LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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喜びを分かち合う、喜び

2011.08.22
今月の最初の週末、ロンドン北部、トッテナムからイングランドの広範囲に広がった暴動(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1425.html)から2週間が過ぎ、街自体は表面上は平素に戻ったように思う。今かまびすしいのは、この暴動の本当の原因について、もはやその姿はこっけいとしか言いようがない政治家による、延々と続く無駄な議論と、責任のなすりあい。

 今回、暴動が起きたことについては、心の底から驚いた。他方、一人の外国人に過ぎない僕が考えをめぐらしても虚空に吼えているだけのような気がしている。

 そろそろ、メディアでも原因探しの材料が尽きてきたかなという印象の先週末、興味を惹かれるコラムがガーディアンのオブザーヴァ両紙に掲載された。

How sad to live in a society that won't invest in its young
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/19/sad-society-young-riots

Historians will, I hope, be shocked that we let austerity bear down hardest on the young. No more mouthing of political platitudes that "the children are our future" in a country that is inflicting extraordinary damage on their chances, while protecting the privileges of the older and better off. In good societies it is the natural instinct to invest most in the young. Only a profoundly sick society would be doing the opposite. But there are more votes in the old than in the young and an ageing population fears and despises young people with even greater intensity than usual.


Blaming a moral decline for the riots makes good headlines but bad policy
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/20/tony-blair-riots-crime-family

Why are the failings of capitalism only being exposed by the right?
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/21/ed-miliband-capitalism-rightwing-critics

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1436.html
(興味のある方は、コピペしてください。取り扱いはご注意のほど)


 2番目のリンクは、トニー・ブレア元首相によるもの。偏見を捨てて読んだつもりだし、いくつかの文章には賛同する。しかし、彼が現役首相のときと同じようにレトリックが多いなという印象を捨て去ることはできなかった。

 今回の暴動の原因、というか長い時間の間に澱のように社会の隙間にたまっていた不満は、収入、階級、そして世代の「格差」から生み出されたのではないかという議論はとても興味深い。その点からすると、最初のリンク、ポリィ・トインビィが書き表している世代の格差、とりわけ若い世代が追い込まれた四面楚歌のような社会状況についてはもっと多くの議論、そして行動が必要なのではないかと感じる。
 今回の暴動の原因について多くの議論が袋小路にはまり込んでしまうのは、一つの大きな原因に絞り込めないからだろう。「世代格差」一つでも、若い世代とベイビィ・ブーマー世代の格差だけではないだろう。30代と40代の格差だってある。

 にもかかわらず、僕は歳上の世代だけを非難するのは的外れな気がする。トインビィが書いているように、今の60代以上は、例えばロンドンならグレイター・ロンドン域内の公共交通機関を無料で利用できるフリーダム・パスを利用することができるし、かなり暖房施設が整っているロンドンですら、冬の暖房費援助は受け取る年金の総額が多くても多くの年金受給者に支給される。
 単にその恩恵を利用している外国人移民が多くいるのも事実。また、生粋のイギリス人の中にだって、社会福祉制度を悪用している輩もいるだろう。でも、多くの年配のイギリス人は、若い頃身を粉にして働いてきたはず。歳上の世代がどのような時代に、どれだけ働いてきたかを、若い世代は知っているのだろうか。メガ・リッチとしてもっと多くの税金を払うといったバフェット氏だって、その富を手にするためにどれだけ働いてきたのかを、彼の巨額資産の数字だけに羨望する人は知っているのだろうか。

 どうしてこのような思考の彷徨から、こんなことが導き出されるのかと問われても明確な道筋は示せないけど、社会不安、経済不安の国で生活している多くの人(僕自身も含む)は、喜びを分かち合うことがどれほど幸せなことかということを忘れてしまったのか、それとも知らないままなのか。歳上の世代が犯した過ち、というか避けてきたことは彼ら自身の成功や幸せを若い世代と共有する場を設けてこなかったことなのかなと。
 
 分かち合わなければならない痛みがそこかしこにあふれ、リアリティ番組の勝者がひけらかす実体の伴わない「成功」を自分でも手にしたいとあがき、つぶやくことで自分の存在を一瞬だけさらすことが幸せと思い違いしている人たちにとって、普通の生活の中から生まれる幸せをいつくしみ、それを分かち合うことで今の社会の土台が築かれてきたのではないか、と考えることをしても良いのではないかと思う。

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Comment

- ハマちゃん

深く共感しました。

私も、今文句ばかり言ってる若い世代は、
上の世代がどういう努力をしてきたのかを見ておらず

その努力のお陰で得られている恩恵もあるのに
そこに関しては当然のことくらいにしか思っていなくて

だけど、そうなってしまったのはまさに
守屋さんが書いてるこの一文に集約されてるんだ、と思いました。

>歳上の世代が犯した過ち、というか避けてきたことは彼ら自身の成功や幸せを若い世代と共有する場を設けてこなかったことなのかなと。

自分の子には苦労させたくないからと頑張った世代が
その苦労した部分をきちんと見せた上で
何かを与える、ということをしてこなかった、というのは

日本でも英国でも共通する問題の一つだと思いました。
2011.08.26 Fri 12:56 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 共感していただいてありがとうございます。

 日本の風土だと、苦労話ばかりがもてはやされて、その苦労の末に到達できた目標を多くの人と分かち合い、分かち合えたことでさらに先に進める意欲が湧いてくるかもしれない、ということが少ないと感じます。他方、「幸せになるために分かち合う」という点が妙な方向に行ってしまって怪しい「自己啓発」になってしまっても困りますが。

 イギリスでも日本でも、「苦労」の意味がネガティヴな意味だけで考えられているような印象を持ちます。
2011.08.27 Sat 17:12 URL [ Edit ]

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