LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
Home未分類 | Dance | Sylvie Guillem | Royal Ballet | Royal Opera | Counselling | Sightseeing | Overseas Travel | Life in London(Good) | Life in London(Bad) | Japan (Nihon) | Bartoli | Royal Families | British English | Gardens | Songs | Psychology | Babysitting | Politics | Multiculture | Society | Writing Jobs | About this blog | Opera Ballet | News | Arts | Food | 07/Jul/2005 | Job Hunting | Written In English | Life in London (so so) | Speak to myself | Photo(s) of the day | The Daily Telegraph | The Guardian | BBC | Other sources | BrokenBritain | Frog/ Kaeru | Theatre | Books | 11Mar11 | Stage | Stamps | Transport | Summer London 2012 | Weather | Okinawa | War is crime | Christoph Prégardien | Cats | Referendum 23rd June | Brexit | Mental Health 

ブロークン・ブリテン8:常識が常識でなくなる社会

2010.01.26
ブロークン・ブリテンhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-category-37.html)」を続けるなら次はアフガニスタン戦争のことを思っていましたが、戦争について書くならもっとしっかりとした考えを持って書いてみたい、でも、それはいつのことになるのか。他方、一外国人の考えを書いてみたところで、イギリスのことを本当に理解して書いているのか、との逡巡はいつもあります。

 でも、昨年後半からまだひと月も経っていない2010年にかけて、「叩く、戦う相手が間違っていないか」、ひいては「20世紀の常識は、21世紀の常識として機能しないのか」と思うことが幾つかあったので、簡単に。


 昨年10月、The Sunday Telegraphで以下の記事を読みました。

Pensioner questioned by police after complaining about gay pride march

http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/religion/6424895/Pensioner-questioned-by-police-after-complaining-about-gay-pride-march.html

 イングランド東部のイースト・アングリア北部に位置するノーフォーク県に住む敬虔なキリスト教徒の女性は、彼女が住む町で開催された同性愛者団体によるパレイドについて、キリスト教徒の視点での抗議の手紙を行政に送りました。手紙を受け取ってから数ヵ月後、二人の警察官が女性宅を訪れ、彼女の手紙は、「hate crime(憎しみを増長する犯罪とでも)」とみなすことが出来、最悪の場合、犯罪として扱われるであろう、と伝えたそうです。
 テレグラフの記事によると、確かに女性は差別的な単語を使ったそうです。でも、個人の意見を行政に伝えただけで犯罪者として扱われる社会って、いったいどういうシステムでその行政機構は運営されているのか。当事者の片方である、同性愛者の立場向上を推し進める団体すら警察の行動はやりすぎだとしています。

 記事の後半に、女性が助言を求めたキリスト教団体の代表者の言葉があります。

"For democracy to survive people must be free to express their beliefs – yes, even unpopular beliefs – to government bodies without fear of a knock at the door from the police. It's not a crime to be a Christian, but it increasingly feels like it."


 宗教の是非については、最近目にした(Atheistらしい)アメリカの思想家、メンケンの言葉を考えている僕には首を突っ込みたくない題目。一方で、この老齢の女性が社会に危害を加える人物かどうかなんて、1秒後に何がどこで起こるのかまったくわからない今の世界では、誰にもわからないこと。でも、行政に向かって何もいえなくなる社会は、それは「民主主義社会」なのか、と。

 二つ目は友人から聞いた話なので、固有名詞の表記はしません。アート関係に友人・知人が多い僕の友人が親しくしている、ちょっとボヘミアン的な女性画家に降ってかかったまさに、災難。
 その女性はすでに70代後半。体力の衰えはあるけれども、体調がよければ絵を描き続けているそうです。ロンドン中心部の割に、その女性の家は静かな場所にあり、小さいながらも前庭があるそうです。
 長らく飼っていた猫が、年齢から来る衰えで食事量が減り、前庭で静かに過ごすことが増えてきたので、女性は獣医に連れて行くことをやめました。最期がきたらそれは猫の寿命と割り切って暮らしていたそうです。そのことは、彼女の家族・友人は知っていました。

 ところが、彼女の飼い猫への態度を「飼育放棄」と決め付けた隣人が、動物愛護チャリティとしてはもっとも著名な団体のひとつに報告し、その団体は画家の女性を「動物虐待者」として法廷に訴えたんだそうです。
 資金がふんだんにあるその団体への反論は、一人の市民として暮らす女性にはとても困難なこと。結果、今後猫を飼うことは認められず、今後1年間は昼間外出するときには足首に電子タグをつけなければならなくなったそうです。
 電子タグをつけるということは、その女性は法廷から「犯罪者」と宣言されたということです。虐待しても居ない猫を虐待したとわめかれた挙句が、「犯罪者」。僕が法廷とその動物愛護団体に尋ねたいのは、ひとつだけ。「他にやることないんですか?」。

 僕の友人の話自体が本当かどうか、と問われれば僕は友人を信じていると言うことしか出来ません。本当に、何が現実で何が非現実なのか、見極めがしづらくなっているように感じることが、僕自身たまにあります。
 そのような状況を考慮しつつも、虐待しても居ない猫を虐待したと決め付けれたことで、一般市民が凶悪犯罪者と同じ電子タグをつけられるイギリスという社会に、自分の常識が揺さぶられるということに恐怖を感じます。


 上手くつながるかどうか自信ないですが。昨年のクリスマス・ディに未遂に終わったアメリカの飛行機テロを受けて、イギリスでは新しいスキャナーが導入されることになっています。

Full body scanners may break child pornography laws

http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/terrorism-in-the-uk/6933898/Full-body-scanners-may-break-child-pornography-laws.html



 確かに、スキャナーの精度は素晴らしく、丸見え。そう、人権団体の皆さんが仰るように、このスキャナーによる画像がインターネットに流れるなんてことはあってはならない。でも、そんなこと、言わなくても誰もがわかって当然なのでは。
 民主主義の国だから、そう、言いたいことがあればそれは許されるべき。でも、僕はこの見出しを見たときは、「Where is common sense?」と思わずにはいられませんでした。
 ここで戦うべきなのは、インターネット犯罪者や小児性愛犯罪者、ではなく、テロリストではないのか?個人の尊厳を力づくでスキャナーに剥ぎ取られるこの状況を作った大本はテロリストでしょ、と。今のイギリスで目にするのは、小手先のことだけに時間、人材、資金を費やすばかりで、大本は見て見ぬ振り、あたらず触らずで結局は何も変わらない。結果として社会が築き上げてきたコモン・センスこそが間違いだった、そんな風潮が社会のメイン・ストリームになりつつある印象が強まるばかりです。

関連記事
スポンサーサイト

Comment


管理者にだけ表示を許可する

Template by まるぼろらいと

Copyright ©LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン All Rights Reserved.