LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2014年09月の記事一覧

味な地球儀:9月30日

2014.09.30
*著作権は、日本経済新聞社に帰属します。

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(2014年9月30日)


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冷凍クロワッサン

2014.09.28
胆石はあるけど、炎症が再び起こるような状況は克服したので、ウェイトローズで冷凍クロワッサンを買ってみた。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2066.html

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 冷凍庫から取り出してそのままオーヴンで20分で焼き上がるらしい。

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 袋から取り出す時に、生地がくっついていて無理やはがしたので、形やサイズが変わってしまった。

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 見た目は美味そうだったのだが、底がかなり焦げてしまった。ま、ソギーボトムよりはまし。味は可もなく、不可もなく。ただ、焼き上がるまでの間、この焼き上がるまでの期待が嬉しくて人はパンを焼くんだろうなと。

 しょっちゅう購入するとは思わないが、食料を買い忘れた時の非常食として冷凍庫に保存しておいても良いだろう。

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある

2014.09.24
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一時帰国中に、実家で読んでいた朝日新聞に掲載された著者のインタヴューに興味を惹かれて購入。とても面白いフィールド・ワークの本。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?code=217997

徳島県南部の太平洋沿いにある小さな町、海部町(かいふちょう)(現海陽町)。このありふれた田舎町が、全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」であるとは、一見しただけではわかりようがない。この町の一体なにが、これほどまでに自殺の発生を抑えているというのだろう。
 コミュニティと住民気質に鍵があると直感した著者は、四年間にわたる現地調査とデータ解析、精神医学から「日本むかしばなし」まで多様な領域を駆使しつつ、その謎解きに果敢に取り組む。
 ゆるやかにつながる、「病」は市に出せ、“幸せ”でなくてもいい、損得勘定を馬鹿にしない、「野暮ラベル」の活用など、生きづらさを取り除いて共存しようとした先人たちの、時代を超えて守り伝えられてきた人生観と処世術が、次々とあぶり出されていく。

第1章  事のはじまり ―海部町にたどり着くまで

第2章  町で見つけた五つの自殺予防因子 ―現地調査と分析を重ねて
いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい/人物本位主義をつらぬく/
どうせ自分なんて、と考えない/「病」は市に出せ/ゆるやかにつながる

第3章  生き心地良さを求めたらこんな町になった ―無理なく長続きさせる秘訣とは
多様性重視がもたらすもの/関心と監視の違い/やり直しのきく生き方/
弱音を吐かせるリスク管理術/人間の性と業を知る

第4章  虫の眼から鳥の眼へ ―全国を俯瞰し、海部町に戻る
「旧」市区町村にこだわる理由/最良のデータを求めて/指標が無いなら作るまで/
海抜五百メートルの山と高原/地理的特性の直接・間接的影響/海部町の「サロン」活用法 

第5章  明日から何ができるか ―対策に活かすために
  「いいとこ取り」のすすめ/思考停止を回避する/“幸せ”でなくてもいい/
  危険因子はゼロにならない/人の業を利用する/「野暮ラベル」の効用



 先に小さな不満を3つ。最初の三つの章は、著者の仮説が海部町での見聞と全て面白いように一致する、という印象をたまに持ってしまった。これは、この本が論文そのものではなく、商業的な本であることのだからかもしれない。
 二つ目は、本書の最後にある「調査と分析の流れ」の中で、海部町が、調査をした近隣二つの町と比べて、経済格差が最も大きかったと書かれている。これは本書の中では他には全く記述されていない。思うに、「調査と分析の流れ」は、本来の論文でイントロダクションにあたる部分であり、この本の為に調整した訳ではないのだと考える。しかし、本の最後で全く新しい事実が書かれていることに驚く人もいるのではないかと思う。
 最後に、これもまた、大本の論文を入手できれば解決するのだろうけど、参考文献のリストを掲載して欲しかった。少ないだろうが、岡さんが彼女の仮説を立てる際に参考にした論文や文献はどこの国で書かれたものなのかには興味を惹かれる。論文は、英語でも書かれているのかな?

