか判らなかったので、じゃこやイワシの甘露煮でご飯をしっかりいただいて腹ごしらえ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8613794711/

 残念なことに天気はすぐれませんでしたが、目的の広島平和記念資料館をしっかり、時間をかけて見学できました。

http://www.pcf.city.hiroshima.jp/

 こうの史代さんの「夕凪の街/桜の国」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%95%E5%87%AA%E3%81%AE%E8%A1%97_%E6%A1%9C%E3%81%AE%E5%9B%BD

を読むことがなかったら、広島、そして長崎を訪れたいと想う気持ちが強くなったかどうか。もちろん、東日本大震災後の福島第一原発事故、そしてBBCが番組の中で二重被爆者の山口 彊さんの体験をからかったことから考えたこともあります。それでも、こうのさんの作品から感じた衝撃が一番強かったです。

 館内には、日本やアジア圏からだけでなく、アメリカ、そしてヨーロッパからの訪問者がかなり居ました。既に多くの皆さんが訪れているでしょうから、僕が今更感想を書く必要はないでしょう。それでも、一つだけ。最近、館内に展示されている、原爆投下後の被爆者を模した人形が怖いという人が居て、人形を展示から外すかもということを聞きました。

 現実に起きた、そして今でも再び起きる可能性がある戦争被害を見据えられない、歴史を自分の思うようにしか受け入れられない様な狭い意見に耳を傾ける必要はあったとしても、それらの意見に振り回される必要はないと思います。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633155972693/

 当初は宮島に行く予定ではなかったのですが、西条で再会した友人から平和公園から宮島へ行く船便があると聞き、それを利用して宮島へ。ただし、この船便、往復切符を購入すると割引になるのですが、宮島から戻る時にその復路の切符を買わなければ割引なしという、いつの時代の話と。JRパスを持っていれば、宮島口から宮島へのフェリィも追加で払うことなく乗れるので、平和公園からの船便は強くはお勧めしません。

 宮島に着いたら土砂降り。広島がこの土砂降りでは、翌日に京都で行きたいところは無理かなと思いつつ、厳島神社へ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633156512698/

 悪天候もあり、鳥居には全く感銘を受けませんでした。が、神社から見上げる島の風景は野趣に富んでいるように思え、今回は超駆け足だけど、再び広島、そして宮島へ戻り、時間をかけて見て回りたいと思いました。

 雨を避けて神社の軒下を歩いていた時、前日、新大阪駅で言葉を交わしたイタリア人男性がいて、互いに挨拶。ついでに、天気の話から始めてこれからどうするのか訊いてみました。

 男性によると、シチリア島出身だけど、現在はミラノに住んでいる。日本に来るのは今回で2度目。東京に友人が住んでいるのもあるが、初回の訪問で日本が大好きになった。前回は京都と奈良を回ったので、今回は広島、そして福岡へJRパスを駆使して新幹線で行くとのこと。

 土地勘がなく、次第に時間が読めなくなってきたのでロープウェイを諦めてフェリィで宮島口へ。路面電車で広島駅にに戻り、ホテルで荷物を受け取リ、再び「さくら」新幹線で新大阪、そこで乗り換えて京都へ。「さくら」新幹線、次に乗るのは次回の一時帰国だと思っていたのですが。

 「さくら」新幹線に乗り込む時、後ろに居た白人男性を見送る白人女性が「Auf Wiedersehen」と言っているのが聞こえました。

 自分の席に座り、隣の席は空いたままかと思っていたらその男性が着席。彼は何か困っていることがあるようには見えませんでしたが、2012年4月、那覇の公設市場の上の食堂(http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/7077412509/)で会ったドイツ人男性旅行客(沖縄空手を学びにきたとのこと)とも話が弾んだので試しに、「ドイツからですか?」、と。「どうして判るんだ?」。「あなたの友人がAuf Wiedersehenと言っていたから」。

 で、そこから話は弾んで新大阪まで話し続けました。曰く、女性は彼の従姉妹で、男性が日本で暮らす彼女を訪問した初めての家族・親族で喜んでくれたこと。JRパスは素晴らしいとか(彼の従姉妹はもちろん使えません)、京都へ行こうにも市内のホテルは満室で仕方なく新神戸に泊まった。

 話し始めてすぐに、男性の英語が、ロンドンでよく耳にするドイツ人が話す英語とは違う聞きやすい発音だったので、どこで習ったのかを尋ねたところ、アメリカで英語教育を受けたそうです。そこからは、「日本で最も通じると言われている外国語は英語だと聞いてきた。君はどう思うか判らないけど、あまり積極的に英語で話してくれないんだよ」。

 「これは僕の推測にすぎないけど、日本人は、完璧に英語を話せなければならないと思い込んでいるからかもしれない。でも、僕たちの母国語は英語ではないのだから、特に日常では、完璧である必要はないと僕は思う」。

 「そう、僕だって英語を完璧に話せる訳ではない。僕は、ドイツ語ももう少し日本で通じて欲しいと感じたよ。僕の母国語はドイツ語だから」。

 景色を観ているのもいいですが、話し相手が居ると京都まであっという間でした。

 桜の写真。
http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633151889835/

軍隊を持つこと、そして戦争が起きるということ:琉球新報、グッド・ジョブ!

2013.05.27
政治家としては受け入れることはないだろうが、今回の一連の報道の中で初めて橋下氏に賛同したことがある。日本だけが叩かれる状況にどうして日本の政治家は立ち上がらないのか、ということ。
 安倍政権が躍起になって押し進めるナショナリズムの高揚への危機感と混同させるつもりはない。認めることは認め、過ちを詫び、過ちをただすことに日本は真剣に取り組む時ではないかと思う。

 たとえファンタジィと笑われても、いつか世界から戦争、戦争による悲しみ、そして軍隊が無くなることを。


 毎度無許可だが、今日読んだ興味深い流れを示すニュース。

軍エリートの門出に警鐘 性犯罪深刻化で米政権
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052601001125.html

【ワシントン共同】米軍内で性犯罪が深刻化する中、オバマ大統領とヘーゲル国防長官が24、25の両日、士官学校の卒業式で警鐘を鳴らす演説を行った。米軍の将来を担うエリートの門出に贈る言葉だけに、米政府の危機感をあらためて浮き彫りにした形だ。

 オバマ氏は24日、メリーランド州アナポリスの海軍士官学校卒業式で「性的暴行を行う者は単に罪を犯すだけでなく、軍の強さを支える信頼と規律を危険にさらしている」と強調した。
2013/05/26 08:27 【共同通信】



米軍性暴力、適切な処罰不可欠 ディック氏(映画監督)に聞く
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-207191-storytopic-1.html

日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦問題などに関する発言は米国内でも反発を招いた。一方で橋下氏に風俗業の「活用」を提案された米軍も性暴力事件が相次いで発覚し、国内世論の批判を浴びている。米軍内の性暴力問題を追ったドキュメンタリー映画のカービー・ディック監督(米ロサンゼルス在住)が、26日までに本紙の書面インタビューに応じ、橋下氏の発言を批判した上で、米軍の性的暴行根絶に向けては閉鎖的な体質を改善すべきだと指摘した。発言内容は次の通り。

 ―橋下氏が在沖米軍に「性的なエネルギーを合法的に解消できる」と風俗業者の利用を勧めた。

 「橋下氏は沖縄の市民の安全を心配して提案したつもりだとは思うが、彼は性的暴行の本質を理解していない。性的暴行は『性』ではなく、『暴力』の犯罪だからだ。性的暴行をする米軍人の多くは、駐留先の『禁欲的生活』に駆り立てられて犯行に及ぶのではない。以前に何度も性犯罪を続けてきた傾向がある」

 ―橋下氏は「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」とも述べた。

 「『彼らには余りあるほど大量のエネルギーがあったため、自らを制御できなかった』と、米兵の性犯罪を弁明するようなものだ。われわれは自国の軍隊に高い水準を保つことを求めているし、当然そうでなくてはならない。性暴行に及ぶ兵士は弁解を与えられるのではなく、起訴され、刑を受けなくてはならない」

 ―一方で、その米軍内の性的暴行が社会問題となっている。原因は何か。

 「この問題はとても深刻だ。国防総省の推計によると、2012年に発生した米軍内の性犯罪は2万6千件に上る。しかし加害者が軍法会議で処罰された事例は全体の1%未満だ。最も重要な理由は、これらの犯罪を裁くかどうかを判断するのは被害者の上官だが、彼らは往々にして調査や訴追に消極的である点だ」
 「米軍内の性犯罪の多くは常習犯が起こしている。(先に挙げた理由で)加害者が適切に起訴されず、犯行が繰り返される構図につながっている。米軍はこの問題点を何十年も前から認識しているが、常習犯を処罰できないままでいる」

 ―解決策は。

 「性的暴行をなくすために米軍がすべき最も重要なことは、加害者を適切に調査、起訴、処罰することだ。それには軍法会議(軍隊固有の司法制度)を改革することが不可欠だ。犯行を調査、起訴する権限を軍の指揮官から取り上げ、専門の訓練を受けた裁判官や検察官の手に委ねるべきだ」
 (島袋良太本紙ワシントン特派員)
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 カービー・ディック氏 1952年生まれ。米アリゾナ州出身。米軍内の性的暴行問題を追った「インビジブル・ウォー」(2012年)でサンダンス映画祭長編ドキュメンタリー部門観客賞を受賞。同作品を見たパネッタ前国防長官が米軍性犯罪防止プログラムの改革を表明するなど、反響を呼んだ。監督作品にその他「アウトレイジ」(10年)、「ツイスト・オブ・フェイス」(04年)など。


「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては「女性に飢えた荒くれ者」
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2946474/10810152

【5月27日 AFP】(一部更新)第2次世界大戦(World War II)中の仏ノルマンディー(Normandy)上陸作戦に参加した米軍兵士たちは、フランスをナチスドイツ(Nazi)から解放した勇敢な英雄として描かれてきた。そうした「若いハンサムな米兵さん」のイメージに隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。

 6月に刊行予定の「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France(兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」は、米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のメアリー・ルイーズ・ロバーツ(Mary Louise Roberts)教授(歴史学)が、米仏で膨大な量の第2次大戦中の資料を研究してまとめた著作だ。

 研究の趣旨についてロバーツ教授は、「GI(進駐軍兵士)はたくましい男で、常に正義に基づいて行動するとの典型的な『GI神話』の偽りを暴き出すことだった」と、AFPに語った。教授によると、米軍では当時「フランス人に対して優位に立つ」手段として性欲、買春、レイプが取り入れられていたという。

 米兵たちは、ノルマンディーの人々から「性のアバンチュール」を求めてやってきた、セックスに飢えた荒くれ者と見られていた。これは地元ノルマンディーではよく知られていることだが、一般的な米国人にとっては「大きな驚きだ」とロバーツ教授は述べている。

■「女性を隠せ」、街中いたるところで性行為

 米メディアがノルマンディーに上陸した米兵について、キスをする米兵と若いフランス女性の写真を掲載するなどロマンチックな視点で解放者として描いていた間、地元の人々は「問題」に直面していた。地元には、「ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、米兵の場合は女たちを隠さねばならなかった」という話が伝わっているという。

