LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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奈義町現代美術館

2014.09.03
スクリーンショット 2014-09-03 12.20.42
(「太陽」の部屋。2014年8月31日)

朝日新聞が奈義町現代美術館を「一生に一度は行きたい!世界のアートスポット」と紹介した記事で掲載していた「太陽」の部屋の写真を観た瞬間、「森博嗣の『朽ちる、散る、落ちる』だ」、と思った。

http://www.asahi.com/articles/ASG844RHBG84PPZB00G.html

 美術館訪問後にネットであらすじを読んでみた所、かなり歪曲して覚えていたことが判ったが、本書の中で死体が見つかった円心器のイメイジが重なった。

 東京からだったら、おそらく行かなかっただろう。が、8月30日は、名古屋に宿泊予定。次の訪問地へのルートからは回り道だが、行けなくはない。長かった。遠かった。午前7時半のひかりで名古屋から岡山へ。岡山で津山線に乗り換え、津山駅から更にローカルバスで小一時間。美術館に到着したのは午後12時15分。もう一つ重要な情報は、ローカルバスの運賃が、片道810円。入館料金よりも高い。

 一生に一度どころか、通えるなら何度でも訪れたい、それほどはまった。

https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647010751046/

http://www.town.nagi.okayama.jp/moca/index.html

 美術館の成り立ちについてはホームペイジに詳しく書かれている。手短に紹介すると、3作品のみを展示する為に建設された美術館。いいかえると、所蔵作品が旅をすることは不可能で、観たかったらここまで来い、と。

 展示作品は、つい先日に亡くなられた宮脇愛子さんによる「うつろひ」。岡崎和郎さんの「HISASHI」。そして、荒川修作+マドリン・ギンズの「遍在の場・奈義の龍安寺・建築的身体」。

 正直、「うつろひ」は僕には存在が薄く感じられた。が、「太陽」の部屋に行く前に、岡崎さんの作品には五感を、特に僕にとってとても大切な感覚、聴覚を穏やかに鷲掴みされたようだった。上手く言葉にできるとは思わないが、部屋を歩く僕の足音が部屋の中を綿が飛ぶように優しく浮遊するようだった。無音ではない。ただ、音を出す存在がまるでこの閉じられた部屋で僕一人だけのよう、そんな不思議な感覚。

 「太陽」の部屋。この世界の限界も、自分の限界をも知らなかった子供の頃、高層ビルの屋上から飛び降りても平気だろう、この壁を地面と水平になって駆けることは僕にはできるはず、知らなくていいことを知る必要がなかった頃、そんな懐かしい感覚を呼び起こされた。

 僕が部屋に入ったとき、小さな子供を二人連れた家族がいた。子供達は楽しげな笑い声を上げながら、円筒の中を駆け上がろうとしているようだった。即座にご両親が、「危ないから」、と止める。

 確かに部屋の中での感覚は日常とは違ってくる。平らでない足下。のしかかって来るように感じる天井。しかし、このまま落ちて行けばあの黒い底の向こう側まで行けるのではないかと言う、言葉にならない高揚感が体に満ちて来るのが判った。

 朝日新聞には、この美術館を紹介してくれたことを、感謝する。

 美術館の皆さん(といっても話したのは男性二人)がまたとても話し易くて。今年は美術館開館20周年の記念の年だが、宮脇さんが亡くなり、今年1月にはマドリン・ギンズさんも亡くなったとのこと。一方、朝日新聞や美術手帖による紹介、地方メディからの取材を通して、この美術館を初めて知って訪れる人が増えているそう。増えていると言っても、爆発的ではないとは思う。一度は体験する意味はある美術館だが、場所がね。岡山市に住んでいる人にとっても、けっこう遠く感じるのではないかと。

 今回、僕が到達できたのは、乗り換え案内サイトのジョルダンのおかげ。

http://www.jorudan.co.jp/

 ローカルバスに乗り継ぐ為には津山駅に何時までに到達すれば良いかをすぐに教えてくれる。このサイトを教えてくれた友人に、ここで改めて感謝を伝えたい。

 運命的な出会い、という気は全くない。幾つかの偶然が重なってこの美術館の存在を知り、訪問し、作品から鮮烈な高揚を感じることができたのは、素晴らしいことだった。

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