LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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ロイヤル・バレエ:リーズの結婚2回目

2010.04.06
3月に始まった「リーズの結婚」。初日(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1166.html)以降ほぼすべての公演が完売状態で、一番観たかった崔由姫さんのロール・デビューは観られないかとあきらめていたところ、またも公演の数日前に10枚ほど一気にリターンが出ていたので観ることができました。舞台上では幾つか小さなアクシデントがありましたが、最後、リーズが男性ダンサーたちに高々と持ち上げられたときに崔さんが見せた笑顔がうれしくて目頭が熱くなりました。

Yuhui Choe:リーズ
Brian Maloney:コーラス
Philip Mosley:シモーネ夫人(リーズの母親)
Michael Stojko:アラン
Christopher Saunders:アランの父親、裕福なワイン畑のオーナー


 この日は、主役の二人はどちらもロール・デビュー。ブライアン・マロニーは上から3番目のランク。キャリアは長いですが、主役級のプリンシパル・ロールはほとんど踊ったことがないはず。たしか、2003年だったと記憶していますが、ギエムが「マノン」を踊ったときにレスコー役に抜擢され、その期待にこたえる演技・踊りだったので「プリンシパル候補」と目されていたはず、あの当時。が、そのあと怪我が続いたようでずっとぱっとしませんでした。実際、僕もマロニーにはまったく期待していませんでした。上り調子の崔さんと比べれば、マロニーはピークに到達しないまま黄昏ていくダンサーとみなしていました。技術的には、初日のアコスタには遠く及ばないし。ところが技術的ではなく精神的にパートナーとして素晴らしく、見直しました。

 シモーネ夫人を踊ったモズリーは、カンパニーのアドミン的なポジションにいるものの、キャラクター役で今でも踊っていてこの役は彼のはまり役。今回も安心してみていられました。カーテン・コールのときに「彼女」にも花束が贈られたときに、「ちょっと、やだよ、私なんかに花束なんて」といった感じのリアクションを即座に見せて会場の喝采を浴びていました。モズリー、サウンダーズ、それと端役をやったリアム・スカーレットの3人はカーテン・コールでも演じた役のまま振る舞い、小さな点かもしれないですが、ロイヤル・バレエの特色、「キャラクターを演じる」ということを改めて面白く思いました。

 「リーズの結婚」をご覧になられたことがあればご存知のように、このバレエでは小物がたくさん出てきます。特に主役の二人は第1幕ではリボンを、第2幕ではスカーフを手にしながらの演技・踊りが続きます。特にリーズは、アシュトン特有の細かいステップを刻みながら、上体と腕は優美な動きを要求され、そんな上半身と下半身に集中したいであろうにさらにリボン。見た目の楽しさ、美しさと裏腹に本当に大変な役。
 第一幕前半、リーズとコーラスの二人だけでリボンを手にとって踊っていたとき、最も神経を集中するであろうあや取りの場面を綺麗に決め、あとはフィニッシュという場面でリボンの真ん中に結び目が残ってしまいました。ま、踊りに影響が出るアクシデントではないので、二人は何事もなかったように。
 第1幕後半、収穫の場面の踊りは、この演目では技術的に最も難易度の高いテクニックを要求される場面の連続。リーズの友人たちとともに踊るリボンの踊りの前の細かいステップの場面で、崔さんがほんの少し足をもつれさせたように見えました。僕の思い違いかもしれないですが、一瞬、彼女の顔に動揺の影が差したような。
 友人たちが掲げもつリボンの中心に立って踊り始めてすぐに、アラベスクで上げた足を戻すときに、リボンの一本に足が引っかかってしまいました。すぐに体勢を立て直して転んだり、踊りが止まることはありませんでした。が、小さいながらもアクシデントが一つだけでなく、二つ、しかも難易度が高い、言い換えれば観客からの注目を一身に浴びる場面で起きれば、経験豊かなダンサーでも動揺するのではないかと思います。踊りをとめることはできない、でもこのまま続けてまたアクシデントが起きたら。そんな揺れ動く心がさんの心と体を萎縮させたように感じました。
 そこで崔さんを支えたのが、マロニー。表情は変わらないものの、彼女に伸ばした腕の動きが、「大丈夫。自分を、僕を信じて」、といっていたような。リボンを花が開くようにパァーッと放り投げる場面は今ひとつ華やかさにかけたものの、最後の片手リフトは見事に決まって、会場は大喝采。
 第2幕では、コーラスのスカーフが身を隠す前に外れて床に落ちてしまうなど、小物のアクシデントが続いた舞台でした。でも、コールの女性ダンサー一人を除いて、舞台にいるすべてのダンサーが楽しげに、軽やかに踊り、最後、リーズが高々と抱えあげられたとき、今年の長い冬の本当の終わりが来たような高揚感が沸き起こって、「今日のこの舞台を見ることができて本当によかった」との思いでいっぱいになりました。今年は残念ながらないですが、次回、ロイヤル・バレエが日本に行くとき、さんが主役を踊るのは間違いないだろうと信じています。


(12月1月に上演されたレ・パティヌールから。右が崔さん。左はプリンシパルのモレーラ、中心は同じくプリンシパルのマックレイ。彼は、「シンデレラ」で吉田さんのプリンス役)

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Comment

私は初めてだったので - ロンドンの椿姫

細かいことにはあまり気付きませんでしたが、たしかにリボンを使う場面は難しそうでした。
崔さんは、又ちょっと痩せたのではないかしらと心配になるくらいでしたが、表情がキュートでとても魅力的でしたね。マロニーは顔には見覚えがあるのに(ハンサムだし)、バレエに疎い私には名前がぴんと来なかったのですが、なるほどそういうダンサーだったんですね。とても参考になります。
でも、良い席でご覧になれてよかったですね。
2010.04.06 Tue 19:00 URL [ Edit ]

- 守屋

ロンドンの椿姫さん

 リボンを使う場面はダンサーの皆さんは大変だと思いますが、観ているほうは楽しいです。

 アシュトンやマクミランのストーリーのあるバレエだと、コールドのダンサーですら舞台の端で演技を続けているので、どうしても舞台全体を見ることができる席に座りたいです。なんどみても、「えっ、この役がこんな演技をやっていたのか」、といつも何かしら発見しますよ。
2010.04.06 Tue 20:32 URL [ Edit ]

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