LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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2016年07月の記事一覧

2016.07.31 イギリスのヒンクリィ・ポイントC原子力発電所計画、土壇場で調印延期
2016.07.31 みっしりと咲く薔薇
2016.07.28 クラシカル音楽イヴェントでも、厳重警戒:バイロイト
2016.07.28 ベアトリクス・ポター、生誕150年記念切手
2016.07.27 インゴルシュタット5:ドイツで感じなかった人種の融和
2016.07.27 インゴルシュタット4:アウディ、夏コンサート(Audi Sommerkonzerte)
2016.07.27 インゴルシュタット3:イドメネオ、プレガルディャン父と息子の共演
2016.07.25 The Hive @ Kew Gardens: 鋼鉄の蜂の巣
2016.07.24 欧州連合離脱の影響はじわじわと
2016.07.21 インゴルシュタット2: インゴルシュタット旧市街の景観
2016.07.20 インゴルシュタット1: アウディ博物館
2016.07.19 パリ・オペラ座からの「チケット割引購入」メイルから考える、欧州の苦境
2016.07.19 ヒースロー(及びガトウィック)空港、大混雑
2016.07.13 2回目の国民投票は無いと言い張る政府
2016.07.12 サドラーズの新しい劇場完成予定(希望)は2021年
2016.07.10 最後の望みはアンディ・マリィ:幸福とは無縁な国、イギリス
2016.07.09 2回目の国民投票請願への返答
2016.07.06 Jonnie Walker - Dear Brother: 日本人の琴線に触れると思うな
2016.07.05 ママは強制送還されちゃうの?:国民投票が煽る人種差別
2016.07.04 マシュー・ボーンの「眠り」東京公演はもうすぐ
2016.07.02 マイケル・ゴヴ阻止の為に保守党に加入しようかと思った、が
2016.07.02 評伝 ウィリアム・モリス by 蛭川久康
2016.07.01 「移民」という言葉は、レイシストにハイジャックされている:友人達の意見
2016.07.01 世界は移民で動いている in 2016

イギリスのヒンクリィ・ポイントC原子力発電所計画、土壇場で調印延期

2016.07.31
日本では最新情報が報道されているのかどうか判らないが、イギリス西部、サマセット北部の海岸部にあるヒンクリィ・ポイントCという新しい原子力発電所の建設計画最終調印が、土壇場で延期になった。

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(2016年7月30日、タイムズ紙)

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(2016年7月30日、[i]紙、白い象の意味は辞書で調べてください)

ガーディアンの特集セクション
https://www.theguardian.com/uk-news/hinkley-point-c

一般社団法人 日本原子力産業協会
http://www.jaif.or.jp/151022-a/

 調印が延期になったのは、建設計画の中止であるとか、イギリスが原子力発電をすっぱり止めることにした、ということではない。政治的、資金的な駆け引きの中の一時的な中断。建設を請け負うフランス企業が自身では建設資金を調達することができず、中国資本が参画することに、キャメロン政権の時に取り決めになった。が、その中国資本の参画で、国家のリスクが増すのではないかという懸念が高まったから最終合意の調印を土壇場で延期した、というのがごくごく大まかな理解。

 地図で見ると、セラフィールドへ行くより、ヒンクリィ・ポイントの方がアクセスがよさそう。こっちに行ってみようか。

 2週間前、ロンドンへ戻る飛行機から見えた、テムズ河口付近(であろう)の風力発電施設。かなり広範囲に建設されていた。

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(ニョロニョロみたいだ)

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/28152998050/in/dateposted/

 風力発電施設の建設・運営もおぼつかない印象が強いイギリスだが、原子力発電よりも風力発電にもっと力を入れて欲しいなと。

[追記:8月2日]

タイムズ紙のカトゥーンが面白い。

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 タイムズ紙のカトゥーンは、人権や平和交渉に関連するものは逸脱し過ぎと批判を集めることがある。が、このヒンクリィ・ポイントに関しては、二つだけだけとはいえ、かなりいい感じだ。

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みっしりと咲く薔薇

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予定していたこと、予定していなかったことが続いて、リージェンツ・パークへ薔薇を観に行く時間がなかった。今日、やっと行けたが予想していた通り、薔薇の旬の季節は終わっていた。が、前から撮ってみたいなと思っていた、「みっしり」と咲く薔薇の写真を撮れたので、良しとする。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/albums/72157670982876142

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/albums/72157671816665085

 映画やドラマで、薔薇が束になって「みっしり」というのを観る機会はあるが、庭に植えられている薔薇の花が「みっしり」と咲いていることを観ることは稀だと思う。「みっしり」で思い浮かべるのは京極夏彦さんの「魍魎の匣」。

クラシカル音楽イヴェントでも、厳重警戒:バイロイト

2016.07.28
国際イヴェントではなかったこともあるし、また、テロ犯罪がドイツ南部で連続して起きる前だったこともあり、インゴルシュタットでの「イドメネオ」の会場では厳重な警戒態勢など全く無かった。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2718.html

 今週から始まった(らしい、興味ないから知らなかった)バイロイト音楽祭を観に行く友人が音楽祭事務局から届いた情報を教えてくれた。

 フェスティヴァル事務局から、警備を厳しくして警察官を配置するので、常に身分証明書を携帯してほしいといった事前メールと郵送の手紙が届きました。

 これだけ無差別な犯罪が続くと、不特定多数が集まるコンサートのようなソフト・ターゲットの警戒が厳しくなるのは仕方ないのだろう。昨日7月27日付けのタイムズ紙の文化面に、クリスティアン・ティーレマンのインタヴューが掲載されていた。降板したアンドリス・ネルソンスが指揮をする予定だった「パルジファル」の演出で、イスラム風のヴェイルを被る女性が舞台に出てくるらしく、リハーサルの段階で厳重警戒がしかれたと書かれていた。

 ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスは数年前に荷物検査を止めていた期間があったが、おそらくパリのテロ以降だろう、入場の際の手荷物検査が再会され、現在も続いている。

 芸術が如何に人々の暮らしと密接に結びついているかを知らない人達によって引き起こされた惨事の結果としてこの厳重警戒が続くことは、致し方ないのだろうけど、納得しがたい。

 芸術を共有できるのは平和だからこそ。そして他の人達とともに平和を築いていく意志は、芸術によって培われる。

ベアトリクス・ポター、生誕150年記念切手

2016.07.28
ベアトリクス・ポターの生誕150年記念切手が、今日7月28日に発売になった。

Beatrix Potter
http://shop.royalmail.com/issue-by-issue/beatrix-potter/icat/beatrixpotter

