LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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インタヴュウ:シルヴィ・ギエム

2011.07.08
*著作権等すべての権利は共同通信社に帰属します。

仕事を失うリスクを冒しても、プロフェッショナルのジャーナリストがしてはならないことをしているとわかっていても、ギエムが語ってくれた日本への想いを僕一人の胸の中に留めて置かないで多くの人に知ってもらうことは、仕事を失うことよりもずっと大切なことだから。なので、引用・転載は絶対にしないでください


「東日本大震災を知ったときの、最初の反応は?」
東日本大震災が発生した3月11日、私たちはロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で今回の公演(6000miles away)のリハーサルを進めていました。リハーサル・ルームにはインターネットのアクセスがあるので、コンピューターのスクリーンに次々と映し出される地震と、それに続く津波の被害の状況には言葉で言い表せない衝撃を受け、悲しみでいっぱいでした。
 最初の衝撃のあとすぐに考えたのは、地震が発生した地方にいる知人、そして私のサイトにアクセスしてくれていた、東北地方にいるファンの皆さんの安否です。永遠に続くかと思える被害の映像は私の想像をはるかに超えるものでした。私はこれまでに仙台を何度も訪れています。目の前でその仙台が破壊されていくのを見ているのは本当に悲しいことでした。

 私は何度も日本を訪れているからこそ、地震がおきることも良く知っています。でも、そのことを知らないほかの国の人は、「どうして(日本人は)日本を離れないんだ?」といっているのを何度も聞いたことがあります。だって、日本は皆さんの国なのですから。
 今回の自然災害への日本人の対応は素晴らしいと思います。が、同時に私は原子力発電所の危機への対応には怒っています。
 自然災害へ人類ができることは限られているかもしれない。でも、少なくとも、原子力発電所の事故に対しては、私たちは責任を負うべきです。


「政治的な発言をすることは平気なんですか?」
 Non、これは政治の問題ではありません、human issueです。政治家やいくつかの企業はまるでお金と権力だけに突き動かされていて、変わることはないかもしれません。でも、私たちは考えることができるし、この震災の後では今までとは違う新しいことを生み出すべきではないかと考えています。
 私には子供がいません。私自身、(原子力発電による)最悪の事態を見ることはないかもしれない。でも、私たちより若い世代、次の世代は私たちが政治的に、そして経済的に正しいと思ってやってきたことによる最悪の事態を見るかもしれない。彼らのことを考えるのは政治的なことではないです。私たちの課題です。


「いち早く日本への支援チャリティを実現させただけでなく、今も継続的に日本への支援を続けているのはどうしてか?」
 (パリ・オペラ座バレエ学校に在籍していた)15歳のとき、初めて日本を訪れました。それ以来、毎年少なくとも1回、年に三回以上訪れたこともあります。訪れるたびに、新しい発見があります。私は日本が、そしてそこで暮らす皆さんが大好きです。今回の大災害で、多くの人がすべてを失ったにもかかわらず、声高に助けを求めずにいる姿には深く衝き動かされています。
 私だけでなく、ほかにも多くの人が日本への支援を続けています。一方で、こんな意見があります。「日本は裕福な国なのだから、彼らはわれわれのサポートは必要ないだろう」、と。
 多くの人が家族を、思い出を、住んでいた場所を失いました、これから何年にもわたってもとの場所に戻れることはないでしょう。そんな状況で、「日本は裕福な国だから」というのは何の意味もありません。いまだに多くの人が厳しい環境にいるのです。原子力発電所の事故もいまだに解決策が見えません。
 だからこそ、私は日本への支援を続けたいのです。初めて日本を訪れて以来、日本の隅々まで行きました。訪れるたびに日本を知ることは大きな喜びです。


「あなたと日本との間の絆は、どのようなものなのでしょうか?」
 常に幸せなものです。難しいことなんてないです。でも、一つあるかな。それは日本語を話せるようにずっと努力しているのだけど、私はまだしゃべることができないこと。日本のように私が大好きな国へ行って、そこの言葉を話せないと、どうしても距離ができてしまいます。言葉を学ぶことって、人と人の間のコミュニケイションですから。
 もちろん、貴方が言うように私はダンスやバレエでコミュニケイションができる。今回、日本でも踊る予定の二つの新作はとても強いもの。マッツ・エクの「Bye」はエモーショナルなものだし、私は新しい始まりを示していると思います。また、ウィリアム・フォーサイスの「Rearray」は生きていくことへの意思を表しています。今年の秋に日本でこの2作品を踊るとき、何かを伝えたいと思っています。
 いま、東北地方でも公演ができるかどうかを検討しているのよ(インタヴューは7月8日、ロンドンで)。


「日本公演の話を聞いていると、放射線への恐怖がないように感じるのですが? It seems that you are not afraid of radiation.」
 Yes, I am, yes, I am. もちろん、私は放射線を恐れています。恐れていますが、私は日本に行きたいのです。もしかしたら危険が伴うことなのかもしれません。でも、それと向き合わなければ。私は、私自身が勇敢だなんて思っていませんし、(放射線の危険性に)戸惑ってもいます。でも、最悪なことは、その状況から目をそらしてしまうこと。
 ええ、放射線は怖いです。でも、日本の皆さんのために、私は日本に行きます。だって、人々はそこで暮らしているのですから。


「パリやロンドンでのチャリティ公演を通して感じられたことは?」
 チャリティ公演でも、私にとってパフォーマンスはパフォーマンス。いつも私が舞台でできることに集中します。もちろん、私の心の中では、チャリティ公演が日本の皆さんのためであるという意思に揺らぎはありません。
 パリの公演は多くのアーティストが参加し大成功でした。ロンドンでもすぐにと思ったのですが、ロンドンは手配が煩雑でそれなら休養日をチャリティ公演にと思いついたんです。共演者やサドラーズ・ウェルズ劇場もすぐに賛同してくれました。日本支援のチャリティ公演を通して私が個人的に伝えられたらと思っているのは、この困難な状況を通して、新しい生き方を見つける、考えるということです。例えば原子力発電に頼らないという選択。
 私自身、新しい変化を受け入れることにためらいはありません。変化することはとてもエキサイティングなことですから。
 日本は地理的に大きな国ではないですが、これまで沢山の変化を生み出してきた国。もし、これからの時代に変化を恐れない国が一つだけというのであれば、私はそれは日本かもしれないと思っています。

 いま、私は山間部に住んでいます。日常生活で使う電力や水には細心の注意を払わなければなりません。限られた資源をどのように使うかという生活の中で、最近、ハイブリッド車を購入しました。日本が好きだからという理由ではなくて、いろいろ比較検討した結果、日本のハイブリッド車に決めました。本当に快適ですよ。



 インタヴュウ中、何度も涙がこみ上げてきた。でも、ギエムの想いを日本に伝えたくて奥歯を噛み締めてなんとか堪えた。多くのインタヴュウを経験してきたけど、シルヴィ・ギエムへのインタヴュウはジャーナリストとして、そして一人の日本人として決して忘れない。

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