LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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村上隆、宮崎駿in London

2011.07.24
イギリスから続けてルシアン・フロイトエイミィ・ワインハウスの訃報が世界に発信されました。ワインハウスの突然の死去に限れば、彼女は才能にあふれた芸術家だったのかもしれないけど、その突然の終わりが「グラマライズ」されないようにメディアは肝に銘じるべきだと思います。メディアでしか知らないワインハウスですが、そのメディアから知った彼女の生活は「破綻」。そんな「破綻」を無意味な「伝説」とするかどうかはメディアしだい。

 双方とも観たのは2週間ほど前になりますが、村上隆の個展と久しぶりに大きな画面で観た「風の谷のナウシカ」の感想を。

 昨年の秋にヴェルサイユ宮殿で大きな古典が開かれた村上隆は、おそらく生きている日本人アーティストの中では、その作品に払われる金額が最高額であろう人。その村上隆の個展が、ロンドンのキングス・クロス駅から徒歩数分の場所にある、ガゴシアン・ギャラリィで6月27日から8月5日まで開かれています。

http://www.gagosian.com/exhibitions/2011-06-27_takashi-murakami/

 イギリスでの評価はどのようなものだかわかりませんでしたが、多くのレヴューはポルノグラフィック等々に終始していて要領を得ませんでした。で、実際観にいって、僕は性的な感情の昂ぶりを一切持ちませんでした。個展全体への僕の感想は一言、グロテスク。いい悪いという意味ではなく、村上隆の創作への揶揄でもありません。むしろ、村上さんへの敬意のつもりです。

 会場に入ってすぐに目に入るのは、今回の目玉の一つであろう、超巨乳女性の3メートルのフィギュア。

MURAK_2011_00070.jpg
(写真2枚は、ガゴシアン・ギャラリィのサイトから拝借)

2月にロイヤル・オペラで観た「アナ・ニコルhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1333.html)」をすぐに思い浮かべました。人間の欲望なんてそれこそ人類の数だけ違うのでしょうけど、これに「萌える」人がいるとは思えませんでした。このフィギュアに限らず、村上さんが監修した作品の「目」の印象は、「邪(よこしま)」。作品の大きさにばかり目が行っているというのがイギリスのレヴューから感じたことですが、全体を構成している細部を見たほうがより興味深いように思います。

 今回の個展のもう一つの目玉は、ロンドンに来る前に東京で2日間だけ展示された黒田清輝の「智・感・情」へのオマージュ。

http://gallery-kaikaikiki.com/category/urgent-notice/

http://gallery-kaikaikiki.com/2011/06/closed_t1899_2010/

 今回の個展を観るまで黒田清輝にこんな作品があることすら知りませでした。村上さんの作品から感じたのは、「美しい」というより「グロテスク」。同じモティーフでいくつか違うデザインがある中で、ある一つに描かれている若い女性の身体が、昔の人が描いた三途の川のかわらの「餓鬼」のようでした。思わず、「お嬢さん、栄養が偏っていませんか?」と訊いてしまったかもしれないほどのグロテスクさ。

MURAKAMI_Install_View_60.jpg

 ルイ・ヴィトンに提供されたデザイン等を期待していくとがっかりすることは請合いです。また、会場には女性器、男性器をかたどった巨大オブジェも展示されています。あっけらかんとして猥雑感、一切なし。世界が注目する日本の現代アートの最先端を経験するには絶好の機会だと思います。

 村上隆を見た数日後、バービカン・シネマで宮崎駿の「風の谷のナウシカ」を。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1385.html

 まず吃驚したのは、「ナウシカ」って四半世紀も前の作品ということ。25年も前にこのような普遍的な作品、とりわけ現在の日本を覆う大きな課題である原子力問題に呼応する映画が作られていたことは素直に賞賛に値すると思います。で、久しぶりに日本の映画を観ていつも疑問に感じていたことを思い出しました。どうして、なんとか映画制作「委員会」なんでしょうか?不思議だ。委員会以外は、日本では映画を製作できないんでしょうか?

 「ナウシカ」を見るのは本当に久しぶりでした。はじまって10分は驚きの連続。ほぼすべての台詞が説明以外のなにものでもない。そんなこと、以前は感じたことなかったです。でも、そのような印象は導入部だけ。あとはすっかり物語に引き込まれました。先に書いたように、原子力問題を日本が考えなければならない今こそ、再び映画館で上映される意義があると強く感じました。

 「ナウシカ」が始まる前に「アリエッティ」の予告編が流れました。村上隆が監修するフィギュアへの印象とあいまって、日本のアニメイションが描く女性を、世界はどう観ているのだろうと。「アリエッティ」はイギリスで7月29日から公開されます。


[追記]
Amy Winehouse: The last days of the good-time girl who did not want fame
http://www.guardian.co.uk/music/2011/jul/27/amy-winehouse-last-days-camden

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Comment

- かんとく

ナウシカ、バービカンでやっているんですね。知りませんでした。宮崎作品の中でもかなり好きな作品です。作品の思想的意味合いはともかく、ナウシカ、可愛いですよね。
2011.07.25 Mon 22:47 URL [ Edit ]

- 守屋

かんとく さん

 「ナウシカ」の上映は2回だけだったので、もうご覧になれないと思います。が、今週末は「トトロ」と「千と千尋の神隠し」が上映されます。

 僕は、「未来少年コナン」を再びみたいです。これがテレヴィで放映されるなら、テレヴィを購入してもいいかなとおもっています。
2011.07.26 Tue 05:15 URL [ Edit ]

ワインハウスの伝説化は必至 - レイネ

エイミー・ワインハウスの訃報には驚きました。アルコールやドラッグのため27歳で亡くなったスター・クラブに仲間入り、とかの報道が多いのですが、ガーディアン紙に、ワインハウスとも交流がありアル中を克服したコメディアン・ミュージシャンのRussel Brandが寄せた追悼記事(読んだのはオランダの新聞に載った全訳)がとても好感の持てるものでした。いわく、アル中・ヤク中の人を犯罪者に対するような目で見るのではなく、(精神的に弱い)病人として扱い適切なケアやサポートすべきだ、と。きっと、守屋さんも同感を抱かれるのではないかと思いますが、お読みになりました?
2011.07.26 Tue 23:20 URL [ Edit ]

- 守屋

レイネ さん

 こんばんわ。

 仰るように、一部のメディア(日本を含む)は27歳で夭逝することが天才ミュージシャンの証みたいな書き方をしていて、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの教訓が全く意味をなしていないように感じます。

 ラッセル・ブランドのは僕も読みました。サポートについては同感するのですが、芸能人だから余計にそのアルコール依存症・麻薬依存症のイメイジが、社会にどれだけの影響を与えるのかということを当の音楽業界がもっと真剣に考えるべきだと思います。
 やはりお騒がせロッカーに、ピート・ドハーティというのがいます。ソースを忘れてしまったのですが、イギリス人の著名な作曲家の息子が、ドハーティの破天荒な生き方にのめりこみ、ヘロイン中毒になって18歳でなくなったという記事を読みました。いくら天才でも、モラルを破ることしかできないのであれば、音楽業界はそのようなアーティストを教育すべき義務はあるかなと考えます。
2011.07.27 Wed 20:14 URL [ Edit ]

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