LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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ドン・キホーテ@ロイヤル・バレエ

2013.11.06
スクリーンショット 2013-11-06 15.13.24
(10月25日。金子(キトリ)、ソアレス(バジリオ))

http://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157636973929654/

一気に秋が深まっているロンドン。2週間くらい前までは半袖で外出できる暖かい日があったのですが、冬も近いなと。

 本題に行く前に、シルヴィ・ギエムとラッセル・マリファンとの競演DVD、素晴らしいです。

http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2074.html

 特典の、マリファンと照明のマイケル・ハルズがどのようにして照明の効果を作り出す過程は、舞台演出に興味がある人には必見でしょう。

 2013年のロイヤル・バレエの第一作は、カルロス・アコスタ演出の「ドン・キホーテ」。

Watch: Behind the scenes on Don Quixote
http://www.roh.org.uk/news/watch-behind-the-scenes-on-don-quixote

 初日前後に書かれた批評家による記事でかなり触れられていたのは、「ドン・キホーテ」がロイヤル・バレエのプログラムに入ったのは10年ぶりくらい。最後は、記憶違いでなければストレットン元監督(故人)がヌレエフ版を持ってきたとき。これが僕にはとてもつまらなかったです。僕にとっての「ドン・キホーテ」は、90年代にロイヤル・バレエの東京公演で観た、バリシニコフ版でジョナサン・コープの片手リフトの上で、まるで世界の頂点に君臨するばかりににっこり笑うシルヴィ・ギエム。これを超えるものでなければあえて観なくても良いかなと思いつつ、やはり10年以上も観て居ないと(途中、キューバ国立のドンQをサドラーズで観た)、ロイヤル・バレエの「ドンQ」を観たいという気持ちがあったので、今回の新演出はいい機会でした。本題に行く前に、今回の舞台、どうしてだか滑りやすいらしく、転倒するダンサーが続出しています。

Floored: what’s afoot at the Royal Ballet?
http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/10390882/Floored-whats-afoot-at-the-Royal-Ballet.html

 日本人ダンサーの金子扶生(ふみ)さんがロイヤル・バレエでのキトリ・デビューを飾った日も、幾人ものダンサーが転倒してしまい、けっこうハラハラしながら観ていました。

 観に行ったのは、ファースト・キャストが踊った10月16日と、金子さんが踊った25日。

10月16日(映画館でライヴ上映)

キトリ:マリアネラ・ヌニェス
バジリオ:カルロス・アコスタ
ドン・キホーテ:クリストファー・サウンダーズ
エスパーダ:平野亮一


 この夜のAキャストの公演で「ドンQ」のロイヤル・バレエによるロイヤル・オペラ・ハウスでの上演が66回目と数字に、いかに上演されていないかを実感しました。

 上演されない理由を幾つか考えると、まず、アシュトンの代表作の一つ、そしてロイヤル・バレエと言えばの「リーズの結婚」と物語が重なる。バジリオを踊ったアコスタは40歳の年齢を感じさせるものの、跳躍や回転では観衆からどよめきを引き出すほどの技術を維持している。が、アコスタ以上に評判の高かったスティーヴン・マックレィを除くと男性ダンサーに高度な技術を誇るプリンシパルが居ない。

 アコスタは、一幕の最初の片手リフトで静止できなかった以外は、盤石。テレグラフでのインタヴューで、ロイヤル・バレエとは更に4年の契約を結んだそうです。

 ヌニェスのキトリも、現在のロイヤル・バレエを代表するプリマ・バレリーナは彼女だと実感する安定した、そして高度な技術。3幕ラストでのバランスが短かったのが意外でした。酷かったのが、ロイヤル・オペラ・オーケストラ。トランペットのあんなぬるい演奏で踊らなければならないダンサーが可哀想でした。
 
 Aキャストでとても光っていたのが、エスパーダ(闘牛士)を踊った平野亮一さん。彼はファースト・ソロイストに上がってから、演技も踊りも格段に伸びていると感じます。
 
 余談。今シーズンが始まる前、元ボリショイ・バレエのナタリア・オーシポワがプリンシパル・ダンサーで入団することが発表されたとき、ロイヤルのウェブでのファンから幾つかのコメントで、「どうして崔さんをプリンシパルにしないんだ?」と寄せられていました。

 僕も彼女の踊りが好きなので早くプリンシパルにと願っています。反面、崔さん、平野さん、高田茜さん、金子扶生さんの日本出身の4人のダンサーがプリンシパル圏内に居る現状で、4人ともプリンシパルにするというのをカンパニィのマネジメントが仮に望んでも、外野がうるさいのではないかと危惧します。

 ただ、崔さんが既に数年ファースト・ソロイストにとどまっていてファンがイライラする状況と重なることがパリ・オペで。ロイヤルと違って、厳しい昇進試験を通してランクが上がって行くパリ・オペの中堅ダンサーにマチルド・フルステという女性ダンサーが居ました。彼女の踊りは観たことないですが、全幕の主役に抜擢される割に、試験で実力を発揮できずに昇進できない状況だったようです。そして、フルステは今年、大西洋を渡り、サン・フランシスコ・バレエにプリンシパルとして移籍したそうです。

 本題に。2回目は、舞台上のプリンシパルは一人でしたが、個人的に最近観る機会のなかったヴェテラン・ダンサーたちを観ることができてとても嬉しかったです。

キトリ:金子扶生
バジリオ:ティアゴ・ソアレス
ドン・キホーテ:ウィリアム・タケット


 ソアレス、金子さんへのパートナリングはとても良かったですが、自身のソロ・パートのへなへな振りには、脱力。40歳のアコスタが見せた技術の5%にも達していないというのは論外。

 金子さんは、ヌニェスの輝きと技術には一歩引けを取りますが、舞台上でのプレゼンスはとても素晴らしかったです。技術的には更に向上しなければならない点もあるように感じました。が、バランスを保持する時間は短かったものの、上げている足を慌ててすぐに下ろすのではなく、一呼吸おいて舞台に戻したのは、焦っているのかと観ている側に思わせない感じで好感が持てました。金子さんのカーテン・コールの写真は、ブログ仲間のところで。

http://ameblo.jp/peraperaopera/entry-11654164460.html

 残念なことに、2回目の11月2日のマチネ公演では、第1幕でアクシデントがあり途中降板になったそうです。

http://londonballet.blog60.fc2.com/blog-entry-739.html

 怪我の具合が酷くないことを祈るばかりです。

 金子さんがキトリ・デビューを飾った夜、彼女には申し訳ないですが、僕にとって、「舞台に居てくれてよかった」と最も嬉しかったのはドン・キホーテを演じたウィリアム・タケット。自分の夢を追い続けるドン・キホーテという老騎士の姿、そのものでした。視線の漂わせ方、若いキトリとバジリオに向ける慈愛に満ちたマイムは、ロイヤル・バレエの伝統。

 バジリオを踊れる男性ダンサーの確保は必須ですが、アコスタ版はしばらく残るかと思います。でも、「リーズの結婚」を忘れないで欲しいです。

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