LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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吉田都さんのフェアウェル、でもとても幸せな夜

2010.04.25
ロンドンはすでに初夏の陽光。遅れていた木々の芽吹きも、今週の素晴らしい天気で一気に加速しています。街が新緑に彩られて、自然と、いつも以上に胸を張って歩いています。

 で、そんなプチ幸せが最大限まで到達したのは、4月23日、吉田都さんのロイヤル・オペラ・ハウスでの最終公演。観ることができてよかった、舞台のできはいつかは忘れてしまうのかもしれませんが、吉田さんが舞台で体現したバレエを観ることの楽しさと幸せは絶対に忘れない、素晴らしい舞台でした。

 まず、自分の幸運をひけらかすと。席は、オーケストラ・ストールのど真ん中。会員先行発売初日にはすでに売り切れの表示だったその席が、2日目にアクセスしたらポツンと出ていたので、もちろん即クリック。指揮者が邪魔で舞台が観られなくても、吉田さんのカーテン・コールが間近で見られれば、と思っていたらバレエのときは指揮台が低いのか、かなりがたいのでかい指揮者もまったく邪魔にならず、目の前で吉田さん(とマックレイ)が僕の正面で踊る舞台にまさに釘付け状態でした。
 17日の公演では、火山灰騒動の直後でしたから、来られず、またチケットをリセイルにかけることを知らない人がいたようで、会場内には幾つも空席がありました。23日の公演も、当日の朝まではかなりのリターンが残っていましたが、ラストミニッツで駆けつけることができた方、もしくは17日の公演を観てもう一度と願っていた人がいたからでしょう、満席のようでした。

 キャストは、17日と同じ(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1181.html)。吉田さん以外で書き足しておくと。アグリー・シスターズは、ルーク・ヘイドンだけのときはいいのですが、ウェイン・スリープが絡むとどうも品に欠けてしまう印象でした。冬の精を踊っている女の子、評判いいようです。けなしているのは僕だけかも。冬の精のキャバリエを踊った平野さんは、静かな印象は変わらずですが精悍さと正確さが踊りに加わった印象で、観ていて気持ちいいものでした。
 マックレイは、お疲れのようでした。でも、がんばっていました。17日に見て取れたパートナリングへの不安もあまり感じられなかったし。偉大なダンサーへの尊敬といたわりを持ちつつ吉田さんと踊っているようでした。

 吉田さん。踊り、舞台での存在感は17日のそれよりもずっと輝いていました。第2幕、宮廷に到着して、プリンスに手を取られて階段を下りてくる場面。双眼鏡で見る吉田さんの目は、潤んでいるように感じました。でも、ひとたび踊りだせば、どうして引退という決断にいたったのかまったく理解できないほどの完成度と美しさ。後進の指導に当たるなら、どうしてロイヤルではないのか。ロイヤル・バレエにすら吉田さんの指導が必要なダンサーは山のようにいるのに。
 第2幕の後半で、シンデレラは回転しながらまるで二人の幸せを祝福するかのように、王子の周りを2回まわります。この場面、「シンデレラ」の中では一番好きですが、吉田さんの踊りからは、幸せ感が自然に流れ出ているようでした。日本人とかまったく関係なく、偉大なバレエ・ダンサー。
 会場にいた聴衆のほぼすべてが、どうしてロイヤル・バレエから引退するのかと思ったはず。2幕が終わり会場内が明るくなると、周りで涙ぐんでいる方がたくさんいました。「シンフォニック・ヴァリエイションズ」をもう一度観たかった。あの、まるで弥勒像が踊っているような、凛とした美しさを湛えた踊り、吉田さんのほかに誰が踊れるのか。

 でも、そんな湿っぽい印象も、そこまで。第3幕では、二人のPDDはそれほど長いものではありません。踊っているときの吉田さんの心のそこから嬉しそうな表情から感じたのは、「I want to dance tonight here. I want to be here as a dancer. I want the audience to enjoy my dancing. I just want to share my happiness with them」。ま、勝手な思い込みですが。
 日本人の感覚からすれば、春は別れの季節と同時に、始まりの季節。吉田さんにとっては、The beginning of her new chapterということとしたほうが、吉田さんが踊りで示してくれた幸福感をいっそう強いものにしてくれるかも、と思っています。