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 大ファンの方は既にチェックしていることだろう。最近になって再び、ロンドンから日本に郵便を送ると届くのが遅くなってきている。切手で収入を増やすのは良いことだとは思うが、基本のサーヴィスをもう少し向上させて欲しい。

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インゴルシュタット5:ドイツで感じなかった人種の融和

2016.07.27
正直、国民投票で人種差別が最速で顕在化したイギリスも同じなのかもしれないが。

 ミュンヘン空港からロンドンに戻りフラットに戻った前後で速報で報道されたヴュルツブルクでのテロ犯罪。そのあとミュンヘンのショッピング・センター、そして別々の2都市、南ドイツで次々に難民、移民、そしてドイツで生まれ育った移民家系出身者による犯罪が短期間のうちに起きた。

 このような事件が起きて思うのは、難民を国として受け入れるのに積極的なドイツだが、日常生活の中で受け入れる側の普通の人々の心理的、そして物理的な準備は整うという状態からまだまだほど遠いのではないだろうか。

 2月にベルリンを訪れた時、日曜日の朝遅く、ベルリンを一周する路線に乗ってみた。とても興味深かった。東西南北で、乗降する人種に大きな違いがあった。あるエリアでは欧州系白人が多く、別のエリアではトルコ系移民と思われる利用者が圧倒していた。ただ、大都会では、人種が交わらないということはあまり目だたないだろう。

 ミュンヘン空港について驚いたのは入国審査のゲイトの長蛇の列。二つしかない非欧州連合のパスポート保持者の列の先頭で、係官から質問攻めになっていたのは、いずれもイスラム系の家族だった。何故判ったか、女性がヴェイルを被っていたから。ロンドンからのBAにはアメリカからの乗り継ぎ客がかなり居て、列の先頭で起きている光景をすぐには理解していなかった様だ。

 インゴルシュタット北駅からホテルへ向かう途中、中央バス・ターミナルを突っ切った。ターミナルの一角のベンチには、欧州系白人の若者達が手持ち無沙汰で座っている。離れた場所にある別のベンチでは、非白人系の初老の男性達がまるで怒鳴りあっているような大声で喋っている。二つのグループの間の溝は大きい。

 インゴルシュタットの旧市街のにぎやかなエリアでは、時折イスラム系の家族や、非白人の人達を何度か見かけた。ロンドンと比べるとその数は比べるまでもなくとても少ない。彼らが不安を感じて街を歩いているようには感じなかった。しかし、インゴルシュタットに溶け込んでいるようにも思えなかった。

 2回、いずれも短期間の滞在で判ることではないし、一般論とするつもりは毛頭ない。人種の融和というのは、政治家が思うほど簡単なことではない、と感じたドイツ滞在。

インゴルシュタット4:アウディ、夏コンサート(Audi Sommerkonzerte)

2016.07.27
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インゴルシュタットに行った最大の目的は、クリストフ・プレガルディャンが歌うオペラを観たいからだった。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2718.html

 評価の高いマリナ・レベカがエレットラを歌い、指揮はケント・ナガノとくれば日本語情報は無くても少なくとも英語情報はあるだろうと期待していた。ところが、このコンサートの歴史的背景はもとより、プログラムの英語訳、チケットをどう購入するかの英語訳も見つけられなかった。駄目元で日本語でも探したのがだ、日本のあるアウディ・ディーラーが数年前のコンサートの情報を挙げていただけだった。

 個人の楽しみで行くのだから関係者に会う必要は無いのだが、少なくともブログにもう少し詳しい情報をポストできればと思い、まず、アウディ本社の広報にメイルを送ってみた。自動返信が来ただけで、何もなし。

 大企業の文化イヴェントだからアウトソーシングで担当者が居ないのかなとは思った。で、いくら車に興味が無くてもアウディの名前くらいは知っていた。ということで、アウディ・ジャパンが何かしらの情報をもっているかと期待した。もっていなかった。

 最後に、Audi SommerkonzerteがFBアカウントをもっていたことを思い出して、メッセイジを送ったらやっと返事が来てこの夏コンサートの責任者、ゼバスティアン・ヴィーザー(Sebastian Wieser)氏が、コンサートの翌日なら時間があるということで話を伺うことができた。

http://www.audi.de/de/audi-artexperience/sommerkonzerte.html

 アウディ・夏コンサートが始まったのは1990年で、昨年が25周年記念だった。始まった当初はベルリンのあるラジオ放送局と一緒に運営していた。しかし、アウディ社内で、社内でこのような文化イヴェントを運営する人材を育てる意識が高まったこともあり、2003年(もしくは2004年)に提携を解消し、以来、アウディがすべてを運営している。


 ヴィーザー氏が担当になって10年。例えば、今回の「イドメネオ」は4年前から準備をしてきた。プレガルディャン父息子やマリナ・レベカのように国際的に評価の高い歌手の予定を考慮するのであればそれぐらいの期間が無いと実現は難しい。でも、今回、例えばあなたのようにわざわざロンドンから観に来てくれる人が居て、素晴らしいコンサートだったと思う。聴衆だけでなく、全ての歌手が楽しんでくれたのがよく判り幸せな夜だった。

 何故ドイツ語以外の情報が無いかというと、基本は、アウディが地元の為におこうなイヴェントだからだ。インゴルシュタットの労働人口の3割以上がアウディで働いていることから判るように、インゴルシュタットはアウディに頼っていると言える。他方、アウディもインゴルシュタットの労働力が無くては成り立たない。この夏コンサートは、アウディがインゴルシュタットとその周辺地域への還元(ヴィーザー氏が使った言葉はオブリゲイションだが、義務という意味合いではないように感じた)といえるだろう。

 だから、ドイツの他の地域から観客が来ることは、まあ、あり得るだろう。しかし特に夏、クラシカル音楽のイヴェントだけでなく、ロックやポップスの大きなイヴェントが各地で開催される欧州で、海外から来る人がインゴルシュタットの夏コンサートを目指してくることは考えていない。なので、本当にロンドンから聴きに来る人が居るのか確信できなかったんだ(実際、コンサート会場では、英語を喋っている人はほんの数人程度だった)。

 実際の所、チケットは完売にはなっていない。競争は激しいし、何より、現在の不安定な時代に、何ヶ月も先のコンサートのチケットの購入を躊躇うのは不思議ではない。アウディ・夏コンサートでは、若い世代にクラシカル音楽をもっと気軽に聴いてもらえる為に、15歳以下は一律€10−で販売しているんだ。

 マエストロ・ナガノがアウディ・夏コンサートに加わるのは今年が3年目で最後の参加になる。マエストロは合唱を取り入れることに熱心で記憶に残る企画を実演できたと思う。来年もオペラをプログラムに入れる予定だけど、詳細はまだ言えない。

