LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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Vollmond by Wuppertal @サドラーズ・ウェルズ

2013.02.24
寒さはまだまだ続いていますが、日照時間がどんどん長くなって来ているロンドン。春はもうすぐと信じたいです。

 2月22日に、サドラーズ・ウェルズでダンツテアター・ヴッパタールによる「Vollmond (Full Moon)」を観てきました。

 昨年の「World Cities 2012」の成功を機に、サドラーズとヴッパタールの間で、今シーズンから毎年、数作品を上演していくことになったそうです。その一回目は、ともにロンドン初演だったらしい、「Two cigarettes in the dark」と「満月」。タバコの方はどうやら踊りが少ないらしいとの情報を得ていたのでパス。「満月」は、ヴィム・ヴェンダースによるピナ・バウシュを追った映画で大きく取り上げられたとのことで人気が高く、発売数日後には売り切れとなる人気ぶりでした。

 昨年ロンドンで上演された舞台はすべて世界の都市に触発されて創作された物で舞台の世界には入りやすかったと思います。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1679.html

 今回の「満月」は、情報なしで臨みました。感想は、「狂騒」と「水」。僕が言葉で書き表せることが可能な具体的な物語は無かったと思います。どのような舞台であれ、あれほど大量の水が間断なく舞台上に降り注ぐのは観たことがありません。ダンサーの皆さん、前身ずぶ濡れの大熱演。サドラーズ側も、あの大量の流水を問題なく処理できたのはさすがとしか言いようがないほど。
 最前列真ん中の席に座っていたので、あの水をかぶることになったらどうしようと言うのは杞憂に終わりました。後半が始まってすぐ、黒いイヴニング・ドレス姿の(おそらく)ヴェテラン女性ダンサーの一人が舞台際まで来て、片手に持っていた大きなオレンジを僕にとれと言わんばかりに差し出したので立ち上がって頂きました。でも、椅子に座ろうと中腰の姿勢のときに、「I’m hungry」と言ったのでまた立ち上がってオレンジを返そうとしたら「冗談よ」と言った感じで手をひらひらさせて舞台の左に下がっていきました。会場、大受け。いただいたオレンジは、翌朝の朝食に。

 当たり外れはあるとはいえ、ヴッパタールを初め、世界から多くの興味深いダンス・カンパニィを招聘し、また、アソシエイト・アーティストとして伸び盛りの振付家やダンサーに創作の機会を提供し続けているサドラーズに少し貢献できればと願い、昨年の晩秋にメンバーシップをアップグレイドしました。
 これが素晴らしい。友人に頼まれたチケットや、自分が買い忘れたチケットの割引率が、「こんなに割り引いて、サドラーズ側は元が取れるのか?」と心配になるほど。また、他の特典が、僕のメンバーシップだと年に一回だけとの制限がつきますが、「パトロン・イヴニング」への招待。招待とは言っても、有料です。目的は、金集めでしょうから。
 で、ちょうど買っておいた「満月」の初日と、2月22日にそのパトロン・イヴニングが重なったので、参加してみました。ちなみに、22日はロイヤル・バレエのミックス・ビルの初日とも重なりました。こちらは、元ボリショイ・バレエの芸術監督、現在、アメリカン・バレエ・シアターの常任振付家であるラトマンスキィによる、ロイヤル・バレエへ初めて創作した作品の世界初演ということでサドラーズのお姉さん曰く、「こちらにどの批評家が来るのか、私たちも判らないのよ」とのことでした。

 参加費、僕には結構な値段だったのでどれくらいの「パトロン」が来るのかと思っていたら、会場となったメザニンは立錐の余地がないほどの盛況ぶり。現政権による暴力的と表現すべき文化予算切り捨ての中で、文化・芸術を維持していくために、多くの人々の関心を惹きつけるのは、舞台関係者の重要な仕事になっていることを実感しました。サドラーズのスポルディング芸術監督は会場の中で激多忙の様子でした。
 会場で供されたシャンペン、白、赤はすべて美味しく。また開演前のカナッペ、終演後、ダンサーの皆さんを交えての立食の場で振る舞われた、「かに肉のリゾット」と「ワイルド・マッシュルームとパスタ」もとても美味しく、サドラーズのホスピタリティは高水準でした。

