LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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TeZukA@サドラーズの世界初演の速報

2011.09.06
TeZukA-304x408.jpg

昨晩、9月6日に世界初演となったシディ・ラルビ・シェルカウィ作の「TeZukA」の初日をサドラーズ・ウェルズ劇場で観てきた。いくつか戸惑う場面や、文化の違いを鮮明に感じることはあったが、僕個人にとっては新しい刺激とノスタルジックな雰囲気が合わさった、とても面白い舞台だった。

http://www.sadlerswells.com/

 今日以降観られる予定の皆さんも、事前情報なしで観るほうがいいと思うが、いくつか感じたことを箇条書きで。

TezZukA2.jpg

 舞台の左右の袖にはスクリーンが設置されている。何のためかと思っていたら、舞台が始まってすぐにベルギー出身の男性ダンサーが(おそらく)3月11日に起きた地震、津波、そしてその後の原子力発電所の問題をフランス語で話し始める。僕が座ったのは、平土間最前列ど真ん中だったのでスクリーンをきちんと見ることができなかった。これからチケットを購入するのであれば、平土間なら中央エリアが良いのではないか。

 タイムズ紙のインタヴューでは「アトムを舞台に再現するかどうかはまだ迷っている」という趣旨の発言をしていたシェルカウィ。日本人パフォーマー演じるアトムが舞台にはいた。これだけが、僕にはぬぐいきれない違和感となった。世代を超えて、日本人が持つ「アトム」のイメイジはとても強固なものだと思う。それを全くアトムとは観ることができない「生身」の人間が演じるのを見るのはつらかった。反面、僕の後ろにいたイギリス人観客には「アトム」が舞台にいることはかなり受けいていたようだ。

 事前情報は少なかったものの、純粋なダンス公演ではなく、おそらく「ダンス・シアター」系の舞台になると予想していた。僕のような古典バレエから徐々にモダンやコンテンポラリィの世界に足を踏み出している目には、もっと古典バレエの香りがする振り付けを観たいなと思うことはあった。しかしながら、ダンスの質、そして何よりダンサーたちに要求される身体能力はとても高いものだった。
 日本人を含む東アジア出身のダンサーと、ヨーロッパ出身のダンサーの違いが時に反発し、時に融合する様を見るのは新鮮な経験だった。

 舞台は休憩を挟んで二部構成。後半は、「TeZukA」というタイトルからやや遊離してしまい、シェルカウィの「自己模索」の印象が強かったように思う。前半は、シェルカウィの手塚作品への敬愛、その世界観を上手く舞台に再現していた。

 手塚作品の「ダーク」な部分を読んだことのない思春期前の世代には、咀嚼するのが難しいと感じるダンス・シーンがいくつかある。

 手塚治虫の代表作の一つ、「火の鳥」はさまざまな意味で忘れられない作品。その中の重要人物の一人、我王、そして彼が作る鬼瓦(のはず)がスクリーンに映し出されとき、思わず胸の奥からわきあがる感情。同時に、今回の舞台だけのためでなく、シェルカウィが手塚作品を丹念に読んでいることを感じた。

 さまざまな創意工夫がされた舞台で、ひときわ素晴らしかったのは、上田大樹さんによる映像。最近、バレエ・ダンス公演でもかなりヴィデオが使われるようになってきた。中には、「技術もここまで進んだか」と感心することはある。が、上田さんによる映像は、そのような段階をはるかに超えているものだった。プログラムでシェルカウィが強調している、「紙とインク」の概念を舞台上で再現すると同時に、決して舞台を占領することのない洗練さを失うことはなかった。

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Photograph: Astro Boy © Tezuka productions

 手塚作品から感じた日本文化、そして日本の思考を欧州人のフィルターを通して共有できる面白い舞台。チケットはまだあまっているようなので、在ロンドンの皆さん、お勧めです。

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