LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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難民危機で大揺れの欧州について

2015.09.06
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(2015年8月29日のインディペンデント紙)

家族や友人から聞いた所、トルコの海岸で見つかったシリア難民の男の子の遺体の写真は、日本のメディアではモザイクがかかったいたそう。インターネット上やイギリスの大手新聞のウェブでは掲載されていたので見られる選択はたくさん有ったと思うが、見ない方が良いと僕は思う。これまで何度もイギリスの新聞では悲惨な写真を観て来たが、あれほど悲しい写真は無い。

 各社のウェブ上で読んでいるだけなので、どれほど詳しい情報が日本で報道されているのか判らないが、個人的に気になっている報道を幾つか。

 溺れ死んだ兄弟の家族がカナダでの難民申請を拒否された理由の一つは、彼らがクルド人だから。トルコ政府は、シリアから逃れたクルド人を難民とは認めず、結果として家族は正式なパスポートを持っていなかった。トルコ政府とカナダ政府の間で、国際政治上、この点で歩み寄れないことがあったのが、申請が受け付けられなかった理由の一つとの報道。カナダは、シリアからの難民だけでなく、条件によっては永住申請すら難しい国の一つ。

Refugee crisis: east and west split as leaders resent Germany for waiving rules
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/05/migration-crisis-europe-leaders-blame-brussels-hungary-germany

On Friday the prime ministers of Hungary, Poland, Slovakia and the Czech Republic told Paris and Berlin to get stuffed, arguing that west European-style multiculturalism is nothing but trouble and that they have no intention of repeating the same mistakes.

Cameron’s moral failure over refugees ‘will cost him Europe negotiation’
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/05/cameron-moral-failure-refugees-europe

“Mrs Merkel’s position was not just a message of EU cohesion, but was also an intelligent proposal for the German economy because Syrian immigrants are appropriate to the German needs – the shrinking of population and the need for skills – 40% of the Syrians are graduates.”

Packed trains reach Germany as refugee visa checks are waived
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/01/trains-of-refugees-reach-germany-as-eu-asylum-checks-collapse

 欧州が揺れているのは、難民受け入れの是非を巡り、西と東(つまり旧共産圏諸国)でその対応の差によるひずみによって、これまで議論を避けていた大きな溝が顕在、拡大して来ているから。

 幾つかの理由で、この溝は欧州内からだけでなく、難民の意志からも影響を受けていると思う。ドイツのメルケル首相が受け入れを明言したことでシリアからの難民はドイツを目指している。新聞報道を読んで付け焼き刃で仕入れた知識だと、現在の欧州圏内では、難民申請は最初に到達したEU加盟国ですることになる。なので、その規則に準じればハンガリィ、ギリシャ、イタリアで難民申請がされるべきである、と。しかし、この3カ国は内政状態により何十万人単位で押し寄せる難民を保護し、申請を審査する余力は無い。且つ、難民達が目指すのは北部のもっと裕福な国々。

 ガーディアンかBBCのどの記事で読んだのか、あまりにも記事が多くて見つけられないのだが、主にシリアやイラクからの難民は、同じ欧州圏内でもルーマニアやブルガリアでの難民申請を望んでいない。なぜなら、仮にこの2カ国で難民として認められても、ルーマニアとブルガリアが未だにシェンゲン協定に含まれていないので、欧州圏内の他の国に自由に移動できないから。

[追記]
みつけた。

Five reflections on Europe's migrant crisis
http://www.bbc.co.uk/news/uk-34158660

Look at the hotspots in this crisis and you see some European countries, like Hungary, getting into serious difficulties, while others seem hardly to be involved at all.

Croatia, and Romania for example might have figured more prominently in this, but for a variety of reasons do not.

Geography, visa regimes, and the fact that they are not members of the Schengen group (with its absence of onward border controls) make Croatia or Romania less desirable to transit or seek asylum in, even though they are EU members.

シェンゲン協定
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%AE%9A

 安定した暮らしを求めて命をかけて欧州に来る彼らが、一層の安定を求めてそのような条件を調査することを間違いだとは思わない。また、国内の成長率が高くないであろう東欧、南欧諸国にとどまりたくないという意識もあるだろう。他方、そのようなとどまりたくない難民の世話をどうしてしなければならないのか、という東欧諸国の苛立も当然だと思う。難民の流れについてはBBCのこの記事のイラストがかなり判り易いと思う。

Migrant crisis: What solutions can the EU find?
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-34139348

 更に問題になるであろう点は、ドイツ等の国を目指すのはシリアからの難民だけではないということ。ドイツ、フランス、イギリスが現在の段階で受け入れを明言しているのは主にシリアとイラクからの難民。トルコで足止めされていたのはその二カ国からの難民だけでなく、アフガニスタンやエルトリアなど他の国から欧州での難民申請を目指している人たちが、この機会を利用して欧州圏内に流れ込んでいること。彼らが難民として受け入れられるかの保証は全く無く、多くの国がそのよう人たちを「難民」ではなく「不法移民」と見なして排除することは大いにあり得るし、それが英仏海峡でのトラブルでもある。

 溺死した少年の写真により、イギリス国内でも難民支援の動きは加速している。これから短期間のうちは、このような支援をするという動きが世論の大きなうねりになると思う。しかし、中期・長期で考えると、受け入れた難民をどう定着させるかということが大きな、そして難しい課題になるだろう。イギリス国内に限れば、現在の保守党の福祉予算切り捨ての結果、英語を母国語としない人々が、無償で英語を学べるコースが激減している。定住したいから英語を学びたい。でも無償のコースが無いから学べなくて、イギリス社会を理解できないしとけ込めない、という悪循環が大きくなることはあり得るだろう。

 直接・間接にかかわらず、戦争に加わることは、結果として多くの避難民を生み出す。殺戮兵器を売りさばいていた国が払う代償は大きい。そのことを、安倍政権は自覚しているのだろうか。また、日本で暮らしていると、今、欧州を揺るがしている難民危機を身近に感じられることは難しいだろう。しかし、この欧州の混乱が日本に全く影響を及ぼさないとは思わない。

 今回、個人的にシリアやイラクから逃れて来る人へ、心からのエンパシィを強く表せないのは、この悪環境の根底にあるのが宗教だから。人間が生み出した宗教に、何故、これほど命が奪われなければならないのか?人々の暮らし、命を弄ぶのが宗教なら、そんなもの、僕は要らない。

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