LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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Written on Skin @ロイヤル・オペラ

2013.03.19
スクリーンショット 2013-03-19 15.11.31
(左からパーヴズ、ハニガン、ベンジャミン、クリンプ、メータ)

すっきり晴れる日は少ないですが、春の訪れを肌で感じられるロンドン。でも、4月にどか雪ということもまだあり得るかなと思います。

 3月8日にロイヤル・オペラ・ハウスでイギリス初演となった現代オペラ、「Written on Skin」を18日に観てきました。現代オペラについて感想を書くのは今でも難しい上に、感動ではなくて圧倒された気分をどのように書き現せられるか判りませんが。

 「Written on Skin」の作曲者は、1960年生まれのイギリス人、ジョージ・ベンジャミン。彼にとって2作目のオペラになるそうです。このオペラの上演が発表になったとき全く気に留めていなかったのですが、世界初演となった昨夏のエクス=アン=プロヴァンス(Aix-en-Provence)フェスティヴァルでの評価が異様なほど高く、またずっと聞く機会のなかったカウンターテノール、ベジュン・メータが出演予定だったので、予定が合えば行こうかなと思っていました。

 で、初日の8日の評価は、5星、4星の連打状態で残っていた席も急に無くなり始めました。予定が詰まっていたので日程的には厳しかったのですが、聴くこと、観ること、そして感じることができてとても良い体験でした。

Director: Katie Mitchell

Composer: George Bemamin

Text: Martin Crimp

Designs: Vicki Mortimer

Lighting Design: Jon Clark


Conductor: George Benjamin

Agnes: Barbara Hannigan

Protector: Christopher Purves

First angel/ Boy: Bejun Mehta

Second angel/ Marie: Victoria Simmonds

Third angel/ John: Allan Clayton



物語(かなり端折っています)

 自分の妻、アグネスを「所有物」と言い切る城主は、少年に自分の人生を本にすることを依頼する。当初、少年が家にいることへ嫌悪をにじませていたアグネスだが、次第に本の制作、そして少年への興味を昂らせていく。アグネスは少年にある依頼をする。

 なかなか完成しない本への不満が周囲から聞こえてくる頃、城主はアグネスの態度が変化していることに気づく。少年を問いつめるが、少年はアグネスの姉妹、マリィと関係を持ったと嘘をつく。

 少年の嘘に激高するアグネス。少年は完成した本を城主に見せる。困惑する城主は少年と関係を持ったのがアグネスであることを知る。森で少年を殺した城主は、彼の心臓を調理してアグネスに差し出す。食べ終わったアグネスに少年の心臓だったことを告げると、アグネスは少年の味を忘れないために、これからは一切食べない、飲まないと宣言する。城主はアグネスを殺そうとするが、アグネスはその手を逃れ、塔から身を投げる。

 この物語を、15の場面に別けてオペラは構成されています。演出、そして物語が秀逸だったのは、実際の舞台では、入れ子で物語が進むこと。城主とアグネス以外の歌手と俳優は、現代の(おそらく)捜査機関みたいなところで、過去に起きた殺人事件の流れを再現する(プロファイリングでしたっけ?!)という様な感じ。城主、アグネス、少年が舞台右側で過去に起きた事件を召還・発動させると、左側にいる俳優・歌手たちはスローモーションになります。

 最後、身を投げたアグネスの状況を説明する言葉の中に、「駐車場での投身」というのがでてくるので、舞台で進む物語が過去、現在、捜査機関、事件の登場人物の間で揺れ動くのが、肌で感じられるほどの緊張感を生み出していました。

 クリンプが取り上げた物語は、中世のプロヴァンス地方にいたとされる吟遊詩人の物語だそうです。三角関係の果てに妻が恋人の心臓を食べさせられる、食べるというのは西洋に限った物語ではないとプログラムには書かれていました。が、こじつけで縁を感じたのは、取り上げられた物語の発祥の地が、昨年末に訪れたあるプロファンスの村であるということ。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8303518325/in/photostream

 ネガティヴな見方ではないのですが、ベンジャミンによるスコアも素晴らしい、ミッチェルの演出、そしてクリンプの台本も音楽と全く甲乙つけがたい素晴らしい物である。では、このオペラを素晴らしい物にしている要素は何だろうと。

 僕自身、舞台に入れるまで少し時間が必要でしたが、物語の緊張の高まりが進む中で、どんどん惹き込まれていきました。他方、インターヴァルはないのですが、舞台転換で暗転しているときに、席を立つ人もいました。

 かなり距離がありますが、カーテンコールの写真です。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633031868401/

 18日はカメラが入っていたのでDVDの発売があるのかもしれないです。メータの声はテノールのアラン・クレイトンの声がかすむほどの鮮烈さ。城主のパーヴズは調子が悪かったのか歌詞を間違えたり、高音がきつそうでしたが、マニュピュレイターとしての存在感は圧倒的でした。

 歌手の中でその実力に唖然としたのが、アグネスを演じたバーバラ・ハニガン。ブログ仲間の方が、ハニガンの「ルル」の感想を書いておられたときには、僕には縁のなさそうなソプラノだと思っていました。

http://didoregina.exblog.jp/18765986/

 サウスバンクが、2013年の通年企画(かな)として現代音楽の特集を組んでいて、ハニガンのインタヴューが新聞や雑誌に掲載されました。本人曰く「20世紀音楽が一番好き」と言うことで、ますます縁がないだろうと。実際、ハニガンがアグネスを演じることはチケットを購入する直前まで気づいていませんでした。

 実演を目の当たりにして、すごかったとしか書きようがないです。こんな小難しい、でも流麗な旋律を全く外すことなく、そして美しさを失わずに、心の深いところから迸る心理的葛藤を繊細に、優美に、そして怒りに突き動かされて表現しながら歌う姿には、凄い物を体験してしまったなと。ドーン・アップショウに通じるものをハニガンからは感じます。

 3月22日のロイヤルでの最終公演のあと、欧州各地で上演されるようです。残念なことに、世界初演と、そして今回のロンドンでの主要3役の皆さんは歌わないようですが、オペラとして観られる機会があればお勧めします。

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