デヴィッド・ホックニーの風景画
2006.10.21
親愛なる皆さん
こんにちは。聞き飽きたかもしれませんが、ロンドンの天気、日増しに鬱陶しくなってきます。
肖像画で有名なデヴィッド・ホックニーが、2005年の夏から2006年の春にかけて、イングランド中北部のヨークシャーの風景画を制作しました。今年の8月下旬くらいに、いろいろな新聞で記事を見かけたんですが、まさか、ロンドンのいち画廊で無料で展示されていると思ってもいませんでした。数日前から、ナショナル・ポートレート・ギャラリーでも彼の特別展が始まりました。が、ホックニーが描く肖像画はいつ見ても神経を逆撫でされるような印象があって、まともに見たことはないです。
本当に小さな画廊でした。オックスフォード・ストリートに連なる、これまた本当に短い通りにあるビルの3階と4階。看板がビルの上方にひっそりとあるものだから、通りを何度も往復してしまいました。
ギャラリーに入って、最初の絵を見るなり、そのまま絵に描かれている風景の中に、道の真中に足を踏み出せるのではないかと。目の前の絵が広がり、壁の向こう側に本当のヨークシャーの緑に萌える大地、収穫の喜びを伝える麦畑、冬の朝の硬く凍った道が有るようでした。特に、6枚のキャンバスを使って風景を描いた連作、というか1枚の大きな絵の前では、絵の中に入り込める、キャンヴァスに触れたら自分はヨークシャーの大地を踏みしみている、そう固く信じました。
印象に残った点は数知れず。まず、ギャラリーの4階の天井はグラス・ルーフでした。昨日、金曜日のロンドンの天気は、早朝は大雨、午後11時過ぎから、透き通った青空。丁度僕がギャラリーに居た時間帯は、大きな雲が次から次に空を流れていました。その雲が創る陰影で、ホックニーが描いたヨークシャーの大地の上に広がる空の色が、めまぐるしく変わるんです。面白かったです。
一番の衝撃は、彼が道や畑を描くのに使った紫。夏の木陰の道、秋のぬかるんだ泥道、晴天の冬のピーンと張り詰めた朝の道、エネルギーを蓄えた春の畑の泥をそれぞれ微妙に違った紫を使って描いています。最初、「なんで、泥道が紫なんだ?」、と。
ずっとそれらの絵の前に立ち尽くして見ているうちに、「そうそう、春の畑の土って、こんな風にオレンジがかった紫色をしている」、と。多分、ホックニーが見た風景を実際に見たら、何てことない風景なのかもしれません。描かれているのは全て、道、畑、木々、空ばかり。鳥、家畜、人物などは全く描かれていません。が、生命に溢れていました。
ホックニーは、ヨークシャーの風景を愛しているのだと思います。購入したカタログによると、2005年の8月だけで、縦61センチ、横92センチの絵を7作も描いています。僕は油絵の制作に関しては何も知りませんが、1週間でほぼ2作品、ということになります。彼が、お金のためにこれらを制作したとは思いませんが、所有するとなると、莫大でしょう。でも、この連作、世界中に散らばって欲しくないです。誰か、絵を愛する金持ちが全作品を購入して、ずっと展示して欲しいです。
著名な画家が描いたばかりの絵を見られるというのは、日ごろあまり経験できないのではないかと思います。この連作の最後は、2006年5月のクレジット。わずか5ヶ月前に描かれたばかりのホックニーの絵を見る行幸。残念ながら、展示は来週で終わってしまうので、観光情報としては役に立ちませんが、ウェブによると、カタログやポスターは購入できるようです。
http://www.annelyjudafineart.co.uk
皆さん、よい週末を。
こんにちは。聞き飽きたかもしれませんが、ロンドンの天気、日増しに鬱陶しくなってきます。
肖像画で有名なデヴィッド・ホックニーが、2005年の夏から2006年の春にかけて、イングランド中北部のヨークシャーの風景画を制作しました。今年の8月下旬くらいに、いろいろな新聞で記事を見かけたんですが、まさか、ロンドンのいち画廊で無料で展示されていると思ってもいませんでした。数日前から、ナショナル・ポートレート・ギャラリーでも彼の特別展が始まりました。が、ホックニーが描く肖像画はいつ見ても神経を逆撫でされるような印象があって、まともに見たことはないです。
本当に小さな画廊でした。オックスフォード・ストリートに連なる、これまた本当に短い通りにあるビルの3階と4階。看板がビルの上方にひっそりとあるものだから、通りを何度も往復してしまいました。
ギャラリーに入って、最初の絵を見るなり、そのまま絵に描かれている風景の中に、道の真中に足を踏み出せるのではないかと。目の前の絵が広がり、壁の向こう側に本当のヨークシャーの緑に萌える大地、収穫の喜びを伝える麦畑、冬の朝の硬く凍った道が有るようでした。特に、6枚のキャンバスを使って風景を描いた連作、というか1枚の大きな絵の前では、絵の中に入り込める、キャンヴァスに触れたら自分はヨークシャーの大地を踏みしみている、そう固く信じました。
印象に残った点は数知れず。まず、ギャラリーの4階の天井はグラス・ルーフでした。昨日、金曜日のロンドンの天気は、早朝は大雨、午後11時過ぎから、透き通った青空。丁度僕がギャラリーに居た時間帯は、大きな雲が次から次に空を流れていました。その雲が創る陰影で、ホックニーが描いたヨークシャーの大地の上に広がる空の色が、めまぐるしく変わるんです。面白かったです。
一番の衝撃は、彼が道や畑を描くのに使った紫。夏の木陰の道、秋のぬかるんだ泥道、晴天の冬のピーンと張り詰めた朝の道、エネルギーを蓄えた春の畑の泥をそれぞれ微妙に違った紫を使って描いています。最初、「なんで、泥道が紫なんだ?」、と。
ずっとそれらの絵の前に立ち尽くして見ているうちに、「そうそう、春の畑の土って、こんな風にオレンジがかった紫色をしている」、と。多分、ホックニーが見た風景を実際に見たら、何てことない風景なのかもしれません。描かれているのは全て、道、畑、木々、空ばかり。鳥、家畜、人物などは全く描かれていません。が、生命に溢れていました。
ホックニーは、ヨークシャーの風景を愛しているのだと思います。購入したカタログによると、2005年の8月だけで、縦61センチ、横92センチの絵を7作も描いています。僕は油絵の制作に関しては何も知りませんが、1週間でほぼ2作品、ということになります。彼が、お金のためにこれらを制作したとは思いませんが、所有するとなると、莫大でしょう。でも、この連作、世界中に散らばって欲しくないです。誰か、絵を愛する金持ちが全作品を購入して、ずっと展示して欲しいです。
著名な画家が描いたばかりの絵を見られるというのは、日ごろあまり経験できないのではないかと思います。この連作の最後は、2006年5月のクレジット。わずか5ヶ月前に描かれたばかりのホックニーの絵を見る行幸。残念ながら、展示は来週で終わってしまうので、観光情報としては役に立ちませんが、ウェブによると、カタログやポスターは購入できるようです。
http://www.annelyjudafineart.co.uk
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