 この本がとても興味深いことの一つは、本書で著者の岡さんが何度も強調しているように、「自殺危険因子」ではなく「自殺予防因子」とはなんであろうか、ということに着目したこと。日本だけでなく、イギリスでも自殺の予防因子についての研究は聞いたことがない。

 著者の岡さんには全く及ぶはずもないが、心理学の統計調査をやったことがある僕としては、第4章、第5章がとても参考になった。最初の三つの章が、キャッチ・コピィ的な書き方であるのに対し、後半の2章は、岡さんが立てた仮説が統計分析の結果、自殺予防因子があることが確認できる数値を得られたので、この結果を踏まえて、今後の更なる研究、また今回の結果から考察されるであろう方策を提示している。この考察・分析の部分が思慮に富んでいて、僕自身の中で膠着していたある点を解きほぐしてくれた。

 本書では、これからも折に触れて考え続けて行きたいと感じる箇所がいくつもある。中でも、第5章の中の一部、「こだわりを捨てるー”幸せ”でなくても良い」は自分一人の為の快適さだけを追い求めて、他の人のことは眼中に無い現代人への警鐘のように思う。

 「結びにかえて」の中で、岡さんはこう記す。

 「この日を境に、胸に刻んだことがある。私は、自殺した人を決して責めない(P202)」。

 この部分だけを取り上げることは誤解を招く危険があることは承知している。なので、この本をまだ読んでいない方は、この本を読む際、この前後で岡さんが書かれていることを考えることは大切だと思う、とだけ。

 ロンドンに戻る飛行機の中で読了。「私はこのことを伝えたい」という明瞭な意志によって書かれた、読み易く、しかも心理的には素晴らしく重い本。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1321.html

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フランコ・ファジョーリ@ウィグモア・ホール

2014.09.24
アルゼンチン出身のフランコ・ファジョーリという名の歌手を知ったのは、こちらのブログで。

http://bonnjour.exblog.jp/18680818/

 このポストの中で書かれているファジョーリによる空前絶後のアリアをYTで観て、聴いて以来、なんとしても生の舞台を観たかった旬のカウンターテノール。

 最近、イギリスにおいて常に一人勝ち状態のロイヤル・オペラの様々な取り組みのおかげで、オペラは少数の人の為の、消滅して行く芸術と考える人は少なくなってきているように感じる。しかしながら、それによって、ファジョーリのように大陸で既に大いに活躍しているカウンターテノールが頻繁にロンドンに来てくれることにはつながっていない。上記の「アルタ・セルセ」も、イギリスだけは来なかった。

 で、9月21日、ウィグモア・ホールでのファジョーリのホール・デビュー、そしてロンドンでのソロ・リサイタル・デビューは待ちに待ったイヴェント。彼が歌っている間は、まさに、jaw droppingだった。既にブログにアップしている方のレポ。

http://ameblo.jp/peraperaopera/entry-11928757428.html

Franco Fagioli countertenor

Academia Montis Regalis


Vivaldi Concerto in A for strings and continuo RV 158

Porpora Se tu la reggi al volo from Ezio/Vorrei spiegar l'affanno from Semiramide

Vivaldi Concerto in F for oboe, strings and continuo RV 455

Porpora Torbido intorno al core from Meride e Selinunte/Già si desta la tempesta from Didone Abbandonata/Distillatevi o cieli from Il Verbo in Carne/Con alma intrepida from Meride e Seliunte



Vivaldi Sinfonia in G RV149

Porpora Non lasciar chi t'ama tanto from Vulcano

Vivaldi Cello Concerto in C minor RV401

Porpora Spesso di nubi cinto from Carlo il Calvo II


 ファジョーリが歌ったのは、ニコラ・ポルポラという作曲によるアリア。正直な所、ファジョーリを知るまでポルポラすら知らなかった僕にはそれぞれのアリアについて書ける知識は無い。が、ファジョーリが歌い始めると、「今、目の前、数メートルの舞台にいる男性は、一体何をしているのだろうか?」という混乱と、彼が体全体を使って生み出す至高の歌声に、ただただ、聞き惚れるだけ。ファジョーリ本人がとても楽しそうに歌っているのが、素晴らしい相乗効果を生み出していたと思う。

