LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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Dialogues des Carmélites@ロイヤル・オペラ

2014.07.05
スクリーンショット 2014-07-05 15.30.12
(サー・サイモン・ラトル、カーテン・コールで)

エンタメ、そして交遊がとても充実していた6月。加齢とは忘却の速さが増すことだと実感しつつ、6月9日にロイヤル・オペラ・ハウスで、プーランク作曲の「Dialogues des Carmélites」というオペラを観てきた。これまでフランスもので楽しめたことは少ないし、主演のソプラノはファンでもないのにどうして行ったかというと、指揮者の真後ろの席が取れてしまったから。名指揮者の誉れ高いラトルさんの指揮を間近に見られる、それが一番の楽しみだったのだが、オペラ自体とても充実していた上に、一つ思わぬことまで起きてとてもパワブルな夜だった。フランス革命の終わり頃に、ギロチンにかけられた尼僧達のことを描いたオペラということしか知らないので、あらすじはこちらを。

Opera Essentials: Dialogues des Carmélites
http://www.roh.org.uk/news/opera-essentials-dialogues-des-carmelites

Director: Robert Carsen
Set designs: Michael Levine
Costume designs: Falk Bauer
Lighting design: Jean Kalman
Movement: Philippe Giraudeau

Conductor: Simon Rattle
Orchestra: Orchestra of the Royal Opera House
Blanche: Sally Matthews
Constance: Anna Prohaska
Madame Lidoine: Emma Bell
Mère Marie: Sophie Koch
Madame de Croissy: Deborah Polaski
Marquis de la Force: Thomas Allen
Chevalier de la Force: Yann Beuron
Mother Jeanne: Elizabeth Sikora
Sister Mathilde: Catherine Carby
Father Confessor: Alan Oke
First Commissary: David Butt Philip
Second Commissary: Michel de Souza
First Officer: Ashley Riches
Gaoler: Craig Smith
M. Javelinot: John Bernays
Thierry: Neil Gillespie
Chorus: Royal Opera Chorus


 ロバート・カーセン演出のこの舞台、大きな話題になったのは、舞台に立つ人物の多さ。

Roundup: Inside Dialogues des Carmélites’s community ensemble
http://www.roh.org.uk/news/roundup-inside-dialogues-des-carmelitess-community-ensemble

 舞台セットはとても簡素なものだったが、場面転換の時にこの大群衆が現れて群衆がセットを置いたりかたづたりするのが、革命時の激動を思わせる効果があったように思います。

 オペラには、カウンセリングにおいて大先輩の友人と一緒に。開演直前になっても友人の隣の席は空いたまま。その向こうには、襟が伸びきったセーターを着ただけの中年男性。彼の足下にはジョン・ルイスの紙袋。いくらオペラにくる装いがカジュアルになっているとはいえ、指揮者のほぼ真後ろの席でこれは、と思いつつ。

 最前列に座ったので、オーケストラのメンバーの出入り口はよく見える場所。オーケストラがほぼそろい、でも開演までもう少しあるなというタイミングで、ドアに現れた白髪の男性。ラトルかなと思いつつ、その男性は目だたないようにしながら、金管楽器のメンバーと談笑を始めた。最前列に座っていた別の人がラトルが既にいることに気づき拍手を始めると即座に、指を口に当てて静かにと。
 オーディトリアムの証明が落ち、聴衆の多くがラトルの登場を待っていたにもかかわらず、拍手のないままオペラは始まった。

 最初の10分間は、「やっぱり、フランス・オペラはあわない」と単調な旋律にがっかりしていた。しかし、コンスタンスが登場すると旋律の彩りが一気に増し、その後は舞台で進む物語と拮抗する旋律を大いに楽しんだ。

 第一幕が終わり、ラトルが嬉しそうに去り、オーケストラのメンバーのほとんどが出口に向かっている時に、男性団員(木管だったかな)の一人が指揮者台に駆け上がり、友人の一つとなりの男性に声をかけた。

