LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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パンク歌手の決断と寄せられた言葉:トランス・ジェンダー

2012.05.12
今週、ロッキング・オンのウェブで「アゲインスト・ミー!のトム・ゲーブルの性転換をガスライト・アンセムらが応援 」というニュースを読んだ。

 先に進む前に。僕がどうしてトランス・ジェンダーのことに関心を持ち始めたかを知ってもらうために、まずこの二つを読んでみてください。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-50.html

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1316.html


 まず、アゲインスト・ミーと言うバンドも、ガスライト・アンセムというバンドも全く知らない。記事の最初の方で書かれているように、ロックやパンクの中でトランス・ジェンダーの話題は確かに聞いたことが無かったので、何とも言いようのない感慨がわいてきた。

アゲインスト・ミー!のトム・ゲーブルの性転換をガスライト・アンセムらが応援
http://ro69.jp/news/detail/67633

 トム・ゲイブルがどれほどのサポートを、そしてどれほどのいわれの無い中書を受けて、またこれから受けるかは本人も全く判らないことだと思う。彼女が望むことが実現することを。

 考えさせられるのはガスライト・アンセムからのメッセイジ。

「するとトムはこれからローラになるんだね……しかし、2012年にもなって今もインターネットで他人の人生にケチをつけてはその人の人生における選択を理由にその人を貶めたり、敵意を露わにする人がいるとはね。こうしたことを経験し、結局、平穏をえられず、自殺してしまう人たちについてどう考えているんだろう? そうなってしまう方が今度のトムの決意よりまともだと思う? あるいは逃避からものすごいドラッグ中毒になって自分の人生も家庭もめちゃくちゃにする方がましかな?」

「たとえば、トムをそっとしておいてあげるという選択はどんなものだろう? あんたの偏見や意見などとは無関係に他人にはその人なりの人生の選択をしてもらうというのはどうだろう? これは人が要求される決断のなかでも最も大変なもののひとつだよ。ぼくのごく貧弱な知識を合わせても、それでもトムは生まれたその瞬間から自分がずっと間違った存在として生かされてきたという思いを味わってきたいうことを意味するからね。これはぼくたちの99パーセントが理解できないことでもあるんだ。あんたが賛成しようがしまいが、これはあんたの人生じゃないんだよ

http://ro69.jp/から引用)

 原文がどのように表現されているのかは判らないが、「性転換」や「性同一障害」という言葉の上っ面に踊らされてトランス・ジェンダーに唾棄することを喜びとしている人は最後の部分、

あんたが賛成しようがしまいが、これはあんたの人生じゃないんだよ

 を考えてみてはどうだろう。本人だけではない、これまで関係のあった家族や友人たちにとっても、予想のできない衝撃があるはず。そんなときに、全く関係のない、蚊帳の外にいる人々による心ない言葉ほど、悲しいものは無いと思う。

 何を言ってるのだか判らないというのであれば、このたとえはどうだろう。どうして地震が起こると判っているのに、日本人は日本に住み続けるのかと、日本に住んだことの無い人に言われたらどう思うだろう。昨年の夏、シルヴィ・ギエムに東日本大震災について彼女の想いを聞く機会があった。その冒頭で彼女はこういった。

私は何度も日本を訪れているからこそ、地震がおきることも良く知っています。でも、そのことを知らないほかの国の人は、「どうして(日本人は)日本を離れないんだ?」といっているのを何度も聞いたことがあります。だって、日本は皆さんの国なのですから。

 トランス・ジェンダーの人に「どうして性別をかえなければならないんですか?」という質問は、「どうして日本を離れないんですか?」と根は同じだと僕は思う。

 あなたの隣にいる人はあなたではない。全く別の個人。その人があなたと違うことにどうしてあなたが口出ししなければならないんですか?頼まれたのですか?何か被害があるんですか?

 セクシャリティだけではない。異文化、異人種、または同じ国の中でも習慣の違いで偏見や差別が起きることは、僕が自分の心の中に抱える偏見を考えれば普通のことだと思う。自分の中の偏見から自由な人なんてごく少数だろう。

 僕が自分の生き方を模索する自由があるように、図らずもトランス・ジェンダーというラベルを背負ってしまった人々にも彼ら・彼女たちの人生を全うする自由がある。自分と他者が違うことはごく自然なことであり、他方、その違いを受け入れることが時にとても難しいことも普通のことだと思う。
 
 人々を区別する「ラベル」によって、「違い」があることを受け止めることができないなら、余計な口出しはするな、ということをガスライト・アンセムのメッセイジから考えている。違いを「理解しなければならない」という強制ではなく、その違いがあることを「アクセプト」することは、セクシャリティや文化の差を理解するための出発点ではないかと思う。

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Comment

- ハマちゃん

この秀逸なポストを、なぜ見逃していたのか!と思ったら、一時帰国中のポストでした。

全く全く、例えの部分といい、
大きな青文字で書かれた部分といい、
分かり易く、伝わり易いメッセージになっている名文だと思いました。
受け入れられないのなら、口出しはしないという最低のラインだけは守ろう!ですね。

(ドパルデューの記事を読んでて、その下に関連記事で出ていたので見つけました。)
2013.01.14 Mon 11:37 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

このことは、イギリスでもかなり注目を集めたようで、このポストを書いたあとにガーディアンがインタヴューを掲載しました。

Laura Jane Grace: 'So I'm a transsexual and this is what's happening'
http://www.guardian.co.uk/music/2012/jul/22/laura-jane-grace-transsexual

 僕はこのインタヴューを読んで、バンド名の意味がやっと判りました。「自分に反対する」、これだけで彼女の苦悩の大きさを感じます。

 「ラベル」は便利ですが、他方、人の自由を奪うと感じます。
2013.01.16 Wed 06:19 URL [ Edit ]

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