 圧巻は、本編最後のアリアの盛り上がり部分で、地声の低い部分から超高音まで一気にシームレスで歌い上げたとき。カウンターテノールをオペラ界のあだ花のように忌み嫌う人がいるようだが、あれほどのまでの技術を持ち、且つ自由自在に(の様に見えるが、日々の鍛錬のおかげにちがいない)に声を転がすのは普通の歌手ではできないだろう。あれほどの技術を目の当たりにすると、ディクションがどうのこうのというのが場違いのように思えてくる。

 ウィグモア・ホールではとても珍しいことに、本編最後のアリアが終わる数秒前に、会場中が大爆発。演奏が終わる前の拍手やブラヴォーは、普段なら、回りから注意を受けるだろうが、あの熱狂は、ファジョーリへの最高の賛辞。

 アンコールの一曲目の途中で、高音域でほんの少し声がかすれてしまったのは、ロンドン公演の前にも同じ内容でリサイタルをしたようなので、喉に疲れがたまり始めていたのかもしれない。しかし、アンコール2曲目では、軽やかなコロラチューラと美しい声で聴衆を圧倒。今回はチケットの売れ行きは8割程度だったようだが、次回があれば、完売は必至だろう。

 ファジョーリは来る11月、モーツァルトの「イドメネオ」でロイヤル・オペラでのデビューが決まっている。

http://www.roh.org.uk/people/franco-fagioli

 ちなみに、今シーズン前半のウィグモア・ホールのプログラムでは、大陸で活躍するカウンターテノールがかなりブッキングされている。12月には、ジャルスキィのランチ・タイム・リサイタルと、チェンチッチのリサイタルがある。彼らが出られるようなオペラの上演をロンドンでは望めないが、これからも頻繁にウィグモアには来て欲しい。プログ仲間の所の情報では、ルーマニア出身のサバドゥスという歌手も注目を集めているそうだ。

 普段は、ウィグモアではリーダー歌手のリサイタルを聴くことが多いので、ファジョーリのように全く異なる、しかも同じくらい素晴らしいリサイタルを聴けるのは、本当に幸運なこと。

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今日、9月24日は、「家に早く帰ろう」の日だそうで

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 知らなかった。

Go Home on Time Day
http://gohomeontimeday.com/

It’s Go Home on Time Day – but who will actually manage it?
http://www.theguardian.com/money/2014/sep/24/go-home-on-time-day-britons-work-some-longest-full-time-hours-europe

 このようなキャンペイン、どれだけの人がイギリス国内で知っているのか?日本人の多くがまだまだ働かされ過ぎだけど、イギリスでも、働かなければならない状況の人は本当に長時間働いている。ロンドンの不動産価格の高騰で長距離通勤をしている人もたくさんいるだろう。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2199.html

 帰国中、アマゾンで本を購入した。ロンドンに戻る前日までに届けばいいやと思っていたら、連休中日に注文したのが連休明け初日に配達された。そんなに働かなくても良いのに、と。

11月1日、2日、3日は赤旗まつり

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http://www.jcp.or.jp/maturi/

 ソウル・フラワー・ユニオンが観たい。僕は、消費税率の上昇は必要だと思っている。日本に住んでいないからそのような無責任なことをいえるんだと言われるだろうけど、税収でまかなわなければ、国の借金はどうなる。

 共産党には、いつまでも増税反対ではなく、増税という方針をとった場合、どのような分野で増税し、変わりに生活必需品、例えば食料等への消費税を止めることで日常の暮らしの中での影響がどうなるかを説明する段階に来ていると思う。