 クリストフ・プレガルディャンが出演するので知った「東京・春・音楽祭」(http://www.tokyo-harusai.com/)のように、日本でも長期で開催されるクラシカル音楽のイヴェントは増えているのだろうと想像する。しかし、企業主催でこれほどの音楽イヴェントは、日本はおろか、イギリスでもないのではないかと思う。日本だと、イヴェントの運営を社員の無料奉仕で賄おうとする可能性が高いだろうから、それならやらない方が良いとは思う。

インゴルシュタット3:イドメネオ、プレガルディャン父と息子の共演

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数年前から、ロンドンのウィグモア・ホールでのリサイタルは本人の病欠以外は欠かしていないクリストフ・プレガルディャン(名前の表記はこれで)。プレガルディャンのリーダー・アーベントに不満は全くない。ないのだが、遅れてきたファンとして、1度でいいから彼をオペラの舞台で聴いてみたい、ウィグモアからの帰りに、いつも思っていた。

2年ほど前だろうか、あるリサイタルの終了後に、本人に直接、尋ねた。プレガルディャン曰く、「もうオペラは歌わないよ」とのことだった。

2015年の11月のリサイタル終了後に再び未練がましく訊いたところ、「イドメネオ」を2016年に歌うと。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2562.html

 その時に場所の名前を言ってくれたのだが、聞き取れなかった。今年の1月に改めて検索してインゴルシュタットと言う事はわかったのだが、インゴルシュタットのどこでということまではその時点でも判らなかった。

欧州でのオペラ上演に詳しい友人の助けでアウディ主催のサマーコンサートの一環である事が判った。チケット発売初日に最前列ど真ん中を奪取、同時に飛行機と宿泊を予約し、ドイツ鉄道と一悶着あったがインゴルシュタットに到着。待ちに待ったプレガルディャンがタイトル・ロールの「イドメネオ」は、コンサート形式だったが、胸の奥深くにグッとくる、とてもとても、とても素晴らしい舞台だった。

Idomeneo, Audi Sommerkonzerte
http://www.audi.de/de/audi-artexperience/sommerkonzerte/vorsprung-festival/vorsprung-17-juli.html

Wolfgang Amadeus Mozart: Idomeneo KV 366
Dramma per musica in drei Akten

Christoph Prégardien: Idomeneo
Julian Prégardien: Idamante
Christina Gansch: Ilia
Marina Rebeka: Elettra
Magnus Staveland: Arbace
Audi Jugendchorakademie
Martin Steidler, Choreinstudierung
Concerto Köln
Peter Schmidt, Artistic Concept
Kent Nagano, Leitung


会場に着くと、前日には無かった4本の木の柱が会場正面に立っていた。頂上部には王冠のような、船のようなもの。そして舞台上の左右にその柱が10本以上もあって非常に邪魔だった。オペラ上演中には頂上部の物体に下部に光が灯り、更に左右に揺れるので視界にできるだけ入らないよう、舞台の中央の歌手だけに集中した。舞台奥の壁にはスクリーン。スクリーンには海や島の画像が投影されていたのだが、最前列の席からはよく観ることができなかった。

 いつまで経ってもオペラ初心者なので歌手の技術的な面や、オーケストラの善し悪し、指揮者がどれほど素晴らしい指揮をしたのかを評論することはできない。まず、「イドメネオ」がどのようなオペラか、また各地のオペラ・ハウスがどのように舞台化したかをブログ仲間の鑑賞の記録から。

モネ劇場
http://didoregina.exblog.jp/14056612/

ロイヤル・オペラ
http://ameblo.jp/peraperaopera/entry-11958223581.html

イングリッシュ・ナショナル・オペラ
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1228.html

 舞台に登場する歌手は5人。ソプラノ2人、テノール3人というのは声の鮮烈さという点だけでもとても印象の深いコンサートだった。アルバーチェは初めて聴く歌手だった。たまに削られるらしい彼のソロ・アリアも歌ったはずで、説得力のある歌、そしてステイジ・プレゼンス。

 イリアを歌ったクリスティーナ・ガンシュを表す言葉は「清らか」。声の透明度では登場歌手の中でひときわ輝いていた。まだ若いようだが、既にキャスリーン・フェリィエ・プライズで歌い、2015年にはザルツブルクで「フィガロの結婚」のバルバリーナを歌ったそうだ。他のヴェテラン、そして超ヴェテランに臆することの無い存在感を全く失わない歌唱。

 プログラムの写真では、バルバラ・フリットーリを思わせる艶やかな笑みを浮かべるマリナ・レベカ。ロンドンでは、2010年に、ゲオルジュウが降板した「ラ・トラヴィアータ」の代役の素晴らしいデビューで知る人も多いかだろう(http://ameblo.jp/peraperaopera/entry-10594658785.html)。

 最初の登場のとき不機嫌そうな表情だったので、「あまり知られていない夏のフェスティヴァルにでるのはお気に召さなかったのかな?」と思った。が、舞台演出家の名前が表記されているように、コンサート形式とはいえ、レベカを含めて全ての歌手が迫真の演技だった。ちなみに、ソプラノ2人はドレスを代えることは無かったが、男性陣、特にイダマンテは4回ほど上着やシャツを代えていた。

 レベカの歌唱は、「旬のオペラ歌手の声って、これほどまでに美しいものなんだ」ということを久しぶりに身体いっぱいで感じることができた。最前列ど真ん中に座っていたので、当夜の目的の歌手が誰だったかを思わず忘れてしまうのほど感動。特に著名な第3幕のアリア、「D`Oreste,d`Ajace」には、多くの聴衆が言葉を失ったのではないかと思う。ネガティヴな意味ではなく、レベカの声はエレットラを完璧にこなすにはまだどこかに軽さを残しているように感じることがあったものの、第2幕での「Idol mio, se ritroso」、そして重唱での存在感、聴くことができて良かったエレットラだった。

 ケント・ナガノ(以下、マエストロ)の指揮を生で見るの初めてだった。その指揮ぶりは、オーケストラ、コーラス、そして歌手陣への信頼と慈愛を失わない、しなやかな指揮だった。マエストロの指揮ぶりは、これまで間近で観たことのあるアントニオ・パッパーノ、マーク・エルダー、そしてサイモン・ラトルとも全く違う記憶に深く、長く残る指揮だったと思う。

 今回の「イドメネオ」が最も注目されたであろう点は、イドメネオとイダマンテという王と王子をクリストフ・プレガルディャンユリアン・プレガルディャン、本当の父と息子が共演するということ。彼らの競演は、ウィグモア・ホールで聞いたことがある。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2369.html