 米兵たちの放蕩ぶり、不法行為、さらには組織的な人種差別などもあった。「GIはどこでも所かまわずセックスしていた」とロバーツ教授。

 特に、ルアーブル(Le Havre)やシェルブール(Cherbourg)では米兵たちのマナーの悪さが目立ったという。米兵たちは、女性を見れば既婚女性でさえ公然とセックスに誘い、公園、爆撃を受けて廃墟と化した建物、墓地、線路の上など、街中いたるところが性行為の場となった。しかし、全てが両者の合意のもとで行われたわけではなく、米兵によるレイプの報告も数百件残されている。

 ロバーツ教授が調べた資料によれば「セックスをしている男女を見かけずに街を歩くことは不可能」なほどで、当時のルアーブル市長が米駐留部隊の司令官に改善を求めたと記されていた。米軍の上官らは兵士たちの行為について公式な非難声明は出したが、改善の努力はしなかったという。

■フランスは「売春宿」、口説き文句も紹介――米誌プロパガンダ

 ロバーツ教授は、当時の米兵が勇気ある青年たちであり、その勇敢で英雄的な行為がフランスから感謝されている事実についても忘れずに触れている。一方で、米軍が未知の国で戦う若者たちを鼓舞する即効策として、意図的に米兵たちの性欲に訴えかけるプロパガンダを行ったとみられる点も指摘している。

 例えば、写真ジャーナリズムの草分けである米誌「ライフ(Life)」は、フランスを「快楽主義者4000万人が住む巨大な売春宿」と表現した。また、米軍機関紙「星条旗新聞(Stars and Stripes)」は、フランス女性を口説くためのフランス語フレーズを連載。「きみ、とても可愛いね」「たばこをあげようか」「ご両親は今、家にいるの?」といった会話の糸口を紹介していた。

 ロバーツ教授は「米兵の性欲は、いったん火が付くと手が付けられなかった」と記している。

 さらにロバーツ教授の著書は、当時レイプ事件で訴えられた米兵は、黒人兵士が圧倒的に多かった事実にも踏み込んでいる。1944年10月の資料によれば、米兵が絡んだ強姦事件152件のうち130件で黒人兵が訴えられている。これについてロバーツ教授は、米軍内の根深い差別を示していると指摘した。フランス人も、すぐに黒人米兵を指さして非難するようになったという。

■人類の経験として捉え直す

 ノルマンディー上陸作戦から約70年たった今、同書を出版する理由についてロバーツ教授は、歴史を書き換えたいわけではなく、「フランス側から見た実態」を明らかにすることによって、ただの「空虚な英雄譚(たん)」にとどまらない「人類の経験の1つ」としてノルマンディー上陸作戦を捉え直すのが目的だと説明している。(c)AFP/Fabienne Faur


公開講座はメディアの収入源

2013.05.27
毎月読んでいる新潮社のPR雑誌「波」に、同社主催の公開講座の案内が増えている。毎日読んでいるガーディアンは、かなり前から、読者を対象にした公開講座を増やしている。当初は、新聞社らしく報道写真の取り方や、記事の書き方等が多かった。最近では、演劇の台本の書き方、短編・長編小説の書き方、そしてポップ=アップ飲食店の始め方とかなり幅を広げてきている。

 そんな中で目についたのが、ガーディアン・オブザーヴァ紙の著名女性コラムニスト3人を投入しての「コラムの書き方」講座。

Writing a column with Marina Hyde, Suzanne Moore and Lucy Mangan
http://www.guardian.co.uk/guardian-masterclasses/writing-a-column-june

Column writing is a hard job to get and an even harder one to do properly. Eight columnists and bloggers – including Guardian and Observer columnists Marina Hyde, Lucy Mangan and Suzanne Moore – address the challenges of the role during this inspiring and illuminating day-long series of talks and Q&As. Attendees will find out how these award-winning writers found their voice, approach writing to give their columns a unique point of view, and how they select subject matter which ensures a constant stream of new ideas.

This seminar is ideal for bloggers who want to entertain and provoke your readers, journalists who want to add fire and opinion to their copy, copywriters who wants to grab attention with glittering prose, or marketing and communications professionals looking to engage people inside and outside of your organisation.


 フェミニストとして知られる3人による公開講座。ガーディアンらしい。アメリカや日本同様、紙の購読数、また電子メディアでの購読者数が伸び悩んでいるイギリスの新聞も、収入を増やすため、そして有料購読者数を増やすためには編集室に閉じこもっているだけでは生き残れないということだろう。

キュー・ガーデンズは百花繚乱

2013.05.26
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イギリス人みたいな言い方だが、バンク・ホリディの週末にこんなに素晴らしい天気になる訳がない、1分後には雹まじりの土砂降りになる違いないと言う不安を抱えたまま出かけたキュー・ガーデンズ。輝いていた。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633720260770/

 明日も好天らしいので、観光でロンドンを訪れている方、お勧め。ただし、未だかつて見たことのない、チケット購入の長い行列ができていたので、午前中に行った方が良いかもしれない。

http://www.kew.org/index.htm

 僕のお勧めは、ヴィクトリア・ゲイトから入園したらずっと右方向に進んだ先にある壁に囲まれたシンプルな庭園(6月は薔薇が見頃のはず)と、その隣にあるアルパイン・エリア。もちろん、広大な園内をのんびり歩き回るのも楽しい。

 余談。僕を含めてたくさんの人がデジカメで写真を撮っていた。あれらの膨大な枚数に及ぶであろう写真を、他の人はどうしているのだろうか?

レイヴン・ガール、シンフォニィ・イン・C@ロイヤル・バレエ

2013.05.25
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どうやらイギリスだけではないようですが、本当に寒いです。地球温暖化って、もしかして日本とアメリカだけの課題ですか、という感じ。このまま冬が来ても悲しいですけど、驚かないです。

 昨晩、ロイヤル・バレエのダブル・ビルを観てきました。最初の作品は、ロイヤル・バレエの常任振付家、ウェイン・マックグレガーが初めて既存の物語を使ってバレエを創作した「Raven Girl」。後半は、バランシーンによる「シンフォニィ・イン・C」でした。

 で、世界初演となった「レイヴン・ガール」ですが、僕には最後の10分をのぞけば全くバレエではなく、むしろダンス・シアター系の舞台でした。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/sets/72157633623942103/

A new fairytale: Audrey Niffenegger

Choreographer: Wayne McGregor

Music: Gabriel Yard

Postman: Edward Watson

Raven: Olivia Cowley

Raven Girl: Sarah Lamb

Boy: Paul Kay

Doctor: Thiago Soares

Raven Prince: Eric Underwood


 購入したプログラムを読んで理解したのは、この物語はオードレィさんが彼女一人で作ったのではなく、バレエとして舞台化していくことから始まった共同作業。プログラムに掲載されて居た対談の中で、バレエというパフォーミング・アーツは彼女にとって未知の世界。なので、物語を作り上げた段階で、ロイヤルのバレエ・ダンサーたちがその世界をどのように再現するのか全く想像できていなかったそう。ちなみに、彼女の経歴を読んで、既に彼女の作品の一つを読んでいました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1291.html

 で、マックグレガー率いるチームがやったことは、その世界をそのまま表現することをダンサーたちに任せるのではなく、小手先の道具・表現手段を過剰に投入してしまった。これにつきます。

 ほとんど嫌悪感すら覚えたのは、ヴィデオ。このヴィデオを投射するために舞台には薄い幕が下ろされたままでいらつく上に、ヴィデオが説明しすぎて観る方の想像力がかき立てられる空間が全くありませんでした。以前、あるインタヴューでマックグレガーは彼自身が多作であること、そしてその多作の中には当たりもあれば外れもあるだろうと言っていました。「レイヴン・ガール」は僕にとっては大外れでした。

 物語のあらすじ。恋に落ちた郵便配達人とカラスの間に女の子が生まれる。少女は人間の外見で、言葉を理解できる。しかし言葉を発することはできない。大学に進んだ少女はそこで、彼女に翼を与えてくれる医者に会い、実際、医者は彼女に翼を与える。

 翼を持った少女の姿に両親は驚き、そして嘆く。手術の結果に激嵩した少年は医者を殺す(のかな)。レイヴン・プリンスと恋に落ちた少女は両親のもとを離れ別の場所に行ってしまう。

 終わり方が、「社会に相容れない異形のものは、別の場所に行くしかない」というと〜っても平凡な終わり方にも酷くがっかりしました。救いだったのは、最後の10分弱、ラムとアンダーウッドによる美しいパ・ド・ドゥ。サラ・ラムには「アリス」のとき同様、よい意味でその表現力の幅の広さに驚かされました。華奢な体型に比例してあまり大きな話題にならない印象のあるダンサーですが、技術、そして表現力ともにロイヤル・バレエのプリンシパルにふさわしいものだと感じます。

 7月の日本公演では追加が決まったウィールドンによる「アリスhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1900.html)」、スカーレットの「ヘンゼルとグレーテルhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1940.html)」、そして今回の「レイヴン・ガール」を観て強く感じることがあります。ロイヤル・バレエの最近の新作でナラティヴ・バレエと紹介される作品は、観客が振り付けの意図を理解できないかもしれないから、手取り足取り教えてあげなければと言う余計な御節介が多すぎる、と言うこと。

 2年前のマックグレガーの作品では、物語はありませんでした。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1376.html

 にもかかわらず、踊っているダンサー達の動き、表情から自然に物語が舞台に現れる、紡がれる。そのような踊りが僕は「ナラティヴ」ではないかと思います。

 そんな超ネガティヴな気分を高揚させてくれたのは、「シンフォニィ・イン・C」。幕があがって、蒼穹を背にきりっと並び立つダンサー達の姿にほっとしました。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8812752395/
(これはカーテン・コールの時。ヤナウスキィの後ろに居るのは金子ふみさん)

First movement: Allegro vivo
Zenaida Yanowsky, Ryoichi Hirano

Second movement: Adagio
Marianela Nunez, Thiago Soares

Third movement: Allegro vivace
Yuhui Choe, Steven McRea

Fourth movement: Allegro vivace
Laura Morera, Ricardo Cervera


 ソアレスとモレーラ、もっと体絞れよとかネガティヴなことをまずはぶつくさ。モレーラが踊ったパートは、以前は吉田さん、ベンジャミン、そしてロホが踊ったパート。「やったわ、やっとこのパートを踊ることができたわ」と受け取れる大仰な笑顔に引きました。一方で、以前よりずっと豊かに、そしてメリハリのある崔さんの表情、先日のサンドマンの不気味さを全く感じさせないマックレィの軽い跳躍。更に古典全幕はもう無理かもしれないけど、このようなネオ・クラシカルならまだまだ若手を寄せ付けないヤナウスキィの優美な踊り(http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london0603b.html)。ロイヤル・バレエを観始め頃に抱いた、バレエを観るわくわくした気分を久しぶりに感じることができました。これなら毎晩観ても飽きないだろうと感じる、素晴らしい舞台でした。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633640961835/


リージェント・ストリートで水道館工事

2013.05.25
スクリーンショット 2013-05-25 14.10.27

昨日、ロンドン交通局から以下のメイルが届いた。

Dear Mr Moriya,

I am writing to let you know that from 08:00 tomorrow, Saturday 25 May Regent Street will be closed southbound between Oxford Street and Piccadilly Circus for up to one week. This is due to urgent repairs to a water main and sewer being carried out by contractors on behalf of Thames Water.

