LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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イギリス国内の深刻な貧困層は、料理したくてもできないんだ!

2014.12.10
日本では、どうやらロイターだけが報道した、イギリス国内で利用者が急増しているフードバンクについての、政治家の失言。

「料理下手」が貧困層の栄養不足の原因、英貴族院議員発言に波紋
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPKBN0JN0C020141209

[ロンドン 8日 ロイター] - 故サッチャー英元首相と懇意だった上院(貴族院)のアン・ジェンキン議員が、同国の貧困層の一部が栄養のある食事を取れていないのは、料理のスキルがないことも原因になっていると指摘し、物議を醸している。

上院は、食料支援の必要性に関する「飢えと食料貧困」と題した報告書を8日に公表。ジェンキン議員はこの際の講演で発言した。同議員は「バロネス」(女性に与えられる男爵位)の位を授けられている。

議員は「料理のスキルの多くが失なわれた。貧しい人々は、料理の仕方を知らない」と発言。

また議員は「私はきょう、ボウル1杯分のポリッジ(えん麦などで作る簡単な粥)を食べたが、4ペンス(約8円)しかかからなかった。一方、砂糖が大量にかかったシリアルは1杯25ペンスもする」と述べた。

ジェンキン議員はのちに、BBCラジオで「失言だった。うかつにも即興で話してしまった」と述べ、「料理のスキルをなくしたというのは社会全体に言えることで、料理ができるようになれば食費は大幅に安上がりになる」と弁明した。

英国では、低所得者などに食料を提供するフードバンクの必要性がますます高まっている。調査によると、慈善団体「トラッセル・トラスト」から2013―14年に緊急食料支援を受けた人は91万3138人となり、2011―12年の7倍に急増した。


 まずロイターに言いたいことは、この深刻な話題を「海外こぼれ話」でくくるのは適切ではない。イギリスの政治家の失言とはいえ、この失言は日本の貧困層を無視している現政権の雰囲気に通じるものがあると感じるから。

 失言をしたバロネスは、自宅で作るポリッジの方が安くできるという。しかしながら、貧困層の多くはガスや電気を止められているから調理をできない状況に追い込まれいるということを、英国国教会主導の貧困層の実態調査にかかわりながら、この方はその実態を知らないのだろう。以下のガーディアンの記事の中程に、俳優が限られた食材でもきちんと調理できることを示そうと悪戦苦闘する映像がある。日本で観られるかどうか判らないが、食材を暖めようとして火が使えないことを理解できない俳優の表情は、貧困に追い込まれている人たちの状況を知る機会の少なさを伝える。

Tory peer says poor people go hungry because they do not know how to cook
http://www.theguardian.com/society/2014/dec/08/tory-peer-apologises-poor-hungry-do-not-know-cook

 この政治家の弁明にはうなずける部分がある。確かに、世代毎に受け継がれて来たであろう料理の方法や調理する楽しさが若い世代に引き継がれていない。しかし、イギリスの貧困の本質の一つは、家庭で調理したくても、その方が結果的に生活をいっそう困難な方向に追いやることになる。食材を購入できる予算があったとしても、それを調理し、保存するにはガスや電気が必要。それらを払える前に、収入の半分以上は家賃の支払いに充てられ、食材をなんとか購入できても、調理できる方法が奪われている。にもかかわらず、政治家は貧困層は調理のスキルが無いからフードバンクに行っていると主張する。

 イギリスで貧困層がどんどん追いやられている状況の一つは、様々な生活保護支給の基準が強化され、一つでもその基準を満たさないと、それまで支給されていた生活保護が即座に止められ、再支給されるまでに何ヶ月も待たされる。その間に生活資金が底をつき、金利が信じられないほど高い、「ペイデイ・ローン」を利用しなければならなくなる。そして、減額されて数ヶ月後にやっと支給された生活保護でその暴力的な金利を払う、という悪循環に陥る人が激増している。

 今回ロイターが報道した失言の大本のレポートは、アングリカン・チャーチのトップ、カンタベリィ大司教の肝いり。

State must back food banks, says Welby: Archbishop of Canterbury steps into austerity row with radical report
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2863784/State-food-banks-says-Welby-Archbishop-Canterbury-steps-austerity-row-radical-report.html