 リートとオペラでは歌い方がこんなに違うものなのか、というのがユリアンの最初の声を聞いた時に感じたこと。声に漲らせるパワーが違う。当夜の5人の歌手すべてから感じたのは、声が曇ることが全く無かった。とりわけユリアンは空の一点を目指してスコーンと突き抜ける声。オペラのテノールってこうでなければ。

 それまでは黒系の上着だったイダマンテが犠牲になることを決心してイドメネオと歌う時、初めて白のシャツで現れた。実の父と息子という事前情報に影響されているとはいえ、胸に込み上げる場面だった。


 クリストフ・プレガルディャンのリーダー・アーベントへの不満は全く無い。他方、彼の歌唱を初めて聴いたハイドンの「アルミダ」でのバルトリに勝るとも劣らない歌唱技術は今でも忘れること無く、彼が一線から引く前にバロック・オペラで彼の歌を聴きたいと常に願っていた。

 イドメネオの最初の登場の時、舞台左手からクリーム色のよれよれのティー・シャツ、同じ色合いのよれよれのチノパン姿の男性が苦しそうに登場してきた。「誰、あれ?」と思ったらイドメネオ・プレガルディャンだった。コンサート形式でも手を抜かずに役をつくり込んでいるのは判るし、遭難してなんとか助かった場面だからあのような衣装の方が説得力があるとはいえ、ちょっと驚いた。

 全体を通して感じたのは、パパ・プレガルディャンの現在の発声は、他の4人とは違う。年齢によるものだろうと推測するが、例えば息子のユリアンの声から感じる瑞々しさは少なかった。また、短いパッセイジからはブレスの鋭さが欠けていたように聞こえた。

 というマイナス面を忘れるほど、クリストフ・プレガルディャンの歌唱、演技からはリーダー・アーベントとは全く違う素晴らしい経験を積んできた素晴らしいオペラ歌手の舞台を「今、観ている」という気分が消えることは無かった。イドメネオのアリアだけでなく、イダマンテとのデュオ、そして3重唱、4重唱でもオーケストラの音にかき消されずにしっかりと耳に届くあの「声」は、インゴルシュタットまで来たことは良い選択だったと。

 オペラの最後、喜びのコーラスが歌われる中、独り舞台にたたずむイドメネオは、未来ある者達への慈しみと同時に、表舞台から去っていく自分が歩むであろう道が示す方向をただ見つめるだけの王の孤独感に優しく包まれているようだった。

 関係者の方から伺ったのは、このプレガルディャン父子の競演のきっかけはマエストロからの提案だったそうだ。マエストロがインゴルシュタットい携わるのは今年が最後。ドイツ南部では悲しい事件が続いているが、インゴルシュタットの今年のサマー・コンサートが多くの人に喜びをもたらしたと願う。

Die Stunde der großen Tenöre(地元新聞のレヴュー)
http://www.donaukurier.de/nachrichten/kultur/Ingolstadt-Die-Stunde-der-grossen-Tenoere;art598,3244608

写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/albums/72157668423795864

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(左からユリアン、クリストフ・プレガルディャン、マリナ・レベカ)

The Hive @ Kew Gardens: 鋼鉄の蜂の巣

2016.07.25
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6月中旬に一般公開されたキュー・ガーデンズの新しいアトラクション、The Hiveを観てきた。

http://www.kew.org/visit-kew-gardens/whats-on/thehive

写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/albums/72157671401669466

 半永久的に設置されるのかと思ったら、2017年11月まで。2015年のミラノ万博で公開されたもので、養蜂の大切さを示す意味があるとのこと。角度的に難しいかもしれないが夕闇に浮かぶ姿を観てみたい。

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欧州連合離脱の影響はじわじわと

2016.07.24
フラットの大家がカーペットを新しくしたいということで大家の知人に素晴らしいカーペット・フィッターと紹介された職人が本当に素晴らしかった。時間に几帳面なだけでなく、仕事は丁寧・迅速、無駄話で時間をつぶすこともなく、見積もりにきた時に伝えられた時間通りに作業を終えた。

 見積もりにきた時に、外見からおそらくイスラム系だろうとは思っていた。作業中に一度だけ携帯で話していた時に「ショコラン」と言っていたのが聞こえた。作業を終えた時に尋ねると、両親が北アフリカのイスラム系の国からの移民とのこと。入れ墨をしているから湾岸や南アジアのイスラム圏ではないだろうとは思っていた。本人は、ロンドンに住んでいるのではなく、コーンウォールのペンザンスに自分の店を持っていて、ロンドンには月に3度、計9日間だけ契約受注で仕事に来るとのこと。ロンドンでは北東ロンドンの両親宅に泊まるそうだ。

 コーンウォールは6月の国民投票では圧倒的に離脱支持が多かった地域。錫の産地としては随分前に廃れ、観光業が主産業のイングランド内ではけっこう貧困度が高い地域。移民2世としてそのような地域に自分の意志で移り住み、でもある程度の収入はロンドンでの仕事に頼っているというのは、国民投票の結果によって顕在化したイングランドが抱えるいびつな経済・社会構造をかいま見た感じがした。

 23日のタイムズ紙とFT紙それぞれに、欧州連合離脱による影響を分析する記事が掲載された。両紙とも有料記事なので、リンクだけ張り付けておく。

This is our home. Why are they giving all the jobs to foreigners?
http://www.thetimes.co.uk/article/this-is-our-home-why-are-they-giving-all-the-jobs-to-foreigners-l72sqvsbv

Funding concerns for UK’s northern business after Brexit vote
http://www.ft.com/cms/s/0/173270b2-4f2a-11e6-8172-e39ecd3b86fc.html

London’s future: a brief guide
http://www.ft.com/cms/s/0/70614aee-4e82-11e6-8172-e39ecd3b86fc.html

 タイムズの記事は、南ヨークシャーにあるGrimethorpeという街の住民の、特に東欧圏からの移民への憎しみとも、敵意とも取れる感情を特集している。

 日本でもけっこう詳しく取り上げられたように、イングランド北部は離脱支持。皮肉にも、イングランド北部の起業家や中規模のビジネスは、欧州連合からの支援金に頼っている。なぜなら、ロンドンから同等の支援を得るのは難しくなっているから、というのがFTの一つ目の記事。

 FTの二つ目は、そのロンドンが欧州連合離脱の影響をどうすれば最小限に抑えられるかのシナリオ。ロンドンに集中する金とパワーを、イギリス国内に還元できるかどうかまで踏み込んでいないのは、まずはロンドンの地位を維持しなければという意見が多いからなのかなと推測する。

 僕の限られた身近なサークルでは、スペイン人がイギリスに見切りを付けて本国に戻ると言う話が増えている。欧州連合からの移民の地位保全を政府が確約できない状況では、致し方ないのだろう。「自分」というアイデンティティではなく、「移民」というラベルだけで差別視されるのなら、本国に戻る方が健全と感じる人は増えるのではないだろうか。