The following southbound bus routes will be diverted:
3, 6, 8, 12, 13, 23, 25, 55, 88, 94, 139, 159, 453, C2, N3, N8, N13, N18, N55, N109, N113, N136


 最近、オックスフォード・ストリートを通るバスはことごとく避けるようにしているので僕個人の生活に大きな被害はない。一週間で終わらせると言っているので、そうなることを祈るばかり。ちなみに、ドイツ勢によるチャンピオンズ・リーグの決勝がなぜだか知らないけどロンドンであるということで、ドイツ人密度が急増していた。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633644415843/

猫だって、愛がなくっちゃ

2013.05.25
新聞を読んでいたら、KKが突然暴れだした。なにごとと思ったら、先月買ってきたマタタビ入りのおもちゃに突進していた。

スクリーンショット 2013-05-25 14.00.42

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633644084529/


陽が射すところに猫が居る

2013.05.25
スクリーンショット 2013-05-25 10.33.30

地球温暖化って、どこの星の話?、ってなくらい寒いロンドン。もちろん真冬の寒さではないが、24日の最高気温はロンドンですらおそらく8度くらいだったはず。ヴェネツィアも水に沈んだ(http://fumiemve.exblog.jp/17835973/)そうだから、この寒さはロンドンだけではないようだが。

 今日は曇りの合間に陽が射す、昨日のミゼラブルな天気に比べれば、ずっとましな天気。まだまだ緊張が続く2頭も太陽がでている間は気に入りの場所でぐっすり。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633640937585/

Tea time biscuits from マークス

2013.05.25
缶がイギリスの伝統なのか、それともマークス・アンド・スペンサー独自の方針なのかは判らないが、今年もマークスは缶入りのビスケットやフルーツ・ケイキをシンプル、且つ良いデザインで売っている。

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 これで£8−は、お得なように思う。横から見ると、ビスケットやティー・ポットが浮き上がっている。

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 これは大きいし持ち重りがするのでお土産には不向きかな。

ロンドン南東部での凶悪犯罪から考えること

2013.05.23
日本時間5月23日、日本でも大きく報道された、ロンドン南東部、ウリッチで起きた殺人事件。

ロンドンの被害者は英兵と判明 容疑者はナイジェリア系か
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052301002127.html

 読んでくださった方も居ると思うが、3週間前に、事件が起きたウリッチに短時間居た。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1928.html

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8711182102/in/set-72157633409842765

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633409842765/

 朝、外出する間際に気づいたこの事件。イギリスのメディアのほとんどは、血まみれの手に肉切り包丁を握ってカメラに向かう犯人の男の写真ばかりでした。

 日中、記事を読んで事件の猟奇性、常軌を逸した状況には不快感しか感じませんが、写真には驚かない自分を感じていました。なぜなら、血まみれの手を隠そうともしない犯人から感じる暴力性に満ちた写真が、毎日、シリアの戦場からイギリスの新聞紙上に届くので。

 写真、映像、間断なくアップされるニュースを読みながら、次第に興奮が冷めて来る中で幾つか考えたこと。まず、イスラム教徒らしい二人の犯人。彼らについてのこの初期情報だけでまず、イスラム教徒への反感、そして黒人への憎悪がまたロンドン、そしてイギリス全土で高まるのではないか。

 もう一つ、不思議に思い始めたのは、この事件の対応の中から感じる齟齬。新聞報道によると、武装警察隊が現場に到着するまでに20分かかったそう。到着してから「テロではないか」という判断がくだされたのかもしれないが、兵舎があるウリッチでの凶悪犯罪への対応としては遅かったのではないか。

 更に、ガーディアンのどこの記事で読んだのか思い出せないですが、人が一人殺されたことへの憤りは当然として、どうしてこの事件だけに国家レヴェルのテロ対応会議が即座に設けられたのか。

http://www.guardian.co.uk/uk/woolwich-attack

 共同通信社の記事に書かれている「イスラム教徒」らしい犯人は「ナイジェリア人」という二つの要素をリンクできない人が居るかもしれない。日本でどのように、どの程度まで報道されているのか知らないが、石油等の天然資源により見た目の経済が活況を示しているナイジェリアは、現在、国内に大きな危機を抱えている。国の北部での、イスラム過激派グループによる破壊、殺傷行動が激増している。

http://www.guardian.co.uk/world/2013/may/09/nigeria-war-boko-haram-new-ground-zero

 ロンドン南東部、およびロンドンに戻すと。2012年夏のロンドン・オリンピックとバラリンピックで注目集めたロンドン東部。僕個人として新しいロンドンを発見できるので紹介してきた。
 今回の様な事件がウリッチだけで起きる訳ではない。ロンドン、イギリス、そして世界のどこでも起きてしまうことだろう。ただ、そうはいってもロンドン南東部は日本人にはなじみが薄いだろうし、情報も少ない。事件後、たくさん警察官が居るだろうから安全かもしれないが、しばらくは行かない方が良いかもしれない。どうしても行かなければならない時は、一人で行くのは賢明とは思えない。

 ロンドンの日常。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8768322901/

犬猫用、精神安定剤

2013.05.21
まだまだ緊張感が続く2頭。つい最近、激しい追いかけっこがあり、KKがかなり衝撃を受けた(ように思えたらしい、大家には)。新参のNN、やっぱり施設に送還かと思ったのだが、どうしても2頭の間の少なくとも緊張感を和らげたい大家は、獣医に相談。処方されたのが、猫(犬)用の精神安定剤。

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 こんなものがあるなんて全く知らなかった。科学配合物ではないので、体に副作用はないらしい。でも、猫にまで精神安定剤って、かなり違和感を感じる。

 最近、人間用の抗鬱薬や精神安定剤の是非を巡って熱い論がかわされているイギリス。ペット用の精神安定剤の種類も複雑化していくのだろうか。KKの近影。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8768313121/

 薬、効いているようには見えないな。

世界の話題5月21日:地下拡張工事

2013.05.21
*著作権は、日本経済新聞社に帰属します。

日経夕刊2013年5月


メディアと政権の癒着:5月21日のしんぶん赤旗から勝手に転載

2013.05.21
*しんぶん赤旗の皆さん。無許可の転載、承認いただけると助かります。

テレビがおかしいぞ!
首相と癒着 異常な持ち上げ
会食・懇談が止まらない…


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-21/2013052101_01_1.html

テレビによる異常な安倍政権持ち上げ番組が相次ぐなか、安倍首相と大手メディア幹部の会食・懇談が止まりません(別表参照)。テレビ関係者は会長、社長のトップに続いて、キャスターや番組コメンテーターとして登場する解説委員も加わっています。

首相から“ごちそう”になった通信社解説委員のA氏。さっそく番組の中で、ほかの出演者に「安倍さんにお会いになったそうで」と水を向けられ、満足そうな笑みを返しました。キャスターのB氏は自分が進行する番組で、首相公邸に迎えられたことを得意げに告白しました。

 会長や社長らトップが会食したテレビ局は、安倍首相の生出演番組を組んで、首相に言いたい放題の場を提供しています。

 日本テレビの朝のワイド情報番組「スッキリ!!」は、4月に生出演と編集版の2回連続で放送しました。日本テレビは5月には長嶋茂雄、松井秀喜両氏への国民栄誉賞表彰式も独占生中継して、首相の姿をアピールしました。日本テレビをかかえる読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏、日本テレビの大久保好男社長は会食メンバーです。

 日枝久会長が食事をしたフジテレビは、夕方の「スーパーニュース」(5月10日)に首相が生出演。放送時間は46分にも及び、官邸広報室の“秘蔵映像”なるものを付けました。といっても連休中に外遊した首相が、ロシアで散歩する様子などを撮った素人映像にすぎないものでした。

 2005年、テレビは当時の小泉純一郎内閣を持ち上げる「小泉劇場」と化して、国民から批判を浴びました。最近はテレビを番組ごと安倍内閣に明け渡して、一緒になって踊るかのようです。

 NHK、民放をも律する放送法は、「政治的公平」「不偏不党」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ことを求めています。この精神を踏みにじるテレビの異様さに厳しい批判の声が寄せられています。



一方的な主張を無批判に
首相側から出演売り込み


安倍晋三首相の民放テレビ生出演が相次ぎます。経緯は「首相ご本人からオファー(売り込み)があった」(日本テレビ「スッキリ!!」)とあからさまです。

 朝の情報・ワイド番組や夕方のニュース番組という気軽に見られるものを選んで出演していることがわかります。イメージアップをねらい、それと抱き合わせで政策浸透をすりこもうとする、首相サイドの宣伝戦略が見てとれます。記者が「憲法96条の改定を任期中にやるという決意でよろしいんでしょうか」(フジテレビ「スーパーニュース」)と、あおる発言まで飛び出し、テレビが安倍政権の拡声器ともなっています。

 一方、最近のNHKテレビの場合は、「ニュース7」で首相の動向、演説、発言をそのまま流し、「ニュースウオッチ9」で、さらに詳しく説明を加えるパターンとなっています。

 2001年、日本軍「慰安婦」問題を取り上げたNHKのETV番組が改変された事件がありました。当時、官房副長官だった安倍氏がNHK幹部に注文をつけたことが明らかになっています。また、菅義偉官房長官は第1次安倍内閣のときの総務相で、NHKに国際放送で拉致問題を重点的に扱うようにと求めたことがあります。そんな経緯を踏まえて現在、NHK幹部の間で安倍政権にシフトした動きが出ているとも伝えられています。

 7月の参院選を控えて、経済、雇用、くらし、原発、憲法と大きな選択を前に、ジャーナリズムとしてのテレビの役割が問われます。国民の厳しい目が必要です。
安倍首相と在京テレビ局幹部・キャスターなどとの会食・面会(日時/相手/場所)

 ▽3月15日/フジテレビ・日枝久会長/芝公園のフランス料理店「レストラン クレッセント」

 ▽同22日/テレビ朝日・早河洋社長(他に幻冬舎社長)/首相公邸

 ▽4月4日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸

 ▽同5日/日本テレビ・大久保好男社長/帝国ホテル内の宴会場「楠」

 ▽5月8日/読売新聞・渡辺恒雄グループ本社会長、日本テレビ・大久保好男社長(他に長嶋茂雄氏、松井秀喜氏)/首相公邸

 ▽5月10日/司会者・みのもんた氏/首相公邸

 ▽5月16日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸



 なんだか、世も末。

美食の報酬(The Quantum of being Piggy!)3:日本各地

2013.05.21
今回の一時帰国中、食に関しては「御所雲月(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1941.html)」と「一会(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1942.html)」だけは自分で手配した。広島、長崎、京都に行き、東京もずいぶん歩き回ったので、友人たちから教わっていった店、彼らと一緒に行った店をさっくりと。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633230160857/

 帰国2日目に広島へ移動。平和公園の下見をしてから、友人とそのご家族に会いに西条へ。山陽本線に乗るのは初めて。「海鮮」と頼んでおいたので予約してくれたお店は、「水軍の里」。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8611631474/in/set-72157633230160857

