LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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区別・差別されたくて生まれた人はいるのだろうか、という疑問

2011.06.21
頭の中では何一つまとまっていませんが、過去半年、いろいろなニュースや記事を読んできて、ずっと反芻しながら、いつか書きたいと思いつつかけていないこと。このままではかけないまま終わってしまいそうなので、結論に至るとは思いませんが読んでいただければ幸いです。

[ガン・癌]
今年の初め、ガーディアンに以下のタイトルの記事が掲載されました。

Cancer: The new normal?
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/15/cancer-the-new-normal

As our population ages, the question is not if we will encounter this illness in our lives, but when. Is it time we stopped fighting and learned to live with it?

 Siddhartha Mukherjeeというひとの著作、「The Emperor of All Maladies」を基にした記事だったので、すでに本文は著作権の関係で削除されていますが、読者から寄せられたコメントは読めます。ちなみにこの書籍、アマゾンUKではかなり評価が高いです。本題からは外れますが、紹介文を転載します。

In The Emperor of All Maladies, Siddhartha Mukherjee, doctor, researcher and award-winning science writer, examines cancer with a cellular biologist’s precision, a historian’s perspective, and a biographer’s passion. The result is an astonishingly lucid and eloquent chronicle of a disease humans have lived with - and perished from - for more than five thousand years.
The story of cancer is a story of human ingenuity, resilience and perseverance, but also of hubris, arrogance and misperception, all leveraged against a disease that, just three decades ago, was thought to be easily vanquished in an all-out ‘war against cancer’. Mukherjee recounts centuries of discoveries, setbacks, victories and deaths, told through the eyes of predecessors and peers, training their wits against an infinitely resourceful adversary.
From the Persian Queen Atossa, whose Greek slave cut off her malignant breast, to the nineteeth-century recipient of primitive radiation and chemotherapy and Mukherjee’s own leukemia patient, Carla, The Emperor of All Maladies is about the people who have soldiered through toxic, bruising, and draining regimes to survive and to increase the store of human knowledge.
Riveting and magesterial, The Emperor of All Maladies provides a fascinating glimpse into the future of cancer treatments and a brilliant new perspective on the way doctors, scientists, philosophers and lay people have observed and understood the human body for millennia.


 それほど前からのことではないと思いますが、日本では「一病息災」という表現が使われています。ストレスから逃れることが難しい現代、一つや二つくらい病気を持って生きることは普通だよ、というメッセイジをこめてのことと僕は解釈しています。
 日本を離れてから、元同僚の何人かが癌のために鬼籍に入ったということを除いて、僕は自分の生活圏内では癌に直接かかわったことはありません。ただ、ガーディアンの惹句にあるように癌がこれほど多くの人の生活に影響を及ぼしているにもかかわらず、癌に侵された人たちの生活水準は変化しているのだろうか、という疑問を持つきっかけになりました。
 東日本大震災後、朝日新聞のウェブの健康セクション(http://www.asahi.com/health/)を頻繁に見るようになりました。その中の「患者を生きる」というカテゴリィで最近、「がんと就労」というタイトルの特集が組まれています。
 癌に侵された人たちの、仕事への復帰についてたくさんの経験が語られています。ある一人ががん治療を続けながら働くとき、同じ職場で働く人たちへの負担は、昨今の経済状況では増すであろうし、その負担を受け入れがたく思う人を批判するつもりは全くありません。
 しかしながら、理想論を言っているに過ぎないとわかっていても浮かんでくる考えは、「癌に冒されたい人なんているのだろうか?」。

Living with death
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/jun/19/living-death-terminal-illness-cancer
(この特集の中で、二人のがん患者のインタヴューが掲載されています。就労とは関係ないですが、QOLについては考えさせられます)

[身体障害者]
 5月11日、ロンドン中心で全国から集まった身体障害者や彼らの家族、支援者による抗議マーチングがあったそうです。

Disabled marchers turn out in thousands for benefits protest
http://www.guardian.co.uk/society/2011/may/11/disabled-marchers-thousands-benefits-protest

Hardest Hit march brings disabled people out on to the streets
http://www.guardian.co.uk/society/2011/may/11/hardest-hit-march-disabled-people?intcmp=239

Disabled people must fight for a different society
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/may/11/disabled-people-marches-london?intcmp=239

http://www.guardian.co.uk/uk/joepublic/gallery/2011/may/11/public-sector-cuts-disability?intcmp=239

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/may/12/hardest-hit-march-disability-allowance?intcmp=239

 予算削減をなんとしても成功させたい連立政権は、削減できるものならば何でもということで、身体障害者への福祉予算を大幅に切り詰めると。ただし、公に「切り詰める」ことを掲げると余計な注目を浴びるかもしれないから(ここは僕の推測です)、身体障害者の「認定基準」を変更して、「新しい基準では君は働けるはずだから、来週から援助は減らす」ということへの抗議行動です。
 ちなみに、情報ソースがどうしてガーディアンだけかというと、ガーディアン以外まともに取り上げていなかったからです。僕が見落としているのかもしれませんが、紙面で追ってみた限り偏向は酷いものでした。このような社会の動きを報道するのに、左か右かを気にすることは愚かとしか思いません。
 全部を読むのはかなり時間がかかると思います。ここに書こうとしていることに呼応する発言をいくつか引用します。

