LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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困窮者(Pauper)は葬式すらできないイギリス

2014.11.23
今日、朝日新聞のウェブにこんな記事が。

病院代の自己負担払えぬ人急増 年延べ700万人が減免
http://www.asahi.com/articles/ASGCM4Q80GCMULFA01B.html

 これはこれで驚愕だし、来月の選挙で、皆さん、きちんと考えて投票しようとしか言いようが無い。イギリスは、基本、医療費は今でも見た目は無料(税金で賄われているから払っているのと同じ)だが、困窮者は死ぬことすらできない状況が拡大しつつあるらしい。

The return of the pauper’s funeral to austerity Britain
http://www.theguardian.com/society/2014/oct/20/paupers-funeral-austerity-britain-soaring-costs-bury-loved-ones

 Pauperという単語、この記事を読むまで聞いたことがなかった、というのは僕も恵まれた境遇にあるということなのだろう。この記事を読んで、死ぬときくらい簡単にこの社会から去りたいだけなのに、そうはさせてくれない社会なのかと。

 長い記事なので訳すつもりは無いし、どの点を絞って引用するのが的確なのか迷うが、葬式が如何に高額かという点を中心に。

Funeral poverty is an unexpectedly potent indicator of the combined impact of recession, austerity, low wages and the insecure job market. The insurance company Sun Life Direct says funeral poverty has risen by 125% since 2010 – a figure it calculates by assessing the shortfall between the cost of funerals and people’s ability to pay. Around one in seven people struggle to pay funeral costs – with the average cost of a basic funeral around £3,590, according to the company’s research.

 「葬式貧乏」は2010年以降、125%の増加。基本的な葬式の費用は約70万円。

The first funeral parlour he went to, in Hoxton, east London, told him they needed £2,500 upfront for the church and the vicar. “I said: ‘I can’t afford that.’ They said: ‘You won’t be able to bury him without that money’,” he says, at his flat. His father’s finch whistles in a cage by the window. Griffin is a former landscape gardener who gave up his job to care for his father when he became unwell. Another firm quoted him costs of around £4,000, asking for £1,000 upfront. “I told the funeral office I would just go to the unemployment office to see what they can give me. They said, ‘Oh no, we need the money upfront’. That’s when I started to get worried.”

 日常の生活費を捻出することが難しい人々にとって、£4,000−どころか、£1,000−を一括で払うなんてことはほぼ不可能だろう。行政に頼ろうにも、いくら遠い親族でも誰かが職に就いているのが判ると、その人が払うべきだと言われる。記事によると、行政が葬式費用を払うのは、亡くなった人に頼れる家族が全くいない場合が条件らしい。

She thinks funeral directors should be obliged to inform people about the cheapest available option. “It is a real mind game, that people think if they are not spending lots of money, they are being disrespectful and cheap and unloving and uncaring, and that’s such nonsense. It’s what you do from the heart.”

 葬儀会社は、不要に高価な棺等を押し付けるのではなく、安価な葬式の選択を家族に伝える義務がある。葬儀会社が押し付ける葬式費用が払えないと、(残された)家族が恥ずかしく感じるのはおかしい。

 誰ということでなく、また特定の新聞で読んだと言う記憶も定かではないが、これだけ不安定の世界、大きなパラダイム・シフトが起きるだろうとの予測意見を何度か目にした、耳にしたように思う。しかし、本当にこのひずんだ社会は変わって行くのだろうか、いや変わらないのではないか。イギリスに限れば、ディケンズの時代よりも酷くなっているのではないかと感じる。

 今朝、Independent on Sundayのトップ記事を読んで更に感じたことは、今の時代、「普通の暮らし」という定義は、もはや存在しない。

[追記:11月24日]
 友人からPauperについて由来を教えてもらった。

pauperと言う単語はラテン語をそのまま取り入れた外来語です。英語のpoorも仏語povreを経由していますが、もともとこの語から派生した言葉です。元来、公的補助を必要とする貧者につけられた名称のようで、ヘンリー8世時代の救貧法の法律用語が英語に取り入れられたようです。従って,今でも様々のそういう文脈(公の福祉や慈善の対象としての困窮者)で使われることが多いかと思います。

poorという語も仏語からの外来語で、13世紀に使い始められたようなんですが、どうして本来語を完全に駆逐してこの語が使われるようになったのか。"poor"という仏語語源の外来語が入る前は英語には"earm"という「貧しい」を意味する語があったのですが、近代英語の語彙から完全に消えてしまいました。中世末期、14世紀頃から貧民を良くも悪しくも特別視し、社会的なカテゴリーとして見る傾向がはっきりしてきたことと関係あるかも知れません。