 このような分析記事を読む度に、国民投票を実施したキャメロン前首相の判断は、イギリスにとって痛恨の失敗だったと思う最近。

インゴルシュタット2: インゴルシュタット旧市街の景観

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地図を見ると、インゴルシュタット中央駅があるドナウ川の南側が新市街、インゴルシュタット北駅から徒歩圏内が旧市街という認識なのだと思う。

 旧市街といっても、全てが古い訳ではない。建物による景観に統一感をだす為に、建物の正面部分の色彩に気を配っているという印象。

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写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/collections/72157671328012635/

 自転車で観光している人が多かったが、旧市街ではレンタル自転車の看板を見かけなかった。おそらく、中央駅周辺にあるのではないかと思う。

インゴルシュタット1: アウディ博物館

2016.07.20
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全ての写真の著作権は、アウディ社に帰属する

ドイツでの日曜日はほとんどの店が営業をしないそうなので、アウディの本拠地ではあるけれど小さな地方都市のインゴルシュタットでの日曜日、何をして過ごそうかとしばし悩む。ミュンヘンに行ってコンサートに遅れでもしたら元も子もないので、とりあえず、街の地図にくっきり記載されているアウディ・フォーラムまで行ってみるかと。

http://www.audi.de/de/brand/de/audi-forum-ingolstadt.html

 行ってまず驚いたのは、日曜日の午前10時に案内所が開いていた。とても不遜だが、次に驚いたのは案内所の女性係員の流暢な英語。インゴルシュタットで聞こえるドイツ語が全く理解できず、また街中で英語を喋っている人も皆無。砂漠でオアシスをたどり着いたような気分。

 博物館も既に開いているし、本社ビルで新車も観られると案内される。まず、博物館へ行った。

写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/collections/72157670230405670/

 友人や知人によると、ロンドンは高級車が普通にたくさん走っていて、興味深いそうなのだが車に興味が無くポルシェとフェラーリの区別もできない僕が楽しめるだろうかと思った。しかし、とても面白かった。車だけでなく、アウディ社による自転車やモーターバイクのデザインが時代の流れの中でどのように変化していくかが非常に面白かった。

 車好きの人達は、ドイツを車で回って各地の自動車メイカーの博物館を巡っている様だ。アウディ・フォーラムでは平日に行くと工場見学もできるとのこと。ミュンヘンに滞在して半日旅行でインゴルシュタットへ行くとしたら、アウディ博物館を訪れるのは街巡りの中で選択肢の一つだと思う。

パリ・オペラ座からの「チケット割引購入」メイルから考える、欧州の苦境

2016.07.19
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週末、アウディの本拠地であるインゴルシュタット滞在中、パリ・オペラ座から以下のメイルが届いていた。

Dear Sir,

The Opéra national de Paris is offering you a special opportunity to discover its programme of ballets and operas during your next visits to Paris. Choose one or more performances from the selection below and enjoy a 20%* discount.

Book your tickets now!

The public relations department


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 週末、アウディの夏コンサートの責任者から話を聞いたとき、あのドイツですら、文化行事への行政からの支援が減らされているとのこと。過去18ヶ月の間に3度もテロが起きたフランスは観光客が激減以上。チケットは売れるのだろうけど、「あの」パリ・オペラ座ですらチケットが売れなくて困惑していることは、現在、欧州大陸を覆う将来への不透明感を際立たせていると感じる。

ヒースロー(及びガトウィック)空港、大混雑

2016.07.19
週末、ミュンヘン郊外のインゴルシュタットに行ってきた。土曜日、ブリティッシュ・エアウェイズのハブであるターミナル5の出発ロビーは、どのチェックイン・カウンターには長蛇の列ができていた。土曜日だし、学校の夏休みが始まったからだろう、とその時は思った。

 昨日、ロンドンへ戻る機内で読んでいた新聞に、ブリティッシュ・エアウェイズがコンピューター・ソフトを入れ替え、それが大混乱をヒースローのT5とガトウィックの北ターミナルで引き起こしているとの記事を読んだ。入国は大丈夫だろうと思っていた。

Chaos at Heathrow Terminal 5 as IT system crashes
http://www.telegraph.co.uk/travel/news/passengers-brave-chaos-at-heathrow-terminal-5-as-it-system-stall/

 OMG!だった。昨年、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュー・ジーランド、そして日本国籍を持つもので、イギリスに頻繁に出入国する人達へ、あるシステムが導入された。その恩恵に与り、ヒースローから入国する時、パスポート・コントロールではイギリス国籍・欧州連合国籍の人達と同じ列で入国できる(言い換えると、国籍申請をさせない為だろう)。通常であれば2、3分で入国手続きが完了する。

 しかし昨日は、その列ですら人が溢れるほどの長蛇の列だった。入国に40分もかかった。でも、幸運な方だろう。ミュンヘンからの飛行機が到着したほぼ同時期に、ヨーロッパのどこかの都市からブリティッシュ・エアウェイズを乗り継いでヒースローに到着したらしい日本人の観光グループが居た。その時点で午後8時すぎ。彼らが宿泊先に到着できたのは一体何時だろう。

 この混乱が夏の間ずっと続くとは思えない、思いたくない。しかし、少なくとも今週、ヒースローから出入国する予定の人は、出国手続きには普段よりも余裕を持ち、入国の際、長時間立ち続けて気分が悪くなったら、直ぐに係員に伝えるようにした方が良いだろう。

 欧州連合からの離脱に投票した人にとって、数年後にはこれがイギリス人が直面する現実だということを学ぶ良い機会に違いない。

2回目の国民投票は無いと言い張る政府

2016.07.13
今朝、午前1時半の刻印で2回目の国民投票実施請願の2回目の返答が送られてきた。

You recently signed the petition “EU Referendum Rules triggering a 2nd EU Referendum”:
https://petition.parliament.uk/petitions/131215

The Petitions Committee has decided to schedule a House of Commons debate on this petition. The debate will take place on 5 September at 4.30pm in Westminster Hall, the second debating chamber of the House of Commons. The debate will be opened by Ian Blackford MP.

The Committee has decided that the huge number of people signing this petition means that it should be debated by MPs. The Petitions Committee would like to make clear that, in scheduling this debate, they are not supporting the call for a second referendum. The debate will allow MPs to put forward a range of views on behalf of their constituents. At the end of the debate, a Government Minister will respond to the points raised.

A debate in Westminster Hall does not have the power to change the law, and won’t end with the House of Commons deciding whether or not to have a second referendum. Moreover, the petition – which was opened on 25 May, well before the referendum – calls for the referendum rules to be changed. It is now too late for the rules to be changed retrospectively. It will be up to the Government to decide whether it wants to start the process of agreeing a new law for a second referendum.

