LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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変わっていく人の絆、家族の絆

2011.09.21
唐突という感じでガーディアンの価格が上がり、長引く不況を深く感じる毎日です。

 本題に行く前に、そのガーディアンが先週、ホモセクシャル(ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、バイセクシャル)のラベルを貼られている人たちの人権についての話題を大きく取り上げました。日本語の「異性愛」、「同性愛」という表現は僕にとっては心地の悪いものなので「ヘテロセクシャル」と「ホモセクシャル」とします。

 なぜガーディアンが取り上げたかというと、おそらく一義的には彼らの政治的スタンスだと思います。第二に、イランで起きたゲイの人たちの死刑が人道的見地から見て、あまりにも非人道的な「殺人」だということがあるのではないかと推測します。

Gay rights: a world of inequality
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/13/gay-rights-world-of-inequality

Persecuted for being gay
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/13/persecuted-for-being-gay?intcmp=239

Africa and Middle East in spotlight as group launched to tackle homophobia
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/12/kaleidoscope-tackles-homophobic-violence

 一つ補足というか説明を。記事の中で取り上げられている、ウガンダで虐殺されたゲイ人権活動家のKatoさんは、日本人ではありません。普段は、政治的なことについてはヴォランティアに知らせることのないテレンス・ヒギンス・トラストですが、KatoさんがHIV啓蒙活動にも取り組んでいたようなので知らせてきました。僕はメイルの中に「Kato」という名前を見つけて、一瞬、「えっ?日本人がウガンダで殺されたのか?」、とパニックになりました。

 僕は取り立てて人権問題に詳しいわけではないですし、反対に、世界中の多くの地域で起きている人権にかかわる終わりが来るとはもはや信じられない悲劇を新聞で知るたびに、足を踏み込んではいけないと及び腰になります。ただ、テレンス・ヒギンス・トラストでのヴォランティア活動を通して、「目に見えないセクシシャリティで人はこれほどまでに迫害されるのか」ということを見聞してきました。日本ではこんなこと絶対に報道されないだろうと思ったので。ちなみに、人権にかかわる課題の多くはとてもセンシティヴであることは認識しています。たとえあっさり書くにしても自分の思い込みでかくことはよくないと思い、東京在住で人権問題に詳しい友人に入門編のような解説をしてもらいました。改めて、確固とした知識と経験がないうちは、足を踏み入れてはならないと感じました。

 ここからが本題。上記のリンク記事の中でも取り上げられているStonewallは、ホモセクシャルの人権向上を掲げる団体の中でもっともパワフルなチャリティです。そのストーンウォールが行った、ホモセクシャルの人たちの生活環境についての調査結果です。

Gay people 'at risk of a lonelier old age'
http://www.guardian.co.uk/society/2011/sep/11/gay-people-risk-old-age

Gay men and women in Britain are far more likely to end up living alone and have less contact with family in later life than heterosexual people, according to a groundbreaking report that raises significant questions for how society responds to their needs.

The report, the first of its kind, has implications for GPs, health and social services at a time when Britain's population is ageing. It is estimated that there are a million lesbian, gay and bisexual people in Britain over the age of 55.

A YouGov survey, commissioned by the campaign group Stonewall, found that older gay and bisexual men are three times more likely to be single than heterosexual men.

Just over a quarter of gay and bisexual men and half of lesbian and bisexual women have children compared with almost nine in every 10 heterosexual men and women. They were also less likely to see biological family members regularly. Less than a quarter of LGB people see their biological family members at least once a week, compared with more than half of heterosexual people according to the survey of 1,050 heterosexual and 1,036 LGB people over the age of 55.


 LGB(Tが抜けている理由は不明)、つまりセクシャル・マイノリティとみなされる人たちは、男女とも、孤独な老後になる傾向にある。ヘテロセクシャルの人たちが家族やコミュニティとの絆を維持する一方で、LGBの人たちはそのような絆を維持するのが難しい、というのが大意です。

 僕の第一印象は、「さすがストーンウォール。アフリカ諸国やイスラム諸国と比べたら、イギリスはLGBをすでに普通に受け入れているじゃないか。これ以上、何を望むんだ」、と。
 他方、イギリスだけでなく北米、南米ではLGBを標的にした「Hate Crime」が急増しているとの報道が増えている昨今。僕が知らないだけで、LGBの人たちは社会から孤立しているのだろうか、と。

 で、前述の友人曰く、「宗教の存在は大きいのではないかな。日本では、宗教的な感情からLGBの人たちを憎悪するということは少ない」。イギリスで、最後まで同性間の性行為を犯罪としていた北アイルランドがそれを撤廃したのが1983年(84年?)。まだわずかに30余年。使い方は通常とは逆ですが、「コップの中の水はやっと半分になったのか、それともすでに半分まで満たされたのか」。

 この調査記事は、オブザーヴァの社会面に掲載されていました。同じ日のオブザーヴァの「資産特集面」に掲載されていたのが以下の統計記事。

Parents pay £34bn to support adult children
http://www.guardian.co.uk/money/2011/sep/10/parent-pay-support-adult-children

Although few parents have the wealth of Tony and Cherie Blair, who helped their son Euan buy a £1.3m home in 2010 and are reported to have bought similarly expensive homes for siblings Kathryn and Nicky, the research suggests that last year parents lent their grown-up offspring a collective £8.4bn for mortgage or rental deposits and payments, £3.5bn for home improvements and £2.2bn to pay off debts. Some 3.5 million parents have also helped pay their grandchildren's schooling or other expenses. More than £1.6bn has been lent or given for tuition fees and student living expenses in the past year.