[追記2:11月25日]
 日経ビジネスにこんな記事があると教えてもらった。

献体が増加する哀しい理由
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141030/273188/

 会員登録をしていないと全文は読めないが、1ペイジ目だけで充分、切羽詰まった雰囲気が感じられる。献体なんて考えたことも無かったけど、それだけ必至なんだなと思う。「葬儀」って、なんだろう?

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Comment

- ハマちゃん

最近、Co-opがお葬式もやってくれるというのを知りましたが、月々24ポンドちょっとからの分割払いというの受けてるみたいです。
http://www.co-operativefuneralcare.co.uk/pre-paid-funeral-plans/set-plans/set-cremation-plan/

それにしても、日本でもこれだけ、葬式費用が出せないからと亡くなった親を放置して白骨死体で見つかったりなんかしてるわけですし、そういうことが英国でも起こってもおかしくないですよね。
行政は面倒見てくれない、身内は日々の生活で精一杯、じゃあ。
庭に穴掘って埋めるとかしか、ないですよ。
2014.11.24 Mon 13:55 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 Co-op、その他にOdd Fellowsという老年層の相互扶助、日本風に言うと互助会のような団体が、葬儀の為の積み立てをやっているようです。ガーディアンの記事が取り上げているような人々は、その分割も払えないのではないかと思います。

 僕も、死んだ後は人里離れた所に埋葬して欲しいなと思います。が、記事のなかで、イギリスの火葬場が値下げできない理由として、亡骸を火葬にする時に人体からでる化学物質(例えば歯の補填物とかかなと想像します)の飛散を抑えることが欧州連合の規定にあるのでそれを守る為の費用が嵩むからだとか。
 このようなことを読むと、人間って、本当に自然から乖離してしまっているなと感じます。
2014.11.25 Tue 06:31 URL [ Edit ]

- ハマちゃん

化学物質の飛散、という事情があるなんて、初めて聞きました。

英国のゴミ焼却は、非常に高温であるために、日本ほど細かく分類しないで(もう、ガラスでも缶でも何でもゴミ箱に入れてもオッケーですもんね。一応リサイクルする建前はあっても。)処理出来るという話を聞いた事があるので、

何なら死体もゴミ焼却炉で良いんじゃないかと思えてくる。
ゴミ焼却炉ならばごちゃ混ぜのゴミでも化学物質が飛散しないように対処してるわけでしょう。
ゴミと一緒に燃やせっていうことではなくて、ゴミ焼却炉と同施設の一角でやれば、喪主の負担も軽減出来るだろうに。
2014.11.25 Tue 10:26 URL [ Edit ]

- ハマちゃん

続き

そういえば、先日SNS上で、やはり日本の葬儀代の話でのやり取りを見たのですが、
「うちは献体した。費用の節約にもなる。」という話が出ると、他の方が「最近はそれも受け付けてくれないんですよ」と返してて、なんだか切なかったです。

考えてみると、鳥葬って実に合理的で自然の理に適ってますね。
鳥葬を許可したら多くの問題は解決しそうな…
2014.11.25 Tue 14:38 URL [ Edit ]

- 守屋

ハマちゃん さん

 化学物質の放出の部分です。

Funeral directors say they are being hit by price rises from crematoriums, who in turn say they are facing huge costs because EU legislation is forcing them to install expensive new filtration systems to reduce mercury emissions (the cremation of people’s fillings is a big source of pollution).

 僕も鳥葬を思ったのですが、多かれ少なかれ人間の体には自然に影響を与える化学物質が必ずあるのかと思うと、どうすれば地球に害を及ぼさないで退場できるのかなと。

 イギリス、リサイクルなんて名ばかりだといつも思います。が、そのような高温で処理されていることは知りませんでした。
2014.11.26 Wed 10:27 URL [ Edit ]

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