 すべてが新鮮、且つ大変美味しかったです。翌朝、ホテルの朝食で食べたじゃこも超美味。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8613794711/in/set-72157633230160857

 広島から京都へ移動。いつものように目的以外のことは全く調べなかったので、「雲月」以外の情報を持っていなかった。予想していなかった大当たりが、宿泊したホテルの朝食。朝からカレーが選べるようになっていて、がっつり食べたら他で食事する気が失せた。胃が小さくなったことを実感。東京に戻る前に、グランヴィアでショート・ケイキ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8617658647/in/set-72157633230160857

 週末は、悪天候をなんとかかいくぐり長崎へ。ご家族が長崎出身のブログ仲間の方からの紹介で、「吉宗(よっそう)」へ。東京でも、佐賀出身の友人から美味しいと聞かされていた名物の茶碗蒸し。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8631051770/in/set-72157633230160857

 お昼頃に行ったら行列ができていたので、ロープ・ウェイを体験してから時間をずらしていったらすぐに通された。特別なものではなかったけど、とても美味しかった。

 東京に戻ってすぐに、聖路加で人間ドックを受診。友人から検査が終わってからのご飯がけっこういけるというので選んだ。調理はホテル・オークラが担当している。主菜のオムレツは平凡なものだったけど、炊き込みご飯が旨かった。おかわりしたかった。

 銀座界隈では、再訪してみたかった「天ぷら 真http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1908.html)が取材を受けていて閉まっていた日、どこでお昼を食べられるかと歩き回って見つけたのが、「日本料理むとうhttp://ginza-mutou.com/)」。その日の昼定食、「牛ほほ肉の煮込み」を。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8621507152/in/set-72157633230160857

 ご飯とひじきをおかわりし、これにデザートがついて¥1,300は、ロンドンの貧困なランチ事情と比較するとまさにパラダイス。2回行った。また、2012年の帰国時には場所を間違えていけなかったコリドー通りにある「オストレアhttp://www.ostrea.jp/info.html)へ。ランチタイムのみのカキフライお替わり自由を堪能。広島に行ったにもかかわらず食べ損ねた不満を解消。

 さすがに食べ過ぎと思い、東京を歩き回る。が、甘い物の魅力には勝てず。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633230127769/

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8634401398/in/set-72157633230160857

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8641712254/in/set-72157633230160857

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8647817176/in/set-72157633230160857

 歩き回っている時に、こんなそば屋を見つけた。

http://9638.net/nagata/

 ランチの価格はとても良心的。このように自分で見つけた店もあるけど、既に他所の都市になっている東京で美味しい店を自力でいつも見つけるのは難しい。そんな時には、友人たちの情報が心強い。四谷にある「すし 匠」では、こんな寿司の食べ方があるのかと。ここ要予約だそうです。

 楽しかったのは、ワインが好きな友人と行った蔵前の「ビストロ カンパーニュ」。

http://bistro-campagne.jp/

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8638913798/in/set-72157633230160857

 蔵前は未だかつて僕のテリトリィであったことはないので自分では絶対に見つけられない。僕はワインのことは全く知らないのでそれは友人におまかせ。更に料理もかなりの高水準。

 食べるために生きている訳ではないが、食べることは楽しいし、友人たちと共有する楽しさは格別。

 このように食べることだけを書いたものを快く思わない人も居るだろう。でも、なにがしかの役に立てつのであれば。

湖上の美人@ロイヤル・オペラ・ハウス

2013.05.19
朝夕は本当に今は5月末だとは思えないほど冷え込むことのあるロンドンですが、ま、いつものことかなと。地球温暖化って、どこの話?、とロンドンでは感じます。

 2012年早春、ロイヤル・オペラの2012/13シーズンの演目が発表になった時、どうしてもこれだけは見逃したくないと思った演目はただ一つ。ロッシーニによる「La donna del lago」。物語の原作はウォルター・スコットの「The Lady of the lake」をそのまま訳すと「湖の淑女」が妥当という気はしますが、日本語では「湖上の美人(もしくは美女)」で通っているので「湖上の美人」で。

 どうしても観たかった理由はいくつかあります。現在のベル・カント・オペラ歌手の中でもダントツの存在であることは多くの人が認めるだろうフローレスジョイス・ディドナートが主演。ロイヤルはベル・カントものを頻繁に上演しない上に、この超売れっ子の二人を要する舞台は2009年の「理髪師http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1047.html)以来。でも、二人一緒の舞台は数年ぶりとはいえ、ロンドンにはよく来てくれる二人。

 出演予定の歌手の中で、その二人を差し置いて僕の目を惹きつけたのは、イタリア人メゾ・ソプラノのダニエラ・バルチェッローナ。1999年のペーザロ・フェスティヴァルでの「タンクレディ(ロッシーニ作)」で一躍注目を浴びたという彼女。その当たり役である「タンクレディ」のタイトル・ロールのアリアを歌う彼女の映像をずっと昔に観てその歌唱技術に驚嘆して以来、オペラの舞台でどうしても観たい歌手の一人でした。でも、彼女も日本へはよくいくけどイギリスにはほとんど来ない歌手の一人のようでした。今回の「湖上の美人」はバルチェッローナのロイヤル・オペラ初登場になります。

演出:John Fulljames

セット:Dick Bird

衣装:Yannis Thavoris

照明:Bruno Poet

振り付け:Arthur Pita (何をどこに振付けたのか全く判らず)

Conductor: Michele Mariotti

Elena: Joyce DiDonato

King of Scotland or Uberto: Juan Diego Flórez

Malcom: Daniela Barcellona

Rodrigo: Michael Spyres (コリン・リーの代役)


 物語は、テレグラフのレヴューから拝借。

http://www.telegraph.co.uk/culture/music/opera/10065672/La-Donna-del-Lago-Royal-Opera-Royal-Opera-House-review.html

A standard plot unfolds, wherein A (Uberto) loves B (Elena, she of the lake). But B loves C (Malcom, whose second “l” gets lost in translation) - an amour complicated by the fact that A is the King and at war with C, and that B is both betrothed to D (Rodrigo) and unaware of A’s regal identity. Come on, it’s Italian opera, keep up!

 一言で言えば、四角関係。この4人には超絶技巧が要求されるので、簡単には上演されないオペラだと思います。初日の17日は、ロドリゴを演じる予定だったコリン・リーが急な病欠。通常フローレスが演じない日の第2キャストになることが多いコリン・リー。僕は未だに彼を聴いたことがないのですが、ブログ仲間の椿姫さんによると(http://ameblo.jp/peraperaopera/entry-11532986953.html)リー自身が素晴らしい歌手だそうです。スパイアーズは中音、低音はよかったのですが、肝心の高音がかなりきつくてかなりがっかりでした。また、フローレス、そしてバルチェッローナ(男性役)がとても凛々しかったのに比べて、その若さで既にそんなに大きなお腹でどうすると。もう一度観に行く予定なので、コリン・リーが復帰することを願っています。

 他の歌手に行く前に、演出。僕にとっては最低でした。幾つかのレヴューを読んで理解したのは、19世紀のどこかのジェントルマンズ・クラブのラウンジに、スコットランドの民族蜂起の際の人物像を標本箱に入れて保存してあるという出だし。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/8746344365/in/photostream

 そして最後はエレナを再びまるで棺桶を想起させるガラスの大箱に入れるという演出。このような入れ子の構成は、3月に「Written on skinhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1901.html)」で独創性あふれる舞台を観たばかりなので、それと比べると全く凡庸なもの。更に第一幕での生け贄の羊の生々しさ、戦場におけるスコットランド人兵士が女性を強姦するシーンなど、創造力・想像力、どちらも全く欠如した演出でした。
 スコットランドが舞台のオペラをロイヤルで観るのは僕は2回目でした。その2回とも、全くスコットランドらしさが反映されていなくてとても残念です。

2003年のルチア

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-239.html

 もう一つ舞台の印象を悪くさせたのが、特に第1幕で物語の展開に併せて多用された螺旋階段のセット。2008年の秋にロイヤル・オペラで上演された、やはりロッシーニの「シャブランのマチルド」では今回のセットより見た目が美しかった螺旋階段が使われたので、今回はまるでその舞台の二番煎じのように思えてしまいました。と言うこともあってか、演出チームには盛大なブーイング。当然でしょう。

 標本箱の意味をはかりかねたままで始まった音楽は、正直、最初の20分くらいはディドナートとフローレスの二重唱があったにもかかわらず、睡魔との戦いでした。僕にとってロッシーニ・オペラの魅力の一つである声のアンサンブルがほとんどなかったので退屈な展開でした。

 で、睡魔が吹き飛んだのは、目当てのバルチェッローナが舞台に出てきたとき。彼女が長身であることはどこかで読んでいました。また今回の舞台では、ズボン役であることも充分知っていました。でも、舞台袖から出てきた長身の「男性」が女性歌手であるとは、数秒の間は思えませんでした。それほど、凛々しい姿でした。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/8746344005/in/photostream

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/8747465304/in/photostream

 おそらく履いていたブーツは多少上げ底になっているのではないかと想像します。エレナ役のディドナートだけでなく、敵役のロドリーゴよりも背が高いのには、勇猛果敢なスコットランド人男性を観ているようでした。些細なことかもしれませんが、それでも女性らしい細やかな演技と感じた点があります。キルトをはいていて何度か膝まづく場面がありました。その度に、キルトの正面を片手でそっと押さえて、中が見えないように気を使っていたようでした。

 歌唱。メゾにとっては低めの音域から高音域まで全くの無傷。どの音域でも軽やかに、そして全くぶれずに響くコロラチューラ。またコーラスやオーケストラの音の中でも必ず耳に届く発声。少なくとも10年待った、その甲斐以上の歌手でした。叶うなら、彼女の出世作「タンクレディ」を観たいです。日本には、今秋ヴェルディの「ファルスタッフ」に出演予定です。

 フローレス。何を書けと。彼はもはや神ですね。崇めるつもりは毛頭ないですが、あの声、技術、声量は唯一無二でしょう。

 途中、バルチェッローナとの二重唱があり、ソロがあり、そして3重唱までありと歌の比重では一番のエレナを演じたディドナート。それでも最後の場面まではディドナートにとってはけっこう楽な舞台のなのではと感じていました。

 しかし、まさに舞台の大団円。エレナに当てられたアリアの装飾音の凄まじさ。それを表現力たっぷりに、そしてロッシーニのオペラには大きすぎるのではないかと常々揶揄されるロイヤル・オペラ・ハウスの隅々まで届いたであろう素晴らしい歌唱力、発声技術。フローレスを観たさに来た人が多かったかもしれませんが、初日は、フローレスだけでなくディドナートもまたベル・カント・オペラの素晴らしい歌い手、表現者であることを多くの聴衆に強く印象づけたと思います。

 イギリスでは、5月27日にこのオペラは映画館で同時上映されます。ロイヤル・バレエはずいぶん日本では映画館で上映されているようですが、オペラは上映されるのかは知りません。

 相変わらずの写真です。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633518191017/

 ロイヤル・オペラ・ハウスのフリッカーです。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/

冗談?、誤報?ヤナウスキィが引退?!