 第3次世界大戦という言葉が世界で多くの人から発せられている最近、平和について考えることは大切だと思う。

ホテル・オークラのショートケイキをテラス・レストランで

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この作り方まで変わるとは思っていないが、2015年8月をもって取り壊されるホテル・オークラ本館のテラス・レストランで庭を眺めながらショートケイキを食べたいな、と思っていた。

 一度いったら、その居心地の良さに、明くる日も。泊まったことは無いけど、レストランでのんびり座っているだけでも、そのホスピタリティの良さに寛げる。

 東京オリンピック、パラリンピックが開催される前年、2019年に本館跡地に新しいホテル棟がオープンするとのこと。受付の後ろのテイブルにいた時、頻繁に、「窓側の滝が見える席」を予約する電話がかかっていた。あのテラス・ガーデンは「絶景」ではないが、愛でる人は多いのだろう。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/15095672449/

都電荒川線から観る東京

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東京散歩の本がたくさん出版されているから今更ここで紹介する必要は無いだろうけど、都電荒川線は、東京に唯一残る路面電車。

http://en.wikipedia.org/wiki/Toden_Arakawa_Line

http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/toden/
(都営交通の英語版はかなりてこ入れが必要だと思うな)

 昭和40年代くらいにどんどん都電が失われて行った東京だけで暮らしていると、路面電車という交通機関を過去の遺産と思う人がいるかもしれない。しかし、世界の多くの国で路面電車は廃れるどころか市民の暮らしの足として利用されている。専門雑誌もあるほど。ロンドンにもあるんだよね、乗ったことは無いのだけど。独立投票で注目を集めるスコットランド(http://www.theguardian.com/politics/2014/sep/14/scottish-independence-queen-remark-welcomed-no-vote)の首都、エディンバラも空港と市内を結ぶトラム・システムが今年になって開通している。

 素晴らしい天気、実家で写真の整理をするよりも、「これは都電に乗らなければ」ということで出かける。

 激混み。
 
 素晴らしい天気、連休の中日ということで小さな子供を連れた多くの家族連れが「あらかわ遊園」を目指したようだ。更に東京を散歩したいのだろうと思われる服装をした皆さんは早稲田方面へと、両方向とも午前中は凄まじい混雑だった。急ぐ用はないので、一日乗車券を購入して降りたり乗ったりと、まずは三ノ輪橋へ。そのあと早稲田まで乗り通し、再び戻って最後は飛鳥山。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647595371375/

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647178392070/

 三ノ輪橋の商店街、「ジョイフル」ののんびりした、でも多くの人が行き交う様子に、東京23区内にもこのような場所がまだ残っているんだなと。子供の頃、都電に乗ることはたくさん有ったと記憶しているが、ここまで来たのは今回が初めて。

 飛鳥山近辺、北区の滝野川や西ヶ原は個人的にとても懐かしい地域。都電の線路際に建つ住宅街の趣は、新しい住宅もあるが、それほど大きく変わっていないのではと感じる。「アスカルゴ」にも乗れた。車内で流れる倍賞千恵子さんの声もまた懐かしさを倍増させてくれる。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/15234466945/

 東京は、東京だけではない。

鹿児島駅上の大きな観覧車:アミュラン

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鹿児島市は泊まるだけと思っていたので、桜島のことだけしか調べていなかった。桜島観光から戻り、友人に頼まれた路面電車の写真を撮りつつ、のんびり歩きながら鹿児島中央駅に近づいてきて突如目に入ったのが、駅ビルの上にそびえる観覧車。その名は、アミュラン

http://www.amu-kagoshima.com/amuran/

 乗ってみた。かなり怖かった。全てが透明のゴンドラ、スケルトンは人気が高くて1時間待ち。試してみたかったが、通常のゴンドラでもけっこう冷や汗が出たので、乗らなくて良かった。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647100436850/

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 鹿児島(だけではないが)は、人が優しくてとても居心地が良かった。次回はいつになるか全く判らないが、また訪れたい。JRパスを駆使して、九州まで外国人観光客が来ている。素晴らしい。