The Petitions Committee is a cross-party group of MPs. It is independent from Government. You can find out more about the Committee on its website: http://www.parliament.uk/petitions-committee/role

Thanks,
The Petitions team
UK Government and Parliament


 400万を超える署名が送られたので、9月5日に議論することにした。しかし、この請願が始まったのが国民投票の実施日よりひと月も前だったので、法律を変更することはできない。

 2回目の国民投票をやる気は無いけど、今はまだYesとNoは言わないよ、といつものイギリス。イギリス人が「この責任を僕が取ることだけは断固として拒否する」と決めたら、事がそこから先に迅速に進むとは思ってはいけない。今日の午後の組閣で財務相への昇格が噂されている、フィリップ・ハモンド外相(残留派)は、欧州連合離脱には6年かかるだろうと発言した。

Brexit could take up to six years to complete, says Philip Hammond
http://www.theguardian.com/politics/2016/jul/12/brexit-could-take-up-to-six-years-to-complete-says-philip-hammond

 欧州連合が切れるかと思いきや、ほんの少し、態度が軟化したのかな。

The EU must not treat the UK as a deserter – we can negotiate without rancour
https://www.theguardian.com/commentisfree/2016/jul/12/brexit-eu-uk-negotiate-without-rancour

 キャメロン氏の政策判断の失敗のつけを支払うように強制されるのは、結局、普通の人々という印象が強まるばかり。

サドラーズの新しい劇場完成予定(希望)は2021年

2016.07.12
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(7月11日、サドラーズにて)

昨晩、サドラーズ・ウェルズが計画している、ロンドン東部への進出状況についての説明会に参加した。

Sadler’s Wells at Queen Elizabeth Olympic Park
http://www.sadlerswells.com/support-us/capital-projects/sadlers-wells-at-queen-elizabeth-olympic-park/

Sadler's Wells is one of four organisations that are working with the London Legacy Development Corporation (LLDC) to create a new cultural and education quarter in Queen Elizabeth Olympic Park in Stratford. Supported by the Mayor of London and backed by a government investment of £141 million, the scheme comprises two sites: Stratford Waterfront, opposite the London Aquatics Centre and bordering the river Lea, will feature a mid-scale theatre for Sadler's Wells and new sites for the Victoria and Albert Museum and UAL's London College of Fashion; UCL East, situated nearby, to the south of the ArcelorMittal Orbit tower, will be the site of a new university campus for University College London (UCL).

The project aims to create opportunities and jobs within a vibrant environment, raising aspirations and benefiting everyone living and working in east London, as well as visitors to the area. Support for innovative ideas and emerging talent, cross-disciplinary collaboration and close links to the thriving creative communities already based in the area will be at the heart of this new cultural hub.

A team including architectural practices Allies & Morrison and O'Donnell + Tuomey has won the international competition to design the Stratford Waterfront site, with a target opening date of 2021.

The building of a mid-scale theatre will allow Sadler's Wells to show and develop an important and increasing body of contemporary dance work that is being created across Europe and elsewhere specifically for mid-size spaces. While theatres of this size are commonplace across Europe and many other cultural capitals around the world, London lacks such a dance theatre. This is inhibiting mid-scale companies from touring to London and hindering the development of mid-scale work that can tour outside the capital. By adding a mid-scale space to our existing theatres in Islington and the West End (The Peacock), Sadler's Wells will be able to present the full spectrum of dance in venues that are appropriate for the work, offering a stage to a range of artists we cannot currently present.

Sadler's Wells' building at Stratford Waterfront will include a 600-seat theatre, a Choreographic School, a Hip Hop Academy and flexible spaces for research, development and production of dance work. In it, we will be able to group together all the resources that are needed to make and produce dance: the creative people; the physical space and resources; the expertise; and the audiences. We will be able to support and follow the whole creative process, enabling more artists, including those from the local boroughs, to begin their practice; access our production expertise in its development; and network, try out new ideas, fine-tune their productions and present that work to an audience on the stage.

Being part of the culture and university complex in Queen Elizabeth Olympic Park will also allow Sadler's Wells to take advantage of close relationships and continuous exchange with other world-class organisations and the many community and cultural organisations based in east London, tapping into the huge potential for collaborations across performing and visual arts, design, technology and science.


http://queenelizabetholympicpark.co.uk/the-park/attractions/olympicopolis

 サドラーズの単独計画ではないが、必要な資金が現段階で£1億5千万(乱暴な計算で200億円超)というのはとても壮大に思える。ウェイン・マックグレガーのプロジェクトは2017年中にはパーク内の新しい建物に移るとのこと。

 この計画が発表された時にもサドラーズが強調していたように、オリンピック・パーク内に建設する劇場は500席の中規模なもの。そこに、世界からだけでなく、イギリスの地方で活動するダンス・グループのロンドン公演の拠点にすることも計画している。また、ヒッピ・ホップ・アカデミィは「教育機関」として授業料を支払うことになるが、奨学金やサポートを整備したいとのこと。

 芸術監督のスポルディング氏曰く、サドラーズの中心はローズベリィ・アヴェニューであることには変わりは無いが、ダンスの世界をより広げていく為には、中規模の劇場は必要とのこと。ライヴ・ストリーミングには興味があるかを質疑応答の時に訊ねた。
 現段階ではあまり積極的ではないとのこと。まず、設備投資が必要。そしてサドラーズがかかわるダンス・プログラムが世界各国で上演されているので、ライヴ・ストリーミングより世界へ多くの舞台を輸出することに重点を置いているとの印象を持った。10年前と比べたら、サドラーズ・コミッションの演目の世界で上演頻度は急増している。

 サドラーズの劇場の建設が始まるのが2018年、完成予定が2021年ということはサドラーズの関係者だけでなく、ダンス・ワールドを牽引する顔ぶれにもかなり変化があるだろうと思う。楽しみではあるが、5年以上も先のダンス・ワールドを待つより、今、素晴らしいダンスをもっと観たいものだ。

最後の望みはアンディ・マリィ:幸福とは無縁な国、イギリス

2016.07.10
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(7月10日、オブザーヴァ紙のトップ紙面)

今朝のオブザーヴァ紙の第1面の写真のキャプションは、イギリス人の魂の叫びのようだ。

 価値基準が違うのだろうから決めつけることは愚かだが、過去ひと月弱の間にイギリスで起きたことを振り返ると、イギリス人の長所であり、そして短所であるのは、自分が幸せになれる訳がないという、自分自身へのネガティヴな思いをコントロールできない点ではないかとつくづく思う。今年始めに永住帰国したオーストラリア人の友人は、国民投票の結果に、「さすがイギリス。期待を裏切らない、見事なオウン・ゴール!」と。全くそのとうりだ。

 欧州連合離脱の手続きが全く始まらないこともまた、イギリスだなと思う肌寒い日曜日。

2回目の国民投票請願への返答

2016.07.09
今日、400万以上の署名を集めた2回目の国民投票へ「首相」と「政府」の見解メイルが早朝午前4時半に届いていた。

EU Referendum Rules triggering a 2nd EU Referendum
https://petition.parliament.uk/petitions/131215?reveal_response=yes

The European Union Referendum Act received Royal Assent in December 2015, receiving overwhelming support from Parliament. The Act did not set a threshold for the result or for minimum turnout.