2013.05.16
[追記:5月18日]

 下にリンクしたフォーラムの情報によると、ロイヤル・バレエがtwitter経由でヤナウスキィのすぐの引退はないと発表したとのこと。



今晩のイヴニング・スタンダードに衝撃的な、そして混乱させられる記事が掲載されていた。

Royal Ballet star Zenaida Yanowsky saves last dance for brother
http://www.standard.co.uk/news/royal-ballet-star-zenaida-yanowsky-saves-last-dance-for-brother-8618635.html

16 May 2013

Two siblings from a great dancing dynasty hope to bow out together one day with a final joint performance.

As children, Zenaida Yanowsky and brother Yury travelled around Europe together watching their parents, Anatol Yanowsky and Carmen Robles, perform with the Lyon Opera Ballet. But over the past 20 years the two principal dancers have been based in different countries.

Zenaida, 38, joined the Royal Ballet in 1994 and Yury, 40, has been with the Boston Ballet. His company is coming here for the first time in 30 years on July 3 for four shows at the London Coliseum and the siblings have vowed to dance together.

Yury said: “I always have the idea that we started together we need to do something to finish together, it’s just finding the right time and place.”

Zenaida, who lives with her husband and two young children in Ealing, said: “When we went to competitions when we were younger it was always hard because there was only one prize.” Her brother said this rivalry could explain why they chose different companies.


 ウェブ、そして本紙に掲載されている本文には「引退」とはっきり書かれている訳ではない。しかし、本紙の写真の下のキャプションが、「both retiring」と書かれている。既に、彼女のファンはパニック。

Zenaida Yanowsky - Retiring?

http://www.balletcoforum.com/index.php?/topic/3846-zenaida-yanowsky-retiring/

 かくいう僕も、これは何かの間違いと思いたい。38歳という年齢はバレエ・ダンサーにとっては微妙な段階かもしれないが、ヤナウスキィはこれからコンテンポラリィやモダンで新しい境地にまだまだ行けるはず。それに仮に本人に引退の意志があってもロイヤル・バレエには大打撃だろう。イヴニング・スタンダードの書き間違いと思いたい。

美食の報酬2:広尾 一会

2013.05.14
先週までの好天が一休み、雨が多い今週のロンドン。

 東京は、一応生まれ育った場所とはいえ、あまりに広すぎて故郷と言えるのかどうか。ということもあり、これといって思い入れのある料理店はほとんどありません、が、一軒だけどうしても体験したかったのが、広尾にある、「一会」。

http://www14.ocn.ne.jp/~h_ichie/index.html

 こちらを知ったのはまさに偶然でした。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1287.html

 以前よりずっと質素になったウェブでは定休日は火曜日。もしかして日曜日も営業されているのかと思って、まずは電話。

 電話に出た女性(確か大塚さん)にイギリスから電話していると伝えると、「間違っていたらすみません。しばらく前にも電話をくださったモリヤさんですか?」。

 名前まで覚えてくださってありがとうございます、と同時に帰国するたびに食事にこだわリすぎる自分がやっていることは、多くの人がやることではないんですね。

 現在は日曜日の夜も営業しているとのことなので、これは都合がいいと。なぜなら、ロンドンに戻る飛行機が、早朝6時半の離陸。一会さんで食事をいただいた後に羽田に向かいそこで夜明かしすれば実家に戻るよりも楽と言えば楽だと。電話で、現在は1万2千円(税抜き)の一コースのみ、現金での支払いと伺う。同時に食べられないものを訊かれる。

 夜の広尾界隈は、昼間と違って目印になる様なものがなくちょっと迷った後に看板を見つけました。地下に下り引き戸を開けると、店内は清潔、且つシンプルな雰囲気でここなら食事を楽しめそうだとすぐに感じました。

 厨房というかオープン・キッチンでご主人が一人でほぼすべてを。僕が入った時には既に3組の先客(すべてカップル)が居ておそらく超多忙なタイミングだったようで、険しい表情が気になりました。が、すべての流れが掌中に収まったらしいところで肩から余計な力が抜けたようでした。

 料理は、大変おいしかったです。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633244462474/

 できれば、3年前に送り込んだ友人たちが絶賛した茶碗蒸しを食べられればと期待していたのですが、次があれば次の機会に。ちなみに、茶碗蒸しは長崎の吉宗(よっそう)で食べる機会があり、そのことは別のポストで。

 他のお客さんが店を出てからご主人から伺った話をここでは書きませんが、東京のど真ん中で小さな懐石料理店を切り盛りすることは簡単なことではないようです。今でも海外から来る客は居るのかを伺ったところ、頻繁ではないけど、日本に来る度に訪れてくれる皆さんは居るそうです。

 食べきれなかった浅利ご飯を夜食のおにぎりにしてもらいました。多くの人がベンチに横になり、ひっそり静まる羽田空港の国際ターミナルで食べたおにぎりは、慌ただしかった一時帰国の最後を穏やかに締めくくってくれるものでした。

美食の報酬1:御所雲月

2013.05.14
2012年に一時帰国した時のこと、特に十数年ぶりに行った沖縄の印象を書くタイミングを逃したことが喉の刺さった小骨のように気になったまま。その轍を踏まないためにも、4月一時帰国した時の経験を短くても。

 ロンドンの食の事情は少なくとも過去10年の間にグンと向上し、20世紀後半、観光客の時に体験した様な口に入れるのを躊躇う様な料理に出会うことは少なくなっていると個人的には思います。それでもやっぱり、日本「での」食事を想う気持ちはたまにですけど自然に湧き上って来ます。なので、一時帰国のさいは、できるだけ日本「でしか」食べられないであろう日本の食事、特に魚介を中心に美味しいものが食べられればと願っています。

 今回、どうしても行きたかった広島から東京に戻る途中、京都によりたいなと。で、京都に泊まるなら、自分の予算内で二つだけちょっと贅沢なことをしたい。その一つが、2010年に行った「御所雲月」の再訪でした。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1151.html

 広島と京都に行くことだけしか考えていなかったので、桜の季節ということをすっかり忘れていて京都市内の宿泊先を見つけるのはけっこう難儀でした。それでもなんとか宿泊先を確保して、次の心配は、御所雲月がその日に営業しているかどうか?

 こういう時にウェブでさっくり調べられれば良いのですが、雲月はウェブがないので電話して、よかった、京都に宿泊する日は営業しているし、一人ならまだ席があると。ちなみに、どのような理由で休業になるかを尋ねたところ、例えば鷹峯の本店で大きな茶懐石が催される時は「御所雲月」は休業になることもあるそうです。

 更に、「二晩続けていくと、違う料理でしょうか?」と訊きました。答えは、「季節の旬のものに強くこだわることはないです。その日、市場から届いた新鮮な素材をおだしします」とのこと。

 予約の確認のために、日本に戻る前に電話した時に受け答えしてくれた女性の声に聞き覚えがありました。もしかしたらと思っていたところ、店に着くと3年前も給仕をしてくれた仲居さんがいて、「イギリスから電話とのことだったので、多分同じ方だろうと思っていました」と。

 予約した時におそるおそる尋ねたのは、もちろん料金。3年前と同じく、夜は5千円と7千円の2コースのみ。いずれも税抜きの値段。ほっとした反面、品数が減っているのかなと思っていましたが、そんなこと全くありませんでした。

 前回(厳冬)と違って、その夜(桜満開、春爛漫)はかなり忙しかったようです。僕が通されたカウンター席は僕を入れて6人とほぼ満席。座敷の方もかなりにぎやかでした。

 と言うことで、カウンター席の方に挨拶に来た調理の方は二人、仲居さんも二人が忙しくされていて、一人で食べていても全くわびしく感じることもなく、活気があって楽しかったです。前回と同じく、だされる料理、一つ一つがとても美味かったです。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633156495578/

 ロンドンでだされるどーんと肉ひときれや、魚一尾が皿に盛られている料理に文句を言うつもりはありません。食べる料理にはいつも多方面に感謝。それでも、様々な食材が、違う調理方法でだされるのは、食べる楽しみが倍増します。たとえばこのような盛りつけ、日本以外のどこで経験できるのか。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8615003215/in/set-72157633156495578

 僕は、どの料理が「八寸」で、あれは何という順序を知りませんし、それに縛られるつもりは毛頭ないです。店がだしてくれる順番で食べていればいいだけだし。食べログ等で、御所雲月の給仕の仕方が今ひとつという批判はあるようですし、実際他の人のところでちょっとした手違いがありました。でも、そんなことに目くじら立てるために料理を食べに来ている訳ではないでしょうから。この夜、大ヒットだったのはこれ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8615002507/in/set-72157633156495578/

 正直、味は既に遥か記憶の彼方ですが、目の前で七輪で炙られている時に鼻先に届く香からして耳福目福舌福でした。かたく炊きあがったご飯が好きなので、食事の最後のご飯が柔らかだったのが残念と言えば残念。最初の湯葉料理から、最後のわらび餅まで12品。

 この夜、料理と同じく、表現の仕方は適切ではないかもしれないですが楽しめたのは、両隣のお客さんたち。左は、どうやら旅行代理店業界で働く上司(男)、バリバリ営業(女性)、そして営業の若い男性3人という、なんだか見事なくらい社内接待。ドゥバイでの見本市でどれくらい問い合わせがあった等々派手やかな会話、そしてどの会話もまとめるのは上司の男性。でも、だされた料理は、温かいものは温かいうちに食べなきゃ。仲居さんがどのタイミングで料理を下げようかと苦労されていました。

 右は、夫婦ではないような、初老の女性と男性。どうやら芸術関係団体の要職に就いている人たちなのかな、と。調理の方々、そして仲居さんがこの女性の前に立つたびに、自分はどれほどこの店に来たかったかを延々と。でその中で女性が何度も強調していたのが、南青山に「雲月」の小松こんぶを売る店があると。ありました。

http://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13135536/

 でも値段設定や、包装の仕方が日常使いようではないようです。「御所雲月」はお昼はもっと忙しいようですので予約は早めに。仲居さんが気を使ってくれて、鷹峯の本店に一人で行けるかどうか尋ねてくれたのですが、やっぱり駄目でした。残念。

 最後に。僕は、自分が食通だとは思っていません。単に、美味しいものを体験してみたい。素材がどうとか、調理方法がどうとか全く気にしません。覚える意欲がないので。信頼できる料理店でひとときの非日常を味わえるために、頑張って働くと。「御所雲月」は今回で2回目ですが、僕には安心していける店です。食通しか行けない店、と言う雰囲気は全くありません。おいしい食事を、安心して食べられる、至ってシンプルな料理店だと思います。

 タイトルは、一時帰国中に再び読んだ「バジル氏の優雅な生活」のある話からとりました。食べる楽しみを失わないように。そして実家から届いた人間ドックの結果に焦っても仕方ないかと。

ヘンゼルとグレーテル@リンベリィ

2013.05.12
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最低気温が未だに10度以下に、イギリスは北国だということを実感します。

 先週、5月8日から11日の間に5回、ロイヤル・オペラ・ハウスの地下にあるリンベリィ・スタジオ・シアターで、ロイヤル・バレエのアーティスト・レジデンスであるリアム・スカーレットによる「ヘンゼルとグレーテル」が上演されました。宣伝は、「スカーレットによる初の全幕バレエ」というもの。

