LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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瀬戸内海・四国、美術館巡り2:豊島(てしま)

2014.10.09
犬島http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-2334.html)をあとに、その日の第2便の高速艇で向かったのは、豊島。直島に戻る船に乗る為には、島にいる時間がとても時間が限られているので、二つある美術館のうち、豊島美術館を訪問することにした。

http://www.benesse-artsite.jp/teshima-artmuseum/

http://setouchi-artfest.jp/artwork/a025

豊島美術館

2010年秋、建築家・西沢立衛とアーティスト・内藤礼により唐櫃に誕生した美術館。瀬戸内海を望む豊島の小高い丘の中腹に立地。周囲には美術館建設を機に地元住民が中心となって再生した棚田が広がり、自然と建築、アートが融和した美しい環境をつくりだしている。内部空間では、床のいたるところから水が湧きだし、一日を通して「泉」が誕生する作品《母型》が展開される。


 建物内は写真撮影ができないので、画像はネットから。
Teshima1.jpg

Teshima2.jpg

 いつものように予備知識なしに訪れた。最初に驚いたのは、美術館で働く皆さんが小声で話すこと。特に、建物の入り口にいる男性は、話して伝える意志があるのかと疑問に思うくらいの小さな声で話すのでイライラした。小さな声で話すのは、建物内での静寂を考慮してのものだとは入館してから判ったが、係員というより「崇拝者」という印象を持った。

 忙しい天気の日で、俄雨が何度もあり、その所為で建物の床が濡れているのだと思った。晴れ間がのぞいたので、それでは天井に空いている穴から空を眺めようと穴の下にある床の中心を目指して猛進したら、女性係員が急いで駆け寄ってきて、「すみません、そこへは立ち入らないでください」と止められた。

 なんだか制約が多い美術館だなとテンションが急に下がるのを自覚しながらおもむろに床に目を向けると、小さな穴から一定の間隔で水滴が現れ、同じ方向に流れていることに気づいた。雨ではないのなら、これがインスタレイションなのか、とやっと気づく。

 ここまで書いていて、ネガティヴな印象を持ったかと思われるかもしれないが、その水滴が現れることに気づいてからは、「人間はなんて無駄なことを想像・創造し、それを楽しむのか」と考えると、とても面白い空間として観ることができた。それにしても、館内で「崇拝」の雰囲気を醸し出しているのは係員だけではなかった。その場にいる訪問者のすべてが、建物と一体化することを夢見ているのではないか、と言うほどの静寂だった。

 もう少し雰囲気に浸っていたかったのだが、直島へ戻る高速艇の時間が気になり、滞在時間は約25分ほど。美術館の周辺に広がる美しい棚田をカメラに収めてから港まで徒歩で向かうつもりでいた。ちなみに、島では自転車をレンタルできるが、一日乗ると結構な価格になる。

 豊島に到着してすぐにしたのは、直島へ戻る高速艇の乗船券を購入すること。島と島を結ぶ高速艇の乗船券に往復切符がないのだ。窓口の女性にその日の3便(最終便)の乗船券を購入したいと伝えると、「まだ販売できません。出発の30分前になったらまたきてください」といわれる。

 変な仕組みだなといぶかしく思いつつ、観光案内所で豊島美術館からのバスの接続を訪ねている女性の質問に、係の方が、「そのバスだと船が出発するのに間に合わないかもしれません。滞在時間が短くても、それより一つ前のバスの方が良いですよ」と。美術館に行く前から不安が募る。係員の方に美術館へはバスで行くとして、戻りは徒歩だとどれくらいかを尋ねると、小一時間とのこと。ならば歩こうと。

 道路の脇に広がる水田の写真を撮りながら20分くらい歩いた所で、後ろから来た車の女性に、港までなら乗りますかと声をかけられた。どこかで見た顔だと思ったら、港で高速艇の乗船券を販売していた方だった。

 女性によると、島に住む皆さんは、美術館を訪問する観光客が歩いているのを見かけると、昨年のトリエンナーレが始まるまでは、声をかけて車で送って行くことをいとわなかったとのこと。しかし、トリエンナーレが始まると、多くの観光客がその申し出を断ることが多くなり、だんだんと島の皆さんも声をかけなくなったそうだ。

 「でもね、折角この島まできてくださった皆さんが困っている時は、私たちは何かをしてあげたいだけなんですよ。困っている時は声をかけてくださいね」。

 良い機会なので、どうして戻る船の乗船券を購入できないのかを訊いた。答えは簡単で、犬島から乗船する人数によって豊島で乗船できない人がでて来ることがあるから。特に月曜日は、直島の美術館が休館しているので、必然的に犬島と豊島への訪問者が増える。夏の繁忙期の月曜日は乗船券を販売するのに予約券を配ることがよくあるそうだ。

 僕は運良く乗船できたが、ギリギリだといわれたバスで港に戻って来た皆さんは、乗り損なった、というかおそらく定員一杯で乗れなかった。どうするのかなと思っていたら、豊島の港に止まっていた「海上タクシー」に分乗したようだ。

 犬島と豊島、それぞれを充分に観たいのであれば、直島からの高速艇の運航時間では1日では全てを観きれない。直島のアート作品を含めて、最低3泊は必要だと思う。

豊島の写真
https://www.flickr.com/photos/89578620@N00/sets/72157647531092612/

[追記]
島巡りをした経験が少ない人は驚くかもしれないが、直島を起点にして犬島、豊島へ行く為の高速艇の乗船料金は、終わってみれば高く感じると思う。それぞれの美術館の入館料金も払うのだから決して手頃な価格での美術館巡りではないかもしれない。美術館を作って観光客を呼ぶのなら、料金をもっと下げるべきではと考えるのは当然だと思う。しかしながら、島と島を結ぶ連絡船は、一義的に島々の経済を成り立たせる為、とシリィ諸島での経験がある僕は考える。

シリィ諸島の光と陰
http://loveandhatelondon.blog102.fc2.com/blog-entry-1695.html

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Comment

- ハマちゃん

なんとも面白い体験ですね。
同じ日本だけど、異次元の世界みたい。
なんとなく、先日行ったオークニーで感じた「同じスコットランドなのに異次元」という感覚を思い出しました。

観光客が急速に増えると、現地住民のメンタリティが変わっていってしまうことは往々にしてあるので、そういう変化によってかつてのイノセンスが失われた感じがすると、少し切なくなったり。
イノセンスって一度失われるともう戻らないですもんね。
2014.10.09 Thu 20:18 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 今回は島巡りの楽しさに加えて、僕にとっては新しい形態の美術、美術館巡りになりました。ロンドン市内にはたくさんの美術館があり、観たい時に観られる便利さがあり、それはとてもありがたいこと。
 今回は、「旅ができない美術館」をそこまで観に行く、そして思っていた以上の衝撃を楽しむ、と言うのが新鮮でした。

 島の「活性化」は必要である反面、流れ込む多くの新しいものが島の生活に影響を与えない、ということはあり得ないですよね。瀬戸内海の島の訪問は今回が初めてですが、楽しかったです。
2014.10.10 Fri 06:21 URL [ Edit ]

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