LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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ロンドン・メトロポリタン大学のその後と、欧州の大学へ進むイギリス人学生

2012.09.23
昨日、9月22日は、イギリスの初秋の美しさが輝いた一日でした。この素晴らしい天気を無駄にしてなるものかと、キュー・ガーデンズへ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157631596039340/

 今日からは、台風並みに強力な低気圧が来襲し、イングランドの天気は大荒れです。

 8月下旬、日本だけでなく多くの国で報道された、ロンドン・メトロポリタン大学から非EU圏からの留学生への学生ヴィザ発行の免許をイギリス国境局が剥奪したニュース。新規の留学生だけでなく、まじめに学業を全うしている在学生の留学資格まで剥奪される事態になりました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1754.html

 ロンドン・メトが司法に訴えて以降、状況がどうなっているのか気になっていました。週末、BBCのラジオ・ニュースで、裁判所が在校生、そして今年の入学が決まっている学生はそのまま勉強を続けられることが認められたとのこと。

London Metropolitan University: temporary reprieve for students
http://www.bbc.co.uk/news/education-19663108

London Metropolitan University has been given permission to challenge a ban on its recruitment of overseas students.

The High Court also ruled that existing students with full immigration status should be allowed to continue their studies for now.


 司法関係の報道は、事実関係がよくわからないのですが、現在の状況は、ロンドン・メトロポリタン大学が、イギリス国境局がヴィザ発行免許を剥奪したことへの提訴を裁判所が認め、その間、在校生はそのまま勉強を続けられるということだと思います。
 免許剥奪が撤回されたのではなく、とりあえず学生が陥った難しい状況は打開しよう、ということでしょう。と言うことで、ロンドン・メトが2013年以降、非EU圏からの学生を受け入れられるかどうかは、不透明のままです。

Third year London Met student Donna Marie Winstanley, from Hong Kong, told the BBC News website she was pleased by the ruling.

"It's really good," she said.

"I have not applied to any other universities. I had a feeling that the university was going to win the case. Most of my classmates have already applied. I didn't want to pay any more money. I had already paid £16,000 in fees for my first two years."

Third year computer science student Ashiqur Rahman from Bangladesh said: "I am very happy if it's true that I can continue my studies at the university, but I am waiting for confirmation".

The National Union of Students has welcomed the ruling. It says the case has huge implications for international students in the UK and others thinking about coming to Britain to study and had asked to give evidence in the case.


 インタヴューに答えている香港とバングラデシュからの留学生のように、他の大学への移籍を実行に移していなかった学生には朗報でしょう。しかしながら、既に移籍先を見つけ、仮にその新しい受け入れ大学がロンドン以外の場所にあるという学生の皆さんは、予想外、且つ高額な出費を既にしていることも考えられるので、この救済措置もまた、完全に留学生の助けにはならないこともあるかと思います。

 ご存知の方もいると思いますが、イギリスの大学は、2012年9月から授業料が昨年より3倍弱、最高額£9000−までになりました。また、今年の夏は、大学入試資格試験のAレヴェル試験や、義務教育修了試験のGCSEで、特に英語力、英文学試験の採点が急に厳しくなり、合格と予想していた多くの学生が必要な点数に到達できなかった不公平感が大きな議論になり、イギリスの教育関係者、学生、そして家族にとってはとても難しい夏になりました。

 イギリス人の学生にとって、年間£9000−の学費は、即卒業時に抱える負債になります。イギリス人学生(それとEU圏からの留学生もかな)は学生ローンを申し込めますが、これはあくまで「ローン」。今回の大幅な学費値上げの救済措置として、連立政権は、ローン返済の条件をほんの少しだけ緩和しましたが、学生が抱えるであろう卒業時の「負債」額は、大幅に増えます。大学に進み、卒業することは今の学生にとっては、社会に出る前に既に数万ポンドの「負債」を抱えむこと。卒業しても、16歳から24歳の若年層の就職率が向上しない現在、社会に出る前に返済がいつ終わるかも判らない「負債」を抱えることに大きな不安を感じる学生は多いです。そのような状況で、イギリスの大学に進学するのをやめて、金銭的に負担の少ないEU圏内の大学へ進学するイギリス人学生が増えているという報道がありました。