 「メタモルフォーシス(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1934.html)のところで盛大に愚痴りましたが、これもまたフレンズ枠の発売日にはほとんど席がないという状況でした。が、おそらく一般発売日に上級フレンズからのリターンがあるだろうとの予想があたり、とりあえず2回分は確保できました。で、再び恩恵に与っての文句ですが、5月に入って早々に、初日以外の各回にそれぞれ20枚ほどのリターンがでました。

 チケットを受け取りにいった時に再び、「このリターンのやり方はおかしいのではないか」と尋ねたところ、「全く新しい作品だから、マネジメントが全部の券を放出するのを躊躇ったのかもしれない」と。へ理屈は幾らでもでて来るようです。

Hansel and Gretel

振り付け:Liam Scarlett

音楽:Dan Jones

デザイン:Jon Bausor

照明:Paul Keogan

バレエ指導:Samantha Raine, Ricardo Cervera

Hansel: James Hay, Ludovic Ondiviela

Gretel: Leanne Cope, Elizabeth Harrod

Father: Bennet Gartside, Johannes Stepanek

Step-Mother: Laura Morera, Kristen McNally

The Sandman: Steven McRAE, Donald Thom

The Witch: Brian Maloney, Ryoichi Hirano
(名前、二人目はBキャスト。Aは3回、Bは2回)


(プログラムとガーディアンのレヴューによると)舞台は1950年代のアメリカのどこか。貧困から脱するために家を売ろうとする父は、苦悩からアルコールに浸っている。その父親をグレーテルは心配するが、ヘンゼルの方はテディベアに夢中。グレーテルと継母の間には明らかな緊張感が存在する。

 (第一幕のこの辺りに緊張感がなくて既に記憶喪失気味)何らかの理由で家を出たヘンゼルとグレーテルは、コテイジを見つける。髪をきっちりと分け、度の強そうな眼鏡をかけた男性がひっそりと暮らしていた。二人をコテイジの中に招き入れる男性。

 家が売れ、出て行く準備をしていた父親と継母は、子供たちがいないことに気づく。半狂乱の父親を、まるで他人事のように観る継母。

 両親は、ヘンゼルのテディベアの頭部を見つけたそばにあるコテイジのドアをノックする。仲から出て来た男性は二人に席に着くことを勧める。結局子供たちの情報を得られなかった二人は家に戻り、子供たちをあとにして出て行く。

 コテイジの地下に閉じ込められたヘンゼルとグレーテルは、攻防の末に脱出する。絶望した男性は、(既に死んでいる設定の)魔女の頭部が突っ込まれているオーヴンの中に自分も飛び込む。

 家に戻った二人は、もぬけの殻の家の中に立ち尽くす。継母のネグリジェを見つけたグレーテルはそれを羽織る。


 2日目のBキャストで観た時、The Sandmanの存在に「?」だったので、大学時代の恩師に質問しました。

1.Sandmann (砂男: 子どもが眠くなる、つまり、日本で言うと「目が渋くなる」)英国を含めた西欧の民間信仰によると、月に住むとかの砂男が、子 どもの目に砂を投げ込むからだそうです。KHM (いわゆる『グリム童話集』= 『子どもと家庭のための昔話集』Kinder- und Hausmärchen の略称)15 Hänsel und Gretel には出て来ません。E.T.A. Hoffmann: Der Sandmann はこの伝承を踏まえています。

2.絵(上部参照)を見ると、連れだって森へ入って行く二人の内、女の子の方が男の子より背が高いですね。もとより KHM15 では Bruder / Schwester とあるだけで兄妹か、姉弟か、つまりどっちが年長か分かりません。ご存じのように、魔女の小屋へ行き着くまでは男の子が主導権を握り、後半からは女の子が分別を働かせます。このバレーの演出では終始一貫女の子の方が積極的なんでしょうか?


 この情報がとても有益で、最終日の公演は、振り付けの意図を更に深く理解できたように感じました。スカーレットがサンドマンを入れた真の理由は判りませんが、振り付け的にはとても重要な役でした。ロイヤルのこちらのリンクで写真を観られます。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/sets/72157633439208093/

 次代のロイヤル・バレエの新作振付家の先頭を走るスカーレットの初の全幕バレエということがあるからでしょう、監督のケヴィン・オヘア氏は全公演に来ていたらしいです。僕が見かけたのは、9日にマックレーとギャリィ・エイヴィス。最終公演の時はセルヴェラがいました。

 ガーディアンの批評が的を得ていたと感じますが、スカーレットは全幕のペイス配分を巧くできていなかったように思います。第1幕の前半は、ダンサーたちに触れられそうなほど近い最前列に座っていましたが、ちょっと眠かったです。

 しかしながら、1幕の後半、そして第2幕は観る側の緊張感と期待をずっと持続させるのに充分な構成でした。

 今回の公演では、これまでん何度も観ているダンサーたちの別の面を観ることができたのも面白かったです。

 父親を踊ったガートサイドとステパネクは、双方とも普段は「いい人」。それが酒に溺れ、子供たちを案じつつも妻のセックス・アピールにあらがえない男のわびしさを鮮明に演じていました。

 Aキャストのマックレーは、別格の動き。被っていたマスクからの印象もありますが、まるで得体の知れないトカゲのようでした。

 最も意外だったのが、Bキャストで魔女を踊った平野さん。彼こそまさにプリンセスのパートナーをするための理想のダンサーというのが多くの人、少なくとも僕の印象でした。が、目の前で、ずっと小首をかしげたままのおどおどした姿勢ながら、体全体から強烈に発せられる「危ない人」という存在感は、平野さん、こんな役ができるんだと。ずっと昔、「アナスタシア」で吉田都さんを艶のあるバレリーナ役で観たとき以来の新鮮な驚きです。
 平野さんの役は、演目発表当初はセナイダ・ヤナウスキィがキャストされていましたが、怪我で降板という情報。舞台を観終わって感じたのは、実生活では母でもあるヤナウスキィには心理的な抵抗感があったのではと推察します。

 物語の展開に、つい最近アメリカで発覚した監禁事件や、昨年来、イギリスを揺さぶり続ける子供への性的虐待事件を思い出さずにはいられませんでした。充分、海外へ輸出できる舞台だと思います。今回12歳未満は入場できなったようですが、仮に日本で公演されるなら、15歳未満は保護者同伴になるかなと感じます。

 酷い写真ですが、舞台はこんな感じです。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633461535389/

スクリーンショット 2013-05-12 20.09.31

 リンベリィで上演される舞台のプログラムで、こんなに立派なのは初めて観ました。期待されているんでしょう。

 9日に観に来られていたMiklosさんのポストです。

http://miklos.asablo.jp/blog/2013/05/09/6809185

サドラーズの秋シーズンのチケットは、13日に発売

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スクリーンショット 2013-05-12 12.51.55

5月8日に、メンバー向けの9月からの演目の説明会があったので、初めて参加した。最近感じていたのだが、スポルディングさんはメンバー向けのイヴェントだとリラックスしすぎるようで、けっこうぐだぐだなプレゼンだった。

http://www.sadlerswells.com/

 今年の秋の演目は前半は、僕個人には強く興味を惹かれるものがない。その中で面白そうだったのは、次期パリ・オペラ座バレエの芸術監督になる予定のベンジャミン・ミリピエの新作が披露されるらしい、「LA Dance Project」。スポルディングさんが彼の名前を言っても、会場が全く無反応なことには、さして驚かなかった。10月2日から4日まで。ナタリィ・ポートマンは観に来るのだろうか?
 関係ないが、ミリピエの名前がでたので、帰宅後、パリ・オペのエトワールには誰が残っているのか調べたら、エレオノーラ・アバニャートが今年の3月に任命されていた。なんで今更という気もするけど、おめでとう。

 10月後半になると、注目演目が続く。

Hofesh Shechter: Sun 10月30日から11月3日

Cherkaoui: milonga 11月6日から10日

Stuttgart Ballet: じゃじゃ馬ならし、Made in Germany 11月18日から23日

Ballet Boys: The talent 11月24日、25日

Mark Morris Dance Group: Two mixed bills 11月27日から12月1日

Matthew Bourne's Swan Lake: 12月4日から1月26日


 シェヒターの作品は、未だ一つも観たことがない。何となく「負」の力の方が強そうで敬遠していた。今回の作品は解説によると、「Bright white dancing」なので挑戦しようかと。
 日本でもよく知られているチェルかウィの新作はアルゼンチン・タンゴ。ちょっと迷う。シュトゥットガルトももちろん観たいけど、ハンブルク・バレエを是非ともロンドンにつれて来て欲しい。
 マーク・モリスはどうしても観たい。前回のロンドン公演では、他とぶつかって全く観ることができなかったのだが、レヴューが満点の連打だった。

 で、ボーンの「スワン・レイク」。今回、音楽は録音ではなく生演奏になるとのこと。会場から「アダム(・クーパー)は踊るのか?」の問いに、スポルディングさんの答えは、「彼は雨に歌えばで忙しいようだから」、と。クーパーは、サドラーズにももはや戻って来ないのかな。

 発売は、5月13日、ロンドン時間午前10時から。

猫を釣る

2013.05.11
スクリーンショット 2013-05-11 22.34.27

以前も書いたが、カメラのシャッターは右にあるからこのような時にまともな写真をとるのは難しい。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633449910461/


ロンドンでひったくり増加中:テイブルの上には貴重品を置くな!

2013.05.10
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(キャスを目指す日本人観光客に人気のあるマリルボーン・ハイ・ストリートから至近の場所)

Warning to al fresco diners as CCTV shows speed of laptop theft
http://www.standard.co.uk/news/crime/warning-to-al-fresco-diners-as-cctv-shows-speed-of-laptop-theft-8610699.html

今晩のイヴニング・スタンダード紙のニュースには、個人的にかなり衝撃を受けた。自分のテリトリィと言ってはばからないマリルボーン・ハイ・ストリート。そのハイ・ストリートを横に入った通りにあるカフェで、白昼堂々とひったくり事件が起きた。
 記事の中に埋め込まれている映像がイギリス国外で見られるかどうか判らないが、写真だけでも何が起きたか判るだろう。

 ロンドンに観光で来て、天気がいい日に屋外にあるテイブルで紅茶を飲みながら道行く人を観察するのは楽しいことだろう。でも、絶対にテイプルの上に、パソコンやデジカメを置かないように。大げさに響くことは承知の上で、テイブルの上にカメラやパソコンをおいた時点でそれらは既に盗まれたと同じ。記事の中にあるように、歩行中に電話を手から奪われたということもあるらしいので、高価なものは見せびらかさない。これは鉄則。

ノッティング・ヒル・ゲイト、道路工事で大混乱

2013.05.10
スクリーンショット 2013-05-10 21.26.56
(この辺りに詳しい人なら、どこから撮ったか判るのではないかと)

5月3日のイヴニング・スタンダードで以下の記事を読むまで、ノッティング・ヒル・ゲイトの道路が工事のために既に2ヶ月近く一部が封鎖されていることを知らなかった。

'Cavern' under Notting Hill Gate will mean months of chaos
http://www.standard.co.uk/news/transport/cavern-under-notting-hill-gate-will-mean-months-of-chaos-8602009.html

