LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
Home未分類 | Dance | Sylvie Guillem | Royal Ballet | Royal Opera | Counselling | Sightseeing | Overseas Travel | Life in London(Good) | Life in London(Bad) | Japan (Nihon) | Bartoli | Royal Families | British English | Gardens | Songs | Psychology | Babysitting | Politics | Multiculture | Society | Writing Jobs | About this blog | Opera Ballet | News | Arts | Food | 07/Jul/2005 | Job Hunting | Written In English | Life in London (so so) | Speak to myself | Photo(s) of the day | The Daily Telegraph | The Guardian | BBC | Other sources | BrokenBritain | Frog/ Kaeru | Theatre | Books | 11Mar11 | Stage | Stamps | Transport | Summer London 2012 | Weather | Okinawa | War is crime | Christoph Prégardien | Cats | Referendum 23rd June | Brexit | Mental Health 

ミハイロフスキィ・バレエ:ラウレンシィア(Laurencia)

2010.07.25
BBCのプロムスが始まり、ボリショイ・バレエのロンドン公演も始まり、更にイギリスのあちらこちらで夏の文化イヴェントが重なり、ファンにとっては日程的にも、経済的にも大いに迷う中、来ることすら知らなかったミハイロフスキィ・バレエによる「ラウレンシィア」というバレエを20日に観てきました。「ミハイロフスキィ・バレエって、何?」と思う皆さん、僕も同じです。で、バレエに詳しい友人に尋ねたところ、以前はレニングラード国立バレエ団という名前だったそうです。日本ではかなり公演をしているようです。
 バレエに詳しい別の年長の友人に、このバレエは観ておいたほうがいいよといわれるまで、存在すら知らなかった「ラウレンシィア」。物語の大筋は、Lope de VegasFuente Ovejunaという物語とのこと。振り付けは、Vakhtang Chabukiaini(以下、茶武器兄、もといチャブキアニ)で初演は1939年、キーロフ・バレエだったそうです。これを、ミハイロフスキィの現在のバレエ・マスターである、Mikhail Messereが再構築したものが、ロンドン公演に先立つ今年の6月5日に上演されたとのこと。

Laurencia: Irina Perren

Frondoso: Denis Matvienko

Jacinta: Oksana Bondareva


Laurencia-006.jpg
(ガーディアンから拝借。第二幕第三場。写っているのはペレンではありません)

大まかなあらすじ
第一幕:Fuente Ovejunaの村人たちは、将軍を待っている。ラウレンシィアと彼女の恋人フロンドソは、楽しげに踊っているものの、ラウレンシィアは恋にまだ本気ではない様子。そこへ、将軍一行が到着する。村人の期待とは反対に、将軍はとても威圧的。村民の歓待には応えず、美しいラウレンシィアを我が物にしようと村民を追い払うが、ラウレンシィアは機転を利かして逃げる。村の娘の一人、ジャシンタは将軍の部下たちにいたぶられ、ぼろぼろの姿で村人たちの前に戻ってくる。

第二幕:ラウレンシィアとフロンドソの結婚に沸き立つ村人たち。そこへ、怒り心頭に将軍たちが現れ、フロンドソは牢に連れて行かれ、ラウレンシィアを力づくで連れ去っていく。村人たちは集まるものの、恐怖で何もできない。そこへ、ぼろぼろの姿で戻ってきたラウレンシィアは男たちを鼓舞する。手に手に武器を持った村人たちは城へなだれ込み、将軍を倒し、フロンドソは牢から助け出される。

 第一幕は二部構成、第二幕は三部。第二幕一場までの印象は、「ジゼルの第一幕とドン・キホーテをくっつけて、カルメンのスパイスをふりかけみました」という感じでした。実際、ジャシンタとラウレンシィアが手籠めにされて村に戻ってくる場面は、ジゼルの狂乱の場にそっくり。踊りのピークは、第二幕第一場の、結婚の場。主役二人のヴァリエイションの難易度の高さは、並みのプリンシパルでは歯が立たないであろうほど。イリーナ・ペレンとデニス・マトヴィエンコのソロが終わるたびに、会場からは大喝采。
 舞台の雰囲気は、第二幕第二場、ラウレンシィアが村民たちを鼓舞するところで一転し、ロマンティックな印象から言ってみればヴェリズモっぽくなります。そして将軍を倒してからは、主役二人を含む村民すべてが舞台で勝利に沸き立つ踊りで終わるというもの。印象は全く逆ですが、ヌレエフ版の「ドン・キホーテ」の終わりのようでした。

 バレエ団の印象は、男性が弱い。逆に女性は、コールから主役まで見ごたえがありました。違和感があったのは、メイキャップ。ロイヤル・バレエではついぞ観たことのないほど強烈なもの。特に、女性、男性に関係なく、目の下に力強く引かれた直線は、凄く異様にうつりました。

 プログラムに掲載された、ジャシンタを踊ったボンダレヴァの写真はこれまで見たことないようなもの。腕組みして横目でにらんでいるんです。よく本人がそんな写真を認めたなというくらい、優雅さのない写真。更に、彼女の姿は、十数年前に観たジェニファー・ゲルファンドを髣髴とさせる、見た目とてもがっしりした印象でした。ところが、踊り自体はとても上手でしなやか。加えて、狂乱の場ので怒り、悲しみの演技は迫真もの。彼女が上のランクにいけるかどうかは、バレエ団がどうやって彼女の魅力をアピールしていくかにかかっているような気がします。

 マトヴィエンコは突出しすぎ。彼の技術が凄すぎて、バレエ団の男性ダンサーの印象、全く残りませんでした。

 ペレンの踊りを観るのは初めてでしたが、彼女の技術もまた、マトヴィエンコに優るとも劣らないほどの素晴らしいもの。前半、表情の作り方が薄っぺらな印象があったのですが、ボンダレヴァ同様、狂乱の場の表現力の深さには、彼女のジゼルを観てみたいと思いました。レヴューによると、実際、彼女の「ジゼル」はとても評価が高いです。

 チャブキアニによるバレエを観るのは今回が初めて。まだまだ、世界には観たことも、聞いたこともない面白いバレエがあることを痛感しました。ボリショイ・バレエの初日の翌日と、タイミング的にはとても不利な日程だったにもかかわらず、会場はほぼ満員。ロイヤル・バレエのダンサーを何人か見かけましたし、著名なバレエ評論家たちも大集合。観客もとてもこの演目を楽しんだようで、カーテン・コールは5回くらい続きました。今回のロンドン公演のトップに持ってきた「白鳥の湖」へは手厳しい評価ばかりでしたが、これと「ジゼル」はおおむね好評のようなので、数年後にはまたロンドン公演があるのではと思います。

Mikhailovsky Ballet: Laurencia
http://www.guardian.co.uk/stage/2010/jul/21/mikhailovsky-laurencia-review

Spartacus; Laurencia
http://www.guardian.co.uk/stage/2010/jul/25/bolshoi-spartacus-eno-laurencia

Laurencia / triple bill, Mikhailovsky Ballet, Coliseum, review
http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/7902697/Laurencia-triple-bill-Mikhailovsky-Ballet-Coliseum-review.html

関連記事
スポンサーサイト

Comment


管理者にだけ表示を許可する

Template by まるぼろらいと

Copyright ©LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン All Rights Reserved.