LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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レイヴン・ガール、シンフォニィ・イン・C@ロイヤル・バレエ

2013.05.25
RavenGirl.jpeg

どうやらイギリスだけではないようですが、本当に寒いです。地球温暖化って、もしかして日本とアメリカだけの課題ですか、という感じ。このまま冬が来ても悲しいですけど、驚かないです。

 昨晩、ロイヤル・バレエのダブル・ビルを観てきました。最初の作品は、ロイヤル・バレエの常任振付家、ウェイン・マックグレガーが初めて既存の物語を使ってバレエを創作した「Raven Girl」。後半は、バランシーンによる「シンフォニィ・イン・C」でした。

 で、世界初演となった「レイヴン・ガール」ですが、僕には最後の10分をのぞけば全くバレエではなく、むしろダンス・シアター系の舞台でした。

http://www.flickr.com/photos/royaloperahouse/sets/72157633623942103/

A new fairytale: Audrey Niffenegger

Choreographer: Wayne McGregor

Music: Gabriel Yard

Postman: Edward Watson

Raven: Olivia Cowley

Raven Girl: Sarah Lamb

Boy: Paul Kay

Doctor: Thiago Soares

Raven Prince: Eric Underwood


 購入したプログラムを読んで理解したのは、この物語はオードレィさんが彼女一人で作ったのではなく、バレエとして舞台化していくことから始まった共同作業。プログラムに掲載されて居た対談の中で、バレエというパフォーミング・アーツは彼女にとって未知の世界。なので、物語を作り上げた段階で、ロイヤルのバレエ・ダンサーたちがその世界をどのように再現するのか全く想像できていなかったそう。ちなみに、彼女の経歴を読んで、既に彼女の作品の一つを読んでいました。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1291.html

 で、マックグレガー率いるチームがやったことは、その世界をそのまま表現することをダンサーたちに任せるのではなく、小手先の道具・表現手段を過剰に投入してしまった。これにつきます。

 ほとんど嫌悪感すら覚えたのは、ヴィデオ。このヴィデオを投射するために舞台には薄い幕が下ろされたままでいらつく上に、ヴィデオが説明しすぎて観る方の想像力がかき立てられる空間が全くありませんでした。以前、あるインタヴューでマックグレガーは彼自身が多作であること、そしてその多作の中には当たりもあれば外れもあるだろうと言っていました。「レイヴン・ガール」は僕にとっては大外れでした。

 物語のあらすじ。恋に落ちた郵便配達人とカラスの間に女の子が生まれる。少女は人間の外見で、言葉を理解できる。しかし言葉を発することはできない。大学に進んだ少女はそこで、彼女に翼を与えてくれる医者に会い、実際、医者は彼女に翼を与える。

 翼を持った少女の姿に両親は驚き、そして嘆く。手術の結果に激嵩した少年は医者を殺す(のかな)。レイヴン・プリンスと恋に落ちた少女は両親のもとを離れ別の場所に行ってしまう。

 終わり方が、「社会に相容れない異形のものは、別の場所に行くしかない」というと〜っても平凡な終わり方にも酷くがっかりしました。救いだったのは、最後の10分弱、ラムとアンダーウッドによる美しいパ・ド・ドゥ。サラ・ラムには「アリス」のとき同様、よい意味でその表現力の幅の広さに驚かされました。華奢な体型に比例してあまり大きな話題にならない印象のあるダンサーですが、技術、そして表現力ともにロイヤル・バレエのプリンシパルにふさわしいものだと感じます。

 7月の日本公演では追加が決まったウィールドンによる「アリスhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1900.html)」、スカーレットの「ヘンゼルとグレーテルhttp://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1940.html)」、そして今回の「レイヴン・ガール」を観て強く感じることがあります。ロイヤル・バレエの最近の新作でナラティヴ・バレエと紹介される作品は、観客が振り付けの意図を理解できないかもしれないから、手取り足取り教えてあげなければと言う余計な御節介が多すぎる、と言うこと。

 2年前のマックグレガーの作品では、物語はありませんでした。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1376.html

 にもかかわらず、踊っているダンサー達の動き、表情から自然に物語が舞台に現れる、紡がれる。そのような踊りが僕は「ナラティヴ」ではないかと思います。

 そんな超ネガティヴな気分を高揚させてくれたのは、「シンフォニィ・イン・C」。幕があがって、蒼穹を背にきりっと並び立つダンサー達の姿にほっとしました。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/8812752395/
(これはカーテン・コールの時。ヤナウスキィの後ろに居るのは金子ふみさん)

First movement: Allegro vivo
Zenaida Yanowsky, Ryoichi Hirano

Second movement: Adagio
Marianela Nunez, Thiago Soares

Third movement: Allegro vivace
Yuhui Choe, Steven McRea

Fourth movement: Allegro vivace
Laura Morera, Ricardo Cervera


 ソアレスとモレーラ、もっと体絞れよとかネガティヴなことをまずはぶつくさ。モレーラが踊ったパートは、以前は吉田さん、ベンジャミン、そしてロホが踊ったパート。「やったわ、やっとこのパートを踊ることができたわ」と受け取れる大仰な笑顔に引きました。一方で、以前よりずっと豊かに、そしてメリハリのある崔さんの表情、先日のサンドマンの不気味さを全く感じさせないマックレィの軽い跳躍。更に古典全幕はもう無理かもしれないけど、このようなネオ・クラシカルならまだまだ若手を寄せ付けないヤナウスキィの優美な踊り(http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london0603b.html)。ロイヤル・バレエを観始め頃に抱いた、バレエを観るわくわくした気分を久しぶりに感じることができました。これなら毎晩観ても飽きないだろうと感じる、素晴らしい舞台でした。

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157633640961835/


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