 記事によると。道路の下で、もう驚きもしないが、水漏れが見つかり水道管を交換しなければならない。が、運悪く、その交換すべき水道管の上にガス管が走っていて水道会社の判断だけでは工事ができないらしい。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633465475022/

 3月上旬だったか、リージェント・ストリートで水道管が破裂した時は昼夜の区別なく工事を続行して記録的な早さで道路の封鎖は解除されたらしい。やればできるのだろうけど、リージェント・ストリートとノッティング・ヒル・ゲイト経済、観光の重要度の差からか、工事を急いでいる雰囲気は全くなかった。

 観光でノッティング・ヒル・ゲイトに行こうと思っている人は、バスではなく地下鉄で行く方がいいだろう。狭いエリアとはいえ、バスのルートは大幅に変更になっているので、思いも寄らないところで降りることになって道に迷うことにもなりかねない。別項で書こうかと思っているが、最近ロンドンでは置き引きやひったくりが増えているらしい。

 個人的には、ノッティング・ヒル・ゲイトに全く思い入れがないので、どうしてあれほど多くの人がいきたがるのか全く理解できない。が、道路工事で大混乱のノッティング・ヒル・ゲイトを是非観光したいという方は、バスで行こうとは思わないように。

ロイヤル・ガラbyロイヤル・バレエ@東京

2013.05.07
NBSのウェブを読んでいたら、公演内容未定だったロイヤル・ガラ(7月10日)の詳細が発表になっている。

英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演 
<ロイヤル・ガラ>

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/1307-royal/2013-5.html#001722

「ラ・ヴァルス」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:モーリス・ラヴェル

「温室にて」
振付:アラステア・マリオット/音楽:リヒャルト・ワーグナー

「コンチェルト」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ドミートリ―・ショスタコヴィッチ

「うたかたの恋」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:フランツ・リスト

「宝石のパ・ド・ドゥ」
振付:リアム・スカーレット/音楽:アレクサンドル・グラズノフ

「雨の後に」
振付:クリストファー・ウィールドン/音楽:アルヴォ・ペール

「ドン・キホーテ」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:ルートヴィク・ミンクス

「白鳥の湖」 パ・ド・カトル
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

「アゴン」 パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン/音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

「クオリア」
振付:ウェイン・マクレガー/音楽:スキャナー

「眠れる森の美女」 目覚めのパ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

「春の声」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世

「シンフォニー・イン・C」 最終楽章
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ジョルジュ・ビゼー


演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

※配役につきましては英国ロイヤル・バレエ団側で調整中のため、発表は公演が近づいてからとなります。また、正式な配役は公演当日とさせていただきます。なにとぞご了承ください。


■来日予定のプリンシパル

カルロス・アコスタ
リャーン・ベンジャミン
フェデリコ・ボネッリ
アリーナ・コジョカル
ローレン・カスバートソン
ニーアマイア・キッシュ
ヨハン・コボー
サラ・ラム
スティーヴン・マックレー
ロベルタ・マルケス
ラウラ・モレーラ
マリアネラ・ヌニェス
ルパート・ペネファーザー
ティアゴ・ソアレス
エドワード・ワトソン
ゼナイダ・ヤノウスキー


 演目については、さしてうらやましいとは思わないが、ベンジャミンが東京で踊ることはロイヤル・バレエのファンにとって特別なことになるのではないか。彼女は今シーズンを最後に引退。ロイヤル本拠地での最後(だと思う)は6月の「マイヤーリング」の最終日。それが東京公演でのガラで踊るというのだから、ロイヤルのダンサーにとって日本は特別なのかな。

 勝手な予想。ベンジャミンが踊るとしたら、筆頭はマックグレガーの「クオリア」で、パートナーはワトソン。初演のときのぱ・ド・ドゥはこの二人だったから。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-234.html

 ベンジャミンらしさで言えば、アシュトンの「ラプソディ」の方が合っていると思うのだが。「アゴン」はアコスタとヤナウスキィではなかろうか。コジョカルとコボーは「春の声」だと思う。他方、「ドンQ」は誰が踊るのかな。

The Metamorphosis @リンベリィ

2013.05.07
書いていないエンタメがかなりあるのですが、中でもこれだけはどうしても書いておきたい舞台。

 3月に、ロイヤル・オペラ・ハウスの地下にあるリンベリィ・スタジオ・シアターで、カフカの「変身」を題材にしたダンス・シアター系の舞台がありました。タイトルは、「The Metamorphosis」。昨年夏のこれ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1708.html)とは全く別物です。

 アーサー・ピタ(Arthur Pita)が創作したこの作品の初演は2011年9月にリンベリィででした。グレゴール・ザムザを演じたエドワード・ワトソンの驚異的なパフォーマンスで凄まじいレヴューだったのですが、その時は公演回数が少なく、チケットは全く取れませんでした。

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 今回は8回も公演が予定されていたので余裕とまでは言わないまでも、大した苦労もなくチケットを購入できるだろうと思っていました。ところが、フレンズ会員の発売初日にアクセスできた時は既に完売。思い出したのは、情報ソースが定かではないのですが、ロイヤル・オペラ・ハウスは、メイン・オーディトリアムのチケットは一般発売分を残しておく義務があるが、その他の舞台のチケットを一般発売初日まで取っておく義務はないらしいということ。フレンズ会員で売り切れてしまえばそれまで。

 とはいえ、諦めきれずに、リターン・チケットがないかを確認し、2月上旬には2公演分を確保できました。その後も、もっと良いリターンがでないかと時折ウェブを確認していたら、2月26日の午後遅くに、なんと全公演ともそれぞれ70枚以上のリターン・チケットがでました。恩恵に与ったものの、何とも言えない不公平感を感じ、チケットの受け取りにいった時にボックス・オフィスの女性に質問しました。

 とても親切な女性で、僕の話を聞き終わると苦笑いを浮かべ目線を上に向けて、「上(マネジメント)が何をするのか私にも判らないわ」、と。

 いちファンとして、リンベリィでの演目は最近とても充実、且つ野心にあふれていてあたれば本当に見応えのある舞台がたくさん。一時帰国中で見逃しましたが、4月上旬にはフィリップ・プルマンの作品を舞台化した演目が大評判だったようです。

 今週後半は、ロイヤル・バレエの期待の若手振付家、リアム・スカーレットによる新作「ヘンゼルとグレーテル」が始まります。これもまた、一般フレンズ会員の発売日にすら完売状態だったのが、先週になっていきなり、初日をのぞく4公演、それぞれ30枚近くのリターンがでました。スポンサーの意向や企業が押さえてあるのだろうとは思いつつ、やはり納得できずにボックス・オフィスで尋ねたところ、「マネジメント側が、売れるかどうか不安だったらしいんだ」、とのこと。

 理由はどうあれ、この理不尽なリターン・チケットの放出の仕方は、納得できません。


The Metamorphosis

Choreography/ Director: Arthur Pita

Music: Frank Moon

Designs: Simon Daw

Gregor Samsa: Edward Watson


 この感想を書き始めるまで、僕はカフカの「変身」を読んだことがありませんでした。また、今後も読むかどうかは判りません。日本語のWikipediaであらすじを読んだところ、舞台の物語は、原作をほぼ忠実になぞっています。


 グレゴール・ザムザは何かのセイルス・マン。毎朝、決まった時間に起床し、同じ服、帽子、鞄を携え、家族が起きる前に外出する。駅に向かう前に必ずワゴンのカフェでコーヒーを飲み、駅で同僚に会い、毎夕同じ列車で戻る。帰宅する途上、ワゴンで一杯のウォッカを飲む。彼が帰宅すると家族は食卓を囲むが、いつもグレゴールは食事をさっさと終わらせ自室に引きこもる。
 妹のグレタに取ってグレゴールは特別な存在のよう。2日目、グレタにトゥ・シューズを買って来たグレゴールにグレタは飛びつく。3日目、グレゴールが帰宅するや否や、踊ってみせるグレタ。

 この出勤、帰宅のルーティーンが3回繰り返された4日目の朝、グレゴールは虫に変身してしまい仕事に行けない。ダイニング・テイブルの上に、いつもならグレゴールが持っていくものが残されているのに気づいた家族は部屋の中がどうなっているかを心配するがドアを開けようとはしない。

 グレゴールが時間通りに現れなかったことに激怒した同僚男性が家に押し掛ける。怒りに任せてドアを破った男性、そしてグレゴールの家族は虫に驚愕する。男性は罵りながら家から走り去っていく。

 グレゴールの部屋の掃除は掃除婦に任せる家族。唯一の収入を失ったグレゴールの父親は一部屋を貸し出すことにする。(原作には国籍等の情報はないにもかかわらずユダヤ人とおぼしき)男性3人が間借りする。グレゴールの家族と彼らが踊っている音楽に誘われて部屋をでて来たグレゴールに驚いた3人は、払った金を取り戻し出て行く。

 家族の怒り、とりわけ妹のグレタの怒りにうちひしがれるグレゴール。翌日掃除に訪れた女性はグレゴールに優しく接する。掃除を終えた女性は気持ちのよい風をグレゴールに感じさせるためか窓を開け放つ。夜、グレゴールは開け放たれた窓から外に出て行く。

 明くる日、既にグレゴールがいないのを知っているかのように喪服に身を包んだ家族は部屋にたつ。グレタは朝日を浴びて静かに踊る。


 舞台は約1時間20分。正直、ピタの演出は僕には納得いきませんでした。終わり方があまりに良い人過ぎ、且つ人種偏見があるようにも感じられました。まず初演の時に確かオブザーヴァのダンス・クリティクが、「この、カフカの不条理な物語に初めて希望を持って観終わることができた」云々のことを書いていました。

 原作を読んでいない僕が批判をするのはお門違いかもしれないですが、この物語を人道的に終わらせる意味はないと感じました。

 リターンがどっとでた時に、行きたいと言っていたイギリス人の友人たちの分も調達しました。そのうちの一人が嫌悪していたのが、後半にでてくる「ユダヤ人」男性3人。彼らが踊る場面の音楽はクレツマー。

 友人は生粋のイギリス人でユダヤ系ではありません。その彼をして、どうしてこの場面でユダヤ人と特定できる人物像を持ち込んだのか理解できないとのこと。また、ある批評家も、この場面だけは気分を逆なでされるようだと記していました。

 僕はチケットを購入してからカフカの人生を追いました。事実として、彼の姉妹は大戦中にユダヤ人収容所でなくなったようですが、「変身」自体にユダヤ人の表記はないようでした。ピタがどうしてこの「ユダヤ人」像を入れたのかは全く判りません。

 もう一つ浅いなと感じた場面。これは僕の思い込みにしかすぎませんが、グレゴールが虫になってしまう前日は雨。ヘミングウェイ作品の解説を読んだことがある方ならご存知だと思いますが、ヘミングウェイは何か良くないことが起きる前兆として雨を降らせました。それが頭の片隅にずっとあるので、グレゴールが虫なる前日が雨だという場面に、独創性が薄いと感じました。

 ダンス作品ではなくて、ダンス・シアター系ということで台詞もあります。中で、ワゴンを押す女性が、グレゴールがコーヒーやウォッカを飲み終わるたびに「ヤクユー!」と声をかけます。おそらく「ありがとう」の意味だとは思ったのですが、どこの言葉だか全く判りませんでした。