京都市北部、路線バスで右往左往:美山かやぶきの里、他

2014.09.11
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(京都市南丹市、美山村)

京都市北部にかやぶきの里があると知ったのは、昨年、大悲山峰定寺に行った時に利用したタクシーの運転手さんから伺った、ある方の失敗談から。「美山へ」という依頼に美山村へ。到着すると客は「美山荘はどこですか?」と。それは峰定寺に隣接する超高級旅館。「方向も、走行距離も全く違うんですよね」と笑っていた。

 で、興味を惹かれたので思い出しては情報をのんびり集めていたのだが、「遠いらしい」ということ以外にはこれといった体験談を見つけられなかった。そんな時に、ミクシィの旅のコミュニティで以下のブログが紹介されているのを見つけた。

http://mousoukiko.blog.fc2.com/blog-entry-26.html

 確かに遠いけど、行けなくはない。自分の行ける範囲の中でちょっと難しいから行ってみるぞ、という向上心に火がついた。ただ、念のため京都市内出身の友人に尋ねた所、

 「園部からバスを乗り継いで1.5時間位のようですが、市内の住民からすると園部は路線バス終点なので、その先の公共交通の様子は想像つきません」、

というちょっと不安になる返答。とりあえず、以下のサイト経由で路線バスの時刻表を把握して行くことにした。

http://www.kayabukinosato.com/info.html

http://www.miyamanavi.net/kan0001/

 立てた予定は、JR日吉駅でバスを1時間待つけど、嵯峨野線、山陰線を乗り継いで日吉駅に10時過ぎに到着。これは、数日前に滞在していた鹿児島で路線バスとJRの乗り継ぎのタイミングに軽く翻弄されたから。

JRの旅
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647435029762/

 そんな心配性は僕だけで、他の乗客は午前10時50分に到着。11時になると、路線バス(南丹市営バス)が時間通りに出発。乗客のほとんど(といっても10人くらい)は全て美山へ。途中、下佐々江という場所で美山へ行くバスに乗り換え。美山の前に、道の駅・安掛(あがけ)という場所を過ぎる。

 地図を見た上での予定では、かやぶきの里を観て回ってから安掛に徒歩で戻り、午後2時半のバスで周山に向かい、JRバス(JRパスが使えるから)で京都市内に戻るつもりでいた。折角、周山に出るのだから常照皇寺についに行けるかと思ったのだが、路線バス(京北バス)の接続がほぼ不可能なのですっぱり諦めていた。
 
 誤算だったのは、安掛から美山までの距離。穏やかな田園風景が広がる山の麓を、バスは走ること10分超。「これは、僕でも2時間では歩けない」。

 そう危惧したのは僕だけでなく、他の近畿圏から来たと思われる女性2人組も。彼女達が不安げに、「思っていたより遠いよね」との声が何度も聞こえた。

 美山かやぶきの里バス停に到着したのは午前11時50分。運転手さんに、「戻りのバスの時刻表はどこですか?」と訊くと、反対側のバス停にあるとのこと。もちろん、予定していたバスの時刻はメモってある。その前にあるだろうとの期待は一瞬で萎んだ。午後1時台にはバスが無く、その前は午後12時18分発。30分で良いかと逡巡しつつ、かやぶきの里へ。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647034218230/

 逡巡する気持ちを抱えながら写真を。村自体が本当に美しく、来られて良かったとの気持ちに偽りは無い。かやぶきの家屋と同じくらい素晴らしかったのは、実りの季節を迎えた田んぼ。稲ってこんなに美しい作物なんだと。

 同じバスの中に外国人カップルがいた。到着してから尋ねると、シンガポールから来たとのこと。どうやってこの村を見つけたのかを訊いた所、「インターネットで偶然に見つけてから、来たくてたまらなかった。実際の村の美しさは想像以上です」。