The EU Referendum Act received Royal Assent in December 2015. The Act was scrutinised and debated in Parliament during its passage and agreed by both the House of Commons and the House of Lords. The Act set out the terms under which the referendum would take place, including provisions for setting the date, franchise and the question that would appear on the ballot paper. The Act did not set a threshold for the result or for minimum turnout.

As the Prime Minister made clear in his statement to the House of Commons on 27 June, the referendum was one of the biggest democratic exercises in British history with over 33 million people having their say. The Prime Minister and Government have been clear that this was a once in a generation vote and, as the Prime Minister has said, the decision must be respected. We must now prepare for the process to exit the EU and the Government is committed to ensuring the best possible outcome for the British people in the negotiations.

Foreign and Commonwealth Office


 偉そうな文章だけど、要点は「首相」と「政府」は2回目の国民投票を実施するつもりはない、と。メディアの報道は保守党の党首選と漂流する労働党のことにかなりシフトしているし、実際、2回目の国民投票を語る人も少なくなっている印象がある。

Brexit: no second EU referendum despite e-petition, government says
http://www.theguardian.com/politics/2016/jul/09/government-dashes-hopes-of-second-eu-referendum-in-e-petition-response

 新聞の読者によるコメント欄を読んでいると、「専門家の言うことは信じるな、信じられない」という論調が多い。でもね、専門家の分析を読まなければ、不動産ファンドなんてものが存在していたことすら知らなかった人は9割以上だろう。知らなかった、は言い訳にはならない。

 欧州連合内では、欧州連合の再評価が高まっているらしい。また、政府の動きよりもずっと素早い金融業界が主要オペ来ションを欧州連合国内の別の都市に移動させる観測が強まっている様だ。移動してからイギリスが欧州連合にに残ることになっても、移動させた都市で金融業界は生き残れるだろう。影響を受けるのは、結局、普通の人々。

Brexit causes resurgence in pro-EU leanings across continent
https://www.theguardian.com/world/2016/jul/08/brexit-causes-resurgence-in-pro-eu-leanings-across-continent

Could one of these cities replace London as Europe's financial centre?
http://www.telegraph.co.uk/property/news/which-cities-could-replace-london-as-europes-financial-centre--a/

Jonnie Walker - Dear Brother: 日本人の琴線に触れると思うな

2016.07.06
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昨日、南欧在住の友人が教えてくれた映像。

Jonnie Walker - Dear Brother

https://www.youtube.com/watch?v=h2caT4q4Nbs

Walking the roads of our youth
through the land of our childhood, our home and our truth

Be near me, guide me always stay beside me
so i can be free, free

Lets roam this place
familiar and vast
our playground of green frames, our past

We were wanderers
never lost, always home

When every place was fenceless
and time was endless
our ways were always the same

Cool my demons and walk with me brother
until our roads lead us away from each other
and if your heart’s full of sorrow, keep walking, don’t rest
and promise me from heart to chest
to never let your memories die, never

I will always be alive and by your side,
in your mind

I'm free


 2015年12月にアップロードされたこの映像、昨晩まで全く知らなかった。何十年もまえ、サントリィのCMから感じた懐かしさがある。収録場所は、スコットランドのスカイ島とのこと。スカイは大きい島だから車でないと回れないが、行きたい。

[追記:7月7日]

この映画を思い出す。

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ママは強制送還されちゃうの?:国民投票が煽る人種差別

2016.07.05
本題に行く前に。内田樹さんがこの混乱について書かれたポストが、これまで英文、日本語で読んできたものと全く違う視点で書かれていて、とても役に立つ。

英国のEU離脱について
http://blog.tatsuru.com/2016/06/29_1734.php


 「自分は政治家であったことはない」とはファラージ。こんなやつに煽られて、結果、欧州連合からの離脱に投票した人々は痛みとしては、感じていないのだろう。むしろ、政府が決断をつけられない状況が、人種差別を煽っていると強く感じる。

‘Mama, will you be deported?’: Brexit vote triggers eruption of racism
http://www.theguardian.com/politics/2016/jul/02/brexit-triggers-racism-climate-of-fear

Another young woman says she and her friends, all with Spanish passports, regularly visit a Watford nightclub. Last weekend they were refused entry. “Is this because of Brexit?” they asked. The answer was yes.

González-Merello, who has lived in Britain for 20 years, says she was talking to her son on a bus in Spanish and a man said: “You fucking foreigners, you are always making a noise.”

Victims such as her, she says, are now self-policing, taking care, for instance, not to speak in a language other than English in public. Her 12-year-old son recently asked: “Mama, are you going to be deported?

“It’s the hurt and humiliation,” she says. “And the concern that we don’t know where it may end.”


 記事に書かれている人は、南米出身でスペインのパスポートをもってイギリスで必死に働いている人達だろう。彼らが常に「南米出身の移民です」などと顔に書いている訳ではない。にもかかわらず、英語を話さないだけで「You fucking foreigners」なんて怒鳴られたら、僕だって怖くて日本語を公道で話そうとは思わない。日本人は特別だからなんて幻想は持たない方が良い。「移民はイングランド人の敵」と見なす人種差別者にとって、イギリス人でないと彼らが思えば、即座に「外敵」になるのだから。

 本当に他人事とは思えない。いつ、僕が人種差別者に「敵」と見なされてしまうのかは、僕が判断できることではない。このような狂信的な人物にとって、例えば「離脱で日立がサンダーランドから撤退してフランスに工場を移し、俺たちの職が無くなった。日本はやっぱり敵だ」なんてことは全く無いなんて誰がこの状況で断言できるだろう。

 今朝のニュースでは、現在イギリスで暮らす欧州連合出身者が離脱成立後にイギリスで暮らせるかどうかは保証できないとの発言が議会であったそう。

Government refuses to guarantee EU citizens living in UK can stay
http://www.theguardian.com/politics/2016/jul/04/government-refuses-guarantee-eu-citizens-living-in-uk-can-stay