 カフカの人物像を読んで中央ヨーロッパ、特にチェコ・スロヴァキアのことが記載されていので、知人のスロヴァキア出身の旦那に尋ねたところ、「チェコ語だ」とのこと。スロヴァキア語では少し違うそうです。

 面白い見方だと思ったのは、2回目に一緒に観に行った別の友人の感想。彼女曰く、舞台上のエドワード・ワトソン演じるグレゴールから、「20世紀後半、HIVに感染した人たちの悲しみと通じるように感じるわ」と。最初は何を言ってんだかと思ったのですが、自分の体に何が起きたのか、自分に責任があるのかも判らないのに、他者から疎まれ、蔑まれ、隔離される。他者を理不尽に差別する現代に通じるものがあるのかもしれないです。

 で、この舞台は、エドワード・ワトソンがいたからこそ。彼は一切踊りませんでした。本当に、虫のようでした。約1時間のもの間、黒い液体にまみれ、手足を信じられない方向に曲げて舞台を這いずり回る彼の姿は、人間という殻を突き破ったかのようでした。

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 ファイナンシャル・タイムズのクリスプ氏は、ワトソンと並ぶほどの男性ダンサーは、パリ・オペラ座のニコラ・ル・リッシュ(来年、引退だそうです)だけと。ル・リッシュは古典の王子様も踊れるけど、ワトソンは踊れないからそれは違うだろうと突っ込みを入れつつも、ワトソンがいたからこそ舞台として成立できたと信じます。

 ロイヤルのニュースによると、今年の9月にこの舞台はニュー・ヨークで上演されるそうです。また、イギリス国内では、今月末に、スカイのアート・プログラムで放送されるとのこと。リンベリィ発の舞台が海外で上演されるのは、僕が知る限りではタケットの「兵士の物語」が日本で上演されて以来2作品目ではないかと。それだけ、高く評価されているのだと思います。

 最終日は最前列のど真ん中に座ったのですが、あまりにも近すぎて気後れしてしまい、ワトソンの写真をとれませんでした。舞台の写真だけです。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633065229882/

ドン・カルロ@ロイヤル・オペラ

2013.05.06
日本同様、長い週末だったロンドン。完璧な天気ではなかったですが、通常、連休になると天気が荒れるイギリスとしては好天に恵まれた週末でした。

 その連休の第一日目、5月4日に初日を迎えたロイヤル・オペラの「ドン・カルロ」を観てきました。エンタメには今でもけっこう行っている割には、ロイヤル・オペラは今シーズンこれで2作品目。オペラらしいオペラは、3月にイングリッシュ・ナショナル・オペラで観たシャルパンティエの「メディア」以来。ロイヤル・オペラは今シーズンはほぼどの演目でもチケット売り上げが好調で、チケット獲得にエネルギーを使いたくないというの遠ざかっている一つの理由です。

 ロイヤル・オペラの現在の「ドン・カルロ」は、もうすぐナショナル・シアターを離れるニコラス・ハイトナー演出によるもの。初演は2008年でした。その時、そして2009年の再演の時は、チケットはそれこそホット・チケットでリターンにも巡り会えませんでした。

 今回も早々に売り切れていたので、縁のないオペラだと思っていたのですが、4月最終週に入って、連日リターン・チケットが20枚、もしくは10枚とでるようになりました。ロイヤル・オペラ・ハウスのリターン・チケットについては恩恵を受けているもののそのシステムには大きな不満があります。そのことについては別の作品の感想で。

 リターンが出始めても当初は購入する気になれなかった(だいたいオーケストラ・ストールで£200−超)のですが、ふとキャストを観ると、ドイツ人ソプラノ、アーニャ・ハルテロスの名前が。ハルテロスは一度も聴いたことがなかったのですが、既にその度重なるキャンセル、にもかかわらず評判が高いことを読んでいたので、どれほどの歌手なのかを知りたくてチケットを購入。彼女は無事に出演しました。でも、当初より出演回数を減らしたそうで、ここでオペラ・ファンからの不満を読めます。

http://www.roh.org.uk/news/cast-change-lianna-haroutounian-to-sing-role-of-elizabeth-of-valois-in-don-carlo-for-4-performances

 本編の感想の前に幾つか。ヴェルディ・イヤーの上に主要な役に実力のある歌手をそろえたからでしょう、オペラ・ハウス内はとても活気に満ちていました。ブログ仲間の友人から、イギリス人テノールのトビー・スペンスが来ていることを聞きました。スペンスは2011年の暮れに甲状腺がんが見つかり2012年はほとんど舞台に立つことはありませんでした。しかし、6月にロイヤル・オペラが上演するベンジャミン・ブリテンの「グロリアーナ」にキャスティングされていることもあって観に来ていたようです。

 以前に一度話しかけたとき(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-694.html)もとても気さくに話してくれたので、体調のことを訊いてもいいなら知りたいなと思っていました。最初のインターヴァル、友人を探していたら本人が目の前に現れたので、駄目もとで尋ねてみました。本当に嬉しそうに、「以前よりずっと強くなったと感じているんだよ。グロリアーナへの出演も楽しみだし、(10月の)ウィグモア・ホールでのリサイタルも大丈夫だよ」、とのことでした。

 2回目のインターヴァルが始まってすぐ、プログラムを読んでいる目の前で聞き覚えのあるアメリカ英語を話す女性の声が。ジョイス・ディドナートでした。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/7646496542/in/set-72157630751912632

 ディドナートは5月17日から始まるロッシーニの「La donna del lago」のタイトル・ロール。既にリハーサルが始まっているからでしょう、初日を旦那さんと観に来ていたようです。あまりに気さくで多勢の観客から話しかけられている彼女に話しかけるのは無理かと思っていました。

 自分の席に戻り、隣の人が戻るまで通路に立っていてふと後ろを振り向いたら、ディドナートが目の前に。咄嗟に、「ロッシーニのオペラ、楽しみにしています。それとウィグモア・ホールにもまた戻って来てください」というと、「I love the Hall, I will definitely come back to the Hall」、と満面の笑顔にとても聞き取りやすいアメリカ英語で。

 で、「ドン・カルロ」。

Conductor: A Pappano

Don Carlos: Jonas Kaufmann

Elizabeth of Valois: Anja Harteros

Rodorigo: Mariusz Kwiecien

Philip II: Ferruccio Furlanetto

Princess Eboli: Beatrice Uria-Monzon

Grand Inquisitor: Eric Halfvarson


 初見のオペラ、且つチケット代を無駄にしたくなかったので、オペラの師匠から見所を教えてもらい準備万端。幕が上がる直前、緞帳が開き、ロイヤル・オペラのディレクター、カスパー・ホルテンがマイクを持って現れたので、会場からは失意のどよめきが。誰もが、「ハルテロス、土壇場でキャンセルか」と思ったことでしょう。が、ハルテロスはキャンセルしておらず、ハフヴァーソンが風邪から回復しているところで本調子ではないけど歌いますという知らせでした。会場からは惜しみない拍手。

 物語の流れは、僕には深みに欠けるものと感じました(特に第3幕、異教徒を糾弾する場面)が、主要6人の歌唱、そして演技は素晴らしかったです。

 中で弱かったのは、エボリを歌ったユリアーモンソン。表情が僕にはとてもきつく見えてしまい、師匠から聞いていた第4幕のアリアの説得力が今ひとつでした。

 その次に響かなかったのが、ポーランド人バリトンのKwiecien。声量は十分、表現力も立派、そして演技も素晴らしい。でも肝心の声質がカウフマンやフルラネットと比べると平坦に聞こえてしまい。

 バスの二人は、僕には文句のつけようがありませんでした。とりわけフルラネット。僕は彼を初めて観た・聞いたのはロッシーニの「セビリャの理髪師(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1047.html)」でした。それ以前から重厚な演技をすることは聞いていたのですが、今回の深い演技には圧倒されました。妻に愛されない孤独を歌いつつも、権力への執着を秘めたねっとりした演技はイタリアの国宝だと思います。

 カウフマン、最後に生の声を聞いたのがいつだか思い出せないくらいで、第1幕での彼のアリアの出だしの声には、「こんなもんだった?!」。でも、物語が展開していく中で、やはりスター・テノールであることを認識。また、ハルテロスとの声とも相性がよく、二人の二重唱はすべてが美しかったです。

 ハルテロス、彼女の歌を聴くことができたのが、今回の最大の喜びです。美しい姿勢、若い頃のバルトリを彷彿とさせる凛とした表情、そして豊かな表現力を全く失わない素晴らしい声。どのような理由でも、キャンセルしまくる態度はいただけないですが、ロイヤルが彼女をキャスティングし続ける理由が判る気がしました。レパートリーに入っている「アラベラ」と「薔薇の騎士」で聴いてみたいです。

 ろくなものではありませんが、カーテンコールの写真です。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633424923526/

[追記:5月8日]
ハルテロス、今夕の舞台をキャンセル。皆さん、怒り心頭。
http://www.roh.org.uk/news/cast-change-lianna-haroutounian-to-sing-role-of-elizabeth-of-valois-in-don-carlo-on-8-may

 自分の幸運を素直には喜べないな。

[追記2:5月10日]
Cast change: Lianna Haroutounian to sing role of Elizabeth of Valois in Don Carlo on 11 May
http://www.roh.org.uk/news/cast-change-lianna-haroutounian-to-sing-role-of-elizabeth-of-valois-in-don-carlo-on-11-may

 やっぱり。

マークスのクッキー缶は、エキセントリック・ブリテン

2013.05.06
女性服の売れ行きが悪くて社長が解任されそうな雲行きのマークス・アンド・スペンサー。2012年は特別な一年なので趣向を凝らしたクッキーの缶を販売したのかと思っていた。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1629.html

 が、今年はイギリスの変なものを集めたデザインのクッキーの缶が売られている。

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 アボット・ブロムリィのホーン・ダンスって、何?スタッフォードシャーにはねじれた家(クリスティのファンの皆さんにはおなじみのタイトルだろう)があるのか。

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 白鳥に番号がふってあるのは、特別な地域を除いて、イギリス国内の白鳥はエリザベス女王に帰属する。そのため、年に一回、その数が調べられる。

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 パーリィ・キングとクィーンはかなり知られているのではないか。いつだったかな、コヴェント・ガーデンで集団に遭遇したので写真を撮ろうとしたら、料金を要求された。結局、商売なんだと思って、以来興味なし。 

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 最後のは全く知らない。

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 土産としては重いしかさばるけど、キッチュなデザインの缶にショートブレッドが詰まって£5−は、お値打ちだと思う。

エッジウェア・ロード駅(ベイカールー線)、6ヶ月閉鎖

2013.05.06
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最寄りの駅だが、頻繁に使わないエッジウェア・ロード駅が、エレヴェイター交換工事のために、5月25日から12月20日まで閉鎖されることを、駅構内に掲示された案内で知った。

 在ロンドンの日本人もあまり使わない駅だろう(勝手な想像)し、日本から観光でロンドンを訪れる人にとってどれだけ需要が有るのかさっぱり見当がつかない。でも、一応ゾーン1だし、念のためにお知らせ。


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