 カーテン・コールで次から次に花束が運ばれ、引退するダンサーへの恒例イヴェント、バルコニー席からのフラワー・シャワーが。何度目かのコールでは、サー・ピーター・ライトジョナサン・コープがそれぞれ花束を持って登場。吉田さんの嬉しそうな驚きの表情がとても印象的でした。

http://www.ballet.co.uk/gallery/yoshida_farewell

Ballet.coにアップされている、カーテン・コールの写真。

[追記]
 ヴェネツィアから駆けつけた友人の感想。

http://fumiemve.exblog.jp/10488732/

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Comment

- つるびねった

守屋さん、はじめまして。
かんとくさんのブログでお名前は拝見していたのですが。
都さんの最後の公演、本当にステキでしたね。わたしも目がうるうる。カーテンコールのときは感激して泣いてしまいました。
あんな完璧にステキに踊れるのに引退してしまうなんてもったいないです。
2010.04.25 Sun 14:50 URL [ Edit ]

- Naoko S

守屋さん お久しぶりです。都さんのシンデレラ、二日ともいらしてたんですね~。

>>「I want to dance tonight here. I want to be here as a dancer. I want the audience to enjoy my dancing. I just want to share my happiness with them」。ま、勝手な思い込みですが。

これ、私も感じました!特に一番最後の"share"のところ、いつもの都さんの、踊る喜びに溢れている表情に加えて、さらに強い思いがこめられていたような・・・間違いないと思います(笑)。(舞踏会登場シーン、階段をトウで降りて来るときも、何ともいえない表情をされてましたよね・・・)

17日の公演についての記事で、ご贔屓のダンサーがいなくなると途端に劇場から足が遠のいてしまう・・・と書かれていましたが、私も右に同じですわ。まあこれは、仕方ないですね・・・(都さんが退団されてしまい、いよいよ来シーズンはRB公演全く行かない、ってことになるかも・・・・?)
2010.04.25 Sun 15:43 URL [ Edit ]

- 守屋

つるびねった さん

 初めまして。コメント、ありがとうございます。

 ご本人にも考えがあって、ずっと時間をかけての判断なのでしょうけど、もっとあの踊りは観たいですね。第2幕のPDDと吉田さんのヴァリエイションは、舞台の上で宝石が輝いているようでした。
2010.04.26 Mon 05:03 URL [ Edit ]

- 守屋

Naoko S さん

 お久しぶりです。両日とも、素晴らしかったですね。

 ご賛同いただけて、ありがとうございます。第3幕での吉田さんのあの笑顔は、踊ることに対して一点の曇りも迷いも無いようで、バレエの素晴らしさをいまさらながら学びました。

 ヤナウスキーがまだ踊るようですし、最近ではラムとヌニェスの踊りが良いので行かなくなることはないとは思いますが、足を運ぶのは減るかもしれません。ロイヤル・バレエに関しては、バレエ団が選ぶ演目と、ファンが望む演目の間には深いギャップがあるように最近感じます。このままだと、2011年の秋は東京に行くのかな、と。
2010.04.26 Mon 05:20 URL [ Edit ]

まあ、なんて羨ましい・・・・・ - イレーヌ・ジョリオ

守屋様、こんにちわ。

吉田さんのイギリスでの公式なラストステージ、観劇できて本当に良かったですね。私も生で見たかったです。本当にうらやましいです。
考えたのですけれど、よくNHKBSなんかで、海外の演劇ステージがよく放送されるのですけれど、このラストステージ放送してくれないかなあ、という願望たっぷりです。

さて、イギリスのバレエと申しますと、かつて、故ダイアナ妃がパトロン勤めていたなあ、と思い出すのです。妃の死後、英王室では誰がパトロン勤めているのでしょうか?
故ダイアナ妃、今から20年以上も前、突然舞台に上がり、ご自分でバレエダンスなさるほどの熱心なパトロンでしたからね。
現王室メンバーでは誰が、って感じなんです。
2010.04.26 Mon 07:02 URL [ Edit ]

- 守屋

イレーヌ・ジョリオ さん

 こんにちは。17日と23日の両日、日本のテレヴィ局が来ていたようなので、どこかでドキュメンタリーとして放送されるかもしれないですね。
 
 僕は、バレエに関しては超保守的なので、パトロンであろうと、素人がロイヤルの舞台に上がるなんて許せないです。
 で、質問は、こちらをご参照ください。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-477.html

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-45.html

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1166.html
2010.04.26 Mon 21:31 URL [ Edit ]

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