LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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在イギリスのメガ・リッチが声を挙げない理由

2011.08.27
二つ前のポスト(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1438.html)の最後の部分で、「アメリカやフランスのビリオネァたちが、国家の財政危機とほかの改装の人たちと困難を分かち合うためにもっと税金を払いたいといった動きへの賛同は、イギリスでは出ない気がする」と書いた。

 予想したとおり、在イギリスのメガ・リッチ(イギリス人、非イギリス人共に)からは、何の反応も出ていないように思う。ただ、8月26日付のガーディアンにコラムが掲載された。

Warren Buffett is an example to British billionaires
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/25/warren-buffett-british-billionaires

such a gesture on the part of the mega-rich suggests that they are at least aware of their good fortune. For some reason, this is not an awareness that seems to have spread to the British plutocracy(富豪階級). Far from offering to pay more taxes, all we hear from them is grumblings that we will all be doomed unless the present 50% top marginal rate of income tax is reduced.

British billionaires tend to be too disconnected from the rest of society and generally out of sympathy with it. They are also loth to admit that luck has played any part in their achievement, whereas Buffett has said that he got rich not "because of any special virtues of mine or even because of hard work, but simply because I was born with the right skills in the right place at the right time"


 ビリオネァへの税金が増やされたからといって一つの国の財政がすぐにたちおなるわけではないであろうという意見は冷静な見方でうなずける。また、アメリカとフランスのビリオネァたちの思惑はほかにあるかもしれないが、彼らが起こした行動は国内の各階層の結びつきに好影響をもたらすかもしれないと読める論点は興味深い。

 でも、僕自身が考えていたこととはちょっと違っている。僕が在イギリスのメガ・リッチから常に感じるのは、彼らの口座を離れた彼らの金は、必ずまた口座に戻ってこなければならない。その際には、余剰の価値が付加されていることに議論の余地はない、という姿勢。つまり、見返りがないことに投資はしない、と。税金を払わされるなら、先に恩恵を確保してくれなくては強制されても払う気なんてない。古いたとえだけど、「三方一両損」という発想は在イギリスのメガ・リッチにはないと感じている。また、イギリスの財政政策がそのような偏狭なビリオネァを引き寄せ、優遇してきたことも忘れるべきではない。

 今日、27日のガーディアンで、ポリィ・トインビィ女史がそれに近いことをコラムで書いている。

Where is Britain's Warren Buffett or Liliane Bettencourt?
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/26/buffett-bettencourt-tax-rich

In Britain this week, instead of calls to pay more tax, Sir Ronald Cohen, private equity tycoon, helped launch a plan for the wealthy to invest in projects to improve the poor – not as philanthropy but for a return of between 2.5% and 13%: the government will pay out rewards for future costs saved by social interventions. (Sir Ronald is the man credited with persuading Gordon Brown to cut capital gains tax from 40%, to a disastrous 10%, setting off a private equity and property boom, as the rich rebranded their income as capital gains.)

It's a novel solution to extreme inequality, inviting the rich to make money out of the poor.

if targets are missed you can bet the state will pay out anyway. So the risk will not be transferred from taxpayer to investor, but the state is borrowing expensive money to pay back later come what may. The public accounts committee will need a beady eye on money wasted on a fancy financial vehicle. If it looks too good to be true, it probably is.

Here's what David Cameron said about rioters: "The root cause of this mindless selfishness is the same thing I have spoken about for years: it is a complete lack of responsibility in parts of our society. People allowed to feel that the world owes them something, that their rights outweigh their responsibilities and that their actions do not have consequences."

Just so, but Britain lacks a Buffett or a Bettencourt to bring the rich back into the responsible society, to reel in their soaring separation from the rest. Investing in poverty bonds for a 13% return isn't quite the same.


 正直なところ、書かれているロナルド・コーエンなる人物が進めるボンドの仕組みはよく判らない。トインビィ女史が書いていることを信用するなら、このボンドに投資した金持ちは、たとえボンドが機能しなくても全く損はしない。なぜなら、政府が保証することになるのだから。そうなれば、金持ちの投資の失敗の尻拭いをするのは、一般納税者ということになるのだろう。

 ちなみに今日読んだのはガーディアン、タイムズ、そしてインディペンデントの簡易版。ガーディアン以外ではこのような論調の記事は全くなかった。タイムズはマードック、インディペンデントはロシアのビリオネァが所有、そしてテレグラフはイギリス人の双子兄弟が所有。こういうところで、メディアが誰に所有されているかという点が浮かび上がってくる。ガーディアンが左派だということはわかっているし、すべてを鵜呑みになんてしないが、極端な差異は不健全と感じる。

 本題に戻ると、一般論として論じることはできないことは承知しつつ、イギリス社会の資産の上位9割を占めるであろう、社会構成上1割にも満たないメガ・リッチは自分たちが属する階級から一歩も踏み出る気はないのではないだろうか。獲得した富を失いたくない(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1095.html)だけでなく、さらにもっともっととグリーディに。そして、社会も自らが社会を変えていけるという可能性を全く期待していない。イギリスは自らの泥沼にはまり込みつつあるように感じる。

 蛇足だけど、ガーディアンはグーグルのチェアマンがイギリス社会をどう捉えているかというレクチャーを大きく取り上げている。

http://www.guardian.co.uk/technology/2011/aug/26/eric-schmidt-chairman-google-education

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/aug/26/luvvie-boffin-digital-computing-television

 はるか昔に斜め読みしたC.P.スノーの「二つの文化と科学革命」を思い出した。

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Comment

- ハマちゃん

非常に興味深い記事を、
分かりやすくポイントを抜粋して紹介して下さって、ありがとうございます。
(双子に追われて、なかなか自分では色々な記事を読み込む時間が無いので、こういうダイジェストは助かります!)

とっても、とっても、ガーディアンらしい記事。
ガーディアン、偏ってるみたいなこと言われますが
私にはガーディアンが偏ってるのか
その他多数が偏ってるせいでガーディアンが実際以上に偏って見えるのか、良く分かりません。

イギリスって、いつからこんな風になったんだろう…

バフェット氏の人柄については、よく知らなかったのですが、その発言は自分の心の中に残りそうです。
2011.08.28 Sun 08:05 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 いい意味でも、悪い意味でもガーディアンをガーディアンたらしめるコラムだと思いました。それと、トインビィ女史のコラムは、普段はとても読みづらいのですが、これはすとんと胸に落ちました。

 どの媒体も伝えたいことがあるから新聞を発行しているのであろうし、常に右に倣えというのも困ります。が、今回のように、社会の根幹で語られるべき事象をを有力媒体が取り上げないということは、僕たちは何が起きているかを知らされていない、という疑心暗鬼につながるように思います。
2011.08.28 Sun 14:57 URL [ Edit ]

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