LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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インターネットは社会にとどまるかどうかの踏み絵

2010.05.31
日本やインターネットが普及している国ではどこも同じような状況だと思われますが、最近のイギリスでは、テレコミュニケイションといえばインターネット。たとえば、公共サーヴィスや地方自治体の情報を得ようとして電話するとします。人間が真っ先にこたえることはまったく期待できません。録音された音声情報がオプションを延々と繰り返すのですが、二言目には、「あなたの時間を節約するために、ウェブにアクセスするほうが簡単」と、人間の声を模したその無機質な音声でメッセイジを言い放ちます。ええ、へそ曲がりですからいつも頭の中で怒鳴ります。「すべての利用者がインターネットにアクセスできるとなぜ言える?インターネットへアクセスできないからかけているんだよ!」、と。

 5月中旬、日曜紙のオブザーヴァー紙に以下のコラムが掲載されていました。

If you're not online these days you're a second-class citizen
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/may/16/catherine-bennett-nhs-internet

 イギリスの健康保険機関のNHSが患者に送りつけた手紙を冒頭で紹介することで、如何にこの国がインターネットでのみのコミュニケイションを国民に押し付けているかということを、糾弾ではありませんが、提示しています。記事の後半で、その昔、あだ花のように咲いて一気に散ったイギリスで初めてのドット・コム・ビジネス・ブームを唯一生き抜いたマーサ・レイン・フォックスという女性の名前が出てきます。ご存知の方もいると思いますが、ラストミニット・コムの創設者の一人です。会社の株を売り巨額の利益を得たものの、アフリカの砂漠で生死を彷徨うほどの交通事故に遭遇し、今でも杖をついている姿を時折、マリルボーン・ファーマーズ・マーケットで見かけます。

 で、記事によると、フォックスはこう言ったそうです。

"I think that shutting down services would be the best way of carrying through the most amount of people, as long as it is carried through with training."
(インターネットを使わせるために、人々が必要とする)サーヴィスへの(電話による)アクセスを閉めてしまえばいいのよ。もちろん、インターネットの使い方は教えるべきだけど。

 記者はこう続けています。

And, minus the training, Madam's vision is already taking shape: the NHS is not alone in disenfranchising, tormenting or otherwise penalising citizens who, living offline, are already defined as excluded. Employers, too, demand that job applications be submitted online; banks and shops, travel, insurance and energy companies save competitive products for online customers; even councils demand applications for social housing be made, exclusively, online.

 その「トレイニング」がないまま、すでに多くの公共サーヴィスが、オンラインでのアクセスのみになっている、と。

 職を探している人が、簡単にインターネットにアクセスできると思っているのでしょうか。何らかの身体的な困難でマウスを思うように扱えない患者にどうしろと。このようなことを心配しているのは僕だけではないです。その人とは、エリザベス女王です。今年の3月上旬に催されたコモンウェルスの60周年の式典で、女王はインターネット利用の強制に関しての不安を述べました。

Internet Bypasses Too Many, Warns Queen
http://news.sky.com/skynews/Home/World-News/Queen-Elizabeth-Internet-Monarch-Says-The-Web-Is-Unaffordable-To-Many-In-The-Commonwealth/Article/201003115568993

"Advance in modern telecommunications are also having a marked economic effect on people from developing nations in the Commonwealth, helping to transform small to medium-sized businesses.
"The internet is playing an important part in helping to nurture these fledgling markets but, as yet, it still remains an unaffordable option for too many of our Commonwealth citizens.


 多くの人にとって、インターネットはいまだに高価なオプションです、と。もちろん、女王のスピーチの前後をみれば僕がこれをこじつけ気味に使っているのは承知しています。でも、事実としてインターネットへのアクセスは、ある意味贅沢、生活に経済的な余裕がなければと常に思っています。

 最初に挙げたオブザーヴァーの記事の半ばあたりで紹介されていますが、イギリスでは、65歳以上のグループの6割以上の人々が自宅でインターネットへの接続を持っていないそうです。もちろん、居住地域の地理的条件などもあるとは思いますが、年金だけで暮らしている人々にとって、新たにインターネットを自分の限りある予算から購入するのは、簡単なことではないでしょう。さらに、設置したらしたで、数年も経てば、「あなたのコンピューターは古いので新しいインターネット回線には接続できません」、と延々と出費が続く。
 他人事のように思われるかもしれません。でも、たとえば、会社を幸運にも定年退職できたとして、いざ自宅を眺めてみたらインターネットがなかった。自力で設置できますか?自力で維持できますか?会社では誰かが直してくれたPCも、会社を離れればすべて自分でやらなければならない。日本では、このような「インターネットを使わなければ人にあらず」のような状況で、「買い物難民」と呼ばれる人々が増えているそうですね。
 
 ブログをやったりしていても、僕はIT音痴。書いてみたかったんです。僕がこの世を去るころには、このような世迷言を言う人はいないことでしょう。

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Comment

- Fumie

例の火山灰問題で空の交通が大混乱していたときのことです。
利用しなければならなかった空港が、クローズしたり再開したり、ふたたびクローズしたり・・・で、情報も混乱する中、希望の路線が飛ぶなら予約をしようとアリタリアに電話しました。
いくつかの自動電話を経たあと、やっと出たオペレーターに尋ねたところ、返ってきた答えは、
「現在予約は、すべてeメール経由で行っております」。・・・耳を疑いました。
外出先で、実は私はPCも、ワイヤレス接続用キットも持って武装していました。ですが、そこまで情報を得るためにインターネットを使っており、バッテリーが足りなくなってきたのが心配だったのです。
なのに、2時間後飛行機の予約をするのに、メールを書いて、いつくるとも知れぬ返事を待つために、PCを立ちあげてネット接続して待っていろと?

ネットに接続できず社会から孤立するのは、老人だけではありません。ふつうに使っているつもりの私たちだって、タイミングが悪ければネットからダウンしてしまうことだってあるんです。

お役人さんたちは、自分たちは大丈夫と思ってるんでしょうかねえ?
2010.05.31 Mon 21:31 URL [ Edit ]

所詮道具なのに - ハマちゃん

なんで単なる「道具」に、使用する立場の人間が「振り回され」なくてはならないのか、と思いますね。

>設置したらしたで、数年も経てば…

のところ、全く同感です。

事務処理を「サポートする道具」でしかないのに、その道具が「存在するが故に」サービスが受けられないという情況が起こるなんて。
本末転倒過ぎる。
2010.06.01 Tue 13:45 URL [ Edit ]

- 守屋

Fumie さん

 「永久機関」が存在しないように、止まらないシステムなんてありえないのに、あのような非常時にたった一つのシステムでしか対応しないというのは、危機対応がどこかで曲がってしまっているとしか思えないです。でも、イタリアに限ったことではないでしょう。

>タイミングが悪ければネットからダウンしてしまう
 その通り。先日起きたBT交換所のありえない人災で、ネットはおろか電話すら36時間使えなかったですから。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1172.html 
2010.06.02 Wed 05:42 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 このエントリを書いてからずっと、「でも、電話が発明されてから普及するまでの書いても同じことが起きていたのだろうな」、と思っています。ですから、「これはシステムの移行期には必ず起きる混乱」と捉えることもできるとは思います。
 それでも、どうしてもやりすぎなのでは、という印象を、特にイギリスではぬぐいきれません。

 テレコミュニケイションという点では、生活は苦しくても、携帯電話だけは利用料金をなんとしても払い続ける人々がいるというのは、それはそれで、社会から孤立したくないというものなのかなと思います。
2010.06.02 Wed 05:48 URL [ Edit ]

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