Save £25,000 at university and join the 'tuition fee refugees'
http://www.guardian.co.uk/money/2012/aug/17/save-25000-university-tuition-fee-refugees

 記事の冒頭部分で書かれているように、大学卒業時に5万ポンドの負債を持つことになるというのは、少しでも今の社会状況を理解している学生であれば、大学進学を手放しで喜ぶことはできないでしょう。また、もはや21世紀の貧困層である「中流家庭」ではこの負債をサポートすることはかなり難しいのではないかと推察します。

 記事の中では、学費の安さを理由に欧州の大学に留学することは意味がないと強調されています。例えば、多くのコースが英語で進められるオランダのフローニンゲン大学では、初年度を乗り越えるためには猛勉強が要求されるようです。

British 18-year-olds are fleeing the prospect of a £50,000 bill for studying at home – and finding they can save as much as £25,000 over three years by studying abroad as well as enjoying a life-changing experience.

In Denmark, tuition fees for students from within the EU are zero. In the Netherlands, they are around €1,700 a year (£1,330), and it's even possible to access Dutch state grants worth around €500 (£390) a month (see page 5). Irish institutions such as Trinity and UCD, ranked among the top universities in Europe, charge just €2,250 a year (£1,760) to EU citizens.

It has also emerged that a significant number of UK students have applied to universities in the EU as an "insurance" against failing to achieve the grades they want and having to go through clearing. Many British "Russell group" universities now demand A-level scores of AAB and above, while similarly-ranked Dutch universities accept lower grades – though they are much tougher (almost brutal, say some) about weeding out underperforming students in their first term.

"It's not exactly a flood of students fleeing the new tuition fees in Britain, but we are seeing much more interest," says Mark Huntington, who runs astarfuture.co.uk, which has since 2006 offered a free advisory service to British students and parents considering higher education opportunities abroad. There are now more than 1,200 degree courses in Europe (not including Ireland) taught entirely in English, while in the Netherlands alone 20 universities are teaching in English.

"The overall cost of a three-year course in Holland, taking in tuition fees, accommodation and living costs, will be around £24,000 compared with the £50,000 or so it now costs in the UK," says Huntington. But, as he warns on his website, "we don't believe you should go abroad just to save money and there are lots of other reasons why studying abroad is a good idea.


 日本の大学を20世紀に卒業した僕とは、環境も条件も全く違うので比較することは意味がないとは思います。が、大学で勉強するということは、社会に出る前に、脳が柔軟なうちにたくさんの知識と経験を積める貴重な時間。そんなときに、入学と同時にローンを抱え、そのローンの返済完了が見えない今のイギリス人学生の苦境には同情を抱かざるを得ません。

 日本では子供の数が減少し、選ばなければだいたい大学に入れる時代だそうで。目的なしに留学をすることは勧めませんし、イギリスの大学へどうぞとも言えないです。でも、太平洋を通してつながるオーストラリアやニュー・ジーランドへ留学してみるのも競争を勝ち抜く経験をする点で、考慮しても良いのではないかと根拠もなく考えます。

[追記:9月24日]
 いただいたコメントへの返信を書いている途中で、切り抜いておいた記事を思い出しました。

Cambridge rejects call for universities to admit poorer students with lower grades
http://www.telegraph.co.uk/education/educationnews/9530337/Cambridge-rejects-call-for-universities-to-admit-poorer-students-with-lower-grades.html

 要点を短くすると、オックスブリッジ等の上位校は、大学側が要求する合格点に足りない、社会的に買いにある家庭の学生をもっと合格させるべきだという批判に対し、合格点に達していない学生を合格させるのは、「落第」させることに目をつぶってしまうことで学生に公正でない、と反論しているというもの。

The university said it would resist pressure to make "adjusted offers" to working-class candidates.

The institution's outgoing admissions director even warned that such a move would be a "cruel experiment that could ruin lives".

Geoff Parks, who has led the Cambridge admissions office for the past ten years, said that students who have failed to achieve top A-level results could flounder in the academic hot house of the university and be doomed to failure.