 お腹もいっぱいになったしそろそろ帰ろうとクロークに行ったところで、「満月」の舞台で大活躍だったオリエンタル系の女性ダンサーがいたので伺ったところ、日本人メンバーの瀬山 亜津咲 (Azusa Seyama) さんでした。カンパニィに所属して12年とのこと。
 ヴッパタールは今年も多忙のようです。観に行きたいなと思っているのは、6月にパリで上演予定の「春の祭典」。今年は「春の祭典」が世界に放たれて100周年ということで、各地でたくさんの舞台があるようですが、僕としてはヴッパタールの舞台が最も観たい物です。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-722.html

 商業音楽やファッション関連のパーティーではないのでカメラが追い回す様な著名人はほとんどいませんでしたが、中で、俳優のIan McKellenがいたのには驚きました。めざとく、マシュー・ボーンを発見し、尋ねたいことがあったので他の関係者と話し込む前に突進しました。

Hello Mr Bourne, I enjoyed your Sleeping Beauty and it was really the stunning stage. My friends in Japan would like to know when you will bring your Beauty to Japan.

I would like to bring it to Japan soon, but I don’t know. Some people (from Japan) came to see the stage and actually they liked it. But, I have been told that it may take 5 years to go.

 
 彼は創作側であって、マネジメント側でないから捉え方の違いがあるのではと思います。あの面白い舞台が日本で上演されるのが5年後というのは長過ぎる気がします。「スリーピング・ビューティ」は現在、イギリス全土を縦断公演中。今年はその後、イタリア、ロシア、アメリカ、そして中国での公演が予定されているそうです。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1873.html

 今年の夏、ボーンの作品の一つ、「ドリアン・グレイの肖像」が日本で8回上演されるそうです。別のところで日本人キャストのみとの情報を得ていたのですが、ボーン氏曰くイギリス人キャストも参加する予定とのことでした。

 最後に。トニィ・ホール氏のBBC転出にあたって空席となるロイヤル・オペラ・ハウスの総支配人ポスト。3月中には後任の人の名前が発表になるようですが、有力候補の一人が、サドラーズのスポルディング氏。適任と思う反面、現在のサドラーズの成功は彼の手腕があってこそと思うので、サドラーズに残って欲しいというのも後援者として偽らざる気持ちです。

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Comment

- ハマちゃん

「満月」のオレンジのくだり、素晴らしい経験をされましたね!
忘れ難いステージとなるのでは。

そして、メンバーシップを得ることで(そしてアップグレードすることで)こういう世界があるんですね。
自分の境遇が違っていたら、ちょっと体験してみたい世界。
マシュー・ボーンとお話出来るなんて、世界中のファンが羨ましがるでしょう!

「ドリアン・グレイの肖像」は、本で読む限りでは
ヘンリー卿とドリアン(あるいは他の登場人物)との間の「会話」が非常に面白く、風刺に富んでいて、
笑ってしまう内容もあれば、じっくり考えさせられてしまうような内容もあって
それがひとつの魅力だったんですが

バレエとなるととにかく全く違った角度からの演出をするわけでしょうから、どういう舞台になるのか
興味津々です。

昨年、映画版を観たのですが、原作で一番の魅力でもあり
オスカー・ワイルドそのものが表れてるような「会話」が
バッサリ省略されてて、ドリアンの女たらしぶり、人でなしぶりだけをクローズアップした、
「ポルノ映画かい?」と言いたくなるような演出にゲンナリしてしまいました。
原作の持つ知的な刺激が何一つ反映されてなくて。
出演者の1人が「国王のスピーチ」のコリン・ファース(ヘンリー卿役)だったので、少しは期待出来ると思ったのに。
話逸れましたね、すみません。
2013.02.25 Mon 20:27 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 オレンジを戻そうとしたときは、なんだか舞台に参加した様な気分でした。舞台との直接のコミュニケイションなんて珍しいですから、面白い経験でした。

 メンバーシップのアップグレイドに関しては、自分もキャピタリズムの側になってしまったのかなとい気持ちがあります。メンバーシップを払うことによって更に恩恵を受ける。メンバーシップを払えなければ、恩恵を受けることはできないのですから。

 僕はボーンの「ドリアン・グレイ」を観ていませんが、ダンス・バレエの場合、「言葉」が発せられることはないことが前提ですから、映画とは違うのではないかと想像します。新作の「スリーピング・ビューティ」で吸血鬼出てくるなんて全く斬新でした。
2013.02.26 Tue 07:28 URL [ Edit ]

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