 2時間歩いてみるか、2時間ここで過ごすか、それとも潔く切り上げてバスに乗るかと考えつつ郵便ポストと家屋の写真を撮っていると、一人のご婦人が手紙を片手にポストへ。

 「ごめんなさいね。手紙を入れるだけですから」。
 
 「観光客が邪魔して済みません」。

 「今日は空いている方ですよ。やっぱり週末の方がずっと込みますからね」。

 「あの、安掛までどれくらいかかりますか?」

 「歩かれるんですか?車で10分くらいだから2時間あれば充分じゃないかしら。私は歩いたこと無いんですけどね。平気ですよ、歩けますよ」。


 しかし、鹿児島でやはり同様の体験をしたので、かやぶきの里での滞在時間、30分弱。数分遅れて到着したバスには、先ほどの女性二人も乗り込んできた。

 安掛までのバスの中で、「これで周山に早く到着したら、もしかして、常照皇寺への再訪が叶うか?」と。

 安掛のバス停で週山行きのバスの時刻表を見ると、午後が全て空白になっていた。当初乗る予定にしていたバスさえ書かれていない。ぶちパニック。

 背後から、「お兄さん、大丈夫かね?」との声が。振り向くと、両手に農作業用の鎌を携えた初老の男性。「周山へのバスが無いようなんで、営業所に電話してみます」、と伝える。電話が終わるまでバス停から離れない男性。

 営業所の男性は簡単に2時半のバスは走りますよ、と。その前にあるかを尋ねると、「12時48分だから、あと5分くらいですよ。バス停を間違えないでくださいね」、と念を押される。

 男性にバスが直ぐに来ることを伝えると、「良かったね。道中気をつけて」。人が優しい。

 周山行きのバスは、結局、乗客は僕だけ。更に、終点の周山に到着するまで誰も乗り込んでは来なかった。このような路線バスは基本的に住民の為だろうけど、需要があるのかどうか。京都新聞によると、京北地区の人口流出は大きな懸念とのこと。

 心は「常照皇寺に行ける」と舞い上がる。が、幸運もここまで。1時20分に周山駅に到着して改札担当の女性に尋ねると、「次に常照皇寺に行くバスは午後4時半ですね」。隣にタクシー会社があり、常照皇寺には入らないで往復のみでいくらかかるか訊くと、5千円くらいとのこと。一人で5千円は高い。

 常照皇寺は、「行くんだ」という意志だけでは到達できない。交通手段を用意できるかどうかにかかっていることを今回、学んだ。

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(山国御陵前が常照皇寺へのバス停)

 京都駅のみどりの窓口で、JRパスで西日本JRバスを乗れることを確認してある(確認に時間はかかったが)。念のため窓口の女性に伝えると、「上司に確認してきます」と。周山でJRパスを使う人なんてそれほどいないだろうな。

 次のバスは、2時10分。待っている間に、「じゃ、栂尾の高山寺(世界遺産と初めて知る)と、槙ノ尾の西明寺を久しぶりに観よう」。一人だからの気楽さ。

高山寺
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647034496310/

西明寺
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647429829611/

 神護寺を含めた三尾は紅葉が有名だからこの時期はあまり込んではいないだろうと思ったが、誰もいなかった。高山寺の境内の木々の美しさ。

 移動や待ち時間の合計が8時間。観光時間は2時間。でも、終わってみれば良い一日だった。

[追記:9月13日]
書こうと思って忘れていた情報。美山に行くのには、こんな不便な方法だけではない。園部駅からバスによる周遊コースがある。

http://www.keihankyotokotsu.jp/info/sonobemiyama/

 10月1日からは毎日運行のようだから、こちらを利用する方がずっと楽だろう。

日本の駅舎:津山線、亀甲駅

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https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647337113272/

 こんな駅舎があるなんて知らなかったので、驚いた。

奈義町現代美術館

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(「太陽」の部屋。2014年8月31日)