 「Jxxx!, Are you ok?」。

 とたんにその男性は顔を腕に埋めてすすり泣き始め、「来るんじゃなかったよ」、と。直視してはいけないと思いつつ、耳をそばだて何が起きてんだろうと、でも聞いていないよ、という姿勢を保ったまま視線をかわす友人と僕。

 男性が席を離れたので、一緒に来るはずだった女性と別れたのかなと。オペラの感想を話していると、男性が戻って来た。表情は、ちょっとうつろ。

 友人がゆっくり、「I am sorry to ask you, but are you OK?」と語りかけるように尋ねると男性は席につき、「My mum passed away last week。母を今晩、招待していたんです」、と。このオペラの第一幕の終わりは、修道院のトップの尼僧が苦悶の果てに亡くなる。その場面を観ていたら、悲しみがこみ上げてきたんだそうです。

 友人とその男性がオペラや音楽のことを話していると、別の意味であか抜けない中年男性が近づいてきて、「その席、空いているんですよね。座れますか?」と訊いてきた。すかさず男性は、「この席に座る人はいるから」と。話すことで落ち着いたようで、オペラの終演後には微笑みが戻っていた。

 このオペラを語る上で決して忘れてならないのは、やはり最後、10数人の尼僧がギロチンで処刑されて行く場面。

 有名なアリアを、役がついているソロ歌手とコーラスの女性メンバーが歌っている間にほぼ等間隔で、シュパーン、という効果音が。その音が鳴る度に、一人、また一人と床にゆっくりとした動作で横たわって行く。シンプルな演出だからこそ、その美しくも超パワフルな音楽との相乗効果で、拳を握りしめたまま舞台からは目を離せず、耳は旋律から逃れることもできず、だった。終わった時には、開放感と脱力感が一緒に。

 サリィ・マシューズ、ソフィ・コッシュはロイヤル・オペラでは常連だけど、僕には常に可もなく不可もなく。エンマ・ベルは以前、イングリッシュ・ナショナル・オペラの「イドメネオ」で悪女を役を最高に演じたので、今回の真逆の役への取り組みはとても面白かった。

 サー・サイモン・ラトルの指揮は歌手が舞台にいるときは、歌手への指示が完璧。歌手がいない、音楽だけになるとパッパーノのように唸り声を挙げるのが微笑ましかった。

カーテン・コールの写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157644689888910/

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Comment

歌手陣! - レイネ

素晴らしいメンバーが揃ったプロダクションだったのですね!プロハスカちゃんはいかがでした?時期がうまく合えばぜひ実演観賞したかったオペラです。

6月の2度のロンドン遠征では、守屋さんとも2回ウィグモアでコンサートをご一緒し、マチス展覧会にも行くことができて、わたしも交友関係でも恵まれ楽しく充実の日々でした。
次回は8月と10月なんですが、10月にはオペラ以外にもオールドヴィック座で「エレクトラ」(クリスティン・スコット=トマスが主演!)を観賞したいなと思ってます。(昼に演劇観賞して、夜に長いコンサート形式オペラっていうのは無茶かしら)
2014.07.05 Sat 16:20 URL [ Edit ]

- 守屋

レイネ さん

 実際の舞台に接してみて、歌手陣は本当に充実していたと思います。ただ、オペラの知名度、歌手の皆さんの実力はあるものの一般への知名度が低くて、チケット販売に苦戦したことが、イギリスのオペラの裾野がまだまだ発展途上かなとも感じました。ま、僕もその発展途上の一人ですし。

 歌手の中では、プロハスカとポラスキの演技・歌唱が安定していました。でも、あのオペラでプロハスカを観ると、彼女がバロック系でも有名というのは意外です。

 オールドヴィクからそのコンサート形式が行われる場所まではバスで一本(4番かな)で行けるので移動の心配はないかもしれないですが、体力的にはきついのではないかと。
2014.07.05 Sat 17:01 URL [ Edit ]

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