 ある法律事務所が結果を覆す為に政府を訴えるとか、草の根レヴェルで離脱反対の動きは続いているが、ファラージ谷治ボリスが明瞭に示した、「僕にはこの状況を解決に導く責任、そしてこの混乱を引き起した責任は、ない!」との態度をイギリス人が取り始めたら、何も解決しないだろう。結局、世界のどこにへでも移動できる資産と力を持っている人達が結果として一握りの勝者となるのだろう。

 国民投票の結果を受けてメディアが「パンドラの匣が開けられてしまった」と書き立てた時、なんて大げさなと思った。今は、その開けられてしまったパンドラの匣に「希望」は残っているのかどうかを知りたい。

マシュー・ボーンの「眠り」東京公演はもうすぐ

2016.07.04
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(7月3日@サドラーズ)

オシポワのモダン・プログラムの最終公演を観てきた。ピタの作品は、「ダンス・シアター」にすらなっていないことを再確認。タトゥーの数には驚いたが、ポルーニンには古典バレエに戻って来て欲しい。

 最終日にしては珍しく踊り関係者が少なからず居た。マシュー・ボーンがいたので、話しかけた。前日の7月2日に、上海での「スワンレイク」公演から戻って来たばかりとのこと。9月の「眠れる森の美女http://mbsb.jp/)」公演は、最終日までは居られないけど、とても楽しみににしているそう。「レッド・シューズ」は既に出来上がっているのかと訊いたら、まだで、リハーサルも東京から戻って来てからだそう。世界初演は11月下旬。間に合うのだろうか。

マイケル・ゴヴ阻止の為に保守党に加入しようかと思った、が

2016.07.02
直近のメディアの予想では、マイケル・ゴヴは党内での支援獲得に苦労しているそうだが、油断はできない。ゴヴが首相になってしまったらと思うと、怖すぎる。ということで、「ゴヴ阻止の為に保守党に加入しようかな」とメイルを友人に送ったら以下の返信。

Please don't even think that Gove will get in. The Tories love backstabbing each other, but they will never vote for someone who shows such pleasure in doing it! They will get Teresa May in as they all like a 'mummy figure'.....

And you won't be able to vote for a leader if you join the Tories, they changed the rules so you have to be in for at least 3 months to vote. After Corbyn got in, they panicked and changed the rules.


 昨年の労働党党首選での混乱後に、規約を変更したらしい。万が一にも、決選投票にゴヴが残ってしまったら、相手が誰であれ、彼が勝ってしまってしまうように思えてならない。先週の国民投票後、イギリス人のコモン・センスを信じることは難しい。

評伝 ウィリアム・モリス by 蛭川久康

2016.07.02
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武蔵大学で指導を受けた蛭川久康名誉教授が数年にわたって取り組まれていた「評伝 ウィリアム・モリス」が平凡社より出版された。

平凡社
http://www.heibonsha.co.jp/book/b226819.html

デザイン・詩・社会主義に巨大な功績を残した万能人モリス。その華やかな生涯と多彩な仕事の全てを概観した、本邦初の書き下し評伝。

honto
http://honto.jp/netstore/pd-book_27831516.html

 日本の酷暑の読書で、清涼の一冊になると思う。

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「移民」という言葉は、レイシストにハイジャックされている:友人達の意見

2016.07.01
10年も経てば交遊する面子に少なからず変化があるので、2006年に書いたもの(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-70.html)を、手直ししないで再び送ってみた。イギリスで暮らすイギリス人の想いを知ることは刺激になる。僕の交遊範囲ということで、ほぼリベラル・レフト、もしくはやや左寄りの中道派という感じだろう。

マンチェスター出身のイギリス人。
We are in a period of huge uncertainty. It's a strange privilege for us all to share this time together and see what emerges. We are all curious, worried and optimistic that something good will emerge. The UK has always needed vast numbers of migrant workers who have been welcomed and become part of the social fabric. I think that will continue.
We are what we share.


ご両親は東欧からの移民で、本人はロンドン出身のジャーナリスト。
Dear Koji,

Do not think of yourself as an 'immigrant'. The term has been hijacked by xenophobic people, those who will always use words they do not understand to vent their anger at the smallness of their own lives. They have no one to blame but themselves for any of their actions in life. They descend into self pity like small sulking children and then feel righteous in pointing the finger at other people for their own choices.

Immigrant means - A person who comes to live permanently in a foreign country.
There is no emotion added to the official definition.

The people who we should be shouting abuse at are the members of 'ukip'. I cannot even bear to write the name properly as I see it simply as another name for the National Front and not a viable political party. But we are above the petty name calling, and you have to rise above the words being bandied about at the moment.

I and many of my friends have been shaken up by the events of the past week, ( the phrase ' a week in politics is a long time' has never been more truer!), it has been a revolution both politically and socially and emotionally. But times like this make us change directions in good ways.
You came here for a reason, have been happy here and now need to re-forge an idea of what will make you remain here and prosper.


2006年の時も意見を書いてくれたイギリス人。
I had a funny conversation with L (his wife) this week. Her business partner is German - white German - and said she’d suddenly started feeling like she was an immigrant and that people might resent her. L laughed and said being a non-European, she’s always been aware of the fact she’s an immigrant and there’s racism out there as she’s had a few comments over the years. Now maybe the racism is out of the bag and is being applied more generally. This is what happens when you campaign on such dangerous slogans as ‘we want our country back. Who is we? and back from who? It’s a an easy line to turn into a very narrow vision of this being a ‘white English country. It’s scary bullshit, it really is.

 日本で暮らす人には全く影響もないし関心がないことが確かなのは、マイケル・ゴヴ。彼は、ボリスやキャメロン等のおぼっちゃま達とは比べようもないほど、猛毒な人物。彼がこの国の首相になったらと思うと、そして本当になってしまいそうで、怖い。

世界は移民で動いている in 2016

2016.07.01
6月23日の国民投票が欧州連合離脱という結果になって以降、イギリス国内で移民へ嫌がらせが増えているという報道が後を絶たない。ロンドンの片隅で、更に狭い行動範囲で暮らす僕が人種差別に会うとは思わない、思いたくないが今回の国民投票は、イギリス人白人社会がずっと仮面の下に隠してきた性格の一部が鮮烈に現れる結果にもなったと感じている。

 これだけ移民への反感が鮮烈に社会の表面にでてくると、僕自身が移民であることを改めて考えさせられる。2006年に書いたポストを読み返して、イギリス社会は変わったのか、僕の中で何かが変わったのかを考える。

Am I an immigrant?
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-70.html

外国人の皆さんの意見
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-71.html

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-72.html

 イギリス、どこへ向かうのだろう。

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