LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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ブロークン・ブリテン7:持ってしまった者と、持てなかった者

2009.09.23
今年の春、The Daily Telegraph紙が放ったスクープ、多くの下院議員が議員への補助制度を悪用・乱用していた、しているというニュースは日本でも報道されました。一番悪用されたのは、ロンドンに住まない議員たちによる、セカンド・ハウスの家賃補助と、ローンにかかる利子免除の優遇制度でした。検索すれば、いくらでも記事が出てきますので、ここでは大々的にキャンペインを行ったテレグラフ紙の頁をリンクしておきます。

MP’s expenses
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/mps-expenses/

 テレグラフが政治家による「裏切り」を報道し始めた当初、超保守のテレグラフの立場からすれば当然といえば当然ですが、矛先は労働党に向けられていました。ブラウン首相と彼の主要閣僚への攻撃が一段楽したところで、保守党議員の公費悪用を出し始めたのですが、丙丁つけがたいほどひどいことが判ったようで、その後は党に関係なく際限なく出てくるという状況でした。無視、もしくは無関心を装っていたほかの報道機関も、さすがに追随しなければならかなった、というのが僕の印象です。

House of shame
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/may/10/houseofcommons-mps-expenses-gordon-brown

MPs' expenses: how scoop came to light – and why journalists fear a 'knock on the door'

http://www.guardian.co.uk/media/2009/may/18/mps-expenses-how-scoop-came-light
(これは、どのような経緯でこのスクープがテレグラフにわたったか、というもの)

 このスキャンダルで、僕自身が一番驚いたことは、結局文字通り辞任に追い込まれたのはマイケル・マーティン下院議長だけで、税金を悪用し、公費の返還を渋々した多くの議員たちは、来年であろうと予想される総選挙までその地位に留まっていること。さらに開いた口がふさがらなかったのは、もっとも貪欲に家賃補助を貪り取った労働党の女性議員が言ったとされる発言:

 私は何も間違ったことはしていない。こういう制度があることがそもそもの間違い。それに、私がやったことが間違っているなんて、国会の経理職員は言ってくれなかったもの。私が悪いわけじゃない。

 この女性議員、次の総選挙では、労働党からの出馬は認められないようです。

 このテレグラフの報道は、もうひとつ、イギリスの闇を改めて浮きぼりにしました。国会から、過去1年、各議員が使ったとされる経費が発表されたとき、その公式文書の多くの詳細な数字は、黒く塗りつぶされていました。なぜかといえば、デイタ・プロテクションです。

 これほど大規模なものでは有りませんでしたが、2008年はじめに、ある保守党議員による職権乱用が報道されました。彼の家族を職員として雇用したことにして、その実、雇用されたはずの彼の息子たちは給料が払われていたにもかかわらず、何もしていなかった。

Shamed Tory MP who paid £1.5million to his family to quit (but not before he earns £120,000 more)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-511202/Shamed-Tory-MP-paid-1-5million-family-quit-earns-120-000-more.html


(このクリスマス・カードも経費から)

 もちろん、僕はこのデレク・コンウェイ議員については報道からしか知りません。裕福でない地域の労働者階級家庭で育ち、苦労した後、国会議員にまでなった。中流階級出身の奥さんと家庭を築き、子供たちに最良の教育の機会を、とここまでは美談でしょう。
 現実は、今の暮らしを維持するため、教育費を払うための経済的余裕がなかった。政治家だけでなく、どの階級の、どのような家庭でも起こりうる状況だとおもいます。一般市民とコンウェイ議員の違いは、彼が何らかの特権を「持ってしまった」側にいたこと。これは僕個人の勝手な考えですが、イギリスではその「持ってしまった側」に一度でも足を踏み込んでしまった人々の多くは、もっともっとと足掻き、持ってしまったものを失うことへの恐怖感にかきたてられる。その悪循環にはまり、周りが見えなくなる。
 では、もてなかった側にいるとどうなるか。置き去りにされるか、カレン・マシューズのようになるか。僕は、前者は現代イギリスでは、高齢者と子供だと思っています。他人事のように書いていますが、僕自身、「持ってしまった側」にいることを思います。たとえば、インターネット予約のみで享受できる、鉄道料金の大幅割引。収入が減るであろう高齢者の皆さんほどそのような特典を使いたいであろうけど、インターネットを自宅に持っている老老家庭がいくつあるだろうか?

 上手くつなげられませんが、つい最近、ガーディアンで、経営者とその会社で働く一般雇用者との給与格差についての記事を読みました。

Pay gap widens between executives and their staff
http://www.guardian.co.uk/business/2009/sep/16/guardian-executive-pay-survey-ratios

 一般論としてはくくれないであろうトリッキーな記事なので、読まれる際はご注意のほど。興味を惹かれた点を引用します。

According to the left-wing thinktank Compass, which has called for a high pay commission to monitor top pay in the same way as the Low Pay Commission advises the government on the national minimum wage, the average ratio of chief executive-to-employee pay has risen from 47 to 128 over the past 10 years.
左派系のシンクタンクの試算では、過去10年で、経営者と雇用者の給与格差は、47倍から128倍にまで広がっている。

The banker John Pierpont Morgan, founder of JP Morgan, once said that no one at the top of a company should earn more than 20 times those at the bottom. Among FTSE-100 companies last year, only two chief executives met Morgan's test. Michael Lynch of the software firm Autonomy had a salary only 9.5 times as large as the firm's average of £64,500, while Andrew Sukawaty at the satellite communications group Inmarsat earned 16 times the firm's average – although that average is a hefty £119,000 a year.
JPモルガン銀行の創始者は、経営者の給与は、雇用者の給与の20倍を超えてはいけない。昨年、ロンドン株式市場に上場している企業の中でそれに当てはまるのは2社に過ぎなかった。ただし、その2社の従業員の平均給与は、かなり高額。

 記事の最初で言及されている方は、天文学的な高額報酬を払われるほどの素晴らしい業績の数々があるのでしょう。でも、ひがみ、やっかみ、ねたみといわれようとも、思うんです。3,700万ポンドという年収を必要とする暮らしは、今の社会にどのような意味があるのだろう、と。


 一人の外国人として思うのは、階級闘争、というよりも階級間の断絶は、埋まっていない。トニー・ブレアが政権に就いたとき、彼はクラス社会は終わったと宣言したそうですが、僕は彼自身、そんなこと小指の先ほども信じていなかったのではないかと思います。首相を辞めてからのブレア夫妻の荒稼ぎ振りを知るにつけ、ブレア自身、彼が持ってしまった側にいることを自覚しているな、と感じます。
 階級の断絶はすぐにはなくならないと思います。また、この断絶を少しでも埋めるには、教育が必要だと考えます。が、今朝のガーディアンの報道からは、教育現場の喪失感が甚だしいようですし。

 まとめになりませんが、5年前話題になった、チャールズ皇太子の発言を。

'Don't try to rise above your station'

http://www.telegraph.co.uk/education/educationnews/3346802/Dont-try-to-rise-above-your-station.html
(5年前の記事を閲覧できるテレグラフの太っ腹に感謝)

 「皇太子」という立場の人が言ったから顰蹙を買ったのかもしれませんが、僕はチャールズさんのコメントは的を得ていると思います。

 自分を見つめることの大切さ、そして難しさ。


 本当はアフガニスタン戦争のこともと思っていたのですが、別の機会に。お付き合いくださり、ありがとうございます。

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