LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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歌はどこへ行った?

2010.12.21
学費3倍への学生たちの抗議行動は、暴力を肯定するつもりはまったくありませんが、彼らの怒りは僕は当然だと感じています。また、その怒りを抗議デモンストレイションとしてイギリスの若い世代が示せたことは健全だとも思います。
 でも、今回の抗議行動で何かが足りないなとも感じていました。そんな時、ブログに寄せてもらったコメントへどのようなことを書こうかと考えていて浮かんだのが、「プロテスト・ソングがない」。
 リアルタイムで経験したことではないですが、昭和中期の日本では、平和運動のデモ隊が童謡を歌って警官隊と対峙したなどと読んだことがあります。また、今の僕の生活の中でははるかに遠くなってしまっているアメリカ文化の中で、ひとつだけいつも心の中にあるのは、ピート・シーガー(確か、90歳を超えた今でも現役)やピーター、ポール&マリー等のフォーク・シンガーたち、そして彼らが社会に向けて歌ったプロテスト・ソングの数々。

Pete-Seeger-in-Beacon-New-006.jpg
(ガーディアンから拝借。2009年のシーガー)



 勝手な思い込みとは承知の上で、社会が大きく動くとき、そこに多くの人が集まる歌があった、そしてあると思っています。
 
 今回の学生たちの抗議行動を通して、彼らが歌を歌わないのは、簡単に言ってしまえば世代の違いなのかも知れません。不思議でならないのは、彼らの怒りを代弁する歌、それをともに作り出そうとする「ロック・シンガー」の不在。
 この考えをイギリス人の友人たちと話したとき、彼らからは、「プロテスト・ソングができるかどうかはこれからの動き次第じゃないかな」とか、「今はまだ、protestingの段階ではない。Manifestingに過ぎない。そんなときにプロテスト・ソングはできないと思うな」とのこと。
 そのような意見に頷きつつも、考えてみると、政権が変わってから次々と打ち出される教育費の大幅削減、文化予算の削減に立ち向かった音楽家・アーティストっていただろうか?と。誰も思い浮かびません。
 ロイヤル・オペラ・ハウスや、ナショナル・シアター、そして数々の美術館・博物館のトップは声を上げました。でも、人々の生活を歌うはずのロック・シンガーの誰かが歌のひとつでも歌って怒りを代弁しただろうか?人々の生活を描くことで、社会に人々の声を届ける助けとなる絵を描いた画家はいただろうか?まったく、思い浮かびません。彼らはどこへ行ってしまったのか?

 僕にとって、歌は人生の一部。今の時代から目をそらさないでいられる、そのような歌を口ずさみたいです。多感なころに初めて聞いて以来、ずっと静かに歌い続けている歌があります。最近、手抜き気味ですが、その歌詞を。

Rally ’round The Flag

Yes, we'll rally 'round the flag, boys
We'll rally 'round again
Shouting the battle cry of Freedom
We will rally from the hillside
We'll gather from the plain
Shouting the battle cry of Freedom

The Union forever, hurrah boys, hurrah
Down with the traitor, up with the star
While we rally 'round the flag, boys
Rally once again
Shouting the battle cry of Freedom

We will welcome to our numbers
The loyal, true and brave
Shouting the battle cry of Freedom
And although he may be poor
Not a man shall be a slave
Shouting the battle cry of Freedom

So we're springing to the call
From the East and from the West
Shouting the battle cry of Freedom
And we'll prove a loyal crew
To the land we love the best
Shouting the battle cry of Freedom


More lyrics: http://www.lyricsfreak.com/

 ライ・クーダーの「流れ者の物語(Boomer's Story)」に収録されている曲です。彼のオリジナルではなく、1930年代か40年代のアメリカで歌われていた歌のようです。インターネットって本当に素晴らしい。このような歌の歌詞まで出ているんですから。

