LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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Men in Motion@サドラーズ・ウェルズ

2012.01.29
バレエ・ファン、さらに言えばロイヤル・バレエ・ファン以外の人にとっては何の意味もないニュースかもしれませんが、今週、ロイヤル・バレエの男性プリンシパル・ダンサーの去就が全国紙を数日に渡ってにぎわせました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1547.html

 大げさでなく、イギリスバレエ界に久しぶりに現れた若き天才ダンサーの離脱というだけでなく、彼の知られざる面が浮き彫りになって新聞にとってはうってつけのトピックだったのかもしれないです。

 このようなことが起こるとは思っていなかったときにチケットを購入しておいた今回の公演では、まさかロイヤル・バレエのダンサーが観に来るとは思っていなかったのですが、28日には、プリンシパル・ダンサーのキッシュと、プリンシパル・コーチのロシア人男性が観に来ていました。
 で、機会を捉えてキッシュと話してみたのですが、

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1548.html

彼の歯切れの悪さから、ポルーニンの近くにいたダンサーでさえどうしてこのようなことになってしまったのかわからない、という印象を持ちました。

 公演自体の感想を簡単に。サドラーズはチケット購入者にリマインダー・メイルを送ってきます。今回受け取ったメイルにはこうありました。

Due to issues with visas, some of the advertised artists will now not be appearing. The full cast will include Ivan Putrov, Sergei Polunin, Igor Kolb, Daniel Proietto, Elena Glurdjidze and Aaron Sillis.

The programme will be Folkine's Le Spectre de la Rose, a solo from Goleizosky's Narcisse, a new work called Ithaca with set design by Turner Prize nominated artist Gary Hume, Gluck's Dance of the Blessed Spirits and Russell Maliphant's AfterLight (Part One).


 こんなことはイギリスではもはや日常茶飯事(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1442.html)とはいえ、ボリショイのメルクリエフが来られなくなったからでしょう、当初予定されていたナチョ・デュアト振り付けの「REMANSO」が削られてしまったのが残念でした。これ、故ロス・ストレットンがロイヤル・バレエの監督だったときに上演されたのを観たことがあるのですが、以来、ロンドンでは観たことがなく楽しみにしていました。それにしても、マリインスキィのダンサーにヴィザが下りて、ボリショイが駄目という理由が全くわかりません。

Former Royal Ballet Principal, Ivan Putrov, presents an evening of works exploring the beauty of the male form in motion. Joining him onstage will be Royal Ballet sensation Sergei Polunin, Mariinsky Ballet Principal Igor Kolb, Critics’ Circle Award-winner Daniel Proietto, English National Ballet Senior Principal Elena Glurdjidze and South Bank Show Breakthrough Artist award-winner Aaron Sillis.

Accompanied by a live orchestra conducted by Richard Vernas, the evening will include Fokine’s legendary Le Spectre de la Rose, a solo fromGoleizovsky’s Narcisse danced by Polunin and Ithaca, a new work with set design by Turner Prize-nominated artist Gary Hume.

Continuing the theme is Gluck’s beautiful Dance of the Blessed Spirits. Originally choreographed by Ashton on Sir Anthony Dowell, it will be taught to Putrov by Sir Anthony; marking its first appearance in the UK for over 30 years. Completing the line-up is Russell Maliphant’s masterpiece, the Olivier Award nominated AfterLight (Part One).

(サドラーズのウェブから引用)


Le Spectre de la Rose (Igor Kolb, Elena Glurdjidze)
 バレエ・リュスを語るときには絶対に出てくるこの演目。実際に観るのはおそらく今回で5回程度ですが、最も酷いできでした。薔薇を踊ったコルプから色気も何も感じることができず、終わる頃には、「この振り付け、誰も彼もが素晴らしいというけど、素晴らしいと感じたことがない。もしかして、あまりに伝説過ぎて否定する勇気がもてないから、否定することが許されない雰囲気を批評家とバレエ・ファンが結託して作り上げているから、みんな誉めているだけなんじゃないのか?」、という感想しかもてないほど退屈でした。

Narcisse (Sergei Polunin)
 実際の彼の性格は本当に悪ガキなのかも知れないですが、舞台上の存在感は、「歴史を見ている」と感じるほどでした。特に跳躍では、勢いをつけての跳躍は言うに及ばず、その場で垂直に飛び上がるときの全く力みを見せずに、誰よりも高い位置に飛翔できる身体能力と、その飛翔する姿にため息が出るほどの美しさに、ポルーニンがこれでバレエを止めてしまったら、それは大きな損失だと思います。クライマックスに差し掛かる中盤で、後方から前方に向けて舞台を斜めに駆け抜けるときに見せた3連続跳躍・回転のコンビネイションでは、もしかして本当に浮いているのかというほど、美しいシークゥエンスでした。
 この踊りの演奏はピアノのみ。オーケストラのメンバー数人が指揮者代に座り込んでポルーニンの踊りを見ていました。ピアノは、フィリップ・ギャモンさん。円熟の演奏でした。
 
 ポルーニンの去就と、彼とロイヤル・バレエの関係については、ガーディアン紙のクリティクのジュディス女史が書いているようにロイヤル側のほうにもっと懐の深さを見せて欲しい。人事のごたごたがあるたびにメイソン監督はだんまりを決め込んでしまう傾向にあるように見受けられます。5年前に監督にインタヴューしたときは、時間があっという間に過ぎてしまうほど楽しいものでした。

http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london0704a.html
(過去の仕事は全く読まないようにしているので、久しぶりに読んでみたら、自分の仕事にもかかわらず読みふけってしまった)

 バレエへの情熱、そしてカンパニーへの愛情の深さにおいては最高の人。でも、人事面については必ずしも優れているのではないのかな、と今回も感じています。

Dance of the Blessed Spirits (Ivan Putrov)
 当初は、これが観たくてチケットを購入しました。イギリスですら過去数十年、上演されなかったアシュトンの珍しい振り付け。踊ったプトロフを指導したアンソニィ・ダウエル卿に振付けられたということでとても洗練された、しかも繊細な振り付け。プトロフも上手に踊っていたとは思うのですが、ポルーニンの後では分が悪かったです。

AfterLight (Part One) (Daniel Proietto)
 隣に座っていた初老の男性は熟睡していました。が、これは何度観ても傑作。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1144.html

会場であったブログ仲間のvoyager2artさんが書かれている、観る人によって多様な解釈を許すというのは的確に作品を評していると思います。

http://voyage2art.exblog.jp/14549541/

 プロイエットは、2月、文化村のダンス公演(http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1446.html)に出演予定。ロンドン初演のときと同じポジションであれば、彼の素晴らしい身体能力は舞台が始まってすぐに観ることができるはずです。僕にとって、マリファントの作品はあまりはずれがありません。2月5日には、今年の10月にサドラーズで正式上演予定の、ロダンの彫刻に触発されたマリファントの新作の「製作過程」の舞台を観にいく予定です。

Ithaka (Ivan Putrov, Elena Glurdjidze, Aaron Sillis)
 始まってすぐのプトロフのソロ・パートは良かったのですが、最後は盛り上がりに欠け、尻すぼみの印象が強いままで終わってしまいました。

 いろいろ、本来の目的ではなかったスキャンダルでより注目されてしまったプログラムですが、男性バレエ・ダンサーの地位が上がるきっかけになるであろう舞台。サドラーズにとっても、ダンサーにとっても続ける意味はあるものだと思います。

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