The most cash (£11.4bn) was gifted or loaned to adult children between the ages of 35 and 39, although more than a million parents gave financial handouts to their children over the age of 45; an average of £2,437 each in loans and gifts. Parents have given a further 1.7 million adult-dependants in their early forties an average £1,882 each in the past 12 months.


 ここでもまた、長引く不況によりイギリス国内で、十分大人になっている子供たちの不動産ローンや借金の返済を支える親の世代が増えているというもの。老親がアダルト・オフスプリングを支えるために払った総計は、340億ポンド。
 言うは易しですが、親の世代と子供の世代の資産のギャップがどうしてここまで大きくなってしまったのか?家族が支えあうという意味では、親が子供を援助することは何一つ間違っていません。一つの世代が社会での役目を終えて次の世代が受け継ぎ、それにより社会が変わっていくというのが、おそらく、20世紀までに多くの人が信じ、実現させてきたことではないかと思います。確かに社会は変わってきています。でもその変化は、親の世代が希望したこと、子供の世代が思い描き、実現できると信じていた夢とはまるで正反対なものになりつつある。そしてその流れを戻すのは、とても難しいのではないかと考えます。

 ホモセクシャルの人たちは30年前と比べればずっと社会に溶け込んでいるように見える一方でコミュニティや家族から孤立を深める。他方、絆は保たれながらも「家族」を支えあう構図の中で世代間の役割が逆転してきている。多くの人が、各々の幸福を広く浅くほかの人たちと共有できる社会は、夢に過ぎないのかもしれません。

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Comment

- ハマちゃん

ストーンウォールの調査結果の中の
older gay and bisexual men are three times more likely to be single than heterosexual men.
という部分は、
LGBの方たちの、物理的な人数が、ヘテロセクシャルの人よりも少ないこと、
年齢が上がるにつれて生き残って行く人もまた少なくなって行くこと、を考えると

ごく当たり前のことなので、「調査結果」として書くことの意味がよく分かりませんでしたが

ポイントは「孤独になりがち」という話、ということなのでしょうね。

週に一回以上肉親に会っているLGBがヘテロより少ない、というのも、
それは肉親との物理的な距離次第で
LGBだろうがなかろうが、会えない人は会えないわけですが…
(私の主人は肉親と会うのは数ヶ月に一度)
不思議な「調査」だと思いました。

しかし、世界の中にはいまだに同性愛ということを理由に処刑されたりするところがあるのですね。
それが宗教に根ざした偏見であって、
それ故に日本ではそういう見方からの偏見は少ない、というのは、救いなのかな、と思いました。
(日本もまだカミングアウトし辛い状況であるにしても。)
2011.09.21 Wed 08:40 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 >LGBの方たちの、物理的な人数が、ヘテロセクシャルの人よりも少ないこと
 これについて、面白い(当の皆さんには面白くないかもしれないですが)話を件の友人から聞きました。
 ホモセクシャルが認められている、ある先進国の意識調査で、人口に占めるLGTBの人たちの割合はどれくらいか?、というのがあったそうです。
 誇張されているのかもしれないですが、「40%」くらいという回答が多かったそうです。それほどの割合だったら、世界の人口分布に大きなことが起きているだろうに。反面、それだけセクシャル・マイノリティの人たちのことは正しく理解されていないということでもあるのだと思います。

 本文で書いたことですが、ことイギリスに限れば北アイルランド以来の年数を考えれば、これからまだ変わっていくのではないかと思います。
2011.09.22 Thu 20:29 URL [ Edit ]

- ハマちゃん

40%だったら「マイノリティ」とは呼ばれませんよね。

「人生を共にしよう」と思える相手に出会うのは
ヘテロであって、数多くの異性に接触していても
なかなか難しいことなのに
(少なくとも、私にとっては恐ろしく難しく大変なことでした)

絶対数が少なければ、その中でそういう相手に巡り会えるかどうか、
巡り会えても、分かれることになってしまったり
歳を取って死別したりしたあと、
そうそう次の相手に巡り会うのは簡単ではないと思います。

数字とか割合だけの統計は、そこのところが抜けているような感じがするんですよね。
2011.09.23 Fri 08:01 URL [ Edit ]

- ハマちゃん

再投稿すみません、
掃除しながら考えたんですが

LGTBの割合が40%というのは、あながちあり得なくもないと思い直しました。

同性愛、だけに限れば40%は非現実的に思えますが
バイセクシャルの人は、異性と付き合っている/結婚している人も多い訳で。

トランスの人でも、
外見「女性」、中身「男性」、その上で男性が好き、という人がいて
その場合、ごく普通に「女性が男性と付き合ってる」としか見えませんしね。
2011.09.23 Fri 09:30 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 仰るように、数字と割合というのは調査を主導する側の恣意が入ってくることがあるから、何かが過剰だったり、反対に少なすぎるということはありえるでしょうね。

 セクシャリティの調査ほど難しい調査は他にないのではないかと思います。僕個人の考えでは、40%なんて数字ありえないと思いますが、かといって正確な数字はどこにもないのが現状だと思います。
 
 カウンセリングの一環で、ジェンダァやセクシャリティに関するワークショップに参加したいと思っているのですが、かなり意外なんですが、ロンドンでもそれほど数があるわけではないので、もっと取り組まれるべきトピックだろうと考えています。
2011.09.24 Sat 21:45 URL [ Edit ]

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