 メイル・オン・サンディを選択したのは賢明。というのも、日曜新聞紙の中ではダントツの販売部数を誇るから。大司教は、彼の最近のアフリカ訪問と比べて、イギリス国内の貧困層の存在がどれほど彼にとって予想していなかった衝撃だったかを述べている。このレポートを受けてなお、キャメロン政権は、フードバンクは民間の活動であって、フードバンク利用者が激増しているのは、政府が責任を負うことではないという。内容は全く違うが、日本国内のセクシャル・マイノリティの人権に対して何もすることは無いと言い放つ自民党と同じ。

Tories seek to avert rift with Church of England over food bank report
http://www.theguardian.com/uk-news/2014/dec/08/tories-avert-rift-church-food-bank-report

Archbishop of Canterbury: my shock at Britain’s food banks
http://www.theguardian.com/uk-news/2014/dec/07/archbishop-of-canterbury-my-shock-at-britains-food-banks

‘Confront simple fact hunger stalks Britain’ urges church-funded report
http://www.theguardian.com/society/2014/dec/08/welfare-confront-simple-fact-hunger-stalks-britain-church-report

Inquiry into Hunger and Food Poverty in Britain
http://foodpovertyinquiry.org/

 貧困層は調理の技術が無いというが、その技術を習得する術と場が無い。それらを提供することで貧困層の啓蒙を図るのが政府であろうに、そのようなことは全くせずに、なりふり構わずに「この基準を満たさなかったから生活保護を止めます」というのは、貧困層をなくす意志があるとは思えない。

 ヨーロッパの西の小さな国だけの問題ではない。日本も同じ。

夕食は「おにぎりパーティー」 子どもの貧困6人に1人
http://www.asahi.com/articles/ASGD87FFTGD8ULFA03K.html

母子世帯(No.517) 働いても貧困 世界に例なく
http://www.tokyo-np.co.jp/article/seikatuzukan/2014/CK2014101502000195.html

Poverty takes on a new look in today’s Japan
http://www.japantimes.co.jp/news/2014/12/06/national/media-national/poverty-takes-new-look-todays-japan/#.VIiI4ie6paU

 貧困に喘ぐ人は、日本でもイギリスでも自ら進んでその状況になった訳ではない。最大の原因は、失政。

 日本の宗教界に言いたいこと。政教分離はもちろん原則。しかしながら、この状況で人々を援助できなくて、あなた達の存在意義はなんですか?、と。

 最初の失言に戻ると。女性議員は自ら、言葉の選択を間違ったことに気づいたようだが、ハウス・オブ・ローズが如何に一般市民の生活からかけ離れているかを如実に示す報道。

Champagne wars in the Lords as peers say no to a cheaper vintage
http://www.theguardian.com/politics/2014/dec/07/champagne-house-of-lords-reform-taxpayer

 下院のケイタリング・サーヴィスと統合することを貴族院が拒否したのは、下院のシャンペンの方が安いからとの内部情報。選挙で選ばれてもいない人たちが、どうして税金でシャンペンを飲め、そしてその善し悪しを勝手に決められるのか?

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Comment

- かんとく

守屋さん
こんにちは。最近、日本の子供の貧困率が先進国の中でも際立って高いとの記事を読みました。貧困の原因がすべて失政にありとまでは思いませんが、政治によるセフティネットは必要ですね。
2014.12.10 Wed 22:39 URL [ Edit ]

- 守屋

かんとく さん

 こんばんは。

 僕も、市民を貧困に追い込む理由が失政だけとは思っていません。ただ、生活保護を受けることが本当に必要な人々が、待たされること無く、あれこれ条件を付けられて、更に尊厳を傷つけられること無く生活保障を受ける環境を、イギリス、日本の現政権がきちんとしているとは思えないです。
 
 21世紀の日本で、少子化が国の重要課題の日本で、子供が餓死するなんて信じられないです。
2014.12.11 Thu 17:16 URL [ Edit ]

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