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Comment

プロテストソング - Yoshi

こんにちは。私は音楽にはあまり興味が無く、知識も乏しいのですが、しかし、おっしゃるようにイギリスにはプロテストソングを含め、社会的なメッセージを持つ歌や歌手は少ないような気がします。一方、アメリカには多いですね。私はHarry Chapinと言う歌手が好きで、CDも何枚か持っています。一方、左翼的なプロテストソングだけでなく、country and western系には、キリスト教保守派とか、国粋的なメッセージを歌う歌手や歌も多いようです。

ひとつの理由は、アメリカでは、民衆的メディアとしてのポップスの持つ力が重要だという事でしょう。全国的なマスコミがそれほど発達しておらず、地方新聞などもあまり読まれていないし、今は一層読まれなくなりつつある時代、ポップスがゲリラ的に人々の感覚をすくい上げてきた面があると思います。超保守派の政治集会やキリスト教原理主義の集会などにも、歌手も呼ばれるようですね。特に、Middle Americaに住むワーキング・クラスの人々や、黒人の人達にとって、country and westernやブルースの果たした歴史的な役割は重要です。イギリスでは、皆がBBCを見たり聞いたりして情報を得、ワーキング・クラスの人々もタブロイド紙を良く読み、各紙はそれぞれの政治的、社会的主張を明確に打ち出すので、ロックを始めとするほとんどのポップスは、エンターテイメントに徹している感じがします。また、イギリスでは、大学に行くミドルクラスのposhな若者達は、ロックやフォークよりも、オペラなどのクラシックの方が好きな人も多いですしね。

ブリテン諸島全体を見ると、イングランドに政治、宗教、経済等において支配されたり、過度に影響をこうむってきたアイルランドやスコットランドのフォークソングには、長らく歌い継がれている伝統的なプロテストソングがあります。
2010.12.22 Wed 10:07 URL [ Edit ]

- 守屋

Yoshi さん

 こんばんわ。知識が乏しいという割には、詳しいように思いますが。

 国粋的な歌は好みませんが、90年代ころの日本では、アイルランドやスコットランドのトラッド・ロック、トラッド・フォークのブームがあり、かなり聞き込んでいました。ご指摘のとおり、彼らが歌うのは過去の民族の抵抗の話を吟遊詩人のように聴く人に伝えるという印象があります。
 バンド名や個別の歌手の名前まではもはや思い出せませんが、なんとかカニンガムというフィドラーや、なんたらウィザードなんてバンドを好んで聞いていました。

 オペラは、ポッシュではないですよ。僕にとっては、プロテスト・ソングも、アパラチアンも、ブルーグラスも、パンクも同じ歌であり、何かを伝える声であることに変わりはないです。嗜好の差はいかんともしがたいですが。

 昨晩からずっと口ずさんでいるのは、「This land is your land」です。歌われる状況に左右されると思いますが、僕の中では国粋的な歌ではないです。
2010.12.22 Wed 19:37 URL [ Edit ]

- かんとく

守屋さん
興味深い記事ありがとうございます。Yoshiさんのコメントも勉強になります。
価値観が多様化したこと、世の中が豊かになったこと、なんかがプロテストソング「衰退?」の背景なんでしょうか?それとも、米国ではまだ力を持っているとしたらイギリス特有の現象なんでしょうか?
卑近な例ですが、以前、ティーンズの我が子と音楽の話をしましたが、浜田省吾とか尾崎豊なんか、全然イケてない、と一蹴されました。浜田省吾の歌とかは、この記事のプロテストソングとはやや違うのかもしれませんが、歌はメッセージではなくて、エンターテイメントなんでしょうね。
2010.12.26 Sun 22:52 URL [ Edit ]

- 守屋

かんとく さん

 おはようございます。

 クリスマス・ディにランチに招待してくれた友人は、立派な本職を持ちつつ、天職はフィドラーといってはばからないスコットランド人。
 曰く、イギリスにもたくさんプロテスト・ソングはあるけど、確かにアメリカほど社会に広がった歌はすぐには思いつかない、といっていました。

 浜田省吾や尾崎豊は、僕には無縁の方でした。あまりに王道すぎて。かんとくさんの疑問のとおり、僕も歌はメッセイジなのかエンタメなのか、よく判りません。
2010.12.27 Mon 08:03 URL [ Edit ]

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