"When I apply for jobs, I'm seen as a health and safety risk,"

"Research by the RNIB shows that nine out of 10 employers say they would not employ someone with visual impairment. We are being punished for not being able to find work,"

"I didn't chose to be disabled"


[女性]
 カナダの警察官による発言が引き金となって世界にあっという間に広まった抗議行動、「Slut Walking」については日本でも報道されたのでご存知の方は多いと思います。

Marching with the SlutWalkers
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jun/07/marching-with-the-slutwalkers

 イギリスでは、5月にクラーク司法相が「レイプ」についてのとんでもない私見を発言したことで、刑務所改革が紆余曲折しています。また、失業者数において女性が職を失うことが男性よりも多いとの発表もありました。
 どこかで読んだニュースだと、インドでは出産前の性別判定によって女の子の数が激減して、このままでは男女比率を正常に戻せない水準まで行ってしまいそうだとか。日本からはこんなニュース、http://ro69.jp/blog/shibuya/53404。産むのは、そして産めるのは女性だけなのにどうして日本ではこんなに遅かったのか。春先だったでしょうか、確か九州大学が数学科に女性枠を設けると発表したところ、差別との批判がきてすぐに撤回したと。男性として産まれたという理由だけで差別されることがどういうことなのかを多くの男性が経験できたかもしれない貴重な機会が失われてしまったように思います。

[高齢者]
 現在、イギリスでは高齢者ケア・ホーム運営の最大手の企業が深刻な資金難に陥り、すでに雇用者の大量解雇、それによる人手不足でホーム入居者への看護ができない状況になりつつあります。

http://www.bbc.co.uk/news/business-13767245

 多くの入居者は、もしかしたらこう思っているかもしれません:老人になったというだけで、どうしてこんな目に遭わなければならないんだ?


 職を失いたくて癌になる人なんているのだろうか?社会福祉の切り詰めによって生活が脅かされることに甘んじるために、身体に障害を持ちたいと願う人がいるのか?女性だからと差別し、女性を減らそうとするのは誰が望んでいることなのか?歳をとらない人っているのか?一つ付け加えるなら、うつ病になりたい人が居ると信じている人はいるのか?

 ここに書き連ねてきたことは、哲学者や人類学者の領域だと思いますし、また僕なんぞが何がしかの提案を導き出せるとは全く思いません。でも、人類の歴史の中で、人類はこれでもかというくらい差別・区別による重大事を経験してきているはずであろうに、学んだことはあるのか。
 がん患者の方々、女性、身体障害者の皆さん、そして高齢者の方々を同列で見ているものではありません。個々の環境・状況は全く別に対応していくべきことだと思います。しかし、今回例として取り上げた社会情勢に巻き込まれている皆さんが、社会やほかの人から差別・区別されるために自らの立場にいることを選んだのでは「ない」、ということを考える力を社会が失いつつあるのではという感覚は弱まりません。

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Comment

- ハマちゃん

過渡期、ということなのか

今の時代は、人間の寿命が過去に無いくらい長くなって
それに社会のシステムが追い付いていないのを
どう工夫していくか、という「時期」なのだとは思います。

障害者にしても病気の方にしても、
当然差別されたくて生まれてきた人はいないでしょうし

差別しているように見える側も、
そうしたくてしているとは限らない。

QOLの実現も、結局は先立つものはお金ですしね…
こんな時期だからこそ、儲けている大企業はNobless obligeの精神を持ってくれるような世の中になると良いのですが。
日本は東日本大震災をきっかけにそういう精神に立ち戻っていっているように思え、そこにポジティブな光が見える気がします。

Sxxt Walkingの記事だけ、全部読んでみたんですが
ピントのずれた別々の事柄をごちゃ混ぜにして
見当違いな所に怒りをぶつけているように見える。

ただ、参加者の話の中で、
殆どのレ◯プ被害者は「知人によって」「普通の格好をしているとき」に被害に遭っているのであって

そういう時ですらも被害者が扇情的な格好をして自ら被害を招いたかのように言われるのは許せない、という部分には全く同感です。

同感ですが、だからSxxtみたいな格好して、どんな場所でもどんな時間でも出歩いても安全を保障されて当然だという考えは、私にはよく分かりません。
「じゃ、好きにすれば。」としか… 
どんな格好とか言うよりも夜中に酒飲んで出歩く時点で危ないです、男女関係なく。

服装に関しては、レ◯プ云々以前に、人としての最低限の礼儀の問題かと。
2011.06.23 Thu 13:21 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 服装に関して、在ロンドンの日本人の友人と話したときに、こんなことを言われました。

 「いろいろな点で違うから断言するのは難しいけど、日本では親からそんな格好するなと教えられるから」、といった趣旨。SxxT Walkに関しては、イギリスでもかなり大きな議論になっているようです。

 QOLを実現するのにはお金、というのは事実だと思います。住んでいる地域間の収入格差によって平均寿命が10歳以上も差があるという統計資料をいくつも読みましたが、その差をすぐに埋める政策など誰も思いつけないというのが現状のような気がします。 
 
 理想論に過ぎませんが、「互助」の精神が社会からなくなりつつあるのではないかと。
2011.06.24 Fri 07:03 URL [ Edit ]

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