LONDON Love&Hate 愛と憎しみのロンドン

1999年のクリスマス・イヴにロンドンに。以来、友人達に送りつけていたプライヴェイト・メイル・マガジンがもと。※掲載されている全ての文章の無断引用・転載を禁じます。
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スペインの赤い貴婦人:The Duchess of Medina Sidonia

2008.04.20
2008年3月7日、スペインの貴族の中でも、最も歴史の長い家系出身のThe Duchess of Medina Sidonia、本名 Luisa Isabel Álvarez de Toledo という女性が71歳で亡くなりました。そして、彼女につけられたニックネイムは、「Red Duchess」。



http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2008/03/11/db1101.xml
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/15/spain
The Duchess of Medina-Sidonia

 「ある」理由で彼女のことが気になり訃報記事を読むまで、この方のことは全く知りませんでした。記事によると、彼女の家系は1445年まで遡れるほどスペインでも最も歴史のある貴族の家系とのこと。その一方で、The Duchess of Medina-Sidoniaは貴族でありながら、スペインのカルロス国王を「His Royal Highness」ではなく「Mr」と呼ぶなど、自らはRepublicanであったようです。

 彼女の家系は、貴族としては「変わり者」が多かったらしく、彼女自身、「貴族」という立場に安穏としている他の皆さんからは疎まれることを若い頃からいろいろとしていたそうです。中でも彼女の名を轟かせ、貧しい人々から厚い信頼を得たのは当時のフランコ独裁に立ち上がったこと。
 1966年、アメリカ軍の爆撃機、Bー52がスペインの漁村に4発の核が積み込まれた爆弾を誤って落下させました。爆発はしなかったものの、放射能が漏れ、貧しい漁民達の生活に大きな被害をもたらしました。当時のフランコ独裁政権と米軍はこの事故を隠そうとしたようですが、The Duchess of Medina-Sidoniaは彼女自身の「位」を利用して巻き込まれた漁村に入り込み、のちこの事件を世界に知らしめたそうです。補償を勝ち取る行動を起こしたThe Duchess of Medina-Sidoniaは逮捕されました。独裁政権は、「沈黙」と引き換えに彼女の罪を帳消しにしようとしましたがThe Duchess of Medina-Sidoniaはそれを拒否し、8ヶ月間投獄されました。その結果、彼女は貧しい民衆から大きな支持を得、同時に体制側、そして他の貴族からは、「Red Duchess」と呼ばれるようになったようです。
 一時フランスに逃れていたRed Duchessは、フランコなき後の1970年代後半にスペインに戻りました。帰国後から亡くなるまでは、彼女の一族が長い間守ってきたスペインでも類稀な歴史的な蔵書・古書を管理することに没頭してきたそうです。が、亡くなる直前に彼女がしたことは、残された彼女の子供達への最後の衝撃でした。同性結婚が認められているスペイン、The Duchess of Medina-Sidoniaは20年間彼女の秘書として彼女を支えてきたパートナーの女性と結婚したそうです。
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2008/03/16/wduchess116.xml
Red Duchess wed lesbian lover to snub children

 The Duchess of Medina-Sidoniaに興味を持ったのは、まず彼女につけられた「Red Duchess」というニックネイム。これで、彼女が「コミュニスト」だったと即座に思う人もいるでしょう。The Daily Telegraph紙の記事よると、The Duchess of Medina-Sidoniaはそう呼ばれることを快く思わなかったそうです。何故なら彼女自身はコミュニズムを受け入れていなかったから。

 if she lived in a Communist state, "I would have to accept a whole series of things I don't accept: the loss of freedom of expression, of press, of gathering - precisely the deprivations against which I'm fighting in my own country." 。そして、 "If I had been born in a free country, I would not have been interested in politics"

 これまで読んでくださっている皆さんはお判りかと思いますが、僕の政治信条は世間一般からすると「左」と括られることでしょう。言い換えると、「右」でないことは確実です。今、政治のことをだれかれと話すとき、ロンドンではLeftwingerと友人・知人達には言っています。でも、僕はコミュニストではないし、そうなるつもりもないです。僕が望むのは、民主主義システムが機能するなんてもはや信じてはいないけど、でもできるだけ民主主義的な社会であって欲しい、と(ちなみに、現在のイギリスは資本主義、且つ金融市場至上主義国家であって、民主主義国家ではないと思っています)。
 この想いはずっともっています。が、若い頃はうまく言葉にすることは出来ず、また自分の考えが何とどう違うのかが見えていなかったように思います。「アカ」となじられたことも、実は何度かあります。いい気分ではなかったですし、悲しかったです。
 今回、偶然知ることが出来たThe Duchess of Medina-Sidoniaの言葉から思うことは、社会が混乱しているときに、たとえ不本意なレッテルを貼られても、自分が暮らす社会のことを、そして共に暮らす人々のことを常に考えることは、必要なことなのだろう、と。

 先行きが見えない経済、政治の不安定、食糧不足、エネルギー不足、水不足、地球の環境システムを蝕む脅威、そして宗教対立等々が渦巻く世界で、右か左か、改革(progress)か保守(conservative)かで悩んでいる人はイギリスにも沢山いるようです。
http://books.guardian.co.uk/review/story/0,,2274729,00.html
 とてつもなく読みづらい(少なくとも僕にとっては)記事ですけど、興味がある方もいるかと。

 別に、「こんな時代なんだから政治のことだけを考えるべきだ」、と人に強要するつもりはないです。それに、僕だって毎日毎日政治のことばかり考えている訳ではないです。そんなことしていたら、疲れます。ただ、政治は特別なこと、一部の人だけしか関わることができない、日々の暮らしからかけ離れたもの、ではないはず。食事で何が大切かが話されるときによく言われている、「身体に必要な栄養を摂る為に、毎日少しずついろいろなものを食べましょう」、というのと同じだと思います。昨晩観てきたバレエの感動を思い出しながら過ごした日の終わりに、少し政治のことを考える。あれこれと政治のことを思い考えた翌日に、庭園のベンチに座り薔薇の香りに包まれ、忙しく飛び回る蜂の羽音を聞きながら、いち日を無為に過ごす。そういうものだと思うんです。

 政治を、社会を、そして日々の暮らしを熱くそして普通に語ることが、「いけてる」と思われる日がくると良いなと希望して、書いてみました。




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