LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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自殺は防げるか

2010.11.19
時間が空いてしまいましたが、精神医療の講習会で「自殺」が取り上げられたときにことを簡単にご紹介。自分のためにも書いています。また、副題は、「議論が下手なのは日本人だけではない」です。

 「自殺」を取り上げたときは、ちょっと変則で参加者を二組に分けて、「自殺は防げるか?」ということを議論するというものでした。僕は、「Yes」に振り分けられました。
 精神医療が主題とはいえ、自殺を防げるならどのような取り組みができるかどうか、ということで物理的なこと(たとえば崖のふちを立ち入り禁止にする等)から、精神的なサポートまでさまざまな視点から考察するようにと講師から言われました。

 参加者は多少の差はありますが、仕事に精神医療がかかわってくるところで働いている人が多いです。が、そこはやはりロンドン、人種的に多岐に渡り、悪く言えば烏合の衆のようなグループ内できちんと議論が進むように、講師からいくつか考えるポイントを与えられました。その中で、個人的に気になったのは、「自殺防止活動」とメディアの関係でした。
 自殺防止のチャリティや医療関係者が過去十数年にわたって取り組んでいるのが、ジャーナリスト養成コースに赴いて、そこで学ぶ将来のジャーナリストたちに、自殺に関する報道を「美化」することのないよう啓蒙するというもの。

 最近イギリスでも、インターネットの自殺サイトで知り合った見ず知らずの若者がともに自殺する事件が、徐々にですが増える兆しがあります。その報道を読んでいると、イギリスのメディアの困惑振りが垣間見えます。何がおきているのだかさっぱりわからないというお手上げ論調から、分析しようとしつつも、的外れな方向に吠えているだけのもの。
 イギリス社会の中で、「自殺」という行動がどのように考えられているのか、正直なところ良くわかりません。が、この秋は、10月以降にケンブリッジ大学で、4人の学生が相次いで自殺するなど、これまで見えなかったことにしていた自殺を社会がしっかり取り組まなければならない状況になりつつあるように感じます。
 この講習会でずっと言われていること、「精神にかかわる病や行動を特別視しない」ことを実現することがどれほど大変なことか、そして重要な課題なのかを改めて実感したのが、この「自殺は防げるか?」の討議でした。

 実際の討論(ディベイト)が始まって数分で切れてしまいました(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1275.html)が、気分を落ち着けてからは挽回の意思を込めて積極的に参加したつもりです。で、その討論の間に気づいたのは、実際に討論しているのは、双方のグループからそれぞれ3人くらいのみ。その6人の中に、マジョリティを占めるナイジェリア人参加者が一人も入っていないことでした。
 もしかしたら、まったく関心のもてない主題だったのかもしれません。でも、普段の少人数によるディスカッションだとほかの人に発言させる気などまったくないようにしゃべり続ける彼らがずっと沈黙していた状況から考えたのは、「西洋の観点から見てディベイトが下手なのは、何も日本人だけじゃないんだな」、ということ。
 言わずもがなですが、仮に西洋社会の枠組みで西洋人を相手にしなければならないのであれば、彼らの流儀を知っていなければならないでしょう。でも、世界のどの地域で、どのようなことを議論するかで、討論の流れも性格もまったく変わってくるであろうと推測します。中には、日本人が舵を握れることだってあることでしょう。

 いつも読んで考える機会をもらっている方の最近のエントリです。

http://blog.goo.ne.jp/bigupset39/e/ffe3930a1f2d7c9eab0d3efdf495236a

 別の読者の方からのコメントに書かれているように、西洋人は「中身のないことを、あたかも立派なこと言っているように見せる」のが、たまに神業かと思うほどのことがあります。

 今回、「自殺は防げるか?」という討論の最後で講師から、「討論はまだ続けたいけど、時間なので最後に僕のからひとつ。仮に、僕が治る見込みのない病に冒されていて、自殺したいと考えている。どうする?」。
 自慢ではなくて、この質問に手を上げたのは、僕と「No」の側の白人イギリス人女性だけでした。最初に彼女ができないという観点から発言したのですが、やや尻切れで終わりました。そこでその前週の「鬱」に関するレクチャー(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1274.html)で聴いた、being valued and accepted by the others would encourage the depressed to get out of their prison ということを踏まえて、こういいました。

 「病に冒されている人の身体的、そして精神的苦痛を取り除く助けにはならないかもしれない。でも、その人の闘病の経験がほかの人の治療に役立つかもしれないことを伝えることができば、もしかしたら自殺を思いとどまることになるのでは」、と。

 すかさずその女性が、「でも、アルツハイマーだったらだめでしょ」、と切り替えしてきました。そのときにもっと冷静に考えれば僕もすぐにまた切り返せたかもしれないですが、彼女のまるで延髄反射のような返し方に、あきれるやら感心するやらでした。

 本題に戻って。これまでの講習の中で、講師陣が何度も何度も強調するのは、「Mental ill-healthstigmatise しない」ということ。スティグマタイズという言葉、日本語に訳しづらいですが、あえて言えば、心が疲れた果てにとる行動を、その行動に身動き取れないほど浸かってしまった人を「恥ずかしいこと」とは考えないようにするということです。言うは易しということは十分に承知しています。


 大学時代の恩師(これからもよろしくお願いします)が、江戸時代のある狂歌を教示してくれました。

死んだならたった一分というだろう、生きていたなら百もくれまい」。

 自殺はウィルスでもなければ、感染症でもないです。

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Comment

- かんとく

リンクありがとうございました。
本題よりも副題関連のほうなんですが、「中身のないことを、あたかも立派なこと言っているように見せる」西洋人は、自分が中身のないことを言っているというのを自覚してるですかねえ~?それとも、自分は立派なことを言っていると、真剣におもっているですかね。一度、連中に正面から聞いてみたいんですけど、なかなかそこまでできません。
2010.11.20 Sat 18:07 URL [ Edit ]

- 守屋

かんとく さん

 こんばんわ。冷えてきましたね。

 サライネスという、れっきとした日本人の漫画家をご存知でしょうか?彼女の「大阪豆ご飯」という漫画の中で大阪人がよく使うフレイズのひとつとして自分の発言の責任回避用に必ず「よう知らんけど」を使うということが描かれています。
 僕は大阪府に足を踏み入れたことはないのですが、「大阪豆ご飯」で描かれている大阪人の生態を読み返すたびに、少なくとも、ロンドナーって大阪人とたくさん共通点があるような気がします。ほかにも、信号を待たない点とか。
2010.11.20 Sat 20:58 URL [ Edit ]

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