LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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ロイヤル・バレエ:トリプル・ビル

2011.10.16
今週12日と14日、ロイヤル・バレエの最初のトリプル・ビルを観てきました。ロイヤル・オペラ・ハウスのチケットが、偽造防止の加工が施されていたのには驚きましたが、以前のものより「特別」という感じがあって、僕は好きです。

 今回のトリプル・ビルは、現常任振付家のウェイン・マックグレガー、そしてロイヤル・バレエといえばのフレデリック・アシュトンとケネス・マクミラン、それぞれの作品を一つづつという構成。来月のトリプルでは、現役ダンサーのリアム・スカーレットの作品とアシュトン、そしてマクミランという構成になっているのでロイヤル・バレエの過去と現在、そして未来の方向性の対比を狙っているのかな、とも考えられます。すでにご覧になられた皆さんが詳しい感想を書かれています。

http://miklos.asablo.jp/blog/2011/10/08/6154164

http://voyage2art.exblog.jp/13817571/

 幕開けはマックグレガーの作品。初演のときはそれなりに楽しんだのですが(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1114.html)、「世界初演」という冠が取れてしまったのと、次々に新しい作品を発表するマックグレガーには常に何か「新しいもの」を期待してしまっているようで、振り付けが発するであろうパワーを感じることはありませんでした。個々のダンサーの技量、例えば、先月上演されたカフカの「変身」を題材にした現代作品で絶賛されたエドワード・ワトソンや、若いダンサーにぶんぶん振り回されても涼しげな表情を全く崩さないリアン・ベンジャミンには瞠目させられましたが、それを超える何かを感じることはなかったです。

 12日と14日だけ観に行ったのは、セナイダ・ヤナウスキィがアシュトンの「マルグリーテとアルマン」でロール・デビュウを果たしたからです。それに、彼女の年齢や、来年これがプログラムに入らなければ、おそらくヤナウスキィがこの役を踊るのは今回が最初で最後だろうとの邪推もありました。
 期待を抱いて観た初回の12日は、正直なところ、マルグリーテの命が燃え尽きる最後の場面でやっと舞台に惹きこまれました。ひとえに、シルヴィ・ギエムの影を追ってしまった僕の問題です。ギエムが2000年に踊ったときでさえ確か1回しか観なかったはず(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-3.html、なんて拙い)ですし、そのあとの再演でもやはり1回だけ。にもかかわらず、「これはギエムの作品」と思い込んでいたから。そのねじれた思い込みをほぐすには、12日のヤナウスキィの演技はやけにあっさりしたものに感じました。
 14日は、初回に見落としていたヤナウスキィの役への解釈をしっかり見ることができたので、彼女がマルグリーテという女性をどう考えたのかが振り付けと合致し素晴らしい舞台でした。とりわけ今で鮮明に心に残っている場面があります。アルマンの父から別れることを強要されたマルグリーテが、デュークから送られたであろう豪華なネックレスをしてサロンで男性に囲まれている場面。
 実情を知らないアルマンは、怒りに我を忘れてサロンに乗り込み、マルグリーテをなじる。アルマンは引きちぎろうとマルグリーテのネックレスに手をかける。そのときマルグリーテの表情は、一瞬、歓喜に輝きました。伸ばされた手に和解を見たのか、それとも自由をみたのか。が、アルマンはネックレスを力任せに引きちぎり、マルグリーテを床に突き放す。一瞬の喜びの高まり、そのあとにもう何も元には戻らないと悟った静かな表情の対比には、物語バレエの真髄は今でもロイヤル・バレエの中にあることを確信するほどでした。
 
 14日は観ないで帰宅してしまったのですが、12日のクライマックスはマクミランの「レクイエム」でした。あえて言うなら、リアン・ベンジャミンの存在。小柄な体格ももちろん幸いしているのですが、「Pie Jesu」でソロを踊るベンジャミンからは、亡くなったクランコにマクミランが伝えたかったであろう想いが完璧に表現されていたように思います。
 もう一つ、「レクイエム」で個人的に嬉しかったのは、ファースト・ソロイストのダンサーたちを沢山見られたこと。現在このランクには、華やかさにはいささか欠けるものの、ヴェテラン・ダンサーが多くいます。自分たちに求められている踊りをしっかりと理解している彼らがいなければ、あの統一感は生み出されなかったのではないかと思います。

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