朝日新聞が奈義町現代美術館を「一生に一度は行きたい!世界のアートスポット」と紹介した記事で掲載していた「太陽」の部屋の写真を観た瞬間、「森博嗣の『朽ちる、散る、落ちる』だ」、と思った。

http://www.asahi.com/articles/ASG844RHBG84PPZB00G.html

 美術館訪問後にネットであらすじを読んでみた所、かなり歪曲して覚えていたことが判ったが、本書の中で死体が見つかった円心器のイメイジが重なった。

 東京からだったら、おそらく行かなかっただろう。が、8月30日は、名古屋に宿泊予定。次の訪問地へのルートからは回り道だが、行けなくはない。長かった。遠かった。午前7時半のひかりで名古屋から岡山へ。岡山で津山線に乗り換え、津山駅から更にローカルバスで小一時間。美術館に到着したのは午後12時15分。もう一つ重要な情報は、ローカルバスの運賃が、片道810円。入館料金よりも高い。

 一生に一度どころか、通えるなら何度でも訪れたい、それほどはまった。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647010751046/

http://www.town.nagi.okayama.jp/moca/index.html

 美術館の成り立ちについてはホームペイジに詳しく書かれている。手短に紹介すると、3作品のみを展示する為に建設された美術館。いいかえると、所蔵作品が旅をすることは不可能で、観たかったらここまで来い、と。

 展示作品は、つい先日に亡くなられた宮脇愛子さんによる「うつろひ」。岡崎和郎さんの「HISASHI」。そして、荒川修作+マドリン・ギンズの「遍在の場・奈義の龍安寺・建築的身体」。

 正直、「うつろひ」は僕には存在が薄く感じられた。が、「太陽」の部屋に行く前に、岡崎さんの作品には五感を、特に僕にとってとても大切な感覚、聴覚を穏やかに鷲掴みされたようだった。上手く言葉にできるとは思わないが、部屋を歩く僕の足音が部屋の中を綿が飛ぶように優しく浮遊するようだった。無音ではない。ただ、音を出す存在がまるでこの閉じられた部屋で僕一人だけのよう、そんな不思議な感覚。

 「太陽」の部屋。この世界の限界も、自分の限界をも知らなかった子供の頃、高層ビルの屋上から飛び降りても平気だろう、この壁を地面と水平になって駆けることは僕にはできるはず、知らなくていいことを知る必要がなかった頃、そんな懐かしい感覚を呼び起こされた。

 僕が部屋に入ったとき、小さな子供を二人連れた家族がいた。子供達は楽しげな笑い声を上げながら、円筒の中を駆け上がろうとしているようだった。即座にご両親が、「危ないから」、と止める。

 確かに部屋の中での感覚は日常とは違ってくる。平らでない足下。のしかかって来るように感じる天井。しかし、このまま落ちて行けばあの黒い底の向こう側まで行けるのではないかと言う、言葉にならない高揚感が体に満ちて来るのが判った。

 朝日新聞には、この美術館を紹介してくれたことを、感謝する。

 美術館の皆さん(といっても話したのは男性二人)がまたとても話し易くて。今年は美術館開館20周年の記念の年だが、宮脇さんが亡くなり、今年1月にはマドリン・ギンズさんも亡くなったとのこと。一方、朝日新聞や美術手帖による紹介、地方メディからの取材を通して、この美術館を初めて知って訪れる人が増えているそう。増えていると言っても、爆発的ではないとは思う。一度は体験する意味はある美術館だが、場所がね。岡山市に住んでいる人にとっても、けっこう遠く感じるのではないかと。

 今回、僕が到達できたのは、乗り換え案内サイトのジョルダンのおかげ。

http://www.jorudan.co.jp/

 ローカルバスに乗り継ぐ為には津山駅に何時までに到達すれば良いかをすぐに教えてくれる。このサイトを教えてくれた友人に、ここで改めて感謝を伝えたい。

 運命的な出会い、という気は全くない。幾つかの偶然が重なってこの美術館の存在を知り、訪問し、作品から鮮烈な高揚を感じることができたのは、素晴らしいことだった。

海辺の南瓜

2014.09.02
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説明は、無用でしょう。カボチャでもパンプキンでもなく「南瓜」。

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