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Comment

英語で教えるオランダの大学 - レイネ

ロンドン・メトの学生に対する暫定措置のニュースに、人事ながら胸をなでおろしました。

オランダの大学へのイギリス人学生流入は、昨年度から始まってます。マーストリヒト大学とフローニンヘン大学では、この10年くらい全て英語で教える学科(医学部・法学部などではオランダ語のみ)での国際化が進み、特にマーストリヒトの場合、経済や経営などの学科ではドイツ人学生だけでも過半数を占めるほど。そこにイギリス人学生が流入しても不思議はありません。
リンクされたガーディアンの記事を読むと、なるほどと思えます。イギリスの大学に比べたら授業料は安いし、奨学金は誰でも貰えますから。
でも、今年から次男も大学に進んだので、親にとっては家賃などの負担は重荷です。フローニンヘンもマーストリヒトも大都市ではないし郊外なら安いアパートも見つかるでしょうが、オランダの物価はロンドン並みかそれ以上に高いです。
外国人学生に対する入学基準は、オランダ人よりも緩い印象を受けます。人数制限がある学科では、オランダ人の場合、大学入学統一試験の点数が10段階で平均8以上でないと入学許可されません。オランダでは一般に採点基準が厳しいので、なかなか取れないんです。だから、入学してみて(進級)試験が厳しいのにびっくりする外国人学生が多いのです。なかなかAなんてくれませんから。そして、一年目にふるいにかけばさばさと落とすのが基本なのです。入学後半年が勝負で、勉強についていけるかどうかのふるいにかけられ、無理そうな学生はクリスマスまでに引導を渡されるんです。だから、遊んでる暇はありません。長男は、初年で必要な単位を一年間で全て取得したのでpropedeuseというディプロマを貰え、大学には親も招かれて盛大に(まるで卒業式並み)祝われたくらいです。
2012.09.23 Sun 18:31 URL [ Edit ]

- 守屋

レイネ さん

 今年の夏、イギリスでは「教育」が生徒・学生をいじめているのではという印象を何度も持ちました。

 以前いただいたコメントで、オランダが「世界の商人として生きる道を選んだ」ということを仰っていたのを思い出しました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1277.html

 オランダの大学での進級試験が厳しいのは、この覚悟に通じるのかなと考えています。イギリスでもオックスブリッジや上位校では、単にクラスに出席しているだけでは進級できないという話を聞いたことがあります。

 就職するために大学には行かなければではなく、何を習得するために大学に行くのかということに、イギリス人の学生もイギリス社会も目を向けるべきではと感じます。
2012.09.24 Mon 05:33 URL [ Edit ]

大学は厳しい - レイネ

コメント追加です。
一年でpropedeuseディプロマが取得できた学生(つまり、進級試験合格者)数は、長男のデルフト工科大学では25%弱でした。だから、親もランチ付きの式典および記念レクチャーに招かれたりして、その成果のご褒美がもらえたくらいのもので。
また、主人は大昔、大学入学式で聞かされた学部長のスピーチの「新入生諸君、自分の左右隣に座っている人を見てください。この人たちは、一年後にはもういないはずです。」というセンテンスを今でも憶えているそうです。
大学の授業料が安いというのは、国家による負担が相当多いということなので、その期待に応えず勉強に励まない学生はどんどん追い出されるし、昨年からは、学部を正規の3年で卒業できない場合には罰金を科すという議案が何度も国会に上がりました。
オランダは学歴社会というより資格社会で、ディプロマがとても重要なのです。
2012.09.24 Mon 06:16 URL [ Edit ]

- 守屋

レイネ さん

 ご主人たちへ向けての言葉、すごいですね。日本やイギリスでは遭遇できないであろう、というかこのような発言をするとバッシングに遭いそうな言葉に、背筋が伸びました。

 コメントを読んで真っ先に考えたのは、教育事情は国によって全く違うようですね。だからこそ、自国にはない教育を求めて外国に留学することもまた、学生の特権ではないかと思います。

>ディプロマがとても重要なのです
 これは、イギリスも同じだと思います。僕がかかわっている分野でも、ディプロマがあるかないかで待遇に雲泥の差がつくことがありますから。
2012.09.24 Mon 20:27 URL [ Edit ]

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