LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
Home未分類 | Dance | Sylvie Guillem | Royal Ballet | Royal Opera | Counselling | Sightseeing | Overseas Travel | Life in London(Good) | Life in London(Bad) | Japan (Nihon) | Bartoli | Royal Families | British English | Gardens | Songs | Psychology | Babysitting | Politics | Multiculture | Society | Writing Jobs | About this blog | Opera Ballet | News | Arts | Food | 07/Jul/2005 | Job Hunting | Written In English | Life in London (so so) | Speak to myself | Photo(s) of the day | The Daily Telegraph | The Guardian | BBC | Other sources | BrokenBritain | Frog/ Kaeru | Theatre | Books | 11Mar11 | Stage | Stamps | Transport | Summer London 2012 | Weather | Okinawa | War is crime | Christoph Prégardien | Cats | Referendum 23rd June | Brexit | Mental Health 

一般社会がその存在を知らない人たち、知ろうとしない人たち

2017.06.11
このポストは、特に自分のためでありまた、議論できるほど自分の中で理解が深くはないので、メイルでの質問にも答えるつもりはないです。

 先週、ある研修で交わされたケイス・ディスカッションは、学習障害と診断されている男性の今後の治療方針の検討というものだった。実は、この男性とは一度会って話した。普段はとても物静かで、一見では、何が彼にとって問題なのか判らない。

 彼が帰属するのは、イギリス国内で定住しないで暮らす、アイリッシュ系のトラヴェラー・コミュニティ。さすがに驚かなかったが、彼の学習障害も一要因だが、トラヴェラー・コミュニティで生まれ・育ったことで、子供の頃に彼の適性に合う教育を全く受けていない。彼は、読み、書きができない。そのために、小さな犯罪を引き起こし、現在、精神医療に直結する法律の下で治療を受けている。

 トラヴェラー・コミュニティで暮らす人が定住したくないという意思は、この国では尊重されている。言い換えると、問題を起こさない限り、トラヴェラーたちとは関わりたくないという感情が定住している人々にはあるだろう。年上の友人に尋ねたところ、80年代、90年代でも、地方の農場等では、「No blacks, no Irish, no dogs」という看板があるのは普通だったとのこと。

 トラヴェラー・コミュニティで子供がネグレクトされるのかどうかは、知らない。まだ、僕が何かをできるわけではない。しかし、仮に教育を受ける機会がなくて、後年、本人が受け止めなければならない身体的、心理的重圧、そして社会が避けられたであろう負担を考えると、トラヴェラー・コミュニティの子供に、彼らのために、社会のために教育を受けさせる、ということを余計なことと考える人たちがイギリスにいるのは、普通なのだろうか?、と

 そんなことをずっと思考の片隅で考えていた昨日、ガーディアンで興味深い記事が掲載された。

'They were entwined': the twins found at Dover's white cliffs
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2017/jun/10/they-were-entwined-the-twins-found-at-dovers-white-cliffs

 今年の元日、イングランド南東にあるドーヴァーの崖下で、男女の遺体が発見された。男性の身元はすぐにわかったが、女性は身分証明になるものを一切所持しておらず、当初は誰だかわからなかった。男性の名前から判明した住所にあたり、ようやく女性は、男性と双子の妹(もしくは姉)であることが判った。

 警察が彼らの住まいを訪れて判ったことは、二人が親戚や社会との関係を一切持とうとしなかったこと。二人のパスポートはずっと昔に失効したままで、最近のミュリエルの面影を知るための写真は全くなかった。二人が携帯電話を持っていなかったことも、身元をすぐに判明できなかった、そして彼らの最後の足取りが全くわからない要因の一つ。

 この記事と、研修でのケイス・ディスカッションに共通点は全く存在しない。しかし僕にとって、政府やオーソリティにより社会の管理、つまり個人情報がもはや個人のものではなく、権力のものである社会にあって、是非や、有効性の議論は置いておいて、「福祉」ですらおいきれない人々が存在する社会。そしてそのような社会がすべきことはあるのか、という堂々巡りの思考が止まらない。

関連記事
スポンサーサイト
Society    ↑Top
Template by まるぼろらいと

Copyright ©LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン All Rights Reserved.